描画対象物の相対移動方向に沿って複数並んで設置された各空間光変調素子を用いて所望の描画パターンを当該描画対象物上に形成する直接描画装置における描画方法として、各空間光変調素子が安定的に光を照射することができる当該描画対象物上の安定照射領域内に対してのみ光を照射して描画パターンを形成する本願出願時点で未公開の方法(特願2006−170507)がある。この方法では、安定照射領域内に未だ位置していないことから描画処理が実行されていない描画対象物上の領域については、上記相対移動方向に直交する方向に描画対象物をずらすことによって安定照射領域内に位置させた後、各空間光変調素子が当該領域に光を照射する描画処理を実行する。
本発明は、このような描画方法において、高密度の描画パターンを形成すべき領域について露光する場合と、高密度の描画パターンを形成する必要のない領域について露光する場合とで光の照射の仕方が異なるようにしたものである。
図1および2は、描画対象物上の安定照射領域内に対してのみ光を照射して描画パターンを形成する直接描画装置における描画方法の動作原理を説明する図である。図示の例では、3個のディジタルマイクロミラーデバイスD1、D2およびD3が、描画対象基板Pの相対移動方向(図中、太い矢印で示す。)とほぼ直交する方向に配列される。図中、白丸印および黒丸印は、ディジタルマイクロミラーデバイス中に2次元配列されたマイクロミラーをそれぞれ表し、特に黒丸印は、各ディジタルマイクロミラーデバイスD1、D2およびD3のスティッチ部付近に存在するマイクロミラーを表す。ここでは、一例として描画対象基板Pには半導体パッケージとなる個片Q1〜Q8が面付けされ、各個片ごとに配線パターンが形成される場合を考える。また、各個片Q1〜Q8には、特に高密度な配線パターンであって露光ムラが解像に影響するほどの配線パターンが形成される微細パターン領域(図中、一点鎖線で表す。)が存在するものとする。なお、図示されたディジタルマイクロミラーデバイスの個数および描画対象基板に面付けされる個片の個数はあくまでも一例であり、図示された個数以外のその他の個数であってもよい。
ディジタルマイクロミラーデバイスD1、D2およびD3による照射領域は、ディジタルマイクロミラーデバイスD1、D2およびD3の中心付近にある安定照射領域R1、R2およびR3と、ディジタルマイクロミラーデバイスD1、D2およびD3のスティッチ部に存在するマイクロミラーによる露光ムラが生じ得る領域T1およびT2とに分けられる。
描画対象基板Pの面上において相対移動方向に直交する方向に並んで存在する各個片Q1、Q3、Q5およびQ7について、各Q1、Q3、Q5およびQ7内にそれぞれ存在する微細パターン領域が、ディジタルマイクロミラーデバイスD1、D2およびD3による安定照射領域R1、R2およびR3内に最も多く位置する状態が、図1に例示されている。図示のように、個片Q1内の微細パターン領域は、ディジタルマイクロミラーデバイスD1による安定照射領域R1内に位置し、個片Q7内の微細パターン領域は、ディジタルマイクロミラーデバイスD3による安定照射領域R3内に位置する。このときの相対移動方向に直交する方向についての描画対象基板Pの位置を、安定照射領域R1およびR3内に位置する個片Q1およびQ7内の微細パターン領域に光を照射する際における、相対移動方向に直交する方向についての描画対象物の設置位置として画定する。図示の例では、個片Q1およびQ7については、図1に示されるような位置関係の下でディジタルマイクロミラーデバイスD1およびD3を用いて光を照射し、露光する。図中、斜線部分は露光された領域を示す。同様に、個片Q1およびQ7に対して描画対象基板の相対移動方向に位置する個片Q2およびQ8についても、図1に示される位置関係の下で、ディジタルマイクロミラーデバイスD1およびD3を用いて光を照射し、露光する。
一方、個片Q3内の微細パターン領域は、図1に示される位置関係の下では、いずれの安定照射領域内にも位置しておらず、ディジタルマイクロミラーデバイスD1およびD2間のスティッチ部にあるマイクロミラーにより照射される領域T1に位置している。また、個片Q5内の微細パターン領域は、図1に示される位置関係の下では、いずれの安定照射領域内にも位置しておらず、ディジタルマイクロミラーデバイスD2およびD3間のスティッチ部の領域T2に位置している。微細パターン領域を露光ムラが発生するスティッチ部に存在するマイクロミラーで露光すると解像不良が生じ得ることから、図示の例では、個片Q3およびQ5内の微細パターン領域については、図1に示されるような位置関係の下では光を照射せず、露光は行わない。
図1に示される位置関係の下ではディジタルマイクロミラーデバイス間のスティッチ部付近に位置することになる個片Q3およびQ5内の微細パターン領域については、図2に示すように、これら微細パターン領域がディジタルマイクロミラーデバイスの安定照射領域に位置するよう、描画対象基板Pを相対移動方向に直交する方向にずらす。すなわち、個片Q3内の微細パターン領域は、ディジタルマイクロミラーデバイスD2による安定照射領域R2内に位置し、個片Q5内の微細パターン領域は、ディジタルマイクロミラーデバイスD3による安定照射領域R3内に位置するようにずらす。このときの相対移動方向に直交する方向についての描画対象基板Pの位置を、安定照射領域R2およびR3内に位置する個片Q3およびQ5内の微細パターン領域に光を照射する際における、相対移動方向に直交する方向についての描画対象物の設置位置として画定する。すなわち、個片Q3およびQ5内の微細パターン領域については、図2に示されるような位置関係の下でディジタルマイクロミラーデバイスD2およびD3を用いて光を照射し、露光する。図中、斜線部分は露光された領域を示す。同様に、個片Q3およびQ5に対して描画対象基板の相対移動方向に位置する個片Q4およびQ6についても、図2に示されるような位置関係の下でディジタルマイクロミラーデバイスD2およびD3を用いて光を照射し、露光する。
図3は、描画対象物上の安定照射領域内に対してのみ光を照射して描画パターンを形成する直接描画装置における描画方法における、描画対象基板の設置位置についての画定処理の動作フローを示す図である。また、図4〜16は、描画対象物上の安定照射領域内に対してのみ光を照射して描画パターンを形成する直接描画装置における描画方法における、描画対象基板の設置位置の画定の一具体例を説明する図である。
この具体例では、図4に示す3個のディジタルマイクロミラーデバイスD1、D2およびD3を用いて、図5に示す描画対象基板Pを露光する場合を考える。
図4において、太い矢印はディジタルマイクロミラーデバイスD1、D2およびD3の相対移動方向を表し、白丸印はディジタルマイクロミラーデバイスD1、D2およびD3中に2次元配列されたマイクロミラーをそれぞれ表す。さらに、本明細書では、本具体例の説明を簡明にするために、相対移動方向に直交する方向に、図示するような座標軸を設定する。本具体例では、ディジタルマイクロミラーデバイスD1、D2およびD3の中心付近にある安定照射領域R1、R2およびR3の、相対移動方向に直交する方向の幅を「60」とし、各安定照射領域R1、R2およびR3の間には「30」の間隔が空いているものとする。すなわち、相対移動方向に直交する方向に沿って、ディジタルマイクロミラーデバイスD1の中心付近にある安定照射領域R1は「0〜60」の範囲に、ディジタルマイクロミラーデバイスD2の中心付近にある安定照射領域R2は「90〜150」の範囲に、ディジタルマイクロミラーデバイスD3の中心付近にある安定照射領域R3は「180〜240」の範囲に、それぞれ位置する。
また、図5に示すように、本具体例では、描画対象基板P上には、ディジタルマイクロミラーデバイス間のスティッチ部に位置するマイクロミラーによっては光が照射されるべきでない領域F1〜F8(以下、「割付対象領域」と称する。)が、相対移動方向に直交する方向に沿って、一定の間隔で並んでいるものとする。本具体例における割付対象領域F1〜F8は、上述の微細パターン領域である。また、本具体例では割付対象領域F1〜F8以外の描画対象基板Pの面上にも配線パターンが形成されるが、当該配線パターンは、ディジタルマイクロミラーデバイス間のスティッチ部に位置するマイクロミラーによる光の照射でも、解像不良を発生することがなく、露光され得るものであると仮定する。
本具体例では、描画対象基板Pの相対移動方向に直交する方向の幅を「210」とする。便宜上、描画対象基板Pの最左端をPL、最右端をPRで表すものとし、特に限定がない限り、描画対象基板Pの位置は、「描画対象基板Pの最左端PLの座標」でもって表すものとする。また、割付対象領域F1〜F8の、相対移動方向に直交する方向の幅をそれぞれ「15」とし、各割付対象領域F1〜F8の間には長さ「10」の一定の間隔が空いているものとする。また、描画対象基板Pの最左端PLと割付対象領域F1の最左辺との間にも「10」の間隔が存在し、描画対象基板Pの最左端PRと割付対象領域F8の最右辺との間にも「10」の間隔が存在するものとする。
まず、図3のステップS100において、未割付けの割付対象領域があるか否かを判定する。このステップについては後述する。
図3のステップS101において、描画対象基板Pの面上において相対移動方向に直交する方向に並んで存在する各割付対象領域のうち、最左端に位置する割付対象領域を、最左端の安定照射領域に割り付ける。すなわち、図6に示すように、描画対象基板Pの面上において相対移動方向に直交する方向に並んで存在する各割付対象領域F1〜F8のうち描画対象基板Pの最左端にある割付対象領域F1を、最左端にある安定照射領域R1に割り付ける。その後、割付対象領域F1〜F8が安定照射領域内に位置することができる描画対象領域Pの暫定設置範囲の算出処理(すなわち図3のステップS102における処理)を、描画対象基板Pの相対移動方向に直交する方向の一方から順に、すなわち、図示の例では割付対象領域F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7、およびF8の順に、以下に説明するように実行していく。なお、当該算出処理の実行の順は一例であり、この例とは逆の順、すなわち割付対象領域F8、F7、F6、F5、F4、F3、F2、およびF1の順に実行してもよく、この場合は、図3のステップS101において、描画対象基板Pの面上において相対移動方向に直交する方向に並んで存在する各割付対象領域F1〜F8のうち描画対象基板Pの最右端にある割付対象領域F8を、最右端にある安定照射領域R3に割り付けた上で、実行すればよい。
すなわち、まず、図6を参照して説明するように、割付対象領域F1が安定照射領域内に位置することができる、相対移動方向に直交する方向についての描画対象基板Pの暫定設置範囲を算出する。描画対象基板Pが、図6(a)に示すようにその最左端PLが安定照射領域R1の最左端に位置する場合(換言すれば描画対象基板Pの最左端PLの座標が「0」)から、図6(b)に示すようにその最右端PRが安定照射領域R3の最右端に位置する場合(換言すれば描画対象基板Pの最左端PLの座標が「30」)までの間に存在すれば、割付対象領域F1は安定照射領域R1内に位置することができ、なおかつ、描画対象基板Pの最左端PL付近および最右端PR付近の領域についても安定照射領域R1もしくはR3内に位置することができる。以上より、割付対象領域F1が安定照射領域R1内に位置することができるという要件を満たす描画対象基板Pの暫定設置範囲は、「0〜30」となる。
続いて、図7を参照して説明するように、割付対象領域F1の相対移動方向に直交する方向に隣接する割付対象領域F2が安定照射領域内に位置することができる、相対移動方向に直交する方向についての描画対象基板Pの暫定設置範囲を算出する。この割付対象領域F2が安定照射領域内に位置することができる描画対象基板Pの暫定設置範囲は、図6を参照して説明した割付対象領域F1が安定照射領域R1内に位置することができるという要件も満たす必要があるので、先に算出した描画対象基板Pの暫定設置範囲「0〜30」の範囲内で、算出するべきである。すなわち、描画対象基板Pが、図7(a)に示すように描画対象基板Pの最左端PLが安定照射領域R1の最左端に位置する場合(換言すれば描画対象基板Pの最左端PLの座標が「0」)から、図7(b)に示すように割付対象領域F2の最右端が安定照射領域R1の最右端に位置する場合(換言すれば描画対象基板Pの最左端PLの座標が「10」)までの間に存在すれば、割付対象領域F2は安定照射領域R1内に位置することができ、なおかつ、割付対象領域F1は安定照射領域R1内に位置することができる。なお、図6を参照して既に説明したように、描画対象基板Pの最左端PL付近および最右端PR付近の領域については、描画対象基板Pの暫定設置範囲が「0〜30」であれば安定照射領域R1もしくはR3内に位置することができるので、描画対象基板Pの暫定設置範囲が「0〜10」である場合も、当然に安定照射領域R1もしくはR3内に位置することができる。以上より、割付対象領域F2が安定照射領域R1内に位置することができるという要件を満たす描画対象基板Pの暫定設置範囲は、「0〜10」となる。
次いで、図8を参照して説明するように、割付対象領域F2の相対移動方向に直交する方向に隣接する割付対象領域F3が安定照射領域内に位置することができる、相対移動方向に直交する方向についての描画対象基板Pの暫定設置範囲を算出する。この割付対象領域F3が安定照射領域内に位置することができる描画対象基板Pの暫定設置範囲は、図6および7を参照して説明した割付対象領域F1およびF2が安定照射領域R1内に位置することができるという要件も満たす必要があるので、先に算出した描画対象基板Pの暫定設置範囲「0〜10」の範囲内で、算出するべきである。この場合、描画対象基板Pを暫定設置範囲「0〜10」の範囲内に仮に設置したとしても、割付対象領域F3は、図8(a)および(b)に示すように、その最左端の座標が「60〜70」の範囲内にとどまるのみで、いずれの安定照射領域内にも位置することができない。したがって、割付対象領域F3が安定照射領域内に位置することができる描画対象基板Pの暫定設置範囲はこの段階では算出せず、割付対象領域F3はいずれの安定照射領域内にも割り付けない。
次いで、図9を参照して説明するように、割付対象領域F3の相対移動方向に直交する方向に隣接する割付対象領域F4が安定照射領域内に位置することができる、相対移動方向に直交する方向についての描画対象基板Pの暫定設置範囲を算出する。この割付対象領域F4が安定照射領域内に位置することができる描画対象基板Pの暫定設置範囲は、図6および7を参照して既に説明した割付対象領域F1およびF2が安定照射領域R1内に位置することができるという要件も満たす必要があるので、先に算出した描画対象基板Pの暫定設置範囲「0〜10」の範囲内で、算出するべきである。なお、図8を参照して既に説明したように割付対象領域F3はいずれの安定照射領域内にも位置することができないので、割付対象領域F4が安定照射領域内に位置することができる描画対象基板Pの暫定設置範囲の算出処理においては割付対象領域F3を考慮せず、除外する。すなわち、描画対象基板Pが、図9(a)に示すように割付対象領域F4の最左端が安定照射領域R2の最左端に位置する場合(換言すれば描画対象基板Pの最左端PLの座標が「5」)から、図9(b)に示すように割付対象領域F2が安定照射領域R1の最右端に位置する場合(換言すれば描画対象基板Pの最左端PLの座標が「10」)までの間に存在すれば、割付対象領域F4は安定照射領域R2内に位置することができ、なおかつ、割付対象領域F1およびF2は安定照射領域R1内に位置することができる。なお、図6を参照して既に説明したように、描画対象基板Pの最左端PL付近および最右端PR付近の領域については、描画対象基板Pの暫定設置範囲が「0〜30」であれば安定照射領域R1もしくはR3内に位置することができるので、描画対象基板Pの暫定設置範囲が「5〜10」である場合も、当然に安定照射領域R1もしくはR3内に位置することができる。以上より、割付対象領域F4が安定照射領域R2内に位置することができるという要件を満たす描画対象基板Pの暫定設置範囲は、「5〜10」となる。
次いで、図10を参照して説明するように、割付対象領域F4の相対移動方向に直交する方向に隣接する割付対象領域F5が安定照射領域内に位置することができる、相対移動方向に直交する方向についての描画対象基板Pの暫定設置範囲を算出する。この割付対象領域F5が安定照射領域内に位置することができる描画対象基板Pの暫定設置範囲は、図6、7および9を参照して既に説明した割付対象領域F1およびF2が安定照射領域R1内に位置することができ、なおかつ割付対象領域F4が安定照射領域R2内に位置することができるという要件も満たす必要があるので、先に算出した描画対象基板Pの暫定設置範囲「5〜10」の範囲内で、算出するべきである。なお、図8を参照して既に説明したように割付対象領域F3はいずれの安定照射領域内にも位置することができないので、割付対象領域F5が安定照射領域内に位置することができる描画対象基板Pの暫定設置範囲の算出処理においては割付対象領域F3を考慮せず、除外する。すなわち、描画対象基板Pが、図10(a)に示すように割付対象領域F4の最左端が安定照射領域R2の最左端に位置する場合(換言すれば描画対象基板Pの最左端PLの座標が「5」)から、図10(b)に示すように割付対象領域F2が安定照射領域R1の最右端に位置する場合(換言すれば描画対象基板Pの最左端PLの座標が「10」)までの間に存在すれば、割付対象領域F5は安定照射領域R2内に位置することができ、なおかつ、割付対象領域F4は安定照射領域R2内に、割付対象領域F1およびF2は安定照射領域R1内に、それぞれ位置することができる。なお、図6を参照して既に説明したように、描画対象基板Pの最左端PL付近および最右端PR付近の領域については、描画対象基板Pの暫定設置範囲が「0〜30」であれば安定照射領域R1もしくはR3内に位置することができるので、描画対象基板Pの暫定設置範囲が「5〜10」である場合も、当然に安定照射領域R1もしくはR3内に位置することができる。以上より、割付対象領域F5が安定照射領域R2内に位置することができるという要件を満たす描画対象基板Pの暫定設置範囲は、「5〜10」となる。
次いで、図11を参照して説明するように、割付対象領域F5の相対移動方向に直交する方向に隣接する割付対象領域F6が安定照射領域内に位置することができる、相対移動方向に直交する方向についての描画対象基板Pの暫定設置範囲を算出する。この割付対象領域F6が安定照射領域内に位置することができる描画対象基板Pの暫定設置範囲は、図6、7および9を参照して既に説明した割付対象領域F1およびF2が安定照射領域R1内に位置することができ、なおかつ割付対象領域F4およびF5が安定照射領域R2内に位置することができるという要件も満たす必要があるので、先に算出した描画対象基板Pの暫定設置範囲「5〜10」の範囲内で、算出するべきである。なお、図8を参照して既に説明したように割付対象領域F3はいずれの安定照射領域内にも位置することができないので、割付対象領域F6が安定照射領域内に位置することができる描画対象基板Pの暫定設置範囲の算出処理においては割付対象領域F3を考慮せず、除外する。この場合、描画対象基板Pを暫定設置範囲「5〜10」の範囲内に仮に設置したとしても、割付対象領域F6は、図11(a)および(b)に示すように、その最左端の座標が「140〜145」の範囲内にとどまるのみで、いずれの安定照射領域内にも位置することができない。したがって、割付対象領域F6が安定照射領域内に位置することができる描画対象基板Pの暫定設置範囲はこの段階では算出せず、割付対象領域F6はいずれの安定照射領域内にも割り付けない。
次いで、図12を参照して説明するように、割付対象領域F6の相対移動方向に直交する方向に隣接する割付対象領域F7が安定照射領域内に位置することができる、相対移動方向に直交する方向についての描画対象基板Pの暫定設置範囲を算出する。この割付対象領域F7が安定照射領域内に位置することができる描画対象基板Pの暫定設置範囲は、図6、7、9および10を参照して既に説明した割付対象領域F1およびF2が安定照射領域R1内に位置することができ、なおかつ割付対象領域F4およびF5が安定照射領域R2内に位置することができるという要件も満たす必要があるので、先に算出した描画対象基板Pの暫定設置範囲「5〜10」の範囲内で、算出するべきである。なお、図8および11を参照して既に説明したように割付対象領域F3およびF6はいずれの安定照射領域内にも位置することができないので、割付対象領域F7が安定照射領域内に位置することができる描画対象基板Pの暫定設置範囲の算出処理においては割付対象領域F3およびF6を考慮せず、除外する。この場合、描画対象基板Pを暫定設置範囲「5〜10」の範囲内に仮に設置したとしても、割付対象領域F7は、図12(a)および(b)に示すように、その最左端の座標が「165〜170」の範囲内にとどまるのみで、いずれの安定照射領域内にも位置することができない。したがって、割付対象領域F7が安定照射領域内に位置することができる描画対象基板Pの暫定設置範囲はこの段階では算出せず、割付対象領域F7はいずれの安定照射領域内にも割り付けない。
次いで、図13を参照して説明するように、割付対象領域F7の相対移動方向に直交する方向に隣接する割付対象領域F8が安定照射領域内に位置することができる、相対移動方向に直交する方向についての描画対象基板Pの暫定設置範囲を算出する。この割付対象領域F8が安定照射領域内に位置することができる描画対象基板Pの暫定設置範囲は、図6、7、9および10を参照して既に説明した割付対象領域F1およびF2が安定照射領域R1内に位置することができ、なおかつ割付対象領域F4およびF5が安定照射領域R2内に位置することができるという要件も満たす必要があるので、先に算出した描画対象基板Pの暫定設置範囲「5〜10」の範囲内で、算出するべきである。なお、図8、11および12を参照して既に説明したように割付対象領域F3、F6およびF7はいずれの安定照射領域内にも位置することができないので、割付対象領域F8が安定照射領域内に位置することができる描画対象基板Pの暫定設置範囲の算出処理においては割付対象領域F3、F6およびF7を考慮せず、除外する。この場合、図13(a)および(b)に示すように、描画対象基板Pが、先に算出した描画対象基板Pの暫定設置範囲「5〜10」の範囲内に存在すれば、割付対象領域F8は安定照射領域R3内に位置することができ、なおかつ、割付対象領域F4およびF5は安定照射領域R2内に、割付対象領域F1およびF2は安定照射領域R1内に、それぞれ位置することができる。以上より、割付対象領域F8が安定照射領域R3内に位置することができるという要件を満たす描画対象基板Pの暫定設置範囲は、「5〜10」となる。
以上より、割付対象領域F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7、およびF8の全てについて、図3のステップS102における算出処理が完了し、この結果、描画対象基板Pの最終的な暫定設定範囲として「5〜10」という範囲が求まるので、図3のステップS103において、この「5〜10」という範囲を、描画対象基板Pの相対移動方向に直交する方向についての設置可能範囲として決定する。描画対象基板Pを設置可能範囲「5〜10」の範囲内に設置すれば、割付対象領域F1およびF2は安定照射領域R1内に位置し、割付対象領域F4およびF5は安定照射領域R2内に位置し、割付対象領域F8は安定照射領域R3内に位置する。そこで、描画対象基板Pを設置可能範囲「5〜10」の範囲内に設置したときに、いずれかの安定照射領域内に位置する割付対象領域F1、F2、F4、F5およびF8について露光を行う。このとき、未割付けの割付対象領域F3、F6およびF7は、いずれの安定照射領域内にも位置していないのでこの段階では露光を行わない。
未割付けの割付対象領域F3、F6およびF7については、相対移動方向に直交する方向に露光対象基板Pをずらした上で、図3のステップS102における算出処理を再度実行する。すなわち、図3のS100において、未割付けの割付対象領域があると判定された上で、ステップS101〜S103の各処理が再度実行される。なお、この演算処理では、図6〜13における描画対象基板Pを、図14に示すように割付対象基板F3の最左端が描画対象基板の最左端PL’かつ割付対象基板F7の最右端が描画対象基板の最右端PR’であるような描画対象基板P’に定義し直した上で実行する。
図3のステップS101において、描画対象基板P’の面上において相対移動方向に直交する方向に並んで存在する未割付の割付対象領域F3、F6およびF7のうち、最左端に位置する割付対象領域F3を、最左端の安定照射領域R1に割り付ける。以下、割付対象領域F3、F6およびF7が安定照射領域内に位置することができる描画対象領域P’の暫定設置範囲の算出処理(すなわち図3のステップS102における処理)を、描画対象基板P’の相対移動方向に直交する方向の一方から順に、すなわち割付対象領域F3、F6およびF7の順に、実行していく。
まず、図14を参照して説明するように、割付対象領域F3が安定照射領域内に位置することができる、相対移動方向に直交する方向についての描画対象基板P’の暫定設置範囲を算出する。描画対象基板P’が、図14(a)に示すように割付対象領域F3の最左端が安定照射領域R1の最左端に位置する場合(換言すれば描画対象基板P’の最左端PL’の座標が「0」)から、図14(b)に示すように割付対象領域F3の最右端が安定照射領域R3の最右端に位置する場合(換言すれば描画対象基板Pの最左端PL’の座標が「45」)までの間に存在すれば、割付対象領域F3は安定照射領域R1内に位置することができる。以上より、割付対象領域F3が安定照射領域R1内に位置することができるという要件を満たす描画対象基板P’の暫定設置範囲は、「0〜45」となる。
続いて、図15を参照して説明するように、割付対象領域F3の相対移動方向に直交する方向に隣接する割付対象領域F6が安定照射領域内に位置することができる、相対移動方向に直交する方向についての描画対象基板P’の暫定設置範囲を算出する。この割付対象領域F6が安定照射領域内に位置することができる描画対象基板P’の暫定設置範囲は、図14を参照して既に説明した割付対象領域F3が安定照射領域R1内に位置することができるという要件も満たす必要があるので、先に算出した描画対象基板P’の暫定設置範囲「0〜45」の範囲内で、算出するべきである。すなわち、描画対象基板P’が、図15(a)に示すように割付対象領域F6の最左端が安定照射領域R2の最左端に位置する場合(換言すれば描画対象基板P’の最左端PL’の座標が「15」)から、図15(b)に示すように割付対象領域F3の最右端が安定照射領域R1の最右端に位置する場合(換言すれば描画対象基板P’の最左端PL’の座標が「45」)までの間に存在すれば、割付対象領域F6は安定照射領域R2内に位置することができ、なおかつ、割付対象領域F3は安定照射領域R1内に位置することができる。以上より、割付対象領域F6が安定照射領域R2内に位置することができるという要件を満たす描画対象基板P’の暫定設置範囲は、「15〜45」となる。
次いで、図16を参照して説明するように、割付対象領域F6の相対移動方向に直交する方向に隣接する割付対象領域F7が安定照射領域内に位置することができる、相対移動方向に直交する方向についての描画対象基板P’の暫定設置範囲を算出する。この割付対象領域F7が安定照射領域内に位置することができる描画対象基板Pの暫定設置範囲は、図14および15を参照して既に説明した割付対象領域F3が安定照射領域R1内に、割付対象領域F6が安定照射領域R2内に、それぞれ位置することができるという要件も満たす必要があるので、先に算出した描画対象基板P’の暫定設置範囲「15〜45」の範囲内で、算出するべきである。すなわち、描画対象基板P’が、図16(a)に示すように割付対象領域F6の最左端が安定照射領域R2の最左端に位置する場合(換言すれば描画対象基板P’の最左端PL’の座標が「15」)から、図16(b)に示すように割付対象領域F7の最右端が安定照射領域R2の最右端に位置する場合(換言すれば描画対象基板P’の最左端PL’の座標が「35」)までの間に存在すれば、割付対象領域F7は安定照射領域R2内に位置することができ、なおかつ、割付対象領域F3は安定照射領域R1内に、割付対象領域F6は安定照射領域R2内に、それぞれ位置することができる。以上より、割付対象領域F7が安定照射領域R2内に位置することができるという要件を満たす描画対象基板P’の暫定設置範囲は、「15〜35」の範囲内に位置するものとなる。
以上より、割付対象領域F3、F6、およびF7の全てについて、図3のステップS102における算出処理が完了して描画対象基板P’の最終的な暫定設定範囲として「15〜35」という範囲が求まるので、図3のステップS103において、この「15〜35」という範囲を、描画対象基板P’の相対移動方向に直交する方向についての設置可能範囲として決定する。描画対象基板P’を設置可能範囲「15〜35」の範囲内に設置すれば、割付対象領域F3は安定照射領域R1内に位置し、割付対象領域F6およびF7は安定照射領域R2内に位置する。そこで、描画対象基板P’を設置可能範囲「15〜35」の範囲内に設置したときに、いずれかの安定照射領域内に位置する割付対象領域F3、F6およびF7について露光を行う。
なお、本具体例には当てはまらないが、この段階においても、未割付けの割付対象領域が未だ存在しているのであれば、当該未割付けの割付対象領域については、いずれの安定照射領域内にも位置していないのでこの段階では露光を行なわず、相対移動方向に直交する方向に露光対象基板P’を再度ずらした上で、図3のステップS102における算出処理を再度実行することになる。すなわち、図3のS100において、未割付けの割付対象領域があると判定された上で、ステップS101〜S103の各処理が再度実行されることになる。
以上説明した、ステップS100〜S103を未割付の割付対象領域が存在しなくなるまで実行することにより、割付対象領域全てについて安定照射領域内に位置させることができる描画対象基板の設置位置が画定する。そして、このように画定した設置位置で描画対象基板上の当該設置位置に対応する割付対象領域について露光すれば、描画対象基板の面上に解像不良が生じることはない。なお、描画処理に必要なパターンデータは描画対象基板の設置位置に応じて予め補正しておく必要があり、この補正後のパターンデータを、直接描画装置の制御部を介して各ディジタルマイクロミラーデバイスに供給し、描画処理を行うべきである。また、この描画処理は、上記算出処理により描画対象基板の設置位置が全ての割付対象領域について算出された後に一括して実行してもよく、あるいは、上記算出処理により描画対象基板の設置位置が割付対象領域ごとに算出される度に分割して実行してもよい。
図17は、描画対象物上の安定照射領域内に対してのみ光を照射して描画パターンを形成する直接描画装置における描画方法により生じた描画パターンの位置ずれを例示する図である。上述した描画方法によれば、描画対象基板上に解像不良が生じることのない描画処理を低コストで実現することができる。この描画方法では、描画対象物を、必要に応じて当該描画対象物の相対移動方向(すなわち走査方向)に直交する方向にずらし、あらためて描画処理を行っているので、異なる描画処理が実行される領域の境界付近において、描画パターンに位置ずれが生じる可能性がある。図示の例では、高密度の描画パターンを形成すべき領域である微細パターン領域A内に形成された描画パターンと、微細パターン領域Aの周囲にある高密度の描画パターンを形成する必要のない領域B(以下、単に「周囲の領域」と称する。)内に形成された描画パターンと、では別の描画処理が実行されるので、これら領域の境界付近に位置ずれが生じている。
本発明はこのような位置ずれを抑制するためになされたものであり、すなわち、上述した描画方法において、高密度の描画パターンを形成すべき領域について露光する場合と、高密度の描画パターンを形成する必要のない領域について露光する場合とで光の照射の仕方が異なるようにしたものである。
図18は、本発明による描画方法を示すフローチャートである。本発明による描画方法は、生成ステップS101と、第1の照射ステップS102と、第2の照射ステップS103とを備える。
生成ステップS101においては、各空間光変調素子が光を照射して所望の描画パターンを当該描画対象物上に形成するための当該描画パターンに対応するパターンデータをコンピュータが生成する。
第1の照射ステップS102においては、描画対象物上において周囲の領域に比べて高密度の描画パターンを形成すべき領域に各空間光変調素子が光を照射する場合に、安定照射領域の、上記相対移動方向に直交する方向の両端に付加された描画対象物上のマージン領域に対し、各空間光変調素子がパターンデータに基づいて光を照射する。
第2の照射ステップS103においては、当該周囲の領域に各空間光変調素子が光を照射する場合に、安定照射領域内において当該マージン領域とオーバーラップすることになるオーバーラップ領域に対し、各空間光変調素子が光を照射する。
ここで、生成ステップS101においては、描画パターンを形成するのに必要な光の照射量が得られるよう、マージン領域およびオーバーラップ領域に対して各空間光変調素子に光を照射させるパターンデータが生成される。なお、第1の照射ステップS102と第2の照射ステップS103との処理の順番を入れ換えて、第2の照射ステップS103を第1の照射ステップの先に実行してもよい。
本発明による描画方法をさらに具体的に説明すると次のとおりである。
直接描画装置においては、描画すべきパターンに対応したパターンデータを予め作成しておく必要がある。各空間光変調素子が微細パターン領域に光を照射するときには各空間光変調素子が光を照射する安定照射領域内には微細パターン領域が位置する。本発明では、このときの安定照射領域の、描画対象基板の相対移動方向に直交する方向の両端にマージン領域を付加し、そしてこの安定照射領域およびマージン領域を各空間光変調素子が光を照射する領域として確定するパターンデータを、コンピュータ等の演算処理装置で生成する。
図19は、本発明による描画処理におけるマージン領域について説明する図である。ここでは、図19(a)に示すような、描画対象基板上において周囲の領域に比べて高密度の描画パターンnを形成すべき微細パターン領域Aが、安定照射領域に位置する場合を例として取り上げる。図中、描画対象基板の相対移動方向を太字の矢印で示す。図19(a)に示すような微細パターン領域Aは、安定照射領域内に位置して光が照射される場合においては、図19(b)に示すようなマージン領域Mが、描画対象基板の相対移動方向に直交する方向の両端に付加される。この微細パターン領域およびマージン領域を各空間光変調素子が光を照射する領域として画定するパターンデータは、コンピュータ等の演算処理装置で生成する。直接露光装置では、当該パターンデータに基づいて、微細パターン領域およびマージン領域に各空間光変調素子からの光を照射し、描画パターンを形成する。このように、微細パターン領域Aが安定照射領域内に位置して光が照射される場合には、微細パターン領域のみならずマージン領域に対しても光が照射されることになる。
一方、高密度の描画パターンを形成する必要のない領域、すなわち微細パターン領域の周囲の領域に光を照射するときには、各空間光変調素子が光を照射する安定照射領域内には当該周囲の領域が位置する。しかしながら、マージン領域は、微細パターン領域の周囲の領域の一部にオーバーラップする領域(以下、単に「オーバーラップ領域」と称する。)である。すなわち、当該周囲の領域内の「オーバーラップ領域」は、当該周囲の領域に光を照射する描画処理の際だけでなく、微細パターン領域に光を照射する描画処理の際にも「マージン領域」として光が照射されるものであり、その意味で「マージン領域」と「オーバーラップ領域」とは一致した領域であるといえる。パターンデータにおいては、マージン領域内の描画パターンは、微細パターン領域内の高密度で配線された描画パターンを延長したものとなり、これにより、位置ずれの発生が抑制される。
描画対象基板への過剰な光の照射は結果として描画パターンの短絡等のエラーをもたらすので、描画対象基板上に描画パターンを形成するには、光の照射量は、短絡等のエラーが発生しない適度なものとする必要がある。このようなことから、本発明では、オーバーラップ領域内に位置する描画パターンを形成するのに必要な光の照射量が得られるよう、微細パターン領域に光を照射する描画処理において各空間光変調素子がマージン領域に照射する光と、当該微細パターン領域の周囲の領域に光を照射する描画処理において各空間光変調素子がオーバーラップ領域に照射する光とをそれぞれ調整する。このように、本発明では、高密度の描画パターンを形成すべき領域について露光する場合と、高密度の描画パターンを形成する必要のない領域について露光する場合とで光の照射の仕方が異なる。各描画処理における光の照射量の調整について、第1の実施例および第2の実施例として以下に説明する。
本発明の第1の実施例では、マージン領域に位置する描画パターンおよびオーバーラップ領域に位置する描画パターンについて、そのパターン幅が、設計上のパターン幅よりも細いものとなるようなパターンデータとし、当該パターンデータに基づいて描画処理を実行するものである。図20は、本発明の第1の実施例による各空間光変調素子の光の照射量の調整方法について説明する図である。
図20(a)に示すように、高密度の描画パターンを形成する必要のない領域B内、すなわち微細パターン領域の周囲の領域Bに含まれるオーバーラップ領域O(上述のようにマージン領域Mに一致する)内の描画パターンn”については、そのパターン幅が、設計上のパターン幅よりも細いものとなるようなパターンデータをコンピュータ等の演算処理装置により生成する。すなわち、周囲の領域Bに含まれるオーバーラップ領域O内の描画パターンn”のパターン幅は、当該周囲の領域Bの通常の描画パターンnのパターン幅よりも細い。例えば、描画パターンn”のパターン幅は、当該周囲の領域Bの通常の描画パターンnのパターン幅よりも片側で0.1μmすなわち両側で0.2μmほど細くする。図20(c)は、図20(a)に示された描画パターンの1つを示す拡大図である。
また、図20(b)に示すように、高密度の描画パターンを形成すべき微細パターン領域Aに付加されたマージン領域M(上述のようにオーバーラップ領域Oに一致する)内の描画パターンn’については、そのパターン幅が、設計上のパターン幅よりも細いものとなるようなパターンデータをコンピュータ等の演算処理装置により生成する。すなわち、微細パターン領域Aに付加されたマージン領域M内の描画パターンn’のパターン幅は、微細パターン領域Aの通常の描画パターンnのパターン幅よりも細い。例えば、描画パターンn’のパターン幅は、微細パターン領域Aの通常の描画パターンnのパターン幅よりも片側で0.1μmすなわち両側で0.2μmほど細くする。図20(d)は、図20(b)に示された描画パターンの1つを示す拡大図である。
そして、本発明の第1の実施例においては、上述のようにして生成されたパターンデータに基づいて、直接描画装置の各空間変調素子は光を照射する。図21は、本発明の第1の実施例による各空間光変調素子の光の照射量について例示する図である。図21(a)に示すように通常の描画パターンnのパターン幅よりも細くした描画パターンn’およびn”に対応するパターンデータに基づいて、各空間変調素子が単位面積当たりの照射量が一定の光を照射すると、図21(b)に示すように、パターン幅を細くした描画パターンn’およびn”は互いにオーバーラップしたオーバーラップ領域(すなわちマージン領域)内における単位面積当たりの光の照射量は増大し、現象としてはオーバー露光になるが、予めパターン幅を細く設定したパターンデータを用いたので、結果として設計上のパターン幅の太さに近い描画パターンを得ることができる。
本発明の第2の実施例は、上述の第1の実施例のようにパターン幅を細くはせず、通常の描画データのパターン幅のままとし、オーバーラップ領域への光の照射量とマージン領域への光の照射量との加算値が、オーバーラップ領域(すなわちマージン領域)内に位置する描画パターンを形成するのに必要な光の照射量に少なくとも達するよう、オーバーラップ領域への光の照射量およびマージン領域への光の照射量をそれぞれ調整するものであり、このようなパターンデータに基づいて描画処理を実行するものである。図22および23は、本発明の第2の実施例による各空間光変調素子の光の照射量の調整方法について説明する図である。なお、図23では、四角形の1マスで1つの露光スポットを表しており、黒い四角形は光を照射する露光スポットを表し、白い四角形は光を照射しない露光スポットを表す。
図22(a)に示すように、高密度の描画パターンを形成する必要のない領域B内すなわち微細パターン領域の周囲の領域B内に含まれるオーバーラップ領域O(上述のようにマージン領域Mに一致する)内の描画パターンn”については、そのパターン幅は、当該周囲の領域Bの通常の描画パターンnのパターン幅と同じである。
また、図22(b)に示すように、高密度の描画パターンを形成すべき微細パターン領域Aに付加されたマージン領域M(上述のようにオーバーラップ領域Oに一致する)内の描画パターンn’については、そのパターン幅は、微細パターン領域Aの通常の描画パターンnのパターン幅と同じである。
図23(a)は、周囲の領域B内に含まれるオーバーラップ領域Oに各空間光変調素子が光を照射するときの各空間光変調素子の発光の有無を例示しており、オーバーラップ領域Oにおいては、単位面積当たりの光の照射量が、相対移動方向に直交する方向に沿って安定照射領域の外方に向かって徐々に減少していくような、パターンデータが生成される。
図23(b)は、微細パターン領域Aに付加されたマージン領域Mに各空間光変調素子が光を照射するときの各空間光変調素子の発光の有無を例示しており、マージン領域Mにおいては、単位面積当たりの光の照射量が、相対移動方向に直交する方向に沿ってマージン領域Mの外方に向かって徐々に減少していくような、パターンデータが生成される。
なお、図23に示した空間光変調素子の発光の有無の分布はあくまでも一例であり、単位面積当たりの光の照射量が、オーバーラップ領域においては相対移動方向に直交する方向に沿って安定照射領域の外方に向かって徐々に減少していき、マージン領域においては相対移動方向に直交する方向に沿ってマージン領域の外方に向かって徐々に減少していくようなものであれば、その他の分布の仕方であってもよい。
そして、本発明の第2の実施例においては、上述のようにして生成されたパターンデータに基づいて、直接描画装置の各空間変調素子は光を照射する。図24は、本発明の第2の実施例による各空間光変調素子の光の照射量について例示する図である。図24(a)に示すように、単位面積当たりの光の照射量が、オーバーラップ領域に対しては相対移動方向に直交する方向に沿って安定照射領域の外方に向かって徐々に減少していき、マージン領域に対しては相対移動方向に直交する方向に沿ってマージン領域Mの外方に向かって徐々に減少していくパターンデータに基づいて、各空間変調素子が光を照射すると、図24(b)に示すように、描画パターンn’およびn”は互いにオーバーラップしたオーバーラップ領域(すなわちマージン領域)内における単位面積当たりの光の照射量は、描画パターンnを形成することができる光の照射量に達する。
なお、上述の実施例では、半導体パッケージのような、複数の個片が描画対象基板に面付けされ、かつ個片の一部に露光ムラが解像に影響するほどの微細パターンを含む場合について説明した。特に、本発明は、微細パターンではない特定の領域を含む個片に対しても適用することもできる。また、ディジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を用いた直接描画装置以外、例えばLCDアレイなどの空間光変調素子を用いて露光する描画装置に適用することもできる。また、上述の実施例では、マージン領域を、安定照射領域の、描画対象基板の相対移動方向に直交する方向の両端に付加したが、安定照射領域の、描画対象基板の相対移動方向の両端に付加してもよい。
上述した本発明の実施例による描画処理は、直接描画装置本体とこれを制御するためのコンピュータなどの演算処理装置とを用いて実現される。図25は、記録媒体に格納されたコンピュータプログラムに基づいて動作する本発明の実施例による描画処理を説明する原理ブロック図である。
本発明の実施例による描画処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムは、図25に示すように、記憶媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM等の外部記憶媒体)110に格納されており、例えば、次に説明するような構成によるコンピュータにインストールされて直接描画装置の制御部として動作する。
CPU111は、直接描画装置の制御部全体を制御する。このCPU111に、バス112を介してROM113、RAM114、HD(ハードディスク装置)115、マウスやキーボード等の入力装置116、外部記憶媒体ドライブ装置117およびLCD、CRT、プラズマディスプレイ、有機EL等の表示装置118が接続されている。CPU111の制御プログラムはROM113に格納されている。
本発明による描画処理を実行するプログラム(描画処理プログラム)は、記憶媒体110からHD115にインストール(記憶)される。また、RAM114には、描画処理をCPU111が実行する際の作業領域や、描画処理処理を実行するプログラムの一部が記憶される領域が確保されている。また、HD115には、入力データ、最終データ、さらにOS(オペレーティングシステム)等が予め記憶される。
まず、コンピュータの電源を投入すると、CPU111がROM113から制御プログラムを読み出し、さらにHD115からOSを読み込み、OSを起動させる。これによりコンピュータは描画処理プログラムを記憶媒体110からインストール可能な状態となる。
次に、記憶媒体110を外部記憶媒体ドライブ装置117に装着し、入力装置116から制御コマンドをCPU111に入力し、記憶媒体110に格納された描画処理プログラムを読み取ってHD115等に記憶する。つまり描画処理プログラムがコンピュータにインストールされる。
その後は、描画処理プログラムを起動させると、コンピュータは直接描画装置の制御部として動作する。オペレータは、表示装置118に表示される例えば対話形式による作業内容と手順に従って、入力装置116を操作することで、上述した描画処理を実行することができる。処理の結果得られた「割付対象領域ごとの、相対移動方向に直交する方向についての描画対象基板の設置位置に関するデータ」は、例えば、HD115に記憶しておいて後日利用できるようにしたり、あるいは、処理結果を表示装置118に視覚的に表示するのに用いてもよい。
なお、図25のコンピュータでは、記憶媒体110に記憶されたプログラムをHD115にインストールするようにしたが、これに限らず、LAN等の情報伝送媒体を介して、コンピュータにインストールされてもよいし、コンピュータに内蔵のHD115に予めインストールされておいてもよい。