JP4867037B2 - ガス漏洩検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然ガス、プロパンガス(LPG)等のガスの漏洩を検出するガス漏洩検出装置あるいは当該ガス漏洩検出装置を備えたガスメータに関する。
【0002】
【従来の技術】
飲食店や工場等では、熱源としてガスが使用されている。このような飲食店や工場等では、深夜等の営業時間外あるいは稼動時間外ではガスの使用量がほぼ0(ゼロ)であり、営業時間内あるいは稼動時間内では、ガスの使用量が頻繁に変動し、ガス流量値の最小値と最大値との差が非常に大きい。
従来、飲食店や工場等に設置され、ガス流量値に基づいてガスの漏洩を検出するガス漏洩検出装置あるいは当該ガス漏洩検出装置を備えたガスメータが知られている。
例えば、ガスの流量値に基づいてガスの漏洩を検出するガス漏洩検出装置を備えた従来のガスメータは、1時間毎にガス流量値を検出し、24時間(1日)に1度も所定流量値以下の状態にならなかったことを、1ヶ月連続して検出した場合に(設備等が24時間連続稼動する場合があることを想定して)、ガスの漏洩異常であると検出している(この場合は、1ヶ月連続しても、安全上で問題ないレベルのガス漏洩量を所定流量値に設定している)。
また、流量検出手段としては、超音波式流量検出手段を備え、例えば、2秒毎に、その時点で配管内を通過しているガスの速度(その時点での瞬間速度)を求めて、その時点でのガスの体積(その時点での瞬間流量)を検出してガスの使用量の積算、ガス漏洩量の判定等に使用している。
ところで、超音波式流量検出手段は、小流量(ガス速度が小さい場合)の検出精度がやや低い。このため、飲食店や工場等のような広範囲にわたるガス流量値を正確に検出するために、従来のガス漏洩検出装置あるいはガスメータは、弁(流量調節手段)が設けられた大流量用(大口径)の主流路と、弁をバイパスするように設けられた小流量用(小口径)の副流路とを備えている。そして、主流路の、副流路でバイパスされない部分に大流量用の第1流量検出手段を設け、副流路に小流量用の第2流量検出手段を設けている。
また、ガス漏洩検出装置あるいはガスメータには、弁を開閉制御する制御手段が設けられている。従来のガス漏洩検出装置あるいはガスメータは、この制御手段を用いて、第1流量検出手段あるいは第2流量検出手段の出力に基づいて検出されたガス流量値に基づいて弁を開閉制御している。すなわち、大流量のガスを供給する場合(ガスの使用量が多い場合)には、弁を開制御してガスを主流路及び副流路に流す。また、小流量のガスを供給する場合(ガスの使用量が少ない場合)には、弁を閉制御してガスを副流路のみに流す。
【0003】
従来のガス漏洩検出装置あるいはガスメータでは、第1流量検出手段及び第2流量検出手段として電気的な流量検出手段を用いているため、電源が必要である。ここで、ガス漏洩検出装置あるいはガスメータは、外部電源に接続し難い場所に設置されることが多い。そこで、第1流量検出手段及び第2流量検出手段の電源として内蔵電池が用いられている。
一方、第1流量検出手段及び第2流量検出手段を連続動作させると、内蔵電池の使用可能時間が短くなる。そこで、内蔵電池の使用可能時間を長くするために、第1流量検出手段及び第2流量検出手段の一方を選択的に動作させている。さらに、第1流量検出手段及び第2流量検出手段を動作させる時には、所定時間毎(例えば、2秒毎)に間欠動作させている。
また、弁を開閉制御する際にも内蔵電池の電流を消費する。ここで、弁の開閉制御を、ガスの流量に基づいて制御(大流量で弁を開制御し、小流量で弁を閉制御)する場合は、飲食店や工場等のガスを使用する設備側の使用状態に伴って開閉制御の頻度が変動する。このため、内蔵電池の容量は、設備側の使用状態を予め想定し、想定した使用状態を充分満足する大きな容量に設定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ガス漏洩検出装置あるいはガスメータは、内蔵電池の使用可能時間を長くするために、消費電流を極力低減できるように構成されている。第1流量検出手段及び第2流量検出手段の選択動作及び間欠動作も、消費電流を低減するためのものである。また、弁を開閉制御する際にも電流を消費する。例えば、弁を閉状態から開状態(全閉位置から全開位置)に動作させる際には、弁の全閉位置から全開位置までの弁の移動量にほぼ比例した、通電時間に対応する電流が消費される。また、消費電流を低減するために、保持電流が不要な弁を用いている。
また、従来のガス漏洩検出装置あるいはガスメータは、小流量の場合(ガス速度が小さい場合)は弁を閉状態に制御して、小流量の検出誤差がより小さい第2流量検出手段を用いている。しかし、小流量であっても弁を開状態に制御して第1流量検出手段を用いてガス流量を検出しても、第2流量検出手段で検出した場合より誤差は少し大きくなるが、ガスの使用量を積算するための実用上、許容誤差範囲内に充分収めることが可能である。ただし、ガスの漏洩量を検出するためには、微小なガス流量値をより正確に検出することが必要である。
以上より、ガスの使用量を積算する場合は弁を開状態に制御してガス流量値を検出し、ガスの漏洩量をより正確に検出する場合は弁を閉状態に制御してガス流量値を検出する。
また、弁の開閉制御を、検出したガス流量に基づいて実行すると、設備等の使用状況により、例えば、1時間に10回以上も駆動される場合がある。しかし、ガスの漏洩量を検出する場合のみ弁を開閉制御すれば、例えば、1時間に2回(開状態から閉状態、そして閉状態から開状態)の駆動で充分である。
そこで、本発明は、調節手段の駆動回数を低減させて、調節手段の駆動に使用する電池の消費電流を低減させることができ、小流量のガス漏洩量であってもより確実にガスの漏洩を検出することができるガス漏洩検出装置あるいはガスメータを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりのガス漏洩検出装置である。
請求項1に記載のガス漏洩検出装置では、異常検出手段は、異常検出時に調節手段を全閉状態に制御し、調節手段が全閉状態の時の流量検出手段の測定値に基づいてガス漏洩異常を検出する。
そして前記異常検出手段は、前記調節手段が全開状態の時の前記流量検出手段の測定値に基づいた検出流量値が所定の流量値である全開維持流量値以上である時は、異常検出時であっても前記調節手段を全閉状態に制御せず、全開状態に維持する。
請求項1に記載のガス漏洩検出装置を用いれば、普段(異常検出時でない場合)は、調節手段を全開状態に制御しておき、ガス漏洩量を検出する場合(異常検出時の場合)に、調節手段を全閉状態にしてより小さな誤差でガス流量値を検出する。その際、ガス流量値(検出流量値)は流量検出手段の測定値と調節手段の状態(この場合は全閉状態)とに基づいて検出される。これにより、調節手段の駆動回数を低減させて、調節手段の駆動に使用する電池の消費電流を低減させることができる。また、小流量のガス漏洩量であっても、より正確に検出流量値を求めることで、より確実にガスの漏洩を検出することができる。
【0006】
また、本実施の形態に記載のガス漏洩検出装置では、異常検出時は、第1所定時間毎である。また、異常検出手段は、異常検出時における調節手段が全閉状態の時の流量検出手段の測定値に基づいた検出流量値が第1所定流量値以上である状態を、第2所定時間以上継続して検出した時に、ガス漏洩異常を検出する。
本実施の形態に記載のガス漏洩検出装置を用いれば、第1所定時間毎(例えば、1時間毎)に異常検出を行い、検出流量値が第1所定流量値以上であることを第2所定時間以上継続(例えば、720時間以上継続)して検出した場合にガス漏洩異常を検出するので、より確実にガスの漏洩を検出することができる。
【0007】
また、本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりのガス漏洩検出装置である。
請求項2に記載のガス漏洩検出装置では、異常検出手段は、調節手段の全開状態あるいは全閉状態にかかわらず、異常検出時における流量検出手段の測定値に基づいた検出流量値が所定の流量値である漏洩判定流量値以上である状態を、所定の時間である漏洩判定時間以上継続して検出した時に、ガス漏洩異常を検出する。
なお、請求項1に記載のガス漏洩検出装置を用いれば、異常検出のタイミングであってもガス流量値が多い場合(全開維持流量値(第2所定流量値)以上である場合)は調節手段を全閉状態に制御せず全開状態に維持する。このため、ガスを使用している設備等のガス使用量が多い場合には調節手段を全開状態に維持して設備等へのガス供給量が不足することを回避できる。
そして、請求項2に記載のガス漏洩検出装置を用いれば、調節手段を全開状態に維持した場合であっても、異常検出は継続して行う。調節手段の全開/全閉の状態にかかわらず、異常検出タイミングにおける検出流量値が漏洩判定流量値(第1所定流量値)以上であることを漏洩判定時間(第2所定時間)以上継続(例えば、720時間以上継続)して検出した場合にガス漏洩異常を検出するので、より確実にガスの漏洩を検出することができる。また、不用な調節手段の制御を低減して、電池の消費電流を更に低減できる。
【0008】
また、本実施の形態に記載のガス漏洩検出装置では、異常検出手段は、ガス漏洩異常を検出した場合に、遮断手段を用いてガスを遮断し、あるいは表示手段を用いて異常を表示し、あるいは警報手段を用いて警報を発する異常処置を実行する。
本実施の形態に記載のガス漏洩検出装置を用いれば、速やかに異常処置あるいは異常の連絡ができる。
【0009】
また、本実施の形態に記載のガスメータを用いれば、調節手段の駆動回数を低減させて、調節手段の駆動に使用する電池の消費電流を低減させることができ、小流量のガス漏洩量であっても確実にガスの漏洩を検出することができるガスメータを実現できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。以下、本発明のガス漏洩検出装置を備えたガスメータを例にして説明する。
まず、図1〜図3は、超音波式流量検出手段でガス流量値を検出する原理を説明するための模式図である。図1〜図3では、ガスは左側から右側に流れているものとする。
図1に示すように、主流路10に、一対の超音波式流量検出手段(第1発信受信機(上流)41と第2発信受信機(下流)42)を設ける。第1発信受信機(上流)41と第2発信受信機(下流)42は、所定の距離(この場合は、L[m])だけ離れた位置に設けられる。また、超音波の発信受信器は、発信器と受信器に切り替え可能であり、一方の発信受信器から発信された超音波が、他方の発信受信器で受信されるまでの時間を測定する。ここで、ガスは主流路10内をvr[m/s]の速度で流れているものとする。この場合の単位時間[s]あたりのガス流量Q[m3/s]は、主流路の断面積をS[m2]とすると、
Q[m3/s]=S[m2]*vr[m/s](式1)で与えられる。
以下の説明では、実際のガス流量は、ガスの速度分布が主流路10の中心部分と主流路10の配管近傍で異なる等により種々の補正が必要であるが省略している。
ガス流量を検出するために、第1発信受信機(上流)41と第2発信受信機(下流)42は、ガスの速度(この場合はvr[m/s])を測定するために、超音波の到達時間を測定する。まず第1発信受信機(上流)41から超音波を発信して、第2発信受信機(下流)42で受信し、到達時間を測定する。この時の到達時間をt1[s]として、当該ガスによる音の伝搬速度をVg[m/s]とすると、
Vg+vr=L/t1(式2)が成立する。
Vg[m/s]は、ガス成分及び当該成分の比率と、温度等に依存して様々に変動する。よって、Vgを式から消去するために、次に第2発信受信機(下流)42から超音波を発信して、第1発信受信機(上流)41で受信し、到達時間を測定する。この時の到達時間をt2[s]とすると、
Vg−vr=L/t2(式3)が成立する。
ここで、(式2)と(式3)から、
vr=(L/t1−L/t2)*1/2(式4)が成立し、Vgを消去し、ガス成分及び当該成分の比率、温度等に依存されることなく、vrをより正確に検出することができる。ここで、(式4)を変形すると、
vr=L*(t2−t1)/(2*t1*t2)(式5)が得られる。
この時、t1[s]及びt2[s]を、デジタル値で検出する場合は、「t2−t1」の値が小さくなると、LSBの影響が大きくなり、検出値(この場合はvr)に含まれる誤差の割合が増大する。すなわち、ガス速度が0(ゼロ)に近いほど(t2−t1が0に近いほど)誤差が大きくなり、ガス速度が大きいほど誤差が小さくなる。つまり、検出するガス速度は、実際のガス速度が小さいほど誤差が大きく、実際のガス速度が大きいほど誤差が小さい。
【0011】
次に、図2を用いて、ガスを流す流路に、主流路10と副流路20を用いた場合の効果について説明する。この例では、主流路10内の一部を分離して副流路20を設けているが、図7に示すように、主流路10の一部を、別の配管等を用いてバイパスするように副流路20を設けてもよい。また、副流路は、流路を全開状態あるいは全閉状態に調節可能な調節手段30をバイバスするように構成されている。図2では当該調節手段30を全閉状態にした場合の図である。
ここで、ガスは、副流路20が設けられていない部分の主流路10をv1[m/s]の速度で流れているものとする。この場合の単位時間[s]あたりのガス流量値Q1[m3/s]は、主流路の断面積をS1[m2]とすると、
Q1[m3/s]=S1[m2]*v1[m/s](式6)で与えられる。
ここで、調節手段30が全閉状態である場合は、ガスは副流路20を流れる。この時、副流路20内を流れるガス流量値Q2[m3/s]は、Q2=Q1である。また、副流路20の断面積をS2[m2]として、ガスは、副流路20内をv2[m/s]の速度で流れているものとする。この場合、
Q2[m3/s]=S2[m2]*v2[m/s](式7)で与えられる。また、S1>S2ならば、v1<v2が成立する。
これにより、副流路20にガスを流すことにより、ガス速度を増加させることができ、ガス速度の検出誤差を小さくすることができる。
【0012】
次に、図3を用いて、ガスを流す流路に、主流路10と副流路20を用いた場合の別の効果について説明する。この例では、主流路10、副流路20、調節手段30の構成は図2と同じである。また、図3では当該調節手段30を全開状態にした場合の図である。
ここで、ガスは、副流路20が設けられていない部分の主流路10をv1[m/s]の速度で流れているものとする。この場合の単位時間[s]あたりのガス流量Q1[m3/s]は、主流路の断面積をS1[m2]とすると、Q1[m3/s]=S1[m2]*v1[m/s]である。
ここで、調節手段30が全開状態である場合は、ガスは調節手段30の下流の主流路10と、副流路20の双方に流れる。この時、副流路20の断面積をS2[m2]として、ガスは、副流路20内をv3[m/s]の速度で流れているものとする。この時、副流路20内を流れるガス流量値Q4[m3/s]は、
Q4[m3/s]=S2[m2]*v3[m/s]で(式8)で与えられる。
また、調節手段30の下流の主流路10に流れるガスの速度もv3[m/s]である。調節手段30の下流の主流路10の断面積をS3[m2]とすると、調節手段30の下流の主流路10内を流れるガス流量値Q3[m3/s]は、
Q3[m3/s]=S3[m2]*v3[m/s](式9)で与えられる。ここで、Q1=Q3+Q4であり、仮にS2+S3=S1ならば、v1=v3であり、この場合はガス速度を増加させることはできない。しかし、S3/S2が予め判っていれば、副流路20のガス流量値(この場合は、Q4)を検出すれば、調節手段30の下流の主流路10内を流れるガス流量値Q3は、
Q3[m3/s]=Q4[m3/s]*S3[m2]/S2[m2](式10)により演算で求めることができる。
すなわち、副流路20のみに流量検出手段を設けても、主流路10のガス流量を間接的に検出することが可能である。この場合、主流路10の流量検出手段を省略することができる。
【0013】
次に、図4及び図5を用いて、超音波式流量検出手段を用いてガス流量値を検出した場合の検出流量値特性(誤差を含む)について説明する。
図4は、図2及び図3の主流路10、副流路20、調節手段30を有する構造において、「副流路に超音波式流量検出手段を設けた場合の検出流量値特性」の例を示している。この場合、調節手段30が全閉状態の時はガス速度を増加させるので、調節手段30が全開状態の時に比べて非常に小さな誤差範囲を含む検出流量値を得ることができる。調節手段30が全開状態の時は、調節手段30の下流の主流路10に流れるガス流量値を、(式10)に示した演算で求める際に、誤差を増大させるので、検出流量値の誤差範囲が比較的増大する。全開状態の時に発生する検出流量値の誤差範囲は、ガスの使用量の積算については実用上、許容誤差範囲内に充分収めることが可能であるが、ガス漏洩量の検出については許容誤差範囲内に収まらない可能性がある。しかし、全閉状態の時に発生する検出流量値の誤差範囲は、ガス漏洩量の検出について、充分許容誤差範囲内に収めることができる。
【0014】
図5は、図2及び図3の主流路10、副流路20、調節手段30を有する構造において、「副流路が設けられていない部分の主流路に超音波式流量検出手段を設けた場合の検出流量値特性」の例を示している。この場合、検出流量値は調節手段30の全閉状態/全開状態に依存されない。また、「副流路に超音波式流量検出手段を設けた場合の検出流量値特性」における全閉状態と比較して、同量のガス流量値の検出(例えば、図4及び図5中のQ1)に対して、検出するガス速度が小さいので、検出流量値の誤差範囲が比較的増大している。全開/全閉状態の時に発生する検出流量値の誤差範囲は、ガスの使用量の積算については実用上、許容誤差範囲内に充分収めることが可能である。
以上より、ガス漏洩の検出には、より少ないガス流量値をより正確に検出するために、調節手段30を全閉状態に制御して副流路20に設けられた超音波式流量検出手段を用いる。また、ガス使用量の積算には、図4及び図5に示した、どの検出流量値を用いてもよい。
【0015】
図6は、本発明のガス漏洩検出装置を備えたガスメータの一実施の形態のブロック図を示している。
本実施の形態のガス漏洩検出装置を備えたガスメータは、大流量(所定流量以上)のガスを供給可能な主流路10と、小流量(所定流量未満)のガスを供給可能な副流路20を備えている。副流路で流すことができるガスの量が小流量であり、主流路で流さなければならないガスの量が大流量である。主流路10には、調節手段30が設けられている。調節手段30としては、例えば、主流路10の流路を開閉する弁が用いられる。副流路20は、主流路10に設けられた調節手段30をバイパスするように設けられている。第1流量検出手段40は、副流路20でバイパスされていない主流路10の部分に設けられており、小流量から大流量の広範囲におけるガスの使用量を積算するための流量検出用である。第2流量検出手段50は、副流路20に設けられており、微小なガス漏洩量をより正確に検出するための流量検出用である。
異常検出手段100は、調節手段30の全開/全閉制御、ガス使用量の積算、ガス漏洩検出、ガス漏洩異常検出時の異常処置等を行う。また、異常検出手段100は、ガス漏洩異常を検出した場合に作動させる遮断手段70(ガスを遮断する)、表示手段80(異常を表示する)、警報手段90(警報を発する)と接続されている。
また、電源120は、異常検出手段100に接続され、異常検出手段100、第1流量検出手段40、第2流量検出手段50、調節手段30等に電源を供給する。
既に説明したように、第2流量検出手段50でガスの使用量を検出することが可能であるので、その場合は第1流量検出手段40を省略してもよい。
また、ガス漏洩検出装置のみとして構成する場合も、第1流量検出手段を省略してもよい。
【0016】
図7は、本発明のガス漏洩検出装置を備えたガスメータの一実施の形態の概略構成図を示している。本実施の形態では、第1流量検出手段40及び第2流量検出手段50として、超音波式流量検出手段を用いている。
第1流量検出手段40は、第1発信受信器(上流)41と第2発信受信器(下流)42で構成され、第2流量検出手段50は、第3発信受信器(上流)51と第4発信受信器(下流)52で構成されている。第1及び第2の流量検出手段40、50は、ガスの流れを妨げることなく、且つ流路面積にも影響を及ぼさないように、流路の外側に所定の角度を設けて備えられる。
また、本実施の形態では、調節手段30は、固定部材33と、可動部材32と、ステップモータ31を用いている。ステップモータ31を駆動することで、可動部材32を摺動させ、固定部材33に設けられた開口部33aと可動部材32に設けられた開口部32aとの相対位置を制御して、主流路10を開閉制御する。
また、電源120は、長期間の継続動作を内蔵電池で行うために、複数の電池121を並列に接続している。
【0017】
次に、図8、図9を用いて調節手段30の構造を説明する。固定部材33は、複数の開口部33aが設けられ、主流路10内に固定される。図8、図9に示す例では、固定部材33の開口部33aは、6箇所設けられ、開口部33aと閉口部33bが交互に配置される。この例では、開口部33aと閉口部33bの角度θは、ほぼ30°に設定されている。また、同様に可動部材32は、図8、図9に示すように、開口部32aが、6箇所設けられ、開口部32aと閉口部32bが交互に配置され、開口部32aと閉口部32bの角度θは、ほぼ30°に設定されている。
そして、ステップモータ31のロータ31aが、可動部材32の中心に固定される。可動部材32と固定部材33は、互いの中心が重なるように、また、可動部材32の当接部32cが固定部材33のストッパ33cとストッパ33dの間に位置するように組み合わされる。当接部32cがストッパ33cに当接するまでステップモータ31により可動部材32を反時計方向に駆動すると、調節手段30は全開位置に制御される。また、逆に当接部32cがストッパ33dに当接するまでステップモータ31により可動部材32を時計方向に駆動すると、調節手段30は全閉位置に制御される。
【0018】
次に、図10に異常検出手段100の構成図の例を示す。
異常検出手段100は、CPU110を中心に構成され、バス115にて、各回路及び素子と接続されている。
記憶手段は、ROM140とRAM130で構成され、バス115にてCPU110と接続されている。制御プログラムは、ROM140に記憶され、RAM130には、CPU110の処理結果等を一時的に記憶する。ここで、ROM140には、EPROM、EEPROM、FlashROM等が用いられるが、これに限定されない。また、RAM130には、DRAM、SRAM等が用いられるが、これに限定されない。また、ROM140とRAM130は、CPU110の内部にあってもよい。
電源120は、異常検出手段100内の回路及び素子に電源を供給するとともに、発信受信器41、42、51、52、ステップモータ31、LCD表示器81、LED82、遮断用電磁弁71、警報ブザー91等にも電源を供給する。
【0019】
切替回路310は、バス115にてCPU110に接続され、入出力切替器312を切り替える。入出力切替器312は、第1発信受信器(上流)41から超音波を発信させ第2発信受信器(下流)42で受信する動作と、第2発信受信器(下流)42から超音波を発信させ第1発信受信器(上流)41で受信する動作とを切り替える。
同様に、切替回路330は、バス115にてCPU110に接続され、入出力切替器332を切り替える。入出力切替器332は、第3発信受信器(上流)51から超音波を発信させ第4発信受信器(下流)52で受信する動作と、第4発信受信器(下流)52から超音波を発信させ第3発信受信器(上流)51で受信する動作とを切り替える。
出力回路320は、バス115にてCPU110に接続され、発信信号を入出力切替器312を経由させて一方の発信受信器に伝える。入力回路210は、バス115にてCPU110と接続され、他方の発信受信器が受信した信号をCPU110に伝える。
同様に、出力回路340は、バス115にてCPU110に接続され、発信信号を入出力切替器332を経由させて一方の発信受信器に伝える。入力回路220は、バス115にてCPU110と接続され、他方の発信受信器が受信した信号をCPU110に伝える。
【0020】
入力回路230は、バス115にてCPU110と接続され、入力スイッチ200の操作状態をCPU110に伝える。入力スイッチ200は、ガスメータに備えられ、ガスの積算量表示を切り替える場合、自己診断の実施を要求する場合、ガス漏洩異常の検出状態から復帰する場合等に使用される。
出力回路350は、バス115にてCPU110に接続され、CPU110からの出力信号をステップモータ31の駆動信号に変換する。ステップモータ31は、異常検出手段100からの駆動信号に基づいて、主流路を閉鎖あるいは開通させる。
出力回路360は、バス115にてCPU110に接続され、CPU110からの出力信号をLCD表示器81の表示信号に変換する。LCD表示器81は、異常検出手段100からの表示信号に基づいて、表示部分にガスの積算量、ガス漏洩異常検出時の異常状態等を表示する。
出力回路370は、バス115にてCPU110に接続され、CPU110からの出力信号をLED82の駆動信号に変換する。LED82は、異常検出手段100からの駆動信号に基づいて、異常検出手段100の自己診断結果、ガス漏洩異常検出時の異常状態等を表示する。例えば、正常である場合は点灯、異常である場合は点滅する。
出力回路380は、バス115にてCPU110に接続され、CPU110からの出力信号をガス遮断用電磁弁71の駆動信号に変換する。ガス遮断用電磁弁は、ガス漏洩異常検出時に異常検出手段100からの駆動信号に基づいて、ガスを遮断する。
出力回路390は、バス115にてCPU110に接続され、CPU110からの出力信号を警報ブザー91の駆動信号に変換する。警報ブザー91は、ガス漏洩異常検出時に異常検出手段100からの駆動信号に基づいて、警報音を発する。
【0021】
◆[検出タイミング]
次に、図11を用いて、ガス漏洩量の検出タイミングについて説明する。
[ガス使用量測定タイミング]
ガスメータの場合は、例えば2秒毎に、ガスの使用量を積算するためのガス流量値を検出する。図11中の「ガス使用量測定タイミング」の矢印が、2秒毎のタイミングを示している。このタイミングで、第1流量検出手段40あるいは第2流量検出手段50で測定した超音波の到達時間と調節手段の状態とに基づいて検出したガス流量値を積算し、ガス使用量を求める。
ここで、第1流量検出手段40あるいは第2流量検出手段50のどちらを用いてもよいし、第1流量検出手段40を持たないガスメータあるいはガス漏洩検出装置を構成してもよい。
【0022】
[ガス漏洩検出タイミング]
ガス漏洩検出タイミングは、ガス使用量測定タイミングほど短い間隔で検出しなくてもよい。例えば、1時間毎(第1所定時間に相当する)に検出してもよい。図11中の「ガス漏洩検出タイミング」の矢印が、1時間毎のタイミングを示している。このタイミングで、一旦調節手段30を全閉状態に制御して副流路20のみにガスを流して第2流量検出手段50で測定した超音波の到達時間と調節手段の状態とに基づいて検出したガス流量値に基づいてガス漏洩を検出する。
ここで、調節手段30の制御状態と第1及び第2流量検出手段40、50での測定方法の組み合わせは、種々の方法が考えられ、どのような方法を用いてもよい。以下に例を列挙する。
(1)ガス漏洩検出タイミングで、調節手段30を全閉状態に制御して第2流量検出手段で測定する。
(2)ガス漏洩検出タイミングで、前回(この例では2秒前)のガス使用量測定結果が所定流量値未満であった場合に、当該ガス漏洩検出タイミングで、調節手段30を全閉状態に制御して第2流量検出手段で測定する。
(3)ガス漏洩検出タイミングにおいて、まず調節手段30が全開状態の場合に、一旦第1流量検出手段40で測定して所定流量値未満であった時に、続いて調節手段30を全閉状態に制御して第2流量検出手段50で再度測定する。
(4)ガス漏洩検出タイミングにおいて、まず調節手段30が全開状態の場合に、一旦第2流量検出手段50で測定して所定流量値未満であった時に、続いて調節手段30を全閉状態に制御して第2流量検出手段50で再度測定する。
上記の(1)、(2)の方法を用いた場合は、ガス漏洩検出時の制御がシンプルであるが、当該タイミングにおいて、設備等のガス使用量が多い場合、調節手段を一旦全閉状態にすると、ガス供給量が不足する可能性がある。(2)の方法の方が、(1)の方法よりも比較的、ガス供給量の不足が発生する確率は低くなる。(3)及び(4)の方法では、この問題は解消される。また、(4)は第1流量検出手段40が設けられていない場合でも用いることができる。
【0023】
[調節手段の状態及び調節手段の消費電流]
調節手段30は、「ガス漏洩検出タイミング」にて、上記(2)、(3)、(4)のいずれかの方法を用いた場合は、必要であれば全閉状態に制御される。また、全閉状態に制御されて第2流量検出手段50による測定が終了したら、全開状態に制御される(戻される)。調節手段30は、普段は全開状態を維持しており(通電は停止されている)、「ガス漏洩検出タイミング」にて、必要であれば通電されて全開状態から全閉状態に制御される。そして、全閉状態では通電が停止され、第2流量検出手段50による測定が終了したら、通電されて全閉状態から全開状態に制御される。そして、全開状態では通電が停止されている。つまり、調節手段30は、第1所定時間毎に、全開状態から全閉状態、そして全閉状態から全開状態の2回駆動されるのみである。
従来のガスメータは、設備等のガス使用量の変動に応じて、使用量が多い場合は調節手段30を全開状態に制御して、使用量が少ない場合は調節手段30を全閉状態に制御している。このため、例えば、ガスメータの耐用年数である10年に80万回の駆動を想定して内蔵電池の容量を設定している。しかし、本実施の形態のガスメータでは設備等のガス使用量に依存されず、第1所定時間毎に2回駆動するのみである。この場合、同じ10年での駆動回数は約17.5万回であり、内蔵電池の容量を約1/4以下(80/17.5=4.57)に設定することができる。
【0024】
◆[ガス漏洩検出(正常検出)]
次に、図12を用いて、ガス漏洩異常を検出する動作(正常であることを検出する動作)について説明する。ここでは、第1所定時間毎(例えば、1時間毎)に検出したガス流量値が、第1所定流量値Q1(漏洩判定流量値に相当し、例えば、5[L]/[h]=約1.4*10-6[m3]/[s])以上である状態を、第2所定時間以上(漏洩判定時間に相当し、例えば、720時間(30日に相当)以上)継続して検出した場合に、ガス漏洩異常であると検出する。これらの処理は、例えば、異常検出手段100内のCPU110にて実行される。
[ガス漏洩検出タイミング]
ガス漏洩検出タイミングは、例えば、1時間毎(第1所定時間に相当する)に実行される。図12中の「ガス漏洩検出タイミング」の矢印が、1時間毎のタイミングを示している。ここで、第2所定流量値Q2(全開維持流量値に相当)は、第1所定流量値Q1よりも高い値に設定されている。
【0025】
[調節手段の状態及びガス流量値の検出]
調節手段30は、ガス漏洩検出タイミングにおいて、第1流量検出手段40あるいは第2流量検出手段50で検出されたガス流量値が第2所定流量値Q2未満である場合に、全開状態から全閉状態に制御される。また、全閉状態に制御された後、第2流量検出手段50を用いて、より正確にガス流量値が検出される。
また、調節手段30は、ガス漏洩検出タイミングにおいて、第1流量検出手段40あるいは第2流量検出手段50で検出されたガス流量値が第2所定流量値未満でない場合は、通電されず全開状態を維持している。
[検出流量値]
ガス漏洩検出タイミングで検出された検出流量値は、調節手段30を全閉制御して第2流量検出手段50で検出した検出流量値(この場合、第2所定流量値Q2未満である時の検出流量値)の方が、調節手段30を全開制御して第1流量検出手段40あるいは第2流量検出手段50で検出した検出流量値(この場合、第2所定流量値Q2以上である時の検出流量値)よりも誤差が小さい。よって、検出流量値が第1所定流量値Q1以上であることを、より正確に判定できる。また、第2所定流量値Q2以上の場合は、より正確にガス流量値を検出するまでもなく、明らかに第1所定流量値Q1以上であると判定できる。
【0026】
[異常検出カウンタ及び異常検出状態]
異常検出カウンタは、例えば、ガス漏洩検出タイミング毎に、検出流量値が第1所定流量値Q1以上である場合に値が+1され、検出流量値が第1所定流量値Q1未満である場合は値が0に戻される。この値が第2所定時間に相当する値より大きくなった時点でガス漏洩異常を検出する。図12の場合は、異常と検出されなかった場合を示している。このため、異常検出状態(例えば、異常検出状態を示すフラグ)は、OFF状態を維持している。
【0027】
◆[ガス漏洩検出(異常検出)]
次に、図13を用いて、ガス漏洩異常を検出する動作(異常を検出する動作)について説明する。第1所定時間毎に検出したガス流量値が、第1所定流量値Q1以上である状態を、第2所定時間以上継続して検出した場合に、ガス漏洩異常であると検出する。これらの処理は、例えば、異常検出手段100内のCPU110にて実行される。
[ガス漏洩検出タイミング]
ガス漏洩検出タイミングは、図12の説明と同じであるので省略する。
[調節手段の状態及びガス流量値の検出]
調節手段30の状態及びガス流量値の検出については、ガス漏洩異常を検出する前の期間(図13中の「異常検出状態(ON)」の手前の期間)は図12の説明と同じである。ただし、ガス漏洩異常を検出した後の期間(図13中の「異常検出状態(ON)」以後の期間)は、調節手段30を全閉状態に制御して、異常状態からの復帰に備えている(微小なガスの流量値をより正確に検出して復帰の可否を判定するために、調節手段30を全閉状態に制御しておく)。
[検出流量値]
検出流量値については、ガス漏洩異常を検出する前の期間(図13中の「異常検出状態(ON)」の手前の期間)は図12の説明と同じである。ただし、ガス漏洩異常を検出した時点(図13中の「異常検出状態(ON)」の時点)で、安全のためにガスを遮断等した場合は、図13に示すように、ガスが遮断され、ガスの流量値が0(ゼロ)になるので、ガスの検出流量が0(ゼロ)になる。検出流量値の点線部分は、ガスを遮断しなかった場合に想像される検出流量値である。
【0028】
[異常検出カウンタ及び異常検出状態]
異常検出カウンタは、例えば、ガス漏洩検出タイミング毎に、検出流量値が第1所定流量値Q1以上である場合に値が+1され、検出流量値が第1所定流量値Q1未満である場合は値が0に戻される。この値が第2所定時間に相当する値より大きくなった時点でガス漏洩異常を検出する。図13中で、異常検出カウンタが第2所定時間に相当する値より大きくなった時点で、異常検出状態(例えば、異常検出状態を示すフラグ)をONにする。異常検出状態をONにした時点で、異常処置を実行し、例えば、遮断用電磁弁71を駆動してガスを遮断したり、LCD表示器81あるいはLED82を駆動してガス漏洩異常であることを表示したり、警報ブザー91を駆動して警報を発生させる。異常処置には他にも種々の方法が考えられる。
【0029】
◆[異常検出状態からの復帰(正常復帰)]
次に、図14を用いて、ガス漏洩異常を検出した後、異常検出状態から復帰する動作(正常と判定して復帰する動作)について説明する。例えば、一旦、ガス漏洩異常を検出して、ガスを遮断した場合、その後は設備等でガスを使用できない。このため、作業者等による異常部分の修理等が完了すれば、元通りガスを使用できるようにする。ただし、元通りガスを使用できるようにするには、正常に修理が完了していることを判定できた場合のみとする。正常に修理が完了しているか否かの判定は、一時的に異常処置を解除して(ガスの遮断等を解除して)ガスの検出流量値(ほとんど0(ゼロ)の状態)に基づいて判定する。一時的に異常処置を解除するためのトリガとしては、復帰要求手段の操作(例えば、復帰用ボタンを押す操作)を用いる。
ガス漏洩異常が検出されている場合(この場合、異常検出状態(ON)の場合)、復帰要求手段が操作されると、第3所定時間の間(例えば、5分間)仮復帰状態になり、一時的に異常処置を解除する。そして、調節手段30を全閉状態に維持し、第4所定時間毎(例えば、2秒毎)にガス流量値を検出する。この場合は、異常検出状態からの復帰であるので、正常に修理が完了していれば、ガス流量値はほぼ0(ゼロ)のはずである。また、正常に修理が完了していない場合(まだガス漏洩量がある場合)は、即、再異常処置を実行するために、第4所定時間(例えば、2秒)を第1所定時間(例えば、1時間)以下に設定している。
第4所定時間毎(例えば、2秒毎)に検出したガス流量値が、第3所定流量値Q3(例えば、1[L]/[h]=約0.28*10-6[m3]/[s])未満である状態を、第5所定時間以上(例えば、1分以上)継続して検出した場合に、正常に修理が完了したと判定して異常検出状態から復帰する。これらの処理は、例えば、異常検出手段100内のCPU110にて実行される。
【0030】
[復帰要求手段の操作及び仮復帰状態への突入]
ガス漏洩異常が検出された場合、例えば、ガスが遮断されている。作業者は、設備等でのガスの使用を停止して(ガス使用量を0(ゼロ)にして)、配管、設備等でガス漏洩が発生している部分を特定し、特定部分を修理する。そして、作業者は、修理が完了したら、復帰要求手段を操作する(図14中の「復帰要求手段を操作(ON)の部分)。異常検出手段100は、復帰要求手段が操作されたことを認識し、仮復帰状態に突入する(図14中の「仮復帰状態に突入」の部分)とともに、異常処置(遮断、表示、警報等)を一時的に解除する(図14中の「異常処置を一時的に解除」の部分)。ここで、図示しないが、「仮復帰状態」を継続可能な期間は、第3所定時間に設定される。
[ガス漏洩検出タイミング]
異常検出状態(図14中の「異常検出状態(ON)の期間)におけるガス漏洩検出タイミングは、例えば、2秒毎(第4所定時間に相当する)に実行される。図14中の「ガス漏洩検出タイミング」の矢印が、2秒毎のタイミングを示している。ここで、第3所定流量値Q3は、第1所定流量値Q1以下の値に設定されている。
【0031】
[調節手段の状態及びガス流量値の検出]
異常検出状態(図14中の「異常検出状態(ON)の期間)における調節手段30は、全閉状態に維持され、ガス流量値は、第2流量検出手段50を用いて、より正確に検出される。
また、調節手段30は、異常検出状態から復帰した時点(図14中の「異常検出状態(OFF)の時点)で、全閉状態から全開状態に制御される。そして、調節手段30は、異常検出状態からの復帰以降(図14中の「異常検出状態(OFF)以降の期間)では、図12に示す動作と同様、第1所定時間毎のタイミングにおいて、第1流量検出手段40あるいは第2流量検出手段50で検出されたガス流量値が第2所定流量値Q2未満である場合に、全開状態から全閉状態に制御される。また、全閉状態に制御された後、第2流量検出手段50を用いて、より正確にガス流量値が検出される。また、第1所定時間毎のタイミングで第1流量検出手段40あるいは第2流量検出手段50で検出されたガス流量値が第2所定流量値未満でない場合は、制御されず全開状態を維持する。
【0032】
[検出流量値]
異常処置を一時的に解除する前の期間(図14中の「異常処置を一時的に解除」以前の期間)では、ガスが遮断されているので、検出流量値はほぼ0(ゼロ)である。異常処置を一時的に解除した以降の期間(図14中の「異常処置を一時的に解除」以降の期間)では、正常に修理が完了している場合なので、検出流量値はほぼ0(ゼロ)である。
また、異常検出手段100は、図14中の「仮復帰状態」の期間では、調節手段30を全閉状態に維持して第2流量検出手段を用いて、検出流量値が第3所定流量値Q3未満であるか否かを、より正確に判定する。
【0033】
[正常判定カウンタ及び異常検出状態]
正常判定カウンタは、図14中の「仮復帰状態」の期間において、例えば、ガス漏洩検出タイミング毎に、検出流量値が第3所定流量値Q3未満である場合に値が+1され、検出流量値が第3所定流量値Q3以上である場合は値が0に戻される。この値が第5所定時間に相当する値より大きくなった時点でガス漏洩異常検出状態から復帰する。図14中で、正常判定カウンタが第5所定時間に相当する値より大きくなった時点で、異常検出状態(例えば、異常検出状態を示すフラグ)をOFFにするとともに、仮復帰状態を解除(図14中の「仮復帰状態を解除」の部分)する。また、異常検出状態をOFFにした時点で、異常処置を解除(図14中の「異常処置を解除」の部分)し、例えば、遮断用電磁弁71をガスの遮断から復帰させたり、LCD表示器81あるいはLED82にガス漏洩異常から復帰したことを表示したり、警報ブザー91の警報音を停止させてもよい。
異常検出状態をOFFにした時点で、ガス漏洩異常検出状態から正常に復帰し、以降は図12及び図13に示す「ガス漏洩検出」の実行を再開する。
【0034】
◆[異常検出状態からの復帰(再度、異常検出)]
次に、図15を用いて、ガス漏洩異常を検出した後、異常検出状態から復帰する動作(再度、異常を検出)について説明する。仮復帰状態における第3所定時間の期間に、第4所定時間毎に検出したガス流量値が、第3所定流量値Q3未満である状態を、第5所定時間以上継続して検出しなかった場合に、正常に修理が完了していないと判定し、再度、異常処置を実行する。これらの処理は、例えば、異常検出手段100内のCPU110にて実行される。
【0035】
[復帰要求手段の操作及び仮復帰状態への突入]
復帰要求手段の操作及び仮復帰状態への突入は、図14の説明と同じであるので省略する。また、「仮復帰状態」を継続可能な期間は、第3所定時間に設定される。
[ガス漏洩検出タイミング]
ガス漏洩検出タイミングは、図14の説明と同じであるので省略する。
[調節手段の状態及びガス流量値の検出]
異常検出状態(図15中の「異常検出状態(ON)の期間)における調節手段30は、図14の説明と同じであるので省略する。
[検出流量値]
異常処置を一時的に解除する前の期間(図15中の「異常処置を一時的に解除」以前の期間)では、ガスが遮断されているので、検出流量値はほぼ0(ゼロ)である。異常処置を一時的に解除した以降の期間(図15中の「異常処置を一時的に解除」以降の期間)では、正常に修理が完了していない場合なので、検出流量値が変動しており、ガス漏洩が発生していることを表している。
また、異常検出手段100は、図15中の「仮復帰状態」の期間では、調節手段30を全閉状態に維持して第2流量検出手段を用いて、検出流量値が第3所定流量値Q3未満であるか否かを、より正確に判定する。
また、ガス漏洩異常を再度、検出した時点(図15中の「異常検出状態(ON継続)」の時点)で、安全のためにガスを再遮断等した場合は、図15に示すように、ガスの検出流量が0(ゼロ)になる。検出流量値の点線部分は、ガスを遮断しなかった場合に想像される検出流量値である。
【0036】
[正常判定カウンタ及び異常検出状態]
正常判定カウンタは、図15中の「仮復帰状態」の期間において、例えば、ス漏洩検出タイミング毎に、検出流量値が第3所定流量値Q3未満である場合に値が+1され、検出流量値が第3所定流量値Q3以上である場合は値が0に戻される。この値が第5所定時間に相当する値より大きくなった時点でガス漏洩異常検出状態から復帰する。図15では、正常判定カウンタは、第3所定時間の期間に第5所定時間に相当する値より大きくならなかった状態を表している。この場合は、第3所定時間が経過した時点で、正常に修理が完了していないと判定し、再度、異常処置を実行(図15中の「再度、異常処置を実行」の部分)するとともに、仮復帰状態を解除(図15中の「仮復帰状態を解除」の部分)する。
【0037】
[復帰あるいは再度異常処置を実行するまでに要する時間]
従来のガスメータは、機械式流量検出手段の処理を踏襲していた。機械式流量検出手段では、その構造上、微小なガス流量値を検出するためには、数分〜数十分の時間を要していた。
しかし、本実施の形態で説明したガスメータを用いれば、微小なガス流量値の検出を数ms〜数百msで検出できるので、従来よりも、より速く異常検出状態から復帰あるいは再度異常処置を実行することができる。
【0038】
また、本実施の形態に説明したガスメータに対して、少なくともガス漏洩検出に必要なものを備えた、ガス漏洩検出装置を構成することもできる。
【0039】
本発明のガス漏洩検出装置あるいはガスメータは、本実施の形態で説明した構成、制御方法、手順等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、本発明のガス漏洩検出装置あるいはガスメータの構成は、本実施の形態に示す図7に限定されるものではない。
流量検出手段40、50及び調節手段30は、本実施の形態に示した超音波の発信受信器及びステップモータに限定されるものではない。また、調節手段30の構造及び形状については、本実施の形態に示した図7、図8、図9に限定されるものではない。
可動部材32及び固定部材33の、開口部32a、33a及び閉口部32b、33bの個数及び形状については、本実施の形態に限定されるものではない。
また、可動部材32及び固定部材33の形状及び構造については、本実施の形態に限定されるものではない。
異常検出手段100の構成は、本実施の形態に示した図10に限定されるものではない。
流量検出手段40、50を用いた検出流量値特性は、本実施の形態に示した図4、図5に限定されるものではない。また、流量検出手段は、1つでもよい。
また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未満(<)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。
また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。
また、ガス漏洩異常検出の動作、異常検出状態からの復帰時の動作は、本実施の形態に示した図12、図13、図14、図15に限定されない。
また、本実施の形態では、異常検出を第1所定時間毎に実施したが、所定時間毎でなく、ランダムなタイミングで実施してもよい。異常検出のタイミングは種々のタイミングにすることが可能である。
また、本実施の形態では、検出流量値が第1所定流量値以上である状態を、第2所定時間継続して検出した時にガス漏洩異常と検出したが、所定時間の継続に限定されない。例えば、検出流量値に応じて継続時間を変更するようにしてもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1、請求項2のいずれかに記載のガス漏洩検出装置あるいはガスメータを用いれば、調節手段の駆動回数を低減させて、調節手段の駆動に使用する電池の消費電流を低減させることができ、小流量のガス漏洩量であってもより確実にガスの漏洩を検出することができるガス漏洩検出装置あるいはガスメータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ガスメータあるいはガス漏洩検出装置の配管と、超音波式流量検出手段でガス流量値を検出する原理を説明する模式図である。
【図2】 副流路の効果を説明するための模式図である。
【図3】 副流路のガス流量値を検出すれば主流路のガス流量値が推定できることを説明するための模式図である。
【図4】 副流路に超音波式流量検出手段を用いた場合の検出流量値特性の例を示す図である。
【図5】 副流路が設けられていない部分の主流路に超音波式流量検出手段を用いた場合の検出流量値特性の例を示す図である。
【図6】 ガスメータの一実施の形態のブロック図である。
【図7】 ガスメータの一実施の形態の概略構成図である。
【図8】 調節手段30の構成の例を示す図である。
【図9】 固定部材33、可動部材32の例を示す図である。
【図10】 異常検出手段100の構成図の例である。
【図11】 ガス使用量測定タイミング、ガス漏洩検出タイミング、調節手段の状態、調節手段の消費電流を説明する図である。
【図12】 ガス漏洩検出(正常検出)の動作例を説明する図である。
【図13】 ガス漏洩検出(異常検出)の動作例を説明する図である。
【図14】 ガス漏洩異常検出状態からの復帰(正常復帰)の動作例を説明する図である。
【図15】 ガス漏洩異常検出状態からの復帰(再度、異常検出)の動作例を説明する図である。
【符号の説明】
10 主流路
20 副流路
30 調節手段
40 第1流量検出手段
50 第2流量検出手段
70 遮断手段
80 表示手段
90 警報手段
100 異常検出手段
120 電源
Claims (2)
- 流路の開度量を調節する調節手段が設けられた主流路と、
前記主流路の前記調節手段をバイパスし、流量検出手段が設けられた副流路と、
異常検出手段と、を備えたガス漏洩検出装置であって、
前記異常検出手段は、異常検出時に前記調節手段を全閉状態に制御し、前記調節手段が全閉状態の時の前記流量検出手段の測定値に基づいてガス漏洩異常を検出し、
前記異常検出手段は、前記調節手段が全開状態の時の前記流量検出手段の測定値に基づいた検出流量値が所定の流量値である全開維持流量値以上である時は、異常検出時であっても前記調節手段を全閉状態に制御せず、全開状態に維持する、
ことを特徴とするガス漏洩検出装置。 - 請求項1に記載のガス漏洩検出装置であって、
前記異常検出手段は、前記調節手段の全開状態あるいは全閉状態にかかわらず、異常検出時における前記流量検出手段の測定値に基づいた検出流量値が所定の流量値である漏洩判定流量値以上である状態を、所定の時間である漏洩判定時間以上継続して検出した時に、ガス漏洩異常を検出する、
ことを特徴とするガス漏洩検出装置。
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