JP2005023281A - 多糖類複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、加工が容易で、生分解性、安全性、生体親和性に優れる多糖類複合体を提供することにあり、また、湿潤持、特に水中或いはリン酸緩衝生理食塩水中においても、物理的強度を維持して、溶解や崩壊することなく数日間形態を維持する多糖類複合体を提供するものである。
【解決手段】 アニオン性多糖類とカチオン性多糖類とがポリイオンコンプレックス構造を形成している多糖類複合体であって、該アニオン性多糖類として、少なくともキチン・キトサンを酸化して、構成単糖であるN−アセチル−D−グルコサミンの6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類を含み、該カチオン性多糖類として、少なくともキトサンを含むことを特徴とする多糖類複合体とるるものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、天然物由来の多糖類からなる複合体に関するものであり、さらに生分解性、生体親和性、安定性、及び湿潤時のゲル物性に優れる多糖類複合体に関するものである。
近年、天然多糖類は新しいタイプの生分解性高分子材料として、また生体親和性材料として注目され、その利用について多くの研究がなされ、数々の知見が報告されている。例えば、ポリイオンコンプレックスを形成した多糖類複合体を用いた医療用接着剤(特許文献1参照)や、キトサン、アルギン酸、キチンを用いた創傷治療剤(特許文献2参照)等が挙げられる。
特にキチン、キトサンは生物活性効果のある生体親和性材料として注目されている。
キチンはカニやエビなどの甲殻類、カブトムシやコオロギなどの昆虫類の骨格物質として、また菌類の細胞膜にも存在する天然物で、N−アセチル−D−グルコサミン残基が多数、β−(1,4)−結合した多糖類である。キトサンは、その脱アセチル化合物であり、分子内にアミノ基を多数有し、唯一の天然カチオン性多糖類としても利用されている。一般のキトサンは酢酸、乳酸、塩酸などの酸と塩を形成して水に溶解するが、中性からアルカリ性では溶解しない。
一方で、ポリカチオン性物質とポリアニオン性物質を水の共存下で混合すると、速やかにポリイオンコンプレックスを形成して水に不溶化することはよく知られており、医薬品、医療用具をはじめ広い分野で利用されている。ポリイオンコンプレックスを形成する材料としては、様々な水溶性高分子が利用されているが、特に多糖類からなるポリイオンコンプレックスでは、ポリアミノ酸やタンパク質、或いは合成高分子材料等からなるポリイオンコンプレックスに比べて、安価で、感染症の危険性が低く、生分解性に優れるなどの特長を有する。
従来から、キトサンと、ヒアルロン酸やコンドロイチン、アルギン酸やペクチンなどの天然の酸性多糖類を用いてポリイオンコンプレックスを形成した多糖類複合体が報告されている(例えば、特許文献1、特許文献3参照)。しかしこれらの天然多糖類は主にヘテロ多糖類が多く、天然物故に糖残基の分布や導入される側鎖の影響など、制御不能な部分が多かった。
また、天然の多糖類にアニオン性の官能基を導入した多糖類誘導体とキトサンとを用いてポリイオンコンプレックスを形成した複合体も知られているが、これらの多糖類は分子間、分子内での置換基分布が制御し難い上、導入した置換基が生体内に影響を与える可能性もある。
一方、多糖類を酸化して生体適合性の高いウロン酸構造を形成し、多糖類に水溶性を付与する方法が知られているが、従来の四酸化二窒素を用いた酸化方法では、酸化剤の毒性が強く、また、酸化の制御が困難で分子間、分子内での置換基の分布が制御し難いという問題があった。
さらに、医薬品や医療用具として応用する場合に、生体内において、溶解や崩壊することなく数日間形態を維持して存在し、その後、最終的には分解・吸収されて消失する特性が求められる場合がある。上記した多糖類からなるポリイオンコンプレックス材料は、体液やリン酸緩衝生理食塩水等のイオン種を多く含む水中では、特に膨潤が大きく、物理的強度が低下して、短期間のうちに崩壊してしまうことが多い。またムコ多糖類からなる多糖類複合体では、リゾチーム等の酵素の作用を受けて早期に分解してしまう場合もあった。従って、上記のような要求に対応する場合は、最終的な分解・吸収性が不明確ではありながら、合成高分子材料や架橋ゲルなどが一般的に用いられていた。
またこれらの生体内で数日間形態を維持することを特徴とする用途においては、フィルム状或いは布状等に成形された材料を適用するのが一般的であるが、適用患部組織が複雑な三次元形状を有する場合には、適用が困難で使い勝手が悪い等の問題もあり、粉体や液体で供給して、患部で湿潤してゲル被膜を形成し、かつ上記の要求特性を満たすような材料が強く求められているが、十分な性能を満たす材料が無かった。
特開2000−5296号公報 特開平8−224293号公報 特開2000−116765号公報
本発明の目的は、加工が容易で、生分解性、安全性、生体親和性に優れる多糖類複合体を提供することにあり、また、湿潤持、特に水中或いはリン酸緩衝生理食塩水中においても、物理的強度を維持して、溶解や崩壊することなく数日間形態を維持する多糖類複合体を提供するものである。
さらに、リゾチームの存在下においても、数日間形態を維持する多糖類複合体を提供するものである。
さらに、乾燥時は保管や取り扱いが容易な粉末状でありながら、水中で湿潤させると結着して十分な物理的強度を有するゲル被膜を形成する多糖類複合体を提供するものである。
請求項1の発明は、アニオン性多糖類とカチオン性多糖類とがポリイオンコンプレックス構造を形成している多糖類複合体であって、該アニオン性多糖類として、少なくともキチン・キトサンを酸化して、構成単糖であるN−アセチル−D−グルコサミンの6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類を含み、該カチオン性多糖類として、少なくともキトサンを含むことを特徴とする多糖類複合体である。
請求項2の発明は、前記酸化多糖類が、結晶性を低下させたアルカリ再生キチン或いはN−アセチル化キトサンを原料に、水系で、N−オキシル化合物触媒の存在下、酸化剤を用いて酸化する方法により得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の多糖類複合体である。
請求項3の発明は、前記酸化多糖類が、下記一般式(1)に示す化学構造からなることを特徴とする請求項1または2に記載の多糖類複合体である。
請求項4の発明は、前記一般式(1)中の(a+c):(b+d)の比率が8:2から10:0の範囲にあり、(a+b):(c+d)の比率が7:3から10:0の範囲にあることを特徴とする請求項3記載の多糖類複合体である。
請求項5の発明は、前記カチオン性多糖類として含まれるキトサンが、その構成単糖であるD−グルコサミンとN−アセチル−D−グルコサミンの比率が、40:60から60:40の範囲にあることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の多糖類複合体である。
請求項6の発明は、前記アニオン性多糖類中に占める、キチン・キトサンを酸化して、構成単糖であるN−アセチル−D−グルコサミンの6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類の比率が、重量比で80%から100%であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の多糖類複合体である。
請求項7の発明は、前記アニオン性多糖類が、少なくともキチン・キトサンを酸化して、構成単糖であるN−アセチル−D−グルコサミンの6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類を含み、さらにキチン・キトサン以外の多糖類を酸化してその多糖類のピラノース環の6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の多糖類複合体である。
請求項8の発明は、前記アニオン性多糖類が、でんぷんを酸化して、D−グルコースの6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類を含むことを特徴とする請求項7に記載の多糖類複合体である。
請求項9の発明は、前記アニオン性多糖類が、再生セルロースを酸化して、D−グルコースの6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類を含むことを特徴とする請求項7に記載の多糖類複合体である。
請求項10の発明は、前記アニオン性多糖類中の、キチン・キトサンを酸化して、構成単糖であるN−アセチル−D−グルコサミンの6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類と、キチン・キトサン以外の多糖類を酸化してその多糖類のピラノース環の6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類の比率が重量比で8:2から1:9であることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の多糖類複合体である。
本発明によれば、水不溶性の多糖類複合体を簡便な方法で容易かつ安価に得ることができる。また本発明の多糖類複合体は、主に化学構造が制御された生体適合性の高いウロン酸構造を有する酸化多糖類と、N−アセチルグルコサミン及びグルコサミンよりなるキトサンからなるポリイオンコンプレックスであるため、容易に生分解し、安全性、生体親和性が高く、また様々な要求物性に対応する材料設計が可能なことから、医薬品や医療用具、および食品や化粧品、機能性繊維等、様々な分野での応用が期待できる。
また、本発明の多糖類複合体は、水湿潤下では可塑性、結着性、粘着性等を有し、かつリン酸緩衝生理食塩水等のイオン種を多く含む水中においても溶解や崩壊することなく数日間形態を維持し、高い物理的強度も有する。さらに、上記特性を維持したまま、リゾチームに対する分解速度を遅らせる等の制御も可能である。
さら、本発明の多糖類複合体は乾燥下では安定に存在し、粉砕して粉末状とし、保管や供給が容易な形態にしても、再度湿潤すると結着して湿潤ゲルとしての物性を再現し、物理的強度を有するゲル被膜を形成することも可能である。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明の多糖類複合体は、ポリアニオン成分として、キチン・キトサンを原料に、選択性の高い酸化方法によりピラノース環の6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類を主として用い、ポリカチオン成分として、カチオン性のアミノ基を有するキトサンを主として用い、両者がポリイオンコンプレックスを形成していることを特徴とするるものである。
本発明の多糖類複合体のアニオン性多糖類として用いられる酸化多糖類は、天然多糖類のピラノース環の6位を選択的に酸化し、カルボキシル基またはその塩を導入した生体適合性の高いウロン酸構造を有する多糖類であり、さらにキチン・キトサンを原料に、構成単糖であるN−アセチル−D−グルコサミンの6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類を主とするものである。
多糖類のピラノース環6位の選択的な酸化手法としては、酸化度の制御が可能で、かつピラノース環の2位や3位を酸化することなく殆ど全てのピラノース環6位をカルボキシル基まで酸化することも可能な、水系で、N−オキシル化合物触媒の存在下、酸化剤を用いて酸化する方法が好ましい。
上記N−オキシル化合物としては、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(以下TEMPOと称する)などが好ましく用いられる。また上記酸化剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸,亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸又はそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など、目的の酸化反応を推進し得る酸化剤であれば、いずれの酸化剤も使用できるものである。さらに本酸化反応において、臭化物やヨウ化物の共存下で酸化を行うと、温和な条件下でも酸化反応を円滑に進行させ、カルボキシル基の導入効率を大きく改善できるため、より好ましい。
本多糖類の酸化手法では、N−オキシル化合物にはTEMPOを用い、臭化ナトリウムの存在下、酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムを用いて行うのが特に好ましい。
ここで、N−オキシル化合物は触媒としての量で済み、例えば、多糖類の構成単糖のモル数に対し、10ppm〜5%あれば充分であるが、0.05%から3%が好ましく、また臭化物又はヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択でき、例えば、多糖類の構成単糖のモル数に対し0〜100%、より好ましくは1〜50%である。
また、構成単糖の1級水酸基への酸化の選択性を上げ、副反応を抑える目的で、反応温度は室温以下、より好ましくは系内を5℃以下で反応させることが望ましい。さらに、反応中は系内をアルカリ性に保つことが好ましい。この時のpHは9〜12、より好ましくはpH10〜11に保つとよい。
さらにこの酸化方法は、酸化剤の量およびpHを一定に保つ際に添加されるアルカリの量により酸化度を制御することができる。例えば、アルカリが糖残基と等モル量添加されれば、ほぼ全てのピラノース環6位の一級水酸基がカルボキシル基にまで酸化され、水溶性のポリウロン酸が得られる。
また、キチンなど結晶性の高い多糖類を原料として本酸化反応を行う場合は、前処理として結晶性を低下させる再生処理を行うことが好ましい。キチンの再生処理としては、例えばアルカリ再生処理が挙げられる。キチンを高濃度のアルカリに浸漬後、氷を加えながら低温下で希釈していくことにより、粘調な液体となる。ここに塩酸を加えて中和すると、フレーク状のキチンが析出するが、ほぼ非晶質化したキチンが得られ、これを充分に水洗して乾燥させずに上記酸化反応に供することにより、分子量低下を極力抑え、ほぼ全てのピラノース環6位の一級水酸基のみカルボキシル基にまで酸化することができる。但し、アルカリ雰囲気下では、キチンの脱アセチル化の反応も進行することから、アルカリによる溶解および中和処理、さらに酸化反応中の系内の温度は5℃以下の低温に維持することが重要である。
また或いは、キチンの脱アセチル化物であるキトサンを原料に、均一反応下でN−アセチル化した材料を上記酸化反応に供してもよい。例えばキトサンを酢酸に溶解し、メタノールで希釈後、キトサン中のアミノ基量に対して1.5〜3倍モル量の無水酢酸を添加することで、容易にN−アセチル化して、再びキチンの化学構造に戻すことができる。この操作を経て、充分に水洗したものを乾燥させずに、或いは凍結乾燥して上記酸化反応に供することにより、アルカリ再生キチン同様に6位の1級水酸基のみ選択性高く酸化される。
さらにこの場合、無水酢酸の添加量により酸化原料のN−アセチル化度をコントロールすることも可能である。
上記のように条件を制御して、キチン・キトサンを酸化すると下記一般式(1)に示す構造のポリウロン酸(以下キトウロン酸と称する)が得られる。該キトウロン酸は、本発明の多糖類複合体のアニオン性多糖類として特に好ましい。ここで(化1)中の(a+c)/(a+b+c+d)は、キトウロン酸のN−アセチル化度を表しており、N−アセチル化度が低くい、つまり分子中のアミノ基量が多いと、酸化反応時の安定性が低下して分子量低下を招いたり、キトウロン酸の水溶性が低下するため好ましくない。本発明に用いる場合はN−アセチル化度が80%以上であることが好ましい。また、(化1)中の(a+b)/(a+b+c+d)は、キトウロン酸のカルボキシル化度(酸化度)を表している。酸化度が低いと水溶性とはならず、カチオン性多糖類とイオンコンプレックスを形成する際の均一性が低下するため好ましくない。本発明においては、70%以上の酸化度を有することが望ましい。従って(a+c):(b+d)の比率を8:2から10:0の範囲に、(a+b):(c+d)の比率を7:3から10:0の範囲に調製することが望ましく、本発明の多糖類複合体とした時、後述するような特長的な物性が得られる。
さらに、前記N−オキシル化合物による酸化方法は、他の多糖類にも適用できる。例えば、でんぷんやプルラン、ヒアルロン酸等の水溶性の多糖類については水に溶解して、そのまま酸化処理が可能であり、またセルロース等の水不溶の多糖類については、キチン同様に結晶性を低下させれば、水に分散させて酸化処理が可能である。セルロースの場合レーヨン等の再生セルロースが市販されており、それらを利用することも出来る。ここで、でんぷんを上記酸化手法により酸化してD−グルコースの6位にカルボキシル基を導入したポリウロン酸をアミロウロン酸、再生セルロースを酸化してD−グルコースの6位にカルボキシル基を導入したポリウロン酸をセロウロン酸と呼ぶことにする。
また、上記酸化多糖類の6位カルボキシル基は、ナトリウム塩など塩で存在する方が安定であり、これらの酸化多糖類の塩は特に水溶性が高い。またこの酸化多糖類塩の水溶液に塩酸などの酸を添加するか、イオン交換樹脂で処理することにより、脱塩したCOOH型の酸化多糖類を得ることができる。特に、前記したキトウロン酸やアミロウロン酸は、COOH型でも水溶性を示し、広いpH域で高い水溶性を有する。
ここで、本発明の多糖類複合体はアニオン性多糖類として、キチン・キトサンを酸化して、構成単糖であるN−アセチル−D−グルコサミンの6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類を主に含むことを特徴とするものであり、後述するようにカチオン性のキトサンとポリイオンコンプレックスを形成した際、非常に特徴的な物性の多糖類複合体が得られる。例えば湿潤時に可塑性を有して様々な形状に変形できたり、一度乾燥粉末としたものを湿潤させると、結着性良く、物理的強度を有した被膜を形成したりする特性の発現に、前記キチン・キトサンを酸化した酸化多糖類を用いることの寄与が大きい。特にこれらの特性を有する多糖類複合体とするためには、アニオン性多糖類中に占める、キチン・キトサンを酸化して、構成単糖であるN−アセチル−D−グルコサミンの6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類の比率が重量比で80%〜100%であることが好ましい。
また、本発明の多糖類複合体では、アニオン性多糖類として他のアニオン成分を含有していても構わないが、特に上記N−オキシル化合物により酸化した酸化多糖類を含有成分として含む多糖類複合体は、その安全性、生体適合性を維持して、更に広範な物性の多糖類複合体が得られることから特に好ましい。例えば、キチン・キトサンを酸化して、構成単糖であるN−アセチル−D−グルコサミンの6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類とキトサンからなる多糖類複合体では、リゾチームの作用により容易に分解するが、アニオン性多糖類として、前記のアミロウロン酸やセロウロン酸を含有させると、リゾチームに対する耐性が上がり、多糖類複合体の分解速度を遅くすることも可能である。この場合、アニオン性多糖類中の、キチン・キトサンを酸化して、構成単糖であるN−アセチル−D−グルコサミンの6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類と、キチン・キトサン以外の多糖類を酸化してその多糖類のピラノース環の6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類の比率は、多糖類複合体の要求物性に応じて適宜設定することが可能であるが、好ましくは重量比で8:2から1:9である。
以上のように、本発明に用いられるアニオン性の酸化多糖類は、カルボキシメチル化など多糖類への誘導体化によるカルボキシル基の導入とは異なり、1つのピラノース環内に1つだけ6位に選択的にカルボキシル基が導入され、分子間、分子内での分布が均一であり、生体内外で分解された後の置換基の影響がない等の特長を有する。
また、天然にもアルギン酸、ペクチン、ヒアルロン酸などウロン酸類は存在し、本発明のアニオン性多糖類として利用することも出来るが、これらは主にヘテロ多糖類が多く、天然物故に糖残基の分布など、制御不能な部分が多いため、多糖類複合体の物性制御に悪影響を与えない範囲で利用することが望ましい。
続いて、本発明の多糖類複合体のカチオン性多糖類として用いられるキトサンについて説明する。
先に説明したように、N−アセチル−D−グルコサミンと、D−グルコサミンがβ−1、4グリコシド結合した多糖で、一般にD−グルコサミンの割合が高いものをキトサン、N−アセチル−D−グルコサミンの割合が高いものをキチンという。キチンは蟹やエビの骨格物質として、また菌類などの細胞膜に存在し、脱灰、除タンパク、脂質および色素の除去などの精製工程を経て得られるものであり、キトサンはこれらの工程と同時か、或いは上記工程で得られたキチンを、さらに酸やアルカリで加水分解して脱アセチル化処理することにより得られるのが一般的である。また、構成単糖であるN−アセチル−D−グルコサミンとD−グルコサミンは生体内にも存在し、生体内外において容易に分解し、その安全性は高いと言える。
本発明の多糖類複合体のカチオン性多糖類として用いられるキトサンとしては、上記した一般的なキトサンが適用可能であり、原料や精製方法、重合度等については特に限定されるものではなく、それぞれの用途における要求物性に応じて選択されるものである。また、構成単糖中のD−グルコサミンとN−アセチル−D−グルコサミンの比率も特に限定されるものではないが、水或いは酸に対する溶解性の点から、40:60〜100:0の範囲であることが好ましい。D−グルコサミンはカチオン性のアミノ基を一つ有するため、この比率は本発明の多糖類複合体の物性を制御する上で重要な因子の一つである。
上記のD−グルコサミンとN−アセチル−D−グルコサミンの割合、つまりアミノ基とN−アセチル基の割合は、酸やアルカリでの加水分解による脱アセチル化や、逆に無水酢酸などを用いたN−アセチル化の手法により制御が可能である。脱アセチル化反応においては加水分解の反応時間により、N−アセチル化反応においては試薬の添加量により、アミノ基の割合を制御できる。
このキトサンのD−グルコサミンとN−アセチル−D−グルコサミンの比率は、一般に脱アセチル化度或いはN−アセチル化度((N−アセチル化度(%))=100%−(脱アセチル化度(%)))として示されるが、元素分析や、コロイド滴定、KBr錠剤法による赤外分光法(IR)、或いは酸性溶液に溶解して核磁気共鳴分光法(NMR)などにより求めることができる。
ここで、キトサンは希酸溶液に対して塩を形成して溶解するが、中性からアルカリ性では水不溶である。しかしD−グルコサミンとN−アセチル−D−グルコサミンの比率が、40:60から60:40の範囲では幅広いpH領域で水に可溶であることが知られている。この水溶性キトサンを調製する場合は、均一系でのN−アセチル化或いは脱アセチル化を行い、分子間、分子内でのD−グルコサミンとN−アセチル−D−グルコサミンの分布をより均一にすることが重要となる。
この水溶性キトサンは、酸性からアルカリ性までの幅広いpH領域の水に可溶なため、前記したキトウロン酸やアミロウロン酸などの広いpH領域で水可溶なアニオン性多糖類と水中で混合して生じる水不溶の生成物は、単独成分が不溶化したものを含むことのない均一性の高いポリイオンコンプレックスであると言える。従って本発明の多糖類複合体のカチオン性多糖類として、D−グルコサミンとN−アセチル−D−グルコサミンの比率が、40:60から60:40の範囲にあるキトサンは特に好ましく用いられる。
本発明の多糖類複合体は、前記したように、ポリアニオン成分として用いられる酸化多糖類のベース材料及びその酸化度(カルボキシル基導入量)、平均分子量、分子量分布、及びポリアニオン成分の組成等により、また前記したように、ポリカチオン成分に用いられるキトサンの脱アセチル化度、平均分子量、分子量分布、及びポリカチオン成分の組成等により、さらにはアニオン性多糖類とカチオン性多糖類の配合比、またさらにポリイオンコンプレックスの生成条件等により、様々な物性のポリイオンコンプレックスゲルを形成でき、広範な用途における様々な要求物性に対応しやすいものである。
ここでアニオン性多糖類とカチオン性多糖類の配合比としては、アニオン性のカルボキシル基とカチオン性のアミノ基のモル比が5:1〜1:5程度の比率であることが好ましい。本発明において生成する(回収される)ポリイオンコンプレックスは、必ずしもカルボキシル基とアミノ基が1:1で得られるとは限らない。つまり、ポリアニオン成分中の全てのカルボキシル基およびポリカチオン成分中の全てのアミノ基がイオン結合を形成している訳ではなく、遊離のカルボキシル基或いは遊離のアミノ基が複合体中に存在すると言える。従ってアニオン性多糖類とカチオン性多糖類の配合比率は、要求物性を満たすように様々に設定することができるが、極端に配合比を偏らせることはポリイオンコンプレックスとしての回収効率が低下するため、あまり好ましくない。
さらに本発明の多糖類複合体では、ポリイオンコンプレックスを形成するための上記アニオン性多糖類とカチオン性多糖類の他に、多糖類複合体の物性を調整するための成分や、多糖類複合体に機能性を付与するための成分や、ポリイオンコンプレックスを形成する際に二次的に生成する成分等を含んでいても構わない。
本発明の多糖類複合体のポリイオンコンプレックス生成方法としては、水を主とする媒体に、前記アニオン性多糖類、及び前記カチオン性多糖類を溶解し、両溶液を混合することにより、或いは混合液に酸又はアルカリを添加して中性域にpHをコントロールすることにより、水に不溶化したポリイオンコンプレックスを形成し、本発明の多糖類複合体を得ることができる。またこの際の水溶液濃度についても、ポリイオンコンプレックスが形成する範囲にあれば特に限定されるものではなく、多糖類複合体の要求物性に応じて選択できるものである。
ここで、例えばカチオン性多糖類として前記水溶性キトサンを用いて対イオンなく水に溶解させたものと、アニオン性多糖類として前記脱塩処理したCOOH型のポリウロン酸を用いて、両溶液を混合すると、即座にポリイオンコンプレックスが形成する。この場合対イオン同士の塩の生成がないことから、対イオンの除去工程を省略できるとともに、塩の混在を嫌う用途には特に適するものである。
また、例えば両成分の混合溶液を酸性或いはアルカリ性にして、均一な溶液としてから、攪拌しながらpHを中性に戻してやると、より均一なポリイオンコンプレックスを形成できる。この場合副生成物として対イオン同士の塩が混在するが、生成したポリイオンコンプレックスゲルを水洗処理等することにより、この塩を除いた多糖類複合体とすることもできる。
さらに本発明の多糖類複合体の形態としては、特に限定されるものではなく、用途に適した形態をとることができる。例えばブロック状、シート状、フィルム状、繊維状、スポンジ状、カプセル状、フレーク状、粉末状等の形態をとることができる。本発明の多糖類複合体は、水中でポリイオンコンプレックスを形成して、先ず湿潤ゲルとして得られ、作成条件により、形状を維持できるだけの物理的強度を有したり、可塑的な特性を有して様々な形態に成形することも可能である。さらに一度乾燥させた乾燥ゲルを再び湿潤させても、湿潤ゲルとしてのほぼ同様の物性を再現して、変形させることも可能であったり、またさらには、乾燥後粉砕粉末としてから水中で湿潤させても、粘着性、結着性を発現して再びブロックやシート形状に戻すこともできる。例えば十分に湿潤している三次元表面に前記粉末を堆積させると、該三次元表面上にゲル被膜を形成でき、かつ湿潤ゲルとしての物性を再現したりする非常に特徴的な特性を有するものである。
まず実施例、比較例に用いる原料となるアニオン性多糖類、カチオン性多糖類の製造例について説明する。
<製造例1>
(N−アセチル化キトサンの調製(1))
脱アセチル化度100%のキトサンとして、大日精化工業(株)製 ダイキトサン100D(VL)を用い、このキトサン10gを10%酢酸190gに溶解し、メタノール1Lで希釈し、攪拌しながら無水酢酸12.68g(2eq.)を加えると、数分でゲル化した。これを15時間放置後、さらにメタノール1Lを加えてホモジナイザーで攪拌し、2N−NaOH水溶液を加えてpH7に中和し、これを濾過して、メタノール及び水:アセトン=1:7よりなる溶液で洗浄した後、脱イオン水で十分に洗浄し、凍結乾燥させてN−アセチル化キトサン11.6gを得た。元素分析によるN−アセチル化度は95%であった。
<製造例2>
(N−アセチル化キトサンの調製(2))
製造例1における無水酢酸の添加量を5.71g(0.9eq.)と変えた以外製造例1と同様に処理して、N−アセチル化キトサン11.4gを得た。元素分析によるN−アセチル化度は80%であった。
<製造例3>
(N−アセチル化キトサンの調製(3))
脱アセチル化度100%のキトサンとして、大日精化工業(株)製 ダイキトサン100D(VL)を用い、このキトサン10gを10%酢酸190gに溶解し、メタノール1Lで希釈し、攪拌しながら無水酢酸3.17g(0.5eq.)を加え、室温で15時間攪拌した。ここに2N−NaOH水溶液を加えてpH7に中和すると、フレーク状のキトサンが析出し、これを濾過して、メタノール及び水:アセトン=1:7よりなる溶液で十分に洗浄した後、アセトンで脱水して、40℃で減圧乾燥させてN−アセチル化キトサン10.3gを得た。このキトサンは水溶性を示し、1wt%の水溶液でpH8.2であった。さらに酸やアルカリを加えてpHを変動させても溶解していた。塩化重水素酸重水溶液に溶解して測定したH−NMR分析の結果から、N−アセチル化度は45%であった。図1にH−NMRのスペクトルを示す。
<製造例4>
(キトウロン酸ナトリウム塩の調製(1))
前記製造例1にて調製したN−アセチル化キトサン10gを蒸留水400gに懸濁し、蒸留水100gにTEMPO 0.15g、臭化ナトリウム2.0gを溶解した溶液を加え、5℃以下まで冷却した。ここに11%濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液84gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。反応温度は常に5℃以下に維持した。反応中は系内のpHが低下するが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、pH10.75に調整した。そして6位の1級水酸基の全モル数に対し、100%のモル数に対応するアルカリ添加量に達した時点で、エタノールを添加し、反応を停止させ、2Lのエタノール中に反応液を投入して生成物を析出させ、水:アセトン=1:7よりなる溶液により充分洗浄した後、アセトンで脱水し、40℃で減圧乾燥させ、白い粉末状の酸化度100%のキトウロン酸ナトリウム塩10.8gを得た。図2に13C−NMRのスペクトルを示す。この水に対する溶解性は高く、5wt%水溶液でpH6であった。さらに酸やアルカリを加えてpHを変動させても溶解していた。GPC法により求めたプルラン換算の重量平均分子量は32,000であった。
<製造例5>
(キトウロン酸ナトリウム塩の調製(2))
前記製造例2にて調製したN−アセチル化キトサン10gを蒸留水400gに懸濁し、蒸留水100gにTEMPO 0.15g、臭化ナトリウム2.0gを溶解した溶液を加え、5℃以下まで冷却した。ここに11%濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液84gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。反応温度は常に5℃以下に維持した。反応中は系内のpHが低下するが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、pH10.75に調整した。そして6位の1級水酸基の全モル数に対し、100%のモル数に対応するアルカリ添加量に達した時点で、エタノールを添加し、反応を停止させ、2Lのエタノール中に反応液を投入して生成物を析出させ、水:アセトン=1:7よりなる溶液により充分洗浄した後、アセトンで脱水し、40℃で減圧乾燥させ、白い粉末状の酸化度100%のキトウロン酸ナトリウム塩10.6gを得た。図3に13C−NMRのスペクトルを示す。この水に対する溶解性は高く、5wt%水溶液でpH6.5であった。さらに酸やアルカリを加えてpHを変動させても溶解していた。GPC法により求めたプルラン換算の重量平均分子量は26,000であった。
<製造例6>
(キトウロン酸ナトリウム塩の調製(3))
和光純薬工業(株)製キチン10gを、45%水酸化ナトリウム水溶液150gに浸漬し、室温以下で2時間攪拌した。これに、砕いた氷を850g、周りを氷水などで冷やし、攪拌しながら添加した。このアルカリ処理によりキチンはほぼ溶解する。塩酸で中和し、十分に水洗した後、乾燥ないものを酸化原料とした。
この再生キチン2.5%濃度の懸濁液200gに、蒸留水50gにTEMPO0.08g、臭化ナトリウム1.0gを溶解した溶液を加え、5℃以下まで冷却した。ここに11%濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液35gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。反応温度は常に5℃以下に維持した。反応中は系内のpHが低下するが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、pH10.75に調整した。そして6位の1級水酸基の全モル数に対し、80%のモル数に対応するアルカリ添加量に達した時点で、エタノールを添加し、反応を停止させ、1Lのエタノール中に反応液を投入して生成物を析出させ、水:アセトン=1:7よりなる溶液により充分洗浄した後、アセトンで脱水し、40℃で減圧乾燥させ、白い粉末状の酸化度80%のキトウロン酸ナトリウム塩5.2gを得た。図4に13C−NMRのスペクトルを示す。この水に対する溶解性は高く、5wt%水溶液でpH6であった。さらに酸やアルカリを加えてpHを変動させても溶解していた。GPC法により求めたプルラン換算の重量平均分子量は35,000であった。
<製造例7>
(アミロウロン酸ナトリウム塩の調製)
コンスターチ10gを蒸留水400gに加熱溶解させ、冷却した。この溶液に、蒸留水100gにTEMPO0.18g、臭化ナトリウム2.5gを溶解した溶液を加え、11%濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液104gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。反応温度は常に5℃以下に維持した。反応中は系内のpHが低下するが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、pH10.75に調整した。そして6位の1級水酸基の全モル数に対し、100%のモル数に対応するアルカリ添加量に達した時点で、エタノールを添加し、反応を停止させ、2Lのエタノール中に反応液を投入して生成物を析出させ、水:アセトン=1:7よりなる溶液により充分洗浄した後、アセトンで脱水し、40℃で減圧乾燥させ、白い粉末状の酸化度100%のアミロウロン酸ナトリウム塩11.7gを得た。図5に13C−NMRのスペクトルを示す。この水に対する溶解性は高く、5wt%水溶液でpH7であった。さらに酸やアルカリを加えてpHを変動させても溶解していた。GPC法により求めたプルラン換算の重量平均分子量は58,000であった。
<製造例8>
(セロウロン酸ナトリウム塩の調製)
再生セルロースとして旭化成工業(株)製ベンリーゼを用い、再生セルロース10gを蒸留水400gに懸濁し、蒸留水100gにTEMPO0.18g、臭化ナトリウム2.5gを溶解した溶液を加え、5℃以下まで冷却した。ここに11%濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液104gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。反応温度は常に5℃以下に維持した。反応中は系内のpHが低下するが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、pH10.75に調整した。そして6位の1級水酸基の全モル数に対し、100%のモル数に対応するアルカリ添加量に達した時点で、エタノールを添加し、反応を停止させ、2Lのエタノール中に反応液を投入して生成物を析出させ、水:アセトン=1:7よりなる溶液により充分洗浄した後、アセトンで脱水し、40℃で減圧乾燥させ、白い粉末状の酸化度100%のセロウロン酸ナトリウム塩11.6gを得た。図6に13C−NMRのスペクトルを示す。この水に対する溶解性は高く、5wt%水溶液でpH7であった。この溶液に酸を加えてpH3以下にすると白濁したが、均一な分散液であった。GPC法により求めたプルラン換算の重量平均分子量は52,000であった。
<試験例1>
製造例4、7、8の酸化多糖類、及び製造例3のN−アセチル化キトサン、および微結晶セルロース粉末、さらにALDRICH製カルボキシメチルセルロースナトリウム塩 Mw=250,000 DS=0.7について、下記の方法にて、土壌中の好気性微生物による生分解性を評価した。結果を図7に示す。カルボキシルメチルセルロースナトリウム塩が殆ど分解しないのに対して、本発明の原料となる酸化多糖類およびキトサンは、ほぼセルロースと同様に分解することが分かる。
(生分解性の評価方法)
八幡物産(株)製の微生物酸化分解測定装置(MODA)を用い、試験土壌として、水分60%に調整した標準コンポスト(八幡物産(株)製 YK−2)250ccと、水分18%に調整した海砂250ccを混合したものを用いた。試料10gを試験土壌と均一に混合して、カラム状の反応筒に充填し、反応筒内の温度を35℃で一定に保持した。さらに反応筒下方より水蒸気を飽和した脱炭酸空気を40ml/分で通気し、反応筒上部からはガス漏れなく配管されて、アンモニアガスを除くために硫酸水浴中を通り、水分を除くためにシリカゲルと塩化カルシウムを充填した吸湿筒を通り、さらにソーダタルク及びソーダライムを充填した吸収筒に導かれる。試料が好気的に生分解して発生する二酸化炭素は全て、吸収筒に吸収されるため、吸収筒の重量変化から生分解により発生した二酸化炭素量を定量できるものである。なお試料を入れない試験土壌のみの空試験を同時に行い、空試験で発生した二酸化炭素量を差し引いて、分解により発生した二酸化炭素量を求めた。試料10g中の炭素含量から理論的に発生する二酸化炭素量を算出し、理論量に対する発生二酸化炭素量の割合を生分解度として、図7に示した。
次に実施例1の多糖類複合体について説明する。
脱アセチル化度75%のキトサン、大日精化工業(株)製 ダイキトサンP(VL)1.8gを希塩酸水溶液に溶解し、固形分濃度2%、pH2のキトサン溶液とした。ここに、攪拌しながら、製造例4で作成したキトウロン酸ナトリウム塩1.4gを2%濃度の水溶液として添加した。この混合液に2N−塩酸を加えpHを1.5に調整すると透明な溶液となった。さらに1N−NaOH水溶液によりpHを6.5に調整するとゲルが析出し、攪拌を止めてしばらく静置するとゲルは容器底面に堆積して結着し、湿潤ゲルシートとなった。上澄み液を捨て、実施例1の多糖類複合体を得た。この湿潤した多糖類複合体は粘土状或いは樹脂状の可塑性を示した。この多糖類複合体を一度塊状にしてから一軸方向に引張ると、糸を引くように伸びる特徴的な物性を示した。
製造例3で作成したN−アセチル化キトサン2gを希塩酸溶液に溶解し、固形分濃度2%、pH1のキトサン溶液とした。ここに、攪拌しながら、製造例4で作成したキトウロン酸ナトリウム塩1gを加え、その後1N−NaOH水溶液によりpHを7に調整するとゲルが析出した。攪拌を止めてしばらく静置するとゲルは容器底面に堆積して結着し、湿潤ゲルシートとなった。上澄み液を捨て、実施例2の多糖類複合体を得た。この湿潤した多糖類複合体は粘土状或いは樹脂状の可塑性を示した。
<比較例1>
製造例3で作成したN−アセチル化キトサン2gを希塩酸溶液に溶解し、固形分濃度2%、pH1のキトサン溶液とした。ここに、攪拌しながら、製造例8で作成したセロウロン酸ナトリウム塩1gを加え、その後1N−NaOH水溶液によりpHを7に調整するとゲルが析出した。攪拌を止めてしばらく静置するとゲルは容器底面に堆積した。上澄み液を捨て、比較例1の多糖類複合体を得た。この多糖類複合体は結着力が弱く、変形応力を加えるとボロボロに形態が崩れるものであった。
<比較例2>
製造例3で作成したN−アセチル化キトサン2gを希塩酸溶液に溶解し、固形分濃度2%、pH1のキトサン溶液とした。ここに、攪拌しながら、ALDRICH製カルボキシメチルセルロースナトリウム塩 Mw=250,000 DS=0.7 1gを1%濃度の水溶液として添加し、その後1N−NaOH水溶液によりpHを7に調整すると白色のゲルが析出した。攪拌を止めてしばらく静置するとゲルは容器底面に堆積した。上澄み液を捨て、比較例2の多糖類複合体を得た。この多糖類複合体は結着力が弱く、容易にボロボロに形態が崩れるものであった。
製造例3で作成したN−アセチル化キトサン2gを希塩酸溶液に溶解し、固形分濃度3%、pH1のキトサン溶液とした。ここに、攪拌しながら、製造例4で作成したキトウロン酸ナトリウム塩1gを加え、その後1N−NaOH水溶液によりpHを7に調整するとゲルが析出した。そのまま1分間攪拌後、速やかに底面積が127.5cmのポリスチレン製容器に混合液を注ぎ込み一晩静置した。析出したゲルは容器底面に堆積して結着し、湿潤ゲルシートとなった。上澄み液を捨てて、風乾後、ゲルシートを脱イオン水で十分に洗浄して実施例3の多糖類複合体を得た。本多糖類複合体は、乾燥時の膜厚が100〜200μmの黄褐色の透通ったシートで、脱イオン水での洗浄時もシート形状が崩れることはなく、対イオン同士の塩であるNaClを除くことが可能であった。
製造例3で作成したN−アセチル化キトサン2gを希塩酸溶液に溶解し、固形分濃度3%、pH1のキトサン溶液とした。ここに、攪拌しながら、製造例5で作成したキトウロン酸ナトリウム塩1gを加え、その後1N−NaOH水溶液によりpHを7に調整するとゲルが析出した。そのまま1分間攪拌後、速やかに底面積が127.5cmのポリスチレン製容器に混合液を注ぎ込み一晩静置した。析出したゲルは容器底面に堆積して結着し、湿潤ゲルシートとなった。上澄み液を捨てて、風乾後、ゲルシートを脱イオン水で十分に洗浄して実施例4の多糖類複合体を得た。本多糖類複合体は、乾燥時の膜厚が100〜200μmの黄褐色の透通ったシートで、脱イオン水での洗浄時もシート形状が崩れることはなく、対イオン同士の塩であるNaClを除くことが可能であった。
製造例3で作成したN−アセチル化キトサン2gを希塩酸溶液に溶解し、固形分濃度3%、pH1のキトサン溶液とした。ここに、攪拌しながら、製造例6で作成したキトウロン酸ナトリウム塩1gを加え、その後1N−NaOH水溶液によりpHを7に調整するとゲルが析出した。そのまま1分間攪拌後、速やかに底面積が127.5cm2のポリスチレン製容器に混合液を注ぎ込み一晩静置した。析出したゲルは容器底面に堆積して結着し、湿潤ゲルシートとなった。上澄み液を捨てて、風乾後、ゲルシートを脱イオン水で十分に洗浄して実施例5の多糖類複合体を得た。本多糖類複合体は、乾燥時の膜厚が100〜200μmの黄褐色の透通ったシートで、脱イオン水での洗浄時もシート形状が崩れることはなく、対イオン同士の塩であるNaClを除くことが可能であった。
<比較例3>
製造例3で作成したN−アセチル化キトサン2gを希塩酸溶液に溶解し、固形分濃度3%、pH1のキトサン溶液とした。ここに、攪拌しながら、和光純薬工業(株)製 アルギン酸ナトリウム 500〜600cP 1gを1%濃度の水溶液として加え、その後1N−NaOH水溶液によりpHを7に調整すると全体がゲル状となった。この高膨潤のゲルを底面積が127.5cmのポリスチレン製容器に移し、一晩静置したが、上澄みが僅かに生成したが、高膨潤な状態であった。このゲルを風乾して、比較例3の多糖類複合体を得た。本多糖類複合体は、乾燥時の膜厚が50〜300μmのシートとなったが、ムラのあるもので、水中に投じると膨潤してシート形状をとどめるものではなかった。
実施例3の多糖類複合体の乾燥シートを凍結粉砕して、粉末状とした。この粉末1gを蒸留水100g中に攪拌しながら添加した。3分間攪拌後、速やかに底面積が36.3cmのポリスチレン製容器に注ぎ込み一晩静置した。容器底面に堆積した湿潤ゲルは結着して、抗張力を有する湿潤ゲルシートとなった。
実施例4の多糖類複合体の乾燥シートを凍結粉砕して、粉末状とした。この粉末1gを蒸留水100g中に攪拌しながら添加した。3分間攪拌後、速やかに底面積が36.3cmのポリスチレン製容器に注ぎ込み一晩静置した。容器底面に堆積した湿潤ゲルは結着して、抗張力を有する湿潤ゲルシートとなった。
<比較例4〜6>
比較例1〜3の多糖類複合体の乾燥ゲルを凍結粉砕して、粉末状とした。それぞれ、粉末1gを蒸留水100g中に攪拌しながら添加した。3分間攪拌後、速やかに底面積が36.3cmのポリスチレン製容器に注ぎ込み一晩静置した。容器底面に堆積した湿潤ゲルは結着せず、湿潤状態ではシートにはならなかった。
製造例3で作成したN−アセチル化キトサン2gを希塩酸溶液に溶解し、固形分濃度3%、pH1のキトサン溶液とした。ここに、攪拌しながら、製造例5で作成したキトウロン酸ナトリウム塩0.7gと製造例8で作成したセロウロン酸ナトリウム塩0.3gを共に蒸留水20gに溶解して加え、その後1N−NaOH水溶液によりpHを7に調整するとゲルが析出した。そのまま1分間攪拌後、速やかに底面積が127.5cmのポリスチレン製容器に混合液を注ぎ込み一晩静置した。析出したゲルは容器底面に堆積して結着し、湿潤ゲルシートとなった。上澄み液を捨てて、風乾後、ゲルシートを脱イオン水で十分に洗浄して実施例8の多糖類複合体を得た。本多糖類複合体は、乾燥時の膜厚が100〜200μmの黄褐色のシートで、脱イオン水での洗浄時もシート形状が崩れることはなく、対イオン同士の塩であるNaClを除くことが可能であった。
製造例3で作成したN−アセチル化キトサン2gを希塩酸溶液に溶解し、固形分濃度3%、pH1のキトサン溶液とした。ここに、攪拌しながら、製造例5で作成したキトウロン酸ナトリウム塩0.3gと製造例8で作成したセロウロン酸ナトリウム塩0.7gを共に蒸留水20gに溶解して加え、その後1N−NaOH水溶液によりpHを7に調整するとゲルが析出した。そのまま1分間攪拌後、速やかに底面積が127.5cmのポリスチレン製容器に混合液を注ぎ込み一晩静置した。析出したゲルは容器底面に堆積して結着し、湿潤ゲルシートとなった。上澄み液を捨てて、風乾後、ゲルシートを脱イオン水で十分に洗浄して実施例9の多糖類複合体を得た。本多糖類複合体は、乾燥時の膜厚が100〜200μmの黄褐色のシートで、脱イオン水での洗浄時もシート形状が崩れることはなく、対イオン同士の塩であるNaClを除くことが可能であった。
製造例3で作成したN−アセチル化キトサン2gを希塩酸溶液に溶解し、固形分濃度3%、pH1のキトサン溶液とした。ここに、攪拌しながら、製造例5で作成したキトウロン酸ナトリウム塩0.5gと製造例7で作成したアミロウロン酸ナトリウム塩0.5gを共に蒸留水20gに溶解して加え、その後1N−NaOH水溶液によりpHを7に調整するとゲルが析出した。そのまま1分間攪拌後、速やかに底面積が127.5cmのポリスチレン製容器に混合液を注ぎ込み一晩静置した。析出したゲルは容器底面に堆積して結着し、湿潤ゲルシートとなった。上澄み液を捨てて、風乾後、ゲルシートを脱イオン水で十分に洗浄して実施例9の多糖類複合体を得た。本多糖類複合体は、乾燥時の膜厚が100〜200μmの黄褐色の透通ったシートで、脱イオン水での洗浄時もシート形状が崩れることはなく、対イオン同士の塩であるNaClを除くことが可能であった。
<試験例2>
実施例3〜10の多糖類複合体の乾燥ゲルシートを1cm角の試験片とし、それぞれ20ml容ガラス瓶に入れたリン酸緩衝生理食塩水10ml中に浸漬した。37℃で3日間保存し、形態変化を観察した。いずれも膨潤してもシート形状を維持していた。さらに37℃保存中容器を激しく攪拌すると実施例3および6のゲルシートは壊れて断片化したが、それ以外は壊れることなくシート状を維持した。
<試験例3>
実施例3〜10の多糖類複合体の乾燥ゲルシートを1cm角の試験片とし、それぞれ20ml容ガラス瓶に入れたリン酸緩衝生理食塩水10ml中に浸漬した。ここに、それぞれ和光純薬工業(株)製リゾチーム(卵白由来)10μgを添加し、37℃で2日間保存し、形態変化を観察した。その後残存したゲルシートを取り出し洗浄・乾燥して、重量減少(%)=(100−試験後の乾燥重量/試験前の乾燥重量×100)を求めた。
実施例3〜7のゲルシートはいずれも断片が残るのみで、重量減少は90〜98%と殆ど分解していたのに対し、アニオン性多糖類としてセロウロン酸或いはアミロウロン酸を含有する実施例8〜10のゲルシートはシート形状を維持しており、重量減少は実施例8が80%、実施例9が50%、実施例10が40%であった。
本発明の多糖類複合体は、優れた生分解を有し、安全性、生体親和性が高く、また様々な要求物性に対応する材料設計が可能なことから、医薬品や医療用具、および食品や化粧品、機能性繊維等、様々な分野での応用が期待できる。例えば、生体内において溶解や崩壊することなく数日間形態を維持して存在し、その後、最終的には分解・吸収されて消失するような特性が求められる医薬品や医療用具として、特に粉体で患部組織に供給し、患部組織表面で湿潤ゲル化して被膜を形成するような材料として応用が期待できる。
製造例3のN−アセチル化キトサンを塩化重水素酸重水溶液に溶解して測定したH−NMRスペクトルである。 製造例4のキトウロン酸ナトリウム塩を重水に溶解して測定した13C−NMRのスペクトルである。 製造例5のキトウロン酸ナトリウム塩を重水に溶解して測定した13C−NMRのスペクトルである。 製造例6のキトウロン酸ナトリウム塩を重水に溶解して測定した13C−NMRのスペクトルである。 製造例7のアミロウロン酸ナトリウム塩を重水に溶解して測定した13C−NMRのスペクトルである。 製造例8のセロウロン酸ナトリウム塩を重水に溶解して測定した13C−NMRのスペクトルである。 酸化多糖類、及びキトサン、及びカルボキシメチルセルロースの、試験例1に従い測定した生分解度を示すグラフである。

Claims (10)

  1. アニオン性多糖類とカチオン性多糖類とがポリイオンコンプレックス構造を形成している多糖類複合体であって、該アニオン性多糖類として、少なくともキチン・キトサンを酸化して、構成単糖であるN−アセチル−D−グルコサミンの6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類を含み、該カチオン性多糖類として、少なくともキトサンを含むことを特徴とする多糖類複合体。
  2. 前記酸化多糖類が、結晶性を低下させたアルカリ再生キチン或いはN−アセチル化キトサンを原料に、水系で、N−オキシル化合物触媒の存在下、酸化剤を用いて酸化する方法により得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の多糖類複合体。
  3. 前記酸化多糖類が、下記一般式(1)に示す化学構造からなることを特徴とする請求項1または2に記載の多糖類複合体。
  4. 前記一般式(1)中の(a+c):(b+d)の比率が8:2から10:0の範囲にあり、(a+b):(c+d)の比率が7:3から10:0の範囲にあることを特徴とする請求項3記載の多糖類複合体。
  5. 前記カチオン性多糖類として含まれるキトサンが、その構成単糖であるD−グルコサミンとN−アセチル−D−グルコサミンの比率が、40:60から60:40の範囲にあることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の多糖類複合体。
  6. 前記アニオン性多糖類中に占める、キチン・キトサンを酸化して、構成単糖であるN−アセチル−D−グルコサミンの6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類の比率が、重量比で80%から100%であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の多糖類複合体。
  7. 前記アニオン性多糖類が、少なくともキチン・キトサンを酸化して、構成単糖であるN−アセチル−D−グルコサミンの6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類を含み、さらにキチン・キトサン以外の多糖類を酸化してその多糖類のピラノース環の6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の多糖類複合体。
  8. 前記アニオン性多糖類が、でんぷんを酸化して、D−グルコースの6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類を含むことを特徴とする請求項7に記載の多糖類複合体。
  9. 前記アニオン性多糖類が、再生セルロースを酸化して、D−グルコースの6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類を含むことを特徴とする請求項7に記載の多糖類複合体。
  10. 前記アニオン性多糖類中の、キチン・キトサンを酸化して、構成単糖であるN−アセチル−D−グルコサミンの6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類と、キチン・キトサン以外の多糖類を酸化してその多糖類のピラノース環の6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類の比率が重量比で8:2から1:9であることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の多糖類複合体。
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