JP4863344B2 - 射出成型機の型締装置 - Google Patents
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したがって、1軸の円筒軸に形成した円板と型締フレームとの間に楔体を押し込む上記の型締装置では、金型の平行度や昇圧バランスの不均一によって僅かな傾きが生じることがあり、このような場合、楔体とこの楔体の押圧対象である円板との間に、カジリが生じ、円滑に楔体が移動されず、要求の型締め力が得られない恐れがある。
また、円筒軸に傾きがなくても、円板からなる一つの押圧対象を複数の楔体が押圧する構造であるので、これら楔体の動作を高精度に同調させなければ、やはりカジリが生じ、要求の型締め力が得られなかった。
そして、このような押圧テーパ面を設けることにより、楔体の前進により押圧体を円滑に固定型盤側へ移動させて型締め力を生じさせることができる。
さらに、本発明は、楔体および押圧体には、互いに対向する平行なテーパ面を有する突条部が互いに噛み合うように形成され、楔体の後退により楔体側の突条部によって押圧体側の突条部が押圧され、押圧体が固定型盤から離間する方向へ引き寄せられる。
これにより、離型時に、楔体の後退により押圧体を引き込んで可動型盤を引き寄せることができる。したがって、可動型盤を引き寄せるための別個の機構を不要とすることができ、構造の簡略化によるコスト低減を図ることができる。
そして、このように、楔体と押圧体および楔体と型締フレームとの間の摺動箇所にコロを設けることにより、楔体の円滑な移動が可能となり、また、摩耗を大幅に低減することができる。
このとき、押圧テーパ面同士の間のコロと、楔体の底面と型締フレームとの間のコロとは、楔体の窄まり角度に応じ、オフセット配置するのが好ましい。これにより、押圧力が作用したときに、特定のコロに荷重が作用するのを回避し、複数のコロで荷重を均等に負担させることができる。
これにより、コロに対して予圧を付与することができ、常時コロを転動させることにより、コロ位置ズレや摩耗を極力低減することができる。
このようにすると、楔体を前進させて型締め力を生じさせる際に生じる押圧体の水平方向への力を相殺させることができ、押圧体の水平方向への拘束機構を不要とすることができ、構造の簡略化によるコスト低減を図ることができる。
図1は、本発明を適用した横型の射出成型機を示す側面図、図2は、図1におけるA−A断面図である。
図1に示すように、射出成型機のベースフレーム1には、その上面の右側に、矩形盤状に形成された固定型盤2が縦向きで固定されている。そして、この固定型盤2には、その左側面の中央に固定金型3が取り付けられ、右側面に射出ユニット4が取り付けられている。そして、固定型盤2の4隅からは4本のタイバー5が左側方へ延在されている。
この可動型盤10は、その4隅に、表裏に貫通する貫通孔が形成され、これら各貫通孔に各タイバー5が摺動自在に挿通され、各タイバー5をガイドとして可動型盤10が固定型盤2に対して、平行を保った状態にて接離可能に支持されている。
そして、この可動型盤10は、電動式の型移動機構15によって固定型盤2に対して進退される。
この型締機構30は、可動型盤10を挟んで可動金型11と反対側に配置された型締フレーム31を備えている。
型締フレーム31は、図2に示すように、矩形盤状に形成され、可動型盤10と並ぶ向きで、可動型盤10の軸心と合わせて縦向きに配置されている。この型締フレーム31の下端部には、前後2組のリニアベアリング32が組み付けてある。これらリニアベアリング32は、ベースフレーム1の上面に可動型盤10の進退方向に沿って敷設したガイドレール33に載置してある。
また、型締フレーム31には、この型締フレーム31をタイバー5に固定する固定機構50が組み付けられている。
図3は、押圧機構60の構造を示す縦断面図、図4は、押圧機構60の構造を示す横断面図である。なお、以下の説明において、「上」または「下」という表現は、説明のため、図3、図4の紙面上における上方、下方を指すものであり、実際の押圧機構60の設置方向と必ずしも合致するものではない。
図3および図4に示すように、この押圧機構60は、型締フレーム31に固定されたハウジング61を備えており、このハウジング61内には、楔体62が、前後方向(図中左右方向)へ移動可能に配設されている。また、この楔体62の上部には、押圧体63が設けられている。この押圧体63には、その上部に突出部63aが形成されており、この突出部63aが、可動型盤10に連結されている。この突出部63aは、ハウジング61を構成する上面板61aに形成された貫通孔64に摺動可能に挿通されており、これにより、押圧体63は、上下方向へ移動可能に支持されている。
そして、ハウジング61の底部61bと楔体62の底面62bとの間、および押圧体63の押圧テーパ面63bと楔体62の押圧テーパ面62aとの間には、それぞれリテーナ65によって間隔をあけて回動可能に支持された複数のコロ66が幅方向に2列配列されている。ここで、ハウジング61の底部61bと楔体62の底面62bとの間のコロ66と、押圧体63の押圧テーパ面63bと楔体62の押圧テーパ面62aとの間のコロ66は、それぞれ同数(本実施の形態では3個)が設けられている。ハウジング61の底部61bと楔体62の底面62bとの間のそれぞれのコロ66と、各コロ66に対応する、押圧体63の押圧テーパ面63bと楔体62の押圧テーパ面62aとの間のコロ66とは、押圧テーパ面62aに直交する仮想軸線(図中一点鎖線)上に位置するよう配置されている。これにより、押圧テーパ面62aを介して押圧力が入力された状態で、個々のコロ66に荷重(押圧力)がほぼ均等に作用する。これに対し、ハウジング61の底部61bと楔体62の底面62bとの間のコロ66と、押圧体63の押圧テーパ面63bと楔体62の押圧テーパ面62aとの間のコロ66とを、鉛直軸線上で対応させて配置すると、特定のコロ66に荷重が集中し、コロ66や、その転動面(底部61b、押圧テーパ面62a、底面62b、押圧テーパ面63b)の寿命低下に繋がる。したがって、上記のような配置を採用することで、コロ66の荷重分担が均等化され、長寿命化を図ることが可能となる。
ハウジング61の底部61bと楔体62の底面62bとの間のそれぞれのコロ66と、各コロ66に対応する、押圧体63の押圧テーパ面63bと楔体62の押圧テーパ面62aとの間のコロ66との図3における水平方向のオフセット量Sは、上下のコロ66の半長(上下のコロ66の間隔の1/2)をL、押圧テーパ面63bの傾斜角度(楔角)をθとすると、
S=L・tanθ
となる。
なお、押圧テーパ面62a、63b、ハウジング61の底部61bおよび楔体62の底面62bには、それぞれコロ66と接する部分に、高硬度な金属板からなる押圧板69が配設されている。
ハウジング61の両側板61cには、内方へ突出するハウジング突条部61dが設けられ、これらハウジング突条部61dが楔体62の下部突条部62dに対向した位置に配置されている。ハウジング61のハウジング突条部61d、楔体62の下部突条部62dは、それぞれ底面62bと平行に形成されている。
なお、ハウジング突条部61d、下部突条部62d、上部突条部62cおよび押圧体突条部63dには、それぞれコロ68と接する部分に、高硬度な金属板からなる押圧板70が配設されている。
そして、このボールねじ74が回転することにより、ボールねじ74が螺合されたボールねじナット72が固定された楔体62が、前後方向へ移動する。ここで、楔体62の移動方向は、図1において可動型盤10が固定型盤2に対し接近する離間する方向に対し、直交する方向とされている。
まず、型移動機構15のモータ21を作動させて、各ボールねじ軸17を正回転させる。このようにすると、固定型盤2から離れた位置にあった可動型盤10が、タイバー5をガイドとして固定型盤2と平行な姿勢を保ちながら固定型盤2へ接近する。また、可動型盤10に対して押圧機構60によって連結された型締フレーム31も、タイバー5およびガイドレール33をガイドとして平行な姿勢を保ちながら可動型盤10に追従しながら固定型盤2側へ移動する。
この状態において、型締装置30の押圧機構60による型締動作が行われる。
なお、型締動作前における押圧機構60は、図5(a)に示すように、楔体62が初期位置である後方側に配置された状態とされている。
これにより、ボールねじ74が螺合されているボールねじナット72とともに、楔体62が前進する。
これにより、図1において、この押圧体63の突出部63aが連結された可動型盤10が固定型盤2側へ向かって押圧され、その押圧力により固定金型3、可動金型11が型締めされる。
上記のようにして型締めを行ったら、その後に、射出ユニット4によって固定金型3、可動金型11への射出成型が行われる。
図5(b)に示したように、押圧体63の突出部63aを突出させて可動型盤10を押圧している押圧機構60の駆動機構73のサーボモータ75を逆転駆動させる。
このようにすると、サーボモータ75の回転駆動力がウォームギア76を介してボールねじ74に伝達され、ボールねじ74が逆転する。
これにより、ボールねじ74が螺合されているボールねじナット72とともに、楔体62が後退する。
これにより、この押圧体63の突出部63aが連結された可動型盤10が固定型盤2から離間する方向へ引き寄せられ、固定金型3、可動金型11の型締めが解除される。
その後、型移動機構15のモータ21が作動されて、各ボールねじ軸17が逆転させる。これにより、可動型盤10および型締フレーム31が、固定型盤2と平行な姿勢を保ちながら固定型盤2から離間される。
なお、サーボモータ75として、強力で小型なものを用いるのであれば、ウォームギア76は必ずしも設ける必要はない。
また、押圧機構60としては、可動型盤10を型締フレーム31側へ引き寄せる機能を設けず、型締め力を生じさせる機能のみを設けたものでも良い。この場合は、離型時に可動型盤10を型締フレーム31側へ引き寄せる引き戻し機構を設ける必要がある。
図6に示すように、引き戻し機構81は、ボールねじ82を回転させる駆動モータ83と、ボールねじ82が螺合されたボールねじナット84とを備え、駆動モータ83およびボールねじナット84が、それぞれ型締フレーム31および可動型盤10に固定されている。
そして、この引き戻し機構81を備えた型締装置30では、駆動モータ83によってボールねじ82を回転させることにより、ボールねじナット84とともに可動型盤10を型締フレーム31側へ引き寄せることができる。
図7に示すものは、楔体62に形成した穴部91内にバネ92を配設し、コロ66が接する押圧板69をコロ66側へ付勢したものである。そして、このような構造とすることにより、コロ66に予圧を付与してガタつきや滑りをなくすことができ、摩耗を極力抑えることができる。
なお、上記の例では、一方の押圧板69をコロ66へ向かって付勢したが、両方の押圧板69を付勢しても良い。また、この押圧板69をコロ66へ向かって付勢する構造は、コロ68を備えた摺動部分に設けても良い。
つまり、この押圧機構60では、押圧板69の互いの対向面が同一方向に傾斜され、分割された押圧板69が、対向面の傾斜方向前方側にバネ93によって付勢されている。
なお、上記構造も、コロ68を備えた摺動部分に設けても良い。
このような構造の押圧機構60によれば、楔体62を移動させて型締め力を生じさせる際に生じる押圧体63の水平方向への力を相殺させることができ、押圧体63の水平方向への拘束機構を不要とすることができ、構造の簡略化によるコスト低減を図ることができる。
Claims (6)
- 可動型盤を固定型盤へ押圧し、これら可動型盤と固定型盤との間の射出成型用の金型に型締め力を付与する射出成型機の型締装置であって、
前記可動型盤の固定型盤側と反対側にて、前記可動型盤と略平行に設置された型締フレームと、この型締フレームから反力を得て前記可動型盤を前記固定型盤側へ押圧する複数の押圧機構とを有し、
前記複数の押圧機構は、それぞれ前記可動型盤への押圧方向と直交する方向へ移動可能に支持されて先端へ向かって窄まる楔体と、前記楔体を移動させる駆動機構と、前記楔体と一対を成しかつ前記駆動機構によって前進される前記楔体によって前記可動型盤側へ移動される押圧体とからなり、
前記楔体及び前記押圧体には、互いに対向する平行な押圧テーパ面が形成され、前記楔体の前進により前記楔体側の押圧テーパ面によって前記押圧体側の押圧テーパ面が押圧され、前記押圧体が前記固定型盤側へ移動され、
前記楔体及び前記押圧体には、互いに対向する平行なテーパ面を有する突条部が互いに噛み合うように形成され、前記楔体の後退により前記楔体側の突条部によって前記押圧体側の突条部が押圧され、前記押圧体が前記固定型盤から離間する方向へ引き寄せられ、
この押圧機構が前記型締フレームと前記可動型盤との間にて、間隔をあけて複数組配置され、各組の前記駆動機構による前記楔体の移動が独立制御可能とされていることを特徴とする射出成型機の型締装置。 - 前記押圧テーパ面同士の間及び前記楔体の底面と前記型締フレームとの間には、前記楔体を移動可能に支持する複数のコロが転動可能に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の射出成型機の型締装置。
- 前記押圧テーパ面同士の間の前記コロと、前記楔体の底面と前記型締フレームとの間の前記コロとは、前記楔体の窄まり角度に応じ、オフセット配置されていることを特徴とする請求項2に記載の射出成型機の型締装置。
- 前記押圧テーパ面には、前記コロが転動可能に接触する押圧板が設けられ、少なくとも一方の前記押圧板は、前記コロ側へ付勢されていることを特徴とする請求項2または3に記載の射出成型機の型締装置。
- 前記押圧テーパ面には、前記コロが転動可能に接触する押圧板が設けられ、これら押圧板は、互いの対向面が同一方向に傾斜され、少なくとも一方の前記押圧板は、前記対向面の傾斜方向前方側に付勢されていることを特徴とする請求項2または3に記載の射出成型機の型締装置。
- 前記押圧機構は、前記押圧体及び前記楔体を一対ずつ備え、前記押圧体同士が、前記楔体の前方への移動方向に突き合わされていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の射出成型機の型締装置。
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