JP2021085064A - 金属粉末製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】より微細な金属粉末を効率よく製造可能な金属粉末製造装置を提供すること。【解決手段】流下する溶融金属に流体ジェットを衝突させることにより、金属粉末を製造する金属粉末製造装置であって、中心軸に沿って延在する第1貫通孔と、前記流体ジェットを噴出する噴出部と、を備えるノズル本体と、前記第1貫通孔の内部に設けられ、前記中心軸に沿って延在し、内部を前記溶融金属が流下する第2貫通孔を備えるノズル管と、を有し、前記ノズル管の下端部の外周側面は、前記中心軸を軸とする逆円錐台形の側面に対応する形状をなしており、前記外周側面の前記中心軸に対する半頂角は、10°以上50°以下であり、前記ノズル管は、外管と、前記外管の内部に設けられ、前記第2貫通孔を備える内管と、を含む多重構造を有しており、前記外管の構成材料と前記内管の構成材料とが異なっていることを特徴とする金属粉末製造装置。【選択図】図3
Description
本発明は、金属粉末製造装置に関するものである。
特許文献1には、ノズル本体およびノズル本体に付設された筒状の干渉部材を備えるアトマイズノズル装置と、干渉部材の上部に設けられた溶融金属収容容器と、を備える溶融金属アトマイズ装置(金属粉末製造装置)が開示されている。
ノズル本体の下面には、上下方向に延在する中心線を中心とする同心円上に設けられた多数のノズル孔が開口している。ノズル孔からは、不活性ガス等の媒体が噴出するように構成されている。これにより、ガスジェットによるジェットカーテンが形成される。
また、ノズル本体は、中心線に沿って上下方向に貫通する中央孔を備えている。前述した干渉部材は、この中央孔に装着されている。溶融金属収容容器から供給された溶融金属流は、干渉部材内を流下し、ガスジェットによって細かい溶滴に分断される。これにより、金属粉末が製造される。
特許文献1に記載されている干渉部材(ノズル管)は、前述したように筒状をなしているが、その下端面は、水平面と平行な面である。
図7は、従来の金属粉末製造装置が備えるノズル管を示す部分断面斜視図である。図7に示すノズル管9は、円筒状をなしており、ノズル管9の下部では、外側面91および内側面92の双方が鉛直軸VAと平行な面であり、一方、下端面93は、外側面91と内側面92とをつなぐ面であって、水平面と平行な面である。
ノズル管9の外側には、ガスジェットGが流れており、ノズル管9の内部95を流下した溶融金属流90は、例えばしずくの状態でノズル管9から離れた後、ガスジェットGによってさらに分断される。そして、細かく分断された溶融金属が固化することによって金属粉末が得られる。
溶融金属流90は、ノズル管9の下端にできるだけ近い位置で、ガスジェットGと衝突させることが好ましい。これにより、溶融金属流90の温度が高い状態で分断させることができるので、より微細な金属粉末を得ることができる。
ところが、図7に示すノズル管9では、その形状が原因で、ガスジェットGとノズル管9とが干渉しやすい。干渉が起きると、ノズル管9によってガスジェットGの流れが乱される。これにより、ガスジェットGの流速の低下、溶融金属流90に対するガスジェットGの衝突点のずれ等が発生し、溶融金属流90を細かく分断することができない。
また、ガスジェットGとノズル管9とが干渉することによって、ノズル管9が冷却されやすくなる。このとき、ノズル管9の熱伝導性が高い場合、溶融金属流90の温度を低下させてしまう。そうすると、溶融金属流90の粘性が上昇し、ガスジェットGと衝突したとしても、溶融金属流90を細かく分断することができない。
本発明の適用例に係る金属粉末製造装置は、
流下する溶融金属に流体ジェットを衝突させることにより、金属粉末を製造する金属粉末製造装置であって、
中心軸に沿って延在する第1貫通孔と、前記流体ジェットを噴出する噴出部と、を備えるノズル本体と、
前記第1貫通孔の内部に設けられ、前記中心軸に沿って延在し、内部を前記溶融金属が流下する第2貫通孔を備えるノズル管と、
を有し、
前記ノズル管の下端部の外周側面は、前記中心軸を軸とする逆円錐台形の側面に対応する形状をなしており、
前記外周側面の前記中心軸に対する半頂角は、10°以上50°以下であり、
前記ノズル管は、外管と、前記外管の内部に設けられ、前記第2貫通孔を備える内管と、を含む多重構造を有しており、
前記外管の構成材料と前記内管の構成材料とが異なっていることを特徴とする。
流下する溶融金属に流体ジェットを衝突させることにより、金属粉末を製造する金属粉末製造装置であって、
中心軸に沿って延在する第1貫通孔と、前記流体ジェットを噴出する噴出部と、を備えるノズル本体と、
前記第1貫通孔の内部に設けられ、前記中心軸に沿って延在し、内部を前記溶融金属が流下する第2貫通孔を備えるノズル管と、
を有し、
前記ノズル管の下端部の外周側面は、前記中心軸を軸とする逆円錐台形の側面に対応する形状をなしており、
前記外周側面の前記中心軸に対する半頂角は、10°以上50°以下であり、
前記ノズル管は、外管と、前記外管の内部に設けられ、前記第2貫通孔を備える内管と、を含む多重構造を有しており、
前記外管の構成材料と前記内管の構成材料とが異なっていることを特徴とする。
以下、本発明の金属粉末製造装置の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
1.第1実施形態
まず、第1実施形態に係る金属粉末製造装置について説明する。
まず、第1実施形態に係る金属粉末製造装置について説明する。
図1は、第1実施形態に係る金属粉末製造装置を模式的に示す断面図である。なお、図1および後述する各図では、鉛直軸をVAとし、各図の上方が鉛直上方である。
図1に示す金属粉末製造装置1は、溶融金属Qをアトマイズ法により粉末化した後、冷却固化させ、金属粉末Rを得るための装置である。この金属粉末製造装置1は、溶融金属Qを供給する溶融金属供給部2と、タンク3と、タンク3内に冷却液Sを流出させる冷却液流出部4と、流下する溶融金属Qに向けて流体ジェットJを噴射するノズル部5と、を有している。以下、各部の構成について詳述する。
1.1.溶融金属供給部
図1に示すように、溶融金属供給部2は、有底筒状をなしている。この溶融金属供給部2内には、製造すべき金属粉末の原材料を溶融した溶融金属Qが一時的に収容される。溶融金属供給部2は、例えば黒鉛、窒化ケイ素、アルミナ、耐熱鋼等の耐火性材料で構成される。また、溶融金属供給部2の外周は、溶融金属Qを加熱して保温するための加熱用コイル6で覆われている。
図1に示すように、溶融金属供給部2は、有底筒状をなしている。この溶融金属供給部2内には、製造すべき金属粉末の原材料を溶融した溶融金属Qが一時的に収容される。溶融金属供給部2は、例えば黒鉛、窒化ケイ素、アルミナ、耐熱鋼等の耐火性材料で構成される。また、溶融金属供給部2の外周は、溶融金属Qを加熱して保温するための加熱用コイル6で覆われている。
溶融金属供給部2の底部の中央部には、底部を貫通する吐出口21が設けられている。この吐出口21からは、溶融金属供給部2内の溶融金属Qが下方に向かって吐出される。
1.2.タンク
溶融金属供給部2の下方には、後述するノズル部5が設けられ、さらにノズル部5の下方にタンク3が設けられている。
溶融金属供給部2の下方には、後述するノズル部5が設けられ、さらにノズル部5の下方にタンク3が設けられている。
図1に示すタンク3は、鉛直軸VAと平行な第1中心軸A1を有する円筒状をなしている。なお、タンク3の第1中心軸A1は、鉛直軸VAに対して傾いていてもよい。また、本明細書において「平行」とは、対象となる線または面とのなす角度が5°以下の状態をいう。
第1中心軸A1を法線とする面で切断したときの、タンク3の内径側の断面形状は、例えば真円、楕円、長円等の円形とされるが、多角形のような円形以外の形状であってもよい。
このような円筒状をなすタンク3の上端は、板状をなす蓋部材7で覆われている。この蓋部材7は、中央部を貫通する貫通孔71を有している。
タンク3の内部空間30には、前述した溶融金属供給部2から流下した溶融金属Qが後述するノズル部5を介して供給される。溶融金属Qは、ノズル部5を経た後、例えば下方に向かう線状の流れを形成しながら蓋部材7の貫通孔71を通過し、内部空間30に達する。
また、タンク3の内部空間30には、ノズル部5から流体ジェットJが噴射される。噴射された流体ジェットJは、内部空間30に流下してきた溶融金属Qと衝突する。この衝撃により、溶融金属Qは分断され、内部空間30に多数の液滴Q1を飛散させる。
さらに、タンク3の内部空間30には、後述する冷却液流出部4から冷却液Sが供給される。供給された冷却液Sは、内部空間30の内壁面に沿って流動し、冷却液層S1を形成する。液滴Q1は、自然落下した後、この冷却液層S1に接触する。これにより、液滴Q1は急速に冷却され、固化に至る。このようにして金属粉末Rが形成される。形成された金属粉末Rは、冷却液Sとともに、タンク3の下方に設けられた回収容器8に回収される。
1.3.冷却液供給部
冷却液流出部4は、タンク3の上端部に設けられている。冷却液流出部4は、タンク3の内周に沿って設けられた冷却液流出口41と、冷却液流出口41に冷却液Sを圧送する図示しないポンプと、を備えている。各冷却液流出口41は、タンク3の内部空間30の内壁面に沿うように冷却液Sを流出させる。流出した冷却液Sは、内壁面に沿って冷却液層S1を形成する。
冷却液流出部4は、タンク3の上端部に設けられている。冷却液流出部4は、タンク3の内周に沿って設けられた冷却液流出口41と、冷却液流出口41に冷却液Sを圧送する図示しないポンプと、を備えている。各冷却液流出口41は、タンク3の内部空間30の内壁面に沿うように冷却液Sを流出させる。流出した冷却液Sは、内壁面に沿って冷却液層S1を形成する。
冷却液Sとしては、例えば、水、油等が用いられ、必要に応じて還元剤、酸化防止剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。
また、冷却液層S1を形成する代わりに、冷却液Sが貯留された冷却液溜まりが設けられていてもよく、冷却液Sのジェットを形成し、そこに液滴Q1が接触するようになっていてもよい。
1.4.ノズル部
ノズル部5は、溶融金属供給部2とタンク3との間に設けられている。ノズル部5は、流下する溶融金属Qに向けて流体ジェットJを噴射する。
ノズル部5は、溶融金属供給部2とタンク3との間に設けられている。ノズル部5は、流下する溶融金属Qに向けて流体ジェットJを噴射する。
図2は、図1に示すノズル部5の拡大図である。図3は、図2のノズル部5のうち、ノズル管52のみを示す部分断面斜視図である。この図3では、ノズル管52の一部を切り欠いている。図4は、図3に示すノズル管52を、後述する第2中心軸A2を含む平面で切断したときの断面図である。なお、図4では、溶融金属Qの挙動の一例も併せて図示している。
図2に示すノズル部5は、ノズル本体51と、ノズル管52と、を有している。
図2に示すノズル部5は、ノズル本体51と、ノズル管52と、を有している。
1.4.1.ノズル本体
ノズル本体51は、鉛直軸VAと平行に延在する第1貫通孔512と、流体ジェットJを噴出する噴出部514と、を備えている。なお、第1貫通孔512は、鉛直軸VAに対して傾いていてもよい。
ノズル本体51は、鉛直軸VAと平行に延在する第1貫通孔512と、流体ジェットJを噴出する噴出部514と、を備えている。なお、第1貫通孔512は、鉛直軸VAに対して傾いていてもよい。
第1貫通孔512は、円柱状をなす孔であり、ノズル本体51の上面から下面までつなぐように、ノズル本体51を貫通している。第1貫通孔512には、後述するノズル管52が挿入されている。ノズル管52は、鉛直軸VAと平行な第2中心軸A2に沿って延在する第2貫通孔522を備えている。溶融金属Qは、この第2貫通孔522を流下し、内部空間30に供給される。
図2に示す第1貫通孔512を第2中心軸A2を法線とする面で切断したときの断面形状は、真円であるが、それ以外の形状、例えば楕円、長円、多角形等であってもよい。また、第1貫通孔512の内径は、第2中心軸A2に沿って一定であっても、途中で変化していてもよい。
図2に示す噴出部514は、流体ジェットJを噴出する複数の噴出口5140を含んでいる。
複数の噴出口5140は、第2中心軸A2を中心とする同一の円周上に、好ましくは等間隔で配置されている。図3に示すように、各噴出口5140は、その軸A3が、第2中心軸A2上の一点に集束するように構成されている。これにより、各噴出口5140から噴出された流体ジェットJも、第2中心軸A2上の一点に集束する。
図3において、各軸A3と第2中心軸A2とのなす角度をαとするとき、角度αは、10°以上50°以下であるのが好ましく、20°以上40°以下であるのがより好ましい。これにより、流体ジェットJの噴出角度を最適化することができる。その結果、流体ジェットJと衝突した溶融金属Qが微細でかつ均一な粒径の液滴Q1となる。なお、角度αが前記下限値を下回ると、溶融金属Qを分断し、微細化するためのエネルギーを、流体ジェットJによって十分に与えられないおそれがある。一方、角度αが前記上限値を上回ると、流体ジェットJが上方にも飛散しやすくなり、溶融金属Qの流下が妨げられるおそれがある。
また、ノズル本体51は、その内部に設けられ、環状をなすガス室516と、ガス室516にガスを圧送する図示しないポンプと、を備えている。複数の噴出口5140は、それぞれガス室516に接続されている。これにより、各噴出口5140からは、同じ流量および流速で流体ジェットJが噴出する。
ノズル本体51の構成材料は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼のような金属材料、アルミナのようなセラミックス材料等が挙げられる。
流体ジェットJは、気体または液体のジェットである。気体としては、例えば窒素ガス、アルゴンガスのような不活性ガス、アンモニア分解ガスのような還元性ガス、空気等が挙げられる。一方、液体としては、例えば水が挙げられ、必要に応じて添加剤が添加されていてもよい。
なお、ノズル本体51の構成は、上記の構成に限定されない。例えば、ノズル本体51は複数の部品から組み立てられていてもよい。
1.4.2.ノズル管
ノズル管52は、前述したように、ノズル本体51の第1貫通孔512に挿入されている。ノズル管52の外周面と第1貫通孔512の内壁面との間には、隙間があってもよいし、双方が密着していてもよい。また、隙間を充填する介在物が設けられていてもよい。
ノズル管52は、前述したように、ノズル本体51の第1貫通孔512に挿入されている。ノズル管52の外周面と第1貫通孔512の内壁面との間には、隙間があってもよいし、双方が密着していてもよい。また、隙間を充填する介在物が設けられていてもよい。
図2に示すノズル管52は、多重構造になっている。具体的には、図2に示すノズル管52は、外管53と、外管53の内部に位置する内管54と、を含んでいる。外管53および内管54は、それぞれ円筒状をなしている。
ノズル管52において外側に位置する外管53は、図3および図4に示すように、第2中心軸A2に沿って延在する第3貫通孔532を有している。この第3貫通孔532の内部に、後述する内管54が挿入されている。図4に示す外管53は、直管である直管部534と、直管部534の上端に接続され、直管部534よりも外径が大きい拡径部536と、を備えている。直管部534の外径は、前述したノズル本体51の第1貫通孔512の内径と等しいか、第1貫通孔512の内径より小さい。これにより、直管部534は、第1貫通孔512に挿入可能になっている。また、拡径部536の外径は、第1貫通孔512の内径より大きい。これにより、第1貫通孔512に挿入された外管53は、拡径部536が第1貫通孔512の上端に係合するため、ノズル本体51に対して固定された状態で容易に保持される。なお、拡径部536は、必要に応じて設けられればよく、省略されていてもよい。
ノズル管52において内側に位置する内管54は、図3および図4に示すように、第2中心軸A2に沿って延在する、前述の第2貫通孔522を有している。この第2貫通孔522が、溶融金属Qが流下する経路になっている。図4に示す内管54は、直管である直管部544と、直管部544の上端に接続され、直管部544よりも外径が大きい拡径部546と、を備えている。直管部544の外径は、外管53の第3貫通孔532の内径と等しいか、第3貫通孔532の内径より小さい。これにより、直管部544は、第3貫通孔532に挿入可能になっている。また、拡径部546の外径は、第3貫通孔532の内径より大きい。これにより、第3貫通孔532に挿入された内管54は、拡径部546が第3貫通孔532の上端に係合するため、外管53に対して固定された状態で容易に保持される。なお、拡径部546は、必要に応じて設けられればよく、省略されていてもよい。
ノズル管52が以上のような多重構造になっていることにより、溶融金属Qが接する内管54を、外管53と分離することができる。このため、溶融金属Qとの接触によって内管54が消耗した場合でも、内管54のみを交換することによって、ノズル管52全体を交換する必要がなくなる。これにより、交換作業が容易になるとともに、消耗品のコストを削減することができる。なお、外管53の第3貫通孔532の内壁面を、例えば滑らかにしておくことで、第3貫通孔532に挿入される内管54の交換作業をより円滑に行うことができ、かつ、交換作業を行った場合でも外管53や内管54に損傷等が発生しにくくなるという利点もある。
ここで、第2貫通孔522は、円柱状をなしている孔である。そして、第2貫通孔522は、ノズル管52の上面から下面までつなぐように、ノズル管52を貫通している。
第2貫通孔522には、図2に示すように、その上端から溶融金属Qが供給され、下端から流下する。このとき、溶融金属Qは、第2貫通孔522の内壁面を伝って流下し、最終的には下端から落下するような挙動を示す。その後、落下する溶融金属Qに流体ジェットJを衝突させることにより、液滴Q1が形成される。
第2貫通孔522から流下する溶融金属Qは、図2に示すような連続した流れを形成する場合もあるが、詳細に見ると、例えば図4に示すような「しずく」の状態で落下している場合が多い。このしずくの形状や大きさは、特に限定されない。また、第2貫通孔522から流下する溶融金属Qのしずくの直径は、流体ジェットJと溶融金属Qとの衝突で発生する液滴Q1の直径より十分に大きい。したがって、溶融金属Qのしずくは、十分な高温を維持し、溶融状態のまま落下することができる。そして、溶融金属Qのしずくと流体ジェットJとの衝突により、微細な液滴Q1が形成される。
ところが、従来のノズル管では、流体ジェットJとノズル管とが干渉してしまい、流体ジェットJの流速を低下させたり、溶融金属Qと流体ジェットJとの衝突点がずれてしまったりする。そうすると、流体ジェットJが持つエネルギーを溶融金属Qの微細化に十分利用することができず、微細化が不十分になる。また、流体ジェットJとノズル管とが干渉すると、ノズル管の温度が低下し、溶融金属Qの温度も低下して粘性が上昇する。そうすると、溶融金属Qの流動性が低下するため、流体ジェットJと衝突しても、微細化が不十分になる。
そこで、本実施形態では、ノズル管52の形状を下記のように最適化することによって、溶融金属Qの十分な微細化を図っている。
図2ないし図4に示すように、内管54は、第2中心軸A2に沿った全長が、外管53よりも長くなっている。そして、内管54の直管部544の下端部5440は、外管53の第3貫通孔532から下方に突出している。
下端部5440の一部の外周側面5442は、第2中心軸A2を軸とする逆円錐台形の側面に対応する形状をなしている。「逆円錐台形の側面に対応する形状」とは、外周側面5442が逆円錐台形の側面の一部と重なっている形状のことをいう。すなわち、外周側面5442を第2中心軸A2を法線とする平面で切断したときの断面の内径は、第2中心軸A2の上方から下方に向かって、好ましくは一定の比率で減少している。なお、断面の内径が減少する比率は、一定でなくてもよい。
そして、外周側面5442は、第2中心軸A2に対する半頂角θが10°以上50°以下という傾斜面になっている。つまり、内管54の下端部5440は、テーパー状をなす外周側面5442を含んでいる。このような外周側面5442を設けることにより、流体ジェットJがノズル管52と干渉してしまうのを抑制することができる。これにより、干渉に伴って流体ジェットJの流速が低下したり、流体ジェットJの飛行経路がずれて溶融金属Qに衝突させることができなかったりする問題を解消または軽減することができる。その結果、流体ジェットJが持つエネルギーを溶融金属Qの微細化に十分利用することができ、微細な金属粉末Rを効率よく製造することができる。なお、第2中心軸A2に対する半頂角θとは、図4に示す断面図において、外周側面5442を延長したとき、その延長線と第2中心軸A2とのなす角度のことをいう。
また、流体ジェットJとノズル管52との干渉を抑制することによって、ノズル管52が流体ジェットJによって冷却されるのを抑制することができる。これにより、第2貫通孔522を流下する溶融金属Qの温度が低下しにくくなり、溶融金属Qの粘性が上昇するのを抑制することができる。これにより、溶融金属Qの微細化を図ることができ、微細な金属粉末Rを製造することができる。
さらに、流体ジェットJの流速を高く維持することができるので、ノズル管52の下方に、負圧の領域が形成されやすくなる。この負圧の領域は、第2貫通孔522を流下する溶融金属Qを下方に引っ張る駆動力となる。このため、粘性が高い溶融金属Qであっても、温度が高い状態で液滴化することができ、溶融金属Qの微細化が図られやすい。
なお、外周側面5442の半頂角θは、前述したように10°以上50°以下とされるが、好ましくは20°以上40°以下とされる。外周側面5442の半頂角θが前記下限値を下回ると、外周側面5442は、第2中心軸A2に対する傾斜角度が小さくなる。このため、相対的に、外周側面5442の下端部が外側に張り出しやすくなり、その張り出した部分と流体ジェットJとが干渉しやすくなる。一方、外周側面5442の半頂角θが前記上限値を上回ると、外周側面5442は、第2中心軸A2に対する傾斜角度が大きくなる。このため、相対的に、外周側面5442の上端部が外側に張り出しやすくなり、その張り出した部分と流体ジェットJとが干渉しやすくなる。
図4に示す外周側面5442は、第2中心軸A2を含む平面で切断されたときの断面形状が直線となる面であるが、断面形状が曲線となる面であってもよい。その場合、曲線の上端と下端とをつなぐ直線を仮想し、その直線に基づいて半頂角θを求めるようにすればよい。
また、直管部544の下端部5440の内周側面5444は、第2貫通孔522の内周面の一部であり、第2中心軸A2と平行な面である。また、外周側面5442と内周側面5444との間は、下端面5446を介して接続されている。
下端面5446は、水平面と平行な面である。本実施形態に係るノズル管52の内管54は、外周側面5442の下端に連続し、水平面と平行な下端面5446を有している。このような下端面5446を設けることにより、図4に示す、下端部5440の最下部の肉厚t2を確保することができる。これにより、下端部5440の機械的強度を確保することができ、下端部5440に欠けや割れ等が発生するのを抑制することができる。また、最下部に至るまで肉厚t2が確保されていることにより、最下部まで下端部5440の断熱性が維持されることになる。これにより、最下部に到達した溶融金属Qの温度が下がりにくくなり、溶融金属Qの粘性が上昇するのを抑制することができる。その結果、溶融金属Qを十分に微細化することができる。なお、下端面5446は、水平面に対して傾いていてもよいが、その場合、水平面に対する傾斜角度が10°以下であれば、上記と同様の効果が期待できる。
内周側面5444は、前述したように、第2中心軸A2と平行な面であるため、外周側面5442が傾斜面になっていても、内周側面5444を設けることによって、下端部5440の最下部の肉厚t2が急激に薄くなるのを防止することができる。これにより、前述したように、下端部5440の機械的強度を確保することができ、下端部5440に欠けや割れ等が発生するのを抑制することができる。また、前述したように、最下部に至るまで肉厚t2が確保されていることにより、最下部まで下端部5440の断熱性が維持されることになる。これにより、最下部に到達した溶融金属Qの温度が下がりにくくなり、溶融金属Qの粘性が上昇するのを抑制することができる。その結果、溶融金属Qを十分に微細化することができる。なお、内周側面5444は、第2中心軸A2に対して傾いていてもよいが、その場合、第2中心軸A2に対する傾斜角度が10°以下であれば、上記と同様の効果が期待できる。
なお、下端面5446は、必要に応じて設けられればよく、省略されていてもよい。
なお、下端面5446は、必要に応じて設けられればよく、省略されていてもよい。
図4に示す直管部544の肉厚t1は、特に限定されないが、0.5mm以上10.0mm以下であるのが好ましく、1.0mm以上5.0mm以下であるのがより好ましく、1.0mm以上3.0mm以下であるのがさらに好ましい。肉厚t1がこのような範囲内であれば、直管部544において必要かつ十分な機械的強度を確保しつつ、熱衝撃に伴う破損や亀裂等の発生を十分に抑制することができる。したがって、肉厚t1が前記下限値を下回ると、直管部544の機械的強度が低下するおそれがあり、肉厚t1が前記上限値を上回ると、熱分布が生じやすくなって、直管部544の破損や亀裂等が発生しやすくなるおそれがある。
図4に示す下端部5440の最下部の肉厚t2は、特に限定されないが、肉厚t1の5%以上90%以下であるのが好ましく、10%以上80%以下であるのがより好ましく、20%以上70%以下であるのがさらに好ましい。肉厚t1に対する肉厚t2の割合を前記範囲内に収めることにより、下端部5440の機械的強度を確保するとともに、下端部5440の断熱性を確保することができる。
また、図3に示す第2貫通孔522を、第2中心軸A2を法線とする面で切断したときの断面形状は、真円であるが、これに限定されず、それ以外の形状、例えば楕円、長円、多角形等であってもよい。また、第2貫通孔522の内径φ2は、第2中心軸A2に沿って一定であっても、途中で変化していてもよい。第2貫通孔522の内径φ2は、特に限定されないが、1.0mm以上30mm以下であるのが好ましく、2.0mm以上20mm以下であるのがより好ましい。
以上、本実施形態では、内管54が、前述した第2中心軸A2に対して傾斜する外周側面5442を有しているが、これに加え、外管53も、第2中心軸A2に対して傾斜する外周側面を有していてもよい。
一方、本実施形態に係るノズル管52では、外管53の構成材料と内管54の構成材料とが異なっている。これにより、外管53の構成材料については、後述するように、例えば機械的強度を重視した材料を選択し、内管54の構成材料については、後述するように、例えば熱特性を重視した材料を選択することができる。つまり、外管53と内管54とで、機能に応じた構成材料の選択が可能になる。これにより、内管54の熱特性を最適化することができ、それを活かして、溶融金属Qの微細化を十分に図ることができる。また、ノズル管52が多重構造になっているため、内管54のみを交換することが可能になり、ノズル管52全体を交換するよりも交換の作業効率を高めることができる。さらに、内管54が仮に破損したとしても、溶融金属Qがノズル管52の外側に漏れ出すのを防止することができる。これにより、復旧作業を迅速に行うことができ、金属粉末製造装置1の稼働率を高めることができる。
内管54の構成材料は、耐火材であれば特に限定されないが、熱膨張係数が1×10−6[/℃]以下であるのが好ましく、5×10−7[/℃]以下であるのがより好ましい。内管54の構成材料の熱膨張係数が前記範囲内であれば、内管54の耐熱性を特に高めることができる。具体的には、高温の溶融金属Qと接触しても、熱膨張が抑えられ、破損や亀裂等が発生しにくい内管54を実現することができる。また、熱膨張に伴う内管54の変形も抑えることができる。これにより、内管54の形状を長期にわたって高精度に維持することができ、金属粉末製造装置1の稼働率を高めることができる。なお、上記の熱膨張係数は、常温において測定された値とする。
内管54の構成材料としては、例えば、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスのようなガラス材料、アルミナ、ジルコニアのようなセラミックス材料、黒鉛のような炭素材料、耐熱鋼のような金属材料等が挙げられる。このうち、内管54の構成材料は、ガラス材料であるのが好ましく、石英ガラスであるのがより好ましい。ガラス材料、特に石英ガラスは、熱膨張係数が非常に小さいことから、耐熱衝撃性に優れた内管54を実現することができる。また、ガラス材料は、内管54の表面粗さを小さくしやすいため、溶融金属Qの流下抵抗を減少させやすいという観点からも有用である。
内管54の構成材料の常温での熱伝導率は、外管53の構成材料の常温での熱伝導率より低いことが好ましい。これにより、内管54の断熱性を確保することができるので、溶融金属Qの温度が下がりにくくなり、溶融金属Qの粘性が上昇するのを抑制することができる。その結果、溶融金属Qを十分に微細化することができる。
内管54の構成材料の常温での熱伝導率は、11.0[W/(m・K)]以下であるのが好ましく、0.1[W/(m・K)]以上4.0[W/(m・K)]以下であるのがより好ましい。熱伝導率が前記範囲内であれば、内管54の断熱性を確保することができるので、溶融金属Qの温度が下がりにくくなり、溶融金属Qの粘性が上昇するのを抑制することができる。その結果、溶融金属Qを十分に微細化することができる。なお、熱伝導率が前記下限値を下回っていてもよいが、熱伝導率が小さすぎた場合、内管54において熱分布が大きくなり、内管54の割れ等を生じるおそれがある。
また、内管54の構成材料の常温での熱伝導率と、外管53の構成材料の常温での熱伝導率と、の差は、特に限定されないが、1.0[W/(m・K)]以上30.0[W/(m・K)]以下であるのが好ましく、3.0[W/(m・K)]以上20.0[W/(m・K)]以下であるのがより好ましい。これにより、内管54の断熱性を確保しつつ、その一方、外管53の熱伝導性を高めることによって、内管54の熱分布を特に抑えることができる。
外管53の構成材料としては、例えば、金属材料、セラミックス材料、ガラス材料、炭素材料等が挙げられるが、特に金属材料が好ましく用いられる。金属材料は、機械的強度が高いため、交換頻度が低い外管53の構成材料として有用である。つまり、金属材料を用いることにより、熱衝撃を何度も受けたり、内管54との接触を繰り返したりしても、破損しにくい外管53が得られる。したがって、ノズル部5の長寿命化を図ることができる。
外管53の構成材料として用いられる金属材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム合金等が挙げられる。
外管53と内管54との間は、密着していてもよいが、隙間があることが好ましい。これにより、隙間が断熱層となり、内管54の断熱性をさらに高めることができる。なお、外管53と内管54との間に、任意の介在物を充填するようにしてもよい。また、外管53と内管54との隙間の上端および下端は、それぞれ封止剤等で封止しておくようにしてもよい。これにより、隙間が閉空間になるため、断熱性をより高めることができる。
以上のように、本実施形態に係る金属粉末製造装置1は、流下する溶融金属Qに流体ジェットJを衝突させることにより、金属粉末Rを製造する装置であって、中心軸である第2中心軸A2に沿って延在する第1貫通孔512と、流体ジェットJを噴出する噴出部514と、を備えるノズル本体51と、第1貫通孔512の内部に設けられ、第2中心軸A2に沿って延在し、内部を溶融金属Qが流下する第2貫通孔522を備えるノズル管52と、を有している。そして、ノズル管52は、外管53と、外管53の内部に設けられ、第2貫通孔522を備える内管54と、を含む多重構造を有している。このうち、ノズル管52が備える内管54の下端部5440の外周側面5442は、第2中心軸A2を軸とする逆円錐台形の側面に対応する形状をなしている。また、外周側面5442の第2中心軸A2に対する半頂角θは、10°以上50°以下である。さらに、外管53の構成材料と内管54の構成材料とが異なっている。
このような構成によれば、内管54の下端部5440にテーパー状をなす外周側面5442を設けることにより、流体ジェットJがノズル管52と干渉してしまうのを抑制することができ、溶融金属Qの微細化を図ることができる。また、ノズル管52を多重化して、外管53と内管54とで構成材料を異ならせることにより、装置の稼働率を下げることなく、内管54の構成材料を最適化することができ、溶融金属Qの十分な微細化を図ることができる。これらの結果、より微細な金属粉末Rを効率よく製造することができる。
また、前述した図3に示す角度αと、図4に示す半頂角θと、の関係は、特に限定されないが、角度αに対する半頂角θの比θ/αを最適化することによって、上記効果がより顕著になる。具体的には、比θ/αは、0.3以上1.8以下であるのが好ましく、0.6以上1.5以下であるのがより好ましい。これにより、外周側面5442に近接させて流体ジェットJを通過させやすくなるため、流体ジェットJと溶融金属Qとの衝突点を、内管54の下端に近づけやすくなる。その結果、溶融金属Qの温度が十分に高く、粘性が低い状態で、流体ジェットJと衝突させることができ、より微細な金属粉末Rをより効率よく製造することができる。
2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係る金属粉末製造装置について説明する。
次に、第2実施形態に係る金属粉末製造装置について説明する。
図5は、第2実施形態に係る金属粉末製造装置1が備えるノズル管の断面図である。図6は、図5のノズル管の変形例を示す断面図である。
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図5において、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
前述した第1実施形態では、ノズル管52が備える内管54の下端部5440の外周側面5442が、逆円錐台形の側面に対応する形状をなしている。これに対し、本実施形態では、ノズル管52Aが備える外管53の下端部5340の外周側面5342が、第2中心軸A2を軸とする逆円錐台形の側面に対応する形状をなしている。すなわち、外周側面5342を第2中心軸A2を法線とする平面で切断したときの断面の内径は、第2中心軸A2の上方から下方に向かって、好ましくは一定の比率で減少している。また、外周側面5342は、第2中心軸A2に対する半頂角θが10°以上50°以下という傾斜面になっている。したがって、本実施形態は、第1実施形態に係る内管54の外周側面5442が担う機能を、外管53の外周側面5342が担うように構成されている以外、第1実施形態と同様である。
そして、本実施形態に係るノズル管52Aは、第1実施形態に係るノズル管52と同様の効果を奏する。
すなわち、外周側面5342を設けることにより、流体ジェットJがノズル管52Aと干渉してしまうのを抑制することができる。これにより、干渉に伴って流体ジェットJの流速が低下したり、流体ジェットJの飛行経路がずれて溶融金属Qに衝突させることができなかったりする問題を解消または軽減することができる。その結果、流体ジェットJが持つエネルギーを溶融金属Qの微細化に十分利用することができ、微細な金属粉末Rを効率よく製造することができる。
また、流体ジェットJとノズル管52Aとの干渉を抑制することによって、ノズル管52Aが流体ジェットJによって冷却されるのを抑制することができる。これにより、第2貫通孔522を流下する溶融金属Qの温度が低下しにくくなり、溶融金属Qの粘性が上昇するのを抑制することができる。これにより、溶融金属Qの微細化を図ることができ、微細な金属粉末Rを製造することができる。
さらに、流体ジェットJの流速を高く維持することができるので、ノズル管52Aの下方に、負圧の領域が形成されやすくなる。この負圧の領域は、第2貫通孔522を流下する溶融金属Qを下方に引っ張る駆動力となる。このため、粘性が高い溶融金属Qであっても、温度が高い状態で液滴化することができ、溶融金属Qの微細化が図られやすい。
なお、外周側面5342の半頂角θは、前述したように10°以上50°以下とされるが、好ましくは20°以上40°以下とされる。外周側面5342の半頂角θが前記下限値を下回ると、外周側面5342は、第2中心軸A2に対する傾斜角度が小さくなる。このため、相対的に、外周側面5342の下端部が外側に張り出しやすくなり、その張り出した部分と流体ジェットJとが干渉しやすくなる。一方、外周側面5342の半頂角θが前記上限値を上回ると、外周側面5342は、第2中心軸A2に対する傾斜角度が大きくなる。このため、相対的に、外周側面5342の上端部が外側に張り出しやすくなり、その張り出した部分と流体ジェットJとが干渉しやすくなる。
また、図5に示す外周側面5342は、第2中心軸A2を含む平面で切断されたときの断面形状が直線となる面であるが、断面形状が曲線となる面であってもよい。その場合、曲線の上端と下端とをつなぐ直線を仮想し、その直線に基づいて半頂角θを求めるようにすればよい。
さらに、図5に示す内管54の下端面5446は、外管53の下端面5346よりも下方に突出している。この場合、外周側面5342を含む逆円錐台形の側面を仮想したとき、外管53の下端面5346は、逆円錐台形の側面よりも上方に位置しているのが好ましい。これにより、内管54が流体ジェットJと干渉しにくくなる。その結果、上述した効果がより確実に発揮される。
一方、図6は、図5に示すノズル管52Aの変形例である。図6に示すノズル管52Bでは、第2中心軸A2に沿った内管54の全長が、外管53よりも短くなっている。これにより、図6に示す内管54の下端面5446は、外管53の下端面5346よりも上方に後退している。その結果、内管54は、流体ジェットJとさらに干渉しにくくなり、上述した効果が特に確実に発揮される。
以上のような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。なお、内管54の下端面5446は、外管53の下端面5346と同じ位置にあってもよい。
以上、本発明の金属粉末製造装置について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。例えば、本発明の金属粉末製造装置は、前記実施形態に係る各部の構成を、同様の機能を発揮する任意の構成に置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
3.金属粉末の製造
(実施例1)
図1〜4に示す金属粉末製造装置により、金属粉末を製造した。なお、金属粉末製造装置の構成については表1に示す通りである。また、ノズル部から噴出させる流体ジェットには窒素ガスを用い、冷却液流出部から流出させる冷却液には水を使用した。さらに、溶融金属の原材料には、SUS304Lを使用した。また、ノズル管52の内径は、10mmとした。さらに、図3に示す角度αを30°とし、図4に示す半頂角θを10°とした。また、角度αに対する半頂角θの比θ/αは、表1に示す通りである。
3.金属粉末の製造
(実施例1)
図1〜4に示す金属粉末製造装置により、金属粉末を製造した。なお、金属粉末製造装置の構成については表1に示す通りである。また、ノズル部から噴出させる流体ジェットには窒素ガスを用い、冷却液流出部から流出させる冷却液には水を使用した。さらに、溶融金属の原材料には、SUS304Lを使用した。また、ノズル管52の内径は、10mmとした。さらに、図3に示す角度αを30°とし、図4に示す半頂角θを10°とした。また、角度αに対する半頂角θの比θ/αは、表1に示す通りである。
(実施例2〜8)
金属粉末製造装置の構成を表1に示すように変更した以外は、それぞれ実施例1と同様にして金属粉末を得た。
金属粉末製造装置の構成を表1に示すように変更した以外は、それぞれ実施例1と同様にして金属粉末を得た。
(比較例1〜6)
金属粉末製造装置の構成を表1に示すように変更した以外は、それぞれ実施例1と同様にして金属粉末を得た。
金属粉末製造装置の構成を表1に示すように変更した以外は、それぞれ実施例1と同様にして金属粉末を得た。
4.金属粉末の評価
4.1.粒径の評価
製造した金属粉末の平均粒径を測定した。測定には、レーザー回折方式の粒度分布測定装置を使用し、体積基準の累積分布において小径側から累積50%になるときの粒径を平均粒径として採用した。そして、測定結果を以下の評価基準に照らして評価した。
4.1.粒径の評価
製造した金属粉末の平均粒径を測定した。測定には、レーザー回折方式の粒度分布測定装置を使用し、体積基準の累積分布において小径側から累積50%になるときの粒径を平均粒径として採用した。そして、測定結果を以下の評価基準に照らして評価した。
(粒径の評価基準)
A:粒径が特に小さい(平均粒径が3.5μm未満である)
B:粒径が小さい(平均粒径が3.5μm以上5.0μm未満である)
C:粒径がやや小さい(平均粒径が5.0μm以上6.5μm未満である)
D:粒径がやや大きい(平均粒径が6.5μm以上8.0μm未満である)
E:粒径が大きい(平均粒径が8.0μm以上である)
以上の評価結果を表1に示す。
A:粒径が特に小さい(平均粒径が3.5μm未満である)
B:粒径が小さい(平均粒径が3.5μm以上5.0μm未満である)
C:粒径がやや小さい(平均粒径が5.0μm以上6.5μm未満である)
D:粒径がやや大きい(平均粒径が6.5μm以上8.0μm未満である)
E:粒径が大きい(平均粒径が8.0μm以上である)
以上の評価結果を表1に示す。
4.2.ノズル管の損傷の評価
ノズル管の損傷しやすさを評価するため、ノズル管に溶融金属を通過させる操作と、ノズル管をガス流で冷却する操作と、を50回繰り返す評価試験を行った。なお、各操作のたびに、ノズル本体からノズル管を抜き取り、再び差し込む操作を併せて行った。そして、評価試験後のノズル管の外観を、以下の評価基準に照らして評価した。
ノズル管の損傷しやすさを評価するため、ノズル管に溶融金属を通過させる操作と、ノズル管をガス流で冷却する操作と、を50回繰り返す評価試験を行った。なお、各操作のたびに、ノズル本体からノズル管を抜き取り、再び差し込む操作を併せて行った。そして、評価試験後のノズル管の外観を、以下の評価基準に照らして評価した。
(ノズル管の外管の評価基準)
A:評価試験後のノズル管の外観に損傷が認められない
B:評価試験後のノズル管の外観にわずかな損傷が認められる
C:評価試験後のノズル管の外観に多数の損傷が認められる
以上の評価結果を表1に示す。
A:評価試験後のノズル管の外観に損傷が認められない
B:評価試験後のノズル管の外観にわずかな損傷が認められる
C:評価試験後のノズル管の外観に多数の損傷が認められる
以上の評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、各実施例では、微細な粒径の金属粉末を製造することができた。特に半頂角θおよび比θ/αを最適化した場合、この傾向が顕著であった。また、各実施例では、ノズル管が損傷を受けにくいことも認められた。以上のことから、本発明によれば、より微細な金属粉末を、高い装置稼働率を維持しながら効率よく製造可能な金属粉末製造装置を実現し得ることが認められた。
1…金属粉末製造装置、2…溶融金属供給部、3…タンク、4…冷却液流出部、5…ノズル部、6…加熱用コイル、7…蓋部材、8…回収容器、9…ノズル管、21…吐出口、30…内部空間、41…冷却液流出口、51…ノズル本体、52…ノズル管、52A…ノズル管、52B…ノズル管、53…外管、54…内管、71…貫通孔、90…溶融金属流、91…外側面、92…内側面、93…下端面、95…内部、512…第1貫通孔、514…噴出部、516…ガス室、522…第2貫通孔、532…第3貫通孔、534…直管部、536…拡径部、544…直管部、546…拡径部、5140…噴出口、5340…下端部、5342…外周側面、5346…下端面、5440…下端部、5442…外周側面、5444…内周側面、5446…下端面、A1…第1中心軸、A2…第2中心軸、G…ガスジェット、J…流体ジェット、Q…溶融金属、Q1…液滴、R…金属粉末、S…冷却液、S1…冷却液層、VA…鉛直軸、t1…肉厚、t2…肉厚、θ…半頂角、φ2…内径
Claims (5)
- 流下する溶融金属に流体ジェットを衝突させることにより、金属粉末を製造する金属粉末製造装置であって、
中心軸に沿って延在する第1貫通孔と、前記流体ジェットを噴出する噴出部と、を備えるノズル本体と、
前記第1貫通孔の内部に設けられ、前記中心軸に沿って延在し、内部を前記溶融金属が流下する第2貫通孔を備えるノズル管と、
を有し、
前記ノズル管の下端部の外周側面は、前記中心軸を軸とする逆円錐台形の側面に対応する形状をなしており、
前記外周側面の前記中心軸に対する半頂角は、10°以上50°以下であり、
前記ノズル管は、外管と、前記外管の内部に設けられ、前記第2貫通孔を備える内管と、を含む多重構造を有しており、
前記外管の構成材料と前記内管の構成材料とが異なっていることを特徴とする金属粉末製造装置。 - 前記ノズル管は、前記外周側面の下端に連続し、水平面と平行な下端面を有している請求項1に記載の金属粉末製造装置。
- 前記内管の構成材料の熱膨張係数は、1×10−6[/℃]以下である請求項1または2に記載の金属粉末製造装置。
- 前記内管の構成材料は、石英ガラスである請求項3に記載の金属粉末製造装置。
- 前記内管の構成材料の常温での熱伝導率は、11.0[W/(m・K)]以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の金属粉末製造装置。
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