JP4867630B2 - 金属粉末製造装置および金属粉末 - Google Patents

金属粉末製造装置および金属粉末 Download PDF

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Description

本発明は、金属粉末製造装置および金属粉末に関するものである。
従来、金属粉末を製造するには、溶融金属をアトマイズ法により粉末化する金属粉末製造装置(アトマイザ)が用いられている。この金属粉末製造装置としては、例えば、特許文献1に記載された「溶融金属の噴霧微粉化装置」が知られている。
この溶融金属の噴霧微粉化装置は、溶湯(溶融金属)を下方に向けて吐出する吐出口と、吐出口から吐出された溶湯が通過する流路と該流路に開口するスリットとを有するノズルとを備えている。このノズルのスリットからは、水が噴射される。
特許文献1の装置は、スリットから噴射された水に、流路を通過する溶湯を衝突させることにより、当該溶湯を飛散させて微細な多数の液滴にするとともに、該多数の液滴を冷却固化させ、これにより、金属粉末を製造するよう構成されている。
吐出口から吐出された溶湯は、自然落下することにより、流路を通過して水に接触する。ところが、溶湯が通過する経路は、水の流速やノズルの形状等の多数の因子によって変化するため、溶湯が水と接触する位置が変化することとなる。このため、溶湯の飛散や冷却固化の状態が変化して、得られる金属粉末の粒径や粒度分布にバラツキが生じるという問題がある。
さらに、減圧された流路には、周囲から空気が流入するため、流路付近に空気の流れが形成されている。しかしながら、溶湯がこの空気に接触すると、溶湯の温度低下による凝固や酸化による変質・劣化等を生じて、金属粉末の品質が低下するおそれがある。特に、溶融金属中にTiやAl等の活性の高い金属を含んでいる場合、かかる問題は顕著である。
特公平3−55522号公報
本発明の目的は、微細で粒径が揃った金属粉末を、効率よく製造可能な金属粉末製造装置、およびかかる金属粉末製造装置により製造された高品質な金属粉末を提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の金属粉末製造装置は、溶融金属を供給する供給部と、
前記供給部の下方に設置され、該供給部から供給された溶融金属が通過可能な流路と、該流路の下端部に開口し、前記流路に流体を噴射するオリフィスとが形成されたノズルとを有し、
前記オリフィスから噴射された流体に、前記流路を通過する溶融金属を接触させることにより、該溶融金属を飛散させて微細な多数の液滴にするとともに、該多数の液滴を冷却固化させ、これにより、金属粉末を製造する金属粉末製造装置であって、
前記供給部の下方に、下端が前記流路の途中に位置するように筒状部材を設け、前記供給部から供給された溶融金属を、前記筒状部材の内腔部を通過させて、前記流体に接触させるよう構成されており、
前記筒状部材は、その軸に沿って直線状に貫通する内腔部と、前記内腔部の下端の外縁に沿って該下端を囲うように配置され、前記筒状部材の下端面から下方に突出するように設けられた凸部と、を有し、前記凸部により、前記内腔部を通過した前記溶融金属を分割するよう構成されていることを特徴とする。
これにより、微細で粒径が揃った金属粉末を、効率よく製造可能な金属粉末製造装置が得られる。
本発明の金属粉末製造装置では、前記ノズルは、前記流路の途中に設けられた、下方に向かって内径が連続的に減少している部分を有し、
前記筒状部材は、その下端が、前記流路のうち、最も内径が小さい部位の近傍に位置するよう配設されていることが好ましい。
これにより、前記流路の内周面は、滑らかなものとなる。そして、前記流路に引き込まれた空気は、この内周面に沿って滞りなく加速されることとなり、前記流路の圧力がより低くなる。これにより、前記溶融金属をより細かく飛散させることができ、より微細な液滴を得ることができる。
また、前記筒状部材の下端近傍において、前記流路に引き込まれた空気の流速が最も速くなるため、この付近の圧力がさらに低くなる。したがって、前記溶融金属を特に細かく飛散させることができ、特に微細な液滴を得ることができる。
本発明の金属粉末製造装置では、前記筒状部材は、その上端が、前記供給部に気密的に接続されていることが好ましい。
これにより、筒状部材の上方からの空気の流入をより確実に防止することができる。さらに、筒状部材の下方を流れる空気の流れにより、筒状部材の下端部が減圧されることとなる。その結果、溶融金属は、筒状部材の開口部から吸い出されるように吐出されるため、開口部周辺に凝固物が付着するのを防止することができる。
本発明の金属粉末製造装置では、前記筒状部材の内腔部の横断面積は、1〜400mmであることが好ましい。
このような寸法範囲の筒状部材を用いることにより、本発明の金属粉末製造装置は、特に微細で粒径の揃った金属粉末を効率よく製造し得るものとなる。
本発明の金属粉末製造装置では、前記筒状部材は、ほぼ円筒状をなしていることが好ましい。
これにより、例えば、液滴が筒状部材の下端面を伝って落下する場合、液滴は、ほぼ円錐状の流体ジェットに対してムラなく接触するよう水平方向に分布することができる。その結果、液滴に対する流体ジェットの飛散および冷却が、全体的に均一になされ、粒径の揃った金属粉末が得られる。また、第1の流路に流入する空気の流れを、筒状部材により不本意に乱し、その結果、溶融金属の落下する経路が変化するのを防止することもできる。
発明の金属粉末製造装置では、前記凸部は、複数設けられていることが好ましい。
これにより、例えば、筒状部材の軸が鉛直方向に対して若干傾いている場合でも、液滴が筒状部材の下端面の一部に集中してしまうことがない。その結果、第1の流路の全体にわたって均一に液滴を落下させることができる。
本発明の金属粉末製造装置では、前記複数の凸部は、前記筒状部材の下端面の周方向に沿って、かつ、前記内腔部の下端の外縁に沿って、ほぼ均等に設けられていることが好ましい。
これにより、筒状部材の周方向に沿ってほぼ均等に液滴を形成し易くなる。
本発明の金属粉末製造装置では、前記凸部は、前記内腔部の下端の外縁に沿った環状をなしていることが好ましい。
これにより、凸部は、溶融金属をより均一に分割し得る分割手段となる。
本発明の金属粉末製造装置では、前記凸部は、その下端が尖っていることが好ましい。
これにより、液滴と筒状部材との接触面積を縮小することができるため、液滴が筒状部材から速やかに離散することができる。その結果、液滴が筒状部材の表面に滞留する時間、すなわち液滴が空気と接触する時間をより短縮することができる
本発明の金属粉末製造装置では、前記筒状部材は、セラミックス材料で構成されていることが好ましい。
セラミックス材料は、耐熱性が特に高く、酸化等の化学変化を起こし難いことから好適である。また、セラミックス材料は、断熱性に比較的優れている(熱伝導性が比較的低い)ことから、溶融金属の温度低下を抑制する利点も有する。
本発明の金属粉末製造装置では、前記流体は、液状流体であることが好ましい。
液状流体は、ガス状流体に比べて比重や熱容量が大きいため、溶融金属に接触(二次分裂)した際に、溶融金属をより微細化するとともに、短時間で効率よく冷却することができる。また、液状流体は、より多くの空気を引き込むため、第1の流路の圧力(気圧)をより低下させることができ、一次分裂による微細化をさらに促進することができる。
本発明の金属粉末製造装置では、前記溶融金属は、TiおよびAlの少なくとも一方を含んでいることが好ましい。
これらの元素は活性が高く、これらの元素を含む溶融金属は、短時間の空気との接触により、容易に酸化して酸化膜を形成してしまい、微細化することが困難とされている。本発明の金属粉末製造装置は、このような溶融金属をも容易に粉末化することができる。
本発明の金属粉末製造装置では、前記ノズルは、前記オリフィスを画成する、第1の部材と、該第1の部材の下方に間隙を介して設定された第2の部材とを備え、
前記第1の部材には、第1の凹部と、第1の易変形部とが形成されており、
前記第2の部材には、第2の凹部と、第2の易変形部とが形成されており、
前記ノズルは、少なくとも前記オリフィスを通過する流体の圧力により、前記第1の部材および前記第2の部材を変形させ、前記オリフィスを通過する流体の圧力によらず前記オリフィスの径が規制されるよう構成されていることが好ましい。
これにより、前記オリフィスを通過する流体の圧力によらず、前記オリフィスから噴射される流体の流速を一定に維持し、流体によって前記液滴を冷却する能力を一定に維持することができる。
本発明の金属粉末は、本発明の金属粉末製造装置により製造されたことを特徴とする。
これにより、高品質な金属粉末が得られる。
本発明の金属粉末では、当該金属粉末の平均粒径は、1〜20μmであることが好ましい。
かかる微細な金属粉末の製造に、本発明の金属粉末製造装置を好適に用いることができる。
以下、本発明の金属粉末製造装置および金属粉末ついて、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の金属粉末製造装置の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の金属粉末製造装置の第1実施形態を示す模式図(縦断面図)、図2は、図1中の一点鎖線で囲まれた領域[A]の拡大詳細図(模式図)、図3は、図1中の二点鎖線で囲まれた領域[B]の拡大詳細図(模式図)である。なお、以下の説明では、図1ないし図3中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1に示す金属粉末製造装置(アトマイザ)1は、溶融金属Qをアトマイズ法により粉末化して、多数の金属粉末Rを得るために用いられるものである。この金属粉末製造装置1は、溶融金属Qを供給する供給部(タンディシュ)2と、供給部2の下方に設けられたノズル3と、供給部2とノズル3との間に設けられた筒状部材10を有している。
以下、各部の構成について説明する。
図1に示すように、供給部2は、有底筒状をなす部分を有している。この供給部2の内部空間(内腔部)22には、製造すべき金属粉末の原材料を溶融した溶融金属Qが一時的に収納される。
また、供給部2の底部21の中央部には、吐出口23が設けられている。この吐出口23からは、内部空間22内の溶融金属Qが下方に向かって自然落下により吐出される。
供給部2の下方には、ノズル3が設けられている。
このノズル3には、供給部2から供給された(吐出された)溶融金属Qが通過する第1の流路(流路)31と、流体(本実施形態では、水)を供給する給水源(図示せず)からの水Sが通過する第2の流路32とが形成されている。
第1の流路31は、横断面形状が円形をなしており、ノズル3の中央部に、鉛直方向に沿って形成されている。
この第1の流路31は、ノズル3の内径が、上端面41から下方に向かって漸減する、すなわち、収斂形状をなす内径漸減部33を有している。これにより、後述するオリフィス34から噴射した水Sの流れにより、ノズル3の上方の空気(気体)Gが、内径漸減部33に引き込まれる。そして、引き込まれた空気Gは、内径漸減部33の内径が最小となる部分331(オリフィス34が開口する部分)付近で、その流速が最大となる。このような空気Gの流れが生じることにより、第1の流路31の圧力(気圧)は、上方からこの部分331に向かって徐々に低下する。
溶融金属Qは、このような減圧状態の第1の流路31を通過する際に、その周囲の圧力が低下し、密集しようとする力よりも周囲の減圧の程度が高くなると、飛散(一次分裂)する。これにより、溶融金属Qは、多数の液滴Q1となる。
なお、第1の流路31において、このように周囲の圧力が低下することにより、溶融金属に一次分裂が生じる位置を、「一次分裂位置」と言う。
また、ここでは、内径漸減部33の内径が最小となる部分331付近を、最も減圧される領域として説明したが、この領域の位置は、内径漸減部33やオリフィス34等の形状、角度等に応じて変化するため、本実施形態の位置に限定されない。
また、本実施形態では、内径漸減部33の内径が下方に向かって連続的に減少している。これにより、内径漸減部33の内周面は、滑らかなものとなる。そして、内径漸減部33に引き込まれた空気Gは、この内周面に沿って滞りなく加速されることとなり、第1の流路31内の圧力がより低くなる。特に、第1の流路31のうち、内径漸減部33の内径が最小となる部分331付近では、空気Gの流速が最も速くなるため、この付近の圧力がさらに低くなる。これにより、溶融金属Qをより細かく飛散させることができ、より微細な液滴Q1を得ることができる。
図2に示すように、第2の流路32は、第1の流路31の下端部(部分331近傍)に開口するオリフィス34と、水Sを一時的に貯留する貯留部35と、貯留部35からオリフィス34に水Sを導入する導入路36とにより構成されている。
貯留部35は、前記給水源に接続され、当該給水源から水Sが供給される部位である。
この貯留部35は、導入路36を介して、オリフィス34と連通している。
導入路36は、その縦断面形状がくさび状をなす部位である。これにより、貯留部35から流入した水Sの流速を徐々に高めることができ、また、この流速が高まった状態の水Sをオリフィス34から安定して噴射することができる。
オリフィス34は、貯留部35、導入路36を順に通過した水Sを、第1の流路31に噴射(噴出)する部位である。
このオリフィス34は、第1の流路31の内周面の全周にわたってスリット状に開口している。また、オリフィス34は、第1の流路31の中心軸Oに対して傾斜する方向に開口している。
このように形成されたオリフィス34により、水Sは、頂部S2が下方に位置し、ほぼ円錐形状をなすような液体ジェットS1として噴射される(図1参照)。この液体ジェットS1に液滴Q1が接触して飛散(二次分裂)され、さらに微細化される。
また、この際、液滴Q1は、冷却固化される。これにより、金属粉末Rが製造される。
このようにして製造された金属粉末Rは、金属粉末製造装置1の下部に設けられた容器(図示せず)に回収される。
このような第1の流路31および第2の流路32が形成されたノズル3は、図1および図2に示すように、円盤状(リング状)の第1の部材4と、第1の部材4と同心的に設けられた円盤状(リング状)の第2の部材5とで構成されている。第2の部材5は、第1の部材4の下方に間隙37を介して設けられている。
このように配置された第1の部材4と第2の部材5とにより、オリフィス34、導入路36および貯留部35がそれぞれ画成される。すなわち、第1の部材4と第2の部材5との間に形成された間隙37により、第2の流路32が構成される。
第1の部材4および第2の部材5の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、各種金属材料を用いることができ、特に、ステンレス鋼を用いるのが好ましい。
図1に示すように、第2の部材5の下端面51には、筒体で構成されたカバー7が固定されている。このカバー7は、第1の流路31と同心的に設けられている。
このカバー7により、下方に落下する金属粉末Rの飛散を防止することができ、よって、金属粉末Rを前記容器に確実に収納することができる。
また、カバー7は、第2の部材5の下端面51に気密的に接続されているのが好ましい。これにより、カバー7内に外気が流入するのを防止することができる。その結果、液滴Q1が二次分裂する際に、液滴Q1に外気が接触して、液滴Q1が酸化・変質してしまうのを確実に防止することができる。
さらに、液体ジェットS1の作用により、カバー7内が減圧状態になる。これにより、カバー7内と連通する第1の流路31内の圧力もさらに低下することとなる。その結果、一次分裂において、溶融金属Qがより細かく分裂し、さらに微細な液滴Q1、ひいては、さらに微細な金属粉末Rを得ることができる。
かかる観点から、カバー7の内径は、オリフィス34のリング径(円環状のオリフィス34の径)の1〜4倍程度であるのが好ましく、1.5〜3倍程度であるのがより好ましい。これにより、液滴Q1を十分に冷却しつつ、カバー7内の圧力も十分に低下させることができる。
なお、カバー7の内径が前記下限値を下回ると、二次分裂において、液滴Q1を分裂してなる液滴を、十分に冷却することができないおそれがある。このため、得られた金属粉末Rの形状が異形状になるおそれがある。
一方、カバー7の内径が前記上限値を上回ると、カバー7内の圧力を十分に低下させることができない場合がある。このため、カバー7内と連通する第1の流路31内をさらに減圧することができないおそれがある。
ここで、従来の金属粉末製造装置(アトマイザ)では、供給部の吐出口から吐出された溶融金属が、空気中を自然落下しつつ流路を通過して、流体ジェットに接触するよう構成されていた。
前述したように、この流体ジェットの作用により、流路には、空気の流れが形成されている。このため、自由落下する溶融金属は、この空気の流れによって、落下する経路が乱れる。これにより、溶融金属が、一次分裂位置を通過する際に、通過位置が一定とならない。その結果、減圧による飛散(一次分裂)の程度(液滴の大きさ等)にバラツキが生じ、最終的に得られる金属粉末の粒度分布の分散が大きくなるという問題があった。
また、自由落下している溶融金属には、流路に流入した空気が接触するため、溶融金属の温度低下による凝固や酸化による変質・劣化等の促進を招き、凝固物の一部が吐出口に付着するという問題もあった。このため、特に、TiやAl等の活性の高い金属を含んでいる場合には、ある程度大きなサイズの吐出口23を設ける必要があった。この場合、得られる金属粉末の粒径も、吐出口23のサイズに応じて大きなものとなり、微細で高品質な金属粉末を得ることは困難であった。
そこで、本発明では、供給部2とノズル3の第1の流路31との間に、筒状部材10を設けることとした。この筒状部材10は、吐出口23から吐出された溶融金属Qを、その内部(内腔部)を通過させ、第1の流路31内に導くものである。このような筒状部材10は、空気Gの流れを遮蔽するため、溶融金属Qを目的とする適正な位置に導くことができ、一次分裂位置における一次分裂を確実に生じさせることができる。これにより、減圧による飛散が確実になされ、微細で粒径の揃った金属粉末Rが得られる。
また、このように空気Gの流れを遮蔽するため、溶融金属Qの温度低下による凝固や酸化による変質・劣化等を抑制することもできる。したがって、金属粉末製造装置1によれば、活性の高い金属を含む金属粉末Rも容易に製造し得る。
さらに、このような効果により、吐出口23のサイズを小さくして溶融金属Qの吐出量を少なくした場合でも、溶融金属の温度低下による凝固や酸化による変質・劣化等を抑制し、溶融金属Qを確実に吐出することができる。また、溶融金属Qの吐出量を少なくすると、その吐出量に応じた微細な液滴Q1を形成することができるため、最終的に、より微細な金属粉末Rを得ることができる。
このような金属粉末製造装置1により製造された金属粉末Rは、その平均粒径が1〜20μm程度であるのが好ましく、1〜10μm程度であるのがより好ましい。かかる微細な金属粉末Rの製造に、本発明の金属粉末製造装置を好適に用いることができる。
本実施形態では、筒状部材10は、図3に示すように長尺であり、有底筒状をなしている。この筒状部材10は、供給部2と第1の流路31との間に設けられ、上端側に1つの開口部11を有し、下端側の底面には、複数の小径の開口部12を有している。この開口部12により、筒状部材10を通過した溶融金属Qは、複数に分割されることとなる。このため、一次分裂において、溶融金属Qをより微細な液滴Q1に分割することができる。すなわち、複数の開口部12が、溶融金属Qを筒状部材10の下端面の周方向に沿ってほぼ均一に分割する分割手段として機能する。
かかる観点から、複数の開口部12は、筒状部材10の底部(下端面)において、均一に分布するよう設けられているのが好ましい。これにより、溶融金属Qは、一次分裂する前に、より小さくかつ均一に分割されることになるため、一次分裂によって、より微細で粒度分布の狭い液滴Q1を得ることができる。
なお、開口部12の内径は、特に限定されないが、1〜10mm程度であるのが好ましく、1〜5mm程度であるのがより好ましい。開口部12の内径を前記範囲内とすることにより、溶融金属Qの固化物や、溶融金属Qの表面張力によって、開口部12が閉塞してしまうのが防止しつつ、微細な液滴Q1を形成することができる。
このような筒状部材10は、図1に示すように、吐出口23に同心的に、かつ第1の流路31の中心軸Oに一致するように設けられている。
また、筒状部材10の上端は、図3に示すように供給部2の底部21に接触している。これにより、溶融金属Qの落下に引き込まれるように、筒状部材10の上方から内部に流入する空気Gを遮断することができる。その結果、前述の溶融金属Qが空気Gと接触することによる影響(溶融金属Qの経路の乱れ、温度低下、酸化等)を抑制することができる。
一方、筒状部材10の下端は、第1の流路31の途中に位置するよう配設されている。これにより、溶融金属Qは、最も減圧される領域である部分331付近まで、筒状部材10の内部を経て供給されることとなる。その結果、溶融金属Qと空気との接触による影響を確実に防止または抑制することができる。
このとき、筒状部材10の下端は、一次分裂位置付近に位置しているのがより好ましい。これにより、溶融金属Qが筒状部材10の下端から吐出されるとともに、一次分裂を生じることとなる。その結果、特に微細な液滴Q1が得られる。
なお、この一次分裂位置は、ノズル3の内径漸減部33やオリフィス34等の形状、角度の他、溶融金属Qの組成や粘度等によって変化するため、それに応じて、筒状部材10の下端の位置を調整するのが好ましい。
また、この一次分裂位置は、一般に、第1の流路31のうちの最も減圧される領域か、またはその近傍に位置する場合が多い。したがって、本実施形態における一次分裂位置は、前記部分331の付近に位置している。これにより、本実施形態では、筒状部材10の下端が前記部分331付近に位置していることにより、筒状部材10から吐出された溶融金属Qは、吐出直後に一次分裂する。このため、溶融金属Qを、より高温で粘度の低い状態で一次分裂させることができるので、より微細な液滴Q1が得られ、最終的に、より微細な金属粉末Rを得ることができる。
さらに、溶融金属Qの組成が、非晶質(アモルファス)になり得る組成であれば、液滴Q1のサイズを小さくすることによって、液滴Q1の冷却速度が高くなる。その結果、液体状態における原子配列をより確実に維持することができ、よりアモルファス化度の高い非晶質の金属粉末Rを得ることができる。
また、筒状部材10は、その上端が、供給部2に気密的に接続されているのが好ましい。これにより、筒状部材10の上方からの空気Gの流入をより確実に防止することができる。さらに、筒状部材10の下方を流れる空気Gの流れにより、筒状部材10の下端部が減圧されることとなる。その結果、溶融金属Qは、筒状部材10の開口部12から吸い出されるように吐出されるため、開口部12周辺に凝固物が付着するのを防止することができる。
このような筒状部材10の寸法は、吐出口23のサイズ、すなわち落下する溶融金属流の外径に応じて適宜設定されるが、その内腔部の横断面積が1〜400mm程度であるのが好ましく、5〜80mm程度であるのがより好ましい。このような寸法範囲の筒状部材10を用いることにより、本発明の金属粉末製造装置は、特に微細で粒径の揃った金属粉末Rを効率よく製造し得るものとなる。
なお、本実施形態では、供給部2と筒状部材10とが接触しているが、これらは離間していてもよい。
また、筒状部材10は、円筒状をなしているのが好ましい。これにより、例えば、液滴Q1が筒状部材10の下端面を伝って落下する場合、液滴Q1は、ほぼ円錐状の流体ジェットS1に対してムラなく接触するよう水平方向に分布することができる。その結果、液滴Q1に対する流体ジェットS1の飛散および冷却が、全体的に均一になされ、粒径の揃った金属粉末Rが得られる。
さらに、第1の流路31に流入する空気Gの流れを、筒状部材10により不本意に乱し、その結果、溶融金属Qの落下する経路が変化するのを防止することもできる。
なお、筒状部材10の底面に設けられた複数の開口部12は、1つであってもよく、さらに、筒状部材10は、底面を有しない筒状形状であってもよい。
図4および図5は、筒状部材の他の構成例を模式的に示す部分断面図である。
図4に示す筒状部材10は、その下端面の周方向に沿って環状の凸部13を有している。このような凸部13は、筒状部材10の内腔部を通過した溶融金属Qを、筒状部材10の下端面の周方向に沿ってほぼ均一に分割する分割手段として簡便に用いることができるものである。この分割手段により、第1の流路31の全体にムラなく液滴Q1が落下することになるため、この液滴Q1は、円錐状の流体ジェットS1にほぼ均等に接触することができ、高い冷却効率で冷却固化される。その結果、均質な金属粉末Rをより確実に得ることができる。
また、前述したように凸部13が環状をなしていることにより、凸部13は、溶融金属Qをより均一に分割し得る分割手段となる。
このような筒状部材10を通過した溶融金属Qは、その下端の開口部12に到達すると、その表面張力により筒状部材10の内壁に移動し、この内壁を伝って凸部13の下端部に到達する。
さらに、図4に示す凸部13は、その下端が尖っている。これにより、液滴Q1と筒状部材10との接触面積を縮小することができるため、液滴Q1が筒状部材10から速やかに離散することができる。その結果、液滴Q1が筒状部材10の表面に滞留する時間、すなわち液滴が空気Gと接触する時間をより短縮することができる。
図5に示す筒状部材10は、その下端面の周方向に沿ってほぼ均等に設けられた複数の突起部14を有している。これにより、突起部14は、筒状部材10の内腔部を通過した溶融金属Qを、筒状部材10の下端面の周方向に沿ってほぼ均一に分割する分割手段として機能する。その結果、前述の凸部13と同様の効果を奏する。
また、突起部14が筒状部材10の下端面の周方向に沿って複数設けられていることにより、例えば、筒状部材10の軸が鉛直方向に対して若干傾いている場合でも、液滴Q1が筒状部材10の下端面の一部に集中してしまうことなく、周方向に沿ってほぼ均等に液滴Q1を形成し易くなる。その結果、第1の流路31の全体にわたって均一に液滴Q1を落下させることができる。
なお、分割手段としては、この他に、例えば、筒状部材10の内周面に、軸と平行に設けられた溝または凸条等が挙げられる。このような構成の分割補助手段によっても、前述と同様の効果が得られる。
筒状部材10の構成材料としては、溶融金属Qと接触しても変質・劣化しない耐熱性を有する材料であればよく、例えば、アルミナ、ジルコニアのような各種セラミックス材料、タングステンのような各種耐熱金属材料等が挙げられる。
この中でも、特に、筒状部材10の構成材料は、セラミックス材料が好ましい。セラミックス材料は、耐熱性が特に高く、酸化等の化学変化を起こし難いことから好適である。また、セラミックス材料は、断熱性に比較的優れている(熱伝導性が比較的低い)ことから、溶融金属Qの温度低下を抑制する利点も有する。
なお、本実施形態では、流体が水Sである場合を代表に説明した。この流体は、各種の液状またはガス状の冷媒を用いることができるが、本実施形態のように液状のものが好ましい。液状流体は、ガス状流体に比べて比重や熱容量が大きいため、溶融金属Qに接触(二次分裂)した際に、溶融金属Qをより微細化するとともに、短時間で効率よく冷却することができる。また、液状流体は、より多くの空気Gを引き込むため、第1の流路31の圧力(気圧)をより低下させることができ、一次分裂による微細化をさらに促進することができる。
また、溶融金属Qは、いかなる元素を含んでいてもよく、例えば、TiおよびAlの少なくとも一方を含んでいるものも用いることができる。これらの元素は活性が高く、これらの元素を含む溶融金属Qは、短時間の空気Gとの接触により、容易に酸化して酸化膜を形成してしまい、微細化することが困難とされている。本発明の金属粉末製造装置は、このような溶融金属Qをも容易に粉末化することができる。
以上のような金属粉末製造装置1を用いることにより、微細で粒径が揃った金属粉末Rを、効率よく製造することができる。
このような高品質の金属粉末Rを、例えば、被処理部材の表面を研削する研削材とした場合、被処理部材に研削材、すなわち本発明の金属粉末を噴射したとき、各粒子が有する運動エネルギーがほぼ一定となり、この運動エネルギーに基づいた一定の研削力で研削加工を行うことができる。これにより、被処理部材を高い加工精度で加工することができる。
さらに、本発明の金属粉末を、例えば、成形体を形成する原料粉末として用いた場合、ボイド等の成形不良の発生を防止することができ、高密度の成形体を得ることができる。そして、この成形体を焼成することにより、高い寸法精度の焼結体を得ることもできる。
<第2実施形態>
次に、本発明の金属粉末製造装置の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の金属粉末製造装置の第2実施形態の一部を示す拡大詳細図(模式図)である。なお、以下の説明では、図6中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態の金属粉末製造装置1は、筒状部材の構成が異なる以外は、前記第1実施形態と同様である。
本実施形態では、図6に示すように、複数の筒状部材10’が設けられている。各筒状部材10’は、それぞれ、前記第1実施形態と同様に、その上端が供給部2の底部21に接触し、その下端は第1の流路31の途中に位置するよう配設されている。
このように複数の筒状部材10’を介して、溶融金属Qを第1の流路31に導くよう構成したことにより、溶融金属Qをより広範囲に飛散させることができる。これにより、形成された液滴Q1同士が接触・結合する確率を低下させることができ、液滴Q1の粒径が拡大するのを抑制または防止することができる。
また、各筒状部材10’は、それぞれが、前記第1実施形態の筒状部材10と同様の構成をとり得るものである。
<第3実施形態>
次に、本発明の金属粉末製造装置の第3実施形態について説明する。
図7は、本発明の金属粉末製造装置の第3実施形態の一部を示す拡大詳細図(模式図)である。なお、以下の説明では、図7中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第3実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態の金属粉末製造装置1は、第1の部材および第2の部材の構成が異なる以外は、前記第1実施形態と同様である。
図7に示す第1の部材4には、第1の凹部43と、第1の易変形部44とが形成されている。また、第2の部材5には、第2の凹部53と、第2の易変形部54とが形成されている。
第1の凹部43は、内径漸減部33の一部が欠損することにより形成されている。この第1の凹部43により、第1の部材4の厚さが減少し、当該厚さが減少した部分は、その物理的強度が低下して容易に変形可能となり、第1の易変形部44となる。
また、このように第1の易変形部44が容易に変形可能であるため、第1の易変形部44より第1の流路31の中心軸O側(図7中の右側)の第1の中心部45は、第1の易変形部44を中心として容易かつ確実に変位することができる。図7には、この変位の一例として、変位後の第1の中心部45’を、二点鎖線で示している。
また、第1の凹部43は、内径漸減部33の全周にわたって、円環状に形成されている。これにより、第1の易変形部44が内径漸減部33の周方向に沿って形成されることとなり、よって、第1の中心部45は、その周方向のいかなる部分においても均等に変位することができる。
なお、第1の凹部43は、図7に示すように、貯留部35と導入路36との境界38に対して内側(中心軸O側)、すなわち、図7中の右側に位置している。
また、第1の凹部43の縦断面形状は、三角形をなしている。これにより、第1の凹部43の2つの斜面431および432が接近するように変形することができる。すなわち、第1の凹部43の頂部433の頂角が減少するように、第1の易変形部44が変形することができるので、第1の中心部45が容易かつ確実に変位することができる。
なお、第1の凹部43は、図示の構成では境界38に対して内側に位置しているが、これに限定されず、境界38に対して外側に位置してもよい。
また、第1の凹部43の縦断面形状は、図示の構成では三角形をなしているが、これに限定されず、例えば、U字状をなしていてもよい。
第2の凹部53は、第2の部材5の下部55のオリフィス34近傍の一部が欠損することにより形成されている。この第2の凹部53により、第2の部材5の厚さが減少し、当該厚さが減少した部分は、その物理的強度が低下して容易に変形可能となり、第2の易変形部54となる。
また、このように第2の易変形部54が容易に変形可能であるため、第2の部材5の第2の易変形部54より第1の流路31の中心軸O側の第2の中心部56は、第1の中心部45’に追従するように変形することができる。図7には、この変位の一例として、変位後の第2の中心部56’を、二点鎖線で示している。
また、第2の凹部53は、内径漸減部33の周方向に沿って、円環状に形成されている。これにより、第2の易変形部54が内径漸減部33の周方向に沿って形成されることとなり、よって、第2の中心部56は、その周方向のいかなる部分においても均等に変位することができる。
なお、第2の凹部53は、図7に示すように、境界38に対して内側、すなわち、図7中の右側に位置している。
また、第2の凹部53の縦断面形状は、三角形をなしている。これにより、第2の凹部53の2つの斜面531および532が離間するように変形することができる。すなわち、第2の凹部53の頂部533の頂角が増加するように、第2の易変形部54が変形することができるので、第2の中心部56が容易かつ確実に変位することができる。
なお、第2の凹部53は、図示の構成では境界38に対して内側に位置しているが、これに限定されず、境界38に対して外側に位置していてもよい。
また、第2の凹部53の縦断面形状は、図示の構成では三角形をなしているが、これに限定されず、例えば、U字状をなしていてもよい。
以上のような構成の金属粉末製造装置1では、オリフィス34から液体ジェットS1が噴射されたとき、当該オリフィス34を通過する水Sの圧力により、内周面341および外周面342が押圧される。このため、オリフィス34は、拡大しようとする。
しかしながら、図7に示す金属粉末製造装置1では、オリフィス34から液体ジェットS1が噴射されたとき、境界38付近、導入路36およびオリフィス34を通過する水Sの圧力により、第1の中心部45が第1の易変形部44を中心として変位し、図7に示す第1の中心部45’のようになる。また、第1の中心部45と同様に前記水Sの圧力により、第2の中心部56が第1の中心部45’(変位した第1の中心部45)に追従するように変位して、第2の中心部56’となる。
このようにして、図7に示す金属粉末製造装置1では、第1の中心部45および第2の中心部56がそれぞれ同じ方向に変位(変形)することにより、結果として、オリフィス34の径(間隔)の拡大が規制されることとなる。したがって、オリフィス34の大きさを一定に維持することができ、よって、オリフィス34から噴射される液体ジェットS1の流速を確実に一定に維持することができる。その結果、水Sの圧力によらず、液体ジェットS1の流速を一定に維持し、流体ジェットS1によって液滴Q1を冷却する能力を一定に維持することができる。
また、図7に示す金属粉末製造装置1では、内径漸減部33に引き込まれた空気Gの流れの方向が、内径漸減部33の途中に形成された第1の凹部43によって乱され、筒状部材10側に向かって変化する。そして、筒状部材10側に向かった空気Gの流れは、筒状部材10の外周面に沿って下方に向けられることとなる。したがって、筒状部材10の下端部では、より筒状部材10に近い領域において、空気Gの流れが形成されることとなり、筒状部材10の下端部近傍において、圧力の低下がさらに促進される。その結果、筒状部材10中の溶融金属Qを吸い出すようにして、確実に吐出させることができる。
さらに、一次分裂位置が、筒状部材10の下端部のより近くに位置するようになるので、溶融金属Qを、より高温で粘度の低い状態において一次分裂させることができる。このため、より微細な液滴Q1を得ることができ、最終的に、より微細な金属粉末Rを得ることができる。
また、溶融金属Qの組成が、非晶質になり得る組成であれば、液滴Q1のサイズを小さくすることによって、液滴Q1の冷却速度が高くなる。その結果、液体状態における原子配列をより確実に維持することができ、よりアモルファス化度の高い非晶質の金属粉末Rを得ることができる。
以上、本発明の金属粉末製造装置および金属粉末を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、金属粉末製造装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、例えば、筒状部材の構成は、前記実施形態で説明した複数の構成を組み合わせたものでもよい。
1.金属粉末の製造
(実施例1)
まず、Cu(銅)を高周波誘導炉で溶融して溶融物を得た。
次に、得られた溶融物を、図1に示すアトマイザ(本発明の金属粉末製造装置)により粉末化し、Cu粉末(金属粉末)を得た。
なお、図1に示すアトマイザに用いられるアルミナ製の円筒部材(筒状部材)を、その上端がタンディシュ(供給部)に気密的に接続し、一方、その下端が溶融金属が通過する流路(第1の流路)の途中に位置するよう配設した。
また、この円筒部材は、その内径が5mm(横断面積:19.6mm)のものを用い、溶融金属を冷却する流体として水を用いた。
(実施例2)
円筒部材の内径を6mm(横断面積:28.3mm)のものを用いた以外は、前記実施例1と同様にしてCu粉末を得た。
(比較例)
円筒部材を省略したアトマイザを用いた以外は、前記実施例1と同様にしてCu粉末を得た。
2.金属粉末の評価
各実施例および比較例で得られたCu粉末について、レーザー式粒度分布計により、平均粒径および粒度分布の標準偏差を得た。
これらの結果を表1に示す。
Figure 0004867630
表1に示すように、各実施例のCu粉末は、比較例のCu粉末に比べて、粒径が小さく、粒径の揃った粉末であることが認められる。
特に、実施例1のCu粉末では、このような傾向が顕著であった。
本発明の金属粉末製造装置の第1実施形態を示す模式図(縦断面図)である。 図1中の一点鎖線で囲まれた領域[A]の拡大詳細図(模式図)である。 図1中の二点鎖線で囲まれた領域[B]の拡大詳細図(模式図)である。 筒状部材の他の構成例を模式的に示す部分断面図である。 筒状部材の他の構成例を模式的に示す部分断面図である。 本発明の金属粉末製造装置の第2実施形態の一部を示す拡大詳細図(模式図)である。 本発明の金属粉末製造装置の第3実施形態の一部を示す拡大詳細図(模式図)である。
符号の説明
1……金属粉末製造装置(アトマイザ) 2……供給部 21……底部 22……内部空間(内腔部) 23……吐出口 3……ノズル 31……第1の流路 32……第2の流路 33……内径漸減部 331……部分 34……オリフィス 341……内周面 342……外周面 35……貯留部 36……導入路 37……間隙 38……境界 4……第1の部材 41……上端面 43……第1の凹部 431、432……斜面 433……頂部 44……第1の易変形部 45、45’……第1の中心部 5……第2の部材 51……下端面 53……第2の凹部 531、532……斜面 533……頂部 54……第2の易変形部 55……下部 56、56’……第2の中心部 7……カバー 10、10’……筒状部材 11、12……開口部 13……凸部 14……突起部 G……空気(気体) O……中心軸 Q……溶融金属 Q1……液滴 R……金属粉末 S……水(液体) S1……液体ジェット S2……頂部

Claims (15)

  1. 溶融金属を供給する供給部と、
    前記供給部の下方に設置され、該供給部から供給された溶融金属が通過可能な流路と、該流路の下端部に開口し、前記流路に流体を噴射するオリフィスとが形成されたノズルとを有し、
    前記オリフィスから噴射された流体に、前記流路を通過する溶融金属を接触させることにより、該溶融金属を飛散させて微細な多数の液滴にするとともに、該多数の液滴を冷却固化させ、これにより、金属粉末を製造する金属粉末製造装置であって、
    前記供給部の下方に、下端が前記流路の途中に位置するように筒状部材を設け、前記供給部から供給された溶融金属を、前記筒状部材の内腔部を通過させて、前記流体に接触させるよう構成されており、
    前記筒状部材は、その軸に沿って直線状に貫通する内腔部と、前記内腔部の下端の外縁に沿って該下端を囲うように配置され、前記筒状部材の下端面から下方に突出するように設けられた凸部と、を有し、前記凸部により、前記内腔部を通過した前記溶融金属を分割するよう構成されていることを特徴とする金属粉末製造装置。
  2. 前記ノズルは、前記流路の途中に設けられた、下方に向かって内径が連続的に減少している部分を有し、
    前記筒状部材は、その下端が、前記流路のうち、最も内径が小さい部位の近傍に位置するよう配設されている請求項に記載の金属粉末製造装置。
  3. 前記筒状部材は、その上端が、前記供給部に気密的に接続されている請求項1または2に記載の金属粉末製造装置。
  4. 前記筒状部材の内腔部の横断面積は、1〜400mmである請求項1ないしのいずれかに記載の金属粉末製造装置。
  5. 前記筒状部材は、ほぼ円筒状をなしている請求項1ないしのいずれかに記載の金属粉末製造装置。
  6. 前記凸部は、複数設けられている請求項1ないし5のいずれかに記載の金属粉末製造装置。
  7. 前記複数の凸部は、前記筒状部材の下端面の周方向に沿って、かつ、前記内腔部の下端の外縁に沿って、ほぼ均等に設けられている請求項に記載の金属粉末製造装置。
  8. 前記凸部は、前記内腔部の下端の外縁に沿った環状をなしている請求項1ないし5のいずれかに記載の金属粉末製造装置。
  9. 前記凸部は、その下端が尖っている請求項ないしのいずれかに記載の金属粉末製造装置。
  10. 前記筒状部材は、セラミックス材料で構成されている請求項1ないしのいずれかに記載の金属粉末製造装置。
  11. 前記流体は、液状流体である請求項1ないし10のいずれかに記載の金属粉末製造装置。
  12. 前記溶融金属は、TiおよびAlの少なくとも一方を含んでいる請求項1ないし11のいずれかに記載の金属粉末製造装置。
  13. 前記ノズルは、前記オリフィスを画成する、第1の部材と、該第1の部材の下方に間隙を介して設定された第2の部材とを備え、
    前記第1の部材には、第1の凹部と、第1の易変形部とが形成されており、
    前記第2の部材には、第2の凹部と、第2の易変形部とが形成されており、
    前記ノズルは、少なくとも前記オリフィスを通過する流体の圧力により、前記第1の部材および前記第2の部材を変形させ、前記オリフィスを通過する流体の圧力によらず前記オリフィスの径が規制されるよう構成されている請求項1ないし12のいずれかに記載の金属粉末製造装置。
  14. 請求項1ないし13のいずれかに記載の金属粉末製造装置により製造されたことを特徴とする金属粉末。
  15. 当該金属粉末の平均粒径は、1〜20μmである請求項14に記載の金属粉末。
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