JP4873681B2 - デュアルマグネトロンスパッタリング装置及び薄膜体製造方法 - Google Patents

デュアルマグネトロンスパッタリング装置及び薄膜体製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、薄膜の形成(成膜、デポジション)や薄膜へのパターン形成(パターニング、エッチング)あるいは各種材料の表面改質等に用いられるマグネトロンスパッタリング装置およびこの装置を適用することによって生成される高機能性材料薄膜体の製造方法に関する。詳しくは、本発明は、低温成膜、高速成膜を両立させることができるデュアル形式のマグネトロンスパッタリング装置と、この装置を特定のスパッタリング条件下で使用することから構成されてなる、高機能性材料薄膜体の製造方法とこの製造方法によって得られてなる高機能性材料薄膜体に関する。さらに詳しくは、本発明は、高温加熱下でないと生成が難しい光触媒特性を有する二酸化チタンの薄膜体を含むものであり、その薄膜体を、熱可塑性フィルムのような低温加熱下でないとスパッタリング成膜することが出来ない材料を基材として用いた場合でも成膜可能な、高機能性材料薄膜体の製造方法と、この製造方法によって得られてなる高い配向性を有した高機能性材料薄膜体に関する。
スパッタリング装置においてマグネトロンは、ターゲット(成膜に使用する原料物質、以下、ターゲットという。)を保持し、磁場を用いてターゲット表面近傍にプラズマを局在せしめ、ターゲットの蒸気を発せしめる機構を有する電極をいう。スパッタリングによってターゲットは蒸発し、侵食、消耗するが、本発明においては、ターゲットの初期の厚み(たとえば10ミリメートル)に対し、ターゲットを最大限使用した状態(最も侵食された領域の厚みが初期値10ミリメートル対して2ミリメートル程度となった状態)において、ターゲット厚みが初期値のうち80パーセント以下となる領域(この場合厚み8ミリメートル以下の領域)をターゲットのエロージョン領域という。
スパッタリングによって、エロージョン領域はターゲット表面から下方へと進行する。このエロージョン進行方向とは逆の上方領域、すなわち、エロージョン領域をターゲットの表面から上方へ投影した3次元空間領域をエロージョン領域垂直方向延長領域という。
また、デュアルマグネトロンスパッタリング装置は二基のマグネトロン電極を備え、各種波形の電力を投入してスパッタリング成膜を行うスパッタリング装置を指す。代表的には、ドイツフラウンホーファー研究所において HYPERLINK "http://www.fep.fhg.de/)
が開発したマグネトロンスパッタリング装置に多用されているスパッタ陰極表面に取り付ける部品の名称であり" 設計・製作・販売されている一連の高速化を特徴とするスパッタリング装置を含むものである。この装置の特徴は、スパッタリング成膜操作を高速で能率よく実施することができる。
スパッタリングするためには陰極面近傍にプラズマを局在させる必要があるが、そのために用いる磁場配置には、バランス型とアンバランス型が知られている。そのうち、バランス型の磁場配置は、設定された複数の永久磁石のN極から発する磁束がほぼ全て、磁石のS極に収束するように各磁石の強度を調整して、閉じた磁束が形成され、この閉じた磁束によりプラズマをターゲット表面近傍に強く局在させる磁場の設定方式を言う。
これに対し、アンバランス型は、磁石のN極から発する磁束のすべてがS極には戻らず、一部の磁束が空間に開放されるような磁束の分布を示すように、磁石強度を調整した磁場の設定方式を言う。
両者は、アンバランス型の磁場の設定方式の方が、バランス型の磁場の設定方式に比べて発生するプラズマが、ターゲット表面近傍に集中局在されることなく、装置空間内に比
較的広がった状態が現出される点で異なっている(非特許文献1参照)。
図1に示す装置は、従来のデュアル形式に設定したマグネトロンスパッタリング装置である。マグネトロン(1)が2台、ターゲット(2)に対して向き合い、横一列に並列し、ターゲット(2)の表面近傍にスパッタリングプラズマを局在させるための磁束線(3)が、N極から発してS極で終端した閉じた形式のバランス型の磁束配置が採用され、2台の各マグネトロンの各ターゲット(2)、(2)が、同一の平面上に位置するように設定されている。
これら2基のマグネトロン(1)の間に各種波形・周波数の交番電力を印加してスパッタリングすることによりターゲット(2)から原料の蒸気(6)が装置空間内に放出され、基板(5)上に所望の薄膜が単一の場合よりも高速で形成される。
しかしながら、この従来のデュアルマグネトロンスパッタリング装置では、基板温度を低くして成膜を行なおうとしても、典型的には無加熱に保ったままスパッタリング成膜しようとしても、結晶性の良い薄膜を得ることが難しかった。例えば、無加熱状態で基板に結晶化した光触媒活性を有する酸化チタン薄膜を得ようとしても、得ることができなかった。このため従来のデュアルマグネトロンスパッタリング法においてはポリエチレンテレフタレート樹脂に代表されるようなプラスチック等の耐熱性がガラス等に比較して著しく劣る基板上に光触媒活性を有する酸化チタン薄膜を得ようとして、基板の材質上の制約から無加熱成膜を行なおうとしても、実施することが不可能であった。
デュアルマグネトロンスパッタリング法の特徴は、上述したように成膜速度が高いことが上げられるが、前記二酸化チタンの成膜操作を行おうとして、基板を加熱して成膜条件を適した条件に設定しても、堆積速度を毎分20ナノメートル以上とすると、得られる二酸化チタン膜は、二酸化チタン本来の特徴である光触媒活性を有効に発現することが出来ないことが分かった。生成膜として前記機能を発現する二酸化チタンを得るためには該装置の特徴である成膜速度を落として行わざるを得ず、デュアル型装置本来の高速成膜を生かすことができなかった。
このような状況に鑑み、本発明者らにおいては鋭意研究を重ねた結果、上記の無加熱基板上に適用困難であるといった問題、高速で成膜すると生成膜の品質の劣化を伴うといった問題は、装置内に形成されたプラズマ中の活性な領域の有無に深く関係し、原料蒸気が基板までに届く間にプラズマ中の活性な領域を通過したかどうかによって影響されることを知見した。すなわち、プラズマ中の活性な領域を広げること、原料蒸気がプラズマ中の活性な領域を通過して基板に到達することが重要であることを見いだした。
このような活性領域にかかる事項は、以下詳述するように従来のデュアル形式のマグネトロンスパッタリング装置による成膜実験を積み重ね、データを分析した結果知見したものである。すなわち、従来のデュアルマグネトロンスパッタリング装置において、成膜結果は、基板上の位置によって支配され、図1中(7)で示される狭い領域で良い結果が得られていることを知見した。その原因を究明した結果、プラズマの最も活性な領域は、並列した2基のマグネトロンの間の領域(7)において存在し、この活性領域で良い成膜が得られることを突き止めた。
プラズマ中で従来のデュアルマグネトロンスパッタリング装置においては2台のマグネトロン(1)の原料ターゲット(2)の表面近傍にスパッタリングプラズマを局在させるために用いる磁束線(3)の配置設計は、上記図1でも示したように閉ざされたバランス型方式が採用されており、かつ2台のマグネトロンは、その原料ターゲット(2)の表面の延長面がほぼ同一の平面上に位置するように配置設計されている(図1参照)ため、原
料蒸気の大部分はこのプラズマ中で最も活性な領域で活性化されることなく基板表面に到達することによるものと考えられる。このように考えることによって、成膜結果が位置的に支配されている現象を説明することが出来る。
このため従来のデュアルマグネトロン装置においては、原料蒸気の活性化(なお、原料蒸気の活性化とは、中性の原料粒子がプラズマ中で化学反応性に富むイオンやラジカルに変化することをいい、活性化した原料は薄膜の低温結晶化等に有効であることは諸文献に記載されている。例えば、非特許文献2参照のこと)が十分になされているとはいえず、低温域(無加熱)あるいは高成膜速度において成膜すると、例えば二酸化チタンを例にすると、二酸化チタン結晶が本来有する光触媒活性を有さない二酸化チタン膜しか得ることができないといった事態が生じていた。
URL:"http://www.kobelco.co.jp/p109/pvd/ubms.htm" Glow Discharge Processes,p.203,Chapman,John Willey & Sons,1980.
本発明は、上記したように従来のデュアルマグネトロンスパッタリング装置においては、基板の加熱温度を低く、たとえば無加熱状態で運転した場合、結晶性の良い薄膜を得ることができず、そのためたとえばポリエチレンテレフタレート樹脂に代表されるプラスチック等の耐熱性の低い基板材料上に十分な結晶性および性能を有する光触媒酸化チタン結晶薄膜を得ることができないといった問題、また、たとえ基板温度を十分高くたとえば数百℃に保った状態においても10ナノメートル毎分程度以上の高成膜速度の条件下ではやはり十分な結晶性および性能を有する光触媒酸化チタン結晶薄膜を得ることができないといった2つの大きな問題があったところ、これらの問題を解決しようというものである。
そのため本発明者らにおいては、鋭意研究した結果、これらの問題は、前示したように装置内の活性領域に深く関係していることを見いだしたものである。使用する基板材料に対応して、低いプロセス温度(基板温度)においてもよりよい結晶・物性を得るためには原料蒸気をプラズマ中において活性化(イオン化、ラジカル化等)することが有効であることは前述の非特許文献2にも示されている。本発明者らにおいては、鋭意研究の結果、デュアルマグネトロンスパッタリング装置内においては2基のマグネトロン(1)のほぼ中間の比較的狭い領域にプラズマの活性の高くなる領域(7)が形成されることを突き止めた(図1参照)。この知見を基に、さらに研究した結果、プラズマ中における原料蒸気の活性化がさらに有効に達成されるためには、以下に説明するようにいくつかの条件・手段があること、活性化は、これらの条件・手段が相俟って達成することができることを見出した。
その第一の手段・条件は2基のマグネトロン(1)を図2に示したようにお互いに内側に傾斜させ、それぞれのマグネトロン(1)からの原料の主たる流れ(6)が基板(5)上でほぼ合流するように配置することである。このように傾斜させて配置することによって2基のマグネトロン(1)から方向性を持って放出される原料蒸気の主たる流れ(6)を有効にプラズマ中の活性の高くなっている領域(7)を通過させることができる(図2)。これに対して従来のデュアルマグネトロンスパッタリング法においては(図1参照)、装置設計の容易さも手伝って2基のマグネトロン(1)はお互いに傾斜することなく配置されることが圧倒的に多かった。この場合2基のマグネトロン(1)から方向性を持って放出される原料蒸気の主たる流れ(6)は2基のマグネトロン(1)のほぼ中間の比較的狭い領域にプラズマの活性の高くなる領域(7)をほとんど通過することなく基板(5)へ到達するため有効に活性化を受けることがなく、低温・高速成膜には不利であった。
なお、装置の形状等からたまたま2基のマグネトロン(1)がお互いに内側に傾斜した配置を取っているデュアルマグネトロン装置も散見されるが、これらは残念ながら2基のマグネトロン(1)のほぼ中間の比較的狭い(数センチ四方程度)プラズマの活性の高くなる領域(7)の正確な位置の把握、および2基のマグネトロン(1)から方向性を持って放出される原料蒸気の主たる流れ(6)を有効にプラズマ中の活性の高くなっている領域(7)を通過させるという設計思想をもって成されたものではなかったため有効に作用しないものであり、薄膜の低温・高速形成を確実に実行し、実現することはできなかった。
これに対して、本発明は、本来この2基のマグネトロン(1)を単純にお互い傾斜したものではなく、その傾斜角は、活性位置の正確な把握、および原料蒸気の活性位置を経由しての基板への到達、という技術思想を含んでいる点で重要であり、前示従来の単純な傾斜に基づいたものとは基本的設計思想を異にしていることを理解するべきである。また当然ながらこの傾斜角の範囲は、装置の大きさ、形状、基板(5)とマグネトロン(1)の距離、2基のマグネトロン(1)同士の距離等の装置パラメーターの影響を大きく受けるため単に一様に距離を定める等一義的に限定することは難しく、個々の装置に関して上記の思想から最適化されるべきものである。
しかしながら最も一般的なデュアルマグネトロンスパッタリング装置の場合最適な値は二つのマグネトロン電極のなす角度が90°プラスマイナス45°の間に入る。特殊な場合は90°プラスマイナス70°程度の範囲で最適化する必要もありうる。このように2基のマグネトロンをお互いに向き合うように内側に傾斜させ、それぞれのマグネトロン(1)からの原料の主たる流れ(6)が基板(5)上でほぼ合流するように配置することはさらにプラズマ中の活性の高くなっている領域(7)の領域を広げ、かつその活性を向上させる作用も有していることを知見した。
なお、各マグネトロン間の角度および基板(5)とマグネトロン(1)の距離、2基のマグネトロン(1)同士の距離等の装置パラメーター等は、装置によって異なるが、これを網羅する形で上記本発明の構成手段を図示すると図5のようになる。2つのマグネトロン(1)の各原料ターゲット表面(2)の延長線の成す角度を、160〜20°、好ましくは160〜70℃に設定し、かつ2つの原料の表面に形成されるエロージョン領域(9)の垂直方向延長領域(10)の交差領域のうち最もマグネトロンとの距離が近い領域(11)に薄膜形成をもくろむ基板表面(5)、あるいはその一部が存在するようにデュアルマグネトロン装置を構成する。
上記に示したような設計思想に基づきマグネトロンと基板の位置関係を決定する本発明の特徴は、低い温度で高品位な結晶化薄膜を得ることに有効であることのみならず、大量生産のために必須となるスパッタリング成膜の連続処理との整合性が非常に良いことがあげられる。
すなわち、図2(あるいは図5)において基板を水平方向に(たとえば図面の左から右へ)搬送する機構をスパッタリング装置に組み込むことにより、容易に基板への連続成膜処理を実現することができる。
第二の手段・条件は、2基のマグネトロン(1)のうちの1基あるいは両方の原料ターゲット(2)表面近傍にプラズマを局在させるための磁束線(8)アンバランス型の配置に変更し、プラズマの原料ターゲット表面への局在性を緩和することが有効であることを知見した。プラズマの原料ターゲット表面への局在性が緩和されることにより、プラズマ(図示外)は基板(5)方向へ拡散する傾向を強める。その結果としてプラズマ中の活性
が高くなる領域(7)が広げられ、より広い領域の原料蒸気の活性化が促進されるため低温・高成膜速度の成膜が可能になると考えられる。
この場合の磁束配置をどれぐらいアンバランス(N極から発する磁束のすべてがS極には戻らず、一部の磁束が空間に開放されるような磁束の分布を示すように、磁石強度を調整する)にするかには最適値が存在し、アンバランスの度合いをあげれば良いというものではない。まずアンバランス型の磁場配置を取ることは原料ターゲット表面近傍のプラズマ密度を下げる方向に働き、結果として成膜速度が低下する。当然成膜速度を過度に下げてしまうことは意味がなく、適正な成膜速度との兼ね合いでも磁束のアンバランスの度合いには制限がある。
また大きく磁束配置を変更するとプラズマの分布も大きく変化することがあり、逆にプラズマ中の活性が高くなる領域が小さくなったり、消滅したりすることもありうるので注意が必要である。特に限定するわけではなく、個々の場合、装置において磁束のアンバランスの程度は最適化されるべきで、従来型アンバランス設計を採用してもよいが、好ましくは、本発明者らによって先に提案され、特許出願された磁場設計(特願2004−203156として出願中)を採用してもよく、本発明はこの先行技術による態様によることを含むものである。
この2基のマグネトロン(1)のうちの1基あるいは両方の原料ターゲット(2)表面近傍にプラズマを局在させるための磁束線(8)をアンバランス型の配置に変更し、プラズマの原料ターゲット表面への局在性を緩和することはプラズマの活性の高くなる領域(7)の活性をさらに上昇させる作用とともに、その位置を変化させる作用があり、特に基板とマグネトロンの距離の変更が困難であるがその調整が必要であるような場合に非常に有効である。
第三の手段・条件は、スパッタリングガスとして用いられる希ガスを2種以上混合して用いることである。スパッタリングにおいて原料ターゲットから運動量交換により原料蒸気を発生させるために希ガス、特にアルゴンガスが圧倒的に広く用いられている。このスパッタリングガスの役割は運動量交換により原料ターゲット表面から効率よく原料蒸気をたたき出すこと、および薄膜の中に取り込まれ不純物とならないこと、およびスパッタリングプラズマを維持することである。薄膜の中に取り込まれないという条件からヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンの各希ガスに限定され、安価性および原子量が多くの金属元素と比較的近く、運動量交換による原料蒸気発生効率が良いためほとんどアルゴンしか用いられていなかったと言っても過言ではない(非特許文献2参照)。さらに上記の原料を効率よく蒸気化し、プラズマを維持すればよいという観点からのみスパッタリングガスを選択基準によれば、単一成分のアルゴンガスで全く支障はなく、特にスパッタリングガスの設計、なかでも各種希ガスの混合が及ぼす効果についてはまったくといってよいほど検討されていなかった。
これに対して本発明者らはスパッタリングガスである希ガス原子は原子の種類に固有の励起準位(たとえばアルゴンガスはアルゴン原子の励起準位のエネルギーに相当するエネルギーをプラズマ中の電子やその他の粒子とやり取りする)を有しており、活性度を含めたプラズマ全体の挙動はこれら励起準位を媒介として決定されていくことに着目した。すなわちアルゴンガスだけからなるスパッタリングガスによるプラズマ中ではアルゴン原子の励起準位のみが存在し、この励起準位を媒介として上述のようにプラズマの活性度を含むプラズマ全体の挙動が決定される。これに対してヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンから2種以上を混合したガスをスパッタリングガスとして用いた場合、ヘリウムの励起準位、ネオンの励起準位、アルゴンの励起準位…と多様な励起準位が同時にプラズマ中に形成される。これら励起準位は当然エネルギー的に異なる位置にあ
り、この励起準位を媒介として上述のようにプラズマの活性度を含むプラズマ全体の挙動が決定される。このように希ガスを2種以上混合して用いることで単一希ガスの場合と比較してより低温・高成膜速度で薄膜が得られることを本発明者は確認している。このため希ガス混合の効果はプラズマの活性の上昇すなわち図2の活性が高くなる領域の活性をさらに高める作用があると考えられる。
以上述べたメカニズムは、現段階では必ずしも明らかでなく今後の研究に待たなければならないが、希ガスの混合から派生する励起準位の多様性が、プラズマと相互作用できるエネルギーの自由度の上昇につながり、アルゴンのみの放電の場合と比較してプラズマのエネルギーのやり取りに自由度が生まれ、効率が上がっている結果活性が上昇すると推測される。スパッタリングガスを混合することの効果は、混合する希ガスの種類が多いほど自由度が拡がり、効果的である。混合比に関しては特に大きな限定はなく、広い範囲が有効であるが、原子量が比較的小さいヘリウムとネオンを合わせた流量が全体の80パーセント程度以上となる場合は、成膜速度の低下が著しくなるため特殊な用途を除いては使いにくい。最適混合比を決定するにおいては、なるべく多くの希ガスを用い、全て等流量程度ずつ混合する状態を手始めに各ガスの流量を増減して最適化してゆくのがもっとも効率的である。このスパッタリングガスに希ガスの混合ガスを用いる手法はプラズマ中の活性の高くなっている領域(7)の活性をさらに上昇させる作用がある。
上記3つの条件・手段は、第1の手段単独でも有効であるが、これに第2または、第3の、ないしはすべてを組み合わせることが好ましく、すべてを含み組み合わせることによって各手段単独の場合に比し、優れた作用効果が奏せられ、高機能性薄膜を低温、高速で成膜することができる。
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものであり、前示課題を達成するための解決手段は、以下(1)ないし(9)に記載するとおりである。
(1) デュアルマグネトロンスパッタリング装置において、2つのマグネトロンの各原料保持面の延長線の成す角度を、160〜20℃の間の値に設定したことを特徴とする、デュアル形式のマグネトロンスパッタリング装置。
(2) 該マグネトロンがアンバランス型磁束配置を有するマグネトロンを用いることを特徴とした、前記(1)項に記載のデュアルマグネトロンスパッタリング装置。
(3) 使用される雰囲気ガスがヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンのうち少なくとも2種を用いることを特徴とした、前記(1)または(2)に記載のデュアルマグネトロンスパッタリング装置。
(4) デュアルマグネトロンスパッタリング装置を用いてなる成膜方法において、各マグネトロンをマグネトロンに保持されている各ターゲット面を基準として、各ターゲット面の延長線の成す角度を、160〜20℃の間の値に設定し、且つ各ターゲット表面に形成されるエロージョン領域の垂直方向延長領域の交差領域のうち最もマグネトロンとの距離が近い領域内に薄膜形成する基板表面あるいはその一部が位置するよう設定し、該基板上に薄膜体を生成させることを特徴とする、高機能性材料薄膜体の製造方法。
(5) 該デュアルマグネトロンスパッタリング装置が、アンバランス型磁束配置を有していることを特徴とする、前記(4)項に記載の高機能性材料薄膜体の製造方法。
(6) 使用される雰囲気がヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンのうち少なくとも2種を用いることを特徴とする、前記(4)または(5)項に記載の高機能性材料薄膜体の製造方法。
(7) 低温加熱、高速成膜速度で成膜する、前記(4)ないし(6)記載の何れか1項に記載する高機能性材料薄膜体の製造方法。
(8) 基板が有機重合体フィルム、あるいはガラスである、前記(4)または(7)記載の何れか1項に記載する高機能性材料薄膜体の製造方法。
(9) 基板が有機重合体フィルムの場合、ポリエチレンテレフタレート重合体フィルムである、(8)記載の高機能性材料薄膜体の製造方法。
(10) 機能性材料が、酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物から選ばれる1種または2種以上からなる無機化合物を含んでいる、前記(4)ないし(9)記載の何れか1項に記載の高機能性材料薄膜体の製造方法。
(11) 高機能性材料が、光触媒機能を有する二酸化チタンを主成分とした薄膜体である、前記(10)項に記載の高機能性材料薄膜体の製造方法。
(12) デュアルマグネトロンスパッタリング装置によって成膜されてなる機能性材料薄膜体であって、二つのマグネトロンを、マグネトロンに保持されているターゲット面を基準として、各ターゲット面の延長線の成す角度を160〜20°となるよう交差配置し、薄膜形成する基板表面を、各ターゲット表面に形成されるエロージョン領域の垂直方向延長交差領域内のマグネトロンに近い交差位置に臨ませてスパッタリング成膜して得られてなる、高い配向性を有した高機能性材料薄膜体。
(13) アンバランス型磁束配置を有するマグネトロンによって成膜された、前記(12)項に記載の高い配向性を有した高機能性材料薄膜体。
(14) スパッタリング雰囲気がヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンのうち少なくとも2種を用いて成膜された、前記(12)または(13)項に記載の高い配向性を有した高機能性材料薄膜体。
(15) 低温加熱、高速成膜速度で成膜された、前記(12)ないし(14)の何れか1項に記載の高い配向性を有した高機能性材料薄膜体。
(16) 有機重合体フィルム、あるいはガラス基板に成膜された、前記(12)または(15)の何れか1項に記載の高い配向性を有した高機能性材料薄膜体。
(17) 基板が有機重合体フィルムの場合、ポリエチレンテレフタレート重合体フィルムである、前記(16)項に記載の高い配向性を有した高機能性材料薄膜体。
(18) 高機能性材料が、酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物から選ばれる1種または2種以上からなる無機化合物である、前記(12)ないし(17)の何れか1項に記載の高い配向性を有した高機能性材料薄膜体。
(19) 高機能性材料が、光触媒機能を有する二酸化チタンを主成分とした薄膜体である、前記(18)項に記載の高い配向性を有した高機能性材料薄膜体。
本発明は、デュアルマグネトロンスパッタリング装置において、2つのマグネトロンの各原料保持面の延長線のなす角度を、特定の範囲に設定するという極めて簡単な配置設計をすることによって、また、この設計に加えて、雰囲気ガスあるいは陰極における磁束設計をアンバランス型とする事項を組み合わせることにより、2つのマグネトロンをその各原料保持面を同一平面、単に横一列に設定していたこれまでの装置設計に比し、活性領域が広がりターゲットからの原料蒸気は広く活性化されて、低プロセス温度の下でも、そして高速度での実施でも品質を損なうことなく成膜することができ、高い配向性を有する結晶質薄膜体をプラスチックからなる基板材料上に製作することを可能とする、優れた効果が奏せられる。
特に特筆すべきは、従来のデュアルマグネトロンスパッタリングはもとよりいかなるスパッタリング法においても実現不可能であった無加熱の基板上へ良好な光触媒活性を有する二酸化チタン多結晶薄膜を得ることが可能になったことが挙げられる。また特筆すべきは成膜速度であり、40ナノメートルという大量生産に十分な高速成膜において上記の薄膜の光触媒性能を実現しているところに大きな意味がある。得られている薄膜の結晶構造は光触媒活性が二酸化チタン材料中でも最も高いとされるアナターゼ型の結晶構造であり、かつ結晶の方位が結晶格子のc軸が基板表面に垂直に配向し、揃った結晶であり、これは得られた薄膜が無加熱で得られたものであるにもかかわらず優れた光触媒活性を有していることを裏付けるものであり、本発明の特段の効果であるといえる。
そしてさらに、本発明はポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等のプラスチックをはじめとする低耐熱性フィルム等の表面に光触媒活性を付与し、その表面に防曇・防汚表面、超親水表面等に代表される光触媒材料の物性を自在に付与することを実用的な生産性をもって初めて実現した技術である。さらに本技術は現状小型実験機において実証された段階であるが、スパッタリング法の大きな特徴としてスケールアップが非常に容易であるという点を考慮すれば、本発明は「光触媒活性を有するプラスチック材料」という建築用を代表とする巨大市場の扉を開くものといっても過言ではない。
上記のように従来不可能であった無加熱基板上に高成膜速度において光触媒活性二酸化チタン薄膜が形成されることは本発明の最も顕著な効果ではあるが、加熱した基板上に光触媒活性二酸化チタン薄膜の形成をもくろむ場合においても本発明の適用は極めて効果的であり、非常に結晶性の良く、光触媒活性の高い薄膜が得られる。これは従来のデュアルマグネトロン法においては、20ナノメートル毎分程度以上の高速成膜においては300℃程度の基板温度においてもほとんど結晶化せず、光触媒活性も微弱な薄膜しか得られていなかったことと比較すれば顕著な効果である。すなわち従来のガラス基板上などに数百℃の基板温度で形成され、光触媒ガラス等と称して販売されていた材料に関しても本発明の適用により飛躍的な性能向上が容易に達成できる。
さらに本発明は実施例で示したように酸化チタン材料の薄膜形成に顕著な効果を示したが、酸化チタン材料に限らず、低いプロセス温度でより良い結晶性・膜物性が求められており、スパッタリングにおいて薄膜形成可能な広範な薄膜材料に関して効果が期待できる。具体的には1000℃以上のプロセス温度が必須なアルファアルミナや他の材料の低温高速形成などにも有効である。
また本発明の特に第2、および第3の手段・条件、すなわち2基のマグネトロンのうちの1基あるいは両方にアンバランス型磁束線の配置を適用すること、およびスパッタリングガスとして用いられる希ガスを2種以上混合して用いることは非常に安価かつ容易であり、特に既存のデュアルマグネトロンスパッタリング装置に適用したり、また解除したりすることは少数の部品の付け外しだけという容易さであり、非常に適用しやすい発明であることも特筆すべきである。
以下本発明を、図面および実施例に基づいて説明するが、これらは本発明を説明するためのあくまで具体例であって、これによって本発明は限定されるものではない。
実施例1;
本実施例においては、デュアルマグネトロンスパッタリング装置としてはドイツフラウンホーファー研究所設計・製作によるRMS−200型マグネトロンを2基備えたMLC−200型デュアルマグネトロンスパッタリング装置を基本として用いた。図2に示したように2基のマグネトロン(1)をお互いに内側に各原料保持面の延長線の成す角度が90°となるように傾斜させ、それぞれのマグネトロン(1)からの原料の主たる流れ(6)が基板(5)上でほぼ合流するように配置した。この場合の基板中心から各原料ターゲット中心までの距離は20センチであった。
さらに2基のマグネトロン(1)の磁束配置をアンバランス型(8)に変更するためには、本発明者らの開発によるものであって、先の特許出願に係る特願2004−203156にも開示されたように、2基のRM−200型マグネトロン(1)の純正部品である非磁性ミドルポールカバー(図示外)をそれぞれ取り外し、室温で強磁性を示す鉄材で純正品と同一寸法に作成した室温強磁性ミドルポールカバー2個(図示外)をそれぞれ2基のRM−200型マグネトロン(1)の当該位置に装着して使用した。磁束(8)の収束の程度を最適化する際には、それ自体公知のミドルポールやその近傍の部品について、その大きさや形状、材料等を変更することで磁束を容易に微調整できることは、本発明者らにおいて提案し、開発した技術から明らかであり、これを適用することによって容易に最適化できる。なお、その詳細については、前述した特願2004−203156に開示されている。
さらに装置内にスパッタリングガスとして導入する希ガスにはアルゴン、クリプトン、ヘリウムをほぼ2:1:1の流量比となるように混合した混合希ガスを総流量が毎分80cc程度となり、装置内の圧力が0.5パスカル程度となるように導入した。各マグネトロン(1)にはチタン金属を原料ターゲット(2)として設置し、3キロワットのパルス電力を50kHzの周波数で各マグネトロン電極(1)に印加することでスパッタリングプラズマ(図示外)をチタン金属原料ターゲット表面近傍に発生させることによりスパッタリングを行った。酸素原料はガスとして各マグネトロン(1)の原料ターゲット表面近傍にそれぞれ毎分7cc程度の流量となるよう調節して導入した。基板(5)としては188マイクロメートルのフィルム厚を持つポリエチレンテレフタレート樹脂からなるフィルムを用い、コーティング等の成されていない純ポリエチレンテレフタレート面を用いた。また基板の加熱は実施せず、基板加熱用に設置されているヒーター(図示外)は動作させていない。上記成膜条件において20分間の成膜を実施したところ、800ナノメートル程度の膜厚の酸化チタン薄膜を得た。この場合の成膜の速度は40ナノメートル毎分という高速なものとなった。この薄膜のX線回折パターンを図3に示す。明瞭なTiO2アナターゼ構造の強い回折線が得られており、しかも特定の指数の回折線のみが強いことよりこのTiO2アナターゼ薄膜の結晶性が優れており、かつ結晶格子のc軸を基板表面に垂直に配向して成長していることがわかる。従来のデュアルマグネトロン法においては300℃に加熱したガラス基板上においてさえこれほど明瞭に結晶化した薄膜を得ることは盛んに研究されてはいたが達成されていなかった。また従来のデュアルマグネトロン法において作成された酸化チタン薄膜においては300℃に加熱したガラス基板上への成膜直後においてさえ光触媒活性は観測されず、成膜後500℃程度の熱処理を実施してようやく微弱な光触媒活性を得ているに過ぎなかった。これに対し、本発明を適用してポリエチレンテレフタレート基板上に作成したTiO2アナターゼ配向性結晶薄膜は無過熱の成膜実施直後から強い光触媒活性を示し、成膜後の熱処理は全く必要ない。本発明を適用してポリエチレンテレフタレート基板上に作成した直後、すなわち成膜後の熱処理を経ないTiO2アナターゼ配向性結晶薄膜の光触媒活性測定結果を図4に示す。当機構のロゴマークの形状のフォトマスクをTiO2アナターゼ配向性結晶薄膜表面に設置し、これらを0.1モル/リットルの硝酸銀水溶液中に浸し、200ワットのキセノンランプより光ファイバーで導いた紫外線を含む光線を上記水溶液中の試料に5分間照射した。紫外線が照射された領域は黒っぽく銀の薄膜が光触媒効果によって析出しており、紫外線が遮蔽されていた領域はTiO2アナターゼ配向性結晶薄膜表面がそのまま露出しており、結果白抜きのロゴが明瞭に見て取れる。ちなみに従来のデュアルマグネトロンスパッタリング法によって基板(5)を無加熱に保って作成し、熱処理を経ていない酸化チタン薄膜は上記の測定において全く光触媒活性を示さないことを付記する。
このように本発明の適用によって従来全く不可能であった無加熱基板上への光触媒結晶アナターゼ高配向薄膜を得ることが可能になった。この薄膜の光触媒活性は従来の手法で300℃程度の加熱を実施して形成した薄膜をも凌駕するものであった。すなわちより結晶化・高活性化に対して不利な低プロセス温度(無加熱)であるにも関わらず、従来よりも高性能な光触媒活性の高い結晶膜を得る手法を本発明の適用により確立できた。
成膜技術は、基幹技術としてますます進展し、重要性が増すことが予想される。これを考慮すると、低温・高速成膜を可能とする本発明提案によるデュアルマグネトロンスパッタリング装置の意義は、重要であり、今後大いに利用され、広く産業の発展に寄与するも
のと確信する。特に、本発明の実施例でも例示したように、従来のデュアルマグネトロンスパッタリングはもとよりいかなるスパッタリング法においても実現不可能であった無加熱の基板上へ良好な光触媒活性を有する配向性に優れた二酸化チタン多結晶薄膜を得ることを可能としたことは、それ自体格別の意義が認められ、特筆すべきことである。また、注目に値することは成膜速度であり、40ナノメートルという大量生産に十分な高速成膜において上記の薄膜の光触媒性能を実現しているところに大きな意味がある。得られている薄膜の結晶構造は光触媒活性が二酸化チタン材料中でも最も高いとされるアナターゼ型の結晶構造であり、かつ結晶の方位が結晶格子のc軸が基板表面に垂直に配向し、揃った結晶であり、これは得られた薄膜が無加熱で得られたものであるにもかかわらず優れた光触媒活性を有していることを裏付けるものである。本発明はポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等のプラスチックをはじめとする低耐熱性フィルム等の表面に光触媒活性を付与し、その表面に防曇・防汚表面、超親水表面等に代表される光触媒材料の物性を自在に付与することを実用的な生産性をもって初めて実現したもので、今後大いに利用され、巨大市場へと発展することが期待される。
従来のデュアルマグネトロンスパッタリング装置の模式図。 本発明を適用したデュアルマグネトロンスパッタリング装置の模式図。 本発明を適用して無過熱のポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム上に作成した二酸化チタン薄膜のX線回折パターン。 本発明を適用して無過熱のポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム上に形成した二酸化チタン薄膜の光触媒効果を利用して浮き上がらせたロゴマークの写真。 本発明のエロージョン領域の垂直方向延長領域と基板の配置関係を示す図。
符号の説明
(1)マグネトロン
(2)原料ターゲット
(3)バランス型磁束線
(4)シールド
(5)基板
(6)原料蒸気の主たる流れ
(7)活性が高くなる領域
(8)アンバランス型磁束線
(9)エロージョン領域
(10)エロージョン領域の垂直方向延長領域
(11)最もマグネトロンとの距離が近い(10)の交差領域

Claims (13)

  1. それぞれターゲットを有する2つのマグネトロンを設け、
    2つの前記ターゲットの表面から発する原料蒸気の流れが前記2つのマグネトロンの間に存在するプラズマの最も活性な領域を通るように前記2つのマグネトロンの向きを設定した、
    デュアルマグネトロンスパッタリング装置。
  2. 前記2つのターゲットの表面の夫々に形成されたエロージョン領域の垂直延長領域の交差領域のうち最も前記マグネトロンとの距離が近い領域内に薄膜形成する基板表面あるいはその一部を位置せしめた、請求項1に記載のデュアルマグネトロンスパッタリング装置。
  3. 前記マグネトロンがアンバランス型磁束配置を有するマグネトロンである、請求項1または2に記載のデュアルマグネトロンスパッタリング装置。
  4. 使用される雰囲気ガスとしてヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンのうち少なくとも2種を用いる、請求項1から3の何れかに記載のデュアルマグネトロンスパッタリング装置。
  5. それぞれターゲットを有する2つのマグネトロンを設け、
    2つの前記ターゲットの表面から発する原料蒸気の流れが前記2つのマグネトロンの間に存在するプラズマの最も活性な領域を通るように前記2つのマグネトロンの向きを設定し、
    前記原料蒸気の流れが前記プラズマの最も活性な領域を通過後に基板表面に薄膜体を生成させる、
    薄膜体製造方法。
  6. 前記ターゲットの各々の表面に形成されるエロージョン領域の垂直方向延長領域の交差領域のうち最もマグネトロンとの距離が近い領域内に薄膜形成する前記基板表面あるいはその一部が位置するよう設定し、前記基板上に前記薄膜体を生成させる、請求項5に記載の薄膜体製造方法。
  7. 前記マグネトロンがアンバランス型磁束配置を有している、請求項5または6に記載の薄膜体製造方法。
  8. 使用される雰囲気ガスとしてヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンのうち少なくとも2種を用いる、請求項5から7の何れかに記載の薄膜体製造方法。
  9. 低温加熱、高速成膜速度で成膜する、請求項5から8の何れかに記載の薄膜体製造方法。
  10. 基板が有機重合体フィルムあるいはガラスである、請求項5から9の何れかに記載の薄膜体製造方法。
  11. 前記基板がポリエチレンテレフタレート重合体フィルムである、請求項10に記載の薄膜体製造方法。
  12. 前記薄膜体が、酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物から選ばれる1種または2種以上からなる無機化合物を含んでいる、請求項5から11の何れかに記載の薄膜体製造方法。
  13. 前記薄膜体が光触媒機能を有する二酸化チタンを主成分とした薄膜体である、請求項12に記載の薄膜体製造方法。
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