JP4872709B2 - 通信装置及びウェイト更新方法 - Google Patents
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Description
また、マルチアンテナ技術に関する用語として、MIMO(Multiple Input Multiple Output)がある。MIMOとは、通信用語として用いられる場合、送信側及び受信側両方が複数のアンテナを用いる通信方式を指すことが多いが、マルチアンテナ技術全般を指して使われることもある。
(1)空間ダイバーシチ(Spatial Diversity)
(2)合成利得(Coherent Gain)
(3)干渉波除去(Interference Mitigation)
(4)空間多重(Spatial Multiplexing)
前記合成利得は、受信側・送信側の各アンテナの信号に対して伝搬路の情報(振幅、位相の変化)を利用した重みをかけることで、希望方向からの受信電力と雑音の比を大きくすることである。
前記空間多重は、干渉波除去を応用して同時に複数の通信路を確立する方法である。一人のユーザが複数のアンテナから異なる信号を送信して通信容量を増やす方法と、複数のユーザが同時に通信を行って周波数利用効率を高める方法とがある。後者の方法は、SDMA(Space Division Multiple Access)と呼ばれる。
OFDM方式は、複数の搬送波(サブキャリア)を周波数軸上に多数配置するとともに、複数の搬送波を一部重ならせて周波数利用効率を上げたものである。OFDMは、地上波デジタル放送、無線LANなどの伝送方式に採用されている。
例えば、ウェイトは、マルチアンテナ技術において上記(2)の合成利得により、希望波方向からの受信電力と雑音電力の比を大きくして、希望波方向に強い指向性を向ける(ビームフォーミング)場合に用いられる。
なお、ビームフォーミングでは、希望波方向に強い指向性を向けるのに加えて、希望波以外の受信信号による影響を小さくすることもできる。
定常状態(伝搬係数に時間的に変化がない場合)においては、ある程度の回数以上のウェイトの更新を行うことで、ウェイトの計算結果が収束し、干渉信号や雑音信号の影響を小さくすることができる。
図16は、特許文献1の図8の信号配列図を示している。この信号配列図は、OFDM方式による地上デジタルテレビ放送方式の信号配列である。同図では、縦軸をシンボル方向(時間軸方向)iとし、横軸をキャリア方向(周波数軸方向)kとしたキャリア−シンボル空間上のサブキャリア配置を示している。図中の黒丸はスキャッタード・パイロット(Scattered Pilot)SPを示し、白丸はデータ信号(データサブキャリア)を示している。
同図の信号配列の場合、同一のSPキャリア番号kpについては、4シンボル周期でSP信号が繰り返される。
同文献によれば、あるキャリア番号kpの時刻iにあるSP信号を用いて更新されたウェイトwb kp(i)があるときに、次のウェイトの更新は、同じキャリア番号kpの4シンボル後に位置するSP信号(キャリア番号kp,時刻i+4)を用いてウェイト更新値wb kp(i+4)を算出する。
すなわち、特許文献1のウェイトの更新方向は、図17において矢印で示すように、シンボル方向(時間軸方向)のみである。換言すると、ウェイト更新に使用するSP信号の順番は、単純な時間順である。
しかし、従来技術では、移動体通信のように伝搬環境が変化する場合、次のような問題が発生する。
(2)非定常状態において、時間軸方向の伝搬係数の変化が大きい場合に、ウェイトが収束しなくなる、もしくは、収束したときの精度が悪化する。この原因は、ウェイトが時間的に変動しないことを前提として推定を行うためである。
上記本発明によれば、周波数軸方向のウェイト更新が行えるため、同じシンボル数で比較したときに、時間軸方向のみのウェイト更新に比べて、更新回数を多くすることができる。
また、本発明によれば、時間軸方向の伝搬係数の変化よりも周波数軸方向の伝搬係数の変化の方が小さい場合には、より適切なウェイト更新が行える。
本実施形態では、通信方式としてWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access, IEEE802.16)を例として説明する。
データサブキャリアは、データや制御用メッセージを送信するためのサブキャリアであある。パイロットサブキャリアは、受信側及び送信側で既知の信号であり、伝搬係数推定に用いられたり、ウェイト更新の参照信号として用いられたりする。
図2の横軸のl(1〜L)はサブキャリア番号を示している。サブキャリア番号は、ヌルサブキャリアを除くサブキャリアについて、周波数の小さい順に番号を付したものである。なお、ヌルサブキャリアを含めた全サブキャリアの数を1024とした場合、データサブキャリア及びパイロットサブキャリアの総数Lは、840となる。
図2の縦軸のkは、シンボル番号を示している。シンボル番号は、到来時間の早い順にシンボルに番号を付したものである。
タイルの四隅には、パイロットサブキャリアが配置され、タイル内の他のサブキャリアはデータサブキャリアとされている。
図2に示すように、上記タイルが時間軸方向及び周波数軸方向に規則的に並んでいる。この結果、パイロットサブキャリアは、複数の周波数軸方向位置に存在するとともに、複数の時間軸方向位置に存在する。
各FFT部13の出力(マルチアンテナ信号)は、フィルタリング処理部14に与えられる。フィルタリング処理部14では、伝搬環境に応じた空間フィルタリング特性を適応的に求める。
希望局2及び干渉局3,4は、それぞれ、並列/直列変換や逆離散フーリエ変換などの処理を行うIFFT部21,31,41と、ガードインターバルの付加やD/A変換などの処理を行うRF部22,32,42と、アンテナ素子23,33,43を備えている。
図4は、図3における所望信号、出力信号、受信信号(厳密には、通信装置1のアンテナ素子11に対応するFFT部13からの信号)の関係を示すフィルタリングモデルを示している。
雑音信号Z(k,l)は、各アンテナ素子11における雑音を表す複素N×1ベクトルである。
受信信号X(k,l)は、各アンテナ素子11に対応するFFT部からの出力からなる複素N×1ベクトルである。
伝達関数Hm(k,l)(m=1〜M)は、各信号の各サブキャリアが、アンテナ素子数Nのフェージング伝搬路で受ける振幅と位相の変化を並べた複素N×1ベクトルである。
ウェイトW(k,l)は、受信信号の各要素に対して掛ける複素数重みの複素共役を並べたN×1ベクトルである。図4において、上付のHは、複素共役転置を表す。また、以下において、上付のTは転置を表す。
図5にフィルタリング処理部14の詳細を示している。フィルタリング処理部14は、受信信号X(k,l)を逐次的に保存する第1バッファ(受信信号記憶部)141を備えている。第1バッファ141に蓄えられた受信信号X(k,l)は、ウェイト乗算部142に与えられる。ウェイト乗算部142は、受信信号(データサブキャリア)X(k,l)にウェイトW(k,l)を乗じて、合成した出力信号Y(k,l)=W(k,l)HX(k,l)を出力する。
第1バッファ41で受信信号を蓄積しておくことで、本実施形態のようにウェイト更新方向を多様化しても容易に対応できる。
図6は、ウェイト補間の一例を示している。図6の例では、タイル単位での線形補間を行う。具体的には、図6(b)に示すタイルのパイロットサブキャリア位置でのウェイトW1,W4,W9,W12に対して、図6(a)に示す演算を行うことにより、データサブキャリア位置でのウェイトW2,W3,W5,W6,W7,W8,W10,W11を算出する。
この演算をすべてのタイルについて行うことで、全データサブキャリア位置でのウェイトを算出することができる。
本実施形態のウェイト更新部143は、RLSアルゴリズムによってウェイトを更新するように構成されている。ただし、他のアルゴリズム、例えば、LMSアルゴリズムやSMIアルゴリズムを用いても良い。
前述のように、ウェイト更新部143は、順序制御部146を介して、第1バッファ141から受信信号(パイロットサブキャリア)X(k,l)を取得する。
順序制御部146は、第1バッファ141に保存されている受信信号の中から、パイロットサブキャリアを分離して抽出する。
そして、順序制御部146は、ウェイト更新部143がウェイト更新に用いるパイロットサブキャリアの順序を制御する。具体的には、順序制御部146は、分離したパイロットサブキャリアを、ウェイト更新に用いる順番に並べ替える。そして、順序制御部146は、並び替えたパイロットサブキャリアを、並び替えた順番で、ウェイト更新部143に与える。
順序制御部146は、1つ又は複数のパイロットサブキャリアの並び替えルール(更新順序ルール)を有している。なお、並び替えルール(更新順序)は、伝搬環境に応じて動的に変更することも可能である。
第2時間軸方向更新制御D4後は、前記周波数軸昇順方向更新D1を行い、上記処理を繰り返す。
図8の例では、ユーザ割当の最小単位であるタイルを基準としてウェイト更新を行う。すなわち、時間軸方向に並んだタイル列単位でタイル更新を行い、周波数軸方向のそれぞれのタイル列では、別個にウェイト更新を行う。なおこの点については、図9〜図11の例においても同様である。
より具体的には、図8の例では、次のようにウェイト更新を行う。まず、タイル左上のパイロットサブキャリア位置でのウェイトをW1、タイル右上のパイロットサブキャリア位置でのウェイトをW4、タイル左下のパイロットサブキャリア位置でのウェイトをW9、タイル右下のパイロットサブキャリア位置でのウェイトをW12とする。
W1からW4への移動D11は、周波数軸方向更新制御(昇順)であり、W12からW9への移動D13も周波数軸方向更新制御(降順)である。また、W4からW12への移動D12及びW9から次のタイルのW1への移動D14は時間軸方向更新制御である。
上記更新制御D11〜D14でも、周波数軸方向更新制御D11,D13と、時間軸方向更新制御D12,D14と、を組み合わせたものとなっている。
W1からW4への移動D21は、周波数軸方向更新制御(昇順)であり、W9からW12への移動D23も周波数軸方向更新制御(降順)である。また、W4からW9への移動D22及びW12から次のタイルのW1への移動D24は、時間軸方向及び周波数軸方向に同時に移動する斜め方向更新制御である。
上記更新制御D21〜D24では、周波数軸方向更新制御D21,D23と、斜め方向更新制御D22,D24と、を組み合わせたものとなっている。
W1からW12への移動D31及びW4からW9への移動D33は、斜め方向更新制御である。また、W12からW4への移動D32及びW9から次のタイルのW1への移動D34は、時間軸方向更新制御である。
上記更新制御D31〜D34では、斜め方向更新制御D31,D33と、時間軸方向更新制御D32,D34と、を組み合わせたものとなっている。
タイルT1のW4からW9への移動D42及びタイルT2のW1からW12への移動D46は、斜め方向更新制御である。
タイルT1のW12からタイルT2のW4への移動D44及びタイルT2のW9からその次のタイルT1のW1への移動D48は、時間軸方向更新制御である。
このように、上記更新制御D41〜D48では、周波数軸方向更新制御D41,D43,D45,D47と、斜め方向更新制御D42,D46と、時間軸方向更新制御D44,D48と、を組み合わせたものとなっている。
そして、サブフレーム間の相互相関は非常に低いため、サブフレームが切り替わると再度、ウェイト形成が必要となる。この結果、極端な場合には、永久に適切なウェイトが得られない場合が生じる。
また、本実施形態の更新順序ルールでは、複数の方向を組み合わせているので、更新順序の自由度が高い。特に、斜め方向を含んでいる場合には、より自由度が高くなる。
また、前記「斜め方向」は、時間軸方向及び周波数方向に同時に移動するものであれば、具体的な方向は特に限定されず、サブキャリア2次元配置図において周波数軸方向(昇順方向及び降順方向)及び時間軸方向(昇順方向及び降順方向)を除いた360°すべての方向が含まれる。
さらに、上記例では、一つのパイロットサブキャリアを1度しか更新に用いていないが、複数回更新に用いても良い。また、更新に用いないパイロットサブキャリアが存在してもよい。
図12は、WiMAX Uplink PUSCのサブキャリアの2次元配列を示している。このサブキャリア配列上の各パイロットサブキャリア位置における伝搬係数hA,hB,hC,hD,hEの相関係数を下記条件により算出した。
中心周波数:2600MHz
ドップラー周波数:(1)7.2Hz,(2)288Hz
遅延分散:(a)0.37μsec (b)2.2μsec
遅延分散(a)0.37μsecは、ITU−R M.1225 Vehicular ch.Aの値であり平均的な遅延分散を示す。遅延分散(b)2.2μsecは、ITU−R M.1225 Vehicular ch.Bの値であり、建物等が多く遅延分散が大きい場合を示している。
上記(1)と(a)の組み合わせが、想定される平均的な環境であり、上記(2)(b)の組み合わせが想定環境の中で最悪に近い場合である。
したがって、このような場合には、時間軸方向更新制御が好ましい。
したがって、移動局の移動速度が高速である場合には、周波数軸方向更新制御を行うのが好ましい。なお、遅延分散が大きい場合には、時間軸方向への更新を優先的に行うのが望ましい。
モバイルWiMAXのUplink PUSCのサブキャリア配置において、図14に示すパターンA(比較例)及びパターンB(実施例)について、シミュレーションを下記条件にて行った。パターンAは時間軸方向更新制御のみ、パターンBは時間軸方向更新制御と周波数軸方向更新制御を組み合わせたものである。
中心周波数:2.6[GHz]、サンプリング時間89.2[ns]、サブキャリア間隔10.9[kHz]、アンテナ素子数:2、FFTサイズ:1024,ガードインターバル長:11.4[μs]、使用サブキャリア数:840、フレーム長:5[ms]、Uplinkサブフレーム長:1.5[ms]、変調方式:QPSK、使用アルゴリズム:RLSアルゴリズム(忘却係数0.5)
到来信号数:2(所望信号と干渉信号)、伝搬路モデル:等電力2波レイリーフェージングモデル、遅延時間差:8.92×102[ns]、最大ドップラー周波数:288
[Hz](120km/h移動時に相当)、平均受信SNR:20[dB]、平均受信SIR:0[dB]
また、MERが立ち上がった場合も、パターンBの方がパターンAよりも約3dB大きくなっている(図15のP3,P4参照)。なお、受信シンボルごとに復調特性が変化しているのは、パイロット間の伝搬特性の相関の大きさが異なるためである。
Claims (4)
- 周波数多重のために周波数方向に複数のサブキャリアを有する通信方式であって、前記サブキャリアの配置を時間軸方向及び周波数軸方向の2次元配置でみたときに、複数のパイロットサブキャリアが複数の周波数軸方向位置に存在する通信方式、によって通信を行う通信装置において、
受信したパイロットサブキャリアに基づいて、マルチアンテナ信号処理のためのウェイトの更新を行うウェイト更新部と、
ウェイトの更新に用いられるパイロットサブキャリアの順序を制御する順序制御部と、
を備え、
前記順序制御部は、
前回のウェイトの更新に用いたパイロットサブキャリアとは、時間軸方向では同じ位置であって周波数軸方向に異なる位置にあるパイロットサブキャリアを用いてウェイトの更新を行う周波数軸方向更新制御、及び
前回のウェイトの更新に用いたパイロットサブキャリアとは、周波数方向では同じ位置であって時間軸方向に異なる位置になるパイロットサブキャリアを用いてウェイトの更新を行う時間軸方向更新制御、
を組み合わせた制御を行い、
前記周波数方向更新制御は、
前回のウェイトの更新に用いたパイロットサブキャリアとは、時間軸方向では同じ位置であって周波数軸方向に大きい位置にあるパイロットサブキャリアを用いてウェイトの更新を行う周波数軸昇順方向更新制御と、
前回のウェイトの更新に用いたパイロットサブキャリアとは、時間軸方向では同じ位置であって周波数軸方向に小さい位置にあるパイロットサブキャリアを用いてウェイトの更新を行う周波数軸降順方向更新制御と、を含む
ことを特徴とする通信装置。 - 受信したパイロットサブキャリアを保存するバッファを備え、
前記ウェイト更新部は、前記順序制御部によって制御された順番に応じて、前記バッファに保存されたパイロットサブキャリアを取得する
請求項1記載の通信装置。 - 前記順序制御部は、
前回のウェイトの更新に用いたパイロットサブキャリアとは、時間軸方向及び周波数軸方向に異なる位置にあるパイロットサブキャリアを用いてウェイトの更新を行う斜め方向更新制御をさらに組み合わせた制御を行う
ことを特徴とする請求項1又は2記載の通信装置。 - マルチアンテナ信号処理に用いられるウェイトを、パイロットサブキャリアを用いて更新する方法であって、
前回のウェイトの更新に用いたパイロットサブキャリアとは、時間軸方向では同じ位置であって周波数軸方向に異なる位置にあるパイロットサブキャリアを用いてウェイトの更新を行う周波数軸方向更新制御、及び
前回のウェイトの更新に用いたパイロットサブキャリアとは、周波数方向では同じ位置であって時間軸方向に異なる位置になるパイロットサブキャリアを用いてウェイトの更新を行う時間軸方向更新制御、
を組み合わせた制御を行い、
前記周波数方向更新制御は、
前回のウェイトの更新に用いたパイロットサブキャリアとは、時間軸方向では同じ位置であって周波数軸方向に大きい位置にあるパイロットサブキャリアを用いてウェイトの更新を行う周波数軸昇順方向更新制御と、
前回のウェイトの更新に用いたパイロットサブキャリアとは、時間軸方向では同じ位置であって周波数軸方向に小さい位置にあるパイロットサブキャリアを用いてウェイトの更新を行う周波数軸降順方向更新制御と、を含む
ことを特徴とするウェイト更新方法。
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