JP4024110B2 - 超音波流量計測装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス等の流体を測定する流量計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ガスの使用量を計測するガスメータには、想定される流量よりも過大な流量が計測された場合や、流量と継続使用時間のテーブルを備え、流量がテーブルに記憶された時間よりも長い時間継続して計測された場合に、流量異常と判定してガス通路を遮断し、安全性を確保する保安機能が内蔵されたものが普及している。
また、このようなメータは、所定時間毎の流量の有無を判断し、流量無しの時間帯が30日間1度も存在しないと判断された場合、メータより下流側の内管設備に漏洩がある判定して、警報を出力する機能も備えたものが一般的である。
また、圧力センサを内蔵し、例えば10秒に1回程度の頻度で圧力を監視し、異常に上昇した場合、または異常に下降した場合、圧力異常と判定してガス通路を遮断し、安全を確保するものも一般的である。
この種のメータの流量測定方式には、所定の時間内にメータを通過した体積より流量を測定する膜式メータと、通常の流量測定間隔t01で超音波センサを動作させて瞬時流量を測定し、時間間隔を乗じることで積算流量を求める超音波メータが一般的である。
従来の超音波センサを利用したメータを図1にもとづき説明する。
メータは、ガスが通過する流路部と、1対の超音波センサ部A、Bと、超音波センサを駆動する超音波センサ駆動回路部と、超音波センサより上流側に設置される遮断弁部と、遮断弁を駆動する遮断弁駆動部と、遮断弁より下流側に設置される圧力センサと、警報表示部と、制御回路部とから構成される。
ガスの流量を計測する場合、制御回路部より超音波センサ駆動回路部に駆動信号を送出し、超音波センサ部Aから超音波を送出して超音波センサ部Bへ到達するまでの順方向到達時間t1と、超音波センサ部Bから超音波を送出して超音波センサ部Aへ到達するまでの逆方向到達時間t2とを計測し、式(1)に基づき瞬時流量q[m3/h]を計測する。
q=(L/(2cosθ))×(1/t1−1/t2)×S・・・式(1)
但し、Lは超音波センサA、B間の距離、θは、流路に平行な線と超音波センサA、Bを結ぶ線の間に生じる角度、Sは流路の断面積である。
計測されたqに時間間隔Tを乗じることで、積算流量Qを計算する。また、計測されたガスの流量が異常かどうかを制御部で判断し、異常と判断した場合は、遮断弁駆動部に駆動信号を送出してガスを遮断するか、警報表示部に駆動信号を送出して警報を表示する等の処置をとる。
しかしながら、この超音波メータにおいて、超音波センサ部の経年劣化による特性の変化や、ガス中に含まれるダスト、ミスト等の付着による特性の変化が懸念されている。
すなわち、通常、ガスの流れがない場合、前記順方向伝播時間t1と逆方向伝播時間t2は当然等しくなり、その逆数の差は0となり、瞬時流量もゼロとなる。しかしながら、前記特性の変化により、たとえば超音波センサBを駆動してから実際に超音波が送出するまでの遅延時間がΔtだけ生じたとすると、その逆数差は(1/t1−1/(t2+Δt))だけ残ることとなる。
L=0.1[m]、θ=60[°]、S=0.0003[m2]、音速C=400[m/s]のとき、遅延時間Δtが10[ns]生じたとすれば、
t1=0.1/400=0.00025[sec]
t2=0.1/400+Δt=0.00025001[sec]
となり、式(1)より瞬時流量qは、0.016[m3/h]、すなわち16[L/h]となる。
前述のようにメータは一般的に所定時間毎の流量の有無を判断し、流量無しの時間帯が30日間1度も計測されない場合、メータより下流側の内管設備に漏洩がある判定して、警報を出力する機能を備えるが、流量の有無の判定の第1の閾値には3[L/h]の値を用いるのが一般的である。
このことから、器差の増大に加え、わずか10nsの遅延時間の発生は、内管設備の漏洩の誤判定につながる。
このようなゼロ点のズレに対しては、特開2000−304582のように、ガス通路の遮断弁を閉じ、ガス未使用である状態をガス圧力により確認し、この時の計測値をゼロ点に設定することでズレを補正することが提案されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、超音波センサ部の経年劣化による特性の変化や、ガス中に含まれるダスト、ミスト等の付着による特性の変化が発生した場合、この変化は温度や湿度等にも依存するため、万が一ゼロ点ズレ(ゼロ点シフトともいう。)が発生してしまった場合、ある一時のゼロ点をもって補正するのは、さらなる誤差にもつながりかねない。
また、ガス通路の遮断弁を閉じ、ガス未使用である状態を確認した後で、または確認している間に、顧客がガス使用を開始した場合、供給不良となり立消え等が発生し保安上危険であるという問題がある。
また、ゼロ点の補正には、弁の開閉が必要となるが、弁の開閉には多くの電力を消費するため、頻繁にこの動作を実施することは電池容量の増大を伴いコスト高の問題が生じる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
発明者達は、本発明課題を達成すべく、種々検討した結果、「ゼロ点ズレの可能性がない場合には極力補正動作は行なわず、ゼロ点ズレの可能性が否定できない場合のみ実施するのが理想的である旨」の着想に至った。かかる着想に関しては、先行文献に記載の無い斬新な着想である。
課題を解決するための手段は、より具体的には、前述した特許請求の範囲の各請求項である。
○請求項1記載発明
請求項1記載発明は、従来の超音波流量計測装置に比較して、「前記制御回路部は、通常の流量測定間隔Δt01毎で前記超音波センサ部を駆動させて瞬時流量を導出し、前記瞬時流量から、設定期間mΔt01における平均流量、最大流量及び最小流量を導出すると共に、
前記超音波センサ部において前記流路部を通過する前記流体の流量のゼロ点のズレの有無を検定するゼロ点シフト検定を実行可能に構成された超音波流量計測装置であって、
前記平均流量が漏洩判断の第1の閾値範囲内、且つ前記最大流量と前記最小流量との差分が流量の十分に安定しているとみなせる第2の閾値範囲内である場合、前記制御回路部が、前記ゼロ点異常いと判断し、
前記平均流量が前記漏洩判断の第1の閾値範囲外、又は前記最大流量と前記最小流量との差分が流量の十分に安定しているとみなせる第2の閾値範囲外である場合、前記制御回路部が前記流路部の前記圧力値を監視した状態で、前記遮断弁部を閉状態とし、前記ゼロ点シフト検定を実行すること」を特徴的構成要件としている。
本発明では、設定された長期期間ΔT0の間に存在する顧客がガスを使用しない時間帯(設定期間mΔt01以上)が必ず有る場合を、先ず前提として考える。顧客がガスを使用しない時間帯が全く存在しないならば、内管のガス漏洩検知は不可能であり、また顧客のガス使用中は遮断弁を閉止することもできず、ゼロ点シフト検定自体が不可能となる。
従って、本発明では、顧客がガスを使用しない時間帯が全く存在しない場合は、除外して考えて差し支えない。
このような顧客がガスを使用しない時間帯では、前記平均流量が漏洩判断の第1の閾値範囲内の場合、内管のガス漏洩量と同程度のゼロシフト量がある場合には、ゼロ点異常無しと判断するのは問題となが、内管のガス漏洩量と同程度のゼロシフト量が発生することは非常に稀であるので、本発明の対象から除外しても本発明課題達成上の阻害要因とはならない。
前記平均流量が、漏洩判断の第1の閾値範囲内の場合であっても、例えば、超音波センサが短期間に一時的な誤動作をして、最大流量と最小流量の差分が第2の閾値以上である場合、超音波センサの測定瞬時値が信頼性に欠けると考えられ、ゼロ点異常無しとは判断しないことにした。
なお、前記平均流量が漏洩判断の第1の閾値範囲内と有るのは、顧客がガスGを使用中にゼロ点シフト検定を行なうために遮断弁を閉止することは立消えの危険があるため、顧客がガスGを不使用の場合に限って、ゼロ点シフト検定を行なうようにするためでもある。
本発明により、消費電力が大きいゼロ点シフト検定を不必要に行なわなくても良いので、消費電力が少ない超音波流量計測装置の提供という当業者容易予測できない顕著な効果を奏する。
また、ゼロ点シフト検定を行う際には、遮断弁を閉止してガス不使用を担保した上で、流体の流量を測定するので、正確なゼロ点シフト検定が可能な超音波流量測定装置の提供が可能となる。
○請求項2記載発明
請求項2記載発明は、「設定された長期期間ΔT0に一度も前記ゼロ点異常と判断できなかったとき、前記ゼロ点シフト検定を実施すること」を特徴的構成要件としている。
本発明は、請求項1に記載の「ゼロ点異常無しかどうかの一次判定」を先ず行ない、圧力測定値に基づいて、ゼロ点異常無しかどうか不明の場合に、圧力測定値に基づいてゼロ点シフト検定(二次判定、精密判定)を行なうことを明確化している。
本発明では、設定された長期期間ΔT0の間に、顧客がガスを使用しない時間帯(設定期間mΔt01以上)が存在する場合を、先ず前提として考えることにする。
設定された長期期間ΔT0(例えば1ヶ月の間)に、顧客がガスを使用しない時間帯が一度は有ることを前提にする場合、長期期間ΔT0に、一度もゼロ点異常無しと判断できなかったときには、ゼロ点シフトが発生しているか、または内管が漏洩しているかの何れかなので、精密判定としてのゼロ点シフト検定を実施することを明確化したものである。「一度もゼロ点異常無しと判断できなかったとき」と構成要件を限定したのは、ゼロ点シフト検定には消費電力が多く掛かるので、ゼロ点シフト検定頻度を必要最小限に留めるためである。
○請求項3記載発明
請求項3記載発明は、「前記ゼロ点シフト検定の間、前記流体の前記圧力値を、通常の圧力測定間隔Δt02より短い圧力測定間隔Δt2に切り替えて、前記圧力センサ部より取り込むこと」を特徴的構成要件としている。
「通常の圧力測定間隔Δt02より短い圧力測定間隔Δt2に切り替えて、」と有るのは、測定エネルギーがかかる圧力測定間隔を短くして、消費電力を少なくする効果を発揮させるためである。
○請求項記載発明
請求項記載発明は、ゼロ点シフト検定をより具体的に記載したものであり、「前記ゼロ点シフト検定は、前記遮断弁駆動部に弁閉の信号を送出し、設定期間nΔt2流体の前記圧力値を監視し、前記設定期間nΔt2に前記圧力値に設定された圧力降下がない場合には、前記設定期間nΔt2流体の流量を計測し、前記設定期間nΔt2の後に前記遮断弁駆動部に弁開の信号を送出するとともに、前記設定期間nΔt2の流量を基にゼロ点に異常があるかを判断し、前記設定期間nΔt2の中で前記圧力値に設定された圧力降下がある場合には、前記遮断弁駆動部に弁開の信号を送出し、前記ゼロ点シフト検定を中止する」を特徴的構成要件としている。
本発明では、ガスの使用がない時間帯を先ず前提としており、ガスは遮断弁で閉止されているので、前記圧力値に設定された圧力降下がない場合には、内管の漏洩がないと判断される。同時に、設定期間nΔt2流体の流量を計測することによって、ゼロ点シフトがないことを確認ができる。
前記設定期間nΔt2に前記圧力値に設定された圧力降下がある場合には、内管漏洩が有るか顧客のガス使用があるかのあるいは両方の場合が考えられる。ゼロ点シフト検定を中止すると有るのは、前記設定期間nΔt2の中で顧客がガス使用を開始した場合には、そのままゼロ点シフト検定するよりも顧客ニーズを優先させると共に、立ち消え等のないように安全性の高い超音波流量計測装置の提供を可能とするものである。
○請求項記載発明
請求項記載発明は、「前記制御回路部は、前記設定期間nΔt2の間に前記流体の前記圧力値が所定の圧力値を下回ったことを検知した場合、弁開の信号を前記遮断弁駆動部に送出し、前記ゼロ点シフト検定を中止すること」を特徴的構成要件としている。「前記設定期間nΔt2の間に流体の前記圧力値が所定の圧力値を下回ったこと」と有るのは、ゼロ点シフトが有り、一次判定ではゼロ点異常が無いと判断される場合であっても、二次判定のゼロ点シフト検定では、内管漏洩、顧客のガス使用が有る(両方の場合も考えられる。)という判断をすることにし、ゼロ点シフト検定を中止することを明確化したものである。本発明により、上記のような超音波流量計測装置の提供が可能となった。
○請求項記載発明
請求項記載発明は、「前記ゼロ点シフト検定において前記ゼロ点に異常があると判断された場合、前記警報表示部に警報表示信号を出力すること」を特徴的構成要件としている。ゼロ点シフト検定においてゼロ点に異常があると判断された場合、最終的な二次判定であるので、警報信号を出力する。これにより、超音波流量計測装置の需要者は、ガス漏洩が有った旨、あるいは超音波センサが誤動作等の虞が有る旨等を知ることができる。
【0005】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。図1は、本発明による実施例の超音波流量計測装置である。基本的な構成は従来例の説明と同様である。
【0006】
ガスGの流量を計測する場合、通常の流量測定間隔t01で、制御回路部7より超音波センサ駆動回路部2に駆動信号を送出し、超音波センサ部Aから超音波を送出して超音波センサ部Bへ到達するまでの順方向到達時間t1と、超音波センサ部Bから超音波を送出して超音波センサ部Aへ到達するまでの逆方向到達時間t2とを計測し、式(1)に基づき瞬時流量q[m3/h]を計測する。
【0007】
この通常の流量測定間隔t01は、短ければ短い程、流量変化に対する時間応答性が良くなるため好ましいが、頻繁な瞬時流量の計測は消費電力の増加を招き、電池駆動のガスメータにおいては、電池容量の増大、ひいてはコストアップにつながり好ましくない。このため、通常の流量測定間隔to1(通常2秒に1回程度)の瞬時流量の計測を実施している。
また、制御回路部7は、通常の圧力測定間隔t02で圧力センサ部5より圧力値を取り込む。通常供給ガスの圧力は2000[Pa]前後であり、これが例えば500Paを下回った場合や、5000Paを上回った場合、供給圧力異常と判断し、遮断弁駆動部4に弁閉の信号を送出する。
【0008】
この通常の圧力測定間隔t02は、短ければ短い程、圧力異常に対する時間応答性が良くなるため好ましいが、頻繁な圧力値の取込は消費電力の増加につながるため、通常10秒に1回程度の圧力値の取りこみを実施する。
【0009】
制御回路部7は、所定のタイミング(設定された長期期間ΔT0毎)でゼロ点シフト検定を実施するが、設定された長期期間ΔT0は、一般的には1月に1回程度が想定される。
【0010】
しかしながら、顧客がガスGを使用していない時間帯における瞬間流量、または顧客がガスGを使用していない時間帯における設定期間nto1の平均流量が、±0.5L/h程度の範囲におさまっている場合、数L/hの漏洩と、これと全く同程度のマイナス数L/hのゼロ点シフトが全く同時期に起こることは通常考え難いため、超音波センサ部の劣化によるゼロ点シフトは発生していないと考えてよい。
【0011】
このため、設定期間nto1の平均流量が、例えば±0.5L/hの範囲におさまっている場合にはゼロ点シフト検定を実施しないようにプログラムしている。
【0012】
すなわち、例えば1ヶ月の間に、設定期間nto1の平均流量が±0.5L/hの範囲内におさまっている時間帯が一度も出現しなかった場合、ゼロ点シフトが発生しているか、または内管が漏洩している可能性があるので、ゼロ点シフト検定を実施する。但し、顧客がガスGを使用中にゼロ点シフト検定のために遮断弁を閉止することは立消えの危険があるため不可能であるため、設定期間nto1の平均流量が5L/h以下のときにゼロ点シフト検定を実行するようにプログラムする。
【0013】
詳細を図を参照して説明する。
におけるステップ1.1〜1.4は、瞬時流量qの平均流量qave、最大流量qmax、最小流量qminを算出するステップである。ここに、設定期間nto1は、30秒間(すなわち、t02=2秒、n=15)に予め決められている。まず、ステップ1.1において、カウンタ値C1を0にセットし、平均流量qave、最大流量qmax、最小流量qminもそれぞれ0にセットする。
【0014】
ステップ1.2において瞬時流量を測定し、ステップ1.3において、カウンタ値C1を1インクリメントするとともに、測定された瞬時流量qを15で除算し、qaveに加算する。また、qがqmaxを上回る場合、qmaxにqをセットし、qがqminを下回る場合、qminにqをセットする。
【0015】
カウンタ値C1が15未満である場合には、2秒のウエイトを置いた後(ステップ1.5)、ステップ1.2に戻る。カウンタ値C1が15に達した場合、ステップ1.6に移行する。
【0016】
ステップ1.6において、算出された30秒間(15回)の測定される瞬時流量qの平均流量qave、最大流量qmax、最小流量qminより、ゼロシフトの有無を判断する。
【0017】
具体的には、qmax−qmin<3[L/h]である場合、すなわち、流量の変動がない場合であり、且つ、qaveの絶対値が0.5[L/h]未満、すなわち|qave|<0.5[L/h]の場合、ゼロシフトが無いと判断され、この条件が満たされないとき、ゼロシフトが無いとは判断できない。
【0018】
この条件は、センサ劣化のない初期状態のメーターにおける流量ゼロの場合の瞬時流量の計測値とその30秒平均値により決定される。
【0019】
例えば、実際に測定される瞬時流量の計測値及びその30秒平均値を図2に示す。
【0020】
毎回の瞬時流量値は、流量がゼロの場合でも±1.5L/h程度の範囲ではばらつく。
これは、ノイズ等やメーター内の流体の揺らぎ等に起因すると考えられ、ある程度の期間平均化することでゼロに収束する。
【0021】
また、この30秒平均値の推移を見ると、±0.5L/h程度の範囲で収まっていることが分かる。
【0022】
ゼロシフトが無いと判断された場合は、ステップ1.7に移行し、タイマT1をリセットした後、警報表示中であるかどうかを確認する(ステップ1.8)。警報表示中である場合には、ゼロシフトが無いと判断されたため、警報表示を解除し、ステップ1に戻る(ステップ1.9)。ステップ6において、ゼロシフトが無いと判断できなかった場合、ステップ1.10に移行する。
ステップ1.10において、タイマT1が30日を超えているかどうかを判断し、超えていない場合は、ゼロシフトの可能性は残るが規定の時間には達していないため、ゼロ点シフト検定は先送りし、ステップ1.1に戻る。
ステップ1.10において、タイマT1が30日を越えていると判断された場合、規定の時間内にゼロシフトが無いと判断できなかったため、ステップ1.11において、現在ガス使用があるかどうかを先ほど算出したqaveを用いて、qave<5[L/h]の条件で判断する。
qave<5[L/h]であった場合、ゼロ点シフト検定実施ルーチンに移行する。ここで、qave>5[L/h]であった場合、ガス使用があると判断されるため、ゼロ点シフト検定は実施せず、ステップ1.1に戻る。
この場合、タイマT1はクリアされていないため、次の30秒の測定後、ステップ1.6でゼロシフト無しと判断されるまで、毎回ステップ1.10、ステップ1.11のシーケンスへ進むため、顧客がガス使用を止めたと同時にゼロ点シフト検定を実施することとなる。
ゼロ点シフト検定は、下記の要領で実施される。図4を参照して説明すると、先ず、ステップ2.1において、現在の圧力値をp0にセットする。
【0023】
次に、ステップ2.2において圧力値の取りこみ間隔(圧力測定期間t2)を、例えば0.1秒に設定する。ステップ2.3において、制御回路部7より遮断弁駆動回路に弁閉の信号を送出し、ステップ2.4において30秒間の圧力値の低下を監視する。
【0024】
すなわち、この30秒間(設定期間nt2、すなわち、t2=0.1、n=300である。)において、0.1秒間隔の圧力値の取りこみ値pが、p<p0−100[Pa]を満たす場合割り込み処理が発生する(ステップ2.19)
このとき、内管の漏洩が発生しているか、顧客がガス使用中、またはガス使用を開始した、と判断されるため、遮断弁を速やかに開放し(ステップ2.20)、ゼロシフトが無いと判断できなかったため、警報表示部6に警報表示信号を出力して発報し(ステップ2.21)、タイマT1をリセットした後(ステップ2.22)、通常の圧力測定間隔t02を10sec毎に戻し(ステップ2.23)、元のルーチンに戻る。
【0025】
ステップ2.4において、30秒間の圧力が低下しなかった場合、内管漏洩やガス使用は無いものとして、実際のゼロ点の検定を始める。
【0026】
すなわち、弁閉の状態、つまり内管漏洩がなければ必ず流量ゼロが出力されるべき状態で、設定期間mt01(ここでは、to1=2秒、m=15)、例えば30秒間に所定回数、2秒に1回であれば15回の瞬時流量の計測を実施する。
【0027】
ステップ2.6〜2.8のシーケンスは、ステップ1.2〜1.4と同様であるため説明を省略する。
【0028】
なお、ステップ2.6〜2.8のシーケンスにおいても0.1秒間隔(圧力測定間隔t2)で継続して圧力値を取り込んでいるが、この圧力値が初期値p0より100Pa以上低下した場合、顧客がガス使用を開始したと判断し、ステップ2.19に移行する。
【0029】
30秒間(設定期間nt2)の測定が終わったら、まずステップ2.9において遮断弁を開放し、ステップ2.10において圧力測定間隔t2を10sec(通常の圧力測定間隔t02)に戻す。
【0030】
その後、ゼロシフトの有無を判別する。
【0031】
すなわち、設定期間mt01の瞬時流量の値の最大値qmaxと最小値qminの差が1[L/h]以内で安定しており、且つ、その平均値qaveが±0.5[L/h]の範囲に収まっていればゼロ点シフト無しと判断してステップ2.12へ移行し、収まらなければゼロ点シフト有りと判別し、ステップ2.16へ移行する。
【0032】
ゼロ点シフト無しと判断された場合、ステップ2.12においてタイマT1をリセットし、警報表示中かどうかをステップ2.13において判断する。
警報表示中の場合、ステップ2.14において警報表示を解除し、元のルーチンに戻る(ステップ2.15)
また、ゼロ点シフト有りと判断された場合、ステップ2.16において警報表示部6に警報表示信号を出力して発報して、ステップ2.17においてタイマT1をリセットし、元のルーチンに戻る(ステップ2.18)。
【0033】
以上のルーチンから分かるとおり、ゼロ点シフト無しと判断できない場合、警報表示を行い、ゼロ点シフト検定を繰り返すが、タイマT1を都度リセットしているため、30日以上の間隔(設定された長期期間ΔT0)でゼロ点シフト検定は実施されることとなる。
【0034】
これは、ゼロ点シフト検定には、弁の開閉及び短い圧力測定間隔t2で圧力値の取りこみが必要でこれは通常の状態よりも大きな電流を消費するため、過度に頻繁な実施は電池消耗を招くための処理である。
【0035】
すなわち、最悪の場合を考えても、月に1回(設定された長期期間Δt0)のゼロ点シフト検定を10年間の耐用年数として120回実施できるだけの電池容量を備えておけば良い。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明の超音波流量計測装置によれば、弁閉の状態で必ず流量ゼロが出力されるべき状態でゼロ点シフトを検知できるとともに、通常より細かい間隔で圧力値を取りこみ、その低下を監視し、低下がある場合は即弁を開くため、顧客がガス使用を開始した場合、供給不良となり立消え等が発生しするという保安上の問題が回避できる。
また、本発明の超音波流量計測装置によれば、発明が解決しようとする課題において記載した各発明課題を達成するという顕著な効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の超音波センサを利用したメータの図
【図2】 本発明の実際に測定される瞬時流量の計測値及びその30秒平均値を表す
【図3】 本発明の実施例のフローチャート図(ゼロ点シフト検定実施までのルーチン
【図4】 本発明の実施例のフローチャート図(ゼロ点シフト検定実施のルーチン
【符号の説明】
1 流路部
2 超音波センサ駆動回路部
3 遮断弁部
4 遮断弁駆動回路部
5 圧力センサ部
6 警報表示部
7 制御回路部
A 超音波センサ部
B 超音波センサ部
G ガス

Claims (6)

  1. 流体が通過する流路部と、
    前記流路を流れる前記流体の流量を測定するための超音波センサ部と、
    前記超音波センサを駆動する超音波センサ駆動部と、
    前記流路部の上流側に設置される遮断弁部と、
    前記遮断弁を駆動する遮断弁駆動部と、
    前記遮断弁部より下流側の流体の圧力値を計測する圧力センサ部と、
    外部に異常を報知する警報表示部と、
    前記超音波センサ駆動部前記遮断弁駆動部前記圧力センサ部及び前記警報表示部を制御する制御回路部とを備え、
    前記制御回路部は、通常の流量測定間隔Δt01毎で前記超音波センサ部を駆動させて瞬時流量を導出し、前記瞬時流量から、設定期間mΔt01における平均流量、最大流量及び最小流量を導出すると共に、
    前記超音波センサ部において前記流路部を通過する前記流体の流量のゼロ点のズレの有無を検定するゼロ点シフト検定を実行可能に構成された超音波流量計測装置であって、
    前記平均流量が漏洩判断の第1の閾値範囲内、且つ前記最大流量と前記最小流量との差分が流量の十分に安定しているとみなせる第2の閾値範囲内である場合、前記制御回路部が、前記ゼロ点異常いと判断し、
    前記平均流量が前記漏洩判断の第1の閾値範囲外、又は前記最大流量と前記最小流量との差分が流量の十分に安定しているとみなせる第2の閾値範囲外である場合、前記制御回路部が前記流路部の前記圧力値を監視した状態で、前記遮断弁部を閉状態とし、前記ゼロ点シフト検定を実行する超音波流量計測装置。
    ここに、mは1以上の定数である。
  2. 前記制御回路部は、設定された長期期間ΔT0に一度も前記ゼロ点異常と判断できなかったとき、前記ゼロ点シフト検定を実施することを特徴とする請求項1に記載の超音波流量計測装置。
    ここに、ΔT0>mΔt01
  3. 前記制御回路部は、前記ゼロ点シフト検定の間、前記流体の前記圧力値を、通常の圧力測定間隔Δt02より短い圧力測定間隔Δt2に切り替えて、前記圧力センサ部より取り込むことを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波流量計測装置。
  4. 前記ゼロ点シフト検定は、前記遮断弁駆動部に弁閉の信号を送出し、設定期間nΔt2流体の前記圧力値を監視し、前記設定期間nΔt2の中で前記圧力値に設定された圧力降下がない場合には、前記設定期間nΔt2流体の流量を計測し、前記設定期間nΔt2の後に前記遮断弁駆動部に弁開の信号を送出するとともに、前記設定期間nΔt2の流量を基にゼロ点に異常があるかを判断し、前記設定期間nΔt2の中で前記圧力値に設定された圧力降下がある場合には、前記遮断弁駆動部に弁開の信号を送出し、前記ゼロ点シフト検定を中止する請求項1乃至3の何れか一項に記載の超音波流量計測装置。
    ここに、nは1以上の定数である。
  5. 前記制御回路部は、前記設定期間nΔt2の間に前記流体の前記圧力値が所定の圧力値を下回ったことを検知した場合、弁開の信号を前記遮断弁駆動部に送出し、前記ゼロ点シフト検定を中止することを特徴とする請求項に記載の超音波流量計測装置。
  6. 前記制御回路部は、前記ゼロ点シフト検定において前記ゼロ点に異常があると判断された場合、前記警報表示部に警報表示信号を出力することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の超音波流量計測装置。
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