JP4866279B2 - トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式を採用した画像形成方法及び画像形成装置に用いられるトナーの製造方法に関し、特に、一成分現像オイルレス定着方式の画像形成方法及び画像形成装置に用いられる一成分現像トナーの製造方法に関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式を採用した画像形成装置においては、静電潜像担持体である感光体上の静電潜像をトナーによって現像して可視像を形成し、さらに該可視像を記録媒体上に転写した後、熱と圧力によって定着せしめて、定着画像として出力する。
上記定着工程において、熱と圧力が不足することで記録媒体とトナーとの定着強度が弱くなり、摺りや折り曲げ等の機械的ストレスで画像の剥がれが生じる。そのため、トナー未定着画像に熱と圧力とを付与する加熱加圧部材の温度を高温にすることで、より多量の熱量を付与して定着せしめることが容易になる。
しかし、上記方法で熱と圧力とを過剰に付与すると、トナーと加熱加圧部材とが溶融状態で接する為、粘弾性の低下したトナーが加熱加圧部材表面に転移し、次の記録媒体上に再転移されるといったオフセット現象が生じてしまう。
そこで、従来は加熱加圧部材表面にオイル塗布をすることでトナーと加熱加圧部材との付着力を低減し、離型性を向上させることでオフセットを抑止する方法が用いられてきた。
ところが、装置の小型化への要望の高まりや、非画像部へのオイル付着の防止及び部材の削減によるコストダウンの目的から、オイル塗布を行わずにトナー中に離型剤を付加して離型性を担保させてなるオイルレス定着方式が広く採用されている。
一方、近年の高速化に対する市場のニーズの高まりから、画像形成装置におけるプロセススピードが大きく上昇した為、さらなる定着性(低温定着性・耐オフセット性)の向上と、現像装置内での(トナー−現像装置部材間の)ストレス増加に伴う、トナー固着現象の発生という新たな問題が生じてきた。
トナー固着現象は主にオイルレス方式の画像形成装置において発生し易く、このことはトナーに付加された離型剤成分が、現像装置部材と接触する際の機械的及び/または熱的エネルギーによって引き起こされているものと考えられる。従って、トナー固着現象という問題は近年の高速化に対応するためには不可避の課題であると言え、解決のために様々な研究が為されてきた。
例えば特許文献1に記載の発明は、ワックスを0.1〜40重量%含有し、トナー表面に露出するワックスの存在割合がトナー表面に露出する構成化合物中の1〜10重量%であり、ワックスの形状が薄片状であり、且つ、該ワックスの数平均分散径が0.1〜2μmであることを特徴するものであるが、離型剤の露出量が好適な値とは言えず、また、制御の方法が湿式製法によるものである。さらに、本発明では離型剤の表面露出量の算出を元素定量によっているが、この場合、深さ方向の検出可能範囲は0.1μmである。これは、離型剤の分散径を包含せず、定着時に溶出可能な離型剤の総量を表現しているとは言いがたい。
また、特許文献2に記載の発明は、ワックスは、軟化点が145℃〜165℃であり、その数平均分子量Mnが、6000〜8000の低分子量ポリプロピレンワックスであり、上記ワックスのドメイン径が1.0μm以上3.0μm以下であり、作製された電子写真用トナー中に分散された上記ワックスのドメイン径が0.1μm以上1.0μm以下であることを特徴としており、離型剤の分散状態は好適で、離型剤の融点が高いことから低温定着性が十分であるとは言えない。
さらに、特許文献3に記載の発明は、少なくとも結着樹脂及び融点が60〜100℃のパラフィンワックスを含有し、溶融混練法で製造された電子写真用トナーであって、該パラフィンワックスの分散径が0.3〜2.5μmであり、該電子写真用トナーのフロー軟化点が130〜140℃であることを特徴とするが、フロー軟化点が低いため固着が発生し易く、特に1成分現像法で使用した場合、現像部で受ける摺擦力に耐えうる機械的強度を有さないため、固着の発生が避けられない。
またさらに、特許文献4に記載の発明は、ワックスの平均分散径が0.2〜0.4μmであって、分散径0.4μm以上のワックスが占める面積の割合がワックス全体の面積の5%以下であり、トナーの体積平均粒径が7μm以下であることを特徴とするが、離型剤のトナー表面への露出が不十分であり、十分な低温定着性を有しない。
また、特許文献5に記載の発明は、示差熱分析法による吸収熱量のピーク温度位置が50〜100℃に存在し、前記ピーク温度から200℃までの温度範囲における貯蔵弾性率G’がG’≦0.1Paであるとともに、損失弾性率G”がG”≦2Paで、且つ、25℃における針入度が10以下であるワックスを含有し、かつトナー中での前記ワックスの最大分散径が1μm以下であることを特徴とするが、離型剤の添加量が15部であり、表面露出量が一定範囲であっても固着が発生し易く、特に1成分現像法で使用した場合、現像部で摺擦を受ける際に発生する熱により容易に離型剤が溶解し、帯電付与部材等に付着、固化してしまうため、固着の発生が避けられない。
さらに、特許文献6に記載の発明は、トナー中におけるワックスの平均分散径が0.1〜0.8μmであり、トナー表面における下記数式1で表されるワックスピーク強度比が、0.12〜0.4であることを特徴とするが、強度比が高く表面露出量が多くなることから固着が発生し易く、特に1成分現像法で使用した場合、現像部で摺擦を受ける際に発生する熱により容易に離型剤が溶解し、帯電付与部材等に付着、固化してしまうため、固着の発生が避けられない。さらに、本発明では離型剤の表面露出量の算出をATR法によっているが、この場合、深さ方向の検出可能範囲は0.2〜0.3μmである。これは、離型剤の分散径を包含せず、定着時に溶出可能な離型剤の総量を表現しているとは言いがたい。
またさらに、特許文献7に記載の発明は、トナーを2層以上色重ねして画像形成する画像形成装置において、カラートナーのうち画像が形成される記録材から最も近い側に重ねられるカラートナーの離型剤分散径をカラートナー中で最大とすることを特徴とする画像形成装置であり、カラー画像の定着時に定着ロールと接するトナーの離型剤分散径を大きくすることにより低温オフセットの発現を抑制することを効果としてあげているが、分散径の大きい色は固着が発生し易く、特に1成分現像法で使用した場合、現像部で摺擦を受ける際に発生する熱により容易に離型剤が溶解し、帯電付与部材等に付着、固化してしまうため、固着の発生が避けられない。
また、色ごとに定着性が異なるトナーの調整を行う場合や、あるいは、定着システム、定着条件が異なるプリンタ、MFP等にトナーを展開する場合、定着性を確保するために離型剤の添加量を調整する必要があるが、その結果、帯電付与部材への固着現象等の現像に関するトラブルが発生し、さらに現像条件の調整が必要となる場合が多い。この時、現像条件での調整が難しい場合、再度離型剤添加量を調整し、定着性と現像性(耐固着性)が両立する領域を確認せねばならず、離型剤の添加量と、製造方法の製造条件の最適化に多大な労力と時間、費用を要している。
特許第3225889号公報 特許第3403936号公報 特許第3535414号公報 特開2002−365847号公報 特開2003−195555号公報 特開2004−258625号公報 特開2006−98628号公報
そこで本発明は、従来技術における上記問題に鑑みてなされたものであり、定着性と、耐久・環境における耐固着性に優れたトナーの製造方法を提供することを目的とする。
また本発明は、離型剤添加量に応じて製造条件を調整し、結果的に離型剤の分散径を制御することにより、離型剤の添加量が異なってもトナー表面の離型剤露出量を一定範囲内に制御したトナーを製造可能なトナーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤を、混練機で溶融混練し、次いで粉砕分級した後、無機微粒子を付着せしめてトナーを製造するトナーの製造方法において、前記離型剤の添加量x(質量部)は、前記結着樹脂100質量部に対して2〜8質量部であり、前記混練機は、バレルとスクリュとを有する臼式混練機であり、前記離型剤の添加量xと、前記バレルへの供給量F(Kg/h)と、前記バレルの温度T(℃)と、前記スクリュの回転数N(rpm)とを下記式(1)乃至(3)の全てを満たすように決定することで、前記離型剤のトナー表面露出量y(mg/g)が下記式(4)を満たすことを特徴とするトナーの製造方法で上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
−10x+105≦F≦−10x+115 ・・・式(1)
−5x+85≦N≦−5x+95 ・・・式(2)
−10x+135≦T≦−10x+145 ・・・式(3)
17.5≦y≦25.0 ・・・式(4)
即ち、上記課題を解決するために本発明に係るトナーの製造方法は、具体的には下記(1)〜(4)に記載の技術的特徴を有する。
(1)少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤を、混練機で溶融混練し、次いで粉砕分級した後、さらに無機微粒子を付着せしめてトナーを製造するトナーの製造方法において、前記離型剤の添加量x(質量部)は、前記結着樹脂100質量部に対して2〜8質量部であり、前記混練機は、バレルとスクリュとを有する臼式混練機であり、前記離型剤の添加量xと、前記バレルへの供給量F(Kg/h)と、前記バレルの温度T(℃)と、前記スクリュの回転数N(rpm)とを下記式(1)乃至(3)の全てを満たすように決定することで、前記離型剤のトナー表面露出量y(mg/g)が下記式(4)を満たすことを特徴とするトナーの製造方法である。
−10x+105≦F≦−10x+115 ・・・式(1)
−5x+85≦N≦−5x+95 ・・・式(2)
−10x+135≦T≦−10x+145 ・・・式(3)
17.5≦y≦25.0 ・・・式(4)
(2)前記トナーの体積平均粒径が、6.0〜10.0(μm)であることを特徴とする上記(1)に記載のトナーの製造方法である。
(3)前記結着樹脂は、1種または2種以上の結着樹脂からなり、前記離型剤は、少なくとも1種の結着樹脂の内部に予め分散され、しかる後に溶融混練されることを特徴とする上記(1)に記載のトナーの製造方法である。
(4)前記トナーは、一成分現像法で用いることを特徴とする上記(1)に記載のトナーの製造方法である。
本発明によれば、離型剤添加量に応じて製造条件を調整し、結果的に離型剤の分散径を制御することにより、離型剤の添加量が異なってもトナー表面の離型剤露出量を一定範囲内に制御したトナーを製造可能なトナーの製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明のトナーの製造方法に係る実施の形態について詳細に説明する。
本発明のトナー製造方法は、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤を、混練機で溶融混練し、次いで粉砕分級した後、さらに無機微粒子を付着せしめてトナーを製造するトナーの製造方法において、前記離型剤の添加量x(質量部)は、前記結着樹脂100質量部に対して2〜8質量部であり、前記混練機は、バレルとスクリュとを有し、前記離型剤の添加量xと、前記バレルへの供給量F(Kg/h)と、前記バレルの温度T(℃)と、前記スクリュの回転数N(rpm)とを下記式(1)乃至(3)の全てを満たすように決定することで、前記離型剤のトナー表面露出量y(mg/g)が下記式(4)を満たすことを特徴とするトナーの製造方法である。
−10x+105≦F≦−10x+115 ・・・式(1)
−5x+85≦N≦−5x+95 ・・・式(2)
−10x+135≦T≦−10x+145 ・・・式(3)
17.5≦y≦25.0 ・・・式(4)
ここで、臼式混練機でのトナーの溶融混練において、離型剤添加量x(質量部)に対して、分散時の供給量F(Kg/h)が、
−10x+105≦F≦−10x+115 ・・・式(1)
の関係を満たすことが好ましい。xがある一定値の時、Fが−10x+105より小さくなると、離型剤分散径が小さくなるため離型剤表面露出量yが17.5以下となり、十分な定着離型性を得ることができない。さらにFを小さくしていくと混練機内部を非混練物が十分に満たすことができず、安定的に溶融混練を行うことができない。逆にxがある一定値の時、Fが−10x+115より大きくなると、離型剤分散径が大きくなるため、離型剤表面露出量yが25.0以上になり、現像ローラと帯電付与部材の間に固着が発生してしまう。さらにFを大きくしていくと、混練機に十分に非混練物が噛み込むことができず、安定的に溶融混練を行うことができない。上記した好適な供給量F(Kg/h)と、離型剤添加量x(質量部)との関係を図1に示す。
臼式混練機でのトナーの溶融混練において、離型剤添加量x(質量部)に対して、分散時のスクリュ回転数N(rpm)が、
−5x+85≦N≦−5x+95 ・・・式(2)
の関係を満たすことが好ましい。xがある一定値の時、Nが−5x+85より小さくなると、離型剤分散径が小さくなるため離型剤表面露出量yが17.5以下となり、十分な定着離型性を得ることができない。さらにNを小さくしていくと混練機のモータートルクの上昇や、混練機内に非混練物が停滞するなどの問題が生じ安定的に溶融混練を行うことができない。逆にxがある一定値の時、Nが−5x+95より大きくなると、非混練物がせん断力を受けることにより発する自己発熱量が大きくなり、一旦分散した離型剤同士が再度合一する、いわゆる再凝集の発生頻度が高くなり離型剤分散径が大きくなるため、離型剤表面露出量yが25.0以上になり、現像ローラと帯電付与部材の間に固着が発生してしまう。さらにNを大きくしていくと、より自己発熱量が増すとともに、結着樹脂の種骨格樹脂の分子切断頻度も飛躍的に高くなるため、粘度の著しい低下を招き、高温オフセット発生等定着性に対しても重大な影響を及ぼす。上記した好適なスクリュ回転数N(rpm)と、離型剤添加量x(質量部)との関係を図2に示す。さらに、上記した好適なスクリュ回転数N(rpm)と、供給量F(Kg/h)との関係を図3に示す。
臼式混練機でのトナーの溶融混練において、離型剤添加量x(質量部)に対して、バレル温度T(℃)が、
−10x+135≦T≦−10x+145 ・・・式(3)
の関係を満たすことが好ましい。xがある一定値の時、Tが−10x+135より小さくなると、離型剤分散径が小さくなるため離型剤表面露出量yが17.5以下となり、十分な定着離型性を得ることができない。さらにTを小さくしていくと混練機のモータートルクの上昇や、非混練物が十分に溶融しない等の問題が生じるため、安定的に溶融混練を行うことができない。逆にxがある一定値の時、Tが−10x+145より大きくなると、非混練物がせん断力を受けることにより発する自己発熱量が大きくなり、再凝集の発生確率が飛躍的に増大し離型剤分散径が大きくなるため、離型剤表面露出量yが25.0以上になり、現像ローラと帯電付与部材の間に固着が発生してしまう。さらにTを大きくしていくと、結着樹脂の分解温度が近くなるため、種骨格樹脂の分子切断頻度も飛躍的に高くなるため、粘度の著しい低下を招き、高温オフセット発生等定着性に対しても重大な影響を及ぼす。上記した好適なバレル温度T(℃)と、離型剤添加量x(質量部)との関係を図4に示す。
さらに式1乃至3の全てを満たすことで得られるトナー表面露出量y(mg/g)について、離型剤添加量x(質量部)との関係を図5に示す。
(混練機)
本発明のトナーの製造方法は、結着樹脂、着色剤、離型剤等の被処理物を溶融混練し、得られた混練物を冷却、粉砕及び分級して得られる。本発明のトナーの製造方法に好適に用いられる混練機としては、二軸押出機等の公知のものが利用できるが挙げられるが、外部砥石と内部砥石との間に被処理物を導入し、回転剪断力を付加して混練を行う臼式混練機(コロクドミル等)を用いることが特に好ましい。
臼式混練機は砥石を用いて剪断力を付与するが、非混練物が砥石間を非直線的に通過するため、その軸長に対して、二軸押出機等の公知のものと比べてより大きな剪断力を付与することができることを特徴とする。
この臼式混練機は、その外部砥石と内部砥石の間のギャップ(空隙)を調節することにより、その混練に際して溶融混練物に付加される回転剪断力をコントロールすることもできる。
図6に本実施の形態に用いられる臼式混練機の模式図を示した。被混練物は、供給フィーダ11から投入され、搬送スクリュ12Aを経て、外部砥石13と内部砥石14との薄膜間隙で混練され、再度送り部12Bを経た後、シリンダ15の中にある搬送スクリュ12Cを経て、排出口16から排出される。その後プレスローラ17で圧延冷却される。被混練物の分散状態は、被混練物の供給量、スクリュ回転数、砥石部のバレル温度、外部砥石13と内部砥石14との薄膜間隙等により適宜調整が可能である。
上記臼式混練機を用いて溶融混練物(ブレンド)を得る場合、臼式混練機の外部砥石と内部砥石との間のギャップは0.1mmから3mmの間での任意の値を0.05mm間隔で設定可能である。このギャップの調整によりトナー中における離型剤分散径を大まかに制御することも可能である。
しかし、実際には、外部砥石13と内部砥石14との薄膜間隙を0.2mm以下に設定すると、離型剤の分散径は小さくすることが可能であるが、処理可能量(供給量)が極端に低減するため、本発明での設定を満たすことはできなかった。逆に、薄膜間隙を0.3mm以上に広げると、処理可能量(供給量)は適切な値以上を設定できるが、離型剤の分散径は4〜5μm以上になり、本発明での設定を満たすことはできなかった。すなわち、この薄膜間隙で離型剤分散径を制御することは、他因子の変動が大きくなりすぎるため、本発明には適さない。したがって、本発明においては、設定因子がバランスよく設定可能であることから、外部砥石13と内部砥石14との薄膜間隙を0.25mmの固定とした。
(トナー)
トナーについては、画質への影響を考慮する上で、体積平均粒径において5〜12μm(コールター製マルチサイザーIII測定値)、好ましくは6〜10μmが好ましい。また記録媒体である用紙に形成されたトナー画像を定着する際に、離型剤は、混練時に混合しても構わないが、予め結着樹脂中に分散しておくことがより好ましい。本発明を構成するトナー粒子は、少なくとも第1結着樹脂、炭化水素系離型剤が内添されている第2結着樹脂、及び着色剤、荷電制御剤、外添剤を用いることが好ましい。
(結着樹脂)
第1結着樹脂および第2結着樹脂の種類は特に制限されず、フルカラートナーの分野で公知の結着樹脂、例えば、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、エポキシ系樹脂、COC(環状オレフィン樹脂(例えば、TOPAS−COC(Ticona社製)))等であってよいが、オイルレス定着の観点から、第1結着樹脂および第2結着樹脂はいずれもポリエステル系樹脂を使用することが好ましい。
本発明において好ましく使用されるポリエステル系樹脂としては、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分を重縮合させることにより得られたポリエステル樹脂が使用可能である。多価アルコール成分のうち2価アルコール成分としては、例えば、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
また、多価カルボン酸成分のうち2価のカルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物あるいは低級アルキルエステルが挙げられる。
3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸,1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸の無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
また、本発明においてはポリエステル系樹脂として、ポリエステル樹脂の原料モノマーと、ビニル系樹脂の原料モノマーと、両方の樹脂の原料モノマーと反応するモノマーとの混合物を用い、同一容器中でポリエステル樹脂を得る縮重合反応およびビニル系樹脂を得るラジカル重合反応を並行して行わせて得られた樹脂(以下、単に「ビニル系ポリエステル樹脂」という)も好適に使用可能である。なお、両方の樹脂の原料モノマーと反応するモノマーとは、換言すれば縮重合反応およびラジカル重合反応の両反応に使用し得るモノマーである。即ち縮重合反応し得るカルボキシ基とラジカル重合反応し得るビニル基を有するモノマーであり、例えばフマル酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
ポリエステル樹脂の原料モノマーとしては上述した多価アルコール成分および多価カルボン酸成分が挙げられる。またビニル系樹脂の原料モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−クロルスチレン等のスチレンまたはスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン系不飽和モノオレフィン類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸ネオペンチル、メタクリル酸3−(メチル)ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸イソペンチル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸3−(メチル)ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル等のアクリル酸アルキルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸;アクリロニトリル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニルメチルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルおよびビニルイソブチルエーテル等が挙げられる。ビニル系樹脂の原料モノマーを重合させる際の重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、イソプロピルパーオキシカーボネート、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤等が挙げられる。
第1結着樹脂および第2結着樹脂としては上記のような各種ポリエステル系樹脂が好ましく使用されるが、中でも、オイルレス定着用トナーとしての分離性および耐オフセット性をさらに向上させる観点から、以下に示す第1結着樹脂および第2結着樹脂を使用することがより好ましい。
より好ましい第1結着樹脂は、上述した多価アルコール成分と多価カルボン酸成分を重縮合させて得られたポリエステル樹脂、特に多価アルコール成分としてビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物を用い、多価カルボン酸成分としてテレフタル酸およびフマル酸を用いて得られたポリエステル樹脂である。
より好ましい第2結着樹脂はビニル系ポリエステル樹脂、特にポリエステル樹脂の原料モノマーとしてビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物、テレフタル酸、トリメリット酸およびコハク酸を用い、ビニル系樹脂の原料モノマーとしてスチレンおよびブチルアクリレートを用い、両反応性モノマーとしてフマル酸を用いて得られたビニル系ポリエステル樹脂である。
本発明においては上述したように第1結着樹脂の合成時に炭化水素系離型剤が内添される。第1結着樹脂に炭化水素系離型剤を予め内添するには、第1結着樹脂を合成する際に、第1結着樹脂を合成するためのモノマー中に炭化水素系離型剤を添加した状態で第1結着樹脂の合成を行えば良い。例えば、第1結着樹脂としてのポリエステル系樹脂を構成する酸モノマーおよびアルコールモノマーに炭化水素系離型剤を添加した状態で縮重合反応を行えば良い。第1結着樹脂がビニル系ポリエステル樹脂の場合には、ポリエステル樹脂の原料モノマーに炭化水素系離型剤を添加した状態で、当該モノマーを撹拌および加熱しながら、これにビニル系樹脂の原料モノマーを滴下して重縮合反応およびラジカル重合反応を行えばよい。
(離型剤)
本発明に用いられる離型剤は後述の評価の必要もあり、n−ヘキサンに可溶な極性の低いものを選択することができるが、特に炭化水素系パラフィン離型剤であることが好ましい。パラフィン離型剤としては、例えば、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒で重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素離型剤がよい。このような離型剤を用いることにより、上記に規定したトナー中での分散状態において、定着時に十分に離型剤が染み出し、優れた定着特性を発揮することができる。
(離型剤分散剤)
本発明のトナーの製造方法には、離型剤の分散を助ける離型剤分散剤を含有させても良い。離型剤分散剤としては特に限定はなく、公知のものを使用することができ、離型剤との相溶性の高いユニットと樹脂との相溶性の高いユニットがブロック体として存在するポリマーやオリゴマー、離型剤との相溶性の高いユニットと樹脂との相溶性の高いユニットのうち一方に他方がグラフトしているポリマーもしくはオリゴマー、エチレン・プロピレン・ブテン・スチレン・α−スチレンなどの不飽和炭化水素と、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸やそのエステルもしくはその無水物との共重合体、ビニル系樹脂とポリエステルとのブロック、もしくはグラフト体などが挙げられる。
上記の離型剤との相溶性の高いユニットとしては、炭素数が12以上の長鎖アルキル基や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエンとそれらの共重合体があり、樹脂との相溶性の高いユニットとしては、ポリエステル、ビニル系樹脂などが挙げられる。
(荷電制御剤)
トナー粒子の帯電量を制御する荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
荷電制御剤の使用量は、結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、通常、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5質量部の範囲がよい。10質量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがある。
(着色剤)
着色剤としては下記の様な公知のものを用いることができる。カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。
着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15質量%、好ましくは3〜10質量%である。
(着色剤のマスターバッチ化)
本発明で用いる着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチを用いることもできる。 マスターバッチの製造またはマスターバッチとともに混練される結着樹脂としては、先にあげたポリエステル、ビニル系の樹脂のほかに、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィン離型剤などが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
(外添剤)
本発明では、トナー粒子の流動性や帯電性/現像性/転写性を補助するための外添剤として好ましくは1種以上の無機微粒子が用いられる。 無機微粒子のBET法による比表面積としては、30m2/g〜300m2/gであることが好ましく、1次粒子径として10nm〜50nmが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えば酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、酸化チタン、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
外添剤の一次粒子径が10nm以下の場合はトナーへの外添剤埋まりこみが悪化し、画質劣化変動が大きくなり耐久により悪化する。外添剤の一次粒子径が50nm以上の場合は、トナーから外添剤の離脱が多くなり、感光体にフィルミングが発生する。
〔実施例1〕
(第1結着樹脂の作成)
ビニル系モノマーとして、スチレン600g、アクリル酸ブチル110g、アクリル酸30g及び重合開始剤としてジクミルパーオキサイド30gを滴下ロートに入れた。ポリエステルの単量体のうち、ポリオールとして、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1230g、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン290g、イソドデセニル無水コハク酸250g、テレフタル酸310g、無水1,2,4−ベンゼントリカルボン酸180g及びエステル化触媒としてジブチル錫オキシド7g、離型剤としてパラフィン離型剤(融点73.3℃、示差走査型熱量計で測定される昇温時の吸熱ピークの半値幅は4℃)を仕込モノマー100質量部に対して3.4質量部、温度計、ステンレス製攪拌機、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットル四つ口フラスコに入れ、マントルヒーター中で窒素雰囲気下に、160℃の温度で撹拌しつつ、滴下ロートよりビニル系モノマー樹脂と重合開始剤の混合液を一時間かけて滴下した。160℃に保持したまま2時間付加重合反応を熟成させた後、230℃に昇温して縮重合反応を行わせた。重合度は、定荷重押出し形細管式レオメータを用いて測定した軟化点により追跡を行い、所望の軟化点に達したときに反応を終了させ、樹脂H1を得た。樹脂軟化点は130℃であった。
(第2結着樹脂の作成)
ポリオールとして、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン2210g、テレフタル酸850g、無水1,2,4−ベンゼントリカルボン酸120g及びエステル化触媒としてジブチル錫オキシド0.5gを、温度計、ステンレス製攪拌機、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットル四つ口フラスコに入れ、マントルヒーター中で窒素雰囲気下230℃に昇温して縮重合反応を行わせた。重合度は、定荷重押出し形細管式レオメータを用いて測定した軟化点により追跡を行い、所望の軟化点に達したときに反応を終了させ、樹脂L1を得た。樹脂軟化点は115℃であった。
(トナー粒子の作成1−前混合)
第1結着樹脂60質量部および第2結着樹脂40質量部(内添離型剤の質量を含む)に対して、C.I.Pigment Red 57−1を4質量部含有相当のマスターバッチヘンシェルミキサーで十分混合した。
(トナー粒子の作成2−混練)
臼式混練機(コロクドミル)を、供給量95Kg/h、スクリュ回転数85rpm、制御温度は、供給部(F)を10℃、バレル部(K1〜K4)を125℃、ベント部(V)、ダイス部(D)を100℃にそれぞれ設定して溶融混練を行った。得られた混練物を冷却プレスローラで2mm厚に圧延し、冷却ベルトで冷却した後、フェザーミルで粗粉砕した。
(トナー粒子の作成3−粉砕分級、外添)
その後、機械式粉砕機(KTM:川崎重工業社製)で平均粒径10〜12μmまで粉砕し、さらに、ジェット粉砕機(IDS:日本ニューマチックエ業社製)で粗粉分級しながら粉砕した後、微粉分級をロータ型分級機(ティープレックス型分級機タイプ:100ATP:ホソカワミクロン社製)を使用して分級を行い、体積平均粒径9.0μmの着色樹脂粒子1を得た。この着色樹脂粒子1 100質量部に対して無機微粒子であるキャボジル社製TS530を1.2質量部添加し、ヘンシェルミキサーで混合処理しマゼンタトナー粒子1を得た。
(離型剤表面露出量の測定)
着色樹脂粒子1、1gにn−ヘキサン7mLを加え、回転数120rpmで1minロールミルで攪拌する。攪拌後の溶液を吸引濾過し、濾液を真空乾燥して、表面より溶出した離型剤量を定量したところ、24.6mg/gであった。
(定着分離性の評価)
株式会社リコー製Ipsio CX2500の定着部分のみを取り出し、定着ベルトの温度およびベルト線速度を所望の値になるように改造した定着試験装置を用い、ベルト線速度125mm/secに設定して、定着ベルトの温度を140℃から190℃の範囲で10℃刻みの温度で、先端余白3mmとした先端側から転写紙の定着を行った。転写紙が定着ベルトに巻きついたり、定着機の出口で蛇腹のようになって詰まったりすることない状態を分離可能とし、目視によるオフセット判断を加えて下記基準に基づき評価した。分離可能/非オフセット温度域が50℃以上であるものを○、50℃未満であるものを×として判定したところ、結果は良好であった。
(ブレード固着の評価)
リコー製Ipsio CX3000を用いて、印字率6%の所定のプリントパターンを、N/N環境下(23℃、45%)の2000枚連続複写後(耐久後)に現像器の現像ローラの状態および複写画像を目視により観察し、評価した。判定基準は、スリーブにスジ又はムラの発生がないものを○、発生があるものを×として判定した。結果は良好であった。
〔実施例2〕
実施例2では、トナーの混練条件を供給量85Kg/h、スクリュ回転数75rpm、バレル部(K1〜K4)の温度を115℃にする以外は実施例1と同様にして着色樹脂粒子2、マゼンタトナー粒子2を得た。その結果、離型剤表面露出量は17.8mg/g、定着分離性、ブレード固着はいずれも良好であった。
〔実施例3〕
実施例4では、第1結着樹脂の離型剤添加量を仕込モノマー100質量部に対して14.2質量部に、トナーの混練条件を供給量35Kg/h、スクリュ回転数55rpm、バレル部(K1〜K4)の温度を65℃に、ベント部(V)、ダイス部(D)の温度を90℃にする以外は実施例1と同様にして着色樹脂粒子3、マゼンタトナー粒子3を得た。その結果、離型剤表面露出量は23.7mg/g、定着分離性、ブレード固着はいずれも良好であった。
〔実施例4〕
実施例4では、第1結着樹脂の離型剤添加量を仕込モノマー100質量部に対して14.2質量部に、トナーの混練条件を供給量25Kg/h、スクリュ回転数45rpm、バレル部(K1〜K4)の温度を55℃に、ベント部(V)、ダイス部(D)の温度を90℃にする以外は実施例1と同様にして着色樹脂粒子4、マゼンタトナー粒子4を得た。その結果、離型剤表面露出量は20.5mg/g、定着分離性、ブレード固着はいずれも良好であった。
〔比較例1〕
比較例1では、トナーの混練条件のうち供給量を100Kg/hにする以外は実施例1と同様にして着色樹脂粒子101、マゼンタトナー粒子101を得た。その結果、離型剤表面露出量は28.0mg/gとなり、定着分離性は良好だったが、ブレード固着は発生した。
〔比較例2〕
比較例2では、トナーの混練条件を供給量80Kg/h、スクリュ回転数75rpm、バレル部(K1〜K4)の温度を115℃にする以外は実施例1と同様にして着色樹脂粒子102、マゼンタトナー粒子102を得た。その結果、離型剤表面露出量は15.4mg/gとなり、ブレード固着は良好だったが、定着分離性は分離不良が発生した。
〔比較例3〕
比較例3では、トナーの混練条件をスクリュ回転数90rpmにする以外は実施例1と同様にして着色樹脂粒子103、マゼンタトナー粒子103を得た。その結果、離型剤表面露出量は26.7mg/gとなり、定着分離性は良好だったが、ブレード固着は発生した。
〔比較例4〕
比較例4では、トナーの混練条件を供給量85Kg/h、スクリュ回転数70rpm、バレル部(K1〜K4)の温度を115℃にする以外は実施例1と同様にして着色樹脂粒子104、マゼンタトナー粒子104を得た。その結果、離型剤表面露出量は14.8mg/gとなり、ブレード固着は良好だったが、定着分離性は分離不良が発生した。
〔比較例5〕
比較例5では、トナーの混練条件をスクリュ回転数75rpmにする以外は実施例1と同様にして着色樹脂粒子105、マゼンタトナー粒子105を得た。その結果、離型剤表面露出量は16.2mg/gとなり、ブレード固着は良好だったが、定着分離性は分離不良が発生した。
〔比較例6〕
比較例6では、トナーの混練条件を供給量85Kg/h、バレル部(K1〜K4)の温度を115℃にする以外は実施例1と同様にして着色樹脂粒子106、マゼンタトナー粒子106を得た。その結果、離型剤表面露出量は25.9mg/gとなり、定着分離性は良好だったが、ブレード固着は発生した。
〔比較例7〕
比較例7では、トナーの混練条件のうちバレル部(K1〜K4)の温度を130℃にする以外は実施例1と同様にして着色樹脂粒子107、マゼンタトナー粒子107を得た。その結果、離型剤表面露出量は27.0mg/gとなり、定着分離性は良好だったが、ブレード固着は発生した。
〔比較例8〕
比較例8では、トナーの混練条件を供給量85Kg/h、スクリュ回転数75rpm、バレル部(K1〜K4)の温度を110℃にする以外は実施例1と同様にして着色樹脂粒子102、マゼンタトナー粒子102を得た。その結果、離型剤表面露出量は15.9mg/gとなり、ブレード固着は良好だったが、定着分離性は分離不良が発生した。
〔比較例9〕
比較例9では、トナーの混練条件のうち供給量を40Kg/hにする以外は実施例3と同様にして着色樹脂粒子109、マゼンタトナー粒子109を得た。その結果、離型剤表面露出量は26.1mg/gとなり、定着分離性は良好だったが、ブレード固着は発生した。
〔比較例10〕
比較例10では、トナーの混練条件を供給量20Kg/h、スクリュ回転数45rpm、バレル部(K1〜K4)の温度を55℃にする以外は実施例3と同様にして着色樹脂粒子110、マゼンタトナー粒子110を得た。その結果、離型剤表面露出量は15.3mg/gとなり、ブレード固着は良好だったが、定着分離性は分離不良が発生した。
〔比較例11〕
比較例11では、トナーの混練条件のうちスクリュを回転数60rpmにする以外は実施例3と同様にして着色樹脂粒子111、マゼンタトナー粒子111を得た。その結果、離型剤表面露出量は25.5mg/gとなり、定着分離性は良好だったが、ブレード固着は発生した。
〔比較例12〕
比較例12では、トナーの混練条件を供給量25Kg/h、スクリュ回転数40rpm、バレル部(K1〜K4)の温度を55℃にする以外は実施例3と同様にして着色樹脂粒子112、マゼンタトナー粒子112を得た。その結果、離型剤表面露出量は16.0mg/gとなり、ブレード固着は良好だったが、定着分離性は分離不良が発生した。
〔比較例13〕
比較例13では、トナーの混練条件のうちスクリュ回転数を45rpmにする以外は実施例3と同様にして着色樹脂粒子113、マゼンタトナー粒子113を得た。その結果、離型剤表面露出量は17.1mg/gとなり、ブレード固着は良好だったが、定着分離性は分離不良が発生した。
〔比較例14〕
比較例14では、トナーの混練条件を供給量25Kg/h、バレル部(K1〜K4)の温度を55℃にする以外は実施例3と同様にして着色樹脂粒子114、マゼンタトナー粒子114を得た。その結果、離型剤表面露出量は27.5mg/gとなり、定着分離性は良好だったが、ブレード固着は発生した。
〔比較例15〕
比較例15では、トナーの混練条件のうちバレル部(K1〜K4)の温度を70℃にする以外は実施例3と同様にして着色樹脂粒子115、マゼンタトナー粒子115を得た。その結果、離型剤表面露出量は28.3mg/gとなり、定着分離性は良好だったが、ブレード固着は発生した。
〔比較例16〕
比較例16では、トナーの混練条件を供給量25Kg/h、スクリュ回転数45rpm、バレル部(K1〜K4)の温度を50℃にする以外は実施例3と同様にして着色樹脂粒子116、マゼンタトナー粒子116を得た。その結果、離型剤表面露出量は15.0mg/gとなり、ブレード固着は良好だったが、定着分離性は分離不良が発生した。
また、上記した実施例1〜4及び比較例1〜16の混練条件と評価結果を、下記表1に記す。
Figure 0004866279
本発明によれば、離型剤添加量に応じて、製造条件を調整し、結果的に離型剤の分散径を制御することにより、離型剤の添加量が異なってもトナー表面の離型剤露出量を一定範囲内に制御したトナーを効率的に製造可能なトナーの製造方法を提供することが可能となる。
即ち、定着時に定着ローラとトナー層表面のニップ部に溶解、析出して離型効果に寄与しうる離型剤の量を常に均一に保つことが可能であり定着性に優れる。さらに、トナー表面に露出した離型剤が過剰に存在していて、トナーが現像ローラと帯電付与部材の間で摺擦される際にその一部が固着して画像ノイズとなる現象に対しては、露出量が一定範囲内にあることから、離型剤の添加量が増すほど離型剤分散径は小さくなり、トナー表面に露出している離型剤粒子の面積も増加せず、固着の発生を抑制しうるトナーを効率よく提供することが可能である。
よって、上記評価結果からもわかるように、本発明によれば定着性と、耐久・環境における耐固着性に優れたトナーの製造方法を提供することができる。
供給量F(Kg/h)と、離型剤添加量x(質量部)との関係を示すグラフである。 スクリュ回転数N(rpm)と、離型剤添加量x(質量部)との関係を示すグラフである。 スクリュ回転数N(rpm)と、供給量F(Kg/h)との関係を示すグラフである。 バレル温度T(℃)と、離型剤添加量x(質量部)との関係を示すグラフである。 トナー表面露出量y(mg/g)について、離型剤添加量x(質量部)との関係を示すグラフである。 本発明に係るトナーの製造方法に用いられるトナー製造装置の一実施の形態における構成を示す概略図である。
符号の説明
11 供給フィーダ
12A 搬送スクリュ
12B 再度送り部
12C 搬送スクリュ
13 外部砥石
14 内部砥石
15 シリンダ
16 排出口
17 プレスローラ

Claims (4)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤を、混練機で溶融混練し、次いで粉砕分級した後、さらに無機微粒子を付着せしめてトナーを製造するトナーの製造方法において、
    前記離型剤の添加量x(質量部)は、前記結着樹脂100質量部に対して2〜8質量部であり、
    前記混練機は、バレルとスクリュとを有する臼式混練機であり、
    前記離型剤の添加量xと、前記バレルへの供給量F(Kg/h)と、前記バレルの温度T(℃)と、前記スクリュの回転数N(rpm)とを下記式(1)乃至(3)の全てを満たすように決定することで、前記離型剤のトナー表面露出量y(mg/g)が下記式(4)を満たすことを特徴とするトナーの製造方法。
    −10x+105≦F≦−10x+115 ・・・式(1)
    −5x+85≦N≦−5x+95 ・・・式(2)
    −10x+135≦T≦−10x+145 ・・・式(3)
    17.5≦y≦25.0 ・・・式(4)
  2. 前記トナーの体積平均粒径が、6.0〜10.0(μm)であることを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. 前記結着樹脂は、1種または2種以上の結着樹脂からなり、
    前記離型剤は、少なくとも1種の結着樹脂の内部に予め分散され、しかる後に溶融混練されることを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
  4. 前記トナーは、一成分現像法で用いることを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
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