JP4868847B2 - 鉛蓄電池 - Google Patents
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Description
そこで、本発明者らは、従来用途にコストダウンや高容量設計のための活物質充填空間確保の観点から、群全体としての格子体積を規制してその鉛量を少なくする等を行わなければ、現在の市場を満足するものではないと考えた。
未満、スズを0.40〜4.0質量%、アルミニウムを0.04質量%以下、バリウムを0.002〜0.014質量%を含む鉛合金よりなり、極板群のうちの正極板群全体の上半分の格子体積を0.35〜0.40cc/Ah、下半分の格子体積を0.25〜0.30cc/Ahとし、合わせた正極板群全体の格子体積を0.70cc/Ah
以下としたことを特徴とするものである。
なお、正極板群上半分や上部とは極板耳部が取り付けてある部分を上とした場合であり、格子体積は耳部、足部を除いたものである。
また、正極板群上半分の格子体積と下半分の格子体を変化させるには、基板鋳造鋳型の彫り具合により調整(上部を下部より幅広く掘る)したり、上半分の横または/および縦枠骨の本数を下半分より増やしたりすることで可能である。
また、格子基板へのBaの添加も機械的強度を高めることが可能であり、その含有量は0.002〜0.014質量%である。Baの含有量が0.002質量%未満では機械的強度の向上が不足し、0.014質量%以上では格子耐食性が低下する。Baのより好ましい含有量の範囲は0.002〜0.010質量%である。
Snの添加は合金の湯流れ性と機械的強度を向上することができるとともに、電池とした場合に格子界面に溶出したSnが腐食層にドープされ、半導体効果で導電性を高める効果がある。Snの含有量は0.4〜4.0質量%とすることが好ましい。Snが0.4質量%未満では上記の効果(合金の湯流れ性や機械的強度の向上等)がいずれも不足し、また耐食性も低下する。またSnが4.0質量%を超えると結晶が粗大化し、見掛けの腐食以上に粒界腐食が進行する。Snのより好ましい含有量は0.6質量%以上である。
Alの添加は溶湯の酸化によるCaとBaの損失を抑制するためであり、その含有量は0.04質量%以下とすることが好ましい。Alが0.04質量%を超えるとAlがドロスとして析出し易くなる。
また、これらPb−Ca−Sn−Al−Ba鉛合金に更に0.005質量%以上0.070質量%以下の銀、0.01質量%以上0.10質量%以下のビスマス、0.001質量%以上0.050質量%以下のタリウムの少なくとも一種を添加した場合も同様に、耐食性、耐グロス性または機械的強度を向上させることが可能である。
よって、耐食性、耐グロス性に優れるPb−Ca系からなる格子基板を使用することで、正極板群全体の上半分の格子体積を0.35〜0.40cc/Ah、下半分の格子体積を0.25〜0.30cc/Ahとし、合わせた正極板群全体の格子体積を0.70cc/Ah以下とすることが可能である。この範囲とすることで、格子体積を更に減らすことが可能であるので鉛量の削減に繋がり、さらに同容積内での高容量電池設計を可能(高容量化)とすることができる。また、格子基板に耐食性合金を使用することにより鉛蓄電池のさらに寿命を向上させることができる。
なお、Ca、Ba、Sn、Al(銀、ビスマス、タリウムも含む)以外の残部は鉛および極微量の不可避の元素からなるものである。
格子体積低減分)を活物質とすることで、実質使用される鉛量は削減することかできる( コストダウン) 。
また、格子鉛量を低減した分、活物質の充填空間確保が増加するので高容量の電池設計が可能となるのは当然であるが、従来と同容量の電池設計の場合は、格子鉛量削減分がコストダウンとなる。
上記と同様の方法で、表1に記載の通り正極板群上半分格子体積が全体で0.35cc/Ah〜0.45cc/Ah、正極板群下半分格子体積が全体で0.25cc/Ah〜0.35cc/Ah、正極板群全体格子体積が全体で0.6cc/Ah〜0.8cc/Ahとなるように種々の正極の格子基板を作製し、2V、定格容量200Ahの種々の制御弁式鉛蓄電池を得た(本発明1〜6)。
なお、本実施例では活物質ペーストを格子基板に均一に充填した例を示したが、活物質ペーストを格子基板に分布させて充填しても良い。
(比較例)
表1に記載の通り正極板群上半分格子体積が全体で0.3〜0.5cc/Ah、正極板群下半分格子体積が全体で0.2〜0.4cc/Ah、正極板群全体格子体積が全体で0.5〜0.9cc/Ahとなるように種々の正極の格子基板を作製した以外は実施例1と同様の方法で2V、定格容量200Ahの種々の制御弁式鉛蓄電池を得た(比較例1〜14)。
表1の判定基準として、寿命期間は7ヶ月以下を1ポイント、7〜8ヶ月を2ポイント、8〜9ヶ月を3ポイント、9〜10ヶ月を4ポイント、10ヶ月よりも寿命が長いものを5ポイントとした。また、初期容量については、0.1CA放電の定格容量に対して100%未満を1ポイント、100%以上105未満を2ポイント、105%以上110%未満を3ポイント、110%以上115%未満を4ポイント、115%以上を5ポイントとした。コストは正極板群全体の格子体積が0.9cc/Ah超過が1ポイント、0.8超過0.9以下cc/Ahが2ポイント、0.7超過0.8以下cc/Ahが3ポイント、0.6超過0.7以下cc/Ahが4ポイント、0.6cc/Ah以下が5ポイントとした。総合評価は寿命期間、初期容量およびコストのポイントを掛け合わせた値から判断した。ポイント数が20以下を×、20〜40を△、40〜50を○、50より上を◎とした。
比較例5〜9では上半分の格子体積は本発明と同範囲ではあるが、下半分の格子体積により寿命特性、初期容量に影響を及ぼす。下半分の格子体積が0.25cc/Ahよりも小さい場合は寿命特性を悪くし、大きい場合は初期容量が劣る。
また、比較例10〜14では、寿命期間が極端に短い結果となった。これは、本発明1〜6に比し正極板群上半分の格子体積が小さい、即ち、格子が細いために電流が集中する極板上部での格子腐食により早期に寿命となったものである。本発明では、正極板群上下各々において格子体積を最適化することにより、格子鉛量削減分コストダウンが可能になり、活物質の充填空間確保により同容積内での高容量電池設計が可能となった。
上部を広幅に掘る) 作製した格子基板は正極板群上半分格子体積が0.40cc/Ah、正極板群下半分格子体積が0.30cc/Ah、正極板群全体格子体積が0.70cc/Ahとして格子基板を作製した以外は実施例1と同様に2V、定格容量200Ahの種々の制御弁式鉛蓄電池を得た。
なお、表2はCa含有率比較、表3はSn含有率比較、表4はAl含有率比較、表5はBa含有率比較であり、表中に記載の無い残部は極微量の不可避の不純物を含む鉛である。
表2〜5は、上記方法で作製した種々の制御弁式鉛蓄電池の合金組成、寿命期間を示したものである。
表2に示すようにCa含有率比較では、格子基板へのCaの含有量を0.02質量%以上0.05質量%未満が好ましく長寿命化することが可能である。本発明7の寿命期間が短いのは、Caの添加量が少ないため機械的強度が不十分であったからである。また、本発明10の寿命期間が短いのは、Caの添加量が多いため逆に耐食性を悪化させてしまったからである。
表3に示すようにSn含有率比較では、格子基板へのSnの含有量は0.4〜4.0質量%が好ましく長寿命化することが可能である。本発明11の寿命期間が短いのは、Snの添加量が少ないため機械的強度が不十分であったり、耐食性が悪化したりしたためである。また、本発明13の寿命期間が短いのは、Snの添加量が多いため結晶が粗大化し、見掛けの腐食以上に粒界腐食が進行したためである。
表4に示すようにAl含有率比較では、格子基板へのAlの含有量は0.04質量%以下が好ましく長寿命化することが可能である。本発明14の寿命期間が短いのは、Alの添加量が少ないため添加効果がみられなかった。また、本発明16の寿命期間が短いのは、従来Alの添加効果は溶湯の酸化によるCaとBaの損失を抑制するためであるが、Alの添加量が多いため、ドロスとして析出してしまった。
表5に示すようにBa含有率比較では、格子基板へのBaの含有量は0.002〜0.014質量%が好ましく長寿命化することが可能である。本発明17の寿命期間が短いのは、Baの添加量が少ないため機械的強度が不十分であったからである。また、本発明19の寿命期間が短いのは、Baの添加量が多いため格子耐食性が低下したためである。
に記載の通り正極板群上半分格子体積が0.3〜0.4 5cc/Ah、正極板群下半分格子体積が0.25〜0.5cc/Ah、正極板群全体格子体積が0.55〜0.95cc/Ahとなるように種々の格子基板を作製した以外は、実施例1と同様に2V、定格容量200Ahの種々の制御弁式鉛蓄電池を得た。
また、本実施例ではPb−Ca−Sn−Al合金からなる鉛−カルシウム−スズ系合金の格子基板を用いたが、これに、0.005
質量% 以上0.070 質量%以下の銀、0.01
質量%以上0.10質量%以下のビスマス、0.001質量%以上0.050質量%以下のタリウムよりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素を含む鉛−カルシウム−スズ系合金の格子基板を用いてもよい。
なお、表6の判定基準は表1の判断基準と同様に行った。
また、本発明3(通常合金を使用した制御弁式鉛蓄電池)と本発明9(耐食性合金を使用した制御弁式鉛蓄電池)において、本発明9の正極板群全体の格子体積を0.05cc/Ah低減させても寿命特性が優れており、格子体積削減分、活物質の充填が可能であるので高容量化が可能となる。またコストも低減することが可能である。
本発明9と本発明20(夫々、耐食性合金を使用した制御弁式鉛蓄電池)において、本発明9は本発明20より基板上半分の格子体積を0.05cc/Ah低減させても寿命特性は夫々同等であり、格子体積削減分、活物質の充填が可能であるので高容量化が可能となる。またコストも低減することが可能である。
比較例15では格子体積が大きいため寿命特性は優れるが、活物質充填空間の確保ができないため、初期容量が小さく、また格子体積が大きいためコスト削減がでず総合評価では悪い結果となった。比較例17では正極板群上半分格子体積が小さいため、高耐食性合金を使用しても寿命特性では短寿命となってしまった。
Claims (2)
- 鉛を主成分とする鉛-カルシウム-スズ系の合金からなる基板に正極活物質ペーストを充填した正極板に、セパレータを介して負極板を積層した極板群を備えて成る鉛蓄電池において、極板群のうちの正極板群全体の上半分の格子体積を0.35〜0.45cc/Ah、下半分の格子体積を0.25〜0.35cc/Ahとし、合わせた正極板群全体の格子体積を0.80cc/Ah以下とすることを特徴とする鉛蓄電池。
- 鉛を主成分とする鉛-カルシウム-スズ系の合金からなる基板に正極活物質ペーストを充填した正極板に、セパレータを介して負極板を積層した極板群を備えて成る鉛蓄電池において、該基板が、少なくともカルシウムを0.02質量%以上0.05質量%
未満、スズを0.40〜4.0質量%、アルミニウムを0.04質量%以下、バリウムを0.002〜0.014質量%を含む鉛合金よりなり、極板群のうちの正極板群全体の上半分の格子体積を0.35〜0.40cc/Ah、下半分の格子体積を0.25〜0.30cc/Ahとし、合わせた正極板群全体の格子体積を0.70cc/Ah以下としたことを特徴とする請求項1記載の鉛蓄電池。
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