JP4872266B2 - ブラックマトリックスの製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、これらの方法は、ポストベーク時の熱処理工程だけで硬化させるため、着色組成物の硬化性が悪く、密着性不良に繋がるという問題があった。
また、遮光目的で黒色パターンを形成する場合、黒色の色素であるカーボンブラックの含有率を上げなければならず、ポストベーク時の硬化不良が著しく、基材に対する密着性が極度に低下する場合がある。
しかし、特許文献1、2に記載されている技術でも、十分なPCT耐性は得られなかった。
シリコーンゴムブランケットに塗布・乾燥し、ブラックマトリックス形成用着色組成物層を形成する工程と、前記ブラックマトリックス形成用着色組成物層に凸版を押圧して凸版の凸部分に前記ブラックマトリックス形成用着色組成物層を転写して、前記凸部分の前記ブラックマトリックス形成用着色組成物層を除去する除去工程と、前記シリコーンゴムブランケット上に残った前記ブラックマトリックス形成用着色組成物層をガラス基材に転写する転写工程と、ポストベークする工程を含むものである。
本発明のブラックマトリックスの製造方法は、ブラックマトリックス形成用着色組成物が、さらに熱架橋剤を含むことが好ましい。また、本発明のブラックマトリックスの製造方法は、黒色色素がカーボンブラックであり、その含有量が、組成物の全量を基準(100重量%)として3.0重量%以上30.0重量%以下であることが好ましい。
レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類を塩基性の触媒で反応させた樹脂である。フェノール類としては、オルトクレゾール、パラクレゾール、パラフェニルフェノール、パラノニルフェノール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、フェノール、メタクレゾール、3,5−キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールE、ビスフェノールH、ビスフェノールS等が挙げられる。アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。フェノール類とアルデヒド類は、それぞれ1種を単独で、または2種以上を混合して用いられる。
黒色色素として具体的には、例えばカーボンブラック、アニリンブラック、アントラキノン系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、具体的には C.I. Pigment Black1、6、7、12、20、31等が挙げられる。なかでも、価格、遮光性の大きさからカーボンブラックが好ましく、カーボンブラックは、樹脂などで表面処理されていてもよい。カーボンブラックを黒色色素として含有する、本発明の着色組成物を用いてブラックマトリックスを形成すると、遮光性が高く、良好な形状のブラックマトリックスが得られる。
また、本発明で使用するブラックマトリックス用着色組成物には、良好な印刷性、粘度安定性等を確保するために、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、酸化チタン、四酸化鉄などの金属酸化物粉や、金属硫化物粉や、金属粉等を含有させることができる。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等が挙げられる。
本発明の着色組成物は、1種または2種以上の色素を、レゾール型フェノール樹脂を含む色素担体および有機溶剤中に三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる。また、2種以上の色素を含む着色組成物は、各色素を別々にレゾール型フェノール樹脂を含む色素担体および有機溶剤中に微細に分散したものを混合して製造することもできる。色素を、レゾール型フェノール樹脂を含む色素担体および有機溶剤中に分散する際には、適宜、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤、色素誘導体等の分散助剤を含有させることができる。分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を、レゾール型フェノール樹脂を含む色素担体および有機溶剤中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたブラックマトリックスが得られる。
アルキル化メラミン樹脂としては、ヘキサメトキシメチロールメラミン、ヘキサブトキシメチロールメラミン等が挙げられる。
ブロック剤としては、フェノール(解離温度180℃以上)、ε−カプロラクタム(解離温度160〜180℃)、オキシム(解離温度130〜160℃)、活性メチレン(100〜120℃)等が挙げられる。
貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。
また、本発明で使用する着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
また、本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
[アクリル樹脂溶液の合成]
攪拌機、温度計、コンデンサー、窒素導入管を取り付けた2000mlフラスコにシクロヘキサノン500部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら90℃に加熱して、同温度でシクロヘキサノン200部、メチルメタクリレート75部、n−ブチルメタクリレート75部、スチレン75部、メタクリル酸45部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート30部、およびアゾビスイソブチロニトリル6部の混合物を2時間かけて滴下し、更に90℃で4時間反応させアクリル樹脂溶液を合成した。室温まで冷却した後、シクロヘキサノンを加えて、不揮発分を20%になるように調整した。アクリル樹脂の重量平均分子量は30000であった。
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、攪拌装置を取り付けてシクロヘキサノン285部を仕込み、90℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn−ブチルメタクリレート135.9部、メチルメタクリレート22.7部、2−イソシアネートエチルメタアクリレート1.4部、2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル3.2部、シクロヘキサノン39部の混合溶液を2時間かけて滴下した。滴下が終了してから2時間後に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.6部をシクロヘキサノンに溶解した溶液を添加し、更に1時間反応を継続し、固形分30%のビニル重合体溶液を得た。ビニル重合体の重量平均分子量は15000であった。
次に、温度計、攪拌装置、冷却分離管、滴下管を備えたオートクレーブに、ポリアリルアミン20%水溶液(日東紡績(株)製PAA−03、数平均分子量3000)を0.5部仕込み、80℃に加熱し、系内を真空にして水分を除去し、室温まで冷却した後シクロヘキサノン0.57部を添加した。反応容器内を窒素置換した後、滴下管より上記ビニル重合体溶液53.4部、シクロヘキサノン37.4部を30分かけて滴下した。更に25℃で1時間反応を継続することで、固形分15%の顔料分散剤溶液を得た。
黒色顔料(三菱化学社製「カーボンブラック#47」)30部、上記顔料分散剤溶液7部、シクロヘキサノン98部の混合物にジルコニアビーズを加え、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)にて4時間分散し、シクロヘキサノンを加えて、不揮発分を25%になるように調整した。
表1に示す割合(組成物の全量を100とした重量比)の黒色顔料分散体、アクリル樹脂溶液、熱架橋剤としてメラミン樹脂(日本サイテックインダストリーズ社製「マイコート506」)、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「エピコート828」)、レゾール型フェノール樹脂(住友ベークライト社製「PR−55317」)、ノボラック型フェノール樹脂(旭有機材工業社製「EP0010A」)、レべリング剤(日本ユニカー社製「FZ2207」)、有機溶剤としてシクロヘキサノンからなる混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、インキ(着色組成物)を得た。
[ガラス密着性]
着色組成物をスピンコート法により10cm×10cmのガラス基板に塗工した後、70℃で15分の乾燥により乾燥膜厚1μmの塗膜を作成した。その後、230℃で1時間加熱した。次いでJIS K5400に準じた碁盤目付着性試験方法により塗膜のガラス密着性を評価した。剥離は、M6ボルトの頭に高性能エポキシ急速硬化接着剤(室温1時間硬化型)を付け、碁盤目上に接着(自重)し、90℃で5分間加熱後、手でボルトを剥がした。1mm×1mm×100個の碁盤目に比べてボルトが小さいので、ボルトの接着面積に対する塗膜の非剥離面積率でガラス密着性を表した。
ガラス密着性試験と同様の試験体を、エスペック株式会社製EHS―411を用いて、IEC68−2−66に規格化されているHAST(Highly Accelerated temperature and humidity Test)と呼ばれる不飽和プレッシャークッカ試験(USPCT;Unsaturated Press.Test)に準じて、120℃、2気圧、100%RHの条件で5時間のプレッシャークッカー試験(PCT)を行った後、ガラス密着性試験で評価した。
着色組成物を図1に示す薄膜印刷装置のシリコーンブランケット上にキャップコータを用いて塗布した。2〜3分間乾燥させて膜厚1.0μmの膜を形成した。その後、50μmのストライプの逆パターンを形成した凸版を押圧して凸版の凸部分に着色組成物を転写して、凸部分の塗膜を除去し、塗布面に残った着色組成物をガラス基板面に転写した。転写されたパターンの精度および形状を顕微鏡で観察した。
(ガラス密着性およびPCT耐性)
密着性(%)=(接着面碁盤目数−ボルト膜付着碁盤目数)/ボルト接着面の碁盤目数×100
少数点以下四捨五入
◎:80%≦密着性≦100%
○:60%≦密着性<80%
△:30%≦密着性<60%
×:密着性<30%
(パターン形状)
○:直線性良好
△:部分的に直線性良好
×:直線性不良
2 胴
3 シリコーンブランケット
4 キャップコータ
5 凸版
6 ガラス基板
Claims (3)
- レゾール型フェノール樹脂以外の可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が80%以上の透明樹脂、及び放射線照射もしくは熱により重合して前記透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーからなる群より選択される色素担体、黒色色素、レゾール型フェノール樹脂を含む着色組成物であって、前記レゾール型フェノール樹脂の含有量が、組成物の全量を基準(100重量%)として0.5重量%以上7.0重量%以下であるブラックマトリックス形成用着色組成物を、
シリコーンゴムブランケットに塗布・乾燥し、ブラックマトリックス形成用着色組成物層を形成する工程と、前記ブラックマトリックス形成用着色組成物層に凸版を押圧して凸版の凸部分に前記ブラックマトリックス形成用着色組成物層を転写して、前記凸部分の前記ブラックマトリックス形成用着色組成物層を除去する除去工程と、前記シリコーンゴムブランケット上に残った前記ブラックマトリックス形成用着色組成物層をガラス基材に転写する転写工程と、ポストベークする工程を含む、ブラックマトリックスの製造方法。 - ブラックマトリックス形成用着色組成物が、さらに、熱架橋剤を含有することを特徴とする請求項1記載のブラックマトリックスの製造方法。
- 黒色色素がカーボンブラックであり、その含有量が、組成物の全量を基準(100重量%)として3.0重量%以上30.0重量%以下である請求項1または2記載のブラックマトリックスの製造方法。
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