一般に、ICやLSI等の半導体集積回路を製造するためには、半導体ウエハ等に対して各種の成膜処理、酸化拡散処理、エッチング処理等を繰り返し行なうが、各処理を行なうにあたって、半導体ウエハを対応する装置間で搬送する必要がある。この場合、周知のように歩留り向上の上から半導体ウエハの表面にはパーティクルや自然酸化膜を付着形成することを避ける必要があるので、高集積化及び高微細化の要請が大きくなるに従って、ウエハの搬送には内部が密閉された被処理体用容器として被処理体収容ボックスが用いられる傾向にある。
この被処理体収容ボックスは、いわゆるスミフボックス(登録商標)或いはFOUPボックス(主に300mmウエハ用のケース)とも称されており、窒素や空気などの清浄気体で満たされた密閉容器内に複数枚、例えば10枚程度の半導体ウエハを密閉状態で収容するようになっている。そして、処理装置内でウエハを搬送する場合には、このボックスを使用することにより、ウエハを大気に晒すことなく搬送することができるので、ウエハ表面にパーティクルや自然酸化膜等が付着することを防止することができる。
このような被処理体収容ボックスを用いた場合、この被処理体収容ボックスは、搬送された処理装置において、処理の直前に清浄雰囲気中でボックスの蓋体が開かれてウエハが例えばウエハボート等に移載されることになり、その後、直ちにこのウエハに対して所定の処理が施される。このような処理装置は、例えば特許文献1、2等に開示されている。
ここで従来の処理装置の一例を説明する。図14は従来の処理装置の一例を示す概略断面図、図15は処理装置の移載室内を示す概略斜視図、図16は移載室に用いられるフィルタユニットを示す断面図、図17は移載室に供給される清浄気体の流れの一例を示す斜視図、図18は移載室内に流れる清浄気体の流速と乱流の測定結果を示す図である。
図14に示すように、この処理装置2は、前段の収容ボックス搬送エリア4と後段のウエハ移載エリア6の2つのエリアに分けられている。この処理装置2の外周全体は区画壁となる箱状の筐体8で覆われており、上記収容ボックス搬送エリア4とウエハ移載エリア6とは筐体8内の中央部に設けた中央区画壁10により区画分離されている。上記収容ボックス搬送エリア4の前面区画壁12には容器搬出入口14が設けられると共に、この容器搬出入口14の外側には、容器搬出入ポート16が設けられており、この容器搬出入ポート16上に、外部より搬送してきた前述したスミフボックスのような被処理体用容器である被処理体収容ボックス18を設置できるようになっている。
この収容ボックス18内には、例えば直径が300mmのウエハWが10枚程度多段に支持されており、その内部はN2 ガスのような不活性ガスが満たされて蓋部18aにより開閉可能になされている。尚、ウエハWのサイズは上記サイズに限定されず、例えば直径が200mm、150mmのものでもよい。また容器搬出入口14の内側には、開閉ドア20が設けられており、この開閉ドア20の下方には、上記開閉ドア20の開閉機能を有する伸縮可能なドア開閉機構22が設けられている。尚、この開閉ドア20やドア開閉機構22は設けない場合もある。
上記収容ボックス搬送エリア4内の上部には、複数段になされた棚状のストッカ部24が設けられており、この収容ボックス搬送エリア4内に取り込んだ被処理体収容ボックス18を、その中に収容されているウエハの処理順番がくるまで上記ストッカ部24に載置して待機させるようになっている。そして、この収容ボックス搬送エリア4内には、屈伸及び旋回可能になされたボックス搬送アーム26が、昇降エレベータ28により上下動可能に設けられており、上記容器搬出入ポート16とストッカ部24との間で上記被処理体収容ボックス18を搬送できるようになっている。尚、必要な場合には、容器搬出入ポート16の被処理体収容ボックス18を内部へ取り込むための第2のボックス搬送アーム(図示せず)を設けるようにしてもよい。また、図示されていないが、この収容ボックス搬送エリア4内には、清浄気体、例えば清浄な空気やN2 ガス等の不活性ガスのダウンフローが形成されており、高い清浄度が保たれている。
一方、ウエハ搬送エリア6においては、筐体8内の中央部に区画壁となるベースプレート30が水平方向に設けられており、上側の処理空間32と下側の移載室34とに区画分離されている。そして、上記処理空間32には、被処理体である半導体ウエハWに対して所定の処理を施すための縦型の処理ユニット36が上記ベースプレート30に支持させて設けられている。この処理ユニット36は、例えば石英製の有天井の筒体状の処理容器36aを有しており、その下端には開口部36bが形成されて上記移載室34に向けて開放されている。この開口部36bから上記処理容器36a内へ半導体ウエハWが搬出入される。
このウエハWは、被処理体保持手段である石英製のウエハボート52に多段に多数枚支持されており(図示例ではアンロード状態)、処理容器36a内へロードした時に上記開口部36bをキャップ部54により気密に閉じるようになっている。また上記処理容器36aの周囲には、ウエハWを加熱するための加熱ヒータ部38が設けられている。更に、この処理容器36aには、図示されないが、処理に必要なガス供給系や容器内雰囲気を真空排気するための排気系等が設けられる。尚、この処理ユニット36は、処理の態様により種々の構造があり、また、プラズマ処理を行う場合には、プラズマ発生機構を有するものもある。
また、上記移載室34は、上記ベースプレート30、中央区画壁10の下半分の区画壁10a、底部区画壁40、裏面区画壁42及び両側の側部区画壁(図示せず)により囲まれて形成され、略密閉状態になされている。上記中央区画壁10の下半分の区画壁10aには、ウエハ搬出入口44が設けられると共に、このウエハ搬出入口44の収容ボックス搬送エリア4側には、容器ステージ46が設けられており、この容器ステージ46上に搬送してきた被処理体収容ボックス18を設定するようになっている。ここで、上記容器ステージ46に対する上記被処理体収容ボックス18の搬送は、先のボックス搬送アーム26によって行われる。
また上記ウエハ搬出入口44の内側には、開閉ドア48が設けられており、この開閉ドアの下方には、上記開閉ドア48と上記被処理体収容ボックス18の蓋部18aの両者の開閉機能を有する伸縮可能な蓋開閉機構50が設けられている。また、このウエハ搬出入口44の近傍には、屈伸及び旋回可能になされた搬送アーム機構56が昇降エレベータ58により上下動可能に設けられており、上記容器ステージ46上の被処理体収容ボックス18とウエハボート52との間でウエハWの移載を行うようになっている。尚、上記搬送アーム機構56は、1枚、或いは複数枚のウエハWを同時に搬送することができるようになっている。
また、上記移載室34の後方側(図14中の右側)には、上記キャップ部54を有して、その上方に保温筒等を介してウエハボート52を支持したボートエレベータのような昇降機構60が設けられており、前述したように、この昇降機構60を上下方向に駆動することにより、上記ウエハボート52に多段に保持されているウエハWを処理容器36a内に対してロード、或いはアンロードできるようになっている。
また、この移載室34内には、図15に示すようにウエハボート52を設置できるチャージステージ62a、スタンバイステージ62b(図14では記載省略)とが設けられており、2台のウエハボート52(図示例では1台のみ記す)を用いることによって一方のウエハボートでウエハ処理を行っている時に、他方のウエハボートでウエハの移載を行うようにして効率的稼働を実現させるようになっている。この場合には、キャップ部54上と上記各ステージとの間でウエハボートを搬送するためのボートトランスファ64が設けられる。尚、上記チャージステージ62a、スタンバイステージ62b及びボートトランスファ64を設けないで、1台のウエハボートでウエハ処理を行う処理装置もある。
さて、このような移載室34では、前述したように被処理体収容ボックス18の蓋部18aが外されて、この中に収容されていたウエハWが移載のために外部雰囲気に晒されることになるので、パーティクル等の付着を防止するために特に高い清浄度が求められる。そのため、この移載室34を区画する区画壁の一側壁側には、清浄気体を水平方向に吹き出すためのフィルタユニットが設けられている。具体的には、図14及び図15に示すように、ここでは中央区画壁10に隣り合う側壁の内の一方の側壁である区画壁66に2つの縦長のフィルタユニット68、70が左右に並列させて設けられており、水平方向に向けて清浄気体を吹き出すようになっている。
この2つのフィルタユニット68、70は構造上の制約からある程度の距離だけ離間させて配置されており、全体的に中央区画壁10側にできるだけ寄せて設けられている。各フィルタユニット68、70は、同じ構造になされており、例えば図16に示すように中空状の縦長の箱体72の前面側に、多数の通気孔74を有するパンチングメタルのような半閉止板76を設け、その内側にHEPAフィルタやULPAフィルタやケミカルフィルタよりなるフィルタ部78を設けている。そして、上記フィルタ部78の背面側には気体を流す流路80が形成されており、下方の開口82より上記流路80内を上昇してくる清浄気体を上記フィルタ部78に通過させた後に、半閉止板76の各通気孔74から前方側の外へ吹き出すようになっている。
上記各フィルタユニット68、70へ清浄気体を供給するために、上記各フィルタユニット68、70の下部は、中空状になされた底部ダクト84により連通されている。そして、各フィルタユニット68、70の下部に対応する部分には、底部ダクト84内を流れてくる清浄気体を上方へ立ち上げてフィルタユニット68、70内へ送り込むための送風ファン86がそれぞれ設けられている。また、この底部ダクト84の上流側にも清浄気体を送るメインファン88が必要に応じて設けられている(図15参照)。
そして、上記フィルタユニット68、70の対向側には清浄気体を排出するための排出部90が設けられている(図15参照)。この排出部90から排出された清浄気体は、移載室34内を1回通っただけのワンパスでそのまま外気へ放出される場合もあるし、ダクト状の循環通路92(図15参照)を介して一部、或いは全部の清浄気体が循環使用される場合もある。
図17は清浄気体の流れの一例を示す図であり、図17(A)はワンパスの流れを示し、図17(B)は循環使用の流れを示している。図17(A)に示す場合には、天井部側の導入ダクト94を介して搬送してきた清浄気体を上記底部ダクト84へ導き、この底部ダクト84内に沿って水平方向に流れた清浄気体は、上記各フィルタユニット68、70内へ導入される。そして、各フィルタユニット68、70の前面より水平方向へ吹き出された清浄気体は層流状態となって移載室34内を水平方向へ流れ、反対側の壁面に衝突した後に下方向へその流れ方向が変えられ、最終的に排出部90から系外へ排出されている。ここでは排出部90に排気を促進させる排気ファン96が設けられている。尚、ここでは循環通路92(図15参照)は用いられていない。
図17(B)に示す場合には、移載室34の底部に設けた図示しない気体導入口より底部ダクト84内へ清浄気体は供給され、この底部ダクト84内に沿って水平方向に流れた清浄気体は上記各フィルタユニット68、70内へ導入される。そして、各フィルタユニット68、70の前面より水平方向へ吹き出された清浄気体は層流状態となって移載室34内を水平方向へ流れ、反対側の壁面に衝突した後に下方向へその流れ方向が変えられ、最終的に排出部90に吹い込まれる。この吹い込まれた清浄気体は、その一部、或いは全部が循環通路92を介して元の底部ダクト84側へ戻されて循環使用されることになる。また、図17(B)に示す装置の場合には、フィルタユニット68、70に対向させて冷却用ラジエータ98が設けられており、この冷却用ラジエータ98で取り込んだ清浄気体は、冷却されつつ上記排出部90側へ送られるようになっている。
また、図17では清浄気体が流れる形態の単に一例を示したに過ぎない。例えばこの他の処理装置として、フィルタユニット68、70に対向する反対側の区画壁に、これよりある程度の距離だけ離して、例えばパンチングメタルのような半閉止板を設けて排出部を全面に亘って設け、更に、移載室34の底部に循環流路を設けて上記半閉止板で構成される排出部で取り込んだ清浄気体を底部に設けた循環流路側に流して底部ダクト84側に戻し、一部、或いは全部の清浄気体を循環使用するようにした処理装置も知られている。ここで上記清浄気体としては、清浄な空気やN2 等の不活性ガスが用いられるが、図17(A)に示すようなワンパスの場合には清浄な空気が主として用いられ、図17(B)に示すような循環形式の場合には、主としてN2 ガス等の不活性ガスが用いられる。
特開2002−76090号公報
特開2002−176045号公報
ところで、上述したように各フィルタユニット68、70から吹き込まれる清浄気体は水平方向へ層流状態で流されているので、移載室34の中で十分にこの層流に晒される半導体ウエハWにはパーティクルが非常に付着し難くて良好な効果をもたらしている。
しかしながら、フィルタユニット68、70の配置、或いは配列に起因して、移載室34内に局所的に清浄気体が流れ難くて滞留し易い領域が発生しており、この結果、この滞留領域にパーティクル等が一時的に留まり、これが半導体ウエハに付着する、といった恐れがあった。
具体的には、図18は移載室内に流れる清浄気体の流速と乱流の測定結果の図を示しており、図18(A)は水平方向の断面を示し、図18(B)は図18(A)中のA−A線矢視図である垂直断面を示している。ここでは図18(A)では11点で測定が行われ、図18(B)では12点で測定が行われている。この測定には3次元風速計を用いている。図中の直線はその断面方向における清浄気体の流速を示し、円の直径は乱流の大きさを示している。
図から明らかなように、各フィルタユニット68、70の前方においては、清浄気体の風速は十分にあり、しかもそれ程乱流も大きくなくて層流状態が維持されているので、それ程問題は生じていない。
しかしながら、両フィルタユニット68、70の間隙部100の前方や裏面区画壁42の近傍、すなわち奥側のフィルタユニット70と裏面区画壁42との間の間隙部102の前方や両フィルタユニット68、70の下端よりも更に下方の底部には、層流が直接に届かずにそれぞれ斜線で示されるような清浄気体の滞留領域X1、X2、X3が発生してしまっていた。
上述したように、このような滞留領域X1、X2、X3が発生すると、ここに留まるパーティクル等がウエハ表面に付着して製品歩留まりを低下させる、といった恐れがあった。特に、滞留領域X1の下方はスタンバイステージ62b(図18参照)に対応しているので、この滞留領域X1内にウエハボート52が位置する場合があり、この滞留領域X1を特になくしたい、という要請が強かった。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、移載室内において清浄気体の滞留領域が発生することを防止し、もって、移載室内の全体で高い清浄度を維持することが可能な処理装置を提供することにある。
請求項1に係る発明は、下端に形成された開口部から複数枚の被処理体が多段に支持された被処理体保持手段を挿入して密閉状態で前記被処理体に対して所定の処理を施す縦型の処理ユニットと、前記処理ユニットの下方に設けられて前記被処理体保持手段に対して前記被処理体の移載を行うために区画壁で囲まれた移載室と、前記移載室内に設けられて前記被処理体保持手段を前記処理ユニットに対して昇降させる昇降機構と、前記区画壁に設けられて前記被処理体を複数枚収容する被処理体用容器を設置するための容器ステージと、前記被処理体用容器と前記被処理体保持手段との間で前記被処理体の移載を行う搬送アーム機構と、前記移載室へ清浄気体を水平方向に吹き出すために前記区画壁の一側壁側に左右に並列させて設けた少なくとも2つのフィルタユニットと、前記吹き出された清浄気体を排出するために前記フィルタユニットの対向側に設けられた排出部と、前記処理ユニットを支持するために前記隣り合うフィルタユニット間の間隙部に対応させて設けられた中空の支柱と、を有する処理装置において、前記支柱に吸入口を形成して前記支柱を第1の吸入ダクトと兼用させるように構成したことを特徴とする処理装置である。
このように、前記隣り合うフィルタユニット間の間隙部に対応させて設けた中空の支柱に吸入口を形成して第1の吸入ダクトを兼用させるようにしたので、上記間隙部の前方における雰囲気を吸込口から吸い込むことができ、この結果、間隙部の前方において清浄気体の流れを発生させることができるので、ここに滞留領域が発生することを防止することができる。従って、移載室内の全体で高い清浄度を維持することができる。
この場合、例えば請求項2に記載したように、前記容器ステージが設けられた区画壁に対向する位置にある裏面区画壁と、該裏面区画壁に隣接する前記フィルタユニットとの間の間隙部に対応させて吸入口が形成された第2の吸入ダクトを設けるように構成することができる。
このように、容器ステージが設けられた区画壁に対向する位置にある裏面区画壁と、裏面区画壁に隣接するフィルタユニットとの間の間隙部に対応させて吸入口が形成された第2の吸入ダクトを設けるようにしたので、上記間隙部の前方における雰囲気を吸込口から吸い込むことができ、この結果、間隙部の前方において清浄気体の流れを発生させることができるので、ここに滞留領域が発生することを防止することができる。従って、移載室内の全体で高い清浄度を維持することができる。
この場合、請求項3に記載したように、前記第2の吸入ダクトは、前記処理ユニットを支持するために前記区画壁に設けられた中空の支柱が兼用されている。
また、例えば請求項4に記載したように、前記各フィルタユニットの下部は、前記清浄気体を供給する底部ダクトにより連通されると共に、送風ファンが内蔵されている。
また例えば、例えば請求項5に記載したように、前記底部ダクトの側壁は、複数の吸入口が形成された半閉止板として構成されている。
このように、底部ダクトの側壁として半閉止板を用いているので、移載室内の底部における雰囲気を吸入口から吸い込むことができ、この結果、移載室内の底部において清浄気体の流れを発生させることができ、ここに滞留領域が発生することを防止することができる。従って、移載室内の全体で高い清浄度を維持することができる。
また例えば請求項6に記載したように、前記第1及び第2の吸込みダクトの下端部は前記送風ファンの一次側に連通されている。
また例えば請求項7に記載したように、前記第1及び第2の吸入ダクトの下端部には、吸入用ファンが設けられている。
また例えば請求項8に記載したように、前記吸入口は、前記吸入ダクトの上下方向に沿って複数個設けられており、前記吸入口の開口面積は下方に行くに従って順次小さくなるように設定されている。
また例えば請求項9に記載したように、前記吸入口は、開口面積が一定で前記吸入ダクトの上下方向に沿って複数個設けられており、前記吸入口のピッチは下方に行くに従って順次大きくなるように設定されている。
また例えば請求項10に記載したように、前記排出部から排出された清浄気体の全部、或いは一部は循環通路を通って循環使用される。
本発明の関連技術は、下端に形成された開口部から複数枚の被処理体が多段に支持された被処理体保持手段を挿入して密閉状態で前記被処理体に対して所定の処理を施す縦型の処理ユニットと、前記処理ユニットの下方に設けられて前記被処理体保持手段に対して前記被処理体の移載を行うために区画壁で囲まれた移載室と、前記移載室内に設けられて前記被処理体保持手段を前記処理ユニットに対して昇降させる昇降機構と、前記区画壁に設けられて前記被処理体を複数枚収容する被処理体用容器を設置するための容器ステージと、前記被処理体用容器と前記被処理体保持手段との間で前記被処理体の移載を行う搬送アーム機構と、前記移載室へ清浄気体を水平方向に吹き出すために前記区画壁の一側壁側に左右に並列させて設けた少なくとも2つのフィルタユニットと、前記吹き出された清浄気体を排出するために前記フィルタユニットの対向側に設けられた排出部と、前記排出部から排出された清浄気体の全部、或いは一部を前記フィルタユニット側へ戻して循環使用するために前記筐体の底部に設けた循環通路と、を有する処理装置において、前記循環通路を区画する通路用区画壁は、前記移載室を臨むように複数の吸入口が形成された半閉止板として構成されていることを特徴とする処理装置である。
このように、循環通路を区画する通路用区画壁は、前記移載室を臨むように複数の吸入口が形成された半閉止板として構成したので、移載室内の底部における雰囲気を吸入口から吸い込むことができ、この結果、移載室内の底部において清浄気体の流れを発生させることができ、ここに滞留領域が発生することを防止することができる。従って、移載室内の全体で高い清浄度を維持することができる。
この場合、例えば前記循環通路は、前記移載室を区画する筐体の底部の全面に亘って形成されている。
また例えば前記吸入口が形成されている領域は、前記移載室を区画する筐体の底部全体の面積の内の前記フィルタユニット側の領域である。
また例えば前記各フィルタユニットの下部は、前記清浄気体を供給する底部ダクトにより連通されると共に、送風ファンが内蔵されている。
また例えば前記底部ダクトの側壁は、複数の吸入口が形成された半閉止板として構成されている。
本発明の他の関連技術は、下端に形成された開口部から複数枚の被処理体が多段に支持された被処理体保持手段を挿入して密閉状態で前記被処理体に対して所定の処理を施す縦型の処理ユニットと、前記処理ユニットの下方に設けられて前記被処理体保持手段に対して前記被処理体の移載を行うために区画壁で囲まれた移載室と、前記移載室内に設けられて前記被処理体保持手段を前記処理ユニットに対して昇降させる昇降機構と、前記区画壁に設けられて前記被処理体を複数枚収容する被処理体用容器を設置するための容器ステージと、前記被処理体用容器と前記被処理体保持手段との間で前記被処理体の移載を行う搬送アーム機構と、前記移載室へ清浄気体を水平方向に吹き出すために前記区画壁の一側壁側に左右に並列させて設けた少なくとも2つのフィルタユニットと、前記吹き出された清浄気体を排出するために前記フィルタユニットの対向側に設けられた排出部と、を有する処理装置における清浄気体の排出方法において、前記移載室内の前記清浄気体が滞留する領域に臨ませ気体を吸い込む吸入口を設けて、前記滞留する清浄気体に流れを形成して排出するように構成したことを特徴とする処理装置における清浄気体の排出方法である。
この場合、例えば前記清浄気体が滞留する領域は、前記隣り合うフィルタユニット間の間隙部の前方の領域である。
また例えば前記容器ステージが設けられた区画壁に対向する位置にある裏面区画壁と、該裏面区画壁に隣接する前記フィルタユニットとの間の間隙部の前方の領域である。
また例えば前記排出部から排出された清浄気体の全部、或いは一部は前記筐体の底部に設けた循環通路を介して循環使用されており、前記清浄気体が滞留する領域は、前記移載室の底部である。
本発明に係る処理装置によれば、次のような優れた作用効果を発揮することができる。
本発明によれば、移載室内の清浄気体が滞留する領域に臨ませ気体を吸い込む吸入口を設けて、滞留する清浄気体に流れを形成して排出するように構成して、清浄気体の流れを形成させるようにしたので、この結果、清浄気体の滞留領域が発生することを防止することができる。従って、移載室内の全体で高い清浄度を維持することができる。
また、隣り合うフィルタユニット間の間隙部に対応させて設けた中空の支柱に吸入口を形成して第1の吸入ダクトを兼用させるようにしたので、上記間隙部の前方における雰囲気を吸込口から吸い込むことができ、この結果、間隙部の前方において清浄気体の流れを発生させることができるので、ここに滞留領域が発生することを防止することができる。従って、移載室内の全体で高い清浄度を維持することができる。
また特に請求項2に係る発明によれば、容器ステージが設けられた区画壁に対向する位置にある裏面区画壁と、裏面区画壁に隣接するフィルタユニットとの間の間隙部に対応させて吸入口が形成された第2の吸入ダクトを設けるようにしたので、上記間隙部の前方における雰囲気を吸込口から吸い込むことができ、この結果、間隙部の前方において清浄気体の流れを発生させることができるので、ここに滞留領域が発生することを防止することができる。従って、移載室内の全体で高い清浄度を維持することができる。
また特に請求項5に係る発明によれば、底部ダクトの側壁として半閉止板を用いているので、移載室内の底部における雰囲気を吸入口から吸い込むことができ、この結果、移載室内の底部において清浄気体の流れを発生させることができ、ここに滞留領域が発生することを防止することができる。従って、移載室内の全体で高い清浄度を維持することができる。
また特に請求項10に係る発明によれば、循環通路を区画する通路用区画壁は、前記移載室を臨むように複数の吸入口が形成された半閉止板として構成したので、移載室内の底部における雰囲気を吸入口から吸い込むことができ、この結果、移載室内の底部において清浄気体の流れを発生させることができ、ここに滞留領域が発生することを防止することができる。従って、移載室内の全体で高い清浄度を維持することができる。
以下に、本発明に係る処理装置の好適一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る処理装置の一例を示す概略断面図、図2は本発明に係る処理装置の移載室内を示す概略斜視図、図3は本発明の処理装置の第1実施例における移載室内の状態を示す概略図であり、図3(A)は概略横断面図、図3(B)は概略縦断面図を示す。また図4は吸入ダクトの変形例を示す図、図5は第1実施例における移載室内の清浄気体の流れを示す図である。
図1に示すように、本発明に係る処理装置110は、後述する吸入ダクトを設けた点等を除いて、従来の処理装置と略同じなので、先に説明した従来の処理装置と同一構造については同一符号を付して説明する。
まず、この処理装置110は、前段の収容ボックス搬送エリア4と後段のウエハ移載エリア6の2つのエリアに分けられている。この処理装置110の外周全体は区画壁となる箱状の筐体8で覆われており、上記収容ボックス搬送エリア4とウエハ移載エリア6とは筐体8内の中央部に設けた中央区画壁10により区画分離されている。上記収容ボックス搬送エリア4の前面区画壁12には容器搬出入口14が設けられると共に、この容器搬出入口14の外側には、容器搬出入ポート16が設けられており、この容器搬出入ポート16上に、外部より搬送してきた前述したスミフボックスやFOUPボックスのような被処理体用容器である被処理体収容ボックス18を設置できるようになっている。
この収容ボックス18内には、例えば直径が300mmのウエハWが10枚程度多段に支持されており、その内部はN2 ガスのような不活性ガスが満たされて蓋部18aにより開閉可能になされている。尚、ウエハWのサイズは上記サイズに限定されず、例えば直径が200mm、150mmのものでもよい。また容器搬出入口14の内側には、開閉ドア20が設けられており、この開閉ドア20の下方には、上記開閉ドア20の開閉機能を有する伸縮可能なドア開閉機構22が設けられている。尚、この開閉ドア20やドア開閉機構22は設けない場合もある。
上記収容ボックス搬送エリア4内の上部には、複数段になされた棚状のストッカ部24が設けられており、この収容ボックス搬送エリア4内に取り込んだ被処理体収容ボックス18を、その中に収容されているウエハの処理順番がくるまで上記ストッカ部24に載置して待機させるようになっている。そして、この収容ボックス搬送エリア4内には、屈伸及び旋回可能になされたボックス搬送アーム26が、昇降エレベータ28により上下動可能に設けられており、上記容器搬出入ポート16とストッカ部24との間で上記被処理体収容ボックス18を搬送できるようになっている。尚、必要な場合には、容器搬出入ポート16の被処理体収容ボックス18を内部へ取り込むための第2のボックス搬送アーム(図示せず)を設けるようにしてもよい。また、図示されていないが、この収容ボックス搬送エリア4内には、清浄気体、例えば清浄な空気やN2 ガス等の不活性ガスのダウンフローが形成されており、高い清浄度が保たれている。
一方、ウエハ搬送エリア6においては、筐体8内の中央部に区画壁となるベースプレート30が水平方向に設けられており、上側の処理空間32と下側の移載室34とに区画分離されている。そして、上記処理空間32には、被処理体である半導体ウエハWに対して所定の処理を施すための縦型の処理ユニット36が上記ベースプレート30に支持させて設けられている。この処理ユニット36は、例えば石英製の有天井の筒体状の処理容器36aを有しており、その下端には開口部36bが形成されて上記移載室34に向けて開放されている。この開口部36bから上記処理容器36a内へ半導体ウエハWが搬出入される。
このウエハWは、被処理体保持手段である石英製のウエハボート52に多段に多数枚支持されており(図示例ではアンロード状態)、処理容器36a内へロードした時に上記開口部36bをキャップ部54により気密に閉じるようになっている。また上記処理容器36aの周囲には、ウエハWを加熱するための加熱ヒータ部38が設けられている。更に、この処理容器36aには、図示されないが、処理に必要なガス供給系や容器内雰囲気を真空排気するための排気系等が設けられる。尚、この処理ユニット36は、処理の態様により種々の構造があり、また、プラズマ処理を行う場合には、プラズマ発生機構を有するものもある。
また、上記移載室34は、上記ベースプレート30、中央区画壁10の下半分の区画壁10a、底部区画壁40、裏面区画壁42及び両側の側部区画壁(図示せず)により囲まれて形成され、略密閉状態になされている。上記中央区画壁10の下半分の区画壁10aには、ウエハ搬出入口44が設けられると共に、このウエハ搬出入口44の収容ボックス搬送エリア4側には、容器ステージ46が設けられており、この容器ステージ46上に搬送してきた被処理体収容ボックス18を設定するようになっている。ここで、上記容器ステージ46に対する上記被処理体収容ボックス18の搬送は、先のボックス搬送アーム26によって行われる。尚、オペレータがハンドリングにより上記被処理体収容ボックス18を上記容器ステージ46上に直接載置するようにした構成でもよく、この場合には、前述した収容ボックス搬送エリア4側の構造を省略して全てなくすことができる。
また上記ウエハ搬出入口44の内側には、開閉ドア48が設けられており、この開閉ドアの下方には、上記開閉ドア48と上記被処理体収容ボックス18の蓋部18aの両者の開閉機能を有する伸縮可能な蓋開閉機構50が設けられている。また、このウエハ搬出入口44の近傍には、屈伸及び旋回可能になされた搬送アーム機構56が昇降エレベータ58により上下動可能に設けられており、上記容器ステージ46上の被処理体収容ボックス18とウエハボート52との間でウエハWの移載を行うようになっている。尚、上記搬送アーム機構56は、1枚、或いは複数枚のウエハWを同時に搬送することができるようになっている。
また、上記移載室34の後方側(図1中の右側)には、上記キャップ部54を有して、その上方に保温筒等を介してウエハボート52を支持したボートエレベータのような昇降機構60が設けられており、前述したように、この昇降機構60を上下方向に駆動することにより、上記ウエハボート52に多段に保持されているウエハWを処理容器36a内に対してロード、或いはアンロードできるようになっている。
また、この移載室34内には、図15に示すようにウエハボート52を設置できるチャージステージ62a、スタンバイステージ62b(図1では記載省略)とが設けられており、2台のウエハボート52(図示例では1台のみ記す)を用いることによって一方のウエハボートでウエハ処理を行っている時に、他方のウエハボートでウエハの移載を行うようにして効率的稼働を実現させるようになっている。この場合には、キャップ部54上と上記各ステージとの間でウエハボートを搬送するためのボートトランスファ64が設けられる。尚、上記チャージステージ62a、スタンバイステージ62b及びボートトランスファ64を設けないで、1台のウエハボートでウエハ処理を行う処理装置もある。
さて、このような移載室34では、前述したように被処理体収容ボックス18の蓋部18aが外されて、この中に収容されていたウエハWが移載のために外部雰囲気に晒されることになるので、パーティクル等の付着を防止するために特に高い清浄度が求められる。そのため、この移載室34を区画する区画壁の一側壁側には、清浄気体を水平方向に吹き出すためのフィルタユニットが設けられている。具体的には、図1乃至図3に示すように、ここでは中央区画壁10に隣り合う側壁の内の一方の側壁である区画壁66に2つの縦長のフィルタユニット68、70が左右に並列させて設けられており、水平方向に向けて清浄気体を吹き出すようになっている。
この2つのフィルタユニット68、70は構造上の制約からある程度の距離だけ離間させて配置されており、全体的に中央区画壁10側にできるだけ寄せて設けられている。各フィルタユニット68、70は、同じ構造になされており、例えば前述した図16に示すように中空状の縦長の箱体72の前面側に、多数の通気孔74を有するパンチングメタルのような半閉止板76を設け、その内側にHEPAフィルタやULPAフィルタやケミカルフィルタよりなるフィルタ部78を設けている。そして、上記フィルタ部78の背面側には気体を流す流路80が形成されており、下方の開口82より上記流路80内を上昇してくる清浄気体を上記フィルタ部78に通過させた後に、半閉止板76の各通気孔74から前方側の外へ吹き出すようになっている。
図1乃至図3に戻って、上記各フィルタユニット68、70へ清浄気体を供給するために、上記各フィルタユニット68、70の下部は、中空状になされた底部ダクト84により連通されている。そして、各フィルタユニット68、70の下部に対応する部分には、底部ダクト84内を流れてくる清浄気体を上方へ立ち上げてフィルタユニット68、70内へ送り込むための送風ファン86がそれぞれ設けられている。また、この底部ダクト84の上流側にも清浄気体を送るメインファン88が必要に応じて設けられている(図2参照)。
そして、上記フィルタユニット68、70の対向側には清浄気体を排出するための排出部90が設けられている(図2参照)。この排出部90から排出された清浄気体は、移載室34内を1回通っただけのワンパスでそのまま外気へ放出される場合もあるし、ダクト状の循環通路92(図2参照)を介して一部、或いは全部の清浄気体が循環使用される場合もある。
さて、このように形成された移載室34内において、本発明では清浄気体が滞留する領域に臨ませて気体を吹込みする吸入口を設けて、この滞留する清浄気体に流れを形成して排出するようにしている。具体的には、まず上記区画壁66に隣り合うように並設された上記フィルタユニット68、70間の間隙部100に対応させて吸入口112aが形成された第1の吸入ダクト112を設けている。この第1の吸入ダクト112は、例えばステンレス材等の金属よりなるパイプ部材114により形成されており、その直径は例えば30〜70mm程度である。このパイプ部材114の上端は閉じられており、上記吸入口112aはその前面側、すなわち移載室34の中央部側を臨む面側に多数個、上下方向に形成されている。
この吸入口112aの開口面積やピッチは特に限定されるものでなく、また、吸入口112aの形状も円形に限定されず、例えば正方形、長方形、或いはスリット状に形成してもよい。更に、この吸入口112aの開口面積は、図4に示すように下方に行くに従って順次小さくなるように設定してもよく、この場合には各吸入口112aから均一に雰囲気を吹込みすることが可能となる。
そして、この第1の吸入みダクト112の下端部は、下方に位置する底部ダクト84に接続されており、上記第1の吸入みダクト112内が上記底部ダクト84内に連通されている。この場合、この第1の吸入みダクト112の下端部の接続箇所は、上記フィルタユニット68、70の下方に対応させて設けた各送風ファン86の一次側、すなわち吸い込み側に連通するように接続されており、この第1の吸入みダクト112により移載室34内の雰囲気を吸入できるようになっている。
そして、上記第1の吸入ダクト112の下端部の直下には、図3(B)に示すように小型の吸入用ファン116を設けるようにしており、この第1の吸入ダクト112による吸入力を促進させるようになっている。尚、上記送風ファン86による吸入力が十分大きい場合には、この吸入用ファン116を設けなくてもよい。
また、同様に、上記裏面区画壁42とこれに隣接する奥側のフィルタユニット70との間の間隙部102(図3(A)参照)に対応させて吸入口118aが形成された第2の吸入ダクト118を設けている。この第2の吸入ダクト118は、上記第1の吸入ダクト112と全く同様に形成されている。この第2の吸入ダクト118は、例えばステンレス材等の金属よりなるパイプ部材119により形成されており、その直径は例えば30〜70mm程度である。このパイプ部材119の上端は閉じられており、上記吸入口118aはその前面側、すなわち移載室34の中央部側を臨む面側に多数個、上下方向に形成されている。
この吸入口118aの開口面積やピッチは特に限定されるものでなく、また、吸入口118aの形状も円形に限定されず、例えば正方形、長方形、或いはスリット状に形成してもよい。更に、この吸入口118aの開口面積は、図4(A)に示すように下方に行くに従って順次小さくなるように設定してもよく、或いは図4(B)に示すように吸入口118aの開口面積を同一(一定)にして、下方に行くに従って穴ピッチが順次大きくなるように設定してもよい。この場合には各吸入口118aから均一に雰囲気を吹込みすることが可能となる。
そして、この第2の吸入みダクト118の下端部は、下方に位置する底部ダクト84に接続されており、上記第2の吸入みダクト118内が上記底部ダクト84内に連通されている。この場合、この第2の吸入みダクト118の下端部の接続箇所は、上記フィルタユニット68、70の下方に対応させて設けた各送風ファン86の一次側、すなわち吸い込み側に連通するように接続されており、この第2の吸入みダクト118により移載室34内の雰囲気を吸入できるようになっている。
そして、上記第2の吸入ダクト118の下端部の直下には、図3(B)に示すように小型の吸入用ファン120を設けるようにしており、この第2の吸入ダクト118による吸入力を促進させるようになっている。尚、上記送風ファン86による吸入力が十分大きい場合には、この吸入用ファン120を設けなくてもよいし、また、第2の吸入みダクト118の前方には、ウエハボート52が位置することはないので、必要とされる清浄度がそれ程高くない場合には、この第2の吸入みダクト118や吸入用ファン120を設けないで省略するようにしてもよい。
次に、以上のように構成された処理装置110の動作について説明する。
まず、この処理装置110の前面の容器搬出入ポート16上に被処理体収容ボックス18が載置されると収容ボックス搬送エリア4内のドア開閉機構22の伸縮動作により開閉ドア20を開き、更に、上下動可能になされたボックス搬送アーム26により上記容器搬出入ポート16上の被処理体収容ボックス18を収容ボックス搬送エリア4内へ搬入して取り込む。この収容ボックス搬送エリア4内には清浄気体のダウンフローが形成され、高い清浄度に保たれている。
上記取り込まれた被処理体収容ボックス18は、ストッカ部24に一旦保管して待機される場合もあるし、直接的に容器ステージ46上に載置される場合もある。また、ストッカ部24に保管されているウエハWの処理の順番が到来した場合には、そのストッカ部24から被処理体収容ボックス18を取り出して容器ステージ46上に載置する。
このように、容器ステージ46上に被処理体収容ボックス18が載置されると、ウエハ移載エリア6における移載室34内の蓋開閉機構50が伸縮動作し、中央区画壁10に設けた開閉ドア48を開いてウエハ搬出入口44を開放すると共に、容器ステージ46上の被処理体収容ボックス18の蓋部18aを開いて、被処理体収容ボックス18内を開放する。この際、この被処理体収容ボックス18は、図示しない押圧機構によりウエハ搬出入口44側へ押圧されて中央区画壁10側へ気密に接している。
このように、開閉ドア48及び蓋部18aが開放されたならば、搬送アーム56を屈伸及び上下駆動させることにより、上記開放された収容ポート46上の被処理体収容ボックス18内のウエハWを空のウエハボート52へ移載する。この場合、装置構成により、ウエハボート52はキャップ部54上にすでに搭載されている場合もあるし、或いは、チャージステージ62a上やスタンバイステージ62b上(図2参照)に設置されている場合もある。
上記ウエハWのウエハボート52への移載が完了すると、このウエハボート52がチャージステージ62aやスタンバイステージ62b上にある場合には、このウエハボート52をボートトランスファ64により上記キャップ部54上に搭載する。
そして、昇降機構60を駆動することにより、上記ウエハWが保持されたウエハボート52を上昇させて上方に位置する処理ユニット36の処理容器36a内へ上記ウエハボート52をその下端の開口部36bよりロード(搬入)し、この開口部36bをキャップ部54により密閉する。
このように、処理容器36a内が密閉されたならば、加熱ヒータ部38によりウエハWを所定の温度まで昇温したり、必要な処理ガスを供給するなどしてウエハWに対して所定の処理を施すことになる。
このように、ウエハWに対する所定の処理が完了したならば、昇降機構60を駆動してウエハボート52を降下させてこれを処理容器36a内からアンロードし、そして、前述したとは逆の経路を辿って処理済みのウエハWを搬出することになる。
ここで、上記移載室34内にウエハWが晒されている間、例えばウエハWのウエハボート52への移載時や処理済みウエハWの搬出時等には、この移載室34を区画する区画壁に設けた2つのフィルタユニット68、70からは清浄気体が水平方向へ吹き出されてパーティクル等がウエハWの表面に付着しないように、これを除去するようになっている。すなわち、移載室34内の下部の底部ダクト84内へ導入された清浄気体は、この底部ダクト84内を水平方向に流れ、この清浄気体は各フィルタユニット68、70の下方側に設けた送風ファン86によって各フィルタユニット68、70内へ送り込まれてこの内部を上昇し、各フィルタ部78(図16参照)と半閉止板76の通気孔74を通って移載室34内に向けて水平方向へ吹き出される。
この吹き出された清浄気体は層流状態となって移載室34内流れて行き、反対側の壁面に到達した後に、例えば下方に設けられた排出部90から排出されることになる。この排出部90から排出された清浄気体は、装置によってそのままワンパスのまま系外へ排出される場合もあるし、一部、或いは全部の清浄気体が循環使用される場合もある(図17参照)。
また上記反対側の壁面側の全体に例えばパンチングメタル等の半閉止板を設けてここに排出部を形成し、ここより排気した清浄気体の一部、或いは全部を移載室32の底部に設けた循環通路を介して底部ダクト84側へ戻して循環使用する場合もある。
ところで、従来の処理装置にあっては、図18において説明したように、2つのフィルタユニット68、70間の間隙部100の前方や奥側のフィルタユニット70と裏面区画壁42との間の間隙部102の前方や移載室32内の底部には、清浄気体の流れが停止、或いは非常に緩やか(低速に)になって清浄度が低下する滞留領域X1、X2、X3が発生し易かった。
しかしながら、この本発明の第1実施例においては、滞留領域X3を除いて、滞留領域X1、X2の発生を防止することができる。すなわち、上述のように2つのフィルタユニット68、70間の間隙部100や裏面区画壁42側の間隙部102に対応させて第1及び第2の吸込みダクト112、118を設けているので、図5に示すように、それらの前方に位置する雰囲気は、各吸込みダクト112、118内へその吸入口112a、118aを介して吸い込まれることになり、循環使用される。すなわち、これらの各吸込みダクト112、118の下端部に連結される底部ダクト84内は負圧になっているので、上記各吸込みダクト112、118内へはその前方の雰囲気が吸い込まれるように作用することになる。この場合、特に各吸込みダクト112、118の下端側に吸入用ファン116、120を設けていれば、その吸引力を一層大きくすることができる。
具体的には、図5(A)において、間隙部100の前方に位置する白抜きの矢印122で示される清浄気体は第1の吸込みダクト112内へ吸い込まれて再循環されることになり、間隙部102の前方に位置する白抜き矢印124で示される清浄気体は第2の吸込みダクト118内へ吸い込まれて再循環させることになる。従って、図18(A)で示したような滞留領域X1、X2に気体の流れを生ぜしめることができ、このような滞留領域X1、X2の発生を防止することができる。
このように、隣り合うフィルタユニット68、70間の間隙部100に対応させて吸入口112aが形成された第1の吸入ダクト112を設けるようにしたので、上記間隙部100の前方における雰囲気を吸込口から吸い込むことができ、この結果、間隙部100の前方において清浄気体の流れを発生させることができるので、ここに滞留領域X1が発生することを防止することができる。従って、移載室内の全体で高い清浄度を維持することができる。
上述のように、容器ステージ46が設けられた中央区画壁10に対向する位置にある裏面区画壁42と、裏面区画壁42に隣接するフィルタユニット70との間の間隙部102に対応させて吸入口118aが形成された第2の吸入ダクト118を設けるようにしたので、上記間隙部102の前方における雰囲気を吸込口118aから吸い込むことができ、この結果、間隙部102の前方において清浄気体の流れを発生させることができるので、ここに滞留領域X2が発生することを防止することができる。従って、移載室内の全体で高い清浄度を維持することができる。
<第2実施例>
次に、本発明に係る処理装置の第2実施例について説明する。図6は本発明の処理装置の第2実施例における移載室内の状態を示す概略図であり、図6(A)は概略横断面図、図3(B)は概略縦断面図である。図7は第2実施例における処理空間内の清浄気体の流れを示す図である。
先の第1実施例にあっては、移載室34内に流れた清浄気体を排気する排気部90は、フィルタユニット68、70に対向する区画壁の底部側に設けたような処理装置を例にとって説明したが、これに限定されず、上記対向する区画壁の略全面を排気部として構成し、ここで吸入した清浄気体の全部、或いは一部を循環使用するようにした構造の処理装置にも本発明を適用することができる。
上述したような装置は、図6に示すように、例えばフィルタユニット68、70や先に説明した第1及び第2の吸入ダクト112、118が設けられている区画壁66に対向する区画壁130側に、これより僅かに離間させて、多段の通気孔132aが形成されたパンチングメタル等よりなる半閉止板132を設けており、これにより区画壁130の略全面を排気部90として構成している。
また、この移載室34の底部を区画する底部区画壁40側にも、これより僅かに離間させて通路用区画壁134を設け、この区画壁間の内部を上記排出部90側と連通させて底部全域を循環通路136として構成している。そして、この循環通路136の反対側を上記底部ダクト84に連通させるようにしている。また、上記排出部90と底部の循環通路136との接続部には送風ファン138が設けられている。これにより、上記排出部90に取り込まれた清浄気体を下方に向けて流下させると共に、底部に設けた循環通路136内に流すようになっている。
このような処理装置にあっては、図7にも示すように、上記第1及び第2の吸入ダクト112(118)は、前述した第1実施例において説明した内容と同じ作用効果を示し、滞留領域X1、X2(図18参照)の発生を防止することができる。また、両フィルタユニット68、70から吹き出された清浄気体は移載室34内を通過した後に、区画壁130の略全面に亘って設けた半閉止板132の通気口132aを通って排出部90内に取り込まれ、この内部を流下した後に送風ファン138によって底部に設けた循環通路136内を流れる。そして、この循環通路136内を流れた清浄気体は、その全部、又は一部が再び底部ダクト84内に流れ込み、再度、循環使用されることになる。
<本発明のシミュレーションによる評価>
次に、本発明に係る処理装置における吸入みダクトの作用についてシミュレーションによる評価を行ったので、その評価結果について説明する。
図8は本発明に係る処理装置における吸入みダクトの作用のシミュレーション結果を示す図であり、図8(A)は従来の処理装置の移載室内の状況を示し、図8(B)は本発明の処理装置の移載室内の状況を示す。ここでは清浄気体の流速を示す等速度線が等高線のように表されている。尚、本発明の処理装置では、吸入ダクトを代表して第1の吸入ダクト112のみを設けた場合を示している。
図8から明らかなように、図8(A)の従来装置の場合には、両フィルタユニット68、70との間の間隙の前方には、清浄気体の流速が非常に緩やかな(低い)、或いは停止した滞留領域X1が現れて、好ましくないことが判る。すなわち、ここでは速度勾配が小さくなって滞留が発生しやすい。これに対して、図8(B)に示すように、本発明の処理装置の場合には、第1の吸入ダクト112により内部雰囲気が吸引されている結果、図8(A)に示す滞留領域X1に相当する領域に気体の流れが発生しており、従って、滞留領域X1が消滅していることを確認することができた。すなわち、ここでは速度勾配が大きくなって滞留が解消している。
<第3実施例>
次に、本発明に係る処理装置の第3実施例について説明する。
図9は本発明の処理装置の第3実施例における移載室内の状態を示す概略縦断面図である。前述した第1及び第2実施例では、主として滞留領域X1、X2の発生を防止するための構成であったが、この第3実施例では主として移載室34内の底部の滞留領域X3(図18(B)参照)の発生を防止するための構成である。ここでは第1実施例の構成に、第3実施例の構成を加えた装置例について説明する。図9に示すように、2つのフィルタユニット68、70の下端部や第1及び第2の吸入ダクト112、118の下端部が接続された底部ダクト84の移載室34側に面する側壁140は、複数(多数)の吸入口142aを有する例えばパンチングメタル等よりなる半閉止板142により形成されている。この半閉止板142の吸入口142aは、上記側壁140の略全域に亘って設けられている。
これによれば、白抜きの矢印144に示すように、上記側壁140の前方の領域、すなわち移載室34の底部領域の雰囲気は上記半閉止板142の吸入口142aを通って底部ダクト84側へ吸い込まれることになる。
このように、底部ダクト84の側壁として半閉止板142を用いているので、移載室34内の底部における滞留雰囲気を吸入口142aから吸い込むことができ、この結果、移載室34内の底部において清浄気体の流れを発生させることができ、ここに滞留領域X3が発生することを防止することができる。従って、移載室34内の全体で高い清浄度を維持することができる。
<第4実施例>
次に、本発明に係る処理装置の第4実施例について説明する。
図10は本発明に係る処理装置の第4実施例における移載室内の状態を示す概略縦断面図、図11は第4実施例における処理空間内の清浄気体の流れを示す図である。この第4実施例は先の第3実施例の場合と同様に、主として滞留領域X3の発生を防止するための構成である。ここでは第2及び第3実施例の構成に第4実施例を加えた装置例について説明する。図10に示すように、移載室34に設けた循環通路136を区画する通路用区画壁134は、複数(多数)の吸入口146aを有する、例えばパンチングメタル等よりなる半閉止板146により形成されている。この吸入口146aは、上記底部の通路用区画壁134の略全域、すなわち移載室34を区画する筐体の底部の全面に亘って形成されている。
これによれば、図11中において、白抜きの矢印148に示すように、移載室34の底部領域の略全体の雰囲気は上記半閉止板146の吸入口146aを通って底部ダクト84側へ吸い込まれることになる。この場合、特に底部全域に亘って吸入口146aを設けているので、上記第3実施例の場合よりも、更に確実に底部領域の雰囲気に流れを生ぜしめることができる。
このように、循環通路を区画する通路用区画壁134は、前記移載室34を臨むように複数の吸入口146aが形成された半閉止板146として構成したので、移載室34内の底部における雰囲気を吸入口136aから吸い込むことができ、この結果、移載室34内の底部において清浄気体の流れを発生させることができ、ここに滞留領域X3が発生することを防止することができる。従って、移載室34内の全体で高い清浄度を維持することができる。
尚、この場合、上記吸入口146aを底部の通路用区画壁の全域に亘って設けなくても、図12に示す第4実施例の変形例に示すように、移載室34の底部を区画する通路用区画壁134の少なくとも一部に設けてあればよく、好ましくは底部全体の面積の内の上記フィルタユニット68、70側の半分以上の領域に設けるのがよく、これによれば、上記した作用効果を発揮することができる。
尚、先の第1実施例では第1及び第2の吸入ダクト112、118として、パイプ状の新たな部材を取り付けるようにしたが、これに限定されず、例えば移載室34を区間する区画壁は、この上方に位置する処理ユニット36(図1参照)の荷重を与えるために多くの中空状の支柱が設けられているが、この支柱を上記第1及び第2の吸入ダクトと兼用するようにしてもよい。図13はこのような吸入ダクトの変形例を示す概略横断面図である。図示するように、両フィルタユニット68、70間の区画壁側や後方のフィルタユニット70の側部の区画壁側にはそれぞれ中空状の支柱150、152が設けられており(他の支柱の記載は省略)、これらの支柱150、152の前面側に吸入口112a、118aをそれぞれ形成して第1及び第2の吸入ダクト112、118として構成している。
これによれば、前述した第1実施例と同様な作用効果を発揮できるのみならず、パイプ状の部材を別途設ける必要もないので、設備コストが少なくて済むことになる。
尚、上記第1〜第4の各実施例及びそれらの変形例は、それぞれ個別に実施してもよいし、組み合わせることができる実施例や変形例は全て組み合わせるようにしてもよい。
特に、例えば図3に示す第1実施例、或いは図6に示す第2実施例と図9に示す第3実施例、或いは図10に示す第4実施例とを組み合わせることにより全ての滞留領域X1、X2、X3の発生を防止することができる。
また、ここでは2つのフィルタユニットを設けた場合を例にとって説明したが、これに限定されず、3つ以上のフィルタユニットを設けた場合にも本発明を適用することができる。
更に、ここでは被処理体として半導体ウエハを例にとって説明したが、これに限定されず、ガラス基板、LCD基板、セラミック基板等にも本発明を適用することができる。