JP4866265B2 - 内燃機関用スパークプラグ - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関に使用されるスパークプラグに関する。
内燃機関用スパークプラグは、内燃機関(エンジン)に取付けられ、燃焼室内の混合気への着火及び混合気の燃焼のために用いられるものである。一般的にスパークプラグは、軸孔を有する絶縁体と、当該軸孔に挿通される中心電極と、絶縁体の外周に設けられる主体金具と、主体金具の先端面に設けられ、中心電極との間に火花放電間隙を形成する接地電極とを備える。ここで、中心電極に高電圧が印加されることで、中心電極から接地電極に対して火花を放電させることができる。火花を放電させることで、火花放電間隙に位置する混合気へ着火し、火花放電間隙に火炎核が発生する。当該火炎核が成長し、火炎が燃焼室内を伝播していくことで、混合気を燃焼させることができる。尚、従来、中心電極や接地電極のうち火花放電間隙と対向する放電面に、耐火花消耗性に優れる貴金属(白金等)からなる貴金属チップを設けることが行われている。
ところで、近年、角柱状(断面矩形状)であった接地電極の形状を円柱状(断面円形状)とすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、内燃機関へのスパークプラグの取付状態に伴い接地電極の背面から混合気が送り込まれるような場合であっても、混合気が接地電極の背面から火花放電間隙へと回り込みやすくなり、より確実に混合気へと着火することができる。また、接地電極を断面円形状とすることにより、接地電極を角柱状とする場合と比較してより細くすることができる。その結果、火炎核の成長の妨げとなる接地電極からの熱引きを抑制することができ、火炎核の成長を促進させることができる。つまり、接地電極を断面円形状とすることで、着火性及び火炎伝播性の向上を一挙に図ることができる。
特開平11−121142号公報
しかしながら、上記技術では、確かに着火性及び火炎伝播性の向上を図ることができるものの、火花放電が集中しやすいエッジが接地電極表面に存在しなくなってしまう。そのため、接地電極が細径化されていることとも相俟って、接地電極のうち中心電極との対向面に設けられた貴金属チップとは反対側の面(背面)等にまで火花が回り込みやすくなってしまう。結果として、接地電極表面の比較的広い範囲にわたって火花放電が起こってしまい、接地電極を構成する母材自体の酸化腐食や火花消耗等の電極の消耗がより顕著となってしまうことが懸念される。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関用スパークプラグにおいて、着火性及び火炎伝播性の向上を図るとともに、接地電極を構成する母材の酸化腐食や火花消耗等の電極の消耗を抑制することで接地電極の耐久性の向上を図り、ひいてはスパークプラグの長寿命化を図ることにある。
以下、上記目的を解決するのに適した各構成につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する構成に特有の作用効果を付記する。
構成1.本構成のスパークプラグは、軸線方向に貫通する軸孔を有する筒状の絶縁体と、前記軸孔に挿設された中心電極と、前記絶縁体の外周に設けられた筒状の主体金具と、自身の先端部分が前記中心電極の先端面と対向するよう前記主体金具の先端面に設けられ、前記中心電極の先端部との間に火花放電間隙を形成するとともに、少なくとも前記火花放電間隙の中心より先端側において自身の断面が円形状をなす接地電極とを備える内燃機関用スパークプラグであって、
前記火花放電間隙の距離が0.5mm以上であり、かつ、
前記接地電極を構成する母材が卑金属を主体とする合金からなるとともに、その先端部分の表面のみであって、かつ、前記接地電極の母材の先端部分のうち、少なくとも前記中心電極の先端面から前記火花放電間隙の距離G及び前記接地電極のうち断面が円形状である部位の断面の直径Dを加算した距離(D+G)の範囲内にある部位の表面が、貴金属及び貴金属を含む合金のうち少なくとも一方で覆われていることを特徴とする。
尚、「円形状」とあるのは、必ずしも厳密な意味での円形状に限られるという意味ではない。従って、幾分、楕円形状や、長円形状や、涙形状(ただし弧状面を中心電極側とする)等をなしていてもよい。また、中心電極の先端部には貴金属チップが設けられていてもよい。この場合、「火花放電間隙の距離」とは、中心電極の先端部に設けられた貴金属チップと接地電極との間の距離をいう(以下、同様とする)。
上記構成1によれば、少なくとも火花放電間隙の中心より先端側において、接地電極の断面が円形状とされていることから、着火性及び火花伝播性の向上を図ることができる。一方で、接地電極の断面が円形状であると、接地電極のうち中心電極との対向面の反対側の面(背面)等にまで火花が回り込みやすくなってしまい、接地電極の比較的広い範囲にわたって火花放電が起こってしまうおそれがある。この点、構成1では、接地電極を構成する母材の先端部分の表面のみが、貴金属及び貴金属を含有する合金のうち少なくとも一方(「貴金属等」という)で覆われている。このため、比較的広い範囲にわたって火花放電が起こったとしても、接地電極を構成する母材は貴金属等で保護されることとなり、母材の酸化腐食や火花消耗等の電極の消耗を抑制することができる。その結果、接地電極の耐久性の向上を図ることができ、ひいてはスパークプラグの長寿命化を図ることができる。加えて、接地電極全体を貴金属等で構成したり、接地電極の母材の表面全体を貴金属等で被覆したりする場合と比較して、コストの増大を抑制することができる。
また、上記構成1によれば、接地電極の母材の先端部分のうち少なくとも中心電極の先端面から火花放電間隙の距離Gと接地電極のうち断面が円形状である部位の断面の直径Dとを加算した距離(D+G)の範囲内にある部位の表面が、貴金属等で被覆される。つまり、接地電極の母材のうち、少なくとも火花放電が起こり得る範囲内にある部位の表面が貴金属等で被覆されることとなる。これにより、接地電極の耐久性の向上を図りつつ、用いられる貴金属等の量を抑えることができ、コストの増大を効果的に抑制することができる。
尚、火花放電間隙の距離が0.5mm未満である場合には、接地電極のうち中心電極との対向面において火花放電が集中しやすくなるため、接地電極の広い範囲にわたって火花放電が起こってしまうという事態が起こりにくい。従って、特に、火花放電間隙の距離を0.5mm以上とすることで、接地電極を構成する母材の先端部分の表面を貴金属等で被覆することが有効となってくるといえる。また、この場合、より一層火炎核の成長を促進させることができ、火炎伝播性の向上を図ることができる。
構成2.本構成のスパークプラグは、上記構成1において、前記火花放電間隙の距離が0.5mm以上1.5mm以下であり、前記接地電極のうち断面が円形状である部位の断面の直径が2mm以下であり、前記中心電極の先端部の直径が0.4mm以上0.8mm以下であるとともに、前記接地電極のうち断面が円形状である部位の断面の直径から前記中心電極の先端部の直径を減算した値が0.2mm以上1.5mm未満であることを特徴とする。
尚、「中心電極の先端部の直径」とは、中心電極の先端面に貴金属チップが設けられている場合には、その貴金属チップの直径をいう(以下、同様とする)。
上記構成2によれば、火花放電間隙の距離が0.5mm以上1.5mm以下にされるとともに、接地電極のうち断面が円形状である部位の断面の直径から中心電極の先端部の直径を減算した値(「電極径差」という)が1.5mm未満にされる。ここで、火花放電間隙の距離が1.5mmを超える場合、両電極間の火花放電が起こりにくくなる。また、電極径差が1.5mm以上とされると、接地電極の直径(幅)が中心電極の先端部の直径と比べて比較的大きくされるため、接地電極の背面等にまで火花が回り込みづらくなる。換言すれば、上記構成2のスパークプラグは、接地電極の背面部位等にまで火花がより回り込みやすく、接地電極の比較的広い範囲にわたって火花放電が起きやすい構成となっている。従って、このような構成のスパークプラグにおいて上記構成1による作用効果が一層効果的に奏されるといえる。
また、接地電極のうち断面が円形状である部位の断面の直径が2mm以下とされるとともに、中心電極の先端部の直径が0.4mm以上0.8mm以下とされる。これにより、電極による熱引きを抑制することができ、火炎核の成長をより一層図ることができる。尚、接地電極のうち断面が円形状である部位の断面の直径が2mmより大きくされる、或いは、中心電極の先端部の直径が0.8mmより大きくされると、熱引きの悪化を招いてしまうおそれがある。また、中心電極の先端部の直径が0.4mm未満とされると、中心電極の耐久性が低下してしまうおそれがある。
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、スパークプラグ1を示す一部破断正面図である。尚、図1では、スパークプラグ1の軸線C1方向を図面における上下方向とし、下側をスパークプラグ1の先端側、上側を後端側として説明する。
スパークプラグ1は、長尺状をなす絶縁体としての絶縁碍子2、これを保持する筒状の主体金具3などから構成されるものである。
絶縁碍子2には、軸線C1に沿って軸孔4が貫通形成されている。そして、軸孔4の先端部側には中心電極5が挿入、固定され、後端部側には端子電極6が挿入、固定されている。軸孔4内における中心電極5と端子電極6との間には、抵抗体7が配置されており、この抵抗体7の両端部は導電性のガラスシール層8,9を介して、中心電極5と端子電極6とにそれぞれ電気的に接続されている。
中心電極5は、絶縁碍子2の先端から突出し、端子電極6は絶縁碍子2の後端から突出した状態でそれぞれ固定されている。また、中心電極5には、その先端に貴金属チップ31が溶接により接合されている(これについては後述する)。
一方、絶縁碍子2は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成されており、その外形部において、軸線C1方向略中央部において径方向外向きに突出形成されたフランジ状の大径部11と、当該大径部11よりも先端側においてこれよりも細径に形成された中胴部12と、当該中胴部12よりも先端側においてこれより細径に形成され、内燃機関(エンジン)の燃焼室に晒される脚長部13とを備えている。絶縁碍子2のうち、大径部11、中胴部12、脚長部13を含む先端側の一部は、筒状に形成された主体金具3の内部に収容されている。そして、脚長部13と中胴部12との連接部には段部14が形成されており、当該段部14にて絶縁碍子2が主体金具3に係止されている。
主体金具3は、低炭素鋼等の金属により筒状に形成されており、その外周面にはスパークプラグ1をエンジンヘッドに取付けるためのねじ部(雄ねじ部)15が形成されている。ねじ部15の後端側の外周面には座部16が形成され、ねじ部15後端のねじ首17にはリング状のガスケット18が嵌め込まれている。さらに、主体金具3の後端側には、主体金具3をエンジンヘッドに取付ける際にレンチ等の工具を係合させるための断面六角形状の工具係合部19が設けられるとともに、後端部において絶縁碍子2を保持するための加締め部20が設けられている。
また、主体金具3の内周面には、絶縁碍子2を係止するための段部21が設けられている。そして、絶縁碍子2は、主体金具3の後端側から先端側に向かって挿入され、自身の段部14が主体金具3の段部21に係止された状態で、主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって固定される。尚、絶縁碍子2及び主体金具3双方の段部14,21間には、円環状の板パッキン22が介在されている。これにより、燃焼室内の気密性を保持し、燃焼室内に晒される絶縁碍子2の脚長部13と主体金具3の内周面との隙間に入り込む燃料空気が外部に漏れないようにしている。
さらに、加締めによる密閉をより完全なものとするため、主体金具3の後端側においては、主体金具3と絶縁碍子2との間に環状のリング部材23,24が介在され、リング部材23,24間にはタルク(滑石)25の粉末が充填されている。すなわち、主体金具3は、板パッキン22、リング部材23,24及びタルク25を介して絶縁碍子2を保持している。
また、主体金具3の先端面26には、略L字状をなす接地電極27が接合されている。すなわち、接地電極27は、前記主体金具3の先端面26に対しその基端部が溶接されるとともに、先端部分が曲げ返されて、その側面が中心電極5の先端側の面(貴金属チップ31)と対向するように配置されている。そして、貴金属チップ31と接地電極27の本体との間の隙間に火花放電間隙33が形成されている。本実施形態において、火花放電間隙33の距離は、0.5mm以上1.5mm以下(本実施形態では、1.0mm)とされている。
中心電極5は、銅又は銅合金からなる内層5A及びニッケル(Ni)系合金からなる外層5Bから構成される。また、図2に示すように、中心電極5は、その先端側が縮径されるとともに、全体として棒状(円柱状)をなし、その先端面が平坦に形成されている。ここに0.4mm以上0.8mm以下(本実施形態では、0.6mm)の直径を有する円柱状(円盤状)の上記貴金属チップ31を重ね合わせ、さらにその接合面外縁部に沿ってレーザ溶接、電子ビーム溶接、抵抗溶接等により溶接部を形成してこれを固着することにより貴金属チップ31が接合されている。尚、貴金属チップ31を省略する構成としてもよい。この場合には、中心電極5の先端部と接地電極27の本体との間で火花放電間隙33が形成される。
本実施形態において、前記貴金属チップ31は、白金(Pt)を主成分としており、イリジウム(Ir)を20質量%含有する貴金属により構成されている。尚、他の貴金属により当該貴金属チップ31を構成することとしてもよい。
さらに、接地電極27に関しては、その母材が卑金属たるNi系合金で構成されているとともに、円柱状(断面円形状)をなし、その断面の直径が2mm以下(本実施形態では、1.3mm)とされている。また、接地電極27を構成する母材のうち、その先端部分の表面が貴金属及び貴金属を含む合金のうち少なくとも一方(以下、便宜上「貴金属被覆部34」と称し、本例では、例えば、上述したPt−20Ir合金と接地電極27の母材たるNi系合金との溶融合金により貴金属被覆部34が構成される)によって被覆されている。尚、本実施形態においては、接地電極27を構成する母材の先端部分の表面が、貴金属被覆部34により覆われている場合を例示しているが、必ずしも母材の先端部分の表面全てが覆われている必要はない。すなわち、図3(a),(b)に示すように、接地電極27を構成する母材のうち、少なくとも貴金属チップ31の先端面から接地電極27の断面の直径Dと火花放電間隙33の距離Gとを加算した距離R(=D+G)の範囲内にある部位の表面が、貴金属被覆部34で被覆されていることが好ましい。
次に、上記のように構成されてなるスパークプラグ1の製造方法について説明する。まず、主体金具3を予め加工しておく。すなわち、円柱状の金属素材(例えばS17CやS25Cといった鉄系素材やステンレス素材)を冷間鍛造加工により貫通孔を形成し、概形を製造する。その後、切削加工を施すことで外形を整え、主体金具中間体を得る。
続いて、接地電極27を形成する。すなわち、まず接地電極27の母材として、上述したNi系合金により構成される円柱状の金属部材を製造する。そして、当該金属部材の先端部分表面に対して、プレス加工或いは切削加工を施すことで小径部(溝部)を形成する。次に、Ptを主成分とし、Irを20質量%含有する貴金属粉体(粒体)を、前記小径部を覆うようにして配置する。次いで、前記金属部材と略直交する方向から前記貴金属粉体に対してレーザービームを照射し、金属部材の先端部分の表面に貴金属粉体を接合させる。これにより、金属部材の先端部分には、貴金属粉体と金属部材とが溶融された貴金属被覆部34が形成され、接地電極27が得られる。もちろん、接合後、径を均一にするべくスウェージング加工等を施すこととしてもよいし、また、小径部等を設けることなく、貴金属粉体を配置し、接合後、スウェージング加工等を施すこととしてもよい。尚、貴金属粉体と金属部材との接合には、他の接合法(例えば、抵抗溶接等)を用いてもよい。さらに、前記小径部に貴金属を巻き付けたり、貴金属リング(貴金属筒)を外嵌配置したりした上で、金属部材に環状又は筒状の貴金属被覆部34を設けることとしてもよい。
そして、主体金具中間体の先端面に、上述した接地電極27が抵抗溶接される。当該溶接に際してはいわゆる「ダレ」が生じるので、その「ダレ」を除去した後、主体金具中間体の所定部位にねじ部15が転造によって形成される。これにより、接地電極27の溶接された主体金具3が得られる。接地電極27の溶接された主体金具3には、亜鉛メッキ或いはニッケルメッキが施される。尚、耐食性向上を図るべく、その表面に、さらにクロメート処理が施されることとしてもよい。
一方、前記主体金具3とは別に、絶縁碍子2を成形加工しておく。例えば、アルミナを主体としバインダ等を含む原料粉末を用い、成型用素地造粒物を調製し、これを用いてラバープレス成形を行うことで、筒状の成形体が得られる。得られた成形体に対し、研削加工が施され整形される。そして、整形されたものが焼成炉へ投入され焼成される。焼成後、種々の研磨加工を施すことで、絶縁碍子2が得られる。
また、前記主体金具3、絶縁碍子2とは別に、中心電極5を製造しておく。すなわち、上述したNi系合金が鍛造加工され、その中央部に放熱性向上を図るべく銅合金からなる内層5Aが設けられる。そして、その先端部には、上述した貴金属チップ31が抵抗溶接やレーザ溶接等により接合される。
そして、上記のようにして得られた絶縁碍子2及び中心電極5と、抵抗体7と、端子電極6とが、ガラスシール層8,9によって封着固定される。ガラスシール層8,9としては、一般的にホウ珪酸ガラスと金属粉末とが混合されて調製されており、当該調製されたものが抵抗体7を挟むようにして絶縁碍子2の軸孔4内に注入された後、後方から前記端子電極6が押圧された状態とした上で、焼成炉内にて焼き固められる。尚、このとき、絶縁碍子2の後端側の胴部表面には釉薬層が同時に焼成されることとしてもよいし、事前に釉薬層が形成されることとしてもよい。
その後、上記のようにそれぞれ作成された中心電極5及び端子電極6を備える絶縁碍子2と、接地電極27を備える主体金具3とが組付けられる。より詳しくは、比較的薄肉に形成された主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって固定される。
そして、最後に、接地電極27を屈曲させることで、中心電極5の先端に設けられた貴金属チップ31及び接地電極27本体間の前記火花放電間隙33を調整する加工が実施される。
このように一連の工程を経ることで、上述した構成を有するスパークプラグ1が製造される。
次に、接地電極を断面円形状にするとともに、火花放電間隙の距離Gを種々変更したスパークプラグのサンプルを作製し、接地電極のうち中心電極との対向面の反対側に位置する面(「背面部位」という)にまで火花放電が生じたか否かを調べるため、各サンプルに対して放電有無判定試験を実施した。その評価結果を表1に示す。ここで、放電有無判定試験の概要は以下の通りである。すなわち、スパークプラグのサンプルを4気筒排気量2000ccのエンジンに取り付けた上で、アイドリング状態、巡航状態、全開(全負荷)状態といった具合に、順次、エンジンの回転数を変更しつつ、合計100時間にわたってエンジンを回転させた。その結果、接地電極の背面部位において火花の放電跡が確認された場合には、「○」の評価を下すこととし、一方で、接地電極の背面部位において火花の放電跡が確認されなかった場合には、「×」の評価を下すこととした。ここで、接地電極の背面部位は一般的に火花放電が起きづらい部位であるため、当該背面部位において火花の放電跡が確認された場合には、接地電極の比較的広い範囲にわたって火花放電が起こったといえる。尚、接地電極の断面の直径は1.3mm、中心電極に設けられた貴金属チップの直径は0.6mmである。
Figure 0004866265
表1に示すように、火花放電間隙の距離Gが0.5mm以上のとき、接地電極の背面部位において火花の放電跡が確認された。つまり、火花放電間隙の距離Gが0.5mm以上である場合に、接地電極の背面部位にまで火花が回り込んでしまう、つまり接地電極の比較的広い範囲にわたって火花放電が起こってしまうおそれがあることが明らかとなった。
次に、接地電極を断面円形状にするとともに、火花放電間隙の距離Gを0.5mm〜2mm、接地電極の断面の直径Dを1.0mm〜2.0mm、中心電極に設けられた貴金属チップの直径dを0.4mm〜0.8mmの範囲内でそれぞれ種々変更したスパークプラグのサンプルを作製し、各サンプルに対して、上述の放電有無判定試験を実施した。その評価結果を表2〜4に示す。尚、表2は、中心電極に設けられた貴金属チップの直径dが0.4mm、表3は、当該直径dが0.6mm、表4は、当該直径dが0.8mmに設定されたときの評価結果をそれぞれ示すものである。また、各表中におけるカッコ内の数値は、接地電極の断面の直径Dから中心電極に設けられた貴金属チップの直径dを減算した電極径差(D−d)を表すものである。
Figure 0004866265
Figure 0004866265
Figure 0004866265
表2〜4に示すように、火花放電間隙の距離Gを2.0mmとした場合には、接地電極の背面部位において火花の放電跡が確認されなかった。これは、火花放電間隙の距離Gがあまりにも長いため、火花放電が起きづらく、また、仮に火花放電が起きたとしても、接地電極のうち中心電極と対向する側の面において火花放電が集中しやすくなるためであると考えられる。さらに、表2に示すように、電極径差(D−d)が1.6mmである場合には、表3,4のように電極径差が1.5mm未満である場合と異なり、接地電極の背面部位において火花の放電跡が確認されなかった。これは、中心電極に設けられた貴金属チップの直径dに対して、接地電極の断面の直径Dが大きいため、接地電極の背面部位にまで火花が回り込みづらくなったことが原因であると考えられる。
以上の実験から、接地電極の断面が円形状であり、火花放電間隙の距離が0.5mm以上1.5mm以下、電極径差が1.5mm未満のスパークプラグにおいて、接地電極の比較的広い範囲にわたって火花放電が起こりやすいといえる。従って、このような構成のスパークプラグに対して、接地電極の母材の先端部分表面を上述した貴金属被覆部で被覆することが、接地電極の母材の酸化腐食や火花消耗等の電極の消耗を抑制する上で特に効果的であって、これにより、接地電極の耐久性の向上を図ることができ、ひいてはスパークプラグの長寿命化を図ることができるといえる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)既述したことではあるが、接地電極27の母材の先端部分の表面全域を貴金属被覆部34で覆うことに代えて、接地電極27の母材のうち貴金属チップ31の先端面から火花放電間隙の距離Gと接地電極27の断面の直径Dとを加算した距離Rの範囲内にある部位の表面のみを貴金属被覆部34で覆うこととしてもよい(図3(a),(b)及び図4の散点模様部分参照)。これにより、接地電極の耐久性の向上を図りつつ、用いられる貴金属等の量を必要最低限に抑えることができ、コストの増大をより効果的に抑制することができる。
(b)上記実施形態では、貴金属被覆部34は、貴金属と卑金属たるNi系合金とが溶融された合金により形成されているが、貴金属被覆部34を、貴金属のみで形成してもよい。また、貴金属被覆部34の一部分を貴金属で形成するとともに、その他の部分を、貴金属を含む合金で形成してもよい。さらに、貴金属の種類については、特に上記実施形態の組成に限定されるものではない。例えば、Ptのみ、或いはIrのみで貴金属等を構成してもよい。
(c)上記実施形態では、接地電極27は長手方向全域において断面円形状とされているが、少なくとも火花放電間隙33の中心から先端側において、接地電極27の断面が円形状とされていればよい。
(d)上記実施形態では、接地電極27は断面円形状とされているが、接地電極27の断面の形状については、必ずしも厳密な意味での円形状に限られるという意味ではない。従って、幾分、楕円形状や、長円形状や、涙形状(ただし弧状面を中心電極5側とする)等をなしていてもよい。
(e)上記実施形態では、主体金具3の先端に、接地電極27が接合される場合について具体化しているが、主体金具の一部(又は、主体金具に予め溶接してある先端金具の一部)を削り出すようにして接地電極を形成する場合についても適用可能である(例えば、特開2006−236906号公報等)。
(f)上記実施形態の中心電極5は、その先端側が縮径されているものであるが、必ずしも縮径されていなくてもよく、全体として棒状(円柱状)をなしていても何ら差し支えない。また、中心電極5は、内層5A及び外層5Bからなる2層構造を具備しているが、1層からなっていても差し支えない。
本実施形態のスパークプラグの構成を示す一部破断正面図である。 スパークプラグの先端部の貴金属被覆部等を示す部分斜視図である。 (a)は、接地電極のうち貴金属被覆部が形成される範囲を示す拡大側面図であり、(b)は、接地電極のうち貴金属被覆部が形成される範囲を示す拡大正面図である。 別の実施形態における、スパークプラグの先端部の貴金属被覆部等を示す部分斜視図である。
符号の説明
1…スパークプラグ、2…絶縁碍子、3…主体金具、4…軸孔、5…中心電極、27…接地電極、33…火花放電間隙、34…貴金属被覆部、C1…軸線。

Claims (2)

  1. 軸線方向に貫通する軸孔を有する筒状の絶縁体と、
    前記軸孔に挿設された中心電極と、
    前記絶縁体の外周に設けられた筒状の主体金具と、
    自身の先端部分が前記中心電極の先端面と対向するよう前記主体金具の先端面に設けられ、前記中心電極の先端部との間に火花放電間隙を形成するとともに、少なくとも前記火花放電間隙の中心より先端側において自身の断面が円形状をなす接地電極とを備える内燃機関用スパークプラグであって、
    前記火花放電間隙の距離が0.5mm以上であり、かつ、
    前記接地電極を構成する母材が卑金属を主体とする合金からなるとともに、その先端部分の表面のみであって、かつ、前記接地電極の母材の先端部分のうち、少なくとも前記中心電極の先端面から前記火花放電間隙の距離G及び前記接地電極のうち断面が円形状である部位の断面の直径Dを加算した距離(D+G)の範囲内にある部位の表面が、貴金属及び貴金属を含む合金のうち少なくとも一方で覆われていることを特徴とする内燃機関用スパークプラグ。
  2. 前記火花放電間隙の距離が0.5mm以上1.5mm以下であり、
    前記接地電極のうち断面が円形状である部位の断面の直径が2mm以下であり、
    前記中心電極の先端部の直径が0.4mm以上0.8mm以下であるとともに、
    前記接地電極のうち断面が円形状である部位の断面の直径から前記中心電極の先端部の直径を減算した値が0.2mm以上1.5mm未満であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用スパークプラグ。
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