JP4868206B2 - ステアリングギヤのマウント構造 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1では、シリンダチューブに設けられたマウントブラケットは、シリンダチューブの端部の全周を取り囲む環状をなしている。その環状のマウントブラケットは、シリンダチューブの内周にねじ結合された環状のシリンダエンドとシリンダチューブの端面との間に挟持され固定されている。
さらに、マウントブラケットを溶接してシリンダチューブに固定する場合、溶接によってシリンダチューブに歪が発生し、シリンダチューブの内部に備えられたピストンや密閉部材に悪影響を及ぼす場合がある。シリンダチューブの局所的な溶接歪を低減するために、マウントブラケットをシリンダチューブの全周に溶接する場合には、マウントブラケットが大型になり、重量も重くなる。
また、マウントブラケットは板金部材を備えているため、マウントブラケットを適度に曲げ変形させることができる。これにより、車体にステアリングギヤを取り付ける場合の、双方の組み付け誤差を、マウントブラケットを変形させることにより吸収することができる。
また、走行時の外部入力によって生じる、車体の取付部材の歪を吸収することができる。その結果、インシュレータ等の弾性部材を用いる必要がない。さらに、マウントブラケットは板金部材を用いた構造体であるため、マウントブラケットを安価に形成できる。
なお、上記において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
図1は、本発明の一実施形態に係るマウント構造が適用されたステアリングギヤの一部破断模式的正面図である。
図1を参照して、ステアリングギヤ100は、ギヤハウジング1と、ギヤハウジング1に連結され、車両の幅方向に延びるシリンダチューブ2とを備える。
シリンダチューブ2の一部には、操舵補助力を発生するためのパワーシリンダ6が設けられている。パワーシリンダ6は、ラック軸3の一部に形成されたロッド7と、シリンダチューブ2内をロッド7と一体移動可能に設けられたピストン8とを有している。パワーシリンダ6の両端において、シリンダチューブ2とロッド7との間が一対の封止部材9a、9b間によってそれぞれ封止されている。各封止部材9a、9bは、ロッド7を摺動自在に挿通させた環状のロッドシールを備えている。シリンダチューブ2内において一対の封止部材9a、9b間に、ピストン8により互いに仕切られた一対の油室10が区画されている。
図2は、図1のステアリングギヤの要部の拡大図であり、マウントブラケット12とその周辺の構造を概略的に示している。図3は、図2のIII−III線に沿う断面図である。また、図4は、図1のステアリングギヤの要部の一部破断拡大図であり、マウントブラケット12とその周辺の構造を示している。
図2および図3に示すように、挿通孔形成部材14は、筒状をなし、取付ボルト30を挿通するための挿通孔13を形成している。挿通孔形成部材14は、板金部材15に設けられた取付孔16に挿通されて、板金部材15に組み付けられている。図3に示すように、挿通孔形成部材14は、一対の端部14a、14bおよび中間部14cを有し、これら端部14aおよび中間部14cが板金部材15に溶接されることにより、板金部材15に固着されている。図2に示すように、挿通孔13は、シリンダチューブ2の軸方向X1と平行な方向に長い長孔に形成されている。これにより、車体にステアリングギヤ100を取り付ける場合の、シリンダチューブ2の軸方向X1に関しての組み付け誤差を調節することができる。
各平板18において、挿通孔形成部材14を挿通させて取り付けるための取付孔16の中心C1は、平板18の長手方向に関して、第1の縁部20の第1の部分20aに対応する位置に配置されている。これにより、取付孔16の中心は固着板17から平板18の長手方向に所定距離離隔している。したがって、各平板18に固着された挿通孔形成部材14と、固着板17とシリンダチューブ2との溶接部分29との間に所定の距離を確保することができる。
また、板金部材15は、図2に示すように、各固着板17からそれぞれ対応する平板18へ至り、湾曲部24と略平行に形成されたリブ25を有している。リブ25は固着板17から平板18にかけて先細りとなっている。
また、板金部材15は、板金を用いて形成されているため、マウントブラケット12を安価に形成できる。さらに、一対の固着板17、一対の平板18および接続板19を単一の部材(板金)で一体に形成することによって、マウントブラケット12をより安価に形成できる。
また、マウントブラケット12を、マウントブラケット12側のピストン8のストロークの終端位置P1と、この終端位置P1に近接する封止部材9bとの間に対応する領域26内に溶接するため、マウント構造の小型化、軽量化を図ることができ、且つパワーシリンダ6に悪影響を与えることを抑制できる。
また、マウントブラケット12は板金部材15を用いた構造体であるため、マウントブラケット12を安価に形成できる。
また、板金部材15に形成されたリブ25は、固着板17から平板18にかけて先細りになっていなくてもよく、例えば、一定の幅であってもよい。また、リブ25は、一箇所だけでなく、板金部材15の複数箇所に設けられていてもよい。リブ25の形状および数を変更することにより、マウントブラケット12の変形量を調節することができる。
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
3・・・ラック軸、6・・・パワーシリンダ、7・・・ロッド、8・・・ピストン
9a,9b・・・封止部材、12・・・マウントブラケット、13・・・挿通孔
14・・・挿通孔形成部材、15・・・板金部材、17・・・固着板、18・・・平板
25・・・リブ、26・・・領域、29・・・溶接部分、30・・・取付ボルト
100・・・ステアリングギヤ、P1・・・終端位置、X1・・・軸方向
Y1・・・挿通方向(取付ボルトの挿通方向)、Z1・・・周方向
Claims (4)
- ギヤハウジングと、
ピニオン軸に噛み合うラック軸を摺動可能に支持し上記ギヤハウジングに結合されたシリンダチューブと、
このシリンダチューブの一部に設けられたパワーシリンダと、
シリンダチューブに溶接により固着され且つ車体側部材に取り付けられるマウントブラケットとを備え、
上記パワーシリンダは、ラック軸の一部に形成されたロッドと、このロッドと軸方向に一体移動可能に設けられたピストンと、このピストンを軸方向に挟んだ両側でロッドとシリンダチューブとの間を封止する一対の封止部材とを含み、
上記マウントブラケットは、一方の封止部材に対してシリンダチューブの軸方向に離れており、上記一方の封止部材に近接した位置であるピストンのストロークの終端位置と、この終端位置に近接する上記一方の封止部材との間に対応するシリンダチューブの外周面の領域内に溶接されており、
上記マウントブラケットは、取付ボルト挿通用の挿通孔を形成するための挿通孔形成部材と、板金部材とを含み、
この板金部材は、シリンダチューブの外周面に溶接により固着された一対の固着板と、各固着板から折り曲げ状に延設され且つ上記挿通孔形成部材を溶接によりそれぞれ固着した一対の平板とを有し、
上記一対の平板は取付ボルトの挿通方向に間隔を隔てて互いに対向していることを特徴とするステアリングギヤのマウント構造。 - 請求項1において、上記マウントブラケットはシリンダチューブの外周面の周方向の一部に溶接されていることを特徴とするステアリングギヤのマウント構造。
- 請求項1または2において、上記挿通孔形成部材は、固着板とシリンダチューブとの溶接部分からシリンダチューブの軸方向に距離を隔てて配置されていることを特徴とするステアリングギヤのマウント構造。
- 請求項3において、上記板金部材は、各固着板からそれぞれ対応する平板へ至るリブを有することを特徴とするステアリングギヤのマウント構造。
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