JP4861283B2 - X線回折装置およびx線回折方法 - Google Patents

X線回折装置およびx線回折方法 Download PDF

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Description

本発明は、平行ビーム法を用いたX線回折装置およびX線回折方法に関するものである。
粉末試料、薄膜試料や多結晶体試料の粉末X線回折法において、平行ビーム法を用いるときは、角度分解能を向上させるために、回折ビーム側の光学系(受光光学系)にアナライザを挿入する必要がある。このアナライザとしては、X線開口角の狭い長い平行スリットと、アナライザ結晶とが知られている。長い平行スリットを用いると、X線の強度はそれほど低下しないが、角度分解能が劣る。一方、アナライザ結晶は角度分解能が優れているが、X線の強度が著しく低下する。したがって、平行ビーム法において、角度分解能が優れていて、かつ、X線強度の低下も少ないようなアナライザが望まれている。
アナライザ結晶を用いて、かつ、全体として放射線強度の低下を防ぐ工夫として、次の非特許文献1と非特許文献2に開示された技術が知られている。
Journal of Synchrotron Radiation (1996), 3, 75-83 Journal of Research of the National Institute of Standards and Technology, 109, 133-142 (2004)
非特許文献1は、シンクロトロン放射光を用いた粉末回折法において、試料の周りに複数(例えば6個)のX線検出器(シンチレーションカウンタ)を配置している。そして、試料とそれぞれのX線検出器のあいだに、Ge(111)の平板からなるアナライザ結晶を挿入している。このように複数のX線検出器を用いることで、単一のX線検出器を用いる場合と比較して、所定の角度範囲の回折パターンを短時間で測定することができる。したがって、装置全体としてみれば、アナライザ結晶を用いたことによるX線強度の低下を防いでいる。
非特許文献2も、非特許文献1と同様に、粉末回折法において、試料の周りに複数(例えば9個)のアナライザ結晶と、それと同数のX線検出器(シンチレーションカウンタ)を配置している。
ところで、本発明は、平行ビーム法のX線回折装置において等角螺旋(対数螺旋)の形状の反射面を備えるミラーに関係しているが、集中ビーム法のX線回折装置においては、等角螺旋の反射面形状のミラー(分光結晶)を用いることが次の特許文献1、特許文献2および特許文献3に開示されている。
特開平6−82398号公報 特開平7−63897号公報 特開平7−72298号公報
特許文献1に開示されている分光結晶は、その反射面の形状がログ・スパイラル(対数螺旋)である。この分光結晶は人工多層膜格子からなっていて、反射面におけるX線源から遠い点ほど格子面間隔の周期が大きくなっている。特許文献2の第2実施例のX線分光器は、複数の平板状の分光素子の組み合わせからなり、各分光素子は、その反射点がログ・スパイラルに近似した曲線上に配置されている。そして、各分光素子は人工多層膜格子からなっていて、X線源から遠い分光素子ほど格子面間隔の周期が大きくなっている。特許文献3の第4実施例のX線分光素子は、段差を設けた複数の湾曲した反射面の組み合わせからなり、各反射面はログ・スパイラル曲線に近い縦断面を備えている。そして、各反射面は人工多層膜格子からなっていて、X線源から遠い反射面ほど格子面間隔の周期が大きくなっている。
上述の非特許文献1と非特許文献2に記載されたような、試料の周りに複数のアナライザ結晶と複数のX線検出器を配置する構造は、複雑で高価であり、実験室系におけるX線回折法には適用しにくいものである。
上述の特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載されたような、格子面間隔が一定でない反射面を有するミラーは、平行ビーム法において、異なる入射角のX線ビームを異なる位置に向けて反射させるためのミラーとして使うことはできない。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、平行ビーム法を用いたX線回折法において、角度分解能が優れていて、かつ、X線強度の低下が少なく、さらには、複数のアナライザ結晶とそれと同数のX線検出器を用いる従来例と比較して構造が簡素化されたX線回折装置およびX線回折方法を提供することにある。
本発明のX線回折装置は、平行ビームのX線を試料に照射して、試料からの回折X線を、回折現象を用いたミラーで反射させてからX線検出器で検出するものである。ミラーの反射面は、回折平面に平行な平面内において前記反射面上の任意の地点における反射面の接線とその任意の地点と試料とを結ぶ線分とのなす角度が一定になるように形成されていて、かつ、反射に寄与する結晶格子面が反射面上の任意の地点で反射面に平行になっている。X線検出器は、回折平面(その定義は後述する)に平行な平面内において配置された1次元の位置感応型である。そして、回折平面に平行な平面内において、前記ミラーの反射面上の複数の異なる地点からの反射X線が、前記X線検出器の複数の異なる地点にそれぞれ到達するように、前記ミラーと前記X線検出器との相対位置関係が定められている。この発明は、ミラーの反射面の断面形状(回折平面に平行な面内での断面形状)が、連続的にカーブする曲線となるが、この曲線状の反射面は、平行ビームのビーム幅(回折平面内でのビーム幅)が小さい場合に特に適している。
ミラーの反射面は、回折平面に平行な平面内において前記試料の表面上に中心を有する等角螺旋(対数螺旋とも呼ばれる)の形状を備えていることが好ましい。
本発明のX線回折方法は、上述のX線回折装置の発明と同様に、平行ビームからなるX線を試料に照射して、試料からの回折X線を、回折現象を用いたミラーで反射させてからX線検出器で検出するものである。ミラーの反射面に関する特徴と、X線検出器に関する特徴と、ミラーとX線検出器との相対位置関係に関する特徴は、上述のX線回折装置の発明と同じである。そして、異なる回折角度を有する複数の前記回折X線を前記ミラーを介して前記X線検出器で別個に、かつ、同時に検出するものである。
本発明によれば、所定の反射面形状のアナライザ結晶と単一の1次元の位置感応型X線検出器とを組み合わせることで、角度分解能が優れていて、かつ、X線強度の低下が少なく、さらには、複数のアナライザ結晶を用いる従来例と比較して構造が簡素化される。
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳しく説明する。図1は本発明のX線回折装置の概略斜視図である。このX線回折装置は、ライン状(またはポイント状)のX線焦点10を備えるX線源と、放物線形状の反射面を備える多層膜ミラー12と、特性X線Kα1を選択するためのチャンネルカットモノクロメータ13と、試料ホルダー14と、回折X線の縦発散を制限するソーラースリット16と、アナライザ結晶からなるミラー18と、1次元の位置感応型のX線検出器20とを備えている。図1はライン状のX線焦点を用いる場合を示している。X線焦点10から放出されるX線は発散ビーム22であるが、この発散ビーム22が放物線形状の反射面を備える多層膜ミラー12によって平行ビーム24aに変換される。多層膜ミラー12は、使用するX線の波長(この実施例ではCuKα1)に最適化されていて、傾斜格子面間隔を備えている。この多層膜ミラー12の放物線の焦点の位置にX線焦点10が配置されている。ライン状のX線焦点を例にとると、X線焦点10は上下方向の長さが約10mmである。平行ビーム24aは、チャンネルカットモノクロメータ13を経て、平行ビーム24(入射X線)として試料26に照射される。平行ビーム24aならびに平行ビーム24の水平面内でのビーム幅Bは約0.84mmである。試料26は粉末状であり、試料ホルダー14の凹部に充填されている。試料26からは回折X線28が出てくる。回折X線28はソーラースリット16によって縦方向の発散(縦発散)が制限される。
試料26は粉末状に限定されず、多結晶体(金属など)や、基板状の薄膜試料、繊維状試料などを用いることができて、いわゆる反射法X線回折用の任意の試料ホルダーを用いることができる。また、透過法X線回折用の試料ホルダーを用いることもできて、例えば、図7に示すように、キャピラリーチューブ15に試料を充填することができる。
図8は図1に示すX線回折装置の光学系を変更した例である。この変更例が図1と異なっている点は、入射側光学系においてチャンネルカットモノクロメータが省略されていることと、多層膜ミラー12が、使用するX線の波長(この実施例ではCuKαであり、Kα1とKα2のダブレット)に最適化されていることである。
入射X線24と回折X線28とを含む平面は、通常、回折平面(diffraction plane)あるいは赤道平面(equatorial plane)と呼ばれている。この明細書では、入射X線24と回折X線28とを含む平面を回折平面と定義する。回折平面内でのX線の発散は、通常、エカトリアル方向発散(equatorial divergence)あるいはラジアル方向発散(radial divergence)と呼んでいる。この明細書では、回折平面内での発散を横発散と呼び、回折平面に垂直な平面内でのX線の発散を縦発散と呼ぶ。図1に示す光学系は、回折平面が水平面内にあり、X線焦点10は直立しており、試料26の表面も直立している。
ソーラースリット16は縦発散を制限するものである。平行ビーム法におけるX線の横発散は、回折角度の分解能に直接関係するものであり、この横発散は後述するミラー18および上述のチャンネルカットモノクロメータ13によって厳しく制限される。ミラー18は回折X線28の角度分解能を保証するものであって、本発明の主要な構成要素である。これについては、あとで詳しく説明する。ミラー18のおおよそのサイズは、高さが15〜20mmで、長さが60〜80mm程度であり、平板に対してわずかに湾曲している。また、チャンネルカットモノクロメータ13は、使用するX線ターゲットがCuの場合、Ge(220)の結晶面が使用される。
1次元の位置感応型のX線検出器20は、この実施例ではシリコン・ストリップ検出器(Silicon Strip Detector: SSD)を用いている。この検出器は、回折平面に平行な平面内において1次元の位置感応型である。すなわち、直立した細長い検出面がひとつの検出チャンネルを構成し、このチャンネルが水平方向に多数個(例えば、128個)並んでいる。ひとつのチャンネルのサイズは、例えば、幅が0.1mmで長さ(図1における高さ)が15mmである。
図2は図1のX線回折装置の平面図である。入射X線24に対して回折X線28は2θの角度をなしている。θは試料26によるX線回折のブラッグ角である。このX線回折装置を用いて、所定の角度範囲で回折パターンを測定するとき、試料26の表面に対する入射X線24の角度θと、前述角度2θが、θ対2θの割合を1対2の関係を保つように、試料ホルダー14と受光光学系30は連動して回転する。これにより、試料26からのX線回折パターンを検出することができる。受光光学系30は、主として、ソーラースリット16(図1を参照。図2では省略している)とミラー18とX線検出器20からなり、これらの光学要素を受光側のアーム(図示せず)に搭載している。受光光学系30は、矢印34で示すように、ゴニオメータの中心(O点)の周りに回転可能である。試料26の表面はゴニオメータの中心(O点)に一致している。
このX線回折装置は平行ビーム法を用いているので、θ対2θを1対2の割合に保たない、別の測定法も可能である。すなわち、所定の角度範囲で回折パターンを測定するときに、試料ホルダーを静止させておいて、試料26の表面に対する入射X線24の角度を一定に保つことができる。試料26からの回折X線は、ブラッグ角に応じて、いろいろな方向に放出されるが、それらの回折X線28は、受光光学系30を回転させることで検出することができる。
次に、ミラー18の反射面の形状について詳しく説明する。ミラー18は単結晶の薄板をわずかに湾曲させて形成したものである。この実施例では、ミラー18はGeの単結晶で作られていて、Ge(111)面がミラーの表面に対して平行になるように形成されている。このミラーは、試料からの回折X線を回折現象によって反射させるものである。Ge(111)面が回折に寄与する結晶格子面である。
図3において、ミラーの反射面19は、回折平面に平行な面内において、等角螺旋(対数螺旋とも呼ばれる)の形状をしている。図3は回折平面に平行な面内を示している。等角螺旋の特徴は、等角螺旋上の任意の地点(x,y)における接線38と、その地点(x,y)と螺旋の中心(O点)とを結ぶ線分36とのなす角度θ0が、螺旋上のどの地点においても一定であることである。それゆえに「等角」螺旋と呼ばれる。そして、この角度θ0が、使用するX線波長におけるGe(111)のブラッグ角に等しい。この実施例では、CuKα1用にミラーが作られており、θ0は13.64°である。O点からミラーの反射面19に向かう回折X線(試料で回折したX線)は、反射面19のどの位置に当たっても、反射面19の接線38に対して角度θ0で入射することになり、ブラッグの反射条件を満たす。そして、反射面19で反射した反射X線40は、同様に接線38に対して角度θ0をなして出て行く。
ミラーの反射面19の形状は次のようにして求めることができる。図3において、ゴニオメータの中心(O点)をxy座標の原点とする。試料の表面はO点上に位置しており、また、等角螺旋の中心もO点にある。x軸上のx=rの地点に反射面19の中央部分を置くものと仮定する。x軸に対して反時計方向に角度φだけ回転した方向に回折X線36が進行した場合、反射面19上の座標(x,y)の地点に回折X線36が当たる。この回折X線36の方程式(すなわち、この回折X線上の各地点の座標が満足する方程式)は図3の(1)式で表される。この回折X線(Diffracted Beam)のy座標すなわちyDBは、角度φと座標xで表される。
地点(x,y)における反射面19の傾きdy/dxは(2)式で表される。この(2)式は、(3)式と(4)式を用いて、(5)式のように書き換えることができる。(3)式は、地点(x,y)におけるxy座標と角度φとの関係を表す式である。(4)式は、ミラーのブラッグ角θ0の正接をaと定義したものである。(5)式の微分方程式を解くと(6)式が得られ、(6)式を変形すると(7)式が得られる。
図4の(8)式の関係を図3の(7)式に代入して整理すると、図4の(9)式が得られる。この(9)式は、反射面19上の任意の地点(x,y)のx座標を表したものである。このx座標は、距離rと角度φとブラッグ角θ0とを用いて計算できる。(9)式と(3)式を用いると(10)式が得られて、y座標を求めることができる。(9)式と(10)式により、ミラーの反射面19の形状が定まる。
図4において、ミラーの反射面19がどの程度湾曲しているかを以下に試算する。r=200mmと仮定して、反射面19の中心(200,0)における反射面19の接線38(直線である)と、反射面19(曲線である)との間の、y方向の距離Δを計算すると次のようになる。接線38の方程式は図4の(11)式で表される。接線上のy座標はytanと表すことにする。一方、反射面19のy座標は(10)式で表される。以下に示す表1は、上述の距離Δを角度φをパラメータとして計算したものである。例えば、φ=2°のときに、反射面19上のx座標は173.099mmであり、y座標は6.045mmである。同じx座標における接線38上のy座標すなわちytanは6.528mmである。したがって、接線38のy座標から反射面19のy座標を引き算した値すなわちΔは0.483mmである。同様にして、φ=1°、0°、−1°、−2°のときのΔの値を示している。φが0°から増えても減っても、反射面19のy座標は接線のy座標を下回っているので、反射面19は、下に凹になるように、わずかに湾曲していることがわかる。
Figure 0004861283
次に、反射面で反射したX線の行方を説明する。図5において、O点から角度φの方向に進行した回折X線36は反射面19上の(x,y)点で反射して、反射X線40となる。一方、O点からx軸に沿って進行した回折X線は反射面19上のC点、すなわち反射面19とx軸が交わる地点、で反射して、反射X線42となる。このC点で反射する反射X線を中心ビーム42と呼ぶことにする。角度φに相当する任意の(x,y)地点で反射した反射X線40は、いずれ中心ビーム42と交差することになる。その交点をP点とする。そして、C点とP点との距離をtとする。
図5において、角度φに相当する任意の地点(x,y)で反射した反射X線40の方程式は(13)式で表される。(13)式中の記号Aは(12)式で定義される。また、中心ビーム42の方程式は(14)式で表される。(13)式と(14)式を同時に満足する座標が交点Pであり、その両方を満足するx座標すなわちxpを求めると、(15)式が得られる。P点のy座標すなわちypは、得られたxpを例えば(14)式に代入すれば、求めることができる。
次の表2はP点の座標(xp,yp)と距離tを、角度φをパラメータとして求めたものである。r=200mm、θ0=13.64°の条件である。表2によれば、ミラーの反射面の中心(C点)から200mm程度離れたところで、各反射X線が中心ビームとそれぞれ交差することがわかる。したがって、反射面上の異なる地点で反射した反射X線を互いに区別して位置感応型X線検出器で検出できるようにするためには、C点とP点の間のどこかに位置感応型X線検出器を配置する必要がある。この例で言えば、C点から50〜100mm程度離れた位置に位置感応型X線検出器を配置することが好ましい。
Figure 0004861283
次に、位置感応型X線検出器における角度分離機能を説明する。図6において、ミラーの反射面19の中心(C点)から距離dだけ離れたところに位置感応型X線検出器20の検出面を配置する。検出面は中心ビーム42に対してほぼ垂直に配置する。角度φの地点(x,y)からの反射X線40は検出面上のQ点に到達する。C点からの中心ビーム42は検出面上のM点に到達する。Q点とM点との距離はsである。ミラーの反射面上の複数の異なる地点からの反射X線は、X線検出器の複数の異なる地点にそれぞれ到達することになる。
M点の座標(xm,ym)は図6の(16)式で表される。検出面を表す直線44の方程式は(17)式で表される。Q点は直線44と反射X線40の交点である。直線44は図6の(17)式で表され、反射X線40は図5の(13)式で表されるから、Q点の座標(xq,yq)は二つの方程式を解くことで得られて、(18)式と(19)式のようになる。Q点とM点の距離sは、M点の座標を表す(16)式と、Q点の座標を表す(18)式および(19)式とを用いて計算することができて、(20)式のようになる。
次の表3は検出面上での距離sをφをパラメータとして計算したものである。r=200mm、θ0=13.64°、d=50mmの条件である。φが2°のときはM点から4.28mm離れており、φが−2°のときはM点から逆方向に6.29mm離れている。したがって、ミラーによって回折X線を2θ=±2°の範囲内で(すなわちφ=±2°の範囲内で)捕捉することを想定すると、d=50mmの地点に検出器を配置するときは検出器の横方向のサイズが10mm程度必要である。この10mmの範囲内を例えば100チャンネルに区分するとすれば(すなわち、1チャンネルの幅を0.1mmにすれば)、2θ=4°の範囲内を約0.04°の位置分解能で測定できることになる。なお、角度φの変化量(すなわち2θの変化量)と検出面上でのsの変化量は比例しないので、角度φの変化に対するsの変化の特性曲線を、図6の(20)式に基づいて作成しておけば、検出器のどのチャンネルに、φのどの角度範囲のX線が到達するかを把握することができる。
Figure 0004861283
図6から明らかなように、本発明によれば、1次元の位置感応型のX線検出器20を静止したままで、異なる回折角度を有する複数の回折X線をミラーを介して別個に、かつ、同時に検出することができる。このように異なる回折角度の回折X線を同時に検出できるので、従来のアナライザ結晶を用いて単一の回折角度の回折X線だけを一度に測定する場合と比較して、X線の検出強度をかせぐことができる。ゆえに、アナライザ結晶を用いていても、回折パターンの測定を比較的短時間で終わらせることができる。なお、X線検出器を静止したままで測定すると、例えば、2θで4°程度の角度範囲をカバーするだけなので、広い角度範囲にわたって粉末回折パターンを得るには、図2に示すように、受光光学系を回転させる必要がある。
上述の説明では、X線焦点がライン焦点の場合を例にして説明してきたが、本発明はポイント焦点にも適用することができる。
本発明のX線回折装置の概略斜視図である。 図1のX線回折装置の平面図である。 ミラーの反射面の形状の求め方の説明図とそれに関係する数式である。 ミラーの反射面の形状の説明図とそれに関係する数式である。 ミラーで反射したあとのX線の進行状況を示す説明図とそれに関係する数式である。 ミラーとX線検出器との位置関係を示す説明図とそれに関係する数式である。 図1のX線回折装置の光学系の変更例を示す概略斜視図である。 図1のX線回折装置の光学系の別の変更例を示す概略斜視図である。
符号の説明
10 X線焦点
12 多層膜ミラー
13 チャンネルカットモノクロメータ
14 試料ホルダー
16 ソーラースリット
18 ミラー
19 反射面
20 X線検出器
22 発散ビーム
24a 平行ビーム
24 平行ビーム(入射X線)
26 試料
28 回折X線
30 受光光学系

Claims (4)

  1. 平行ビームのX線を試料に照射して、試料からの回折X線を、回折現象を用いたミラーで反射させてからX線検出器で検出するX線回折装置において、
    前記ミラーの反射面は、回折平面に平行な平面内において前記反射面上の任意の地点における反射面の接線とその任意の地点と試料とを結ぶ線分とのなす角度が一定になるように形成されていて、かつ、反射に寄与する結晶格子面が反射面上の任意の地点で反射面に平行になっていて、
    前記X線検出器は、回折平面に平行な平面内において1次元の位置感応型であり、
    回折平面に平行な平面内において、前記ミラーの反射面上の複数の異なる地点からの反射X線が、前記X線検出器の複数の異なる地点にそれぞれ到達するように、前記ミラーと前記X線検出器との相対位置関係が定められている、
    ことを特徴とするX線回折装置。
  2. 請求項1に記載のX線回折装置において、前記ミラーの反射面は、回折平面に平行な平面内において前記試料の表面上に中心を有する等角螺旋の形状を備えていることを特徴とするX線回折装置。
  3. 平行ビームからなるX線を試料に照射して、試料からの回折X線を、回折現象を用いたミラーで反射させてからX線検出器で検出するX線回折方法において、
    前記ミラーの反射面は、回折平面に平行な平面内において前記反射面上の任意の地点における反射面の接線とその任意の地点と試料とを結ぶ線分とのなす角度が一定になるように形成されていて、かつ、反射に寄与する結晶格子面が反射面上の任意の地点で反射面に平行になっていて、
    前記X線検出器は、回折平面に平行な平面内において1次元の位置感応型であり、
    回折平面に平行な平面内において、前記ミラーの反射面上の複数の異なる地点からの反射X線が、前記X線検出器の複数の異なる地点にそれぞれ到達するように、前記ミラーと前記X線検出器との相対位置関係が定められていて、
    異なる回折角度を有する複数の前記回折X線を前記ミラーを介して前記X線検出器で別個に、かつ、同時に検出する、
    ことを特徴とするX線回折方法。
  4. 請求項3に記載のX線回折方法において、前記ミラーの反射面は、回折平面に平行な平面内において前記試料の表面上に中心を有する等角螺旋の形状を備えていることを特徴とするX線回折方法。
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