JP4868604B2 - 熱伝導率測定装置、ガス成分比率測定装置 - Google Patents

熱伝導率測定装置、ガス成分比率測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、種類が既知であるがその成分比率(組成比率)が不明なガス、例えば天然ガスの熱伝導率を簡易に計測し得る熱伝導率測定方法および装置、並びに熱伝導率測定装置を用いたガス成分比率測定装置に関する。
ガスの熱伝導率を計測する手法として、ヒータを取り巻く雰囲気ガスを一定温度に保った状態で前記ヒータを定温度で駆動し、その発熱量を計測することが知られている。この手法は、ヒータの発熱量とその雰囲気ガスの熱伝導率とが比例することを利用したものである。しかしながらこの手法を採用して雰囲気ガスの熱伝導率を計測する場合には、上記雰囲気ガスを一定温度に保つための恒温槽を必要とする等、その構成が大掛かりとなることが否めない。
また日本国;特開2001−221758号公報には、図12に示すように流体を導く流路に面して上記流体を滞留させるキャビティを設けると共に、このキャビティと流路との境界に多孔体を設けることで、前記キャビティ内に組み込んだセンサ(ヒータ)の発熱量から前記流体の熱伝導率を精度良く検出することが開示される。ちなみに上記多孔体は、流路内の流体とキャビティ内の流体とが分子拡散のみによって交換されるように設計される。
しかしながら一般的にガスの熱伝導率は、その種類に応じた固有の温度変化特性を有するので、単純にヒータの発熱量を計測しても、その熱伝導率を正確に計測することができないと言う本質的な問題がある。特に天然ガスのように複数種類のガスが入り混じった混合ガスが雰囲気ガスの場合、その熱伝導率を計測することが非常に困難であった。
ちなみに混合ガスをカラムと称される部材に通し、その分子量の違いに起因する流速の違いを利用してガス種の組成比率を分析し、その上で混合ガスの熱伝導率を計測することも行われている。しかしながらこのような手法においては、カラムを用いた混合ガスの組成比率の分析に多大な時間が掛かる上、分析装置の全体構成が複雑で高価である等の問題もあった。
本発明は、純粋ガスや混合ガスの熱伝導率を簡易に計測することのできる熱伝導率測定方法および装置を提供することを目的としている。更には上記熱伝導率測定方法および装置を用いて種類が既知の混合ガス、例えば天然ガスの組成比率を求めて、その発熱量を評価することのできるガス成分比率測定装置を提供することを目的としている。
本発明はマイクロヒータと称される微小な放熱面積を有するヒータ、つまり点熱源と看做し得るヒータを駆動し、その発熱量から雰囲気ガスの熱伝導率を計測するようにした場合、これによってヒータ近傍の雰囲気ガスが自然対流を生じることなく局所的な温度分布を形成して平衡すること、そしてこのときの平均熱伝達係数hが概ね雰囲気ガスの熱伝導率λに比例し、且つ温度境界層の厚みdに反比例することに着目してなされている。また雰囲気ガスの熱伝導率λとマイクロヒータからの放熱係数Cとが高い相関性を有することに着目している。
そこで本発明に係る熱伝導率測定方法は、空中に支持されて雰囲気ガス(計測対象)中に設けられたマイクロヒータを用いてその発熱量から上記雰囲気ガスの熱伝導率を計測するようにしたものであって、
特に上記マイクロヒータに加えた電力Phとそのときのヒータ温度Thおよび周囲温度Toとに基づいて前記マイクロヒータからの放熱係数C[=Ph/(Th−To)]を算出し、その計測温度における前記雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)と前記放熱係数Cとの比例関係[C=K・λ(T)]に従って、上記算出された放熱係数Cから前記雰囲気ガスの上記計測温度Tにおける熱伝導率λ(T)を求めることを特徴としている。
ちなみに前記計測温度Tは、前記ヒータ温度Thと周囲温度Toとの平均温度[=(Th+To)/2]として求められる。また計測温度Tにおける前記雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)と放熱係数Cとの比例関係[C=K・λ(T)]は、前記マイクロヒータから雰囲気ガスへの平均熱伝導率hが該雰囲気ガスの熱伝導率λに比例し、且つ雰囲気ガスにおける温度境界層の厚みdに反比例すると看做して[h=λ/d]、前記雰囲気ガスの上記計測温度Tにおける熱伝導率λ(T)、基準ガスの熱伝導率とその温度境界層の厚みとを基準として求められる前記雰囲気ガスの温度境界層の厚みd、および前記マイクロヒータの放熱面積Sを用いて前記放熱係数Cを表した関係式[C=2・(λ(T)/d)・S]として求められる。
このような熱伝導率測定方法を実行する熱伝導率計測定置は、空中に支持されて雰囲気ガス中に設けられるマイクロヒータと、このマイクロヒータの温度Thを求めるヒータ温度検出手段と、前記マイクロヒータの周囲温度Toを計測する温度センサと、前記マイクロヒータを通電加熱する電源と、この電源による前記マイクロヒータの通電電力Ph、そのときのヒータ温度Thおよび周囲温度Toに基づいて前記マイクロヒータからの放熱係数Cを[C=Ph/(Th−To)]として算出する放熱係数演算手段と、前記ヒータ温度Thと周囲温度Toとに従って前記雰囲気ガスの計測温度を求める計測温度算出手段と、計測温度Tにおける前記雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)と放熱係数Cとの比例関係[C=K・λ(T)]に基づいて、前記放熱係数演算手段にて算出された放熱係数Cから前記計測温度Tにおける前記雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)を求める熱伝導率演算手段とを備えて実現される。
この際、前記ヒータ温度検出手段については、例えば標準温度における前記マイクロヒータの抵抗値Rstdと、前記電源により前記マイクロヒータを通電加熱したときの駆動電力Phと通電電流Ih、または端子電圧Vhと通電電流Ihから求められるヒータの抵抗値Rhとからヒータ温度Thを算出するように構成すれば良い。また前記熱伝導率演算手段については、計測温度Tにおける前記雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)と放熱係数Cとの比例関係を登録したテーブルを参照して、前記放熱係数演算手段にて求められた放熱係数Cに対応する熱伝導率λ(T)を求めるように構成すれば良い。
更に前記マイクロヒータに加える電力Phを変化させてヒータ温度Thを変化させる計測条件変更手段を備えることも好ましい。
また本発明に係るガス成分比率測定装置は、上述した計測条件変更手段を用いて互いに異なるヒータ温度での雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)をそれぞれ求める手段と、上記各ヒータ温度での熱伝導率λ(T)の連立方程式から前記雰囲気ガスの組成比を解析する解析手段とを備えたことを特徴としている。
具体的には上記解析手段は、前記雰囲気ガスがn種のガスの混合ガスであって、その熱伝導率λ(T)が上記各ガスの熱伝導率λ1(T),λ2(T),〜λn(T)を、その組成比率と各ガス間の結合係数とに応じて定まる割合で加算したものであると看做して、[n−1]段階に設定されたヒータ温度Th(1),Th(2)〜Th(n-1)においてそれぞれ求められる[n−1]個の熱伝導率λ(T1)(T2)〜λ(Tn−1)を解析して上記組成比率を求めるように構成される。
尚、上記結合係数は、例えば熱伝導率を求めるワシリエワ[Wassiljewa]の式中で用いられているものである。またこの結合係数については、例えば後述するようにリンゼイ・ブロムレイ[Lindsay-Bromley]の近似式にて求めることができる。
更には上記ガス成分比率測定装置に、前記解析手段により求められた前記雰囲気ガスの組成比率から、該雰囲気ガスの発熱量を求める機能を持たせることも有用である。ちなみに前記雰囲気ガスは、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタンを主体とする天然ガスからなる。
本発明で用いられるマイクロヒータの素子構造を示す図。 マイクロヒータの概略的な断面構造を示す図。 マイクロヒータを発熱駆動したときのマイクロヒータ近傍における雰囲気ガスの温度分布を模式的に示す図。 本発明の実施形態に係る熱伝導率測定方法および装置の要部概略構成図。 組成比率の異なる混合ガスの例を示す図。 計測温度Tにおける放熱係数Cと雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)との関係を示す図。 計測温度Tを変更したときの放熱係数Cと雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)との関係を示す図。 複数のガスX,Y,Zの熱伝導率λX(T)Y(T)Z(T)についての温度特性を示す図。 ガス密度と発熱量との関係を示す図。 ガス成分比率測定装置の概略構成を示す図。 電源の構成例を示す図。 従来の熱伝導率測定装置の構成例を示す図。
以下、図面を参照して本発明に係る熱伝導率測定方法および熱伝導率測定装置、並びにガス成分比率測定装置について説明する。
本発明は、例えば図1にその概略構成を示すマイクロヒータ1を用い、基本的には上記マイクロヒータ1の発熱量から雰囲気ガス(純粋ガスまたは混合ガス)の熱伝導率を測定するものである。マイクロヒータ1は、例えば厚み0.5mmで縦横の寸法がそれぞれ1.5mm程度のシリコンチップ1aの表面に凹状のキャビティ1bを形成すると共に、このキャビティ1bを架橋して薄膜のダイヤフラム1cを形成し、このダイヤフラム1c上に白金等からなる微小な発熱抵抗体(ヒータ)1dを設けたものである。また一般的には上記シリコンチップ1aの周辺部には、その周囲温度を計測する為の温度センサ1eが設けられる。
このようなマイクロヒータ1の構造は、例えば図2に概略的な断面構造を示すように、流体の通流方向Fに沿って発熱抵抗体1dに相当するヒータ素子Rhを挟んで一対の温度センサRu,Rdを設けた熱式流量計として良く知られたものである。ちなみにシリコンチップ1aの表面に設けられる発熱抵抗体(ヒータ)1d、上流側温度センサRu、下流側温度センサRd、および周囲温度センサ1eは白金の薄膜体等からなる。またこれらの発熱抵抗体(ヒータ)1dや温度センサRu,Rd等は、例えば厚さが0.2〜0.5μm程度の薄い酸化シリコン(SiO)膜、または窒化シリコン(SiN)膜からなる電気絶縁膜で覆われて、その表面が保護される。
特にマイクロヒータ1の主体部をなす発熱抵抗体(ヒータ)1dは、肉薄のダイヤフラム1cと上記電気絶縁膜との間に挟み込んで設けられることで実質的には空中に支持されて雰囲気ガス中に位置付けられる。この結果、上記発熱抵抗体(ヒータ)1dの表面は上記電気絶縁膜を介して雰囲気ガスに接し、またその裏面はダイヤフラム1cを介して雰囲気ガスに接するようになっている。但し、上記電気絶縁膜および薄膜のダイヤフラムはそれぞれ非常に薄いので、前記発熱抵抗体(ヒータ)1dの表裏面は、実質的に雰囲気ガスに接していると看做し得る。尚、以下の説明では発熱抵抗体(ヒータ)1dそのものをマイクロヒータ1として説明する。
ところで白金等の発熱抵抗体からなるマイクロヒータ1は、温度によってその抵抗値が変化する性質を有し、例えば20℃なる標準温度Tstdでの抵抗値がRstdである場合、1次の抵抗温度係数をα、2次の抵抗温度係数をβとしたとき、温度Thでの抵抗値Rhは
Rh = Rstd・{1+α(Th−Tstd)+β(Th−Tstd)} …(1)
として与えられる。そしてマイクロヒータ1の抵抗値Rhは、マイクロヒータ1を通電駆動する電力Phとその通電電流Ihとから
Rh = Ph/Ih …(2)
として、或いはマイクロヒータ1の両端間電圧Vhとそのときの通電電流Ihとから
Rh = Vh/Ih …(3)
として求めることができる。
またマイクロヒータ1の温度Thは、雰囲気ガスとの間で熱的に平衡状態となったときに安定する。そしてこの平衡状態でのマイクロヒータ1の駆動電力Phは、マイクロヒータ1から雰囲気ガスへの放熱係数をCとしたとき、そのヒータ温度Thと周囲温度をToとの間で
C・(Th−To) = Ph …(4)
なる関係を有する。換言すれば上記の(4)式に満たす条件が成立したとき、マイクロヒータ1と雰囲気ガスとが熱的に平衡状態となって安定する。従ってこの熱的平衡状態の条件から、マイクロヒータ1から雰囲気ガスへの放熱係数Cを
C = Ph/(Th−To) …(4a)
として求めることが可能となる。
具体的にはヒータ温度Thは、前述したようにマイクロヒータ1の駆動電力Phとそのときの通電電流Ihから、或いはマイクロヒータ1の両端間電圧Vhとその通電電流Ihとからマイクロヒータ1の抵抗値Rhを求め、更にこの抵抗値Rhから前述した(1)式を逆算することによって求めることができる。更に周囲温度Toについては、例えば図1を用いてマイクロヒータ1の構造を説明したように、マイクロヒータ1の近傍に設けられる周囲温度検出用の温度センサ1eにて求めることができる。従ってマイクロヒータ1の駆動電力Ph、マイクロヒータ1のヒータ温度Th、その周囲温度Toをそれぞれ求めることで、前述した(4)式に従ってマイクロヒータ1から雰囲気ガスへの放熱係数Cを算出することが可能となる。
一方、上述した放熱係数Cは、マイクロヒータ1から雰囲気ガスへの平均熱伝達係数(熱源となる物体から雰囲気ガスへの熱の移動において、熱源の放熱面を複数のブロックに分割した時、それぞれのブロックにおける熱伝達係数を局所熱伝達係数と言い、各ブロックの局所熱伝達係数を平均化して求めた前記ブロック全体(すなわち熱源の放熱面全体)の熱伝達係数を平均熱伝達係数と言う)をhとし、マイクロヒータ1の放熱面積をSとしたとき、一般的には
C = 2・h・S …(5)
として表すことができる。尚、上記平均熱伝達係数hは、一般的には雰囲気ガスの自然対流の状況やマイクロヒータ1の表面状態によって変化する。また上記係数[2]は、前述したようにマイクロヒータ1から雰囲気ガスへの熱伝達が、図3にその概念を模式的に示すようにマイクロヒータ1の表裏の2面でそれぞれ行われることを考慮したものである。
しかしマイクロヒータ1の素子面積(発熱面積)が微小なので、このマイクロヒータ1の発熱によって生じる温度変化の範囲が微小であってスポット的な温度変位しか生じることがなく、また雰囲気ガスの自然対流も生じないものとすると、マイクロヒータ1の周囲の温度分布は、専ら図3に示すようにマイクロヒータ1から離れるに従って次第に低くなる。特にマイクロヒータ1に接する部位での雰囲気ガスの温度はヒータ温度Thまで高められ、マイクロヒータ1から離れるに従って次第にその周囲温度Toまで低下する。
このような温度分布をなす前記マイクロヒータ1の近傍の雰囲気ガスの温度が、上記ヒータ温度Thから周囲温度Toまで低下するまでの距離を温度境界層の厚みdとして定義すると、前述した平均熱伝達係数hは、雰囲気ガスの熱伝導率λに比例し、且つ温度境界層の厚みdに反比例すると考えられる。即ち、平均熱伝達係数hは
h = λ/d …(6)
として決定される。
ちなみに雰囲気ガスの熱伝導率λは、一般的に温度が高くなるに従って大きくなる傾向にある。例えば上記温度境界層の平均温度Tにおける雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)
λ(T) = λo(1+γ・T) …(7)
として与えられる。但し、上記λoは、基準温度(例えば0℃)における雰囲気ガスの熱伝導率であり、γは1次の温度係数である。また温度境界層の平均温度Tは、例えば
T =(Th+To)/2
として与えられる。
また前記温度境界層の厚みdは雰囲気ガスの熱伝導率λによって変化し、熱伝導率λが大きくなる程、熱伝達が早いのでその厚みdが薄くなる。逆に雰囲気ガスの熱伝導率λが小さい場合には、熱伝達が遅い分、温度変化の勾配が緩やかとなって温度境界層の厚みdが厚くなる。そして基準温度Tstdにおける基準ガスの熱伝導率がλstdであり、そのときの温度境界層の厚みがdstdとして与えられるものとすれば、上記基準温度Tstdでの熱伝導率がλoの雰囲気ガスの温度境界層の厚みdoとの間には
do・λo = dstd・λstd …(8a)
なる関係が成立する。尚、上記基準ガスとは任意に選択されたガスを指し、この実施例においては、例えばメタンガスが基準ガスとして選択される。
また上記基準温度Tstdでの熱伝導率がλoである雰囲気ガスの温度境界層の厚みdoと、上記雰囲気ガスの温度(計測温度)Tにおける熱伝導率λ(T)とそのときの温度境界層の厚みd(T)との間には、
do・λo = d(T)・λ(T) …(8b)
なる関係が成立する。つまり温度境界層の厚みdと雰囲気ガスの熱伝導率λとの積は、ガスの種別に拘わりなく一定であると考えられる。
換言すれば計測温度Tにおける雰囲気ガスの温度境界層の厚みd(T)は、
(T) = dstd・λstd/λ(T) …(8c)
として与えられることになる。
またマイクロヒータ1の放熱面積Sは、一般的には前述した発熱抵抗体(ヒータ)1dを形成したダイヤフラム1cの全体の面積を指すことが多く、マイクロヒータ1の近傍における雰囲気ガスの温度分布はダイヤフラム1c上での温度分布に依存して変化する。しかし熱伝導率λの大きい雰囲気ガスの場合には、その温度分布がシャープな形状となるので、その実質的なマイクロヒータ1の放熱面積Sをダイヤフラム1cの面積Soよりも小さい面積として捉えることができる。
具体的にはマイクロヒータ1の実質的な放熱面積Sは、温度境界層における雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)に反比例して狭くなるので、
S ∝ So/λ(T) …(9)
として捉えることができる。そしてマイクロヒータ1自体が微小であることと相俟って、マイクロヒータ1の放熱面積Sはスポット状であって、実質的に点熱源をなしていると看做すことができる。
以上の考察から前述した放熱係数Cと雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)との関係をまとめると、前述した(5)〜(8)式から
C = 2・h・S
= 2・(λ(T)/d(T))・S
= 2・S・λ(T)/[dstd・λstd/λ(T)
= 2・S・λ(T) 2/[dstd・λstd] …(10)
なる関係を導くことができる。そして更にこの(10)式に前述した(9)式を代入することによって
C ∝ 2・[So/λ(T)]・λ(T) /[dstd・λstd]
∝ 2・So・λ(T)/d[dstd・λstd] …(11)
なる関係を導き出すことができる。
そして基準温度Tstdにおける基準ガス(例えばメタンガス)の熱伝導率λstd、および温度境界層の厚みdstdがそれぞれ既知であり、またダイヤフラム1cの面積Soも既知であるので、上記(11)式から前述した放熱係数Cは、専ら、計測温度Tにおける雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)に比例していることを読み取ることができる。
そこで本発明はこのような考察に基づき、マイクロヒータ1の駆動電力Phから求められる放熱係数Cに従って、上述した放熱係数Cと熱伝導率λ(T)との比例関係から、計測温度Tにおける前記雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)を求めることを特徴としている。
図4は本発明の実施形態を示す概念図で、1(1d)はマイクロヒータを、2はマイクロヒータ1を発熱駆動する電源(例えば定電流源)を、そして1eはマイクロヒータ1の周囲温度を検出する温度センサを示している。本発明に係る熱伝導率測定方法および装置は、電源2により発熱駆動されるマイクロヒータ1の駆動電力Phと、そのときの通電電流Ihとに従って前述したようにヒータ温度Thを求めるヒータ温度検出手段3を備え、更に上記ヒータ温度Thと前記温度センサ1eにて求められる周囲温度To、および前記マイクロヒータ1の駆動電力Phに従ってマイクロヒータ1からの放熱係数Cを求める放熱係数算出手段4を備える。この放熱係数算出手段4による放熱係数Cの算出は、前述したように[C=Ph/(Th−To)]なる演算を実行することによってなされる。
また計測温度算出手段5は、上記ヒータ温度Thと前記温度センサ1eにて求められる周囲温度Toとに従って、その計測温度Tを前述した温度境界層の平均温度T[=(Th+To)/2]として求めている。そして熱伝導率算出手段6は、上記計測温度Tの下で上述した放熱係数算出手段4にて求められた放熱係数Cに従ってテーブル7を参照し、該テーブル7に予め登録された放熱係数Cと熱伝導率λ(T)との関係から上記放熱係数Cに対応する熱伝導率λ(T)を求め、これを出力する如く構成される。
本発明者らは上述した如く求められる雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)の信頼性を検証するべく、メタン、プロパンおよび窒素からなる図5に示す如き複数種の混合ガスを準備し、その熱伝導率λと放熱係数Cとの関係について調べてみた。尚、図5において、例えば第1の混合ガスはメタン;80%、プロパン;10%、窒素;10%の組成比率であり、また第2の混合ガスは、メタン;90%、プロパン;5%、窒素;5%の組成比率であることを示している。つまりこれらの混合ガスは、種類が既知であるがその成分比率(組成比率)が不明なガスのサンプルである。
そして上記各混合ガスをそれぞれ雰囲気ガスとした状況下においてマイクロヒータ1に2.5mAの電流Ihを流し、このときの放熱係数Cと上記各混合ガスの熱伝導率λ(T)との関係を調べたところ、図6に示す如き結果が得られた。尚、この場合の雰囲気ガスの温度(計測温度)Tは、温度境界層における平均温度[(Th+To)/2]であると看做し得る。そしてこの実験結果からは、計測温度Tにおける混合ガス(雰囲気ガス)の熱伝導率λ(T)と放熱係数Cとの関係が略比例していることが示される。従って前述した如く放熱係数Cを求めれば、この放熱係数Cから雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)を直接的に評価し得ることが確認できた。
また図7は、前述した各混合ガスをそれぞれ雰囲気ガスとした状況下においてマイクロヒータ1に流す電流Ihを3.5mAと増大させ、計測温度Tを高くしたときの放熱係数Cと上記各混合ガスの熱伝導率λ(T)との関係を示している。この図7に示す実験結果からは、その計測温度Tを変えた場合であっても、つまりヒータ温度を変えても放熱係数Cと上記各混合ガスの熱伝導率λ(T)との間の比例関係が維持されることが確認できた。従って計測温度Tにおける放熱係数Cと雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)との比例関係を予め求めておけば、ヒータ電力Phから求められる前述した放熱係数Cに従って混合ガス(雰囲気ガス)の上記計測温度Tでの熱伝導率λ(T)を精度良く求め得ることが確認できた。
またこの実験結果から、前述した放熱係数Cと雰囲気ガスの熱伝導率λoとの関係の解析に誤りがないことが確認できた。つまり平均熱伝達係数hが雰囲気ガスの熱伝導率λに比例し、且つ温度境界層の厚みdに反比例すると看做して行った解析に誤りがないことが確認できた。そしてマイクロヒータ1からの放熱係数Cに従って雰囲気ガスの計測温度Tにおける熱伝導率λ(T)を求めても、その測定結果が十分に精度の高いものであることが理論的にも裏付けられた。
ところで天然ガスを構成する複数種の純粋ガス、例えばメタン、プロパン、窒素の個々の熱伝導率に着目した場合、これらの各ガスの熱伝導率λ(T)は、例えば図8に示すように互いに異なる温度変化特性を有する。従って雰囲気ガスが上述した複数種の純粋ガスからなる混合ガスである場合、その組成比率が同じであると雖も温度Tによって混合ガスの熱伝導率λ(T)が変化する。従って前述した如く雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)を求める場合には、例えばその計測温度Tを予め定めておくことが重要である。或いは種々の計測温度Tに応じた放熱係数Cと熱伝導率λ(T)との関係を求めておくことが必要である。
またこのことは逆に、例えば異なる温度T1,T2,T3において上記雰囲気ガスの熱伝導率λ(T1)(T2)(T3)をそれぞれ求めれば、これらの熱伝導率λ(T1)(T2)(T3)から上記雰囲気ガスの組成比率を逆算し得ることを意味する。
即ち、3種類の純粋ガスX,Y,Z(例えばメタン、プロパン、窒素)からなる混合ガスを考えた場合、温度T1における混合ガスの熱伝導率λ(T1)は、概略的には上記各ガスの混合比率(混合ガスの組成比率)をx,y,zとしたとき、
x+y+z=1 …(12)
λ(T1)=x・λX(T1)+y・λY(T1)+z・λZ(T1) …(13)
となる。但し、上記λX(T1)Y(T1)Z(T1)は、上記各ガスX,Y,Zの温度T1における個々の熱伝導率を示している。
同様に温度T2における混合ガスの熱伝導率λ(T2)は、
λ(T2)=x・λX(T2)+y・λY(T2)+z・λZ(T2) …(14)
となり、更に温度T3における混合ガスの熱伝導率λ(T3)は、
λ(T3)=x・λX(T3)+y・λY(T3)+z・λZ(T3) …(15)
となる。そして前述したように各ガスX,Y,Zの熱伝導率λX(T)Y(T)Z(T)が互いに異なる温度特性を有するので、これらの各温度T1,T2,T3においてそれぞれ求められる混合ガスの熱伝導率λ(T1)(T2)(T3)は互いに異なることになる。
尚、これらの各温度T1,T2,T3における混合ガスの熱伝導率λ(T1)(T2)(T3)については、例えばマイクロヒータ1の通電電流Ihを変更してヒータ温度Thを段階的に変え、これによって複数の温度T1,T2,T3を設定することで、前述した放熱係数Cからそれぞれ求めることができる。従ってヒータ温度Thを段階的に変えながら各測定条件での放熱係数Cをそれぞれ求めれば、これらの各放熱係数Cに従って上記各測定条件に応じて設定される基準温度(温度T)における混合ガスの熱伝導率λ(T)をそれぞれ求めることが可能となる。
そして混合ガスを構成する複数の純粋ガスX,Y,Zの熱伝導率λX(T)Y(T)Z(T)についての温度特性については、予め図8に示すように求めておくことができる。従って上述した混合ガスの熱伝導率λ(T)を求める温度T1,T2,T3が決定されれば、これらの温度T1,T2,T3における上記各ガスX,Y,Zの熱伝導率λX(T)Y(T)Z(T)をそれぞれ求めることができる。従って前述した(12)〜(15)式に従って、その未知数である混合比率x,y,zについて解けば、これによって各ガスX,Y,Zの組成比率x,y,zを求めることが可能となる。
尚、厳密には混合ガスの熱伝導率λは、該混合ガスを形成する純粋ガスの組成比率だけではなく、上記純粋ガス間の結合係数Fにも依存する。具体的には2種類の純粋ガスX,Y(例えばプロパンと窒素)からなる混合ガスを考えた場合、上記各純粋ガスX,Yの熱伝導率をλx,λyとし、その混合比率(混合ガスの組成比率)をx,yとしたとき、上記混合ガスの熱伝導率λは、
x+y=1 …(16)
λ=x・λx/(x+Fxy・y)
+y・λy/(y+Fyx・x) …(17)
となる。但し、Fxyは純粋ガスXの純粋ガスYに対する結合係数であり、またFyxは純粋ガスYの純粋ガスXに対する結合係数である。
同様に3種類の純粋ガスX,Y,Z(例えばメタン,プロパン,窒素)からなる混合ガスを考えた場合、上記各純粋ガスX,Y,Zの熱伝導率をλx,λy,λzとし、その混合比率(混合ガスの組成比率)をx,y,zとしたとき、上記混合ガスの熱伝導率λは、
x+y+z=1 …(16a)
λ=x・λx/(x+Fxy・y+Fxz・z)
+y・λy/(y+Fyz・z+Fyz・x)
+z・λz/(z+Fzx・x+Fzy・y) …(17a)
となる。但し、Fxzは純粋ガスXの純粋ガスZに対する結合係数、Fyzは純粋ガスYの純粋ガスZに対する結合係数、Fzxは純粋ガスZの純粋ガスXに対する結合係数、そしてFzyは純粋ガスZの純粋ガスYに対する結合係数である。
ちなみに上記結合係数Fijは、例えばリンゼイ・ブロムレイ[Lindsay-Bromley]の近似式から次のようにして計算することができる。
但し、上式においてnは粘性率、Mは分子量であって、Sはサザーランド[Sutherland]定数である。また定数SiはTbを沸点としたときに[1.5Tb]として与えられるものであって、また定数Sijは[=(Si・Sj)1/2]として与えられる。
従って前述した(13)〜(15)式に代えて(17a)式を用い、異なる温度Tにてそれぞれ求められる熱伝導率λの連立方程式を解くことにより、その未知数である組成比率x,y,zを精度良く求めることが可能となる。
特に混合ガスの成分が3種類のガスからなる場合には、3元の連立方程式を解くことによって各ガスX,Y,Zの成分比率を求めることができるので、少なくとも互いに異なる2つ温度T1,T2にて混合ガスの熱伝導率λ(T1)(T2)を求めれば十分である。また一般的には、混合ガスがn種類のガスが混合したものであるとして、[n−1]段階の温度Tを設定し、これらの各温度Tにおける混合ガスの熱伝導率λ(T)をそれぞれ求めれば、これによってn元連立方程式から各ガスの組成比率を求めることが可能となる。
また上述したようにして混合ガスを形成する複数のガスの組成比率を求めれば、例えば図9に示すガス密度と発熱量との関係から上記各ガスが有する発熱量を混合ガスの総量とその組成比率に応じてそれぞれ求めることができる。従って混合ガスの発熱量を算出することが可能となる。具体的には単位体積当たりの混合ガスが有する発熱量(エネルギ量)を、上述した如く求められる成分比率から簡易に、しかも正確に計算することが可能となる。
このようにして混合ガスの成分比率を求め、更にはその発熱量を求めるガス成分比率測定装置は、例えば図10に示すように前述した熱伝導率測定装置に加えて、各温度Tでの混合ガスの熱伝導率λ(T)と、この混合ガスを形成していると思われる複数のガスについての上記各温度Tでの熱伝導率λ(T)とを対応付けて記憶するメモリ9を備える。更にガス成分比率測定装置は、上記メモリ9に記憶した混合ガスおよび各ガスの熱伝導率λ(T)から前述した連立方程式を立て、この連立方程式を解析して各ガスの成分比率を求める成分比率演算手段10と、この成分比率演算手段10にて算出された成分比率に従って混合ガスの総発熱量を計算する発熱量計算手段11とを備えて実現される。この総発熱量の計算は、発熱量テーブル12に予め登録した、例えば図9に示すガスの種類に応じたガス密度と発熱量との関係を参照することによって行われる。
尚、上述したようにマイクロヒータ1の駆動電力Ph(ヒータ電流Ih)を変更しながら放熱係数Cに従って雰囲気ガスの熱伝導率λo(T)を求める場合には、マイクロヒータ1を発熱駆動する前述した電源2を、雰囲気ガスに対する測定条件に応じてその出力電流を可変可能な定電流源として実現される。具体的には電源2は、例えば図12に示すように複数の定電流源I1,I2,I3〜Inを備え、これらの定電流源I1,I2,I3〜Inを、スイッチS1,S2,S3〜Snを介して選択的にマイクロヒータ1に接続してマイクロヒータ1を定電流駆動する装置として実現すれば十分である。
かくして上述した如く構成されたガス成分比率測定装置によれば、例えば天然ガスのようにそのガス成分が予め分かっているような場合、簡易にその成分比率を求めることができる。即ち、天然ガスの場合には、そのガス成分が主としてメタン、エタン、プロパン、ブタン等からなり、付随的に窒素や炭酸ガス等が含まれることがある。従ってこれらの各ガス成分が全て含まれると看做して前述した如く複数の温度Tにおける熱伝導率λ(T)をそれぞれ求め、これらの各ガス成分の比率を求めれば、混合ガスに含まれていないガス成分についてはその含有比率が[0]として求められるので、真に混合ガスに含まれるガス成分の混合比率だけを正確に求めることができる。この結果、天然ガスの品質を評価したり、更にはその総発熱量を容易に監視することが可能となる等の実用上多大なる効果が奏せられる。
以上説明したように本発明によれば、マイクロヒータの放熱係数Cを求めるだけで純粋ガスや混合ガスの熱伝導率λ(T)を高精度に、しかも簡易に求めることができる。しかも従来のように恒温槽を設ける等の大掛かりな設備を用いなくても、簡易に測定対象とする雰囲気ガスの熱伝導率λoを求めることができる。またヒータ温度Thを変化させて雰囲気ガスの測定条件(計測温度T)を変えることで、混合ガスの成分比率に拘わることなく、計測温度Tに応じた熱伝導率λ(T)を正確に評価することができる。
更には混合ガスの種類が既知であるが、その成分比率が不明な場合には、ヒータ温度Thを変えたときの混合ガスの熱伝導率λ(T)をそれぞれ求めることで、各ガス成分の熱伝導率λ(T)の温度特性に基づいて上記成分比率を正確に求めることができる。特にガスクロマトグラフィのような複雑で大掛かりな装置を用いなくても、その成分比率を簡易に、しかも精度良く求めることができる。そして混合ガスの成分比率が求められたならば、その成分比率に従って混合ガスの総発熱量を簡易に評価することができる等の実用上多大なる効果が奏せられる。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば熱伝達量測定装置における前述した各演算機能については、マイクロコンピュータにおけるソフトウェアにより実現することも可能である。またマイクロヒータの構造も特に限定されるものではなく、既存のマイクロフローセンサのヒータ素子をそのまま流用することも可能である。またマイクロヒータ1の発熱駆動手段についても上述した例に限定されないことは言うまでもない。
またマイクロヒータ1の近傍に設けた温度センサにて、上記マイクロヒータ1により加熱された雰囲気ガスの温度を監視しながら、マイクロヒータ1の温度を制御するように構成することも可能である。このようにすればマイクロヒータ1の発熱温度(ヒータ温度Th)と温度センサにて計測される加熱された雰囲気ガスの温度との比からその温度分布を求め、この温度分布から雰囲気ガスの熱伝導率を評価してヒータ温度Thを調整することも可能となるので、前述した熱伝導率の測定精度を高めることが可能となる。
また本発明は、背景技術として挙げた雰囲気ガスを封入した恒温槽内でガス熱伝導率を計測する手法においても適用することができる。この場合、マイクロヒータ1を取り巻く雰囲気ガス自体は他のガスに置換されることがないので、マイクロヒータ1の温度Thは上記雰囲気ガスとの間で熱的に平衡状態になると言える。更には図12に示したようなキャビティを用いた熱伝導率測定装置にも本発明を適用することができる。この場合、キャビティ内へ導かれた雰囲気ガスは滞留し、流路を通流する雰囲気ガスとの間では分子拡散によってのみ交換されるだけなので、ヒータの駆動電力が一定となったとき、キャビティ内における雰囲気ガスとヒータとが熱的に平衡状態となったと看做すことができる。従ってこの熱的平衡状態において、雰囲気ガスの熱伝導率を高精度に計測することが可能となる。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。

Claims (8)

  1. 空中に支持されて雰囲気ガス中に設けられるマイクロヒータと、
    このマイクロヒータの温度Thを求めるヒータ温度検出手段と、
    前記マイクロヒータの周囲温度Toを計測する温度センサと、
    前記マイクロヒータを定電流駆動して通電加熱する定電流電源と、
    前記定電流電源による前記マイクロヒータの通電電力Phと、そのときのヒータ温度Thおよび周囲温度Toとに従って前記マイクロヒータからの放熱係数C[=Ph/(Th−To)]を算出する放熱係数演算手段と、
    前記ヒータ温度Thと前記周囲温度Toとの平均温度として前記雰囲気ガスの計測温度Tを求める計測温度算出手段と、
    前記計測温度Tにおける前記雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)と前記放熱係数Cとの比例関係[C=K・λ(T)]に基づいて、前記放熱係数演算手段にて算出された放熱係数Cから上記計測温度Tにおける前記雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)を求める熱伝導率演算手段と
    を具備したことを特徴とする熱伝導率測定装置。
  2. 前記ヒータ温度検出手段は、標準温度における前記マイクロヒータの抵抗値Rstdと、前記定電流電源により前記マイクロヒータを通電加熱したときの駆動電力Phと通電電流Ih、または端子電圧Vhと通電電流Ihから求められるヒータの抵抗値Rhに従ってヒータ温度Thを算出するものである請求項に記載の熱伝導率測定装置。
  3. 前記熱伝導率演算手段は、計測温度Tにおける前記雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)と放熱係数Cとの比例関係を登録したテーブルを参照して、前記放熱係数演算手段にて求められた放熱係数Cに対応する熱伝導率λ(T)を求めるものである請求項に記載の熱伝導率測定装置。
  4. 請求項に記載の熱伝導率測定装置において、更に前記マイクロヒータに加える電力Phを変化させてヒータ温度Thを変化させる計測条件変更手段を備えることを特徴とする熱伝導率測定装置。
  5. 請求項に記載の熱伝導率測定装置を用いて互いに異なるヒータ温度での雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)をそれぞれ求める手段と、
    上記各ヒータ温度での熱伝導率λ(T)の連立方程式から前記雰囲気ガスの組成比を解析する解析手段とを備えたことを特徴とするガス成分比率測定装置。
  6. 前記解析手段は、前記雰囲気ガスがn種のガスの混合ガスであって、その熱伝導率λ(T)が上記各ガスの熱伝導率λ1(T),λ2(T),〜λn(T)を、その組成比率と各ガス間の結合係数とに応じて定まる割合で加算したものであると看做して、[n−1]段階に設定されたヒータ温度Th(1),Th(2)〜Th(n-1)においてそれぞれ求められる[n−1]個の熱伝導率λ(T1)(T2)〜λ(Tn-1)を解析して上記組成比率を求めるものである請求項に記載のガス成分比率測定装置。
  7. 請求項に記載のガス成分比率測定装置において、
    更に前記解析手段により求められた前記雰囲気ガスの組成比率から、該雰囲気ガスの発熱量を求める機能を備えたことを特徴とするガス成分比率測定装置。
  8. 前記雰囲気ガスは、メタン、エタン、プロパン、ブタンを主体とする天然ガスからなる請求項のいずれかに記載のガス成分比率測定装置。
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