JP5803197B2 - 金属粉末製造装置および金属粉末製造方法 - Google Patents
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Description
ところが、製造する金属粉末の組成によっては、金属粉末の酸素含有率が高くなり、金属粉末を用いて製造される金属製品の品質低下を招いていた。また、酸素含有率を低くすることができても、金属粉末の粒径が大きくなったり、粒度分布が広くなったりして、微細で粒径の揃った金属粉末を製造することが困難な場合があった。
本発明の金属粉末製造装置は、溶融金属を貯留する貯留部と、
前記貯留部の下方に設けられ、前記貯留部から流下した溶融金属が通過可能な流路と、前記流路の下端部に開口し、前記流路内に向けて流体を噴射するスリットと、を備えるノズルと、
前記貯留部の上方に設けられ、前記貯留部に溶融金属を供給するよう構成された供給部と、を有し、
前記貯留部に設けられ、貯留された溶融金属の液面部の少なくとも一部の温度を低下させる放熱手段と、前記放熱手段の下方に設けられ、前記溶融金属を加熱する加熱手段と、を有していることを特徴とする。
これにより、製造する金属粉末の組成によらず、酸素含有率が低く微細で粒径の揃った高品質の金属粉末を安定して製造可能な金属粉末製造装置が得られる。
前記供給部筒状部材の下端が、前記貯留部に貯留された溶融金属の液面より下方に位置するよう構成されていることが好ましい。
これにより、供給部から供給される溶融金属は、外気にほとんど触れることなく貯留部へと移送されることとなる。その結果、移送に伴う溶融金属の温度低下を最小限に抑えることができ、溶融金属の温度制御をより容易にすることができる。
前記加熱手段は、前記貯留部容器の壁部内に配置された誘導加熱コイルで構成され、前記放熱手段は、誘導加熱コイルを設けない前記壁部で構成されていることが好ましい。
これにより、溶融金属の温度をきめ細かく制御することができるので、短時間で大きく変動する溶融金属の温度を確実に一定に維持することができる。また、放熱手段の構造を簡略化することができる。
これにより、溶融金属に取り込まれる酸素量をより低減することができ、特に高品質の金属粉末を安定して製造することができる。
本発明の金属粉末製造装置では、前記放熱手段は、前記貯留部に貯留された溶融金属の液面に向けてガスを噴射するものであることが好ましい。
これにより、貯留部の絶縁性や熱伝導性を考慮することなく十分な放熱性が発現するため、貯留部の材質の選択において制約がなくなり、機械的特性やコスト等を最優先に材質を選択することが可能になる。
これにより、溶融金属の貯留を開始した直後から溶融金属の温度を一定に維持する制御を簡単に行うことができる。
測定された前記溶融金属の温度に基づいて、前記加熱手段による加熱温度を制御する制御部と、を有することが好ましい。
これにより、製造する金属粉末の組成によらず、酸素含有率が低く微細で粒径の揃った高品質の金属粉末を安定してかつ簡単に製造可能な金属粉末製造装置が得られる。
計測された前記液面の高さに基づいて、前記供給部による溶融金属の供給量を制御する制御部と、を有することが好ましい。
これにより、製造する金属粉末の組成によらず、酸素含有率が低く微細で粒径の揃った高品質の金属粉末を安定してかつ簡単に製造可能な金属粉末製造装置が得られる。
前記貯留部に設けられ、貯留された溶融金属の液面部の少なくとも一部の温度を低下させる放熱手段と、
前記放熱手段の下方に設けられ、前記溶融金属を加熱する加熱手段と、
前記貯留部の下方に設けられ、前記貯留部から流下した溶融金属が通過可能な流路と、前記流路の下端部に開口し、前記流路内に向けて流体を噴射するスリットと、を備えるノズルと、
前記貯留部の上方に設けられ、前記貯留部に溶融金属を供給するよう構成された供給部と、
を有する金属粉末製造装置を用い、
前記加熱手段により加熱しつつ前記貯留部に溶融金属を貯留するとともに、前記放熱手段により前記貯留部に貯留されている溶融金属の液面に固化膜を形成し、前記貯留部から溶融金属を流下させ、その後前記流体に衝突させることにより、溶融金属を分裂させるとともに固化させて金属粉末を製造することを特徴とする。
これにより、製造する金属粉末の組成によらず、酸素含有率が低く微細で粒径の揃った高品質の金属粉末を安定して製造することができる。
前記貯留部に設けられ、前記溶融金属を加熱する加熱手段と、
前記貯留部の下方に設けられ、前記貯留部から流下した溶融金属が通過可能な流路と、前記流路の下端部に開口し、前記流路内に向けて流体を噴射するスリットと、を備えるノズルと、
前記貯留部の上方に設けられ、前記貯留部に溶融金属を供給するよう構成された供給部と、
を有する金属粉末製造装置を用い、
前記加熱手段により加熱しつつ前記貯留部に溶融金属を貯留するとともに、前記貯留部に貯留されている溶融金属の液面に金属粉末を撒くことにより前記液面に固化膜を形成し、前記貯留部から溶融金属を流下させ、その後前記流体に衝突させることにより、溶融金属を分裂させるとともに固化させて金属粉末を製造することを特徴とする。
これにより、溶融金属に取り込まれる酸素量をより低減することができ、特に高品質の金属粉末を安定して製造することができる。
<金属粉末製造装置>
≪第1実施形態≫
まず、本発明の金属粉末製造装置の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の金属粉末製造装置の第1実施形態を模式的に示す縦断面図、図2は、図1の部分詳細図である。
(供給部)
図1に示す供給部6は、有底筒状をなす供給部容器61と、この供給部容器61の下面に接続された供給部筒状部材62と、を有している。このうち、供給部容器61内には、製造しようとする金属粉末の原材料を溶融した溶融金属90が一時的に貯留される。また、供給部容器61の底部の中央には、底部を貫通する開口611が設けられている。前述した供給部筒状部材62は、その中空部と前記開口611とが重なるように、前記供給部容器61の下面に接続されている。したがって、供給部容器61内に貯留された溶融金属90は、開口611と供給部筒状部材62とを介して下方に流下し、続いて貯留部2に貯留される。
さらに、蓋を被せることにより、供給部容器61内を加圧することもできる。この場合、溶融金属90は自重による流下速度よりも速い速度で吐出されることになるため、加圧力を適宜調整することにより、溶融金属90の単位時間当たりの供給量を制御することができる。
図1に示す貯留部(タンディシュ)2は、有底筒状をなす貯留部容器21と、この貯留部容器21の下面に接続された貯留部筒状部材22と、を有している。このうち、貯留部容器21は、供給部6から供給された溶融金属90を受け、これを一時的に貯留する。また、貯留部容器21の底部の中央には、底部を貫通する開口211が設けられている。前述した貯留部筒状部材22は、その中空部と前記開口211とが重なるように、前記貯留部容器21の下面に接続されている。
したがって、貯留部容器21内に貯留された溶融金属90は、開口211と貯留部筒状部材22とを介して、下方に流下する。
貯留部容器21および貯留部筒状部材22の構成材料は、供給部容器61および供給部筒状部材62の構成材料と同様である。
図1に示すノズル3は、ノズル本体30と、ノズル本体30に設けられ、貯留部2から流下してきた溶融金属90が通過する流路31と、流路31内に向けて流体を噴射するスリット32と、ノズル本体30の下面に設けられたカバー7と、を有している。流体としては、例えば、水が用いられる。
図1に示すノズル本体30は、例えば円柱状をなしており、その軸線と貯留部2から流下する溶融金属90の流下経路とが一致するよう配置されている。
流路31は、鉛直方向にノズル本体30を貫通する貫通孔であり、貫通孔の内径は連続的に変化している。具体的には、流路31は、その内径は、流路31の上端部において最も大きく、そこから下方に向かって連続的に減少するよう構成されている。その結果、この領域における流路31の内壁面は、滑らかな曲面になっている。そして、流路31の中間付近において、流路31の内径が最も小さくなっており、そこから下方に向かっては再び連続的に増加している。
なお、導入路321は、その一部の縦断面形状がくさび状をなしている。このような形状であれば、導入路321に導入された流体が、くさび状の部分においてその流速を徐々に高めることができる。このため、くさび状の部分をスリット32の直前に配置することにより、スリット32からは高速の流体を安定して噴射することができる。また、流体は加圧された状態で導入路321に供給されるので、ノズル本体30には十分な耐圧性が求められる。
このようなノズル本体30の構成材料は、供給部容器61および供給部筒状部材62の構成材料と同様であってもよいが、金属材料が好ましい。これにより、耐熱性と流体に加わる耐圧性とを両立するノズル本体30が得られる。
また、カバー7は、ノズル本体30の下面に気密的に接続されているのが好ましい。これにより、カバー7内に外気が流入するのを防止することができる。その結果、溶融金属90が粉末化され、固化して金属粉末が生成される際に、溶融金属90が外気と接触して、金属粉末が酸化、変質してしまうのを防止することができる。
次に、金属粉末製造装置1を用いて金属粉末を製造する方法について説明する。
まず、供給部容器61内に溶融金属90を貯留する。貯留された溶融金属90は、供給部筒状部材62を介して下方の貯留部容器21内に流下する。
貯留部容器21内に流下した溶融金属90は、貯留部容器21内に貯留されるとともに、貯留部筒状部材22を介して下方のノズル3に向かって流下する。
この状態にある流路31に貯留部筒状部材22から流下した溶融金属90が到達すると、流路31内の圧力低下により溶融金属90が分裂(一次分裂)する。これは、溶融金属90が密集しようとする力よりも、周囲の減圧力が上回ることにより生じるものである。この一次分裂により、溶融金属90は多数の液滴91となる。
また、本実施形態では、供給部6とノズル3との間に貯留部2を有していることから、ノズル3への溶融金属90の供給量を安定化することができる。すなわち、供給部6からノズル3へ直接溶融金属90を供給する場合に比べて、貯留部2に一旦供給し、そこから流下させるよう構成されているため、ノズル3へ供給される溶融金属90の単位時間当たりの供給量を一定に制御し易い。このため、金属粉末の製造条件も一定となり、粒径の揃った高品質の金属粉末を製造することができる。
しかしながら、従来の金属粉末製造装置では、溶融金属を一旦貯留することによってノズルに供給される溶融金属の単位時間当たりの供給量は一定になるものの、最終的に得られる金属粉末の酸素含有率が著しく高くなるという課題があった。このため、金属粉末の焼結性や磁気特性等が低下してしまい、金属粉末を用いて製造される各種金属製品の機械的特性や電磁気的特性を十分に高めることができなかった。特に、アルミニウムやチタンのような酸化し易い元素を含む場合、その傾向が顕著であった。
加熱手段8としては、例えば、誘導加熱、抵抗加熱、マイクロ波加熱等の各種加熱原理を利用したものが挙げられ、特に限定されるものではないが、ここでは誘導加熱を利用した場合について説明する。誘導加熱による加熱は、溶融金属90を直接発熱させることができるので加熱効率が高いのに加え、溶融金属90の温度をきめ細かく制御することができるので、短時間で大きく変動する溶融金属90の温度を一定に維持する上で有効である。
図1、2に示す誘導加熱コイル81は、貯留部容器21の壁部内に内蔵されている。壁部内に設けられることにより、誘導加熱コイル81と溶融金属90とが接触するのを防止して、溶融金属90の汚染を防止するとともに、誘導加熱コイル81の劣化を防止することができる。
誘導加熱コイル81には、制御部82が電気的に接続されている。制御部82は、誘導加熱コイル81に電圧を印加する電源と、この電源の動作を制御する制御回路と、を含んでいる。電源としては、一般に高周波電源が用いられ、誘導加熱コイル81に対して周波数1kHz以上500kHz以下程度の交流電圧が印加される。
また、溶融金属90の温度を一定に維持する際には、維持している最中の温度幅が30℃以下になるよう制御するのが好ましく、20℃以下になるよう制御するのがより好ましい。
また、供給部6は、溶融金属90を貯留部2に対して供給し得るものであれば、その他のもの(例えば、溶融炉等)で代替することもできる。
また、加熱手段8において誘導加熱コイルの出力調整は、あらかじめ入力されたプログラムに基づいてなされる場合のみでなく、人為的に調整されるよう構成されていてもよい。
なお、このような金属粉末を撒く方法を用いる場合、金属粉末製造装置1において放熱手段5を省略してもよい。
次に、本発明の金属粉末製造装置の第2実施形態について説明する。
図3は、本発明の金属粉末製造装置の第2実施形態の一部を模式的に示す縦断面図である。
以下、第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2実施形態は、放熱手段の構成が異なる以外、第1実施形態と同様である。
また、冷却水回路51は、貯留部容器21の壁部に沿って螺旋状に成形されるのが好ましい。なお、冷却水は、他の冷媒(各種液体および各種気体)で代替することもできる。
冷却水の流通量は、貯留部容器21の大きさに応じて異なるが、一例として、1L/min以上100L/min以下程度であるのが好ましく、3L/min以上50L/min以下程度であるのがより好ましい。
このような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の作用、効果が得られる。
次に、本発明の金属粉末製造装置の第3実施形態について説明する。
図4は、本発明の金属粉末製造装置の第3実施形態の一部を模式的に示す縦断面図である。
以下、第3実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第3実施形態に係る放熱手段5は、第1実施形態に係る構成に加え、貯留部容器21に貯留された溶融金属の液面に向けてガスを噴射する送気部52を有している以外、第1実施形態と同様である。
送気部52から噴射されるガスは、空気であってもよいが、窒素ガスやアルゴンガスのような不活性ガスであるのが好ましい。不活性ガスであれば、溶融金属90中に取り込まれる酸素量を低減することができるので、金属粉末中の酸素含有率をより低下させることができる。
このような第3実施形態においても、第1実施形態と同様の作用、効果が得られる。また、第3実施形態に係る放熱手段5では、貯留部容器21の壁部の絶縁性や熱伝導性を考慮することなく十分な放熱性が発現するため、壁部の材質の選択において制約がなくなり、機械的特性やコスト等を最優先に材質を選択することが可能になる。
次に、本発明の金属粉末製造装置の第4実施形態について説明する。
図5は、本発明の金属粉末製造装置の第4実施形態を模式的に示す縦断面図である。
以下、第4実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第4実施形態は、加熱手段の構成が異なる以外、第1実施形態と同様である。
なお、この場合、第1の温度センサー83や第2の温度センサー85による測定値は、実際の温度変化に対してタイムラグがあるため、あらかじめ入力した経験値等に基づき、タイムラグを補正するようにするのが好ましい。
また、本実施形態では、誘導加熱コイル81が複数の部分に分かれており、各部分に対して独立に電圧を印加し得るよう構成されている。これにより、部分ごとに異なる電圧を印加することができ、それにより溶融金属90の加熱量を液面からの深さごとに異ならせることができる。その結果、溶融金属90の温度をより均一に維持することができる。
(実施例1)
まず、ステンレス鋼SUS316L(融点Tm:1450℃)を高周波誘導炉で溶融して溶融金属を得た。
次いで、得られた溶融金属を図1に示す金属粉末製造装置の供給部容器内に移した。そして、溶融金属を貯留部およびノズルへと流下させるとともに、ノズルのスリットから水ジェットを噴射することにより、溶融金属を粉末化した。これにより、金属粉末を得た。
・供給部容器の材質 :アルミナ・グラファイト複合材料
・貯留部容器の材質 :アルミナ・グラファイト複合材料
・供給部筒状部材の内径 :5mm
・貯留部筒状部材の内径 :5mm
・貯留部容器における溶融金属の液面から底面までの深さD1 :300mm
・貯留部容器における溶融金属の液面から放熱手段の下端までの距離D2:50mm
・溶融金属の液面から供給部筒状部材の下端までの距離D3 :40mm
また、金属粉末製造装置における溶融金属の温度は以下の通りである。
・供給部容器に貯留された溶融金属の初期温度 :1720℃
・貯留部容器に貯留された溶融金属の加熱温度 :1650℃
また、金属粉末の製造中は、貯留部容器における溶融金属の液面の高さが一定になるよう、供給部から供給される溶融金属の供給量を適宜調整するようにした。この調整時の液面の高さの上下幅は30mmに収まっていることが確認された。
貯留部容器に貯留された溶融金属の加熱温度を1575℃に変更した以外は、実施例1と同様にして金属粉末を得た。なお、得られた固化膜の厚さを表1に示す。
(実施例3)
貯留部容器に貯留された溶融金属の加熱温度を1720℃に変更した以外は、実施例1と同様にして金属粉末を得た。なお、得られた固化膜の厚さを表1に示す。
D2を10mmに変更するとともに貯留部容器に貯留された溶融金属の加熱温度を表1に示す温度にした以外は、実施例1と同様にして金属粉末を得た。なお、得られた固化膜の厚さを表1に示す。
(実施例5)
D2を80mmに変更するとともに貯留部容器に貯留された溶融金属の加熱温度を表1に示す温度にした以外は、実施例1と同様にして金属粉末を得た。なお、得られた固化膜の厚さを表1に示す。
図1に示す金属粉末製造装置において誘導加熱コイルを貯留部容器のうち、放熱手段を設けた部分以外の全体にわたって敷設するよう変更した装置を用いるとともに、貯留部容器に貯留された溶融金属の加熱温度を表1に示す温度にした以外は、実施例1と同様にして金属粉末を得た。なお、得られた固化膜の厚さを表1に示す。
(実施例7)
D3を30mmに変更するとともに貯留部容器に貯留された溶融金属の加熱温度を表1に示す温度にした以外は、実施例1と同様にして金属粉末を得た。なお、得られた固化膜の厚さを表1に示す。
D3を0mmに変更するとともに貯留部容器に貯留された溶融金属の加熱温度を表1に示す温度にした以外は、実施例1と同様にして金属粉末を得た。なお、得られた固化膜の厚さを表1に示す。
(実施例9)
放熱手段の構成を図3に示す構成に変更した以外は、実施例1と同様にして金属粉末を得た。なお、冷却水は、5L/minで循環させるようにした。また得られた固化膜の厚さを表1に示す。
放熱手段の構成を図4に示す構成に変更した以外は、実施例1と同様にして金属粉末を得た。なお、冷却ガスとしては空気(20℃)を用い、ガスの圧力は0.3MPaとした。また、得られた固化膜の厚さを表1に示す。
(実施例11)
金属粉末の製造開始時に、貯留部容器に貯留された溶融金属の液面に、平均粒径5μmのステンレス鋼(SUS316L)粉末を撒き、表面に被膜(固化膜)を形成するようにした以外は、実施例1と同様にして金属粉末を得た。なお、得られた固化膜の厚さを表1に示す。
図5に示す金属粉末製造装置を用いるとともに貯留部容器に貯留された溶融金属の加熱温度を表1に示す温度に変更した以外は、実施例1と同様にして金属粉末を得た。なお、得られた固化膜の厚さを表1に示す。
ここで、加熱手段では、以下のように制御を行った。なお、第1の温度センサーおよび第2の温度センサーは、それぞれ容器の底部付近に取り付けた。
まず、液面モニターにより貯留部容器に貯留された溶融金属の液面の高さを検出し、この高さが一定の高さになるよう、供給部筒状部材に取り付けた開閉弁の開閉量を制御した。これにより、液面の高さを一定に維持することができた。
ステンレス鋼に代えてアルミニウム(融点Tm:660℃)を用いるようにした以外は、実施例1と同様にして金属粉末を得た。なお、得られた固化膜の厚さを表1に示す。
ここで、金属粉末製造装置における溶融金属の温度は以下の通りである。
・供給部容器に貯留された溶融金属の初期温度 :950℃
・貯留部容器に貯留された溶融金属の加熱温度 :900℃
貯留部容器に貯留された溶融金属の加熱温度を800℃に変更した以外は、実施例13と同様にして金属粉末を得た。なお、得られた固化膜の厚さを表1に示す。
(実施例15)
貯留部容器に貯留された溶融金属の加熱温度を950℃に変更した以外は、実施例13と同様にして金属粉末を得た。なお、得られた固化膜の厚さを表1に示す。
放熱手段および加熱手段の設置を省略した以外は、実施例1と同様にして金属粉末を得た。
(比較例2)
ステンレス鋼に代えてアルミニウム(融点Tm:660℃)を用いるようにした以外は、比較例1と同様にして金属粉末を得た。
なお、金属粉末製造装置における溶融金属の温度は以下の通りである。
・供給部容器に貯留された溶融金属の初期温度 :950℃
2.1.酸素含有率の評価
各実施例および各比較例で得られた金属粉末について、その酸素含有量を酸素窒素同時分析装置(LECO社製、TC−136)により測定した。測定結果を表1に示す。
2.2.粒径の評価
各実施例および各比較例で得られた金属粉末について、レーザー回折式粒度分布測定装置により平均粒径および標準偏差を測定した。なお、平均粒径は、体積基準で累積量が50%になるときの粒子径(μm)である。また、標準偏差は、次式で定義され、粒度分布の幅の目安となるものである。
(標準偏差)=(d84%−d16%)/2
ただし、d84%は、体積基準で累積量が84%になるときの粒子径(μm)であり、d16%は、体積基準で累積量が16%になるときの粒子径(μm)である。
これらの結果を表1に示す。なお、実施例1〜12で得られた金属粉末の標準偏差については、比較例1で得られた金属粉末の標準偏差を1としたときの相対値で示し、実施例13〜15で得られた金属粉末の標準偏差については、比較例2で得られた金属粉末の標準偏差を1としたときの相対値で示した。
特に、実施例1、7、9、10、12、13で得られた金属粉末では、このような傾向が顕著であった。
Claims (10)
- 溶融金属を貯留する貯留部と、
前記貯留部の下方に設けられ、前記貯留部から流下した溶融金属が通過可能な流路と、前記流路の下端部に開口し、前記流路内に向けて流体を噴射するスリットと、を備えるノズルと、
前記貯留部の上方に設けられ、前記貯留部に溶融金属を供給するよう構成された供給部と、を有し、
前記貯留部に設けられ、貯留された溶融金属の液面部の少なくとも一部の温度を低下させる放熱手段と、前記放熱手段の下方に設けられ、前記溶融金属を加熱する加熱手段と、を有していることを特徴とする金属粉末製造装置。 - 前記供給部は、溶融金属を貯留する供給部容器と、前記供給部容器の下面から下方に延在するよう設けられ、前記供給部容器内に貯留された溶融金属が通過可能になっている供給部筒状部材と、を有し、
前記供給部筒状部材の下端が、前記貯留部に貯留された溶融金属の液面より下方に位置するよう構成されている請求項1に記載の金属粉末製造装置。 - 前記貯留部は、有底筒状をなし、溶融金属を貯留する貯留部容器と、前記貯留部容器の下面から下方に延在するよう設けられ、前記貯留部容器内に貯留された溶融金属が通過可能になっている貯留部筒状部材と、を有し、
前記加熱手段は、前記貯留部容器の壁部内に配置された誘導加熱コイルで構成され、前記放熱手段は、誘導加熱コイルを設けない前記壁部で構成されている請求項1または2に記載の金属粉末製造装置。 - 前記放熱手段は、前記貯留部に設けられた配管中を流通する冷媒を有するものである請求項1ないし3のいずれかに記載の金属粉末製造装置。
- 前記放熱手段は、前記貯留部に貯留された溶融金属の液面に向けてガスを噴射するものである請求項1ないし3のいずれかに記載の金属粉末製造装置。
- 前記加熱手段は、前記貯留部に溶融金属が貯留され始めたときからの経過時間に応じて、その加熱温度を徐々に高めるよう構成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の金属粉末製造装置。
- さらに、前記貯留部に貯留された溶融金属の温度を測定する温度測定部と、
測定された前記溶融金属の温度に基づいて、前記加熱手段による加熱温度を制御する制御部と、を有する請求項1ないし6のいずれかに記載の金属粉末製造装置。 - さらに、前記溶融金属の液面の高さを計測する液面計測部と、
計測された前記液面の高さに基づいて、前記供給部による溶融金属の供給量を制御する制御部と、を有する請求項1ないし7のいずれかに記載の金属粉末製造装置。 - 溶融金属を貯留する貯留部と、
前記貯留部に設けられ、貯留された溶融金属の液面部の少なくとも一部の温度を低下させる放熱手段と、
前記放熱手段の下方に設けられ、前記溶融金属を加熱する加熱手段と、
前記貯留部の下方に設けられ、前記貯留部から流下した溶融金属が通過可能な流路と、前記流路の下端部に開口し、前記流路内に向けて流体を噴射するスリットと、を備えるノズルと、
前記貯留部の上方に設けられ、前記貯留部に溶融金属を供給するよう構成された供給部と、
を有する金属粉末製造装置を用い、
前記加熱手段により加熱しつつ前記貯留部に溶融金属を貯留するとともに、前記放熱手段により前記貯留部に貯留されている溶融金属の液面に固化膜を形成し、前記貯留部から溶融金属を流下させ、その後前記流体に衝突させることにより、溶融金属を分裂させるとともに固化させて金属粉末を製造することを特徴とする金属粉末製造方法。 - 溶融金属を貯留する貯留部と、
前記貯留部に設けられ、前記溶融金属を加熱する加熱手段と、
前記貯留部の下方に設けられ、前記貯留部から流下した溶融金属が通過可能な流路と、前記流路の下端部に開口し、前記流路内に向けて流体を噴射するスリットと、を備えるノズルと、
前記貯留部の上方に設けられ、前記貯留部に溶融金属を供給するよう構成された供給部と、
を有する金属粉末製造装置を用い、
前記加熱手段により加熱しつつ前記貯留部に溶融金属を貯留するとともに、前記貯留部に貯留されている溶融金属の液面に金属粉末を撒くことにより前記液面に固化膜を形成し、前記貯留部から溶融金属を流下させ、その後前記流体に衝突させることにより、溶融金属を分裂させるとともに固化させて金属粉末を製造することを特徴とする金属粉末製造方法。
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