以下、本発明の噴霧装置、噴霧乾燥造粒装置および造粒粉末の製造方法について、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<噴霧乾燥造粒装置>
まず、本発明の噴霧乾燥造粒装置の実施形態およびそれに含まれる本発明の噴霧装置の実施形態について説明する。
図1は、本発明の噴霧乾燥造粒装置の実施形態を示す縦断面図、図2は、図1に示す噴霧乾燥造粒装置のうち噴霧装置を拡大して示す斜視図である。また、図3は、図2に示す噴霧装置の上面図であり、図4は、図3のA−A線断面図であり、図5は、図3のB−B線断面図である。また、図6は、図2に示す噴霧装置のうち一部を拡大して示す分解斜視図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図1、4、5の上方を「上」、下方を「下」として説明する。
図1に示す噴霧乾燥造粒装置1は、スラリー9を噴霧する噴霧装置2(本発明の噴霧装置の実施形態)と、噴霧装置2にスラリー9を供給するスラリー供給部3(スラリー供給手段)と、噴霧装置2によって形成されたスラリー9の液滴91を乾燥させる乾燥部4(乾燥手段)と、噴霧装置2等を収容するチャンバー5と、チャンバー5内を排気する排気部6と、チャンバー5内に製造された造粒粉末を回収する回収部7と、を有する。このような噴霧乾燥造粒装置1は、スラリー9を噴霧しつつ乾燥させることにより、無機粉末を造粒し、造粒粉末を製造する。以下、各部について説明する。
ここで、噴霧乾燥造粒装置1の説明に先立ち、スラリー9について説明する。スラリー9は、無機粉末と有機バインダーとを含む懸濁液である。
このうち、無機粉末は、特に限定されず、いかなる種類の粉末であってもよい。無機粉末の構成材料としては、例えば、Mg、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、In、Sn、Ta、W等の金属の単体、またはこれらの少なくとも1種を含む合金のような金属材料の他、各種セラミックス材料が挙げられる。
また、より具体的な金属材料としては、例えば、ステンレス鋼、低炭素鋼、炭素鋼、耐熱鋼、ダイス鋼、高速度工具鋼、Fe−Ni合金、Fe−Ni−Co合金等が挙げられる。このうち、ステンレス鋼としては、例えば、SUS304、SUS316、SUS317、SUS329、SUS410、SUS430、SUS440、SUS630等が挙げられる。
また、無機粉末の平均粒径は、好ましくは1μm以上30μm以下、より好ましくは2μm以上20μm以下とされ、さらに好ましくは3μm以上10μm以下とされる。このような粒径の無機粉末は、成形時の圧縮性の低下を避けつつ、造粒粉末の流動性が十分に高くなるため、最終的に十分に緻密な焼結体を製造可能なものとなる。
なお、平均粒径が前記下限値未満である場合、造粒前において無機粉末が凝集し易くなり、造粒粉末の粒子間において無機粉末の含有量にばらつきが生じたり、成形時の圧縮性が著しく低下したりするおそれがある。一方、平均粒径が前記上限値を超える場合、成形した際に、造粒粉末の粒子間の隙間が大きくなり過ぎて、最終的に得られる焼結体の緻密化が不十分になるおそれがある。
また、無機粉末の平均粒径とは、レーザー回折法により得られた粒度分布において、質量基準の粒度の累積が小径側から50%のときの粒径のことである。
このような無機粉末は、いかなる方法で製造されたものでもよいが、例えば、アトマイズ法(水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、高速回転水流アトマイズ法等)、還元法、カルボニル法、粉砕法等の方法により製造されたものを用いることができる。
一方、有機バインダーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはこれらの共重合体等の各種樹脂や、ワックス類、アルコール類、高級脂肪酸、脂肪酸金属、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、非イオン性界面活性剤、シリコーン系滑剤等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
このうち、有機バインダーは、ポリビニルアルコールまたはその誘導体(以下、省略して単に「ポリビニルアルコール」という。)を含むことが好ましい。ポリビニルアルコールは、結着性が高いため、比較的少量であっても効率よく造粒粉末を形成することができる。また、熱分解性も高いことから、脱脂および焼成の際に、短時間で確実に分解、除去することが可能になる。
ポリビニルアルコールとしては、重量平均分子量が2000〜200000程度のものが好ましく用いられ、5000〜150000程度のものがより好ましく用いられる。このようなポリビニルアルコールは、粘度や熱分解性が有機バインダーとして最適である。具体的には、造粒時の無機粉末の粒子同士の結着性や、造粒粉末の成形時の崩壊性、成形体の保形性等を並立させることができる。その結果、密度と寸法精度に優れた焼結体を得ることができる。
なお、ポリビニルアルコールの誘導体とは、炭素原子に結合した水素原子が各種官能基で置換されてなるものをいい、官能基としては、例えば、アルキル基、シリル基、アクリレート基等が挙げられる。
噴霧装置2は、スラリー供給部3から供給されたスラリー9をチャンバー5内に噴霧する装置である。具体的には、噴霧装置2は、駆動部21と、駆動部21によって回転するときの回転軸Oが挿通する回転シャフト22と、回転シャフト22の下端に固定された噴霧盤23と、噴霧盤23に向けてスラリー9を吐出する吐出ノズル24と、を備えている。この噴霧装置2により、スラリー9が液滴91に微細化される。そして、液滴91を乾燥させることにより、造粒粉末が生成される。なお、噴霧装置2については、後に詳述する。
スラリー供給部3は、スラリー9を貯留するスラリータンク31と、スラリータンク31に貯留されたスラリー9を噴霧装置2に送る配管32と、を備えている。また、スラリー供給部3は、図示しないポンプを備えており、噴霧装置2に対してスラリー9を高圧で供給することができる。
乾燥部4は、熱風発生器41と、熱風発生器41で発生させた熱風をチャンバー5内に送る配管42と、を備えている。乾燥部4で発生させた熱風は、チャンバー5内において液滴91を短時間に乾燥させる。これにより、液滴91中の溶媒が揮発するとともに、無機粉末の粒子同士が有機バインダーを介して結着し、造粒粉末を製造することができる。
チャンバー5は、液滴91が噴霧される内部空間を備えた容器である。具体的には、液滴91が噴霧されるとともに乾燥される乾燥室51と、乾燥部4で発生させた熱風を乾燥室51へ向かって降下させるダクト52と、を備えている。
乾燥室51の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、上部が円筒状をなしており、下部は円錐状になっている。
ダクト52は、噴霧装置2を取り囲むように設けられ、噴霧装置2の回転シャフト22の回転軸Oとほぼ平行するように熱風を降下させることができる。これにより、噴霧装置2によって噴霧された液滴91を速やかに乾燥させることができる。
排気部6は、チャンバー5から延びる配管61と、図示しないポンプと、を備えている。配管61の一端は、チャンバー5の上下方向の中間部に配置されている。これにより、排気部6は、チャンバー5内に浮遊する微細な粉末ごと、チャンバー5内を排気することができる。
回収部7は、チャンバー5の下方に設けられており、チャンバー5内で製造された造粒粉末を配管71の他、配管71を開閉するための図示しないバルブ等を備えている。チャンバー5内において製造された造粒粉末は、自然落下しながらチャンバー5の下方に溜まる。そして、回収部7から回収することができる。
<噴霧装置>
次に、本発明の噴霧装置の実施形態について詳述する。
噴霧装置2は、図1に示すように、駆動部21と、回転シャフト22と、噴霧盤23と、を備えている。また、噴霧装置2は、図2に示すように、さらに吐出ノズル24を備えている。
駆動部21は、回転シャフト22を回転駆動させる機構を備えている。具体的には、図1に図示した駆動部21内に駆動用モーターのような駆動源が設けられていてもよく、駆動部21の外部に設けられた駆動用モーターの動力がベルト等を介して駆動部21に伝達され、回転シャフト22が回転駆動されるようになっていてもよい。
回転シャフト22は、その回転軸Oが鉛直方向と平行になるように配置されており、上端が駆動部21に接続され、下端が噴霧盤23に接続されている。これにより、駆動部21における駆動力は、回転シャフト22を介して噴霧盤23に伝達され、噴霧盤23を回転駆動することができる。
噴霧盤23は、鉛直方向からの平面視において円形をなす下部円板231(基板)と、平面視において円環状をなす上部円板232と、下部円板231と上部円板232との間に設けられ、両者を接続する複数のピン233と、を備えている。
このうち、下部円板231は、その円の中心が回転シャフト22の下端に固定されている。これにより、下部円板231は、回転シャフト22の回転とともに回転する。また、回転シャフト22の回転軸Oは、下部円板231の上面(一方の面)と直交している。このため、回転シャフト22が回転するとき、その回転面は、下部円板231の上面と平行である。なお、このような位置関係は、特に限定されず、例えば、回転軸Oは、下部円板231の上面と直交していなくてもよい。
また、上部円板232は、下部円板231の上方に設けられている。そして、上部円板232の円環が、回転シャフト22の回転軸Oに対して同心円を描くように配置されている。これにより、上部円板232は、回転シャフト22から離間している。
また、上部円板232と回転シャフト22との間には、吐出ノズル24が挿通されている。これにより、噴霧盤23に干渉することなく、吐出ノズル24の先端を噴霧盤23の内側に配置することが可能になる。すなわち、噴霧盤23と吐出ノズル24とは、構造上、互いに分離されているため、噴霧盤23が回転しているとき、吐出ノズル24は、例えば図3に示す姿勢を維持し続けることができる。
各ピン233の形状は特に限定されず、円錐形、括れ形、角柱形、円柱形等が挙げられるが、本実施形態では円柱形をなしている。そして、ピン233の軸線が下部円板231の上面と直交するように、各ピン233が配置されている(立てられている)。
また、各ピン233は、下部円板231が回転することによって描く円の円周に沿って配置されている。すなわち、下部円板231は、平面視において円形をなしており、その中心が回転軸Oと一致していることから、各ピン233は、下部円板231の外縁に沿って配置されている。
さらに、各ピン233は、下部円板231と上部円板232とを接続している。換言すれば、下部円板231および上部円板232によって各ピン233の間隔が固定されている。加えて、各ピン233により、下部円板231の上面と上部円板232の下面とが互いに平行になるように保持されている。
吐出ノズル24は、鉛直方向に延在する鉛直ノズル241と、鉛直ノズル241の下端に接続され、水平方向に延在する上板242(第1の部材)と、上板242の下方に設けられ、水平方向に延在する下板243(第2の部材)と、上板242と下板243との間に設けられているスペーサー244と、を含んでいる。そして、図6に示すように、スペーサー244を介して上板242と下板243とが積層されている。
また、上板242と下板243との間には、スペーサー244の厚さに相当する距離の隙間245が形成されている。この隙間245は、鉛直ノズル241と連通している。
さらに、鉛直ノズル241は、図1に示すスラリー供給部3の配管32と接続されている。これにより、スラリータンク31に貯留されたスラリー9は、配管32および鉛直ノズル241を順次経て、隙間245から吐出される。したがって、隙間245は、スラリー9を吐出する吐出口として機能する。
隙間245から吐出されたスラリー9は、噴霧盤23で噴霧され、液滴91となる。そして、この液滴91を乾燥させることにより、造粒粉末が製造される。
ところで、このような吐出ノズル24では、吐出ノズル24に供給するスラリー9の単位時間当たりの供給量を増やすことによって、造粒粉末の生産速度を高めることが望まれる。しかしながら、従来は、吐出ノズル24における吐出量を増やすと、造粒粉末の回収率(造粒歩留まり)が低下するという課題があった。
そこで、本発明者は、かかる課題を解決する手段について鋭意検討を重ねた。そして、スラリー9の吐出量を増やした場合、従来の噴霧装置では、スラリー9を十分に微細化することができていなかったことを見出した。その上で、上板242と下板243との隙間245からピン233に向けてスラリー9を吐出することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本実施形態に係る吐出ノズル24は、下部円板231の上面側であって、かつ、各ピン233よりも回転シャフト22側(回転軸O側)に設けられている(図2〜4参照)。また、隙間245は、ピン233に向けてスラリー9を吐出し得るようになっている。すなわち、本実施形態に係る隙間245は、下部円板231の上面と平行な方向にスラリー9を吐出する(図5参照)。なお、本実施形態に係る下部円板231は、その上面が回転面と平行であるため、隙間245は、回転面と平行な方向にスラリー9を吐出するともいえる。
このような隙間245から吐出されたスラリー9は、下部円板231や上部円板232に当たることなく、各ピン233に直接当たる確率が高くなる。各ピン233は、前述したように、下部円板231の外縁に沿って並んでいる。したがって、各ピン233は、下部円板231とともに回転駆動され、その状態において隙間245からスラリー9が吐出される。このとき、吐出されたスラリー9は、各ピン233に当たるとともに、そのときの衝撃力とピン233が回転する力とによって多数の液滴91に微細化される(噴霧される)。そして、形成された多数の液滴91は、遠心力によって回転面の外側へ飛散する。このようにして飛散した液滴91を乾燥させることにより、造粒粉末が製造される。
ここで、従来の噴霧装置では、吐出ノズルが管体で構成されており、管体の先端からスラリーが吐出される。このため、スラリーの吐出量は、噴霧装置内において偏りを生じ、吐出量が多い箇所ではスラリーを微細化し切れない場合が出てくる。特にスラリーの単位時間当たりの供給量を増やしたときには、かかる傾向が顕著になる。
これに対し、本実施形態では、上板242と下板243との隙間245からスラリー9が吐出されるようになっている。このようにすることで、スラリー供給部3から吐出ノズル24に供給されるスラリー9の供給量を増やしたときでも、スラリー9が隙間245内で薄く広がりつつ、隙間245の端から吐出されることとなる。このため、スラリー9は吐出ノズル24(隙間245)の全体から均等に吐出され易くなり、部分的に多量のスラリー9が吐出されることが抑制される。これにより、吐出されたスラリー9をピン233において高い確率で分断し、微細化することができ、前述したようなスラリーを微細化し切れないという問題が生じ難くなる。このため、スラリー9の単位時間当たりの供給量を増やしたときでも、十分な微細化の進行を図ることができる。その結果、造粒粉末として回収される割合(造粒粉末の回収率)を高めることができる。
換言すれば、噴霧装置2において微細化し切れなかった場合には、塊となって排出されたり、噴霧盤23に付着したりして、造粒粉末として回収することができない。したがって、本実施形態では、造粒粉末として回収することができない割合(不良率)を低下させることができる。
以上のことから、本実施形態によれば、造粒粉末の生産速度と回収率とを両立させることができ、高い生産効率を実現することができる。
また、本実施形態に係る噴霧装置2では、隙間245からピン233に向けてスラリー9が吐出されるように構成されていればよいが、隙間245の延在方向、すなわち図5における上板242の下面と下板243の上面とが、それぞれ水平方向に延在し、かつ、互いに平行であることが好ましい。これにより、スラリー9の吐出速度や吐出ノズル24とピン233との距離等にもよるが、隙間245から吐出されたスラリー9が下部円板231や上部円板232に当たる確率を低下させることができる。仮に下部円板231や上部円板232にスラリー9が当たると、下部円板231や上部円板232にスラリー9が付着し易くなるとともに、ピン233によって分断される割合が低くなる。その結果、造粒粉末としての回収率が低下するおそれがある。
なお、上記「平行」とは、上板242の下面と下板243の上面とがなす角度が0°超10°以下の範囲で傾いている状態を含む。同様に、上記「水平方向に延在」とは、上板242の下面と水平面とがなす角度および下板243の上面と水平面とがなす角度が、それぞれ0°以上10°以下の範囲にある状態をいう。
また、隙間245は、下部円板231が回転することによって描く円の円周の長さのうち、50%以上の範囲に位置するピン233に向けてスラリー9を吐出可能になっているのが好ましい。換言すれば、隙間245が開口している範囲を、回転軸Oから見た角度範囲(以下、「開口角度」ともいう。)で表したとき、合計で180°以上であるのが好ましい。これにより、スラリー9がより均等に吐出され易くなり、スラリー9をとりわけ微細に分断することができるようになる。その結果、スラリー9の単位時間当たりの供給量をより増やしたときでも、造粒粉末の回収率が低下するのを抑制することができる。
なお、図3、4の例では、隙間245が開口している範囲は、360°である。すなわち、前記円周の長さのうち、100%の範囲に位置するピン233に向けてスラリー9を吐出可能になっている。このため、図3に矢印で示すように、スラリー9は、回転軸Oを中心にして放射状に吐出されることとなる。
ここで、上板242および下板243は、隙間245を介して互いに積層されており、それぞれが板状をなしている。すなわち、上板242および下板243は、それぞれ互いに表裏の関係にある主面を備える板体であり、本実施形態に係る隙間245は、上板242の一方の主面(下面)と、下板243の一方の主面(上面)との間に形成されている。
このような形態によれば、隙間245は、平坦面同士の間に設けられた隙間になるので、スラリー9の流動の抵抗になり難い形状を有するものとなる。このため、隙間245を流れるスラリー9の流速が低下し難く、十分な流速を保ったままスラリー9を吐出することが可能になる。その結果、単位時間当たりの供給量が多くなったときでも、スラリー9の微細化が図られ易くなる。
なお、上板242(第1の部材)および下板243(第2の部材)は、それぞれ必ずしも板体である必要はなく、例えばブロック体等であってもよい。この場合でも、隙間245が形成されることにより、上述した効果を得ることができる。
また、上板242および下板243は、それぞれいかなる平面視形状であってもよく、多角形であってもよいが、図3に示すように円環状をなしているのが好ましい。これにより、隙間245の先端も、円環の外縁に沿って位置することになる。このため、隙間245とピン233との距離が均一になり易く、ピン233に衝突するときのスラリー9の飛行速度も均一になり易い。その結果、微細化されないスラリー9の量を少なく抑えることができ、かつ、製造される造粒粉末の粒径も揃え易くなる。よって、より高品質な造粒粉末を製造することができる。
なお、上板242および下板243は、双方が円環状をなしている必要はなく、少なくとも一方が円環状であるのが好ましい。また、円環状とは、外縁および内縁の形状がそれぞれ真円、楕円、長円等である形状を指すが、特に外縁および内縁の形状がそれぞれ真円であるのが好ましい。
一方、上板242と下板243との間には、平面視形状が円環状をなすスペーサー244が介挿されている。このスペーサー244により、上板242と下板243との距離が規定される。これにより、隙間245の距離を容易に規定することができ、かつ、隙間245の均一性を確保することができる。
また、上板242、下板243およびスペーサー244がそれぞれ円環状をなしているため、これらを重ねてなる積層体の内径側には、積層体全体を貫通する貫通孔が形成される。かかる貫通孔は、回転シャフト22を挿通可能になっている。これにより、回転シャフト22と吐出ノズル24との干渉が防止される。
また、貫通孔に回転シャフト22が挿通されると、隙間245の先端、すなわち隙間245の端部のうち回転軸Oから遠い側(遠方側)の端部は、回転シャフト22(回転軸O)を取り囲むように位置することとなる。したがって、隙間245内で流れるスラリー9は、自ずと、回転軸Oを取り囲むように流れ広がる。そして、その状態から、回転軸Oから四方に広がる放射状に吐出される。このため、例えば単位時間当たりのスラリー9の供給量が時間的に変動した場合でも、同じタイミングで吐出されたスラリー9は、ピン233に対してほぼ同じタイミングで衝突することとなり、スラリー9の微細化の進行度合いが揃い易くなる。その結果、粒径も揃い易くなり、より高品質な造粒粉末を製造することができる。
また、隙間245の距離は、上部円板232や下部円板231の大きさ、スラリー9の流速等によっても若干異なり、特に限定されないが、0.1mm以上5mm以下であるのが好ましく、0.5mm以上2mm以下であるのがより好ましい。隙間245の距離を前記範囲内に設定することにより、スラリー供給部3から単位時間当たりに供給されるスラリー9が多い場合でも、隙間245から十分な流速でスラリー9を吐出することができる。これにより、より微細で粒径の揃った造粒粉末を高い生産効率で製造することができる。
なお、隙間245の距離が前記下限値を下回ると、隙間245の距離が小さくなり過ぎるため、スラリー9の性状によっては、隙間245内にスラリー9が詰まったり、隙間245の流動抵抗が大きくなって流速が著しく低下するおそれがある。一方、隙間245の距離が前記上限値を上回ると、隙間245から吐出されるスラリー9の流速が低下し、スラリー9がピン233に到達しなくなるおそれがある。
鉛直ノズル241は、管体で構成されており、上板242の上面に接続されている。また、上板242には、厚さ方向に貫通する貫通孔2420が形成されている。そして、貫通孔2420は隙間245と連通している。したがって、鉛直ノズル241、貫通孔2420および隙間245が、互いに連通しており、鉛直ノズル241を降下してきたスラリー9は、貫通孔2420を経て、隙間245から吐出される。
また、本実施形態では、ピン233の軸線が下部円板231の上面と直交するように各ピン233が配置されているが、ピン233の軸線は下部円板231の上面に対して直交していなくてもよい。ピン233の軸線は、例えば、直交の状態から下部円板231の中心側に傾いていてもよく、反対に外側に傾いていてもよく、円周に沿って傾いていてもよい。この場合、下部円板231の上面の法線からの傾斜角度は、特に限定されないものの、30°以下であるのが好ましい。
なお、吐出ノズル24は、配管32との間で着脱可能になっているのが好ましい。これにより、吐出ノズル24が摩耗したり、スラリー9が詰まったりした場合でも、別の吐出ノズル24に交換したり、清掃したりすることが容易に行える。
また、造粒粉末の回収率が高くなるということは、回収できないスラリー9の量を減らすことを意味する。
回収できないスラリー9とは、例えば、チャンバー5の内壁面に付着したスラリー9、噴霧盤23の表面に付着したスラリー9、吐出ノズル24に詰まったスラリー9等が挙げられる。このような回収できないスラリー9の量を減らすことにより、チャンバー5や噴霧盤23の清掃作業にかかる手間やコストを削減することができる。かかる観点からも、造粒粉末の生産効率の向上が図られる。
また、隙間245とピン233との距離L1(図3参照)は、特に限定されないが、0.5cm以上3cm以下であるのが好ましく、1cm以上2.5cm以下であるのがより好ましい。隙間245とピン233との距離L1を前記範囲内に設定することにより、隙間245から吐出されたスラリー9をより確実に微細化し、生成された液滴91を遠心力によって噴霧盤23の外側に飛散させることができる。したがって、造粒粉末の回収率を特に高めることができる。そして、回収できないスラリー9の量を減らすことができるので、チャンバー5や噴霧盤23の清掃作業にかかる手間やコストを削減することができる。かかる観点からも、造粒粉末の生産効率の向上が図られる。
なお、隙間245とピン233との距離L1が前記下限値を下回ると、噴霧盤23の回転速度によっては、隙間245から吐出されたスラリー9が、ピン233によって微細化されようとしているスラリー9と衝突する確率が高くなるおそれがある。この際、スラリー9が隙間245に詰まり易くなり、スラリー9の吐出が阻害されるおそれがある。また、スラリー9の飛行速度が初期速度からあまり落ちない状態でピン233に到達するので、ピン233に衝突しない(ピン233同士の間をすり抜ける)確率がやや高くなり、造粒粉末として回収できる割合が低下するとともにチャンバー5の内壁面に付着する確率が高くなるおそれがある。一方、隙間245とピン233との距離L1が前記上限値を上回ると、噴霧盤23の回転速度によっては、スラリー9がピン233に当たった後、回転軸側に跳ね返ってしまい、造粒粉末として回収できるスラリー9の量が減ってしまうおそれがある。これは、スラリー9の飛行速度が初期速度から大きく下がることで、ピン233に衝突したとき、跳ね返り易くなることが理由の1つとして挙げられる。
なお、隙間245とピン233との距離L1とは、隙間245の先端とピン233との最短距離のことをいう。
また、距離L1は、下部円板231の直径の5%以上30%以下であるのが好ましく、10%以上25%以下であるのがより好ましい。この場合も、隙間245から吐出されたスラリー9を微細化し、生成された液滴91を遠心力によって噴霧盤23の外側に飛散させることができる。したがって、造粒粉末の回収率を特に高めることができる。そして、回収できないスラリー9の量を減らすことができるので、チャンバー5や噴霧盤23の清掃作業にかかる手間やコストを削減することができる。
また、ピン233同士の間隔は、特に限定されず不均等であってもよいが、好ましくは前述した円周に沿って均等な間隔とされる。これにより、複数のピン233を回転させつつ、複数の隙間245から同時にスラリー9を吐出させたとき、隙間245同士の間で、吐出されたスラリー9がピン233に衝突する頻度の均一化を図ることができる。このため、隙間245から吐出されたスラリー9がピン233によって微細化される際、生成される液滴91の直径のばらつきを小さく抑えることができる。その結果、最終的に粒径の揃った(粒度分布の狭い)造粒粉末を製造することができる。
なお、下部円板231および上部円板232の外径は、特に限定されないが、3cm以上40cm以下程度であるのが好ましい。
また、下部円板231の平面視形状は、その他の形状、例えば六角形や八角形のような多角形や楕円や長円のような真円以外の円形であってもよい。同様に、上部円板232の平面視形状も、その他の形状、例えば六角形や八角形のような多角形の環状、楕円や長円のような真円以外の円形の環状であってもよい。
一方、ピン233の長さ(下部円板231と上部円板232とを結ぶ方向における長さ)は、特に限定されないが、1cm以上15cm以下程度であるのが好ましい。
また、ピン233の形状は、円柱以外の形状、例えば角柱、円錐、角錐等であってもよい。
また、噴霧盤23の構造も、上記のものに限定されない。例えば、上部円板232は、必要に応じて設けられればよく、下部円板231のみで各ピン233を支持し得る場合には省略されていてもよい。
また、下部円板231、上部円板232およびピン233は、上述したように互いに異なる部材であってもよいが、一体化されていてもよい。
なお、下部円板231、上部円板232およびピン233の各構成材料としては、特に限定されず、各種金属材料、各種セラミックス材料等が挙げられる。
また、吐出ノズル24の構成材料としては、特に限定されず、各種金属材料、各種セラミックス材料、各種樹脂材料等が挙げられる。
このうち、少なくとも上板242の構成材料および下板243の構成材料には、それぞれ金属材料が好ましく用いられる。金属材料は硬度が比較的高いため、高速で流れるスラリー9が接触する吐出ノズル24の構成材料として用いられることにより、吐出ノズル24の耐摩耗性を高めることができる。その結果、吐出ノズル24の長寿命化を図ることができる。また、吐出ノズル24の摩耗が抑制されることによって隙間245の距離が長期にわたって安定するため、造粒粉末の粒径や回収率を長期にわたって安定的に維持することができる。
<造粒粉末の製造方法>
次に、本発明の造粒粉末の製造方法の実施形態について説明する。
図7は、本発明の造粒粉末の製造方法の実施形態を説明するための工程図である。
図7に示す造粒粉末の製造方法は、噴霧装置2を含む噴霧乾燥造粒装置1を準備する工程と、噴霧装置2の噴霧盤23を回転させた状態で、ピン233に向けて吐出ノズル24からスラリー9を吐出し、ピン233に当てることにより液滴91を形成する工程と、液滴91を乾燥させ、造粒粉末を得る工程と、を有する。以下、各工程について説明する。
[1]まず、噴霧装置2を含む噴霧乾燥造粒装置1を準備する(工程S1)。このとき、スラリータンク31には、スラリー9を貯留しておく。
スラリー9は、無機粉末と有機バインダーと各種添加剤とを含む懸濁液である。添加剤としては、例えば、溶媒(分散媒)、防錆剤、酸化防止剤、界面活性剤、消泡剤等が挙げられる。
なお、スラリー9における無機粉末の濃度は、10質量%以上90質量%以下程度であるのが好ましく、20質量%以上80質量%以下程度であるのがより好ましい。
また、有機バインダーの含有率は、無機粉末100質量部に対して、0.2質量部以上10質量部以下程度であるのが好ましく、0.3質量部以上5質量部以下程度であるのがより好ましく、0.3質量部以上2質量部以下であるのがさらに好ましい。
[2]次に、駆動部21によって回転シャフト22および噴霧盤23を回転駆動させる。また、乾燥部4により、熱風をチャンバー5内に送る。さらに、排気部6により、チャンバー5内を排気する。そして、この状態において、吐出ノズル24の隙間245からスラリー9を吐出する。このとき、吐出されたスラリー9がピン233に直接当たるように隙間245の距離やスラリー9の流速(圧力)を調整しておく。
隙間245から吐出されたスラリー9は、噴霧盤23の内部を外側に向かって飛行し、回転しているピン233に当たる。これにより、スラリー9が微細化され、液滴91として噴霧盤23の外側へ飛散する(工程S2)。
噴霧盤23の回転数は、造粒粉末の目的とする粒径や、スラリー9の濃度、チャンバー5の温度等に応じて適宜設定されるが、一例として、3000回/分以上30000回/分以下程度であるのが好ましい。
また、吐出ノズル24に供給されるスラリー9の単位時間当たりの供給量は、特に限定されないが、50cm3/分以上3000cm3/分以下であるのが好ましく、100cm3/分以上2000cm3/分以下であるのがより好ましい。
[3]次に、飛散した液滴91を乾燥させる。これにより、無機粉末中の粒子同士を結着してなる造粒粒子で構成された造粒粉末を得る(工程S3)。製造された造粒粉末は、チャンバー5内を落下し、回収部7においてチャンバー5外へ排出させて回収することができる。
なお、造粒粉末のうち、粒径の小さいものは、チャンバー5内を排気する際に一緒に排出される。このため、排気部6において排気中の造粒粉末を濾しとって回収することができる。
チャンバー5内に送られる熱風の温度は、チャンバー5の大きさやスラリー9の濃度等に応じて適宜設定されるが、一例として、100℃以上300℃以下程度であるのが好ましく、120℃以上250℃以下程度であるのがより好ましい。
以上、本発明の噴霧装置、噴霧乾燥造粒装置および造粒粉末の製造方法について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の噴霧装置および噴霧乾燥造粒装置では、前記実施形態に係る各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、本発明の造粒粉末の製造方法では、前記実施形態に係る構成に、任意の工程が追加されていてもよい。
なお、本発明の噴霧装置は、造粒粉末を製造する以外の用途に用いられてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.造粒粉末の製造
(実施例1)
<1>まず、金属粉末として、水アトマイズ法により製造された平均粒径10μmの合金工具鋼粉末(エプソンアトミックス(株)製、SKD−11)を用意した。
<2>一方、有機バインダーとして、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA−1717)を用意した。
次いで、溶媒として水道水を用意し、これに有機バインダーを添加した後、90℃まで加熱しながら撹拌し、有機バインダーを溶解させた。その後、室温まで冷却することにより、有機バインダー溶液を調製した。なお、溶媒の添加量は、有機バインダー1gあたり50gとした。また、ポリビニルアルコールの添加量は、金属粉末100質量部に対して0.9質量部となる量とした。また、ポリビニルアルコールのけん化度は98〜99モル%、重合度は1700であった。
<3>次に、金属粉末と有機バインダー溶液とを混合し、スラリーを調製した。スラリー中の金属粉末の割合は65質量%とした。
<4>次いで、図1に示す噴霧乾燥造粒装置にスラリーを投入して造粒し、平均粒径60μmの造粒粉末を得た。噴霧乾燥造粒装置には、図2〜5に示す噴霧装置を取り付けた。なお、造粒時のチャンバーの温度(熱風の温度)は180℃とし、下部円板の直径は100mm、吐出ノズルの上板と下板との隙間の先端からピンまでの距離は1.5cmとした。また、本実施例における単位時間当たりのスラリー供給量は、下記の比較例1における単位時間当たりのスラリー供給量を1としたときの相対値として求め、これを表1に記載した。
なお、噴霧装置の詳細な構成についても表1に記載した。
(実施例2〜12)
噴霧装置の構成や造粒粉末の製造条件を表1に示すように変更した以外は、それぞれ実施例1と同様にして造粒粉末を得た。
なお、開口角度は、スペーサーによって隙間の一部を埋めることにより調整した。
(比較例1)
図8、9に示す噴霧装置を備えた噴霧乾燥造粒装置を用いるようにした以外は、実施例1と同様にして造粒粉末を得た。
ここで、図8は、比較例1で用いた噴霧装置の上面図であり、図9は、図8のC−C線断面図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図9の上方を「上」、下方を「下」として説明する。
図8、9に示す噴霧装置2’は、吐出ノズル24’の構成が異なる以外、図3〜5に示す噴霧装置2と同様である。なお、図8、9では、図3〜5と同様の構成については同じ符号を付している。
そして、吐出ノズル24’は、鉛直方向に延在する鉛直ノズル241を含む一方、上板242および下板243を含まない点で、図3〜5に示す吐出ノズル24と相違している。このため、吐出ノズル24’の吐出口246からは、下部円板231の上面に対し、鉛直下方に向かってスラリー9が吐出される。
また、噴霧装置2’は、その全体で吐出口246を2個含んでいる。
なお、噴霧装置2’の詳細な構成については表1に記載した。
(比較例2)
吐出口246の数を4個に増やすとともに、噴霧装置の構成や造粒粉末の製造条件を表1に示すように変更した以外は、比較例1と同様にして造粒粉末を得た。
(比較例3)
図9に示す吐出ノズル24’の各鉛直ノズル241の下端部を、それぞれ90°屈曲させるとともに、噴霧装置の構成や造粒粉末の製造条件を表1に示すように変更した以外は、比較例1と同様にして造粒粉末を得た。なお、吐出ノズル24’の吐出口246からは、下部円板231の上面と平行な方向に向かってスラリー9が吐出される。
2.造粒粉末の生産効率の評価
2.1 造粒歩留まりの評価
各実施例および各比較例で造粒粉末を製造した際、使用したスラリーに含まれていた金属粉末の質量をWinとし、製造され回収された造粒粉末から異物や粗大粒子を取り除いた後に残った造粒粉末の質量をWoutとする。そして、造粒粉末の良品率(造粒歩留まり)を、下記式により算出した。
造粒歩留まり[%]=Wout/Win×100
以上の算出結果を表1に示す。
2.2 回収できないスラリーの評価
各実施例および各比較例において、500kgのスラリーを用いて造粒粉末を製造した後、噴霧乾燥造粒装置から噴霧装置を取り外した。そして、噴霧装置中の噴霧盤の表面に付着したスラリーの程度について、以下の評価基準に照らして評価した。
<噴霧盤に付着したスラリーの程度の評価>
○:ほとんどスラリーが付着していない
△:主に下部円板および上部円板の外周面にスラリーが付着している
×:主に下部円板および上部円板の外周面とピンの表面とにスラリーが付着している
以上の評価結果を表1に示す。
2.3 生産速度の評価
各実施例および各比較例で造粒粉末を製造した際に使用したスラリーの量と、造粒粉末の製造に要した時間と、を求め、これらの値から生産速度を算出した。そして、比較例1における生産速度を1として各実施例および各比較例における生産速度の相対値を算出した。
以上の算出結果を表1に示す。
3.造粒粉末の特性の評価
各実施例および各比較例において、500kgのスラリーを用いて造粒粉末を製造し、最後に得られた造粒粉末を回収した。そして、回収した造粒粉末について、JIS Z 2502:2012に規定の金属粉の流動性試験方法により流動度を測定した。
以上の測定結果を表1に示す。
表1から明らかなように、各実施例では、生産速度を速くしても、高い造粒歩留まり(回収率)を実現することができた。また、製造された造粒粉末の特性も良好であった。このことから、本発明によれば、高い生産効率で造粒粉末を製造し得ることが認められた。
また、各実施例では、噴霧盤に付着するスラリーの量も少ないことが明らかとなった。このことから、本発明によれば、噴霧装置や噴霧乾燥造粒装置のメンテナンスに要する手間やコストを削減することができ、かかる観点からも造粒粉末の生産効率を高め得ることが認められた。
これに対し、比較例1、2では、いずれもスラリーを鉛直下方に向けて吐出している。そして、比較例1では、造粒歩留まりが相対的に低いことが認められた。また、比較例2では、比較例1よりも吐出口の数を増やすとともにスラリーの供給量を増やしたところ、造粒歩留まりがさらに低下した。
一方、比較例3では、吐出口の開口方向が水平になるように吐出ノズルを変更し、スラリーをピンに直接当てるようにしたが、造粒歩留まりを十分に高めることができなかった。