JP4872851B2 - コネクタ - Google Patents
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Description
しかしながら、この押し戻し構造の場合、治具の差込みが深過ぎたときに、ハウジングの内部でアーム部が異常に変形することが懸念される。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、本係止位置にあるリテーナを、押し戻し力の付与によって仮係止位置へ戻す場合において、リテーナが異常変形するのを防止することを目的とする。
治具挿入口からハウジング内に差し込んだ治具でアーム部を押し、本係止位置のリテーナを仮係止位置側へ戻すと、リテーナが仮係止位置に到達したところで、治具が、規制部に当接することによってそれ以上の差込み動作を規制される。これにより、治具が過剰に差し込まれることに起因して、リテーナが異常変形することが防止される。
<請求項2の発明>
治具は、ハウジング内の規制部とハウジングの外面の規制面の2カ所によって確実に、差込み動作を規制される。
<請求項3の発明>
治具挿入孔から略T字形断面の治具を挿入すると、治具の一部がアーム部の延出端面に当接してリテーナを押す。そして、リテーナが仮係止位置に達すると、治具の別の部分が規制部に当接することにより、治具のそれ以上の差込み動作が規制される。
リテーナが仮係止位置にある状態で、アーム部における治具の押圧面が、治具の差込み方向において、規制部における治具の当接面よりも前方に位置する場合は、治具が差し込まれている途中で、治具におけるアーム部との当接部が規制部に引っ掛かり、リテーナが仮係止位置に到達する前に治具の差込み動作が規制されてしまう虞がある。
逆に、アーム部における治具の押圧面が規制部における治具の当接面よりも後方に位置する場合は、治具における規制部との当接部がアーム部を押してしまい、その結果、治具の差込み深さは正常であっても、リテーナが仮係止位置を超えて過剰に押し動かされてしまう虞がある。
その点、本願発明では、アーム部における治具の押圧面と、規制部における治具の当接面を、治具の差込み方向において互いに同じ位置となるように設定しているので、治具における規制部との当接部がアーム部に当接したとしても、リテーナを仮係止位置まで確実に移動させることができるとともに、仮係止位置を超えて過剰にリテーナを移動させる虞もない。
押込み操作部が、端子金具の挿入空間を構成する壁部の一部を兼ねるようにしたので、この壁部の厚さ分だけハウジングを小型化することが可能である。
<請求項6の発明>
リテーナにアーム部が2片形成されていても、治具挿入孔は1つだけとしたので、治具を治具挿入孔に差し込んでリテーナを仮係止位置へ移動させる作業が簡単である。また、治具は、リテーナを本係止位置に保持するための係止部を有する第1アーム部のみを押すので、治具からの押圧力を受ける位置から係止部までの距離が比較的短い。したがって、治具からの押圧力を受けたときに、リテーナに異常な変形を生じさせることなく、係止部をハウジングから解離させることができる。
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図11を参照して説明する。本実施形態のコネクタは、合成樹脂製のハウジング10と、ハウジング10内に挿入される複数の端子金具26と、ハウジング10に組み付けられる合成樹脂製のリテーナ30とを備えて構成されている。
ハウジング10は、ブロック状の端子保持部11と、この端子保持部11を包囲する略角筒状のフード部12とを一体形成したものであり、フード部12は、その前後方向における略中央位置において端子保持部11の外周に連なっている。端子保持部11内には、前後方向に貫通する形態の3室のキャビティ13C,13L,13R(本発明の構成要件である挿入空間)が、左右に並列して形成されている。各キャビティ13C,13L,13R内には、後方から端子金具26が挿入され、図示しない周知の係止手段によって端子金具26が抜止めされるようになっている。
第1孔部22は、前後方向に細長く、第1孔部22の下面はリブ16C,16L,16Rの上面(即ち、端子保持部11の下面であって、第1収容空間14の下面である)と同じ高さであるが、第1孔部22の上面は、第1収容空間14の上面よりも少し上方の位置に設定されている。また、第1孔部22の前端及び後端は、夫々、前後方向において第1収容空間14の前端及び後端とほぼ同じ位置にある。かかる第1孔部22は、端子保持部11の外面とフード部12の内面との間の嵌合空間24を介して、上記第1収容空間14と連通している。
第2孔部23は、第1孔部22の前後方向における略中央位置から下方(即ち、第1収容空間14と規制部17との並び方向と同じ方向)に延出しており、第2孔部23の下端は、規制部17の下面よりも下方に位置している。また、第2孔部23の開口形状(第1孔部22よりも下方の開口形状)は、略正方形をなしている。そして、この第2孔部23は、左右方向において規制部17の一部と対応するように開口している。さらに、フード部12の左外側面における治具挿入孔21よりも上方の領域(詳しくは、第1孔部22の上縁に沿った領域)は、治具40を当接させるための規制面25となっている。この規制面25は、規制部17の当接面18と同じく、左右方向に対して直角な平面となっている。
逆に、第1アーム部32の押圧面36が規制部17の当接面18よりも後方(左方)に位置する場合は、治具40の突当部44が第1アーム部32を押してしまい、その結果、治具40の差込み深さは正常であっても、リテーナ30が仮係止位置を超えて過剰に押し動かされてしまう虞がある。
その点、本実施形態では、第1アーム部32の押圧面36と、規制部17の当接面18を、治具40の差込み方向(左右方向)において互いに同じ位置となるように設定しているので、治具40における規制部17との当接部42である突当部44が第1アーム部32に当接したとしても、リテーナ30を仮係止位置まで確実に移動させることができるとともに、仮係止位置を超えて過剰にリテーナ30を移動させる虞もない。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)リテーナは、押込み操作部から2片のアーム部を片持ち状に延出させた形態に限定されず、本発明は、押込み操作部からアーム部が1片だけ片持ち状に延出する形態のリテーナにも適用できる。
(2)ハウジングの外面に規制面を形成せず、治具の差込み動作を、ハウジング内の規制部だけで行ってもよい。
(3)治具挿入孔は、2つのアーム部と別々に対応するように、2箇所に開口させてもよい。
(4)第1アーム部の押圧面は、アーム部の延出端面に限らず、アーム部の延出端よりも基端側(押込み操作部側)の位置に設定してもよい。
(5)治具挿入孔は開口形状は、略T字形に限らず、方形やI字形など、T字形以外の形状であってもよい。
(7)第1アーム部と第2アーム部のうち、第2アーム部のみを治具で押すようにしてもよく、第1アーム部と第2アーム部の両方を治具で押すようにしてもよい。
(8)押込み操作部が、端子金具が挿入されるキャビティを構成する壁部を兼ねない形態としてもよい。
(9)上記実施形態ではリテーナを左方からハウジングに組み付けたが、本発明によれば、ハウジングとリテーナを実施形態とは左右反対の形態として、リテーナを右方からハウジングに組み付けるようにしてもよい。
13R…キャビティ(挿入空間)
14…第1収容空間
17…規制部
18…当接面
20…挿入口
21…治具挿入孔
22…第1孔部
23…第2孔部
25…規制面
26…端子金具
30…リテーナ
31…押込み操作部
32…第1アーム部
33…第2アーム部
34…係止突部(係止部)
36…押圧面
37…抜止部
40…治具
42…当接部
Claims (6)
- 端子金具が挿入されるハウジングと、
押込み操作部からアーム部を延出させた形態であって、前記ハウジングに対し、前記アーム部を前記端子金具の挿入方向と交差する方向に挿入するようにして組み付けられるリテーナとを備え、
前記リテーナは、前記端子金具と非干渉となる仮係止位置と、前記仮係止位置よりも深く押し込まれた位置であって、挿入済みの前記端子金具に係止することでその端子金具を抜止めする本係止位置とに選択的に保持可能とされているコネクタにおいて、
前記ハウジングの外面における前記アーム部の挿入口と反対側の位置には、前記ハウジング内における前記アーム部の収容空間に連通する治具挿入孔が開口され、
前記ハウジング内には、前記治具挿入孔に差し込まれた治具で前記アーム部を押されて移動する前記リテーナが前記仮係止位置に到達したときに、前記治具を当接させることでその治具のそれ以上の差込み動作を規制する規制部が設けられていることを特徴とするコネクタ。 - 前記ハウジングの外面には、前記治具が前記リテーナを前記仮係止位置まで移動させたところで、前記治具を当接させることにより、前記治具のそれ以上の差込み動作を規制する規制面が形成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
- 前記アーム部が板状をなしていて、前記アーム部の延出端面に前記治具が当接されるようになっており、
前記規制部が、前記アーム部に対してその板面と直角な方向に並ぶように配置されており、
前記ハウジングの外面における前記治具挿入孔の開口形状が、前記アーム部の延出端面と対応するスリット状の第1孔部と、前記第1孔部に対して略直角に連なることで前記規制部と対応する第2孔部とから構成された略T字形をなしていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコネクタ。 - 前記リテーナが仮係止位置にある状態では、前記アーム部における前記治具の押圧面と、前記規制部における前記治具の当接面とは、前記治具の差込み方向において互いに同じ位置であって面一状に並ぶ形態であることを特徴とする請求項3記載のコネクタ。
- 前記端子金具の挿入空間を構成する壁部の一部が、前記アーム部の前記挿入口において前記ハウジングの外面に開口されており、
前記リテーナが本係止位置にある状態では、前記挿入空間を構成する壁部における前記ハウジングの外面への開口部が、前記押込み操作部によって覆い隠される構成としたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のコネクタ。 - 前記リテーナは、前記押込み操作部から第1と第2の2片の前記アーム部を延出させた形態であり、
前記第1アーム部は、前記ハウジングに係止することで前記リテーナを本係止位置に保持する係止部を有し、
前記第2アーム部は、前記端子金具に対して抜止め状態に係止する抜止部を有しており、
前記治具挿入孔が、前記第1アーム部と対応し且つ前記第2アーム部と非対応となるように1カ所だけに設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のコネクタ。
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