JP5566038B2 - キチン−ポリアミノ酸複合組成物、その製造方法、および、キチン−ポリアミノ酸複合材料 - Google Patents

キチン−ポリアミノ酸複合組成物、その製造方法、および、キチン−ポリアミノ酸複合材料 Download PDF

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Description

本発明は、キチンとポリアミノ酸との複合体であるキチン−ポリアミノ酸複合組成物、その製造方法、および、キチン−ポリアミノ酸複合組成物から生成されるキチン−ポリアミノ酸複合材料に関する。
キチンは、蟹やイカ等の甲殻類から得られる天然多糖類であり、免疫活性が極めて低く生体吸収性や創傷治癒効果に優れる材料として知られている。しかしながら、キチンは結晶性高分子であり、水や一般的な溶媒には膨潤または溶解しないことから加工性に乏しく、有用な材料であるにもかかわらず余り有効活用されていない。
一方、キチンを脱アセチル化して得られるカチオン性アミノ多糖であるキトサンは、キチン由来の生体親和性はもとより免疫活性や抗菌性を有し、希薄な酸溶液に溶解することから加工性に優れ、医療素材分野をはじめとする様々な分野で有効活用されている(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
特許文献1に記載のものは、ポリ−γ−グルタミン酸塩とキトサンとからなる医療素材である。すなわち、アニオン成分であるポリ−γ−グルタミン酸塩と、カチオン成分であるキトサンとを混合してイオンコンプレックスを生成するものである。
キトサンの重合度が低いものほど溶解性は良好であるが複合膜の強度は低下する。また、脱アセチル化度が低いものほど反応性が乏しく、溶解性が劣る。これらの性質から、キトサンの重合度およびアセチル化度は適宜選別される。この範囲を外れる場合、イオン対のバランスの点から複合体作製が困難となる。
すなわち、ポリ−γ−グルタミン酸塩に対するキトサンの割合は、3質量%以上97質量%以下の範囲で、医療用途により使い分けられる。
また、各医療素材に応じ、紡糸繊維、フィルム、シート、粉末、含水ゲル状で使用され、このゲルを高強度化するために、架橋試薬や放射線照射により架橋しても良い構成が採られている。
特許文献2に記載のものは、カルボキシメチル化キチン塩とポリ−L−グルタミン酸塩などとのポリイオンコンプレックス形成したものである。
キチンは、化学的、生体的に安定かつ安全であり、キチン質を主体としたポリイオンコンプレックスが画期的なものになる。しかしながら、キチンは極めて高結晶性でかつそのアミノアセチル基の結合が強固であるため、良好に溶解、分散、あるいは膨潤させる好適な溶剤が見付かっていない。キチンの溶剤としては、ジクロル酢酸、硫酸、蟻酸などがあるが、これらは分子量低下や分解を伴う溶剤である。
そして、特許文献2に記載のものでは、キチン誘導体の中で、カルボキシメチルキチンまたはその塩の脱アセチル化物が酸あるいはアルカリ水溶液、高濃度の中性塩にも可溶であることが見出されている。
N−アセチル−D−グルコサミン1構造単位当り0.1〜1.0(好ましくは0.3〜1.0)のカルボキシメチル化度を有するカルボキシメチル化キチンもしくはその塩のN−アセチル−D−グルコサミン1構造単位当り0.1〜1.0(好ましくは0.3〜1.0)の脱アセチル化度を有するポリイオンコンプレックスの構成が採られている。
特開平11−276572号公報 特開昭55−161805号公報
しかしながら、特殊で有害な有機溶媒にしか溶解しないキチンの加工性を改善する目的で、特許文献2に記載のようなキチン誘導体を利用する構成では、キチン誘導体は有害な溶媒を用いた溶液中での反応になり、その精製も困難なことから非常に高価である。また、特許文献2に記載のようなN−アセチル−D−グルコサミン1構造単位当り0.1〜1.0(好ましくは0.3〜1.0)の脱アセチル化度を有するポリイオンコンプレックスを利用する構成では、特許文献1に記載のように、脱アセチル化度が低いものほど反応性が乏しいため、特許文献2に記載の脱アセチル化度が0.3未満の場合には、反応収率が低いため生産効率も低くなる。
また、マクロファージによる免疫活性の検討から、キチンは免疫活性を示さないが、70%脱アセチル化キチン(キトサン)>30%脱アセチル化キチン(キトサン)≧カルボキシメチル化キチン>キチンで免疫活性を示すことが確認(「キチン、キトサンの応用−キチン、キトサン研究会編」p.196)されている。これは、脱アセチル化度が高いキトサンになる程、より強い抗菌性や抗カビ性を示すことと同じ傾向である。この様に、特許文献1に記載のような脱アセチル化度が0.3以上で特許文献2に記載のようなキトサンを構成成分とする医療素材は免疫反応による様々な副作用を引き起こす原因ともなるおそれがある。
このように、免疫活性のない、よりキチンに近い成分で構成された材料の開発が望まれている。
本発明は、上述した点に鑑みて、免疫活性が低く、各種形態への加工が容易で製造コストを低減できるキチン−ポリアミノ酸複合組成物、その製造方法、および、キチン−ポリアミノ酸複合材料を提供することを目的とする。
本発明に記載のキチン−ポリアミノ酸複合組成物は、キトサンと、ポリアミノ酸とのイオンコンプレックスのN−アセチル化により得られたことを特徴とする。
そして、本発明では、前記N−アセチル化されたイオンコンプレックスは、前記キトサンの脱アセチル化度を1とした場合に0.05以上0.80以下、好ましくは0.1以上0.4以下である構成とすることが好ましい。
また、本発明では、前記ポリアミノ酸は、ポリ−γ−グルタミン酸とその塩とのうちの少なくともいずれか一方である構成とすることが好ましい。
さらに、本発明では、前記N−アセチル化したイオンコンプレックスは、複合比(ポリアミノ酸/キチン)が0.1以上である構成とすることが好ましい。
本発明に記載のキチン−ポリアミノ酸複合材料は、本発明に記載のキチン−ポリアミノ酸複合組成物を原料として生成されたことを特徴とする。
本発明に記載のキチン−ポリアミノ酸複合組成物の製造方法は、キトサンと、ポリアミノ酸とのイオンコンプレックスを形成し、この得られたイオンコンプレックスの前記キトサン成分をN−アセチル化してキチン化することを特徴とする。
そして、本発明では、前記キトサン成分のN−アセチル化は、無水酢酸の添加によることを構成とすることが好ましい。
さらに、本発明では、前記無水酢酸の添加は、少量を複数回に分けて実施する構成とすることが好ましい。
また、本発明では、前記キトサン成分のキチン化は、副反応として生成したO−アセチル基をアルカリ溶液中で処理することにより脱O−アセチル化することを含む構成とすることが好ましい。
さらに、本発明では、前記キトサン成分のキチン化後に酸性溶液を添加する構成とすることが好ましい。
本発明によれば、キトサンとポリアミノ酸とのイオンコンプレックスをN−アセチル化することで、キトサンの脱アセチル化度が高くなることによる免疫活性が増大する不都合を防止できる。さらには、有機溶媒を用いることなく水による膨潤や酸に溶解でき、スポンジ状やフィルム状などの各種形態に加工することができ、例えば免疫活性が低い医療素材や化粧品材料などとして製造することが容易で製造コストを低減できる。
以下、本発明に係るキチン−ポリアミノ酸複合材料について説明する。
[キチン−ポリアミノ酸複合材料の構成]
本発明のキチン−ポリアミノ酸複合材料は、例えば医療素材や化粧品材料などに利用されるもので、キチン−ポリアミノ酸複合組成物を原料として生成したものである。
このキチン−ポリアミノ酸複合材料は、例えばパウダー、フィルム、シート、ファイバー、スポンジ、ジェル素材や注射液などの液状など、各種形態に生成され、表面処理剤、医療用素材、化粧品、繊維製品などとして利用される。
(キチン−ポリアミノ酸複合組成物)
そして、原料のキチン−ポリアミノ酸複合組成物は、キトサンと、ポリアミノ酸とのイオンコンプレックスのN−アセチル化により得られる。
キチン、キトサンは化1に示すように、m:グルコサミン(キトサン)とn:N−アセチルグルコサミン(キチン)とが不規則に混在した状態のものであり、mとnの割合は脱アセチル度(DDA)あるいはN−アセチル化度で表される。mの割合が多くなるとキトサンの性質が強くなり、nの割合が多くなるとキチンの性質が強くなる。
すなわち、以下の化1において、m≧nで入手が容易で比較的に安価なキトサンと、ポリアミノ酸とのイオンコンプレックスを形成する。
このキトサンに酢酸水溶液を加えるとともにポリアミノ酸を加え、イオンコンプレックスを形成する。なお、イオンコンプレックスに用いるキトサンは、脱アセチル化度(DDA)が90%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましい。
そして、ポリアミノ酸としては、例えばポリ−γ−グルタミン酸(以下、γ−PGAと称す。)とその塩とのうちの少なくともいずれか一方が用いられる。なお、γ−PGAに限られるものではなく、他のポリアミノ酸とその塩とのうちの少なくともいずれか一方も利用することができる。ポリアミノ酸としては、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリリジン、ポリアルギニン等があげられるが、生理的pHでは負電荷を持つポリグルタミン酸とポリアスパラギン酸を用いることが好ましい。これらアミノ酸の異性体については特に限定されず、L体、D体、DL体のいずれを用いてもよいが、天然アミノ酸の立体配置であるL体を用いることが好ましい。
また、イオンコンプレックスの形成の際、酢酸水溶液を用いる場合に限らない。例えば、希塩酸、クエン酸水溶液等のカルボン酸水溶液、アスコルビン酸水溶液等を用いてもよい。
そして、イオンコンプレックスをN−アセチル化、すなわち、以下の化2に示すように、イオンコンプレックスに無水酢酸を添加してイオンコンプレックスのキトサン成分をN−アセチル化し、キチン化する。
ここで、キトサン成分のN−アセチル化に際して、無水酢酸を用いているので、効率よくN−アセチル化できる。なお、N−アセチル化は無水酢酸に限られるものではなく、塩化アセチル等を用いてもよい。
また、無水酢酸は、少量で複数回に分けて添加して繰り返してN−アセチル化することが好ましい。この繰り返しN−アセチル化する処理により、脱アセチル化度を低減できるためである。
ここで、N−アセチル化されたイオンコンプレックスの脱アセチル化度は、用いたキトサンの脱アセチル化度を1とした場合に0.05以上0.80以下、好ましくは0.1以上0.4以下に調整されることが好ましい。
ここで、用いたキトサンの脱アセチル化度を1とした場合のN−アセチル化されたイオンコンプレックスの脱アセチル化度が0.80より大きくなると、免疫活性が増大し、医療素材や化粧品材料に利用しにくくなるおそれがある。一方、脱アセチル化度は低いことが望ましいが0.05より小さくするためには反応処理が煩雑となり生産性の向上が望めなくなる。このため、N−アセチル化されたイオンコンプレックスの脱アセチル化度は、用いたキトサンの脱アセチル化度を1とした場合に0.05以上0.80以下、好ましくは0.1以上0.4以下に設定される。
このイオンコンプレックスのN−アセチル化処理後、アルカリ溶液を添加する。すなわち、以下の化3で示すように、イオンコンプレックスのN−アセチル化処理時に副反応として生成するO−アセチル基を、アルカリ溶液により脱O−アセチル化し、N−アセチル化キトサン(=キチン)とγ−PGAとのイオンコンプレックス、すなわちキチン−ポリアミノ酸複合組成物が得られる。
ここで、アルカリ溶液としては、例えば、強塩基性のため加水分解を速やかに進行させることができる水酸化カリウムが好適に利用される。なお、アルカリ溶液としては、水酸化カリウムに限らず、例えば、物性、化学特性は水酸化カリウムとほぼ同じで、水酸化カリウムより安価な水酸化ナトリウムなども利用することができる。
この後、さらに酸性溶液を添加してpHを調整することが好ましい。
すなわち、酸性溶液の添加により、水洗処理しても、複合比(γ−PGA/キチン)の低下が押さえられ、キチンに近い組成のN−アセチル化キトサン(=キチン)とγ−PGAとのイオンコンプレックスが得られるためである。なお、N−アセチル化したイオンコンプレックスの複合比(γ−PGA/キチン)は、水洗処理後であっても0.1以上とすることが好ましい。
ここで、酸性溶液としては、少量の添加で中和を完了させるため、強酸である塩酸水溶液が好適に利用されるが、塩酸水溶液に限らず、例えばクエン酸、アスコルビン酸等の弱酸を利用することもできる。
このように、上記方法によりキチン−ポリアミノ酸複合組成物を形成することで、N−アセチル化と、このN−アセチル化の反応で生成したO−アセチル基の脱O−アセチル化との条件を調整することで、脱アセチル化度が小さなN−アセチル化キトサン(=キチン)とγ−PGAとのイオンコンプレックスの形成ができる。
したがって、免疫活性化が低く、例えば医療素材や化粧品材料などとして好適に利用できる。
次に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
なお、本発明は実施例などの内容に何ら限定されるものではない。
[比較例1〜4]
<キトサン/γ−PGA複合体の調製>
コーヨーキトサンDAC−50(商品名)(甲陽ケミカル製、脱アセチル化度45%)1gに、1.0%酢酸水溶液を100ml加え、メカニカルスターラーを用いて完全に溶けるまで攪拌した。
このDAC−50/酢酸水溶液をメカニカルスターラーで攪拌(600rpm)しながら、1.0%γ−PGA水溶液(VIDAN製)100mlを、滴下漏斗を用いてゆっくり滴下した。
このγ−PGA水溶液の滴下終了後に30分間攪拌を継続した後、白濁が沈殿するまで静置した。静置後に上澄みを除いてメタノール20mlを加えて攪拌し、再び白濁が沈殿するまで静置した。同じ操作を3回繰り返し、溶液中の水分を除去した。
この溶液中の水分を除去した後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いて吸引濾過し、沈殿物を回収した。
得られた沈殿物を40℃で一晩、真空乾燥し、比較例1の試料とした。
また、DAC−50に、メタノール20mlを加えた後、無水酢酸(キトサンのNH2基に対して3当量)を加え、一晩攪拌することでアセチル化を行った。この後、上澄みを除き沈殿をメタノールで洗浄し、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いて吸引濾過することで沈殿物を回収した。
アセチル化された沈殿物に0.5M水酸化カリウムのメタノール溶液(水酸化カリウム1.4gをメタノール50mlに溶解)を加え、一晩攪拌することで脱O−アセチル化を行った。その後、上澄みを除いて沈殿をメタノールで洗浄し、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いて吸引濾過することで沈殿物を回収した。
沈殿物を40℃で一晩、真空乾燥し、比較例2の試料(DDA=11)とした。
さらに、後述する実施例1〜7の試料の調整と同様に、DDA(%)やMwが異なる原料キトサンを用いて、比較例3,4の試料を作製した。
[実施例1〜7]
<N−アセチル化キトサン(キチン)/γ−PGA複合組成物の調製>
比較例1の試料の調製の際に得られた沈殿物に、メタノール20mlを加えた後、無水酢酸(キトサンのNH2 基に対して3〜9当量:実施例1〜7)を加え、一晩攪拌することでアセチル化を行った。この後、上澄みを除き沈殿をメタノールで洗浄し、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いて吸引濾過することで沈殿物を回収した。繰り返しアセチル化を行う場合、回収した沈殿物にメタノール20ml、無水酢酸(3〜6当量:実施例4,6,7)を加え、同様の操作で洗浄、回収した。
アセチル化された沈殿物に0.5M水酸化カリウムのメタノール溶液(水酸化カリウム2.8gをメタノール100mlに溶解)を加え、一晩攪拌することで脱O−アセチル化を行った。その後、上澄みを除いて沈殿をメタノールで洗浄し、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いて吸引濾過することで沈殿物を回収した。
沈殿物を40℃で一晩、真空乾燥し、実施例1〜7の試料とした。
[実施例8,9]
<N−アセチル化キトサン(キチン)/γ−ポリグルタミン酸複合組成物複合比の調製>
上記実施例1〜7の試料の調製の際に得られたサンプル1gに純水100mlを加えた分散液を、1M HClでpHを4に調整し、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いて吸引濾過することで沈殿物を回収し、40℃で一晩、真空乾燥し、実施例8,9の試料とした。
[実施例10〜13]
実施例1〜7の試料の調整と同様に、DDA(%)やMwが異なる原料キトサンを用いて、実施例10〜13の試料を作製した。
[実験]
実施例1〜13および比較例1〜4について、収率、脱アセチル化度、複合比(ポリ−γ−グルタミン酸塩/キチン)を求めた。また、酸溶解性について比較評価した。
<収率>
収率[%]は、以下の関係式1に基づいて算出した。その結果を以下の表1に示す。
(関係式1)
(キチン−ポリアミノ酸複合組成物の質量)/{(DAC-50の質量)+(γ-PGAの質量)}×100
<脱アセチル化度>
脱アセチル化度(DDA)[%]は、以下の関係式2に基づいて算出した。その結果を表1に示す。
(関係式2)
((G×6)/(K))×100
但し、関係式2において、G、Kは以下の値を示す。
G:グルコサミン(キトサン)残基の2位の水素(3.2ppm)の積分値
K:キトサンの2〜6位の水素(3.5〜4ppm+3.2ppm)の積分値
<N−アセチル化キトサン(キチン)/γ−ポリグルタミン酸複合組成物の複合比>
実施例1〜7の試料1gに純水100mlを加えて水洗し、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いて吸引濾過することで沈殿物を回収し、40℃で一晩、真空乾燥した。なお、水洗時の各試料のpHは8〜10であった。
実施例8,9の試料1gに純水100mlを加え攪拌し、そこにpHが4になるまで1%塩酸水溶液を滴下した。30分攪拌後に上澄みを除き、メタノールを加えて攪拌し、上澄みを除く操作を3回繰り返すことで沈殿を洗浄し、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いて吸引濾過することで沈殿物を回収し、40℃で一晩、真空乾燥した。
そして、公知のH−NMRを用いて水洗前後における複合比を求め、変化の状況を確認した。なお、混合比は、以下の関係式3に基づいて算出した。その結果を表1に示す。
(関係式3)
(D+N):P
但し、関係式3において、D、N、(D+N)、Pは以下の値を示す。
D:DAC−50中のグルコサミン(キトサン)残基数
N:N−アセチルグルコサミン(キチン)残基数
(D+N):{(2〜6位の水素(3.5〜4ppm)の積分値)/6}
P:γ-PGA中のグルタミン酸残基数(γ-PGAのα水素(4.5ppm)の積分値)
<N−アセチル化キトサン(キチン)/γ−ポリグルタミン酸複合組成物の酸溶解実験>
各実施例1〜13および比較例1〜4を、それぞれ20%塩酸水溶液に、徐々に撹拌しながら添加して、溶解状況を目視観察で確認した。
[実験結果]
上記表1の実験結果から、実施例1〜7の試料における水洗前後の複合比と、塩酸でpH調整した実施例8,9の試料における水洗前後の複合比とを比較すると、塩酸処理により、複合比の低下を抑えられることが分かる。
また、実施例10〜13の試料におけるキチン/γ−PGA複合組成物のDDA比を比較すると、原料であるキトサンのMw量ではなくDDA(%)の値がキチン/γ−PGA複合組成物のDDA比の低下に影響を及ぼす傾向があることが分かる。
さらに、実施例5,6と実施例7,8の結果から、無水酢酸を複数回に分けて添加した方が、作製された複合体のDDA(%)が小さくなっていることが分かる。
また、キトサン原料であるDAC−50を単にアセチル化して得られたキチン(DDA=11)(比較例2)や、キトサン原料のDDA(%)が大きすぎる比較例3,4では、20%塩酸水溶液に不溶であったが、実施例1〜13のN−アセチル化により調製したものは、可溶であった。比較例1のDAC−50とγ−PGAを用いて単にイオンコンプレックスを形成させた複合体(DDA=45)は20%塩酸水溶液に僅かに溶解したが、その溶解性は実施例1〜13のN−アセチル化により調製したものの1/2以下であった。
なお、実施例1〜13は、20%塩酸水溶液に単位容積当たり6質量%の割合まで溶解することが確認できた。なお、これより濃度が高くなると、粘性が高くなり溶解作業が困難となった。
本発明では、例えばパウダー、フィルム、シート、ファイバー、スポンジ、ジェル素材、注射液、表面処理剤、繊維製品などの各種形態で医療素材や化粧品材料などに利用できる。

Claims (7)

  1. キトサンと、ポリアミノ酸とのイオンコンプレックスのN−アセチル化により得られたキチン−ポリアミノ酸複合組成物であって、
    該キチン−ポリアミノ酸複合組成物の脱アセチル化度(DDA比)は前記キトサンの脱アセチル化度を1とした場合に0.05以上0.80以下であり、
    該キチン−ポリアミノ酸複合組成物は脱アセチル化度(DDA[%])が6%以上34%以下であり、
    該ポリアミノ酸は、ポリ−γ−グルタミン酸とその塩とのうちの少なくともいずれか一方であり、
    該キチン−ポリアミノ酸複合組成物は、複合比(ポリアミノ酸/キチン)が0.1以上であり、
    該キチン−ポリアミノ酸複合組成物は、20%HCl溶解限界が4%以上であることを特徴とするキチン−ポリアミノ酸複合組成物。
  2. 請求項1に記載のキチン−ポリアミノ酸複合組成物を原料として生成されたことを特徴とするキチン−ポリアミノ酸複合材料。
  3. キトサンと、ポリアミノ酸とのイオンコンプレックスを形成し、
    この得られたイオンコンプレックスのキトサン成分をN−アセチル化することによりキチン化してキチン−ポリアミノ酸複合組成物を得るキチン−ポリアミノ酸複合組成物の製造方法であって、
    前記キトサンの脱アセチル化度(DDA[%])は6%以上34%以下であり、
    前記キトサン成分のN−アセチル化して得られたキチン−ポリアミノ酸複合組成物の脱アセチル化度(DDA比)は前記キトサンの脱アセチル化度を1とした場合に0.05以上0.80以下であり、
    該ポリアミノ酸は、ポリ−γ−グルタミン酸とその塩とのうちの少なくともいずれか一方であることを特徴とするキチン−ポリアミノ酸複合組成物の製造方法。
  4. 請求項3に記載のキチン−ポリアミノ酸複合組成物の製造方法であって、
    前記キトサン成分のN−アセチル化を無水酢酸の添加により行うことを特徴とするキチン−ポリアミノ酸複合組成物の製造方法。
  5. 請求項4に記載のキチン−ポリアミノ酸複合組成物の製造方法であって、
    前記無水酢酸の添加は、少量を複数回に分けて実施することを特徴とするキチン−ポリアミノ酸複合組成物の製造方法。
  6. 請求項3乃至請求項5の何れか1項に記載のキチン−ポリアミノ酸複合組成物の製造方法であって、
    前記キトサン成分をN−アセチル化する工程において副反応として生成したO−アセチル基をアルカリ溶液中で処理することにより脱O−アセチル化することを含むことを特徴とするキチン−ポリアミノ酸複合組成物の製造方法。
  7. 請求項6に記載のキチン−ポリアミノ酸複合組成物の製造方法であって、前記アルカリ溶液中での処理後に、酸性溶液を添加することを特徴とするキチン−ポリアミノ酸複合組成物の製造方法。
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