JP4867797B2 - 通信装置及びアダプティブアンテナ信号処理方法 - Google Patents
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Description
つまり、送信機から送信されたパイロットサブキャリアは、伝搬路を通ることで、振幅と位相が変化する。ここで、振幅と位相の変化は、伝搬路の伝達関数として表される。
例えば、基地局が高速で移動する移動局との間で通信を行う移動体通信の場合を考える。この場合、一のサブキャリアについての伝達関数(伝搬環境)と、時間的に異なる他のサブキャリアについての伝達関数(伝搬環境)とでは、移動体の位置が異なるため、伝搬環境が異なることになる。
したがって、時間的に異なる2つのサブキャリア間においては、伝達関数の相互相関は、比較的小さくなる。
したがって、時間的に異なる2つのサブキャリア間においては、伝達関数の相互相関は、比較的大きくなる。
したがって、サブキャリア間の伝達関数の相互相関という、伝搬環境の特性を示す情報を、アダプティブアンテナ信号処理に利用することで、通信装置は、伝搬環境の特性に応じた良好な信号処理を行うことが可能となる。
しかし、サブキャリア間の伝達関数の相互相関を、アダプティブアンテナ信号処理に利用するという発想は、従来存在しなかった。
この場合、パイロットサブキャリア間の伝達関数の相互相関から把握できる伝搬環境の特性に応じて、適切な平滑化を行うことができる。
また、前記所定の周波数間隔をΔl[Hz]とし、ガードインターバル長をL[sec]としたときに、(N−1)/(NΔl) > L であるのが好ましい。
前記所定の時間間隔をΔk[sec]とし、最大ドップラー周波数をFd[Hz]としたときに、1/Δk > 2×Fdであるのが好ましい。
本実施形態では、通信方式としてWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access, IEEE802.16)を例として説明する。
データサブキャリア(データ信号)は、データや制御用メッセージを送信するためのサブキャリアである。パイロットサブキャリアは、受信側及び送信側で既知の信号(パイロット信号)であり、伝達関数推定に用いられたり、ウェイト更新に用いられたりする。
図2の横軸のl(1〜L)はサブキャリア番号を示している。サブキャリア番号は、ヌルサブキャリアを除くサブキャリアについて、周波数の小さい順に番号を付したものである。なお、ヌルサブキャリアを含めた全サブキャリアの数を1024とした場合、データサブキャリア及びパイロットサブキャリアの総数Lは、840となる。
図2の縦軸のkは、シンボル番号を示している。シンボル番号は、到来時間の早い順にシンボルに番号を付したものである。
タイルの四隅には、パイロットサブキャリアが配置され、タイル内の他のサブキャリアはデータサブキャリアとされている。
図2に示すように、上記タイルが時間軸方向及び周波数軸方向に規則的に並んでいる。この結果、パイロットサブキャリアは、複数の周波数軸方向位置に存在するとともに、複数の時間軸方向位置に存在する。換言すると、パイロットサブキャリアは、サブキャリア中に(周波数軸方向及び時間軸方向において)分散して配置されているのである。
なお、本発明のサブキャリア配置は、上記のものに限られない。
各FFT部13の出力(マルチアンテナ信号)は、フィルタリング処理部14に与えられる。フィルタリング処理部14では、伝搬環境に応じた空間フィルタリング特性を適応的に求めるアダプティブアンテナ処理を行う。
希望局2及び干渉局3,4は、それぞれ、並列/直列変換や逆離散フーリエ変換などの処理を行うIFFT部21,31,41と、ガードインターバルの付加やD/A変換などの処理を行うRF部22,32,42と、アンテナ素子23,33,43を備えている。
図4は、図3における所望信号、出力信号、受信信号(厳密には、通信装置1のアンテナ素子11に対応するFFT部13からの信号)の関係を示すフィルタリングモデルを示している。
雑音信号Z(k,l)は、各アンテナ素子11における雑音を表す複素N×1ベクトルである。
受信信号X(k,l)は、各アンテナ素子11に対応するFFT部からの出力からなる複素N×1ベクトルである。
伝達関数Hm(k,l)(m=1〜M)は、各信号の各サブキャリアが、アンテナ素子数Nのフェージング伝搬路で受ける振幅と位相の変化を並べた複素N×1ベクトルである。
ウェイトW(k,l)は、受信信号の各要素に対して掛ける複素数重みの複素共役を並べたN×1ベクトルである。図4において、上付のHは、複素共役転置を表す。また、以下において、上付のTは転置を表す。
図5に、本実施形態に係るフィルタリング処理部14の詳細を示している。フィルタリング処理部14は、受信信号X(k,l)を逐次的に保存する第1バッファ(受信信号記憶部;受信パイロット信号記憶部)141を備えている。第1バッファ141に蓄えられたデータサブキャリアX(kd,ld)は、ウェイト乗算部142に与えられる。ウェイト乗算部142は、データサブキャリアX(kd,ld)にウェイトW(kd,ld)を乗じて、合成した出力信号Y(kd,ld)=W(kd,ld)HX(kd,ld)を出力する。この出力信号Y(kd,ld)が、所望信号S1(kd,ld)の推定値である。
なお、第1バッファ141に記憶している受信信号は、ウェイト乗算部142、ウェイト更新部143、及び後述の相関演算部170で使われなくなると随時消去される。
第1バッファ141で受信信号を蓄積しておくことで、本実施形態のようにウェイト更新方向を多様化しても容易に対応できる。
図6は、ウェイト補間の一例を示している。図6の例では、タイル単位での線形補間を行う。具体的には、図6(b)に示すタイルのパイロットサブキャリア位置でのウェイトW1,W4,W9,W12に対して、図6(a)に示す演算を行うことにより、データサブキャリア位置でのウェイトW2,W3,W5,W6,W7,W8,W10,W11を算出する。
この演算をすべてのタイルについて行うことで、全データサブキャリア位置でのウェイトを算出することができる。
本実施形態のウェイト更新部143は、RLSアルゴリズムによってウェイトを更新するように構成されている。ただし、他のアルゴリズム、例えば、LMSアルゴリズムやSMIアルゴリズムを用いても良い。
なお、上述の説明では、パイロットサブキャリア位置を示すためにウェイト等を示す記号においてk及びlをkp及びlpと表記して、k及びlの位置がパイロットサブキャリア位置であることを明示していたが、以下では、説明の簡略のため、単に、k,lと表記することがある。
更新パラメータαの値の調整については後述する。
ウェイトの更新順序制御及び/又は更新パラメータ調整等に利用するため、本実施形態のフィルタリング処理部14は、任意の2つのパイロットサブキャリア間の伝達関数の相互相関の大きさを推定する相関演算部170を備えている(図5参照)。
また、受信信号除算部171は、他の任意のタイル(ユーザ割当の最小単位)について、伝達関数HA,HB,HC,HDを、それぞれ求めることができる。
例えば、図8に示すように、相関算出部172は、伝達関数HAと他のタイルのパイロットサブキャリアの伝達関数HEとの相互相関の大きさ(相関係数)RAE、伝達関数HAとさらに他のタイルのパイロットサブキャリアの伝達関数HFとの相互相関の大きさ(相関係数)RAFなどを求めることもできる。
なお、相関算出部172では、図8において図示していない他の任意の2つのパイロットサブキャリア間における、伝達関数の相互相関を求めるのも自在である。
前述のように、ウェイト更新部143は、順序制御部146を介して、第1バッファ141から受信信号(パイロットサブキャリア)X(kp,lp)を取得する。
順序制御部146は、第1バッファ141に保存されている受信信号X(k,l)の中から、パイロットサブキャリアX(kp,lp)を分離して抽出する。
そして、順序制御部146は、ウェイト更新部143がウェイト更新に用いるパイロットサブキャリアの順序を制御する。具体的には、順序制御部146は、分離したパイロットサブキャリアを、ウェイト更新に用いる順番に並べ替える。そして、順序制御部146は、並び替えたパイロットサブキャリアを、並び替えた順番で、ウェイト更新部143に与える。
図10及び図11は、記憶部146にある更新順序ルールの例を示している。
図10に示す第1の順序ルールでは、まず、図10のD1方向への更新を行う。すなわち、同一シンボル(同一時間k=1)において周波数軸方向に分散された複数のパイロットサブキャリアX(1,1)〜X(1,L)を対象として、周波数の小さいパイロットサブキャリアから順番に用いてウェイト更新を行う。このD1方向(周波数軸方向)の更新制御は、複数回の周波数軸方向更新制御の組合せとなっている。
よって、第1更新順序ルールは、周波数軸方向を優先した更新制御ルールである。
したがって、各パイロットサブキャリアの位置における伝達関数の相互相関を考えたときに、周波数軸方向のサブキャリア間での伝達関数の相互相関RACが、時間軸方向での伝達関数の相互相関RABよりも大きい場合には、前記第1更新順序ルールを用いると適切なウェイトを早期に得やすい。
そして、サブフレーム間の相互相関は非常に低いため、サブフレームが切り替わると再度、ウェイト形成が必要となる。この結果、極端な場合には、永久に適切なウェイトが得られない場合が生じる。
図11に示す第2の更新順序ルールでは、まず、図11のD11方向への更新を行う。すなわち、同一サブキャリア(同一サブキャリア番号=1)において、時間軸方向に分散して複数存在するパイロットサブキャリアX(1,1)〜X(k,1)を対象として、シンボル番号の小さいパイロットサブキャリアから順番に用いてウェイト更新を行う。このD11方向の更新制御は、複数回の時間軸方向更新制御の組合せとなっている。
よって、第2更新順序ルールは、時間軸方向を優先した更新制御ルールである。
したがって、各パイロットサブキャリアの位置における伝達関数の相互相関を考えたときに、時間軸方向のサブキャリア間での伝達関数の相互相関RABが、周波数軸方向での伝達関数の相互相関RACよりも大きい場合には、前記第2更新順序ルールを用いると適切なウェイトを早期に得やすい。
パイロットサブキャリア間の伝達関数の相互相関は、周波数軸方向の方が大きい場合(例えば、RAC>RAB)、時間軸方向の方が大きい場合(例えば、RAB>RAC)がある。ここで、伝達関数の相互相関の大きさは、伝搬環境に依存する。
例えば、基地局の通信相手である移動局が高速移動している場合には、時々刻々と伝搬環境が変化するため、時間軸方向に異なる位置にあるパイロットサブキャリア間では、伝達関数の変動が大きくなり、相互相関が低下する。
一方、時間軸方向には同じ位置で周波数軸方向に異なる位置にあるパイロットサブキャリア間では、相対的に伝達関数の相互相関が大きくなる。
なお、相互相関は、移動局の移動速度の他、伝搬環境の遅延分散によっても影響を受ける。
移動局が高速移動している場合のように、周波数軸方向に伝達関数の相互相関が大きい場合には、図10に示す第1更新順序ルールのように周波数軸方向の更新制御を優先してする方が、ウェイト計算値が収束し易く、高速で適切なウェイトを算出することができる。
一方、移動局が低速又は停止している場合のように、時間軸方向に伝達関数の相互相関が大きい場合には、図11に示す第2更新順序ルールのように時間軸方向にウェイト更新を行った方が、ウェイト計算値が収束し易く、高速で適切なウェイトを算出することができる。
上述の伝達関数の相互相関と伝搬環境の関係を利用し、前記更新順序決定部146aは、相関演算部170によって求められた時間軸方向の相互相関RABと周波数軸方向の相互相関RACとを比較して、どちらの相互相関が大きいか判定する。更新順序決定部146aは、この判定結果に基づき、更新順序ルールを選択する。
また、1回の更新制御における移動幅(パイロットサブキャリア間の時間間隔又は周波数間隔)も自由に設定できる。
また、更新順序決定部146aは、予め決められた更新順序ルールを選択することで、更新順序を決定するのではなく、伝達関数の相互相関から把握される伝搬環境に応じて適切な更新順序を動的に生成してもよい。
前述のように、更新パラメータである忘却係数αは、大きければ、サブキャリア(信号)間で生じる伝達関数の変化に対する追従特性は向上するが、伝達関数の変化が小さい場合に、大きい忘却係数を用いると、推定精度が悪化する可能性がある。
つまり、前回のウェイト更新に用いたパイロット信号と、ウェイト更新に用いようとするパイロット信号とで、伝達関数の相互相関が大きい場合には、忘却係数αは小さい方が好ましい。一方、前回のウェイト更新に用いたパイロット信号と、ウェイト更新に用いようとするパイロット信号とで、伝達関数の相互相関が小さい場合には、忘却係数αは大きい方が好ましい。
図12は、フィルタリング処理部14の第2実施形態を示している。なお、第2実施形態において特に説明しない点については、図5のフィルタリング処理部14と同様である。
さて、図5に関して説明したように、ウェイト更新部143におけるウェイト更新処理の結果得られたウェイト推定値は、所定のウェイト更新回数M分、第2バッファ144に蓄積される。すなわち、第2バッファには、過去M回のウェイト更新で得られたM個のウェイト推定値が保存可能である。
また、図14は、一つの平滑化対象領域における一連のM回のウェイト更新で得られたM個のウェイト推定値W(k,l)を、ウェイト更新に用いたパイロットサブキャリアX(k,l)及びウェイト推定値の平滑化推定値WS(k,l)とともに、ウェイト更新順に並べたものを示している。なお、図14中、mは、ウェイト更新回数を示している。
まず、平滑化部149は、ウェイト推定値W(kM、lM)を、第2バッファ144から第4バッファ150へ送る(ステップS1)。ウェイト推定値W(kM、lM)は、最も多くの情報が反映されており、更に平滑化を行う必要がないので、平滑化推定値WS(kM、lM)=ウェイト推定値W(kM、lM)とする。なお、ステップS1の処理も、必要であれば、後述のステップS5と同様に、平滑化演算処理というものとする。
ウェイト先推定値W(km,lm)とウェイト後推定値W(km+1,lm+1)とを比較すると、ウェイト後推定値W(km+1,lm+1)は、ウェイト先推定値W(km,lm)よりも後(直後)のウェイト更新処理によって得られた値であるから、より多くの情報が反映されている(図14参照)。
また、いずれの平滑化推定値も、平滑化領域内での最後のウェイト更新によって得られたウェイト推定値W(kM、lM)の情報を含んでいる。
したがって、上記合成によって得られた平滑化推定値WS(km,lm)は、平滑化前のウェイト推定値W(km,lm)よりも多くの情報が反映されたものとなり、精度が良いものとなる。
その後、ウェイト平滑化部149は、上記平滑化演算の繰り返しの終了判定として、m=1か否かを判定する(ステップS7)。m=1でなければ、mをデクリメントし、再び、ステップS3〜S6の処理を行う。また、m=1であれば、平滑化処理を終了する。
具体的には、例えば、ウェイト推定値W(1,1)は、1個のパイロット信号に基づいて得られたものであり、通常、収束していない推定値であるが、平滑化推定値WS(1,1)には、M個のパイロット信号の情報が反映されている。また、他の平滑化推定値WS(km,lm)についても同様である。
その結果、それぞれのウェイトの精度が向上するほか、平滑化推定値を用いてウェイト補間が行われるため、信号推定も全体的に良好となる。
ただし、好ましくは、一つの平滑化対象領域内での伝搬係数の変動ができるだけ少ないように設定するのがよい。例えば、OFDMAにおける複数のアップリンクサブフレームに跨って一つの平滑化対象領域を構成したり、OFDMAにおける複数のダウンリンクサブフレームに跨って一つの平滑化対象領域を構成したりするのは避けた方が好ましい。複数のサブフレーム間には、実際には、時間間隔があるため、伝搬係数の変動が大きくなる可能性があるからである。
OFDMAのように、一つのサブフレームが複数のユーザに割り当てられる通信方式の場合、一つのサブフレーム内であっても、ユーザが切り替われば、伝搬係数は変化する。したがって、ユーザ割当最小単位を平滑化対象領域としておくことで、伝搬係数の変動が少ない領域で平滑化を行うことができる。
パイロットサブキャリアX(km,lm)X(km+1,lm+1)間で、伝達関数の相互相関が大きい場合、ウェイト後推定値の平滑化推定値WS(km+1,lm+1)の情報をより多く利用すべきであるから、平滑化パラメータβを大きくした方が、ウェイト先推定値の平滑化推定値の推定精度は向上する。
一方、 パイロットサブキャリアX(km,lm)X(km+1,lm+1)間で、伝達関数の相互相関が小さい場合、ウェイト後推定値の平滑化推定値WS(km+1,lm+1)の情報をあまり利用しない方が、伝達関数の変動への追従特性が向上する。よって、この場合、平滑化パラメータβを小さくした方が、ウェイト先推定値の平滑化推定値の推定精度は向上する。
図16〜図18は、第3実施形態に係るフィルタリング処理部14を示している。なお、第3実施形態において特定に説明しない点については、既述のものと同様である。
ウェイト先推定値W(km,lm)と、ウェイト後推定値W(km+1,lm+1)の平滑化推定値WS(km+1,lm+1)とを比較すると、平滑化推定値WS(km+1,lm+1)は、パイロットサブキャリア(後パイロット信号)X(km+1,lm+1)に基づいて演算されたウェイト先推定値W(km+1,lm+1)を平滑化したものであるから、多くの情報が反映されたものである(図18参照)。
その後、ウェイト平滑化部149は、上記平滑化演算の繰り返しの終了判定として、m=1か否かを判定する(ステップS17)。m=1でなければ、mをデクリメントし、再び、ステップS13〜S16の処理を行う。また、m=1であれば、平滑化処理を終了する。
また、平滑化に用いるパイロット信号の順番も、上記のものに限らず、自由である。
図19〜図21は、第4実施形態に係るフィルタリング処理部14を示している。なお、第4実施形態において特定に説明しない点については、既述のものと同様である。
なお、図19に示す第3バッファ(更新パラメータ記憶部)148は、ウェイト更新部から送られてくるパラメータP(km,lm)を保存する。第3バッファ148は、P(km,lm)がウェイト更新部143及びウェイト平滑化部149で使用されなくなると消去する。また、図19に示す第5バッファ(平滑化パラメータ記憶部)162は、ウェイト平滑化部149から送られてくるパラメータλを保存する。ここでは、λの初期値は0とする。
具体的には、更新処理手順は、下記の通りであり、平滑化対象領域内(図13参照)のM個のパイロット信号について、下記手順2〜3をmがMになるまで繰り返す。
手順1:m=1
手順2:更新演算処理
手順3:m=m+1として手順2に戻る
具体的には、図20に示す手順により平滑化処理が行われる。まず、平滑化部149は、ウェイト推定値W(kM、lM)を、第2バッファ144から第4バッファ150へ送る(ステップS21)。つまり、ウェイト推定値W(kM、lM)が、そのまま平滑化推定値WS(kM、lM)となる。
なお、ウェイト平滑化部149は、参照信号S(km+1,lm+1)を参照信号生成部160から取得し、ウェイト更新演算の際に求めたパラメータP(km、lm)を第3バッファ148から取得し、λm+1を第5バッファ162から取得する。
図22は、相関演算部170の他の例を示している(第5実施形態)。なお、第5実施形態において特に説明しない点については、既述のものと同様である。
なお、伝送フレームは、少なくともガードインターバル(CP)とデータ部とを含み、データ部にデータサブキャリア及びパイロットサブキャリアが配置される。
さらに、第1電力スペクトル算出部175は、hp Hhpを求め、hp Hhpの行列対角成分を並べて行列r1pを計算する。行列r1pの各成分が、時間間隔1/(NΔl)、最大遅延時間(N−1)/(NΔl)の電力スペクトルの各電力成分となっている。
図24は、上記のようにして第1電力スペクトル算出部175で求めた遅延時間領域の電力スペクトルを示している。
さらに、第2電力スペクトル算出部176は、hp Hhpを求め、hp Hhpの行列対角成分を並べて行列r2pを計算する。行列r2pの各成分が、周波数間隔1/(NΔk)、周波数−1/2Δk〜(N/2−1)/NΔkの電力スペクトルの各電力成分となっている。
図26は、上記のようにして第2電力スペクトル算出部176で求めたドップラー周波数領域の電力スペクトルを示している。
なお、図26(a)は、離散フーリエ変換を行って得られる電力スペクトルを示しており、図26(b)は、図26(a)の1/2Δk以上の成分を、1/2Δkほど、負方向へシフトして、周波数範囲−1/2Δk〜(N/2−1)/NΔkの電力スペクトルとしたものである。
具体的には、第2ノイズ除去部182は、図26(b)に示すドップラー周波数領域の電力スペクトルr2aveの各成分のうち、−FdからFdの範囲以外のドップラー周波数の電力成分を除去する(0にする)。
また、第2電力スペクトル整形部183は、(雑音信号の影響が低減された)ドップラー周波数領域の電力スペクトルr2aveに対し、同様の整形を行う。
また、第2相関計算部185は、ドッブラー周波数領域の電力スペクトルr2aveを用いて、同じ周波数で時刻の異なる2つのパイロットサブキャリア間の伝達関数の相互相関Rfを求める。
第1相関計算部184において、伝達関数の相互相関Rt(Δf)を求めるための演算式は、下記式(11)のとおりである。
まず、ドップラーシフトが発生しない伝搬路における応答(インパルス応答)を、デルタ関数δを用いて、式(12)のようにhI(t)で定義する(図29参照)。なお、実際の到来信号の遅延時間が、式(12)のように(0,ts,・・・,(N−1)ts)であるとは限らないが、tsの値を適宜調整することによって任意の精度で到来信号の遅延時間を近似できる。
第2相関計算部185において、伝達関数の相互相関Rf(Δt)を求めるための演算式は、下記式(16)のとおりである。
まず、遅延信号の存在しない伝搬路における応答(インパルス応答)を、式(17)のようにHI(t)で定義する(図30参照)。ただし、説明の便宜上、以下では、Nは2の倍数であると仮定するが、Nは2の倍数に限られるものではない。
なお、式(17)において、ej2πnfdtは、ドップラー周波数(−N/2)fd〜(N/2−1)fdによるドップラーシフトを示している。また、実際の到来信号のドップラー周波数が、式(16)のように((−N/2)fd,(−N/2+1)fd,・・・,(N/2−2)fd,(N/2−1)fd)であるとは限らないが、fdの値を適宜調整することによって任意の精度で到来信号のドップラーシフトを近似できる。
174:第6バッファ 175:第1電力スペクトル算出部 176:第2電力スペクトル算出部 177:第7バッファ 178:第8バッファ 179:第1ノイズ除去部
180:更新パラメータ調整部 181:第2ノイズ除去部 182:第1電力スペクトル整形部 183:第2電力スペクトル整形部 184:第1相関計算部 185:第2相関計算部
Claims (18)
- アダプティブアンテナ信号処理を行うフィルタリング処理部を備えた通信装置において、
前記フィルタリング処理部は、受信信号に含まれる第1のパイロットサブキャリアの伝達関数と受信信号に含まれる第2のパイロットサブキャリアの伝達関数との相互相関を演算する相関演算部を備え、
前記フィルタリング処理部は、前記相関演算部によって求めた前記相互相関を用いて、前記アダプティブアンテナ信号処理を行うことを特徴とする通信装置。 - 前記フィルタリング処理部は、前記相関演算部によって求めた前記相互相関を、アダプティブアンテナ信号処理用のウェイトを求めるために用いることを特徴とする請求項1記載の通信装置。
- 前記フィルタリング処理部は、
受信信号に含まれるパイロットサブキャリアに基づいてウェイト更新の演算を行うウェイト更新部と、
ウェイト更新に用いられるパイロット信号の順序を制御する順序制御部と、
を備え、
前記順序制御部は、前記相関演算部によって求めた前記相互相関に応じて、ウェイト更新に用いられるパイロット信号の順序を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の通信装置。 - 前記順序制御部は、
前回のウェイトの更新に用いたパイロットサブキャリアとは周波数軸方向に異なる位置にあるパイロットサブキャリアを、ウェイトの更新に用いる周波数軸方向更新制御と、
前回のウェイトの更新に用いたパイロットサブキャリアとは時間軸方向に異なる位置にあるパイロットサブキャリアを、ウェイトの更新に用いる時間軸方向更新制御と、
が行えるように構成され、
さらに、前記順序制御部は、周波数軸方向に異なる位置にあるパイロットサブキャリア間の周波数方向相互相関と、時間軸方向に異なる位置にあるパイロットサブキャリア間の時間軸方向相互相関とを比較して、周波数軸方向及び時間軸方向のうち、相互相関が大きい方向を決定するとともに、
周波数軸方向更新制御及び時間軸方向更新制御のうち、相互相関が大きい方向の更新制御を優先して行うことを特徴とする請求項3記載の通信装置。 - 前記順序制御部は、周波数軸方向更新制御及び時間軸方向更新制御のうち相互相関が大きい方向の更新制御によるウェイト更新回数の方が、相互相関が小さい方向の更新制御によるウェイト更新回数よりも多くなるように制御することを特徴とする請求項4記載の通信装置。
- 受信信号に含まれるパイロットサブキャリアに基づいて、ウェイト更新の演算を行うウェイト更新部と、
前記ウェイト更新部がウェイト更新の際に用いる更新パラメータを調整する更新パラメータ調整部と、
を備え、
前記更新パラメータ調整部は、前記相関演算部によって求めた前記相互相関に応じて、前記更新パラメータを調整するよう構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の通信装置。 - 受信信号に含まれるパイロットサブキャリアに基づいて、ウェイト更新の演算を行ってウェイト推定値を求めるウェイト更新部と、
複数回のウェイト更新の演算によって得られたウェイト推定値を平滑化した平滑化推定値を求めるウェイト平滑化部と、
前記ウェイト平滑化部が平滑化を行うためのパラメータを調整する平滑化パラメータ調整部を備え、
前記平滑化パラメータ調整部は、前記相関演算部によって求めた前記相互相関に応じて、前記平滑化パラメータを調整するよう構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の通信装置。 - 前記相関演算部は、受信したパイロットサブキャリアを、パイロットサブキャリアに対応する参照信号で除算してパイロットサブキャリアの伝達関数を算出する除算部を備え、前記除算部によって算出されたパイロットサブキャリアの伝達関数から、前記相互相関を演算することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の通信装置。
- 前記相関演算部は、
伝達関数の遅延時間領域における電力スペクトルを算出する第1電力スペクトル算出部と、
伝達関数のドップラー周波数領域における電力スペクトルを算出する第2電力スペクトル算出部と、
周波数軸方向の異なる位置にあるパイロットサブキャリア間の周波数間隔と前記第1電力スペクトル算出部によって算出された電力スペクトルとから、周波数軸方向の異なる位置にある前記パイロットサブキャリア間の前記相互相関を算出する第1相関計算部と、
時間軸方向の異なる位置にあるパイロットサブキャリア間の時間間隔と前記第2電力スペクトル算出部によって算出された電力スペクトルとから、時間軸方向の異なる位置にある前記相互相関を算出する第2相関計算部と、
を備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の通信装置。 - 前記相関演算部は、
伝達関数の遅延時間領域における電力スペクトルを算出する第1電力スペクトル算出部と、
周波数軸方向の異なる位置にあるパイロットサブキャリア間の周波数間隔と前記第1電力スペクトル算出部によって算出された電力スペクトルとから、周波数軸方向の異なる位置にある前記パイロットサブキャリア間の前記相互相関を算出する第1相関計算部と、
を備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の通信装置。 - 前記相関演算部は、
伝達関数のドップラー周波数領域における電力スペクトルを算出する第2電力スペクトル算出部と、
時間軸方向の異なる位置にあるパイロットサブキャリア間の時間間隔と前記第2電力スペクトル算出部によって算出された電力スペクトルとから、時間軸方向の異なる位置にある前記パイロットサブキャリア間の前記相互相関を算出する第2相関計算部と、
を備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の通信装置。 - 受信したパイロットサブキャリアを、パイロットサブキャリアに対応する参照信号で除算してパイロットサブキャリアの伝達関数を算出する除算部を備え、
前記第1電力スペクトル算出部は、前記除算部によって複数のパイロットサブキャリアについて求めた複数の伝達関数のうち、所定の周波数間隔にある複数のパイロットサブキャリアについての複数の伝達関数に基づいて、離散逆フーリエ変換を行い、遅延時間領域の電力スペクトルを演算することを特徴とする請求項9又は10記載の通信装置。 - 前記第1電力スペクトル算出部によって求めた電力スペクトルの所定領域にある成分から雑音の大きさを推定し、推定した雑音の大きさによって前記電力スペクトルから雑音の影響を除去する第1ノイズ除去部を備えていることを特徴とする請求項11記載の通信装置。
- 前記第1電力スペクトル算出部は、電力スペクトルを求める複数回の演算により得られた複数の電力スペクトルの重み付き平均を演算するように構成されている請求項9,10,12,13のいずれかに記載の通信装置。
- 受信したパイロットサブキャリアを、パイロットサブキャリアに対応する参照信号で除算してパイロットサブキャリアの伝達関数を算出する除算部を備え、
前記第2電力スペクトル算出部は、前記除算部によって複数のパイロットサブキャリアについて求めた複数の伝達関数のうち、所定の時間間隔にある複数のパイロットサブキャリアについての複数の伝達関数に基づいて、離散フーリエ変換を行い、ドップラー周波数領域の電力スペクトルを演算することを特徴とする請求項9又は11記載の通信装置。 - 前記第2電力スペクトル算出部によって求めた電力スペクトルの所定領域にある成分から雑音の大きさを推定し、推定した雑音の大きさによって前記電力スペクトルから雑音の影響を除去する第2ノイズ除去部を備えていることを特徴とする請求項15記載の通信装置。
- 前記第2電力スペクトル算出部は、電力スペクトルを求める複数回の演算により得られた複数の電力スペクトルの重み付き平均を演算するように構成されている請求項9,11,15,16のいずれかに記載の通信装置。
- アダプティブアンテナ信号処理を行うフィルタリング処理部を備えた通信装置におけるアダプティブアンテナ信号処理方法であって、
受信信号に含まれる第1のパイロットサブキャリアの伝達関数と受信信号に含まれる第2のパイロットサブキャリアの伝達関数との相互相関を演算する相関演算ステップを含み、
前記相関演算ステップにおいて求めた前記相互相関を用いて、前記アダプティブアンテナ信号処理を行うことを特徴とする信号処理方法。
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