JP4868445B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
このような電磁誘導加熱方式を用いた定着装置は、定着ベルトの表面温度(定着温度)を所望の温度まで昇温するのに、少ないエネルギー消費で短い立ち上げ時間でおこなうことができるものとして知られている。
定着部材を加熱するために誘導加熱部のコイル部に電力を供給すると、コイル部自身の電気抵抗によってコイル部が発熱して高温に達する。また、コイル部の周辺温度も、誘導加熱部の電磁誘導により加熱される定着部材によって昇温されるために、コイル部の温度はさらに高くなる。
また、コイル部が昇温されると、コイル部を覆う絶縁被覆材が損傷する場合もある。このような場合には、コイル部の絶縁性が損なわれて、誘導加熱部の寿命が低下することになる。
コア部が昇温されると、強磁性体としてのコア部の磁性が低下してしまう。特に、コア部が昇温されてキューリー温度を超えてしまうと、コア部の強磁性がほぼ失われてしまう。コア部の磁性が低下した場合には、コア部に閉じ込められて定着部材に向かっていた磁束が、コア部の外側に漏れて定着部材に向かわなくなってしまう。このような場合には、定着部材の加熱効率が低下してしまうことになる。
しかし、この技術では、コイル部の幅方向全域にわたって均一に昇温を抑止できない可能性が高い。すなわち、通気路を設けた幅方向中央部ではコイル部の昇温が大きく軽減されるものの、通気路から遠い幅方向両端部ではコイル部の昇温を大きく軽減することができなくなって、コイル部に幅方向の温度ムラが生じてしまう。その結果、コア部にも幅方向の温度ムラが生じて、さらに定着部材に幅方向の温度ムラが生じて、出力画像上の定着ムラとなってしまう。このような不具合は、コイル部の一端側から他端側に向けての通気路を設けてコイル部を冷却するような場合でも、同様に生じてしまうことになる。すなわち、コイル部の一端側では昇温が大きく軽減されるものの、コイル部の他端側では昇温を大きく軽減することができない。そして、このような不具合は、最大通紙幅が大きく設定されている大型の画像形成装置(幅方向の長さが長い装置である。)では、特に無視できない問題になっている。
また、特許文献1等の技術は、コイル部の中央部に通気路を設けているために、コイル部から定着部材に向けて形成される磁束が中央部で弱くなる可能性がある。すなわち、通気路を設けることで、コイル部の本来の機能が損なわれる可能性がある。
しかし、この技術では、コア部に多数の穴を設けているために、コア部の外側に磁束が漏れて定着部材に向かう磁束が減少して加熱効率が低下してしまう可能性がある。
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
図1において、1は画像形成装置としてのレーザープリンタの装置本体、3は画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム18上に照射する露光部、4は装置本体1に着脱自在に設置される作像部としてのプロセスカートリッジ、7は感光体ドラム18上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写部、10は出力画像が載置される排紙トレイ、11、12は転写紙等の記録媒体Pが収納された給紙部、13は記録媒体Pを転写部7に搬送するレジストローラ、15は手差し給紙部、19は記録媒体P上の未定着画像(トナー像)を定着する定着装置を示す。
まず、露光部3から、画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、プロセスカートリッジ4の感光体ドラム18上に向けて発せられる。感光体ドラム18は図中の反時計方向に回転しており、所定の電子写真プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム18上に画像情報に対応したトナー像が形成される。その後、感光体ドラム18上に形成されたトナー像は、転写部7で、レジストローラ13により搬送された記録媒体P上に転写される。
なお、図示は省略するが、プロセスカートリッジ4には、感光体ドラム18、感光体ドラム18上を帯電する帯電部、トナー(現像剤)が収容されていて感光体ドラム18上に形成された静電潜像を現像する現像部、感光体ドラム18上に残存する未転写トナーを除去するクリーニング部、等が一体的に設けられている。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙部11、12、15のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙部11が選択されたものとする。)。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
図2に示すように、定着装置19は、誘導加熱部24、定着補助ローラ21(ローラ部材)、定着ベルト22(発熱体)、支持ローラ23(ローラ部材)、加圧ローラ30、サーミスタ37、等で構成される。
ここで、定着補助ローラ21は、ステンレス鋼等からなる芯金の表面に、シリコーンゴム等の弾性層を形成したものである。定着補助ローラ21の弾性層は、肉厚が1〜5mmで、アスカー硬度が30〜60度となるように形成されている。
なお、支持ローラ23を鉄、コバルト、ニッケル、又は、それらの合金等の磁性金属材料で形成して、支持ローラ23の内部に内部コアを設置しないように構成することもできる。
定着ベルト22は、ポリイミド等からなるベース層、ニッケルや銀等の金属からなる発熱層、シリコーンゴム等からなる弾性層、フッ素化合物等からなる離型層等からなる多層構造のエンドレスベルトである。定着ベルト22の離型層によって、トナーTに対する離型性が担保されている。
なお、定着ベルト22の発熱層として、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂等の樹脂層とニッケル等の金属層との複数層構造体を用いることもできる。
そして、カバー部材29には、コイル部25及びコア部26の昇温を幅方向全域にわたって均一に抑止するための通気手段40〜42が設置されている。これについては、後で図3及び図4を用いて詳しく説明する。
また、図示は省略するが、支持ローラ23の外周面には、サーモスタットが当接されている。そして、支持ローラ23上の表面温度が所定の温度を超えた場合には、サーモスタット37によって誘導加熱部24への通電が切断される。これにより、誘導加熱部24による支持ローラ23の過熱が制限される。
定着補助ローラ21の回転駆動によって、定着ベルト22は図2中の矢印方向に周回するとともに、支持ローラ23も反時計方向に回転して、加圧ローラ30も矢印方向に回転する。定着ベルト22は、誘導加熱部24との対向位置で、誘導加熱部24から発生される磁束によって加熱される。
このように、本実施の形態では、支持ローラ23は、誘導加熱部24によって直接的に加熱される発熱体として機能するとともに、定着ベルト22を加熱する加熱部材としても機能することになる。また、定着ベルト22は、トナー像を溶融する定着部材として機能するとともに、誘導加熱部24によって直接的に加熱される発熱体として機能することになる。
詳しくは、先に説明した作像プロセスを経てトナー像Tを担持した記録媒体Pが、ガイド板に案内されながら定着ベルト22と加圧ローラ30との間(定着ニップ部である。)に送入される(矢印Y1の搬送方向の移動である。)。そして、定着ベルト22から受ける熱と加圧ローラ30から受ける圧力とによってトナー像Tが記録媒体Pに定着されて、記録媒体Pは定着ベルト22と加圧ローラ30との間から送出される。
このような一連の動作が連続的に繰り返されて、画像形成プロセスにおける定着工程が完了する。
図3は、定着装置の要部を示す概略図である。図4は、定着装置に設置される通気手段を幅方向にみた概略図である。
詳しくは、3つの給気口29aは、コア部に対向するカバー部材29の対向面にそれぞれ配設されている(中央部と両端部との3箇所である。)。排気口29bは、給気口29aが形成されたカバー部材29の対向面に交会する両端面のうち1つの端面(図4の右側端面である。)に配設されている。
そして、給気ファン41によって、ダクト40を介して3つの給気口29aに向けて送気される。3つの給気口29aから送入された空気は、コア部26を空冷した後に、排気ファン42によって排気口29bから吸引・排出される。
また、本実施の形態では、コア部26自体やコイル部25自体には通気路や穴が形成されないために、コア部26やコイル部25の基本的な機能を損なうことがない。
特に、本実施の形態では、本発明における定着装置をモノクロ画像形成装置に搭載したが、本発明における定着装置をカラー画像形成装置に搭載することもできる。
19 定着装置、
21 定着補助ローラ(ローラ部材)、
22 定着ベルト(定着部材)、 23 支持ローラ(ローラ部材、発熱体)、
24 誘導加熱部、
25 コイル部、 26 コア部、
26a センターコア、 26b サイドコア、
27 コイルガイド、 28 内部コア、
29 カバー部材、
29a 給気口、 29b 排気口、
30 加圧ローラ、
40 ダクト、 41 給気ファン、 42 排気ファン。
Claims (6)
- 電磁誘導により加熱されるとともに、記録媒体上のトナー像を加熱して当該記録媒体に定着させる定着部材と、
前記定着部材の周部に対向するコイル部と、
前記コイル部に対向するコア部と、
前記コア部の前記コイル部に対向する側とは反対側に隙間を空けて前記コア部の一部又は全部を覆うように配設されたカバー部材と、
前記カバー部材に対して幅方向に沿うように配設されたダクトと、
前記カバー部材における前記コア部に対向する対向面において幅方向中央部と幅方向両端部とにそれぞれ設けられた複数の給気口を介して当該カバー部材内に気体が送入されるように、前記ダクトの幅方向一端側に形成された開口から当該ダクトを介して前記複数の給気口に向けて送気する給気ファンと、
前記カバー部材の前記対向面に交会する両端面のうち少なくとも1つの端面に配設された排気口から気体を吸引して、当該カバー部材内から当該カバー部材外に気体を送出する排気ファンと、
を備えたことを特徴とする定着装置。 - 前記給気ファンは、幅方向一端側から幅方向他端側に向けて気体が流動するように前記ダクトに対して幅方向一端側に配設され、
前記排気ファンは、幅方向一端側から幅方向他端側に向けて気体が吸引されるように前記カバー部材に対して幅方向他端側に配設されたことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 前記カバー部材は、アルミニウムで形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
- 前記定着部材は、複数のローラ部材に張架された定着ベルトであって、
前記複数のローラ部材のうち1つのローラ部材は、前記定着ベルトの外周面に対向する前記コイル部に当該定着ベルトを介して対向する位置に配設されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。 - 前記複数のローラ部材のうち1つのローラ部材は、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに前記定着ベルトを介して対向する位置に配設されたことを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
- 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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