JP4869127B2 - 圧延方向に板厚がテーパ状に変化するテーパ鋼板の板厚制御方法 - Google Patents
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Description
通常、平板圧延における板厚制御は、圧延荷重P,ロールギャップS及び鋼板の出側板厚hの間に成り立つ下記の(1)式で示される基本的な関係に基づいて行われる。
S=h−P/M (1)
ここで、Mはミル剛性係数である。
S*=h*−P*/M (2)
そして、(1)式で得られる鋼板の出側板厚hを、(2)式で得られる目標出側板厚h*に一致させるために下記の(3)式に従ってロールギャップSを設定制御する。
S=S*−1/M・(P−P*) (3)
S=S*−1/M・(P−P*)+ΔhT (4)
ここで、ΔhTはかみ込み端を基準にして圧延長に対応した目標出側テーパ板厚変化量である。
S=S*−KA/M・(P−P*)+η・ΔhT (5)
η=(M+Q(1−KA))/M (6)
ここで、Qは被圧延材の塑性係数(−∂P/∂h)である。
S=S*−KA/M・(P−P*)−(1−KA)/M・ΔP’+ΔhT (7)
(7)式中の予測圧延荷重変動量ΔP’は、
ΔP’=−Q・ΔhT (8)
で示されるが、この式による圧延荷重予測に誤差がある場合、すなわちΔP’=P−P*の関係が成り立たない場合には、出側板厚に誤差を生じるという問題がある。
ΔPi’=−Σ(Qi・Δhn) (9)
ここで、Δhnは目標出側テーパ板厚変化量ΔhTを制御のサンプリング区分でn等分したものである。
しかし、同一テーパ形状のテーパ鋼板を繰り返し圧延するテーパ鋼板の連続成形においては、圧延長が長くなると、ロールの温度が上昇し、熱膨張等の影響によりロール径が大きくなり、出側板厚に誤差を生じる場合があった。また、制御系のプロセスコンピュータの容量等の観点から、制御のサンプリングタイムを短くすることができず、サンプリングタイムが長くなる場合には、隣接するサンプリング点であるi点とi−1点との圧延荷重差が大きくなり、目標通りのテーパ勾配を有するテーパ鋼板が得られない場合があった。
また、同一テーパ形状のテーパ鋼板を繰り返し圧延するテーパ鋼板の圧延において、繰り返しの1サイクル内で隣接する制御のサンプリング点間の圧延荷重差予測値に基づいてロールギャップ設定値を補正するとともに、サイクル間で板厚測定値に基づいてロールギャップ設定値を補正することを特徴とする。
その結果、繰り返しのサイクル間で板厚測定値に基づいてロールギャップ設定値を補正した板厚制御式を用いることにより、ロール径変化の影響が考慮され、出側板厚の誤差が少なくなることを見出した。また、制御のサンプリングタイムにかかわらず板厚精度の高いテーパ鋼板の圧延が可能な板厚制御方法について種々調査検討した結果、繰り返しの1サイクル内で隣接するサンプリング点であるi点とi−1点との圧延荷重差予測値に基づいてロールギャップ設定値を補正した板厚制御式を用いることにより、サンプリングタイムが長く、隣接するサンプリング点間の圧延荷重差が大きくなる場合にも、目標通りのテーパ勾配を有するテーパ鋼板が得られことを見出した。
基準位置である先端の目標板厚をh0、基準位置の圧延荷重予測値をP0 C、ミル剛性係数をMとして、基準位置におけるロールギャップS0を(10)式で設定する。
S0=h0−P0 c/M (10)
そして、同一テーパ形状のテーパ鋼板の繰り返し圧延における1サイクル内で、制御の各サンプリング点のロールギャップSiを(11)式で補正する。
Si=S0−1/M・(Pi-1−P0 c)−1/M・(Pi c−Pi-1 c)・Pi-1/Pi-1 c+Δhi (11)
ここで、Pi c,Pi-1 cはそれぞれ制御しようとしているサンプリング点と1つ前のサンプリング点の圧延荷重予測値、Pi-1は制御しようとしているサンプリング点の1つ前のサンプリング点の圧延荷重測定値、Δhiは制御しようとしているサンプリング点の基準位置に対する目標出側板厚差である。
Sm=S0−1/M・(Pm-1−P0 c)−1/M・(Pm c−Pm-1 c)・Pm-1/Pm-1 c
+Δhm+(hj−hj m)・α (12)
ここで、m点は繰り返しの1サイクルの終わりのサンプリング点、j点は繰り返しの1サイクルにおける任意のサンプリング点を示す。Pm c,Pm-1 cはそれぞれ制御しようとしているサンプリング点であるm点と1つ前のサンプリング点であるm−1点の圧延荷重予測値、Pm-1はm−1点の圧延荷重測定値、Δhmはm点の基準位置に対する目標出側板厚差、hj,hj mはそれぞれj点における目標出側板厚と出側板厚測定値,αは板厚測定値に基づいたロールギャップ設定値補正における補正係数である。
ロールギャップ設定器12は、基準位置である先端の目標板厚h0、圧延荷重予測器11から入力された基準位置の圧延荷重予測値P0 cに基づき、前述の(10)式を用いて基準位置におけるロールギャップS0を算出し、これをロールギャップ位置制御系13に入力する。
図1に示した制御系を用いて、図2の形状を繰り返し圧延し、テーパ鋼板を連続成形した。圧延素材として、板厚1.6mm,板幅250mmのコイル状の普通鋼鋼板を用い、目標とするテーパ形状を薄肉部板厚1.0mm,厚肉部板厚1.4mm,薄肉部長さ100mm,テーパ部長さ300mm,厚肉部長さ200mmの形状とし、全長1000mmのテーパ鋼板を繰り返し800枚圧延した。なお、圧延荷重式としては、Hillの式を用い、板厚測定値に基づいたロールギャップ設定値補正における補正係数αを0.7として圧延を行った。また、板厚制御におけるサンプリングタイムについては、圧延長20mm間隔で制御を行うようにした。
従来法では、熱膨張等によるロール径変化の影響や隣接する制御のサンプリング点間の圧延荷重差が考慮されていないため、平均偏差が34μmであったが、本発明法では平均偏差が13μmと改善されている。また、従来法では、圧延長が長くなるにつれてロール径変化が大きくなるため、最大偏差が82μmであったが、本発明法では最大偏差が25μmと改善されている。
3:圧下装置 4:圧下位置検出器
5:圧延荷重計 6:パルス発生器
7:板厚計 8:被圧延材
9:圧延条件入力器 10:目標板厚差設定器
11:圧延荷重予測器 12:ロールギャップ設定器
13:ロールギャップ位置制御系
Claims (2)
- 予測圧延荷重と圧延荷重,ロールギャップ及び鋼板の板厚の間に成り立つ関係式に基づいてロールギャップを設定し板厚制御を行う制御系を用い、目標出側板厚を圧延長に従ってテーパ状に変更することにより出側板厚を圧延方向に連続的に変化させるテーパ鋼板の板厚制御方法において、隣接する制御のサンプリング点間の圧延荷重差予測値及び板厚測定値に基づいてロールギャップ設定値を補正することを特徴とする圧延方向に板厚がテーパ状に変化するテーパ鋼板の板厚制御方法。
- 同一テーパ形状のテーパ鋼板を繰り返し圧延するテーパ鋼板の圧延において、繰り返しの1サイクル内で隣接する制御のサンプリング点間の圧延荷重差予測値に基づいてロールギャップ設定値を補正するとともに、サイクル間で板厚測定値に基づいてロールギャップ設定値を補正することを特徴とする請求項1記載の圧延方向に板厚がテーパ状に変化するテーパ鋼板の板厚制御方法。
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JP2007089147A JP4869127B2 (ja) | 2007-03-29 | 2007-03-29 | 圧延方向に板厚がテーパ状に変化するテーパ鋼板の板厚制御方法 |
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