JP4869825B2 - モータの制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、モータの制御装置に関するものである。
従来、ハイブリッド車両などのモータにおいて、回転方向に順次異なった極性の磁極を設けた複数の回転子を同一回転軸上に隣り合うように配置し、これら回転子の間隔をアクチュエータで変化させることで、固定子に対する永久磁石の誘起電圧定数を調整する可変機構を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−69609号公報
ところで、上記従来技術の一例に係るモータを制御する制御装置では、モータ回転数に応じて誘起電圧定数を変化させており、例えば、高回転のときには弱め界磁、低回転のときには強め界磁となるようにしている。しかしながら、一般にモータの可変機構のような可動部品を備えたものでは、部品のクリアランス等の量産バラツキが生じて個体毎にフリクションが異なったものとなるため、同一の位相変更制御であってもモータ毎にトルクのバラツキが生じてしまい、適切なトルクが得られない場合がある。
そこで、この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、個体毎のバラツキの影響を抑制して適切なトルクを得ることができるモータの制御装置を提供するものである。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、各々に磁石片(例えば、実施の形態における永久磁石9)を有し互いの相対的な位相を変更可能な複数のロータ(例えば、実施の形態における外周側回転子5、内周側回転子6)を具備するモータ(例えば、実施の形態におけるモータ1、モータM1)と、複数のロータの相対的な位相を作動流体の流体圧により変更する位相変更手段(例えば、実施の形態における回動機構11)とを有したモータを備える車両(例えば、実施の形態における車両100、車両200)の制御装置(例えば、実施の形態における制御装置100a,制御装置200a)であって、 前記モータは車両を走行駆動又は内燃機関による車両の走行駆動を補助するモータであり、前記位相変更手段は、位相変更の要求に係る制御指令に応じて前記作動流体の流体圧を制御するアクチュエータ(例えば、実施の形態における油圧制御装置13)を備え前記車両がコーストダウン状態となった場合に目標位相まで前記複数のロータの相対的な位相を変位させ、そのときの実位相の状態変化量に基づき前記アクチュエータの作動抵抗値を算出し、該作動抵抗値に応じて前記アクチュエータの位相変更の要求に係る制御指令値を補正する補正手段(例えば、実施の形態における回動機構学習演算値算出部62)とを備えることを特徴とする。
このように構成することで、位相変更手段のアクチュエータによって複数のロータの相対的な位相を目標位相まで変位させ、このときの実位相の状態変化量(例えば、移動時間や移動速度など)に基づいて補正手段によってアクチュエータの作動抵抗値(例えば、摺動抵抗や作動流体の流路抵抗など)を算出し、当該作動抵抗値に応じてアクチュエータの制御指令を補正することができる。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の発明において、前記補正手段は、前記作動流体の温度が所定範囲内のときに前記アクチュエータの制御指令値を補正することを特徴とする。
このように構成することで、作動流体の温度が所定範囲内つまり一定の条件を満たす状態で算出したアクチュエータの作動抵抗値に応じてアクチュエータの制御指令値の補正を行うことができる。
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記状態変化量は、前記目標位相に前記実位相が到達するまでの到達時間であることを特徴とする。
このように構成することで、例えば、目標位相まで実位相が到達する時間が長い場合はアクチュエータの作動抵抗が大きいと判断でき、一方、目標位相に実位相が到達する時間が短い場合はアクチュエータの作動抵抗が小さいと判断することができるので、この到達時間に応じてアクチュエータの作動抵抗を算出することができる。
請求項4に記載した発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記状態変化量はコーストダウン時に位相を一定の割合で変化させて前記目標位相に前記実位相が到達するまでの到達時間であることを特徴とする。
このように構成することで、車両の走行駆動または内燃機関による車両の走行駆動を補助するモータの複数のロータの相対的な位相を、コーストダウン時に一定の割合で変化させ、このときの実位相が目標位相に到達するまでの到達時間に基づいてアクチュエータの作動抵抗を算出することができる。
請求項5に記載した発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記補正手段は、前記作動抵抗値が所定の閾値を超えた場合に前記位相変更手段が異常状態であることを判定する異常判定手段(例えば、実施の形態におけるステップS40)を備えることを特徴とする。
このように構成することで、算出された作動抵抗値が所定の閾値を超えるような場合に位相変更手段が異常状態であることを判定して、例えば警告ランプを点灯するなどして、位相変更手段が異常状態であることを運転者に報知することができる。
請求項6に記載した発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記補正手段は、前記位相の変更中に所定の減速度が発生するように車両の変速機を制御することを特徴とする。
このように構成することで、例えば、複数のロータの相対的な位相を強め界磁となる最遅角から弱め界磁となる最進角まで変位させた時などに車両のモータによって発生していた減速度が低下して運転者が違和感を覚える場合があるが、変速機の変速比を例えば減速側に制御して減速度を発生させることで減速度の低下を抑制することができる。
請求項7に記載した発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、前記位相変更手段による前記位相の変更中に所定の減速度が発生するように回生制動を行う第2のモータ(例えば、実施の形態におけるジェネレータモータM2)を備えることを特徴とする。
このように構成することで、例えば、複数のロータの相対的な位相を強め界磁となる最遅角から弱め界磁となる最進角まで変位させた時に車両のモータによって発生していた減速度が低下して運転者が違和感を覚える場合があるが、第2のモータを回生制動させることで減速度の低下を抑制することができる。
請求項1に記載した発明によれば、位相変更手段のアクチュエータによって複数のロータの相対的な位相を目標位相まで変位させ、このときの実位相の状態変化量(例えば、移動時間や移動速度など)に基づいて補正手段によってアクチュエータの作動抵抗値(例えば、摺動抵抗や作動流体の流路抵抗など)を算出し、当該作動抵抗値に応じてアクチュエータの制御指令を補正することができるため、位相変更手段の個体バラツキの影響を抑制して安定した位相可変制御を行うことができる。したがって、どのような車両でも同様のモータトルクを得ることができる効果がある。
請求項2に記載した発明によれば、請求項1の効果に加え、作動流体の温度が所定範囲内つまり一定の条件を満たす状態で算出したアクチュエータの作動抵抗値に応じてアクチュエータの制御指令値の補正を行うことができるため、さらに安定した位相可変制御を行うことができる効果がある。
請求項3に記載した発明によれば、請求項2の効果に加え、例えば、目標位相まで実位相が到達する時間が長い場合はアクチュエータの作動抵抗が大きいと判断でき、一方、目標位相まで実位相が到達する時間が短い場合はアクチュエータの作動抵抗が小さいと判断することができるので、この到達時間に応じてアクチュエータの作動抵抗を算出することができる。したがって、容易にアクチュエータの作動抵抗を算出することができる効果がある。
請求項4に記載した発明によれば、請求項1〜3のいずれかに記載の効果に加え、車両の走行駆動または内燃機関による車両の走行駆動を補助するモータの複数のロータの相対的な位相を、コーストダウン時に一定の割合で変化させ、このときの実位相が目標位相まで到達するまでの到達時間に基づいてアクチュエータの作動抵抗を算出することができる
ため、車両走行中に運転者が違和感を覚えることなしにアクチュエータの制御指令を補正することができる効果がある。
請求項5に記載した発明によれば、請求項1〜4のいずれかに記載の効果に加え、算出された作動抵抗値が所定の閾値を超えるような場合に位相変更手段が異常状態であることを判定して、例えば警告ランプを点灯させるなどして位相変更手段が異常状態であることを運転者に報知することができるため、運転者に修理を促すことができる。したがって、補正手段での補正が過大となって位相変更手段への負担が増加するのを防止することができる効果がある。
請求項6に記載した発明によれば、請求項1〜5のいずれかに記載の効果に加え、例えば、複数のロータの相対的な位相を強め界磁となる最遅角から弱め界磁となる最進角まで変位させた時などに車両のモータによって発生していた減速度が低下して運転者が違和感を覚える場合があるが、変速機の変速比を例えば減速側に制御して減速度を発生させることで減速度の低下を抑制することができるため、通常の運転フィーリングを損なうことなく位相変更を行うことができる効果がある。
請求項7に記載した発明によれば、請求項1〜6のいずれかに記載の効果に加え、例えば、複数のロータの相対的な位相を強め界磁となる最遅角から弱め界磁となる最進角まで変位させた時などに車両のモータによって発生していた減速度が低下して運転者が違和感を覚える場合があるが、第2のモータを回生制動させて減速度を発生させることで、減速度の低下を抑制することができるため、通常の運転フィーリングを損なうことなく位相変更を行うことができる効果がある。
以下、本発明のモータの制御装置の第1の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。
第1の実施の形態によるモータの制御装置は、走行駆動源としてモータを備えるハイブリッド車や電動車両等の車両に搭載されるものである。具体的には、図1に示すように、車両100は、モータ(Mot)1および内燃機関(Eng)Eを駆動源として備えるパラレルハイブリッド車両であり、モータ1と、内燃機関Eと、トランスミッションT/Mとは直列に直結され、少なくともモータ1または内燃機関Eの駆動力はトランスミッションT/Mを介して車両100の前輪Wfに伝達されるようになっている。
そして、この車両100の減速時に前輪Wf側からモータ1に駆動力が伝達されると、モータ1は発電機として機能して、いわゆる回生制動力を発生し、車体の運動エネルギーを電気エネルギー(回生エネルギー)として回収する。また、内燃機関Eの出力がモータ1に伝達された場合にもモータ1は発電機として機能して発電エネルギーを発生する。一方、内燃機関Eはフューエルカット状態でのポンピングロスを低減するために、少なくともその一部の気筒に設けられたバルブが閉状態を維持する機構である、いわゆる気筒休止機構を備えている。ここで、制御装置100aが設けられた車両には、アクセルペダル開度センサ(以下、単にAP開度センサという)s1、ブレーキペダルスイッチセンサ(以下、単にBrkSWセンサという)s2、傾斜センサs3、前輪Wf、後輪Wrに設けられた車輪速センサ75、トランスミッションT/Mの油温を検出する油温センサs4、および、内燃機関Eの吸気温を検出する吸気温センサ(図示せず)などの各種センサが設けられており、制御装置100aはこれら各種センサの検出結果に基づいて、内燃機関E、モータ1、トランスミッションT/Mのそれぞれの制御系に対して制御指令を出力する。
図7は、このモータ1を車両の走行駆動源として用いる場合のモータ1の制御系の一例を示すものである。この制御系では、モータ1の駆動作動および回生作動はコントローラ40から出力される制御指令を受けてパワードライブユニット41(以下、「PDU41」と呼ぶ)により行われる。
PDU41は、トランジスタのスイッチング素子がブリッジ接続されたブリッジ回路を用いてパルス幅変調(PWM)を行うPWMインバータを備えるとともに、モータ1と電気エネルギーの授受を行う高圧系のバッテリ42に接続されている。
PDU41は、モータ1の駆動時等においてコントローラ40から入力されるスイッチング指令であるゲート信号(つまり、PWM信号)に基づき、PWMインバータにおいて各相毎に対を成す各トランジスタのオン(導通)/オフ(遮断)状態を切り換えることによって、バッテリ42から供給される直流電力を3相交流電力に変換し、モータ1の固定子巻線2aへの通電を順次転流させることによって、各相の固定子巻線2aに交流のU相電流Iu、V相電流IvおよびW相電流Iwを通電する。
モータ1は、図2〜図5に示すように円環状の固定子2の内周側に回転子ユニット3が配置されたインナロータ型のブラシレスモータであり、例えばハイブリッド車や電動車両等の走行駆動源として用いられる。固定子2は複数相の固定子巻線2aを有し、回転子ユニット3は軸芯部に回転軸4を有している。モータ1の回転力はトランスミッションT/Mを介して車輪の駆動軸(図示せず)に伝達される。
回転子ユニット3は、図2〜図5に示すように、円環状の外周側回転子(ロータ)5と、この外周側回転子5の内側に同軸に配置される円環状の内周側回転子(ロータ)6を備え、外周側回転子5と内周側回転子6が設定角度の範囲で回動可能とされている。
外周側回転子5と内周側回転子6は、各回転子本体である円環状のロータ鉄心7,8が例えば焼結金属によって形成され、その各ロータ鉄心7,8の外周側に偏寄した位置に、複数の磁石装着スロット7a,8aが円周方向等間隔に形成されている。各磁石装着スロット7a,8aには、厚み方向に磁化された2つの平板状の永久磁石9,9が並列に並んで装着されている。同じ磁石装着スロット7a,8a内に装着される2つの永久磁石9,9は同方向に磁化され、各隣接する磁石装着スロット7a,7a、及び、8a,8aに装着される永久磁石9の対同士は磁極の向きが逆向きになるように設定されている。即ち、各回転子5,6においては、外周側がN極とされた永久磁石9の対と、S極とされた永久磁石9の対が円周方向に交互に並んで配置されている。なお、各回転子5,6の外周面の隣接する磁石装着スロット7a,7a、及び、8a,8aの各間には、永久磁石9の磁束の流れを制御するための切欠き部10が回転子5,6の軸方向に沿って形成されている。
外周側回転子5と内周側回転子6の磁石装着スロット7a,8aは夫々同数設けられ、両回転子5,6の永久磁石9,…,9が夫々1対1で対応するようになっている。したがって、外周側回転子5と内周側回転子6の各磁石装着スロット7a,8a内の永久磁石9の対を互いに同極同士で対向させる(異極配置にする)ことにより、回転子ユニット3全体の界磁が最も弱められる弱め界磁の状態(図5,図6(b)参照)を得ることができるとともに、外周側回転子5と内周側回転子6の各磁石装着スロット7a,8a内の永久磁石9の対を互いに異極同士で対向させる(同極配置にする)ことにより、回転子ユニット3全体の界磁が最も強められる強め界磁の状態(図3,図6(a)参照)を得ることができる。
また、回転子ユニット3は、外周側回転子5と内周側回転子6を相対回動させるための回動機構11を備えている。この回動機構11は、両回転子5,6の相対位相を任意に変更するための位相変更手段12の一部を構成するものであり、非圧縮性の作動流体である作動液(変速機用の潤滑油、エンジンオイルでもよい)の圧力によって操作されるようになっている。位相変更手段12は、上記の回動機構11と、この回動機構11に供給する作動液の圧力を制御する図8に示す油圧制御装置(アクチュエータ)13と、を主要な要素として構成されている。
回動機構11は、図2〜図5に示すように回転軸4の外周に一体回転可能にスプライン嵌合されるベーンロータ14と、ベーンロータ14の外周側に相対回動可能に配置される環状ハウジング15とを備え、この環状ハウジング15が内周側回転子6の内周面に一体に嵌合固定されるとともに、ベーンロータ14が、環状ハウジング15と内周側回転子6の両側の側端部を跨ぐ円板状の一対のドライブプレート16,16を介して外周側回転子5に一体に結合されている。したがって、ベーンロータ14は回転軸4と外周側回転子5に一体化され、環状ハウジング15は内周側回転子6に一体化されている。
ベーンロータ14は、回転軸4にスプライン嵌合される円筒状のボス部17の外周に、径方向外側に突出する複数のベーン18が円周方向等間隔に設けられている。一方、環状ハウジング15は、内周面に円周方向等間隔に複数の凹部19が設けられ、この各凹部19にベーンロータ14の対応するベーン18が収容配置されるようになっている。各凹部19は、ベーン18の先端部の回転軌道にほぼ合致する円弧面を有する底壁20と、隣接する凹部19,19同士を隔成する略三角形状の仕切壁21によって構成され、ベーンロータ14と環状ハウジング15の相対回動時に、ベーン18が一方の仕切壁21と他方の仕切壁21の間を変位し得るようになっている。この実施形態の場合、仕切壁21はベーン18と当接することにより、ベーンロータ14と環状ハウジング15の相対回動を規制するストッパとしても機能する。なお、各ベーン18の先端部と仕切壁21の先端部には、軸方向に沿うようにシール部材22が設けられ、これらのシール部材22によってベーン18と凹部19の底壁20、仕切壁21とボス部17の外周面の各間が液密にシールされている。
また、内周側回転子6に固定される環状ハウジング15のベース部15aは一定厚みの円筒状に形成されるとともに、図2に示すように内周側回転子6や仕切壁21に対して軸方向外側に突出している。このベース部15aの外側に突出した各端部は、ドライブプレート16に形成された環状のガイド溝16aに摺動自在に保持され、環状ハウジング15と内周側回転子6が、外周側回転子5や回転軸4にフローティング状態で支持されるようになっている。
外周側回転子5とベーンロータ14を連結する両側のドライブプレート16,16は、環状ハウジング15の両側面(軸方向の両端面)に摺動自在に密接し、環状ハウジング15の各凹部19の側方を夫々閉塞する。したがって、各凹部19は、ベーンロータ14のボス部17と両側のドライブプレート16,16によって夫々独立した空間部を形成し、この空間部は、作動液が導入される導入空間23となっている。各導入空間23内は、ベーンロータ14の対応する各ベーン18によって夫々2室に隔成され、一方の部屋が進角側作動室24、他方の部屋が遅角側作動室25とされている。進角側作動室24は、内部に導入された作動液の圧力によって内周側回転子6を外周側回転子5に対して進角方向に相対回動させ、遅角側作動室25は、内部に導入された作動液の圧力によって内周側回転子6を外周側回転子5に対して遅角方向に相対回動させる。この場合、「進角」とは、内周側回転子6を外周側回転子5に対して、図3,図5中の矢印Rで示すモータ1の回転方向に進めることを言い、「遅角」とは、内周側回転子6を外周側回転子5に対して、モータ1の回転方向Rと逆側に進めることを言うものとする。
また、各進角側作動室24と遅角側作動室25に対する作動液の給排は回転軸4を通して行われるようになっている。具体的には、進角側作動室24は、図8に示す油圧制御装置13の進角側給排通路26に接続され、遅角側作動室25は同油圧制御装置13の遅角側給排通路27に接続されているが、進角側給排通路26と遅角側給排通路27の一部は、図2に示すように、夫々回転軸4に軸方向に沿って形成させた通路孔26a,27aによって構成されている。そして、各通路孔26a,27aの端部は、回転軸4の外周面の軸方向にオフセットした2位置に形成された環状溝26bと環状溝27bに夫々接続され、その各環状溝26b,27bは、ベーンロータ14のボス部17に略半径方向に沿って形成された複数の導通孔26c,…,26c,27c,…,27cに接続されている。進角側給排通路26の各導通孔26cは環状溝26bと各進角側作動室24とを接続し、遅角側給排通路27の各導通孔27cは環状溝27bと各遅角側作動室25とを接続している。
ここで、この実施形態のモータ1の場合、内周側回転子6が外周側回転子5に対して最遅角位置にあるときに、外周側回転子5と内周側回転子6の永久磁石9が異極同士で対向して強め界磁の状態(図3,図6(a)参照)になり、内周側回転子6が外周側回転子5に対して最進角位置にあるときに、外周側回転子5と内周側回転子6の永久磁石9が同極同士で対向して弱め界磁の状態(図5,図6(b)参照)になるように設定されている。
なお、このモータ1は、進角側作動室24と遅角側作動室25に対する作動液の給排制御によって、強め界磁の状態と弱め界磁の状態を任意に変更し得るものであるが、こうして磁界の強さが変更されると、それに伴って誘起電圧定数Keが変化し、その結果、モータ1の特性が変更される。即ち、強め界磁によって誘起電圧定数Keが大きくなると、モータ1として運転可能な許容回転速度は低下するものの、出力可能な最大トルクは増大し、逆に、弱め界磁によって誘起電圧定数Keが小さくなると、モータ1の出力可能な最大トルクは減少するものの、運転可能な許容回転速度は上昇する。
一方、油圧制御装置13は、図8に示すように、オイルタンク(図示せず)から作動液を吸い上げて通路に吐出するオイルポンプ32と、このオイルポンプ32から吐出された作動液の油圧を調整して高圧のライン通路33に導入し、余剰分の作動液を各種機器の潤滑や冷却のための低圧通路34に流出させるレギュレータバルブ35と、ライン通路33に導入された作動液を進角側給排通路26と遅角側給排通路27に振り分けるとともに、進角側給排通路26と遅角側給排通路27で不要な作動液をドレン通路36に排出する流路切換弁37とを備えている。
レギュレータバルブ35は、ライン通路33の圧力を制御圧として受け、反力スプリング38とのバランスによって作動液の振り分けを行う。
また、流路切換弁37は、制御スプール37aを進退操作する電磁ソレノイド37bを有し、この電磁ソレノイド37bがコントローラ40によって制御されるようになっている。
図7に示すように、コントローラ40は、回転直交座標をなすdq座標上で電流のフィードバック制御を行うものであり、例えば運転者のアクセル操作に係るアクセル開度を検出するAP開度センサs1の検出結果に基づいて算出されるトルク指令値Tqに基づきd軸電流指令Idc及びq軸電流指令Iqcを演算し、d軸電流指令Idc及びq軸電流指令Iqcに基づいて各相出力電圧Vu,Vv,Vwを算出し、各相出力電圧Vu,Vv,Vwに応じてPDU41へゲート信号であるPWM信号を入力すると共に、実際にPDU41からモータ1に供給される各相電流Iu,Iv,Iwの何れか2つの相電流をdq座標上の電流に変換して得たd軸電流Id及びq軸電流Iqと、d軸電流指令Idc及びq軸電流指令Iqcとの各偏差がゼロとなるように制御を行う。
このコントローラ40は、例えば、目標電流設定部51と、電流偏差算出部52と、界磁制御部53と、電力制御部54と、電流制御部55と、dq−3相変換部56と、PWM信号生成部57と、フィルタ処理部58と、3相−dq変換部59と、回転数演算部60と、誘起電圧定数算出部61と、回動機構学習演算値算出部62と、誘起電圧定数指令出力部63と、誘起電圧定数差分算出部64と、位相制御部65とを備えて構成されている。
そして、このコントローラ40には、PDU41からモータ1に出力される3相の各相電流Iu,Iv,Iwのうち、2相のU相電流IuおよびW相電流Iwを検出する各電流センサ71,71から出力される各検出信号Ius,Iwsと、バッテリ42の端子電圧(電源電圧)VBを検出する電圧センサ72から出力される検出信号と、モータ1のロータの回転角θM(つまり、所定の基準回転位置からのロータの磁極の回転角度)を検出する回転センサ73から出力される検出信号と、油圧制御装置13により可変制御される内周側回転子6と外周側回転子5との相対的な位相θを検出する位相センサ74から出力される検出信号と、車両100の各車輪の回転速度(車輪速NW)を検出する複数の車輪速センサ75,…,75から出力される検出信号とが入力されている。
目標電流設定部51は、例えば外部の制御装置(図示略)から入力されるトルク指令Tq(例えば、運転者によるアクセルペダルAPの踏み込み操作量を検出するAP開度センサs1の出力に応じて必要とされるトルクをモータ1に発生させるための指令値)と、回転数演算部60から入力されるモータ1の回転数NMと、後述する誘起電圧定数算出部61から入力される誘起電圧定数Keとに基づき、PDU41からモータ1に供給される各相電流Iu,Iv,Iwを指定するための電流指令を演算しており、この電流指令は、回転する直交座標上でのd軸目標電流Idc及びq軸目標電流Iqcとして電流偏差算出部52へ出力されている。
この回転直交座標をなすdq座標は、例えばロータの永久磁石による界磁極の磁束方向をd軸(界磁軸)とし、このd軸と直交する方向をq軸(トルク軸)としており、モータ1のロータ23の回転位相に同期して回転している。これにより、PDU41からモータ1の各相に供給される交流信号に対する電流指令として、直流的な信号であるd軸目標電流Idcおよびq軸目標電流Iqcを与えるようになっている。
電流偏差算出部52は、界磁制御部53から入力されるd軸補正電流が加算されたd軸目標電流Idcと、d軸電流Idとの偏差ΔIdを算出するd軸電流偏差算出部52aと、電力制御部54から入力されるq軸補正電流が加算されたq軸目標電流Iqcと、q軸電流Iqとの偏差ΔIqを算出するq軸電流偏差算出部52bとを備えて構成されている。
なお、界磁制御部53は、例えばモータ1の回転数NMの増大に伴う逆起電圧の増大を抑制するためにロータ23の界磁量を等価的に弱めるようにして電流位相を制御する弱め界磁制御の弱め界磁電流に対する目標値をd軸補正電流としてd軸電流偏差算出部52aへ出力する。
また、電力制御部54は、例えばバッテリ42の残容量等に応じた適宜の電力制御に応じてq軸目標電流Iqcを補正するためのq軸補正電流をq軸電流偏差算出部52aへ出力する。
電流制御部55は、例えばモータ1の回転数NMに応じたPI(比例積分)動作により、偏差ΔIdを制御増幅してd軸電圧指令値Vdを算出し、偏差ΔIqを制御増幅してq軸電圧指令値Vqを算出する。
dq−3相変換部56は、回転数演算部60から入力されるロータ23の回転角θMを用いて、dq座標上でのd軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqを、静止座標である3相交流座標上での電圧指令値であるU相出力電圧VuおよびV相出力電圧VvおよびW相出力電圧Vwに変換する。
PWM信号生成部57は、例えば、正弦波状の各相出力電圧Vu,Vv,Vwと、三角波からなるキャリア信号と、スイッチング周波数とに基づくパルス幅変調により、PDU41のPWMインバータの各スイッチング素子をオン/オフ駆動させる各パルスからなるスイッチング指令であるゲート信号(つまり、PWM信号)を生成する。
フィルタ処理部58は、各電流センサ71,71により検出された各相電流に対する検出信号Ius,Iwsに対して、高周波成分の除去等のフィルタ処理を行い、物理量としての各相電流Iu,Iwを抽出する。
3相−dq変換部59は、フィルタ処理部58により抽出された各相電流Iu,Iwと、回転数演算部60から入力されるロータ23の回転角θMとにより、モータ1の回転位相による回転座標すなわちdq座標上でのd軸電流Idおよびq軸電流Iqを算出する。
回転数演算部60は、回転センサ73から出力される検出信号からモータ1のロータ23の回転角θMを抽出すると共に、この回転角θMに基づき、モータ1の回転数NMを算出する。
誘起電圧定数算出部61は、位相センサ74から出力される位相θの検出信号に基づき、内周側回転子6と外周側回転子5との相対的な位相θに応じた誘起電圧定数Keを算出する。
誘起電圧定数指令出力部63は、例えばトルク指令Tqと、モータ1の回転数NMと、後述する学習値STに基づき、モータ1の誘起電圧定数Keに対する指令値(誘起電圧定数指令)Kecを出力する。
誘起電圧定数差分算出部64は、誘起電圧定数指令出力部63から出力される誘起電圧定数指令値Kecから、誘起電圧定数算出部61から出力される誘起電圧定数Keを減算して得た誘起電圧定数差分ΔKeを出力する。
位相制御部65は、例えば誘起電圧定数差分算出部64から出力される誘起電圧定数差分ΔKeに応じて、この誘起電圧定数差分ΔKeをゼロとするようにして位相θを制御するための制御指令を出力する。
ところで、上述したモータ1の外周側回転子5と内周側回転子6を相対回動させるための回動機構11では、量産バラツキなどに起因してモータ毎の相対回動の動作速度などにバラツキが発生する。そのため、コントローラ40は、このような量産バラツキに起因した回動機構11の動作特性(抵抗値)を学習して、その学習値STに基づいて回動機構11への制御指令の補正を行う回動機構学習演算値算出部(補正手段)62を備えている。
この回動機構学習演算値算出部62は、AP開度センサs1とBrkSWセンサs2の検出結果に基づいてアクセルペダルとブレーキペダルとが共に踏み込まれておらず(AP=0、BrkSW=0)車両が惰性で走行しているいわゆるコーストダウン状態であると判定され、かつ、トランスミッションT/Mの油温が第1の閾値T1と第2の閾値T2との範囲内にあると判定された場合に、車輪速センサ75の検出結果に基づいて所定の車速αから車速β(α>β)の速度範囲で学習を行うように制御指令を出力する。ここで、第1の閾値T1、第2の閾値T2は、学習を行う条件を揃えるために、トランスミッションT/Mの油温の温度範囲を規定する閾値である。
また、回動機構学習演算値算出部62は、車両100がコーストダウン状態になったと判定されるとモータ1の外周側回転子5と内周側回転子6との相対的な位相θが最遅角となるように誘起電圧定数指令値Kecをその最大値Kemaxに増加させる制御指令を誘起電圧定数指令出力部63に対して出力する。さらに、回動機構学習演算値算出部62は誘起電圧定数指令値Kecを最大値Kemaxから所定の割合で減少させて、最終的に位相θが最進角となるように、誘起電圧定数指令値Kecを最小値Keminまで変位させる制御指令を誘起電圧定数指令出力部63に対して出力する。すなわち、回動機構学習演算値算出部62においては、前述した回動機構11によって、外周側回転子5と内周側回転子6とをその相対回動可能な範囲の一端から他端まで最大限回動動作させている。
さらに、回動機構学習演算値算出部62は、位相θを最遅角から最進角まで移動させる際に、位相センサ74の検出結果に基づいて求められた誘起電圧定数Keと誘起電圧定数指令値Kecとのズレを学習し、この学習値STに基づいて位相指令の補正を行う。
具体的には、回動機構学習演算値算出部62では、学習開始から学習時間の閾値Tlだけ経過したときの誘起電圧定数Ke(例えば、最小値Kemin)を求め、学習開始からこの誘起電圧定数Keと等しい誘起電圧定数指令値Kecに達するまでのデフォルト実行時間Tjを求める。そして、学習時間の閾値Tlとデフォルト実行時間Tjとの差分である可変時間差分ΔTを算出することで、この可変時間差分ΔTから油圧制御装置13の作動抵抗値のズレ量、例えば油圧制御装置13のレギュレータバルブ35、制御スプール37aなどの作動抵抗に応じた学習値(補正値)STが推定できるので、この学習値STを誘起電圧定数指令出力部63に向けて出力している。
ここで、上記回動機構学習値算出部62から誘起電圧定数指令出力部63に対して学習値STを出力する場合について説明したが、図7に示すように、例えば、回動機構学習値算出部62において学習値STに基づいて油圧制御装置13に対する油圧指令値を算出し、この油圧指令値を油圧制御装置13に向けて出力してもよい。なお、図7では図示都合上、回動機構学習値算出部62から油圧指令値および学習値STの両方の出力を示しているが、いずれか一方だけにしてもよい。また、前記油圧指令値に代えて流量指令値としてもよい(以下、第2の実施の形態の図15も同様)。
また、回動機構学習演算値算出部62は、車両100がコーストダウン状態となった場合に、外周側回転子5と内周側回転子6との相対的な位相θを最遅角から最進角まで変化させる制御指令を出力しているが、このとき進角側で弱め界磁となるため車両100の減速度が低下し運転者は違和感を覚えてしまう。そこで回動機構学習演算値算出部62では、位相θが弱め界磁側に変化するのに応じて減速度が得られるようにトランスミッションT/Mの変速比を制御している。より具体的には、位相θが遅角側から進角側に変位するに連れてトランスミッションT/Mの変速比をハイギヤ側からローギヤ側に変位させるように制御することで、内燃機関Eの回転数の上昇に伴ういわゆるエンジンブレーキによって車両100を制動する側の減速トルクを増加させて、車両100の減速度を増加させている。
第1の実施の形態によるモータの制御装置100aは上記構成を備えており、次に、この制御装置100aの動作、特に、モータ1の動作バラツキを学習する回動機構部学習終了判断処理について添付図面を参照しながら説明する。なお、この回動機構部学習処理判断処理では、トランスミッションT/Mの油温、AP開度および車速に応じて、回動機構11の学習の開始・終了判断を行っている。
先ず、例えば図9に示すステップS01においては、学習完了フラグが1か否かを判定する。ステップS01の判定結果が「YES」(学習完了フラグ=1)である場合はステップS11に進み、判定結果が「NO」(学習完了フラグ≠1)である場合はステップS02に進む。
ステップS02においては、油温センサs4によって検出されたトランスミッション(Miss)T/Mの作動液の油温が第1の閾値T1よりも大きく第2の閾値T2よりも小さいか否かを判定する。これにより、作動液の温度によるバラツキの影響を最小限に抑えることができる。ステップS02の判定結果が「YES」(T2>Miss油温>T1)である場合はステップS03に進み、判定結果が「NO」(T2>Miss油温>T1ではない)である場合はステップS11に進む。
ステップS03においては、AP開度センサs1の出力が0(AP開度=0)かつBrkSWセンサs2の出力が0(BrkSW=0)か否かを判定する。ステップS03の判定結果が「YES」(AP開度=0かつBrkSW=0)である場合はステップS04に進み、判定結果が「NO」(AP開度=0かつBrkSW=0ではない)である場合はステップS11に進む。
ステップS04においては、学習許可フラグが1か否かを判定する。ステップS04の判定結果が「YES」(学習許可フラグ=1)である場合はステップS07に進み、判定結果が「NO」(学習許可フラグ≠1)である場合はステップS05に進む。
ステップS05においては、車輪速センサ75で検出された車輪速に基づいて算出された車両100の車速が車速αになったか否かを判定する。ステップS05の判定結果が「YES」(車速=α)である場合はステップS06に進み、判定結果が「NO」(車速≠α)である場合はこの処理を終了する。
ステップS06においては、学習許可フラグを1に設定してステップS07に進む。
ステップS07においては、学習許可フラグが1である場合に後述する回動機構部学習処理を行ってステップS08に進む。
ステップS08においては、車両100の車速が車速βになったか否かを判定する。ステップS08の判定結果が「YES」(車速=β)である場合はステップS09に進み、判定結果が「NO」(車速≠β)である場合は処理を終了する。
ステップS09においては、学習許可フラグに0を設定してステップS10に進む。
ステップS10においては、学習完了フラグに1を設定してこの処理を終了する。
一方、ステップS11においては、ステップS09と同様に学習許可フラグに0を設定してこの処理を終了する。
すなわち、この回動機構部学習許可終了判断処理では、トランスミッションT/Mが油温の第2の閾値T2より小さく第1の閾値T1よりも大きい所定の範囲内の値となり学習を行う油温の条件が整い、車速が車速αに達し、AP開度センサs1とBrkSWセンサs2の出力がともに「0」つまりアクセルペダルおよびブレーキペダルが踏まれていない状態となった時点で初めて学習許可フラグに1を設定して回動機構部学習処理の実行を許可する。その後、回動機構部学習処理が実行され車速が車速βに達すると、学習許可フラグに0を設定して学習許可を解除し、さらに学習完了フラグを1に設定して、例えば、電源OFF等によりリセットされ学習完了フラグが初期値0になるまで再び回動機構部学習処理を行わないようにしている。
次に、図10に示すフローチャートに基づいて上述した回動機構部学習許可終了判断処理のステップS07の回動機構部学習処理について説明する。この回動機構部学習処理は、モータ1の動作バラツキを補正するための学習値STを算出する処理である。
先ず、ステップS20においては、トランスミッションT/Mに減速指令を行う。ここで、トランスミッションT/Mの減速指令を行うことで、車両100に減速度を付与している。
ステップS21においては、モータ(Mot)指令を0に設定する。すなわち、モータ指令を停止して車両100を惰性運転であるコーストダウン状態とする。
ステップS22においては、学習中タイマTsが0よりも大きいか否か判定する。ここで、学習中タイマTsは車速αから車速βに至るまでの学習実行範囲における誘起電圧定数Ke(実Ke)の時間を計測する減算タイマであり、初期値は「0」である。ステップS22の判定結果が「YES」(学習中タイマTs>0)である場合はステップS25に進み、判定結果が「NO」(学習中タイマTs=0)である場合はステップS23に進む。
ステップS23においては、学習中タイマTsにデフォルト学習時間Tgを設定する。すなわち、このステップS23では減算タイマである学習中タイマTsに学習実行時間の初期値であるデフォルト学習時間Tgを設定する。
ステップS24においては、可変実行タイマTkにデフォルト実行時間Tjを設定する。ここで、可変実行タイマTkは、誘起電圧定数指令値Kecを最遅角側から最進角側まで移動させる時間を計測する減算タイマであり、この可変実行タイマTkに設定するデフォルト実行時間Tjとは、誘起電圧定数指令値Kecを最遅角側から最進角側まで移動させる時間を規定する時間である。
ステップS25においては、可変実行タイマTkと目標Keとのテーブルを検索して目標Keを求める。ここで、目標Keとは、前述したデフォルト実行時間Tjで誘起電圧定数Keを最遅角側から最進角側まで移動可能なように所定の割合で減少する誘起電圧定数Keの目標値である。
ステップS26においては、誘起電圧定数指令値Kec(指令Ke)にステップS25で求めた目標Keを設定する。つまり、ステップS25で求めた目標Keを用いて油圧制御装置13に制御指令を出力する。
ステップS27においては、学習中タイマTsが閾値Tlに達したか否かを判定する。ステップS27の判定結果が「YES」(Ts=Tl)である場合はステップS28に進み、判定結果が「NO」(Ts≠Tl)である場合は処理を終了する。なお、閾値Tlは0を含み任意に設定される時間である。
ステップS28においては、閾値Tlからデフォルト実行時間Tjを減算して可変時間差分ΔTを求める。より具体的には、学習中タイマTsが閾値Tlに達した時点で誘起電圧定数Ke(実Ke)が求まり、さらに、この誘起電圧定数Ke(実Ke)と同じ値の誘起電圧定数指令値Kecにおけるデフォルト実行時間Tjが求まるので、閾値Tlとデフォルト実行時間Tjとの差分を可変時間差分ΔTとして求めている。
ステップS29においては、可変時間差分ΔTと学習値(補正値)STのテーブルを検索して可変時間差分ΔTから学習値(補正値)STを求める。つまり、可変時間差分ΔTは、油圧制御装置13の作動抵抗によって生じたズレと考えることができるので、この可変時間差分ΔTに応じた補正値である学習値STをテーブル検索し、この学習値STに基づいて油圧制御装置13の油圧指令値又は流量指令値、あるいは、誘起電圧定数指令値Kecを補正しているのである。
すなわち、回動機構部学習処理においては、先ず、トランスミッションT/Mを制御して車両100に減速度を付与しつつ、モータ指令トルクを「0」に設定する。次に学習中タイマTsと可変実行タイマTkにそれぞれデフォルト実行時間を設定して、テーブル検索により学習中タイマTsの値に応じて誘起電圧定数指令値Kecを変化させる。そして、学習中タイマTsが閾値Tlに達した時点で、可変時間差分ΔTを算出して、テーブル検索によりこの可変時間差分ΔTに応じた学習値STを求めている。
次に、図11に基づいて上述した回動機構部学習許可終了判断処理によって検索した学習値STを用いて油圧制御装置13に対する油圧指令値(ゲイン)を補正する油圧指令値の補正処理について説明する。
先ず、ステップS30においては学習値STの絶対値が0よりも大きいか否かを判定する。ステップS30の判定結果が「YES」(|学習値ST|>0)である場合はステップS31に進み、判定結果が「NO」(|学習値ST|=0)である場合はこの処理を終了する。
ステップS31においては、誘起電圧定数指令値Kecに従って油圧制御装置13の油圧を立ち上げあるためのデフォルト指令値(ゲイン)に学習値STを積算した値を、油圧立ち上げ指令値として設定してこの処理を終了する。
他方、油圧制御装置13の油圧指令値を補正する以外に、他の態様として、例えば、回動機構11における作動液の流量指令値を学習値(補正値)STを用いて補正する方法がある。以下、流量指令値の補正処理を図12に基づいて説明する。
先ず、ステップS32においては、学習値STの絶対値が0よりも大きいか否かを判定する。ステップS32の判定結果が「YES」(|学習値ST|>0)である場合はステップS33に進み、判定結果が「NO」(|学習値ST|=0)である場合はこの処理を終了する。
ステップS33においては、誘起電圧定数指令値Kecに基づいた流量のデフォルト指令値に学習値STを積算した値を、誘起電圧定数指令値Kecに基づいた流量指令値として設定してこの処理を終了する。
さらに、図9で検索した学習値(補正値)STに基づいて回動機構11のフェールを検知することができる。以下、図13のフローチャートに基づいてこの学習値STによるフェール検知処理を説明する。
先ず、ステップS40(異常判定手段)においては、学習値STの絶対値がフェール閾値よりも大きいか否かを判定する。ステップS40の判定結果が「YES」(|学習値ST|>フェール閾値)である場合はステップS41に進み、判定結果が「NO」(|学習値ST|>フェール閾値ではない)である場合はこの処理を終了する。ここでフェール閾値は通常想定される学習値STの最大値よりも大きい値が設定される。
ステップS41においては、回動機構11のフェール状態を示す回動機構フェールフラグに1を設定してステップS42に進む。
ステップS42においては、回動機構11がフェール状態(フェールフラグ=1)であるので回動機構11における回動動作を禁止状態にしてこの処理を終了する。
次に、図19(a)〜(d)に示すタイミングチャートに基づいてこの第1の実施の形態における動作を説明する。
先ず図19(a)に示すようにアクセルペダルが踏み込まれてアクセルペダル開度(以下、単にAP開度という)が増加すると、車速Vが右肩上がりで徐々に上昇する。ここで、図19(a)は、車速Vが車速αを超えたところで一定速運転となっている一例を示しており、図19(d)のトランスミッションT/Mの変速比が車速に応じてハイギヤ側に変位された後、この変速比、AP開度とともに車速Vも所定時間一定の値となっている。
なお、図19(a)〜(d)では、内燃機関Eの全気筒が休筒状態である場合を示しており、車速Vはモータ1の駆動力によるものである。また、図19(d)に示す変速比は、トランスミッションT/Mとして有段変速である例えば4段変速の場合の一例を示しているが、トランスミッションT/MとしてCVTなどの無段変速機構を採用し、図中の破線で示すように滑らかに変速比を変位させればより適切な減速度を車両100に付与することができる。
図19(b)に示すように、モータ1の誘起電圧定数指令値Kecは、車速Vが相対的に低い時に最大値Kemaxとなるように制御され、車速Vの上昇とともに誘起電圧定数指令値Kecが徐々に減少する。そして、車速Vが一定速になるのと同様に誘起電圧定数指令値Kecの値も一定の値となる。つまり、この時のモータトルクは、AP開度の変位に若干遅れて追従して変位する。
また、時間の経過に伴ってトランスミッションT/Mの油温が徐々に上昇し、この油温が所定時間t1で第1の閾値T1に達する。すると、AP開度が0となったことをトリガとして回動機構部学習処理が開始される。そして、誘起電圧定数指令値Kecを最大値Kemaxに上昇させるが、このとき、位相θは最遅角に設定されて強め界磁となるため、図19(b)に示すように、一時的にモータトルクがマイナスの値になり減速度が発生した状態となる。
さらに、時間t1では、トランスミッションT/Mでの変速用に油圧を発生させるべく、休筒状態だった内燃機関を始動させているため、一時的に図19(c)に示すように内燃機関のトルクがプラス側に発生する。
その後、図19(a)に示すように、車速Vが車速αまで低下すると、誘起電圧定数指令値Kecが最大値Kemaxから一定の割合で徐々に低下され、このとき図19(d)に示すように、誘起電圧定数指令値Kecの低下に応じてトランスミッションT/Mの変速比が低下される。これにより、図19(c)に示すように、内燃機関ではトランスミッションT/Mによるマイナス側のトルクが発生して、車両に減速度が付与されることとなる。
そして、車速Vが車速βに達すると、回動機構部学習処理が終了する。ここで、車速αと車速βとの間で行われる回動機構部学習処理によって、学習開始から所定時間(閾値Tl)経過後の位相センサ74の検出結果に基づいて算出された誘起電圧定数Ke(実Ke)とこの値に等しい誘起電圧定数指令値Kecのデフォルト実行時間Tjとの時間に可変時間差分ΔTが生じる。なお、図19(a)では閾値Tlで誘起電圧定数Keが最小値Keminとなる場合を示している。
この可変時間差分ΔTは、量産バラツキなどに起因しているため、モータM1ごとに異なった値となるものであり、誘起電圧定数Ke(実Ke)が誘起電圧定数指令値Kecと同じ値に達するまでの時間が長い場合は可変時間差分ΔTが相対的に大きい値となり、そうでない場合は小さい値となる。つまり、この可変時間差分ΔTによって油圧制御装置13の作動抵抗値を推定することができるため、回動機構学習演算値算出部62は、この可変時間差分ΔTに基づいて学習値STを算出して誘起電圧定数指令値Kec、油圧指令又は流量指令の補正を行っている。
上述したように、第1の実施の形態によるモータの制御装置100aによれば、位相変更手段12の油圧制御装置13によって外周側回転子5と内周側回転子6との相対的な位相θを目標位相つまり誘起電圧定数指令値Kecを目標Keまで変位させ、このときの実位相つまり誘起電圧定数Ke(実Ke)との時間差分である可変時間差分ΔTに基づいて回動機構学習演算値算出部62によって油圧制御装置13の作動抵抗値を算出し、当該作動抵抗値に応じて油圧制御装置13の制御指令を補正することができるため、位相変更手段12の個体バラツキの影響を抑制して安定した位相可変制御を行うことができる。そして、この結果、どのような車両でも同様のモータトルクを得ることができる。
また、作動流体の温度が所定範囲内つまり第1の閾値T1から第2の閾値T2の間にある状態で算出した油圧制御装置13の作動抵抗値に応じて油圧制御装置13の制御指令値の補正を行うことができるため、さらに安定した位相可変制御を行うことができる。
そして、例えば、可変時間差分ΔTが長い場合は油圧制御装置13の作動抵抗が大きいと判断でき、一方、可変時間差分ΔTが短い場合は油圧制御装置13の作動抵抗が小さいと判断することができるので、この可変時間差分ΔTに応じて容易に油圧制御装置13の作動抵抗を算出することができる。
そして、車両100の走行駆動または内燃機関Eによる車両100の走行駆動を補助するモータ1の外周側回転子5と内周側回転子6との相対的な位相θを、コーストダウン時に一定の割合で変化させ、このときの誘起電圧定数Ke(実Ke)が誘起電圧定数指令値Kecに到達するまでの到達時間に基づいて油圧制御装置13の作動抵抗を算出することができるため、車両走行中に運転者が違和感を覚えることなしに油圧制御装置13の制御指令を補正することができる。
さらに、ステップS40において、算出された学習値STが所定の閾値を超えるような場合に位相変更手段12が異常状態であることを判定して、位相変更を停止し、例えば警告ランプを点灯させるなどして位相変更手段12が異常状態であることを運転者に報知することができるため、運転者に修理を促すことができ、この結果、回動機構学習演算値算出部62での補正が過大となって位相変更手段12への負担が増加するのを防止することができる。
そして、例えば、外周側回転子5と内周側回転子6との相対的な位相θを強め界磁となる最遅角から弱め界磁となる最進角まで変位させた時などにモータ1によって発生していた減速度が低下して運転者が違和感を覚える場合があるが、トランスミッションT/Mの変速比を例えば減速側に制御することで減速度の低下を抑制することができるため、通常の運転フィーリングを損なうことなく位相変更を行うことができる。
次に、図14〜図17に基づいて本発明のモータの制御装置の第2の実施の形態について説明する。
なお、上述した第1の実施の形態が本発明のモータの制御装置をパラレルハイブリッド車両に適用した場合であったのに対して、この第2の実施の形態では、本発明のモータの制御装置を2モータタイプのシリーズハイブリッド車両に適用している点で第1の実施の形態と相違し、その余の点で一致する。したがって、この第2の実施の形態では、第1の実施の形態の図2〜6、図8を援用し、同一部分に同一符号を付して相違点のみ説明する。
図14,15に示すように、第2の実施の形態によるモータの制御装置200aは、前輪Wfの駆動軸に直結されたモータ(Mot)M1と、クラッチC、トランスミッションT/M、ギヤGを介して前輪Wfの駆動軸に接続され内燃機関Eに直接的に接続された第2のモータであるジェネレータモータ(GENMot)M2とを備えたシリーズハイブリッド型の車両200に搭載されている。このシリーズハイブリッド型の車両200は、モータM1とジェネレータモータM2と内燃機関とを組み合わせた様々な運転モードが実施可能な構成となっている。
ジェネレータモータM2は、例えば、クラッチCが結合されているときに前輪Wfに対して駆動・回生作動を行い、一方、クラッチCが切断されている場合には、内燃機関Eの駆動により発電する発電機として機能させることができるようになっている。ここで、モータM1は、内燃機関Eに直結されていない点を除いて前述した図2〜6に示す第1の実施の形態のモータ1と同様の構成となっているため、重複する説明を省略する。
次に、図14〜18に基づいて第2の実施の形態の制御装置200aの動作、特に、モータM1の動作バラツキ学習する回動機構部学習終了判断処理について説明する。
先ず、ステップS50においては、学習完了フラグが1に設定されているか否かを判定する。ステップS50における判定結果が「YES」(学習完了フラグ=1)である場合は図17のステップS67に進み、判定結果が「NO」(学習完了フラグ≠1)である場合はステップS51に進む。
ステップS51においては、トランスミッション(Miss)T/Mの作動液の油温が第2の閾値T2よりも小さくかつ第1の閾値T1よりも大きいか否かを判定する。ステップS51における判定結果が「YES」(T2>Miss油温>T1)である場合はステップS52に進み、判定結果が「NO」(T2>Miss油温>T1ではない)である場合は図17のステップS67に進む。
ステップS52においては、アクセルペダル(AP)開度が0かつBrkSWセンサが0か否かを判定する。ステップS52における判定結果が「YES」(AP開度=0&BrkSW=0)である場合はステップS53に進み、判定結果が「NO」(AP開度=0&BrkSW=0ではない)である場合は図17のステップS67に進む。
ステップS53においては、車速Vが車速γよりも小さくかつ車速αよりも大きいか否かを判定する。ステップS53における判定結果が「YES」(γ>車速>α)である場合はステップS54に進み、判定結果が「NO」(γ>車速>αではない)である場合は図17のステップS67に進む。
ステップS54においては、内燃機関(Eng)Eの始動指令を出力する。ここで、内燃機関Eの始動は、クラッチCを切断した状態でジェネレータモータM2の駆動によって行われるが、例えば、内燃機関Eの始動専用のスタータモータを設けるようにしてもよい。
ステップS55においては、内燃機関(Eng)Eの始動が完了したか否かを判定する。ステップS55における判定結果が「YES」(始動完了)である場合はステップS56に進み、判定結果が「NO」(未始動)である場合は図17のステップS67に進む。
ステップS56においては、内燃機関(Eng)Eに対して休筒指令を出力する。
ステップS57においては、内燃機関(Eng)Eの休筒が完了したか否かを判定する。ステップS57における判定結果が「YES」(休筒完了)である場合はステップS58に進み、判定結果が「NO」(休筒未完了)である場合は図17のステップS67に進む。
ステップS58においては、クラッチCの係合する指令を出力して図17のステップS59に進む。
ステップS59においては、クラッチCの係合が完了したか否かを判定する。ステップS59における判定結果が「YES」(係合完了)である場合はステップS60に進み、判定結果が「NO」(係合未完了)である場合はステップS67に進む。
ステップS67においては、学習許可フラグを0に設定してステップS60に進む。
ステップS60においては、学習許可フラグが1に設定されているか否かを判定する。ステップS60における判定結果が「YES」(学習許可フラグ=1)である場合はステップS63に進み、判定結果が「NO」(学習許可フラグ≠1)である場合はステップS61に進む。
ステップS61においては、車輪速センサ75で検出された車輪速に基づいて算出された車両100の車速が車速αになったか否かを判定する。ステップS61における判定結果が「YES」(車速=α)である場合はステップS62に進み、判定結果が「NO」(車速≠α)である場合はこの処理を終了する。
ステップS62においては、学習許可フラグを1に設定してステップS63に進む。
ステップS63においては、後述する回動機構部学習処理を行ってステップS64に進む。
ステップS64においては、車両200の車速が車速βになったか否かを判定する。ステップS64における判定結果が「YES」(車速=β)である場合はステップS65に進み、判定結果が「NO」(車速≠β)である場合は処理を終了する。
ステップS65においては、学習許可フラグに0を設定してステップS66に進む。
ステップS66においては、学習完了フラグに1を設定してこの処理を終了する。
次に、図18のフローチャートに基づいて上述したステップS63において実施した回動機構部学習処理について説明する。
先ず、ステップS70においては、モータ(Mot)M1の目標トルク(Mot目標T)にトランスミッションT/Mの変速比を積算した値をジェネレータモータ(GENMot)M2の指令トルク(GENMot指令T)として設定する。すなわち、モータM1で出力していた減速トルクをジェネレータモータM2で持ち替える。
ステップS71においては、モータM1の指令トルクに0を設定する。すなわちモータM1の出力が0となるように制御して、コーストダウン状態にする。
ステップS72からステップS79においては、図10に示す第1の実施の形態の回動機構部学習許可終了判断処理で説明したステップS22からステップS29と同様の処理を行って学習値STをテーブル検索してこの処理を終了する。なお、ステップS72からステップS79については、ステップS22からステップS29の説明と重複するため詳細説明を省略する。
次に、図20(a)〜(d)に示すタイミングチャートに基づいてこの第2の実施の形態における動作を説明する。なお、図20(a)〜(d)は横軸が共通の走行状態である時間(Time)であり、ここでは、内燃機関Eの全気筒が休筒状態である場合を示している。また、車速VはモータM1の駆動力によるものである。
先ず図20(a)は、前述した第1の実施の形態における図19(a)と同様のグラフであって、この図20(a)に示すようにアクセルペダル(AP)が踏み込まれてAP開度が増加すると、車速Vが右肩上がりで徐々に上昇する。
図20(b)に示すように、モータM1の誘起電圧定数指令値Kecは、車速Vが相対的に低い時に最大値Kemaxとなるように制御され、車速Vの上昇とともに誘起電圧定数指令値Kecが徐々に減少する。そして、車速Vが一定速になるのに伴って誘起電圧定数指令値Kecの値も一定の値となる。つまり、この時のモータトルクは、AP開度の変位に若干遅れて追従して変位する。
また、時間の経過に伴ってトランスミッションT/Mの油温が徐々に上昇し、この油温が所定時間t1で油温の第1の閾値T1に達する。すると、AP開度が0となったことをトリガとして回動機構部学習処理が開始される。そして、誘起電圧定数指令値Kecを最大値Kemaxに上昇させるが、このとき、位相θは最遅角に設定されて強め界磁となるため、図20(b)に示すように、一時的にモータトルクがマイナスの値になり減速度が発生した状態となる。
さらに、時間t1では、クラッチCの係合用に油圧を発生させるべく、休筒状態だった内燃機関を始動させているため、一時的に図20(d)に示すように内燃機関のトルクがプラス側に発生する。一時的に始動した内燃機関Eは、クラッチCを係合制御した後に再び休筒状態となる。
その後、図20(a)に示すように、車速Vが車速αまで低下すると、誘起電圧定数指令値Kecが最大値Kemaxから一定の割合で徐々に低下され、このとき図20(d)に示すように、誘起電圧定数指令値Kecの低下に応じて徐々にクラッチCが係合されて、内燃機関EとジェネレータモータM2との両者の軸回転数は車輪軸回転数と同一となり、ジェネレータモータM2が発電側で制御される。これにより、図20(c)に示すように、ジェネレータモータM2でマイナス側のトルクが発生して、車両200に減速度が付与されることとなる。
そして、図20(a)に示す車速Vが一定の割合で低下して車速βに達すると、回動機構部学習処理は終了する。ここで、図20(b)に示すように、この第2の実施の形態においても、誘起電圧定数指令値Kecが所定値(例えば0)に達する時間と、位相センサ74の検出結果に基づいて算出される誘起電圧定数Ke(実Ke)が所定値に達する時間とには可変時間差分ΔTが生じている。この可変時間差分ΔTは、量産バラツキなどに起因しているため、モータM1ごとに異なった値となり、より具体的には、実Keが誘起電圧定数指令値Kecに達するまでの時間が長い場合は可変時間差分ΔTは相対的に大きい値となり、そうでない場合は小さい値となる。つまり、この可変時間差分ΔTによって油圧制御装置13毎の作動抵抗値を推定することができるため、前述した回動機構学習演算値算出部62では、この回動機構部学習処理によって求められた可変時間差分ΔTに基づいて回動機構11の作動抵抗値である学習値STをテーブル検索して誘起電圧定数指令値Kec、油圧指令又は流量指令の補正を行っている。
上述したように、第2の実施の形態によるモータの制御装置200aによれば、外周側回転子5と内周側回転子6との相対的な位相θを強め界磁となる最遅角から弱め界磁となる最進角まで変位させた時などに車両200の減速度が低下する場合があるが、位相θの変位に応じてクラッチCを係合させ、ジェネレータモータM2を回生制動させて減速度を発生させることでこの減速度の低下を抑制することができるため、通常の運転フィーリングを損なうことなく位相変更を行うことができる。
尚、この発明は上述した各実施の形態に限られるものではなく、例えば、ハイブリッド車両以外に電気自動車などに適用してもよい。
また、内燃機関Eの全筒で休筒状態にする場合について説明したが、部分休筒を行うことができる内燃機関Eを用いてもよい。この場合、休筒する気筒数を変化させて位相θを変化させる時の減速度を調整するようにしてもよい。
本発明の第1の実施の形態に係る車両の概略構成図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータの要部断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータの最遅角位置に制御されている回転子ユニットの一部部品を省略した側面図。 本発明の第1の実施の形態に係るモータの回転子ユニットの分解斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータの最進角位置に制御されている回転子ユニットの一部部品を省略した側面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータの内周側回転子の永久磁石と外周側回転子の永久磁石とが同極配置された強め界磁状態を模式的に示す図(a)と、内周側回転子の永久磁石と外周側回転子の永久磁石とが異極配置された弱め界磁状態を模式的に示す図(b)を併せて記載した図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータの制御装置の構成図である。 本発明の第1の実施の形態に係る油圧制御装置の構成図である。 本発明の第1の実施の形態に係る回動機構部学習許可終了判断処理のフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係る回動機構部学習処理のフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係る油圧指令値の補正処理のフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係る流量指令値の補正処理のフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係る学習値によるフェール検知処理のフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態に係る図1に相当する車両の概略構成図である。 本発明の第2の実施の形態に係る図8に相当する油圧制御装置の構成図である。 本発明の第2の実施の形態に係る回動機構部学習許可終了判断処理のフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態に係る回動機構部学習許可終了判断処理のフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態に係る回動機構部学習処理のフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係る、車速とアクセルペダル(AP)とのタイミングチャートである図19(a)と、誘起電圧定数Ke、誘起電圧定数指令値Kec、油温、モータトルクのタイミングチャートである図19(b)と、内燃機関Eの発生トルクのタイミングチャートである図19(c)と、トランスミッションT/Mの変速比のタイミングチャートである図19(d)とを併せて記載した図である。 本発明の第2の実施の形態に係る、車速とアクセルペダル(AP)とのタイミングチャートである図20(a)と、誘起電圧定数Ke、誘起電圧定数指令値Kec、油温、モータトルクのタイミングチャートである図20(b)と、ジェネレータモータM2の発生トルクのタイミングチャートである図20(c)と、内燃機関の運転状態(Ne)、クラッチ係合状態(ESC)、車輪軸回転数、内燃機関(Eng)の軸回転、ジェネレータモータ(GENMot)の軸回転のタイミングチャートである図19(d)とを併せて記載した図である。
符号の説明
1,M1 モータ
5 外周側回転子(ロータ)
6 内周側回転子(ロータ)
11 回動機構(位相変更手段)
13 油圧制御装置(アクチュエータ)
62 回動機構学習演算値算出部(補正手段)
100,200 車両
100a,200a 制御装置
M2 ジェネレータモータ(第2のモータ)
ステップS40 異常判定手段

Claims (7)

  1. 各々に磁石片を有し互いの相対的な位相を変更可能な複数のロータを具備するモータと、複数のロータの相対的な位相を作動流体の流体圧により変更する位相変更手段とを有したモータの制御装置であって、
    前記モータは車両を走行駆動又は内燃機関による車両の走行駆動を補助するモータであり、
    前記位相変更手段は、位相変更の要求に係る制御指令に応じて前記作動流体の流体圧を制御するアクチュエータを備え
    前記車両がコーストダウン状態となった場合に目標位相まで前記複数のロータの相対的な位相を変位させ、そのときの実位相の状態変化量に基づき前記アクチュエータの作動抵抗値を算出し、該作動抵抗値に応じて前記アクチュエータの位相変更の要求に係る制御指令値を補正する補正手段を備えることを特徴とするモータの制御装置。
  2. 前記補正手段は、前記作動流体の温度が所定範囲内のときに前記アクチュエータの制御指令値を補正することを特徴とする請求項1に記載のモータの制御装置。
  3. 前記状態変化量は、前記目標位相に前記実位相が到達するまでの到達時間であることを特徴とする請求項1又は2に記載のモータの制御装置。
  4. 前記状態変化量はコーストダウン時に位相を一定の割合で変化させて前記目標位相に前記実位相が到達するまでの到達時間であることを特徴とする1〜3のいずれか一項に記載のモータの制御装置。
  5. 前記補正手段は、前記作動抵抗値が所定の閾値を超えた場合に前記位相変更手段が異常状態であることを判定する異常判定手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータの制御装置。
  6. 前記補正手段は、前記位相の変更中に所定の減速度が発生するように車両の変速機を制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のモータの制御装置。
  7. 前記位相変更手段による前記位相の変更中に所定量の減速度が発生するように回生制動を行う第2のモータを備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のモータの制御装置。
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