JP2016141817A - 水アトマイズ法による金属粉末の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水アトマイズ法によってシングルミクロン級の金属微粒子を安定的に生成させることの出来る、金属粉末の製造方法を提供する。
【解決手段】水アトマイズ法による金属粉末の製造方法であって、当該水アトマイズ法における水ジェット圧力が60MPaを超え180MPa以下であり、水ジェット流量が80L/min以上190L/min以下、水ジェット頂角が10°以上30°以下である金属粉末の製造方法を提供する。
【選択図】図1
【解決手段】水アトマイズ法による金属粉末の製造方法であって、当該水アトマイズ法における水ジェット圧力が60MPaを超え180MPa以下であり、水ジェット流量が80L/min以上190L/min以下、水ジェット頂角が10°以上30°以下である金属粉末の製造方法を提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は、水アトマイズ法を用いた金属粉末の製造方法に係り、特にシングルミクロン級の微粒子を含む金属粉末の製造方法に係る。
従来の技術に係る水アトマイズ法による金属粉末の製造方法について説明する。
例えば特許文献1には、環状のノズル端子と当該ノズル端子の端縁部を背後から圧縮力によって押圧している第二の環状のノズル端子とからなり、ノズル端子間への高圧水流の流入によって二つのノズル端子が離れてスリットが形成される噴射環帯と噴射環帯の下部に設けた減圧室と高圧液体ジェット(水ジェット)の噴射側下側部との連通路とを有する溶融金属の噴霧微粉化装置について記載されている。
また、特許文献2には、外周部から高圧流体(例えば、水)を供給して内周の円環状スリットから円錐膜状に高圧流体流(例えば、水ジェット)を噴出させる微粉製造用ノズルにおいて、当該高圧流体流にスリット円周方向に旋回流を付与する旋回流発生装置を付設した微粉製造用ノズルについて記載されている。
さらに、特許文献3には、タンディッシュの出口から落下する金属溶湯流を取り囲みながら溶湯流とともに流れる高圧のガス流を形成する工程と、前記溶湯流を取り囲む高圧ガスの圧力を減少させることにより、溶湯流を多数の微細液滴に分散させる工程と、前記微細液滴に水を噴霧することにより、微細液滴を凝固させる工程とを備える、金属粉末の製造方法について記載されている。
例えば特許文献1には、環状のノズル端子と当該ノズル端子の端縁部を背後から圧縮力によって押圧している第二の環状のノズル端子とからなり、ノズル端子間への高圧水流の流入によって二つのノズル端子が離れてスリットが形成される噴射環帯と噴射環帯の下部に設けた減圧室と高圧液体ジェット(水ジェット)の噴射側下側部との連通路とを有する溶融金属の噴霧微粉化装置について記載されている。
また、特許文献2には、外周部から高圧流体(例えば、水)を供給して内周の円環状スリットから円錐膜状に高圧流体流(例えば、水ジェット)を噴出させる微粉製造用ノズルにおいて、当該高圧流体流にスリット円周方向に旋回流を付与する旋回流発生装置を付設した微粉製造用ノズルについて記載されている。
さらに、特許文献3には、タンディッシュの出口から落下する金属溶湯流を取り囲みながら溶湯流とともに流れる高圧のガス流を形成する工程と、前記溶湯流を取り囲む高圧ガスの圧力を減少させることにより、溶湯流を多数の微細液滴に分散させる工程と、前記微細液滴に水を噴霧することにより、微細液滴を凝固させる工程とを備える、金属粉末の製造方法について記載されている。
しかしながら本発明者らの検討によれば、上述した特許文献1−3を始めとする従来の技術に係る水アトマイズ法では、金属粉の微粉末製造において課題があった。具体的には、シングルミクロン級の金属微粒子を安定的に製造することが困難であった。
尚、本発明においてシングルミクロン級の金属微粒子とは、平均粒径(累積粒径D50)が10μm未満の金属微粒子をいう。
その為、シングルミクロン級の金属微粒子を安定的に得ようとする場合、従来の技術に係る水アトマイズ法をおこなった後、さらに、分級処理を行って所望の金属微粒子を得たり、金属イオン溶液を還元することでシングルミクロン級の金属微粒子を生成させることが行われていた。
この為、シングルミクロン級の金属微粒子からなる金属粉末を得ようとする際、生産コストを低減することは困難であった。
尚、本発明においてシングルミクロン級の金属微粒子とは、平均粒径(累積粒径D50)が10μm未満の金属微粒子をいう。
その為、シングルミクロン級の金属微粒子を安定的に得ようとする場合、従来の技術に係る水アトマイズ法をおこなった後、さらに、分級処理を行って所望の金属微粒子を得たり、金属イオン溶液を還元することでシングルミクロン級の金属微粒子を生成させることが行われていた。
この為、シングルミクロン級の金属微粒子からなる金属粉末を得ようとする際、生産コストを低減することは困難であった。
本発明は、上述の状況の下で為されたものであり、その解決しようとする課題は、水アトマイズ法によってシングルミクロン級の金属微粒子を安定的に生成させることの出来る、金属粉末の製造方法を提供することである。
本発明者らは、様々な条件下において水アトマイズ法による金属微粒子の生成を行い、当該アトマイズ条件と生成する金属微粒子との関係、特に、水アトマイズ法にて用いられる水ジェットが、生成する金属微粒子経与える効果について研究した。
当該研究の結果、本発明者らは、水アトマイズ法によるシングルミクロン級の金属微粒子の生成において、水ジェットの圧力、流量、頂角の値と、金属の溶湯温度、出湯量の値とが重要であるとの画期的な知見を得た。
当該研究の結果、本発明者らは、水アトマイズ法によるシングルミクロン級の金属微粒子の生成において、水ジェットの圧力、流量、頂角の値と、金属の溶湯温度、出湯量の値とが重要であるとの画期的な知見を得た。
当該観点から、上述した従来の技術に係る水アトマイズ法を検討してみると、当該アトマイズ法において形成される水ジェットにおいて、圧力:13〜60MPa、頂角:40〜90度、金属溶湯において温度:1200〜1600℃、出湯径:2〜5mmにあることを知見した。
上述した知見を基に、さらに研究を進めた結果、本発明者らは水アトマイズ法による金属微粒子の生成において、水ジェット圧力を高圧とし、水ジェット流量も所定量以上を担保することで、初めて水アトマイズ法によってシングルミクロン級の金属微粒子を安定的に生成させることが出来ることを知見し、本発明を完成した。
即ち、上述の課題を解決する第1の発明は、
水アトマイズ法による金属粉末の製造方法であって、
当該水アトマイズ法における水ジェット圧力が60MPaを超え180MPa以下であり、水ジェット流量が80L/min以上190L/min以下、水ジェット頂角が10°以上30°以下であることを特徴とする金属粉末の製造方法である。
第2の発明は、
前記水アトマイズ法における金属の溶湯温度が1100℃以上1700℃以下、出湯径が2mm以上5mm以下であることを特徴とする第1の発明に記載の金属粉末の製造方法である。
第3の発明は、
前記金属が、銅または銅合金であることを特徴とする第1または第2の発明に記載の金属粉末の製造方法である。
水アトマイズ法による金属粉末の製造方法であって、
当該水アトマイズ法における水ジェット圧力が60MPaを超え180MPa以下であり、水ジェット流量が80L/min以上190L/min以下、水ジェット頂角が10°以上30°以下であることを特徴とする金属粉末の製造方法である。
第2の発明は、
前記水アトマイズ法における金属の溶湯温度が1100℃以上1700℃以下、出湯径が2mm以上5mm以下であることを特徴とする第1の発明に記載の金属粉末の製造方法である。
第3の発明は、
前記金属が、銅または銅合金であることを特徴とする第1または第2の発明に記載の金属粉末の製造方法である。
本発明に係る金属粉末の製造方法によれば、分級処理を行うことなく、水アトマイズ法の実施により、平均粒径(累積粒径D50)が10μm未満であるシングルミクロン級の微粒子からなる金属粉末を安定的に製造できた。
まず、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明に係る水アトマイズ法に用いる装置であって、水アトマイズ法の実施状態を示した模式的な断面図である。そして、図2は、図1に係る水アトマイズ法に用いる装置のノズル付近の拡大断面図である。
また、図3は、本発明に係る水アトマイズ法にて用いるノズルの1例(所謂、V形ジェット式)であって、水アトマイズ法の実施状態を示した模式的な斜視図である。そして、図4は、本発明に係る水アトマイズ法にて用いる、図2とは異なるノズルの1例(所謂、円錐形ジェット式)であって、水アトマイズ法の実施状態を示した模式的な斜視図である。
図1は、本発明に係る水アトマイズ法に用いる装置であって、水アトマイズ法の実施状態を示した模式的な断面図である。そして、図2は、図1に係る水アトマイズ法に用いる装置のノズル付近の拡大断面図である。
また、図3は、本発明に係る水アトマイズ法にて用いるノズルの1例(所謂、V形ジェット式)であって、水アトマイズ法の実施状態を示した模式的な斜視図である。そして、図4は、本発明に係る水アトマイズ法にて用いる、図2とは異なるノズルの1例(所謂、円錐形ジェット式)であって、水アトマイズ法の実施状態を示した模式的な斜視図である。
図1、2に示すように、本発明に係る水アトマイズ法に用いる装置は、坩堝11、チャンバー21、ノズル51または61を有している。
坩堝11内には、本発明に係る水アトマイズ法に用いられる金属溶湯1が保持されている。金属溶湯1は、図示していない保温装置により融点以上の所定温度に保持されている。金属溶湯1は、銅、銀、亜鉛、錫、ニッケル、鉄、アルミニウム等を含む各種金属、各種合金、さらに、リン、ケイ素、ビスマス等を含む各種金属、各種合金の溶湯である。
当該坩堝11の底部には出湯孔12が設けられており、金属溶湯1は出湯孔12から出湯2となって落下する。この出湯孔12の径の値を出湯径とする。
当該坩堝11の底部には出湯孔12が設けられており、金属溶湯1は出湯孔12から出湯2となって落下する。この出湯孔12の径の値を出湯径とする。
坩堝11の下方には、チャンバー21が設置されている。チャンバー21の上面であって、坩堝11からの出湯2を受ける位置には、円形の穿孔部22設けられている。そして、後述する理由により、穿孔部22からチャンバー21内部へ向かって整流管23が設けられていることが好ましい。整流管23は、穿孔部22の径と同寸法、または若干大きな寸法の内径を有する管状部材である。
チャンバー21の上面であって、坩堝11からの出湯2を受ける位置には、さらに水ジェットを発生させるノズルが設けられる。当該ノズルは所望により多様な形状をとることが可能であるが、本明細書においては典型的な2例として、所謂、V形ジェット式ノズルと、円錐形ジェット式ノズルとを例示し、当該典型的な2例について、図3、4も参照しがら説明する。
図3に示すノズル51は、2本の直管52が並行して設けられているV形ジェット式ノズルである。各々の直管52には1本以上(例えば1本)の給水口53と、水の噴射スリット54とが設けられている。
給水口53から直管52へ供給される水5は、噴射スリット54から噴射されて水ジェット6を生成する。水ジェット6は連続した面状であることが好ましい。ここで、噴射スリット54は、2本の直管52から生成する水ジェット6が、穿孔部22下方のチャンバー21内(整流管23内)において、断面がV字形で水ジェット頂角θをもって衝突する水ジェット衝突部7を形成するように、直管52の長さ方向に沿って設けられている。そして、このとき形成される水ジェット衝突部7の有する長さを、水ジェット6のサイズwとした。
給水口53から直管52へ供給される水5は、噴射スリット54から噴射されて水ジェット6を生成する。水ジェット6は連続した面状であることが好ましい。ここで、噴射スリット54は、2本の直管52から生成する水ジェット6が、穿孔部22下方のチャンバー21内(整流管23内)において、断面がV字形で水ジェット頂角θをもって衝突する水ジェット衝突部7を形成するように、直管52の長さ方向に沿って設けられている。そして、このとき形成される水ジェット衝突部7の有する長さを、水ジェット6のサイズwとした。
図4に示すノズル61は、円環状の曲管62を有する円錐形ジェット式ノズルである。曲管62には複数(例えば4本)の給水口63が設けられ、曲管62の内周には水の噴射スリット64が設けられている。
また、給水口63は円周方向に円環状の曲管62と接続し、供給される水5は、曲管62内を旋回させることとしても良い。
給水口63から円環状の曲管62へ供給される水5は、噴射スリット64から噴射されて水ジェット6を生成する。水ジェット6は連続した面状であることが好ましい。ここで、噴射スリット64は、曲管62から生成する水ジェット6が、穿孔部22下方のチャンバー21内(整流管23内)において、逆円錐状で水ジェット頂角θをもって衝突する水ジェット衝突部7を形成するように、曲管62を構成する円管の弧に沿う方向で設けられている。そして、このとき水ジェット6が形成する逆円錐形における底面の径を、水ジェット6のサイズφとした。
また、給水口63は円周方向に円環状の曲管62と接続し、供給される水5は、曲管62内を旋回させることとしても良い。
給水口63から円環状の曲管62へ供給される水5は、噴射スリット64から噴射されて水ジェット6を生成する。水ジェット6は連続した面状であることが好ましい。ここで、噴射スリット64は、曲管62から生成する水ジェット6が、穿孔部22下方のチャンバー21内(整流管23内)において、逆円錐状で水ジェット頂角θをもって衝突する水ジェット衝突部7を形成するように、曲管62を構成する円管の弧に沿う方向で設けられている。そして、このとき水ジェット6が形成する逆円錐形における底面の径を、水ジェット6のサイズφとした。
ノズル51、52において、水5の供給量を80〜190L/minとしたとき、水ジェット6の圧力が60〜180MPaとなるように、直管52や曲管62の径寸法、噴射スリット54や64のスリット幅を設定する。給水口53や63の数、径寸法も、水5の供給量を80〜190L/minとしたとき、水ジェット6の圧力が60〜180MPaとなる範囲で設定すれば良い。穿孔部22の径寸法、直管52や曲管62の径寸法や長さも、水5の供給量を80〜190L/minとしたとき、水ジェットの、直管52または曲管62における入口圧力が60〜180MPaとなる範囲で設定すれば良い。
一方、坩堝11からの出湯2は、自重によって水ジェット衝突部7に引き込まれる。そして水ジェット衝突部7において、水ジェット6により機械的衝撃と急冷とを受け、シングルミクロン級の金属微粒子であるアトマイズ粉3を生成する。生成したアトマイズ粉3は水5と一緒になってスラリー24を形成し、チャンバー21の底部に溜まる。
このとき、整流管23は、下方への気流を効果的に生み出すと伴に、生成したアトマイズ粉3がチャンバー21内において、不必要に拡散することを防止して、アトマイズ粉3の生産性を向上させることが出来る。当該観点から、整流管23の長さは、チャンバー21の上面から水ジェット衝突部7までの距離の2〜15倍の長さがあれば良い。
次に、実施例を参照しながら本発明を、より具体的に説明する。
(実施例1)
水ジェットを発生させるノズルとして、2本の直状管を有するV形ジェット式のノズルを準備した。当該V形ジェット式のノズルには、水ジェットサイズwが40mm、水ジェット頂角θが15°のV字型で、連続した面状の水ジェットになるように水の噴射スリットが設けられている。さらに、当該V形ジェット式のノズルは、70MPaの圧力で送水した際に、100L/minの水量が噴出するように設計したものである。
当該V形ジェット式のノズルを、所定のチャンバー上面に設けられた円形の穿孔部上に設置した。尚、当該円形の穿孔部からチャンバー内部へ向かって、当該穿孔部と同様の径を有する整流管を設けた。当該整流管の長さは、前記V字型の水ジェットの高さの7倍の長さとした。
(実施例1)
水ジェットを発生させるノズルとして、2本の直状管を有するV形ジェット式のノズルを準備した。当該V形ジェット式のノズルには、水ジェットサイズwが40mm、水ジェット頂角θが15°のV字型で、連続した面状の水ジェットになるように水の噴射スリットが設けられている。さらに、当該V形ジェット式のノズルは、70MPaの圧力で送水した際に、100L/minの水量が噴出するように設計したものである。
当該V形ジェット式のノズルを、所定のチャンバー上面に設けられた円形の穿孔部上に設置した。尚、当該円形の穿孔部からチャンバー内部へ向かって、当該穿孔部と同様の径を有する整流管を設けた。当該整流管の長さは、前記V字型の水ジェットの高さの7倍の長さとした。
前記V形ジェット式のノズルへ70MPaの圧力で送水し、100L/minの水量を噴出させて、水ジェットサイズwが40mm、水ジェット頂角θが15°の水ジェットを、チャンバー内に設けられた整流管内に形成した。
一方、前記のチャンバー上方に設置された記坩堝内に、金属溶湯として溶湯温度1300℃の純銅(Cu重量比100)を準備した。
そして、当該坩堝から径2mmの金属溶湯を出湯し、前記V字型の水ジェット衝突部の中央へ落下させた。
そして、当該坩堝から径2mmの金属溶湯を出湯し、前記V字型の水ジェット衝突部の中央へ落下させた。
V字型の水ジェット衝突部の中央へ落下した金属溶湯は、水ジェットとは激しく衝突し、急激に微細化すると伴に冷却されアトマイズ粉を生成した。生成したアトマイズ粉は水ジェットを形成した水と伴にスラリーとなり、チャンバー内部に滞留した。
チャンバー内部に滞留した、生成したアトマイズ粉のスラリーを適宜、取り出し乾燥させて、実施例1に係るアトマイズ粉を得た。
得られたアトマイズ粉の粒径を測定したところ、10%累積粒径(D10)が1.5μm、50%累積粒径(D50)が4.7μm、90%累積粒径(D90)が15.2μmであることが判明した。
即ち、実施例1に係るアトマイズ粉は、D50において粒径4.7μmというシングルミクロンの金属微粒子であるアトマイズ粉であることが判明した。また、実施例1に係るアトマイズ粉は、D90において粒径15.2μmである。
従って、実施例1によれば、分級操作をすることなくシングルミクロン級の金属微粒子であるアトマイズ粉を得られることが判明した。
実施例1に係るアトマイズ粉の5000倍のSEM写真を、図5に示す。
得られたアトマイズ粉の粒径を測定したところ、10%累積粒径(D10)が1.5μm、50%累積粒径(D50)が4.7μm、90%累積粒径(D90)が15.2μmであることが判明した。
即ち、実施例1に係るアトマイズ粉は、D50において粒径4.7μmというシングルミクロンの金属微粒子であるアトマイズ粉であることが判明した。また、実施例1に係るアトマイズ粉は、D90において粒径15.2μmである。
従って、実施例1によれば、分級操作をすることなくシングルミクロン級の金属微粒子であるアトマイズ粉を得られることが判明した。
実施例1に係るアトマイズ粉の5000倍のSEM写真を、図5に示す。
一方、実施例1に係るアトマイズ粉のBET値を測定したところ0.25m2/gであり、TAP密度を測定したところ4.8g/cm3であることが判明した。酸素含有量は0.43質量%であった。
以上の条件および結果を表1に示す。
以上の条件および結果を表1に示す。
尚、実施例1において累積粒度分布は、レーザー回折式粒度分布装置(SYMPATEC社製のヘロス粒度分布測定装置(HELOS&RODOS))により測定し、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)、累積90%粒子径(D90)を求めた。
また、BET比表面積は、BET比表面積測定装置(ユアサイオニクス株式会社製 4ソーブUS)を用いてBET法により求めた。
さらに、TAP密度は、所定のホルダーに測定対象の粉体を充填して粉体層を形成し、当該粉体層へ、0.14N/m2以上、0.18N/m2以下の圧力を加えた後、粉体層の高さを測定し、当該粉体層の高さの測定値と、充填された粉体の重量とから測定対象の粉体の密度を求めた(詳細は、特開2007−263860号公報参照。)。
以下の実施例、比較例においても同様である。
また、BET比表面積は、BET比表面積測定装置(ユアサイオニクス株式会社製 4ソーブUS)を用いてBET法により求めた。
さらに、TAP密度は、所定のホルダーに測定対象の粉体を充填して粉体層を形成し、当該粉体層へ、0.14N/m2以上、0.18N/m2以下の圧力を加えた後、粉体層の高さを測定し、当該粉体層の高さの測定値と、充填された粉体の重量とから測定対象の粉体の密度を求めた(詳細は、特開2007−263860号公報参照。)。
以下の実施例、比較例においても同様である。
(実施例2)
前記V形ジェット式のノズルを、150MPaの圧力で送水した際に、100L/minの水量が噴出するように設計し、当該V形ジェット式のノズルへ150MPaの圧力で送水し、100L/minの水量を噴出させた以外は、実施例1と同様の操作を行って実施例2に係るアトマイズ粉を得た。
得られた実施例2に係るアトマイズ粉に対し、実施例1と同様の測定を行った。
前記V形ジェット式のノズルを、150MPaの圧力で送水した際に、100L/minの水量が噴出するように設計し、当該V形ジェット式のノズルへ150MPaの圧力で送水し、100L/minの水量を噴出させた以外は、実施例1と同様の操作を行って実施例2に係るアトマイズ粉を得た。
得られた実施例2に係るアトマイズ粉に対し、実施例1と同様の測定を行った。
(実施例3)
前記溶湯温度を1100℃とし、出湯径を4mmとした以外は、実施例2と同様の操作を行って実施例3に係るアトマイズ粉を得た。
得られた実施例3に係るアトマイズ粉に対し、実施例1と同様の測定を行った。
前記溶湯温度を1100℃とし、出湯径を4mmとした以外は、実施例2と同様の操作を行って実施例3に係るアトマイズ粉を得た。
得られた実施例3に係るアトマイズ粉に対し、実施例1と同様の測定を行った。
(実施例4)
前記水ジェット頂角θを20°とした以外は、実施例2と同様の操作を行って実施例4に係るアトマイズ粉を得た。
得られた実施例4に係るアトマイズ粉に対し、実施例1と同様の測定を行った。
前記水ジェット頂角θを20°とした以外は、実施例2と同様の操作を行って実施例4に係るアトマイズ粉を得た。
得られた実施例4に係るアトマイズ粉に対し、実施例1と同様の測定を行った。
(実施例5)
水ジェットを発生させるノズルとして、円環状の曲管を有する円錐形ジェット式のノズルを準備した。当該円錐形ジェット式のノズルには、水ジェットサイズφが60mm、水ジェット頂角θが20°の逆円錐型で、連続した面状の水ジェットになるように水の噴射スリットが設けられている。さらに、当該円錐形ジェット式のノズルは、70MPaの圧力で送水した際に、160L/minの水量が噴出するように設計したものである。
当該円錐形ジェット式のノズルを、所定のチャンバー上面に設けられた円形の穿孔部上に設置した。尚、当該円形の穿孔部からチャンバー内部へ向かって、当該穿孔部と同様の径を有する整流管を設けた。当該整流管の長さは、前記逆円錐型の水ジェットの高さの6倍の長さとした。
水ジェットを発生させるノズルとして、円環状の曲管を有する円錐形ジェット式のノズルを準備した。当該円錐形ジェット式のノズルには、水ジェットサイズφが60mm、水ジェット頂角θが20°の逆円錐型で、連続した面状の水ジェットになるように水の噴射スリットが設けられている。さらに、当該円錐形ジェット式のノズルは、70MPaの圧力で送水した際に、160L/minの水量が噴出するように設計したものである。
当該円錐形ジェット式のノズルを、所定のチャンバー上面に設けられた円形の穿孔部上に設置した。尚、当該円形の穿孔部からチャンバー内部へ向かって、当該穿孔部と同様の径を有する整流管を設けた。当該整流管の長さは、前記逆円錐型の水ジェットの高さの6倍の長さとした。
前記円錐形ジェット式のノズルへ70MPaの圧力で送水し、160L/minの水量を噴出させて、水ジェットサイズφが60mm、水ジェット頂角θが20°の水ジェットを、チャンバー内に設けられた整流管内に形成した。
一方、前記のチャンバー上方に設置された記坩堝内に、金属溶湯として溶湯温度1200℃の純銅(Cu重量比100)を準備した。
そして、当該坩堝から径2mmの金属溶湯を出湯し、前記逆円錐型の水ジェット衝突部の頂点へ落下させた。
そして、当該坩堝から径2mmの金属溶湯を出湯し、前記逆円錐型の水ジェット衝突部の頂点へ落下させた。
逆円錐型の水ジェット衝突部の頂点へ落下した金属溶湯は、水ジェットとは激しく衝突し、急激に微細化すると伴に冷却されアトマイズ粉を生成した。生成したアトマイズ粉は水ジェットを形成した水と伴にスラリーとなり、チャンバー内部に滞留した。
チャンバー内部に滞留した、生成したアトマイズ粉のスラリーを適宜、取り出し乾燥させて、実施例5に係るアトマイズ粉を得た。
実施例5に係るアトマイズ粉の5000倍のSEM写真を、図6に示す。
得られた実施例5に係るアトマイズ粉に対し、実施例1と同様の測定を行った。
実施例5に係るアトマイズ粉の5000倍のSEM写真を、図6に示す。
得られた実施例5に係るアトマイズ粉に対し、実施例1と同様の測定を行った。
(実施例6)
前記円錐形ジェット式のノズルを、150MPaの圧力で送水した際に、160L/minの水量が、水ジェット頂角θが25°の逆円錐型の水ジェットになって噴出するように設計した。当該直状管式のノズルへ150MPaの圧力で送水、160L/minの水量を、水ジェット頂角θが25°の逆円錐型の水ジェットとして噴出させた以外は、実施例5と同様の操作を行って実施例6に係るアトマイズ粉を得た。
得られた実施例6に係るアトマイズ粉に対し、実施例1と同様の測定を行った。
前記円錐形ジェット式のノズルを、150MPaの圧力で送水した際に、160L/minの水量が、水ジェット頂角θが25°の逆円錐型の水ジェットになって噴出するように設計した。当該直状管式のノズルへ150MPaの圧力で送水、160L/minの水量を、水ジェット頂角θが25°の逆円錐型の水ジェットとして噴出させた以外は、実施例5と同様の操作を行って実施例6に係るアトマイズ粉を得た。
得られた実施例6に係るアトマイズ粉に対し、実施例1と同様の測定を行った。
(実施例7)
前記円錐形ジェット式のノズルを、150MPaの圧力で送水した際に、160L/minの水量が、水ジェット頂角θが20°の逆円錐型の水ジェットになって噴出するように設計した。当該円錐形ジェット式のノズルへ150MPaの圧力で送水、160L/minの水量を、水ジェット頂角θが20°の逆円錐型の水ジェットとして噴出させた。そこへ、温度1600℃の溶湯を出湯した以外は、実施例5と同様の操作を行って実施例7に係るアトマイズ粉を得た。
実施例7に係るアトマイズ粉の5000倍のSEM写真を、図7に示す。
得られた実施例7に係るアトマイズ粉に対し、実施例1と同様の測定を行った。
前記円錐形ジェット式のノズルを、150MPaの圧力で送水した際に、160L/minの水量が、水ジェット頂角θが20°の逆円錐型の水ジェットになって噴出するように設計した。当該円錐形ジェット式のノズルへ150MPaの圧力で送水、160L/minの水量を、水ジェット頂角θが20°の逆円錐型の水ジェットとして噴出させた。そこへ、温度1600℃の溶湯を出湯した以外は、実施例5と同様の操作を行って実施例7に係るアトマイズ粉を得た。
実施例7に係るアトマイズ粉の5000倍のSEM写真を、図7に示す。
得られた実施例7に係るアトマイズ粉に対し、実施例1と同様の測定を行った。
(実施例8)
銅95重量部、亜鉛5重量部からなる合金を1200℃の溶湯として用いる以外は、実施例7と同様の操作を行って実施例8に係るアトマイズ粉を得た。
実施例8に係るアトマイズ粉の5000倍のSEM写真を、図8に示す。
得られた実施例8に係るアトマイズ粉に対し、実施例1と同様の測定を行った。
銅95重量部、亜鉛5重量部からなる合金を1200℃の溶湯として用いる以外は、実施例7と同様の操作を行って実施例8に係るアトマイズ粉を得た。
実施例8に係るアトマイズ粉の5000倍のSEM写真を、図8に示す。
得られた実施例8に係るアトマイズ粉に対し、実施例1と同様の測定を行った。
(実施例9)
銅85重量部、ニッケル5重量部、亜鉛10重量部からなる合金を溶湯として用いる以外は、実施例8と同様の操作を行って実施例9に係るアトマイズ粉を得た。
得られた実施例9に係るアトマイズ粉に対し、実施例1と同様の測定を行った。
銅85重量部、ニッケル5重量部、亜鉛10重量部からなる合金を溶湯として用いる以外は、実施例8と同様の操作を行って実施例9に係るアトマイズ粉を得た。
得られた実施例9に係るアトマイズ粉に対し、実施例1と同様の測定を行った。
(比較例1)
前記V形ジェット式のノズルを、30MPaの圧力で送水した際に、100L/minの水量が噴出するように設計し、当該V形ジェット式のノズルへ30MPaの圧力で送水し、100L/minの水量を噴出させた以外は、実施例1と同様の操作を行って比較例1に係るアトマイズ粉を得た。
比較例1に係るアトマイズ粉の5000倍のSEM写真を、図9に示す。
得られた比較例1に係るアトマイズ粉に対し、実施例1と同様の測定を行った。
前記V形ジェット式のノズルを、30MPaの圧力で送水した際に、100L/minの水量が噴出するように設計し、当該V形ジェット式のノズルへ30MPaの圧力で送水し、100L/minの水量を噴出させた以外は、実施例1と同様の操作を行って比較例1に係るアトマイズ粉を得た。
比較例1に係るアトマイズ粉の5000倍のSEM写真を、図9に示す。
得られた比較例1に係るアトマイズ粉に対し、実施例1と同様の測定を行った。
(まとめ)
実施例1〜9に係るアトマイズ粉の累積粒径D50は1.7〜5.5μm、D90は4.5〜17.7μmであることが判明した。即ち、本発明に係る水アトマイズ法による金属粉末の製造方法によれば、分級操作を行うまでもなくシングルミクロンに準じる所謂シングルミクロン級の金属粉末を製造出来ることが判明した。また、当該累積粒径D50、D90の結果は、分級操作を行うことで高い生産性をもってシングルミクロンの金属粉末を製造出来ることが判明した。
実施例1〜9に係るアトマイズ粉の累積粒径D50は1.7〜5.5μm、D90は4.5〜17.7μmであることが判明した。即ち、本発明に係る水アトマイズ法による金属粉末の製造方法によれば、分級操作を行うまでもなくシングルミクロンに準じる所謂シングルミクロン級の金属粉末を製造出来ることが判明した。また、当該累積粒径D50、D90の結果は、分級操作を行うことで高い生産性をもってシングルミクロンの金属粉末を製造出来ることが判明した。
これに対し、水ジェットの圧力が低い比較例1に係るアトマイズ粉の累積粒径D50は26.2μm、D90は181μmであることが判明した。即ち、水ジェットの圧力が60MPa未満である30MPaと低い場合、分級操作を行うことなく所謂シングルミクロン級の金属粉末を製造することは、困難であることが判明した。さらに比較例1に係るアトマイズ粉へ分級操作を行ってシングルミクロンの金属粉末を製造しようとしても、その生産性は、実施例に係るアトマイズ粉へ分級操作を行ってシングルミクロンの金属粉末を製造しようとするのに比較して、はるかに低いものであると考えられる。
次に、BET値の観点から実施例1〜9に係るアトマイズ粉を見てみると、0.20〜0.66m2/gの値であることが判明した。ここで、上述した実施例1〜9に係るアトマイズ粉の累積粒径の値を考えると、実施例1〜9に係るアトマイズ粉の表面状態は、ほぼ同様の状態であるものが製造出来ていると考えられる。
当該考察は、実施例1〜9に係るアトマイズ粉のTAP密度が4.2〜5.0g/cm3の間にあることからも裏付けられると考えられる。
当該考察は、実施例1〜9に係るアトマイズ粉のTAP密度が4.2〜5.0g/cm3の間にあることからも裏付けられると考えられる。
また、酸素含有量の観点から実施例1〜9に係るアトマイズ粉を見てみると、0.24〜0.67質量%の値であることが判明した。そして累積粒径の値の小さなものの方が、酸素含有量が大きくなる傾向も見られた。しかしながら、水ジェットの圧力が低い比較例1に係るアトマイズ粉の酸素含有量の値が0.42質量%であることを考えると、水ジェットの圧力を上げたことによる、新たな問題は見出せなかった。
本発明は、シングルミクロン級の微粒子からなる金属粉末を、高い生産性をもって安定的に製造しようとすることに有益である。
1:金属溶湯
2:出湯
3:アトマイズ粉
5:水
6:水ジェット
7:水ジェット衝突部
11:坩堝
12:出湯孔
21:チャンバー
22:穿孔部
23:整流管
24:スラリー
51:ノズル(V形ジェット式)
52:直管
53:給水口
54:噴射スリット
61:ノズル(円錐形ジェット式)
62:曲管
63:給水口
64:噴射スリット
θ:水ジェット頂角
w:水ジェットのサイズ(水ジェットが形成するV字型の衝突部の幅)
φ:水ジェットのサイズ(水ジェットが形成する逆円錐形における底面の径)
2:出湯
3:アトマイズ粉
5:水
6:水ジェット
7:水ジェット衝突部
11:坩堝
12:出湯孔
21:チャンバー
22:穿孔部
23:整流管
24:スラリー
51:ノズル(V形ジェット式)
52:直管
53:給水口
54:噴射スリット
61:ノズル(円錐形ジェット式)
62:曲管
63:給水口
64:噴射スリット
θ:水ジェット頂角
w:水ジェットのサイズ(水ジェットが形成するV字型の衝突部の幅)
φ:水ジェットのサイズ(水ジェットが形成する逆円錐形における底面の径)
Claims (3)
- 水アトマイズ法による金属粉末の製造方法であって、
当該水アトマイズ法における水ジェット圧力が60MPaを超え180MPa以下であり、水ジェット流量が80L/min以上190L/min以下、水ジェット頂角が10°以上30°以下であることを特徴とする金属粉末の製造方法。 - 前記水アトマイズ法における金属の溶湯温度が1100℃以上1700℃以下、出湯径が2mm以上5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の金属粉末の製造方法。
- 前記金属が、銅または銅合金であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属粉末の製造方法。
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JP2015015895A JP2016141817A (ja) | 2015-01-29 | 2015-01-29 | 水アトマイズ法による金属粉末の製造方法 |
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-
2015
- 2015-01-29 JP JP2015015895A patent/JP2016141817A/ja active Pending
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