JP4868428B2 - 高純度キチンスラリーの製造方法 - Google Patents
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Description
また、原料となるキチンには、キトサン(アセチル化度が50%以下のN−アセチルグルコサミンとグルコサミンとのポリマー)が不純物として含まれており、また、アセチル化度が比較的低く、キトサンに近い低品質のキチンも存在する。キトサンは、体質に合わない人が存在し、また、大量にキトサンを摂取した場合、人体に悪影響を及ぼす可能性がある。
すなわち、本発明には以下のものが含まれる。
〔1〕(a)タンパク質含量0.14重量%未満およびアセチル化度96%以上のキチンを、メチルアルコールまたはエチルアルコールからなるアルコールと、ハロゲン化カルシウム塩またはハロゲン化マグネシウム塩とを含んでなる溶媒に溶解して、キチン溶液を得る工程と、
(b)キチン溶液をろ過して不溶物を除去する工程と、
(c)ろ過されたキチン溶液を水で希釈し、必要に応じて、生成したキチンの沈殿を水洗し、または透析を行い、溶液中に含まれるカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンとアルコールを水分子で置換して、水和キチンスラリーを得る工程と
を含む、水和キチンスラリーの製造方法。
〔2〕(d)キチン溶液または水和キチンスラリーに炭酸ガスおよび/または炭酸水素ナトリウムを添加して、残留するアルコールを分離する工程をさらに含む、上記〔1〕に記載の方法。
〔3〕(e)キチン溶液または水和キチンスラリーに、有機酸を添加して、残留するカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンを分離する工程をさらに含む、上記〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔4〕有機酸が、クエン酸、コハク酸、無水コハク酸、グルタミン酸、エチレンジアミン酸およびアスコルビン酸からなる群から選択される、上記〔3〕に記載の方法。
〔5〕工程(a)に使用されるキチンが、60℃以上の温度で乾燥させたものである、上記〔1〕に記載の方法。
〔6〕工程(a)に使用されるキチンが、再生キチンである、上記〔1〕に記載の方法。
〔7〕工程(a)に使用されるキチンが、脱O−アシル化されたものである、上記〔1〕に記載の方法。
(a)タンパク質含量0.14重量%未満およびアセチル化度96%以上のキチンを、メチルアルコールまたはエチルアルコールからなるアルコールと、ハロゲン化カルシウム塩またはハロゲン化マグネシウム塩とを含んでなる溶媒に溶解して、キチン溶液を得る工程と、
(b)キチン溶液をろ過して不溶物を除去する工程と
(c)キチン溶液を水で希釈し、必要に応じて、生成したキチンの沈殿を水洗し、溶液中に含まれるカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンとアルコールを水分子で置換して、水和キチンスラリーを得る工程と
を含む。
上記キチンの重量平均分子量の値は、後述する粘度法によって決定される値である。
上記出発原料のキチンを低タンパク質含量および高アセチル化度のキチンにすることで、ろ過工程(b)においてろ過を妨害するゲル状物質の生成量を減少させることができる。したがって、ろ過を、高いろ過速度で行うことができ、また、外力を使用する必要がないためゲル状物質がろ布を通過することがない。その結果、ろ液中のキチンは高品質(高純度)になる。
ここで、ゲル状物質となるのは、アセチル化度が低いキチン、タンパク質含量が高いキチン、および後述するメタノール、水などが含まれるキチンなどである。
なお、上記キチン中のタンパク質含量(アミノ酸含量)の値は、アミノ酸18種(リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、スレオニン、トリプトファン、アルギニン、チロシン、アラニン、グリシン、プロリン、グルタミン酸、セリン、アスパラギン酸、シスチン)をアミノ酸自動分析法および高速液体クロマトグラフ法によって測定することによって決定される値である。
また、上記キチンのアセチル化度の値は、2mol/lの塩酸にて処理されたキチンを、0.1mol/lのNaOHにて中和滴定することによって決定される値である。
また、乾燥時間は、特に限定されないが、例えば、1時間〜48時間、好ましくは4時間〜12時間である。
さらに、当該乾燥は、減圧〜真空下で行うことが好ましい。
このように乾燥させることで、ろ過工程(b)においてろ過を妨害するゲル状物質の生成量をより一層減少させることができる。したがって、ろ過を、より高いろ過速度で外力を使用することなく行うことができる。その結果、ろ液中のキチンはより高品質(高純度)になる。
なお、このような乾燥により、キチンに付着した水分、およびキチン(再生キチン)の製造工程、洗浄工程などにおいて使用される有機溶媒(メタノールなど)の残存物がキチンから除去されるため、ゲル状物質の生成量の減少が生じると考えられている。
また、乾燥温度、乾燥時間および乾燥圧力は、ろ過速度の向上の程度を考慮して、適宜設定することができる。
また、再生キチンは、例えば、酢酸に溶解させたキトサンを、無水酢酸にてアセチル化することにより製造することができる。
脱O−アシル化は、例えば、pH10〜pH11(特にpH11)のアルカリ条件下にて20℃〜95℃(特に80℃)で加熱することで行うことができる。
上記溶媒におけるハロゲン化マグネシウム塩としては、塩化マグネシウム・6水塩等が挙げられる。
例えば、平均孔径が、好ましくは0.01〜1mm、より好ましくは0.05〜0.5mm、特に0.13mmおよび0.2mmであり、および/または、平均網目数が、好ましくは0.5〜50個/mm、より好ましくは1〜10個/mm、特に4個/mmであるろ布を使用することができる。
ここで、平均孔径は、顕微鏡、マイクロスコープなどの光学測定装置により測定される値である。
また、平均網目数(個/mm)は、ろ布1mmの長さ当たりに存在する網目(孔)の数の平均値を指す。
また、キチンの収量が減少するが、不純物であるゲルを静置後に沈殿分離または遠心分離し、その後にろ過(自然ろ過、吸引ろ過等)を行うこともできる。
さらに、得られる水和キチンスラリーの水分量を、遠心法等によって調節して、所望のキチン含量の水和キチンスラリーを得ることもできる。
次いで、アルコールを分離したキチンの沈澱を、上記工程(c)と同様に処理することにより、アルコール含量がさらに低減された水和キチンスラリーを得ることができる。
なかでも、安全性、入手性などから、クエン酸、コハク酸、無水コハク酸、グルタミン酸、エチレンジアミン酸およびアスユルビン酸から選択される有機酸を使用することが好ましい。
(1)化粧品分野:ヘルスケア、スキンケア、ヘアケア、オーラルケア、アンチエイジング用等のクリーム、クレンジング等(保湿剤、増粘剤、炎症抑制、紫外線、ヘアダメージ抑制、皮膚ダメージ抑制、皮膚再生)、忌避剤等、
(2)食品分野:腸内代謝改善(乳酸菌増殖、乳糖の消化に必要なβガラクシトーゼの生産促進)、免疫力増強、パンのふくらみ向上、ヒアルロン酸産生促進、変形関節症の予防・改善用等の健康食品、機能性食品等、
(3)医療分野:創傷治癒剤(材)、不織布、人工皮膚、手術用縫合糸、クリーム、医薬品(薬、不織布形状でがん細胞増殖抑制、免疫増強作用(がん細胞増殖抑制や日和見感染菌−Lisera monocytogenesに対する防御効果)、乳酸菌増殖、乳糖の消化に必要なβガラクシトーゼの生産促進、ヒアルロン酸産生促進、変形関節症の予防・改善、炎症改善、治癒(口内炎、歯肉炎、歯槽膿漏等も含む)、鎮痛抑制剤、止血剤、殺菌剤)、生体材料(骨、歯等)等、
(4)植物分野:土壌改良材、植物防除材等、
(5)バイオ分野:細胞増殖用基材等、
(6)成形材料分野:プラスチック製品へのフィラー(増粘剤、生分解素材)、天然素材成形品、フィルム等、
(7)増粘剤等。
また、以下の実施例および比較例における物性の評価方法は以下の通りである。
キチンの分子量は、以下の手順により決定した(粘度法)。
(1)複数の既知の濃度のキチン溶液を作成し、これらの粘度をコーンプレート型回転粘度計で測定する(機器:ブルックフィールド社製「DV-II+Pro」、温度:25℃)。
(2)上記の粘度より対象キチンの固有粘度を計算する。
(3)算出した固有粘度より、以下の粘度式にしたがって重量平均分子量を算出する。
[η]=2.54×10−2M0.45
〔式中、[η]:固有粘度、M:重量平均分子量〕。
キチンのアセチル化度は、以下の手順により決定した。
(前処理)
(1)2M−塩酸100mlとキチン2gを100mlビーカーに入れ、400rpmで30分間攪拌(マグネチックスターラー)する。
(2)混合物を、ろ紙(ADVANTEC製「QUALITVE FILTER PAPRE NO.1」)にてろ過後、ろ過残渣とメタノール100mlをビーカーに入れ、15分間攪拌洗浄する。次いで、混合物を再びろ過する。
(3)上記(2)の操作を4回以上繰り返し行う。
(4)メタノールによる洗浄の終了後、得られた残渣(キチン)を約1時間風乾する。その後、50℃で真空乾燥を12時間行う。
(測定)
(1)前処理したキチンを0.5000g精秤する。
(2)蒸留水50ml(メスシリンダーで計量)を加え、フェノールフタレインを3滴加え、400rpmで攪拌しながら、0.1N水酸化ナトリウム水溶液で滴定する。液の着色(ピンク)が30秒以上続いた点を終点とする。
(3)キチンの重量(a)と0.1N水酸化ナトリウム水溶液の滴定量(b)から次式よりアセチル化度を算出する。
アセチル化度(%)=(2.03×b)/[a+(5.5×b×10−4)]
キチンのタンパク質含量は、以下の手順によりアミノ酸18種(リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、スレオニン、トリプトファン、アルギニン、チロシン、アラニン、グリシン、プロリン、グルタミン酸、セリン、アスパラギン酸、シスチン)を分析して決定した(アミノ酸分析法)。
(1)キチンを加水分解する(塩酸加水分解;メチオニン、シスチンは過ギ酸酸化処理後、塩酸加水分解)。
(2)アミノ酸分析機(日立製高速アミノ酸分析計L8800k)によって各種アミノ酸量を測定する。
(3)トリプトファンのみ高速液体クロマトグラフ法(日本電子製株式会社製JLC−500 V)にて測定する。
キチンスラリー中のキチン濃度(水分量)は、示差熱測定器でキチンスラリーを200℃まで加熱し、減量解析を行い算出した。
キチン粉末の水分量は、示差熱測定器で150℃まで加熱し、減量解析を行い算出した。
実施例および比較例には、以下のキチン粉末を使用した。
(1)キトサン((株)協和テクノス製「フローナックC」)に基づく再生キチン(以下の製造例1にしたがって調製)
a)重量平均分子量:50,000〜100,000
b)アセチル化度:98.9%〜96.4%
c)タンパク質含量(上記方法により測定):総量0.01重量%(グリシンのみが検出)
(2)甲陽ケミカル(株)製「キチンTCL」
a)重量平均分子量:数十万
b)アセチル化度97.3%
c)タンパク質含量(上記方法により測定):総量0.14重量%
(1)残留ゲル状物質量(g)は、漏斗内のキチン溶液がほぼなくなった時点で、ろ布ごとその重量を測定し、次いで、当該重量よりろ布の乾燥重量を引くことにより算出する。
(2)残留ゲル状物質の乾燥重量(g)は、残留ゲル状物質量を測定した後、ビーカーに入れたイオン交換水にろ布を浸漬して、ろ布よりゲル状物質を取り出し、次いで、ビーカーの内容物をガラス棒などで撹拌し、水溶性の物質(塩化カルシウムなど)を溶解させる。当該溶液をろ過し、ろ過残渣を乾燥機にて乾燥した後、重量を測定して、乾燥重量とする。
(1)1%(v/v)酢酸水溶液(5L;シグマアルドリッチジャンパン(株)製、SAJ一級、酢酸)にキトサン(100g:(株)協和テクノス製「フローナックC」)を溶解させた。
(2)メタノール(5L)に無水酢酸(528mL;関東化学株式会社製)を混合した溶液を、上記の溶液に混合し、一晩静置し、N−アセチル化を行った。
(3)40%(w/v)NaOH水溶液(シグマアルドリッチジャンパン(株)製 SAJ一級 水酸化ナトリウム)にて中和した後、遠心脱水機((株)コクサン製「H−122」)を用いて500〜1,000rpm、ろ布(コクサン製PR−20)の条件下、ろ過した。
(4)上記の沈殿物をイオン交換水に浸漬後、40%NaOH水溶液を添加して、pH11に調整後、80℃、30分間加熱し、脱O−アシル化を行った。
(5)10%(v/v)塩酸(シグマアルドリッチジャンパン(株)製、試薬特級)にて中和後、イオン交換水、メタノール、アセトンに各々浸漬、上記(3)の条件でろ過し、洗浄を行った。
(6)48時間風乾した後、乾燥機(東京理科器械(株)製「EYELA VOS301SD」)にて60℃、18時間真空乾燥を行った。
(7)ブレンダー(オスター製「オスターブレンダー ST−1」)にて上記の乾燥物を粉砕後、60mesh/inchの篩に掛け、再生キチン粉末を調製した。この再生キチン粉末のアセチル化度は、97.4%であり、タンパク質含量は、0.01重量%であった。
(1)メタノール(10L)に塩化カルシウム2水和物(8.5kg;和光純薬製「塩化カルシウム(2水)」)を溶解させて、塩化カルシウム2水和物飽和メタノール溶液を調製した。次いで、55℃に温調されたウォーターバス中で、該溶液(11L)中に、上記製造例1で得られた再生キチン粉末(70g)を、撹拌機(「FINE FL−105N」)を用いてダイヤル3〜7の撹拌条件下に溶解させ、キチン溶液を調製した。
(2)上記キチン溶液を、ろ布(平均孔径約0.2mm、平均網目数約4個/mm)を用いてろ過し、不溶物等を除去した。ろ過時間は、約20分であった。
(3)次いで、ろ過されたキチン溶液と、等倍〜2倍量のイオン交換水を、ブレンダー(オスター製「オスターブレンダー ST−1」)を用いて10,300〜15,700rpmの撹拌条件下に混合し、次いで一晩静置してキチンを沈殿させた。
(4)その後、沈殿物を、遠心脱水機((株)コクサン製「H−122」)を用いて500〜1,000rpm、ろ布(コクサン製 PR−20)の条件下、ろ過した。次いで、脱水された沈殿物を、さらに遠心脱水による排水量と同量のイオン交換水を追加しながら遠心脱水を行い、排水の導電率が約0.3〜0.2mS/m以下に達するまで洗浄し、最後に脱水することにより、水和キチンスラリーを得た。
得られた水和キチンスラリー中のメタノール残量をガスクロマトグラフィー(島津製作所製 GC14B)で測定したところ、検出限界である5ppm未満であった。
(5)得られた水和キチンスラリーの一部を乾燥機(yamato社製「DN410H」)にて80℃で一晩乾燥し、キチン濃度を測定した。最終的に418g(平均キチン濃度10.4重量%)の水和キチンスラリーを得た。収率は約62%であった。
(1)上記製造例1と同様の方法で調製した再生キチン粉末(アセチル化度98.7%、タンパク質含量0.01重量%)を、乾燥機(東京理科器械(株)製 EYELA VOS301SD)にて85℃、18時間真空乾燥後、その62.5gを、55℃に温調されたウォーターバス中で、上記実施例1(1)と同様の方法で調製した塩化カルシウム2水和物飽和メタノール溶液(7L)に添加し、撹拌機(IKA社製、LABORTECHNIK RW20.n)を用いてダイヤル2〜7の撹拌条件下に溶解させ、キチン溶液を調製した。
(2)上記キチン溶液を、ろ布(平均孔径約0.2mm、平均網目数約4個/mm)を用いてろ過し、不溶物等を除去した。ろ過時間は、6分40秒であった。
(3)次いで、ろ過されたキチン溶液と、その1.25倍のイオン交換水を、ブレンダー(オスター製「オスターブレンダー ST−1」)を用いて10,300〜15,700rpmの撹拌条件下に混合し、次いで一晩静置してキチンを沈殿させた。
(4)その後、沈殿物を、遠心脱水機((株)コクサン製「H−122」)を用いて500〜1,000rpm、ろ布(コクサン製PR−20)使用の条件下に脱水した。次いで、脱水された沈殿物を、さらに遠心脱水による排水量と同量のイオン交換水を追加しながら遠心脱水を行い、排水の導電率が約0.3〜0.2mS/m以下に達するまで洗浄し、最後に脱水することにより、水和キチンスラリーを得た。
(5)得られた水和キチンスラリーの一部を示唆熱分析器で原料解析を行い、キチン濃度を測定した。最終的に569g(平均キチン濃度8.3重量%)の水和キチンスラリーを得た。収率は約76%であった。
(6)(3)においてろ布上の残余物のアセチル化度を測定したところ、98.3%であり、アセチル化度の低い低品質の再生キチンが分離されていた。
(1)上記製造例1と同様の方法で調製した再生キチン粉末(80g;アセチル化度96.4%、タンパク質含量0.01重量%)を、55℃に温調されたウォーターバス中で、上記実施例1(1)と同様の方法で調製した塩化カルシウム2水和物飽和メタノール溶液(11L)に添加し、撹拌機(IKA社製、LABORTECHNIK RW20.n)を用いてダイヤル2〜7の撹拌条件下に溶解させ、キチン溶液を調製した。
(2)上記キチン溶液を、ろ布(平均孔径約0.2mm、平均網目数約4個/mm)を用いてろ過し、不溶物等を除去した。
(3)次いで、ろ過されたキチン溶液を2つにわけ、片方を上記実施例1(4)以降と同様の方法で洗浄し、最終的に332g(平均キチン濃度7.7重量%)のキチンスラリーを得た。収率は64%であった。この際、使用した洗浄用イオン交換水量は約120Lを越えており、最終的な排水の導電率も0.177mS/mであった。その後、乾燥してアセチル度を測定したところ、ろ過以前より品質のよいアセチル化度97.6%を得た。したがって、アセチル化度が低い品質の悪いキチンが分離され、調製されたキチンスラリーの純度が向上したことが確認できた。
(4)もう片方のキチン溶液(4L)に炭酸水素ナトリウム(100g;シグマアルドリッチ社製、炭酸水素ナトリウム、特級)を混合し、撹拌後、ろ過し、沈殿物を得た。
(5)得られた沈殿物を1%(w/v)クエン酸水溶液(4L;シグマアルドリッチ社製、クエン酸、1級)に混合し、撹拌後、ろ過し、沈殿物を得た。
(6)得られた沈殿物を上記実施例1(4)以降と同様の方法で洗浄して、最終的に400g(平均キチン濃度6.8重量%)のキチンスラリーを得た。収率は68%であった。この際、使用した洗浄用イオン交換水は約100Lであり、最終的な排水の導電率も0.122mS/mであった。したがって、炭酸水素ナトリウムによる洗浄、およびクエン酸による洗浄を行った場合、蒸留水のみによる洗浄よりも効率よく洗浄できていた。
上記製造例1と同様の方法で調製した再生キチン(1.000g;アセチル化度97.5%、タンパク質含量0.01重量%)を、上記実施例1(1)と同様の方法で調製した塩化カルシウム2水和物飽和メタノール溶液(137mL)に添加し、55℃に温調されたウォーターバス中で保温しながら、撹拌機にて7時間撹拌して溶解させた。
上記溶液をPP製ハイスピードロートにろ布(平均孔径130μm、平均網目数4目/mm)にてろ過を行い、100mLおよび125mLのろ過に必要とされた時間(ろ過時間)を測定した。
その結果、100mLのろ過には397秒、および125mLのろ過には1680秒必要であった。
ろ過後、ろ布上およびろ布内に残留したゲル状物質の重量およびその乾燥重量を測定した。ゲル状物質量は5.813gであり、その乾燥重量は0.178gであった。
上記のキチン溶液を希釈し、洗浄して、キチンスラリーを得た。
アセチル化度が高い再生キチン(アセチル化度98.7%、タンパク質含量0.01重量%)を使用した以外は、上記実施例4と同様にして、キチン溶液を得、これをろ過し、ろ過時間およびろ過の残留物の量を測定した。
その結果、100mLのろ過には300秒、および125mLのろ過には721秒必要であった。
残留ゲル状物質量は5.674gであり、その乾燥重量は0.111gであった。
上記のキチン溶液を希釈し、洗浄して、キチンスラリーを得た。
上記実施例4で使用した再生キチン(アセチル化度97.5%、タンパク質含量0.01重量%)を乾燥機(東京理科器械(株)製「EYELA VOS301SD」)を用いて50℃、12時間真空乾燥した後、上記実施例4と同様にして、キチン溶液を得、これをろ過し、ろ過時間およびろ過の残留物の量を測定した。
その結果、100mLのろ過には406秒、および125mLのろ過には1200秒必要であった。
残留ゲル状物質量は測定できず、および乾燥重量は0.222gであった。
上記のキチン溶液を希釈し、洗浄して、キチンスラリーを得た。
上記実施例4で使用した再生キチン(アセチル化度97.5%、タンパク質含量0.01重量%)を乾燥機(東京理科器械(株)製「EYELA VOS301SD」)を用いて100℃、12時間真空乾燥した。その後、上記実施例4と同様にして、キチン溶液を得、これをろ過し、ろ過時間およびろ過の残留物の量を測定した。
その結果、100mLのろ過には296秒、および125mLのろ過には945秒必要であった。
残留ゲル状物質量は6.971gであり、その乾燥重量は0.337gであった。
上記のキチン溶液を希釈し、洗浄して、キチンスラリーを得た。
(1)上記実施例4と同様の方法で調製したキチン溶液50ml(キチン含有量0.4g、キチンアセチル化度97.5%、キチンタンパク質含量0.01重量%)に炭酸水素ナトリウム(1g;シグマアルドリッチ社製、炭酸水素ナトリウム、特級)を混合し、撹拌後、ろ過し、沈澱物を得た。その際のpHは、4.5であった。
(2)得られた沈殿物を1%(w/v)クエン酸水溶液(300ml;シグマアルドリッチ社製、クエン酸、1級)に混合し、撹拌後、ろ過した。
(3)得られた沈殿物をイオン交換水による洗浄およびろ過を繰り返し、最終的に5.2gのキチンスラリーを得た。収率は38%であった。
甲陽ケミカル(株)製「キチンTCL」を粉砕し、60mesh/inchの篩に掛け、分級した。このキチン(1.000g)を、上記実施例4と同様にして、塩化カルシウム2水和物飽和メタノール溶液(137mL)に溶解し、ろ過した。
100mLのろ過において、5400秒経過後もろ過しきれないキチン溶液が存在した。したがって、ろ過時間を5400秒以上とした。
残留ゲル状物質量は20.367gであり、その乾燥重量は0.4734gであった。
上記実施例1(1)と同様の方法で調製した塩化カルシウム2水和物飽和メタノール溶液(2L)に、甲陽ケミカル(株)製「キチンTCL」(12.5g)を添加した。この混合物をビーカーに入れ、60℃に温調されたウォーターバスで保温しながら、撹拌機(IKA社製、LABORTECHNIK RW20.n)を用いて撹拌し、キチンを溶解させた。
上記溶液を、ろ布(平均孔径約0.2mm、平均網目数約4個/mm)を用いてろ過したところ、ゲル状物質がろ布につまり、ろ過が停止した。
手でもってろ布を絞り上げ、不溶物をろ過した。この際、ほとんどのゲル状物質がろ布を通り抜け、キチン溶液中に混入した。
上記実施例1と同様の方法で洗浄し、最終的に128g(平均濃度2.2重量%)のキチンスラリーを得た。収率は22%であった。
Claims (7)
- (a)タンパク質含量0.01重量%以下およびアセチル化度96%以上のキチンを、メチルアルコールまたはエチルアルコールからなるアルコールと、ハロゲン化カルシウム塩またはハロゲン化マグネシウム塩とを含んでなる溶媒に溶解して、キチン溶液を得る工程と、
(b)キチン溶液をろ過して不溶物を除去する工程と、
(c)ろ過されたキチン溶液を水で希釈し、必要に応じて、生成したキチンの沈殿を水洗し、または透析を行い、溶液中に含まれるカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンとアルコールを水分子で置換して、水和キチンスラリーを得る工程と
を含む、水和キチンスラリーの製造方法。 - (d)キチン溶液または水和キチンスラリーに炭酸ガスおよび/または炭酸水素ナトリウムを添加して、残留するアルコールを分離する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
- (e)キチン溶液または水和キチンスラリーに、有機酸を添加して、残留するカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンを分離する工程をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
- 有機酸が、クエン酸、コハク酸、無水コハク酸、グルタミン酸、エチレンジアミン酸およびアスコルビン酸からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
- 工程(a)に使用されるキチンが、60℃以上の温度で乾燥させたものである、請求項1に記載の方法。
- 工程(a)に使用されるキチンが、再生キチンである、請求項1に記載の方法。
- 工程(a)に使用されるキチンが、脱O−アシル化されたものである、請求項1に記載の方法。
Applications Claiming Priority (1)
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