JP4864062B2 - ポンプ及びヒートポンプ式給湯装置 - Google Patents

ポンプ及びヒートポンプ式給湯装置 Download PDF

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Description

この発明は、ポンプ及びポンプの製造方法に関する。さらに、そのポンプを用いるヒートポンプ式給湯装置に関する。
従来のポンプは、合成樹脂製でなる上下のケーシング間の空間部に回転子を配し、回転子の外周に沿ってリング状の固定子が配設されてポンプのモータを構成したキャンドタイプのポンプで、上下のケーシングはパッキンを挟みタッピングネジで組立てられポンプの内部を密閉したポンプ部と、リング状の積層鉄心と巻線とからなり、プリント基板と共にモールド樹脂内にモールド成形され円環状の樹脂成形体のモールド固定子を、タッピングネジで組立てたポンプが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、モータ一体型内接歯車式ポンプとしての小型、安価な機能を維持しつつ、さらに安価で信頼性の高いモータ一体型内接歯車式ポンプ及びその製造方法並びに電子機器を得るため、液体を吸い込んで吐出するポンプ部と、前記ポンプ部を駆動するモータ部とを備えたモータ一体型内接歯車式ポンプにおいて、ポンプケーシングは2つのポンプケーシング部材から構成し、軸方向に力が加えられた接合面で超音波溶着されていること、また、前記ポンプケーシングは、吸入ポート及び吐出ポートを形成した合成樹脂製ケーシング部材である正面ケーシングと、他方の合成樹脂製ケーシング部材である背面ケーシングとを超音波溶着により溶着して構成されるモータ一体型内接歯車式ポンプが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2006−316678号公報(第9頁、第7図) 特開2006−336469号公報(第14頁、第1図)
しかしながら、上記特許文献1のポンプは、ポンプ部の組立と、モールド固定子とポンプ部とを組み立てるポンプ組立の際に、ネジを複数本使用するため部品点数も多く、また、工程が重複するのでコスト、生産性の点で課題があった。
また、上記特許文献2のモータ一体型内接歯車式ポンプは、ポンプ部組立に超音波溶着することもあるが、ポンプ部が完全に組立てられるので、生産工程でポンプ部のみに不良がある場合、ポンプ部全てを廃却することになり、廃却ロスが大きくなるという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、低コストで、生産性の優れたポンプ及びポンプの製造方法及びヒートポンプ式給湯装置を提供することを目的とする。
この発明に係るポンプは、固定子鉄心の絶縁部が施された複数のティースに巻線してコイルを形成した固定子に、電子部品を実装するとともにリード線を口出しするリード線口出し部品が取り付けられた基板を組付け、熱硬化性樹脂でモールド成形してなるモールド固定子と、
水の吸水口と吐出口とを有するケーシングと、内部に軸が回転できないように装着され前記軸に回転子部と羽根車とを備える回転子が嵌合する椀状隔壁部と、鍔部とを備える椀状隔壁部品とを組付けてなるポンプ部と、
前記ケーシングに形成された複数の係り止め爪と、
前記椀状隔壁部品の前記鍔部に形成され、前記係り止め爪と係合する複数の係り止め穴とを備え、
前記ケーシングと前記椀状隔壁部品との組付け時に、前記係り止め爪と前記係り止め穴とを係合させることにより、前記ポンプ部の仮組立を行うことを特徴とする。
この発明に係るポンプは、ケーシングと椀状隔壁部品との組付け時に、係り止め爪と係り止め穴とを係合させることによりポンプ部の仮組立を行うので、タッピングネジ等を使用することなくポンプ部を組立てることができ、信頼性を損なうことなく、部品点数削減、工程簡素化、生産性向上、低コスト化等を実現できる。
実施の形態1.
本実施の形態は、ポンプ10におけるポンプ部40の組立にタッピングネジを使用しない点に特徴がある。
先ず、ポンプが使用されるヒートポンプ式給湯装置300について、その概要を簡単に説明する。
図1は実施の形態1を示す図で、ヒートポンプ式給湯装置300の構成図である。ヒートポンプ式給湯装置300は、ヒートポンプユニット100と、タンクユニット200と、ユーザが運転操作などを行う操作部11とを備える。
図1において、ヒートポンプユニット100は、冷媒を圧縮する圧縮機1、冷媒と水とが熱交換を行う冷媒−水熱交換器2、高圧の冷媒を減圧膨張させる減圧装置3、低圧の二相冷媒を蒸発させる蒸発器4を冷媒配管15によって環状に接続された冷媒回路と、圧縮機1の吐出圧力を検出する圧力検出装置5と、蒸発器4に送風するファン7と、ファン7を駆動するファンモータ6とを備えている。
また、温度検出手段として、冷媒−水熱交換器2の沸上げ温度検出手段8と、冷媒−水熱交換器2の給水温度検出手段9と、外気温度検出手段17とを備えている。
また、ヒートポンプユニット制御部13を備える。ヒートポンプユニット制御部13は、圧力検出装置5、沸上げ温度検出手段8、給水温度検出手段9、及び外気温度検出手段17からの信号を受信し、圧縮機1の回転数制御、減圧装置3の開度制御、ファンモータ6の回転数制御を行う。
タンクユニット200は、冷媒−水熱交換器2で高温・高圧の冷媒と熱交換することにより加熱された湯水を貯湯する温水タンク14と、風呂水の追い焚きを行う風呂水追い焚き熱交換器31と、風呂水循環装置32と、冷媒−水熱交換器2と温水タンク14の間に配置された温水循環装置であるポンプ10と、温水循環配管16と、冷媒−水熱交換器2と温水タンク14と風呂水追い焚き熱交換器31とに接続された混合弁33と、温水タンク14と混合弁33とを接続する風呂水追い焚き配管37とを備える。
また、温度検出手段として、タンク内水温検出装置34、風呂水追い焚き熱交換器を通過した後の水温を検出する追い焚き後水温検出装置35、混合弁33を通過した後の水温を検出する混合後水温検出装置36を備えている。
また、タンクユニット制御部12を備える。タンクユニット制御部12は、タンク内水温検出装置34、追い焚き後水温検出装置35、混合後水温検出装置36からの信号を受信するとともに、ポンプ10の回転数制御、混合弁33の開閉制御、及び操作部11との間で信号の送受信を行う。
操作部11は、ユーザが湯水の温度設定や出湯指示などを行うためのスイッチなどを備えたリモコンや操作パネルなどである。
図1において、上記のように構成したヒートポンプ式給湯装置300における通常の沸上げ運転動作について説明する。操作部11またはタンクユニット200からの沸上げ運転指示がヒートポンプユニット制御部13に伝えられると、ヒートポンプユニット100は沸上げ運転を行う。
ヒートポンプユニット100に備えられたヒートポンプユニット制御部13は、圧力検出装置5、沸上げ温度検出手段8、給水温度検出手段9の検出値などに基づいて、圧縮機1の回転数制御、減圧装置3の開度制御、ファンモータ6の回転数制御を行う。
また、ヒートポンプユニット制御部13とタンクユニット制御部12との間で沸上げ温度検出手段8の検出値の送受信を行い、タンクユニット制御部12は、沸上げ温度検出手段8で検出した温度が目標沸上げ温度になるよう、ポンプ10の回転数を制御する。
以上のように制御されるヒートポンプ式給湯装置300において、圧縮機1から吐出された高温高圧の冷媒は冷媒−水熱交換器2で給水回路側へ放熱しながら温度低下する。放熱して冷媒−水熱交換器2を通過した高圧低温の冷媒は、減圧装置3で減圧される。減圧装置3を通過した冷媒は蒸発器4に流入し、そこで外気空気から吸熱する。蒸発器4を出た低圧冷媒は圧縮機1に吸入されて循環し冷凍サイクルを形成する。
一方、温水タンク14の下部の水は、温水循環装置であるポンプ10の駆動により冷媒−水熱交換器2へ導かれる。ここで、冷媒−水熱交換器2からの放熱によって水が加熱され、加熱された湯水は温水循環配管16を通って温水タンク14の上部に戻されて蓄熱される。
以上のように、ヒートポンプ式給湯装置300において、温水タンク14と冷媒−水熱交換器2との間の温水循環配管16に、湯水を循環させる温水循環装置としてポンプ10が用いられる。
次に、温水循環装置として用いられるポンプ10について説明する。
図2は実施の形態1を示す図で、ポンプ10の分解斜視図である。
図2に示すように、ポンプ10は、回転子の回転により水を吸水して吐出するポンプ部40と、回転子を駆動するモールド固定子50と、ポンプ部40とモールド固定子50とを締結するタッピングネジ160(図2の例は、4本)とを備える。
先ず、モールド固定子50の構成について説明する。
図3、図4は実施の形態1を示す図で、図3はモールド固定子50の斜視図、図4はモールド固定子50の断面図である。
モールド固定子50は、以下に示す手順で製作される。
(1)厚さが0.1〜0.7mm程度の電磁鋼板が帯状に打ち抜かれ、かしめ、溶接、接着等で積層された帯状の固定子鉄心54を製作する。帯状の固定子鉄心54は、複数個のティースを備える。図3に示すモールド固定子50の内周部に、固定子鉄心54のティースの先端部が露出している。ここで示す固定子鉄心54は、薄肉連結部で連結されている6個のティースを有するので、図3においても、6箇所に固定子鉄心54のティースの先端部が露出している。
(2)ティースには、絶縁部56(図4)が施される。絶縁部56は、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂を用いて、固定子鉄心54と一体に又は別体で成形される。
(3)絶縁部56が施されたティースに集中巻のコイル57が巻回される。6個の集中巻のコイル57を接続して、三相のシングルY結線の巻線を形成する。
(4)三相のシングルY結線であるので、絶縁部56の結線側には、各相(U相、V相、W相)のコイル57が接続される端子59(電源が供給される電源端子及び中性点端子)が組付けられる。電源端子は3個、中性点端子は1個である。
(5)基板58が結線側の絶縁部56(端子59を組付けられる側)に取り付けられる。基板58は、図示しない基板押え部品により絶縁部56との間に挟持される。基板58には、電動機(ブラシレスDCモータ)を駆動するIC58a(駆動素子)、回転子の位置を検出するホール素子58b(位置検出素子)等が実装されている。IC58aやホール素子58bを電子部品と定義する。また、基板58には、その外周縁部付近の切り欠き部にリード線52を口出しするリード線口出し部品61が、取り付けられる。
(6)リード線口出し部品61が取り付けられた基板58が基板押え部品により絶縁部56に固定され、端子59と基板58とが半田付けされた電動機の固定子組立をモールド樹脂53によりモールド成形することにより、モールド固定子50が得られる。
モールド固定子50のモールド樹脂53(熱硬化性樹脂)によるモールド成形時の位置決め(軸方向)は、基板押え部品に形成されている複数個の突起の軸方向外側の端面が、上型の金型押え部になる。そのため、モールド固定子50の基板58側の軸方向端面に、複数個の突起の軸方向外側の端面(金型押え面)が表出している(図示せず)。
また、反結線側の絶縁部56の軸方向端面よりさらに外側(軸方向の)に延びる突起62が、下型の金型押え部になる。そのため、モールド固定子50の基板58の反対側の軸方向端面に、複数個の突起62が表出している。
モールド固定子50のモールド成形時の径方向の位置決めは、固定子鉄心54の内周面が金型に嵌合することでなされる。そのため、図3に示すモールド固定子50の内周部に、固定子鉄心54のティースの先端部が露出している。
第1の溝51が、モールド固定子50の内周部に露出している固定子鉄心54のティースの先端部の間に軸方向にモールド固定子50の椀状隔壁部品90の鍔部設置面63から椀状隔壁部品90の椀状隔壁部90aの挿入部の底面50aまで形成される。但し、第1の溝51は、モールド固定子50の底面50aまで達していなくてもよい。第1の溝51が、モールド固定子50の底面50aまで形成されていれば、挿入の最終段階まで空気が逃げるので、好ましい。
この第1の溝51は、モールド固定子50の後述する椀状隔壁部品90の鍔部設置面63に形成される径方向に延びる放射状の第2の溝64の一つに連続して形成される。第2の溝64は、後述する椀状隔壁部品90の鍔部の補強用リブの逃がし溝である。図3の例では、第2の溝64は、後述する椀状隔壁部品90の鍔部の補強用リブに対応して、周方向に略等間隔に6本形成されている。
尚、モールド固定子50の椀状隔壁部品90の鍔部設置面63には、ポンプ部40とモールド固定子50とを締結するタッピングネジ160を通す孔55が4箇所に形成されている。
次に、ポンプ部40の構成を説明する。
図5は実施の形態1を示す図で、ポンプ部40の分解斜視図である。
図5に示すように、ポンプ部40は、以下に示す要素で構成される。
(1)水の吸水口42と吐出口43とを有し、内部に回転子の羽根車を収納するケーシング41。ケーシング41は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)などの熱可塑性樹脂を用いて成形される。ケーシング41には、吸水口42側の端部に、モールド固定子50が締結されるタッピングネジ160用の下穴44aを有するボス部44が4箇所に設けられる。また、ケーシング41には、ポンプ10を、例えば、ヒートポンプ式給湯装置のタンクユニット200に固定するための孔45aを有する取付脚45を3箇所に備える。さらに、取付脚45の内側に、後述する椀状隔壁部品90の係り止め穴96に係合する係り止め爪48を2個備える(図5では、1個は見えていない)。係り止め爪48は、少なくとも2個以上であり、それぞれが点対称の位置に配置されてない。また、取付脚45の内側に配置されているので、ケーシング41を小さくすることができる。
(2)第1のスラスト軸受71a。第1のスラスト軸受71aの材質は、例えば、アルミナ等のセラミックである。回転子60は、ポンプ10の運転中、回転子60に作用する水の圧力がケーシング41の吸水口42側が低く、回転子部60a側の水の圧力が高いため、第1のスラスト軸受71aを介してケーシング41に押し付けられている。そのため、セラミックを材料とする第1のスラスト軸受71aが必要となる。
(3)回転子60。回転子60は、回転子部60aと、羽根車60bとを備える。
(4)軸70。椀状隔壁部品90の軸支持部94に軸70の一端が挿入され、軸70の他端がケーシング41の軸支持部46に挿入される。椀状隔壁部品90の軸支持部94に挿入される軸70の一端は、軸支持部94に対して回転しないように挿入される。そのため、軸70の一端は所定の長さ(軸方向)円形の一部を切り欠いている(断面がD形状)。軸支持部94の孔もそれに合わせた形状になっている。ケーシング41の軸支持部46に挿入される軸70の他端も所定の長さ(軸方向)円形の一部を切り欠いている。即ち、軸70は長さ方向に対称形である。但し、軸70の他端は、ケーシング41の軸支持部46に回転可能に挿入される。軸70が長さ方向に対称形なのは、軸70を椀状隔壁部品90の軸支持部94に挿入する際に、上下の向きを意識することなく組立を可能とするためである。
(5)第2のスラスト軸受71b。第2のスラスト軸受71bの材質はSUSである。回転子60は、ポンプ10の運転中、回転子60に作用する水の圧力がケーシング41の吸水口42側が低く、回転子部60a側の水の圧力が高いため、第1のスラスト軸受71aを介してケーシング41に押し付けられているので、スリーブ軸受66と第2のスラスト軸受71bとの間に隙間があり、スリーブ軸受66(図9参照)は第1のスラスト軸受71aに接触しない。しかし、運転状態によっては、その状態が変化して、スリーブ軸受66が第2のスラスト軸受71bを介して椀状隔壁部品90の軸支持部94に当たるケースも考えられる。特に、ケーシング41の吸水口42が上になる状態でポンプ10が使用される場合で、ポンプ10の吸入圧力と吐出圧力との差が小さいときに、その現象が発生することが考えられる。そこで、念のために第2のスラスト軸受71bを使用している。
(6)Oリング80。Oリング80は、ポンプ部40のケーシング41と椀状隔壁部品90とのシールを行う。
(7)椀状隔壁部品90。椀状隔壁部品90は、PPE(ポリフェニレンエーテル)などの熱可塑性樹脂を用いて成形される。椀状隔壁部品90は、モールド固定子50との嵌合部である椀状隔壁部90aと、鍔部90bとを備える。
ケーシング41について、さらに説明する。図6乃至図8は実施の形態1を示す図で、図6はケーシング41の平面図、図7は図6のT−T断面図、図8は図6のZ−Z断面図である。
図6に示すように、係り止め爪48は2個形成されているが、2個より多くてもよい。係り止め爪48は、それぞれが点対称の位置に配置されてない。即ち、椀状隔壁部品90の複数の係り止め穴96が、対応するケーシング41の複数の係り止め爪48に合う位置は、一つしかない。これにより、ケーシング41と、椀状隔壁部品90との位置決めがなされる。図7に、椀状隔壁部品90側に突出する一つの係り止め爪48が見えている。
図8は係り止め爪48の拡大図である。係り止め爪48は、後述する椀状隔壁部品90の係り止め穴96の段差部96aに係り止められる係り止め部48aを有している。
また、係り止め爪48は、ケーシング41の設置面41aから一段下がった位置(椀状隔壁部品90側)に設けられる。そして、係り止め爪48の両側面、前後面ともケーシング41と一体ではなく、根元のみケーシング41と連結している。
係り止め爪48の垂直部48bと、ケーシング41の後方壁面41bとは所定の長さ離れている。そのため、椀状隔壁部品90の係り止め穴96に係り止め爪48が入る時、係り止め爪48の先端のテーパ部48cが、椀状隔壁部品90の係り止め穴96の端面に当たり後方(後方壁面41b側)に倒れやすくなるようになっている。
さらに、係り止め爪48の前面側は貫通穴49になっていて、係り止め爪48の係り止め部48aやテーパ部48cの形状を形成するケーシングの成形金型の構成を簡略できる。
図9は実施の形態1を示す図で、回転子60の断面図である。回転子部60aは、フェライト等の磁性粉末と樹脂を混練したペレットを成形したリング状(円筒状)の樹脂マグネット68と、樹脂マグネット68の内側に設けられる円筒形のスリーブ軸受66(例えば、カーボン製)とが、例えばPPE(ポリフェニレンエーテル)等の樹脂67で一体化される。羽根車60bは、例えばPPE(ポリフェニレンエーテル)等の樹脂成形品である。回転子部60aと、羽根車60bとが超音波溶着等により接合される。
図10乃至図13は実施の形態1を示す図で、図10は椀状隔壁部品90の平面図、図11は椀状隔壁部品90の正面図、図12は図10のS−S断面図、図13は図10のY−Y断面図である。図11では特に説明することはない。
図10に示すように、鍔部90bには、タッピングネジ160が通る孔90dが4箇所に形成されている。また、鍔部90bのケーシング41側の面に、Oリング80を収納する環状のOリング収納溝90cが形成されている。
さらに、鍔部90bの外周部に、ケーシング41の係り止め爪48が係合する係り止め穴96が2個設けられる。図10では、係り止め穴96は2個形成されているが、2個より多くてもよい。係り止め穴96は、係り止め爪48と同様、それぞれが点対称の位置に配置されてない。
図12に示すように、椀状隔壁部品90の椀状隔壁部90aには、その内部空間に回転子60、軸70等が挿入される。椀状隔壁部90aは、円形の底部90a−1と円筒形の隔壁90a−2とで構成される。円形の底部90a−1の内面の略中央部に、軸70の一端が挿入される軸支持部94が立設している。
椀状隔壁部90aの軸支持部94は、断面がD形状で、軸70の断面D形状と嵌め合わされて、回り止めとなる。
また、軸支持部94の端面は、第2のスラスト軸受71bを位置決めする受面になる。
図13に示すように、椀状隔壁部品90の鍔部90bの外周部付近に形成される係り止め穴96の途中に、ケーシング41の係り止め爪48の係り止め部48aが係り止められる段差部96aが形成されている。
椀状隔壁部品90の係り止め穴96の深さは、ケーシング41の係り止め爪48が係り止め穴96内に収まる程度の深さである。
図14乃至図18は実施の形態1を示す図で、図14はポンプ部40の組立直前の状態を示す分解斜視図、図15はポンプ部40の平面図、図16は図15のW−W断面図、図17は図15のV−V断面図、図18は図16のB部拡大図である。
次に、ポンプ部40の組立について説明する。図16に示すように、椀状隔壁部品90の椀状隔壁部90aの軸支持部94に、第2のスラスト軸受71bを載せる。そして、軸支持部94に軸70を挿入する。さらに、軸70に回転子60を挿入した後、軸70に第1のスラスト軸受71aを挿入する。
さらに、椀状隔壁部品90の鍔部90bのOリング収納溝90cにOリング80を載せる。この状態が、図14に示すポンプ部40の組立直前の状態である。
続いて、ケーシング41を椀状隔壁部品90に組み付ける。このとき、ケーシング41の係り止め爪48を、椀状隔壁部品90の鍔部90bの係り止め穴96に挿入し、係り止め爪48の係り止め部48aが、係り止め穴96の段差部96aに係りとめられる。
既に説明したように、2個の係り止め爪48と2個の係り止め穴96とは、点対称に配置されていないため、対応する係り止め爪48と係り止め穴96とが一致しないと組立ができない。それにより、ケーシング41と椀状隔壁部品90の位置決め、位相決めができる。尚、係り止め爪48と係り止め穴96とは、2個の例を示しているが、複数であればよい。
図17に示すように、ケーシング41の係り止め爪48の係り止め部48aが、椀状隔壁部品90の係り止め穴96の段差部96aに係りとめられる。この時、ケーシング41と椀状隔壁部品90との設置面の間には所定の寸法の隙間が形成されている。
また、ケーシング41の係り止め爪48の先端は、椀状隔壁部品90の鍔部90bの下端面から距離hだけ低くなっているので、係り止め爪48は係り止め穴96から突出せず、組付け後に係り止め爪48が破損する恐れが少ない。
図18は、仮組付けしたケーシング41と椀状隔壁部品90の外周側部分拡大図である。図17で示したように、ケーシング41と椀状隔壁部品90との設置面の間には所定の寸法の隙間が形成されているので、Oリング80を完全につぶさないように、また、ガタがないように仮組付けられている。ケーシング41と椀状隔壁部品90との設置面の間の隙間は、Oリング80を完全につぶさないように、また、ガタがないような寸法が好ましい。このとき、Oリング80に加わる押し付け力を、所定の押し付け力と定義する。
図19乃至図21は実施の形態1を示す図で、図19はポンプ10の平面図、図20は図19のX−X断面図、図21は図20のC部拡大図である。
仮組付けされたポンプ部40とモールド固定子50とは、ポンプ部40の椀状隔壁部90aがモールド固定子50の内径に挿入される。
また、モールド固定子50の外周側の孔55と、ポンプ部40の下穴44aとを合わせ、モールド固定子50側からタッピングネジ160を挿入して、タッピングネジ160を締め付けることで組立てられ、ポンプ10となる(図2、図19乃至図21参照)。
図21の図20のC部拡大図に示すように、タッピングネジ160が回り止まるまで締め付けるので、ケーシング41と椀状隔壁部品90との設置面の間の隙間(図17、図18)がなくなる。そして、ケーシング41の係り止め爪48の係り止め部48aと、椀状隔壁部品90の係り止め穴96の段差部96aとの間に隙間ができた状態で、ポンプ10が最終的に組立られる。Oリング80は、図18に示す状態より、隙間がなくなる分さらに押圧される。
また、係り止め爪48の先端は、椀状隔壁部品90の鍔部90bの下端面から距離h’だけ低くなっている。図17の距離hと比較すると、ケーシング41の係り止め爪48の係り止め部48aと、椀状隔壁部品90の係り止め穴96の段差部96aとの間に隙間ができた分、距離h’は図17の距離hよりも小さくなる。それでも、係り止め爪48は係り止め穴96から突出せず、組付け後に係り止め爪48が破損する恐れが少ない。
ポンプ部40が、ケーシング41と椀状隔壁部品90とをタッピングネジ使用しない仮組立であっても、ポンプ部40のシール性は、モールド固定子50とポンプ部40を組立てるタッピングネジ160により確保され、信頼性を損なうことはない。
以上のように、ケーシング41と椀状隔壁部品90との組み付けは、ケーシング41の係り止め爪48を、椀状隔壁部品90の鍔部90bの係り止め穴96に挿入し、係り止め爪48の係り止め部48aが、係り止め穴96の段差部96aに係り止めることにより行うので、ポンプ部40の組立にタッピングネジ等を使用することなく組立ることができ、部品点数削減、工程簡素化による低コスト化することができる。
また、生産工程でポンプ部40に不良が発生した時、ポンプ部40の組立を係り止め爪48で行うようにしたので解体や、また再度組立てることが容易になり、部品の交換や再利用で廃却ロスを低減することができる。
図22は実施の形態1を示す図で、ポンプ10の製造工程を示す図である。
ポンプ10の製造工程を説明する。
(1)ステップ1:固定子を製造する。先ず、厚さが0.1〜0.7mm程度の電磁鋼板が帯状に打ち抜かれ、かしめ、溶接、接着等で積層され、薄肉連結部で連結された帯状の固定子鉄心54を製作する。ティースには、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂を用いる絶縁部56が施される。絶縁部56が施されたティースに集中巻のコイル57が巻回される。例えば、6個の集中巻のコイル57を接続して、三相のシングルY結線の巻線を形成する。三相のシングルY結線であるので、絶縁部56の結線側には、各相(U相、V相、W相)のコイル57が接続される端子59(電源が供給される電源端子及び中性点端子)が組付けられる。併せて、基板58を製造する。基板58は、基板押え部品により絶縁部56との間に挟持される。基板58には、電動機(ブラシレスDCモータ)を駆動するIC58a、回転子の位置を検出するホール素子58b等が実装されている。また、基板58には、その外周縁部付近の切り欠き部にリード線52を口出しするリード線口出し部品61が、取り付けられる。併せて、回転子部60aを製造する。回転子部60aは、フェライト等の磁性粉末と樹脂を混練したペレットを成形したリング状(円筒状)の樹脂マグネット68と、樹脂マグネット68の内側に設けられる円筒形のスリーブ軸受66(例えば、カーボン製)とが、例えばPPE(ポリフェニレンエーテル)等の樹脂67で一体化される。さらに、併せて、羽根車60bを成形する。羽根車60bは、PPE(ポリフェニレンエーテル)などの熱可塑性樹脂を用いて成形される。
(2)ステップ2:基板58を固定子に固定する。リード線口出し部品61が取り付けられた基板58が基板押え部品により絶縁部56に固定される。併せて、回転子部60aに羽根車60bを超音波溶着等により組付ける。併せて、椀状隔壁部品90を成形する。併せて、軸70と第1のスラスト軸受71a、第2のスラスト軸受71bを製造する。軸70は、SUSで製造される。第1のスラスト軸受71aは、セラミックで製造される。第2のスラスト軸受71bは、SUSで製造される。
(3)ステップ3:端子59(電源が供給される電源端子及び中性点端子)と基板58とを半田付けする。椀状隔壁部品90に回転子60等を組付ける。さらに、併せて、ケーシング41を成形する。ケーシング41は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)などの熱可塑性樹脂を用いて成形される。
(4)ステップ4:固定子をモールド成形して、モールド固定子50を製造する。併せて、椀状隔壁部品90にケーシング41を仮固定してポンプ部40を組立てる。ここで、ケーシング41の係り止め爪48を、椀状隔壁部品90の鍔部90bの係り止め穴96に挿入し、係り止め爪48の係り止め部48aが、係り止め穴96の段差部96aに係りとめられる。さらに、併せて、タッピングネジ160を製造する。
(5)ステップ5:ポンプ10の組立を行う。モールド固定子50にポンプ部40を組付けタッピングネジ160で固定する。
実施の形態1を示す図で、ヒートポンプ式給湯装置300の構成図。 実施の形態1を示す図で、ポンプ10の分解斜視図。 実施の形態1を示す図で、モールド固定子50の斜視図。 実施の形態1を示す図で、モールド固定子50の断面図。 実施の形態1を示す図で、ポンプ部40の分解斜視図。 実施の形態1を示す図で、ケーシング41の平面図。 実施の形態1を示す図で、図6のT−T断面図。 実施の形態1を示す図で、図6のZ−Z断面図。 実施の形態1を示す図で、回転子60の断面図。 実施の形態1を示す図で、椀状隔壁部品90の平面図。 実施の形態1を示す図で、椀状隔壁部品90の正面図。 実施の形態1を示す図で、図10のS−S断面図。 実施の形態1を示す図で、図10のY−Y断面図。 実施の形態1を示す図で、ポンプ部40の組立直前の状態を示す分解斜視図。 実施の形態1を示す図で、ポンプ部10の平面図。 実施の形態1を示す図で、図15のW−W断面図。 実施の形態1を示す図で、図15のV−V断面図。 実施の形態1を示す図で、図16のB部拡大図。 実施の形態1を示す図で、ポンプ10の平面図。 実施の形態1を示す図で、図19のU−U断面図。 実施の形態1を示す図で、図20のC部拡大図。 実施の形態1を示す図で、ポンプ10の製造工程を示す図。
符号の説明
1 圧縮機、2 冷媒−水熱交換器、3 減圧装置、4 蒸発器、5 圧力検出装置、6 ファンモータ、7 ファン、8 沸上げ温度検出手段、9 給水温度検出手段、10 ポンプ、11 操作部、12 タンクユニット制御部、13 ヒートポンプユニット制御部、14 温水タンク、15 冷媒配管、16 温水循環配管、17 外気温度検出手段、31 風呂水追い焚き熱交換器、32 風呂水循環装置、33 混合弁、34 タンク内水温検出装置、35 追い焚き後水温検出装置、36 混合後水温検出装置、37 風呂水追い焚き配管、40 ポンプ部、41 ケーシング、41a 設置面、41b 後方壁面、42 吸水口、43 吐出口、44 ボス部、44a 下穴、45 取付脚、45a 孔、46 軸支持部、48 係り止め爪、48a 係り止め部、48b 垂直部、48c テーパ部、49 貫通穴、50 モールド固定子、50a 底面、51 第1の溝、52 リード線、53 モールド樹脂、54 固定子鉄心、55 孔、56 絶縁部、57 コイル、58 基板、58a IC、58b ホール素子、59 端子、60 回転子、60a 回転子部、60b 羽根車、61 リード線口出し部品、62 突起、63 鍔部設置面、64 第2の溝、66 スリーブ軸受、67 樹脂、68 樹脂マグネット、70 軸、71a 第1のスラスト軸受、71b 第2のスラスト軸受、80 Oリング、90 椀状隔壁部品、90a 椀状隔壁部、90a−1 底部、90a−2 隔壁、90b 鍔部、90c Oリング収納溝、90d 孔、94 軸支持部、96 係り止め穴、96a 段差部、100 ヒートポンプユニット、160 タッピングネジ、200 タンクユニット、300 ヒートポンプ式給湯装置。

Claims (8)

  1. 固定子鉄心の絶縁部が施された複数のティースに巻線してコイルを形成した固定子に、電子部品を実装するとともにリード線を口出しするリード線口出し部品が取り付けられた基板を組付け、熱硬化性樹脂でモールド成形してなるモールド固定子と、
    水の吸水口と吐出口とを有するケーシングと、内部に軸が回転できないように装着され前記軸に回転子部と羽根車とを備える回転子が嵌合する椀状隔壁部と、鍔部とを備える椀状隔壁部品とを組付けてなるポンプ部と、
    前記ケーシングに形成された複数の係り止め爪と、
    前記椀状隔壁部品の前記鍔部に形成され、前記係り止め爪と係合する複数の係り止め穴とを備え、
    前記ケーシングと前記椀状隔壁部品との組付け時に、前記係り止め爪と前記係り止め穴とを係合させることにより、前記ポンプ部の仮組立を行うことを特徴とするポンプ。
  2. 前記係り止め爪は、前記ケーシングに点対称に配置されていないことを特徴とする請求項1記載のポンプ。
  3. 前記ケーシングと前記椀状隔壁部品とのシールを行うOリングを備え、前記ポンプ部の仮組立時に、前記Oリングに所定の押し付け力を加えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のポンプ。
  4. 前記椀状隔壁部品の前記鍔部の前記係り止め穴の途中に、前記ケーシングの前記係り止め爪が係り止められる段差部が設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のポンプ。
  5. 前記椀状隔壁部品の前記鍔部の前記係り止め穴の深さは、当該ポンプの組立完了時に、前記ケーシングの前記係り止め爪の先端が、前記係り止め穴内におさまる寸法であることを特徴とする請求項4記載のポンプ。
  6. 前記ケーシングは、当該ポンプを使用する装置に当該ポンプを固定する取付脚を備え、前記係り止め爪は、前記取付脚の内側に配置されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のポンプ。
  7. 前記ポンプ部の仮組立時には、前記ケーシングと前記椀状隔壁部品との間に所定の隙間があり、前記ポンプ部と前記モールド固定子とをタッピングネジで締結して、前記隙間がなくなるように組立てることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のポンプ。
  8. ヒートポンプユニットと、タンクユニットと、ユーザが運転操作などを行う操作部とを備えたヒートポンプ式給湯装置において、
    前記タンクユニットに請求項1乃至7のいずれかに記載のポンプを搭載したことを特徴とするヒートポンプ式給湯装置。
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