JP4859201B2 - 水処理方法及びシステム - Google Patents
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Description
イオン交換による水処理方法として、特許文献1(特開平10−309572号公報)には、イオン交換体を用いて廃水中の硝酸イオンを除去する方法が開示されている。さらにこの方法においては、イオン交換体により濃縮された硝酸イオンを含む廃水を金属鉄と接触させて硝酸イオンを分解するようにしている。
しかし、このようなイオン交換による処理の問題点として、イオン交換では定期的な再生処理が必要とされ、また再生工程において排出される排出水の処理が必要となるとともに、処理水の回収率が低下するという課題があった。
また、特許文献3(特許第3691461号公報)には、廃水を処理する方法として陰イオン交換にて窒素化合物を吸着除去し、窒素化合物が濃縮されたイオン交換樹脂の再生廃水を電解処理して次亜ハロゲン酸を生成し、これにより窒素化合物の除去処理を行う水浄化方法が開示されている。
また、特許文献2では、廃水と海水を混合し電解処理する手法が示されているが、電解による酸化分解のみでは満足する値までアンモニア性窒素を除去することができないという問題があり、さらに電解処理する液中にCaやMg等のミネラル成分が含まれる場合には、スケール成分の付着により電解効率が低下してしまう。
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、イオン交換を効果的に用いて再利用に適した処理水を得ることを可能とした水処理方法及びシステムを提供することを目的とする。
前記陰イオン交換樹脂の再生にNaClからなる塩素系再生剤を用いて再生処理を行い、前記イオン交換にて、前記再生処理で脱離した塩化物イオンを含む透過液を前記電解装置の上流側に返送して前記電解処理して次亜塩素酸を含む再利用処理水を生成することを特徴とする。
本発明では、まず電解処理により工場廃水中の酸化性を有する除去対象物を酸化分解して除去した後に、電解処理により得られた電解処理液中に含まれる陰イオン性の除去対象物をイオン交換により分離する。陰イオン性の除去対象物は、電解処理により除去されなかった物質若しくは電解処理により発生した物質を含む。
このように、電解処理と陰イオン交換とを組み合わせることにより、夫々の単独処理では除去しきれなかった除去対象物を除去可能で、水質性状が高く再利用に適した処理水を得ることができる。
前記陰イオン交換樹脂の再生処理では高濃度の除去対象物を含む再生排水が得られる。この再生排水を電解処理に返送することで、陰イオン性の除去対象物の還元を行うことができる。
本発明は、硝酸性窒素の除去に好適に適用でき、硝酸性窒素をイオン交換にて濃縮して回収し、該濃縮した硝酸性窒素を電解処理することにより最終的に窒素ガスまで分解することができる。
また、再生剤として塩化ナトリウムを用いた為に、再生排水中に塩化物イオンが豊富に含まれるため、電解処理における電解電圧を低下させることができる。
本発明の水処理方法は、処理水が純水若しくは純水に近い水質となり、上水、洗浄用水、冷却水等として再利用に適した処理水が得られるため、例えば、硝酸性窒素等のイオン性物質の除去を目的とした上水処理、化学工場、食品工場における冷却水等への利用もしくは再利用を目的とした用水処理、半導体工場におけるウェーハ洗浄水等の純水精製を目的とした用水処理に好適に用いられる。
また、陰イオン交換樹脂の再生処理にて回収された陰イオン性且つ酸化性を有する除去対象物を、前記電解処理にて生成した次亜塩素酸で酸化分解することが好ましく、これにより効率的な処理が可能となる。
このように、電解処理の前段で陽イオン交換樹脂によりイオン交換を行うことで、電極に付着するスケール源となるCa、Mg等の除去対象物を除去することができ、電解処理を効率良く行うことが可能となる。
また、前記電解処理にNaOHを供給してpH調整を行うようにし、該電解処理により生じた電解処理液を前記イオン交換に流入させることを特徴とする。
これは、電解処理にてpH調整のためにNaOHを添加する場合に、Naが豊富に含まれる電解処理液をイオン交換に流入させることが好ましく、これにより陽イオン交換樹脂の再生を行うことができ、陽イオン交換樹脂のミネラル除去性能を長期間保つことができる。
前記陰イオン交換樹脂の再生にNaClからなる塩素系再生剤が用いられ、前記イオン交換装置ではイオン交換により塩化物イオンを含む透過液を得るようにし、該陰イオン交換樹脂の塩化物イオンを含む透過液を前記電解装置の上流側に返送する返送ラインを備え、前記電解装置では前記透過液を電解処理して次亜塩素酸を含む再利用処理水を生成することを特徴とする。
また、陰イオン交換樹脂によるイオン交換に塩素系再生剤を用いることにより、イオン交換の透過液に含まれる塩化物イオンを電解処理に活用でき、電解処理において塩化物イオンを外部添加する必要がなくなり、ランニングコストの低減が図れる。
さらに、陽イオン交換樹脂によるイオン交換と電解処理を組み合わせることにより、電解処理の阻害となる廃水中のCaやMg等のスケール成分を除去することができるため、電解処理を効率良く行うことが可能となる。
さらにまた、複数のイオン交換装置を並列に配置してイオン交換と再生処理を交互に行わせることにより連続処理が可能となる。
図1は陰イオン交換装置を備えた実施例1に係る水処理システムの構成図、図2は陰イオン交換装置を備えた実施例2に係る水処理システムの構成図、図3は陽イオン交換装置を備えた実施例3に係る水処理システムの構成図、図4は複数の陽イオン交換装置を備えた実施例4に係る水処理システムの構成図、図5は複数の陽イオン交換装置及び陰イオン交換装置を備えた実施例5に係る水処理システムの構成図である。
電解装置1は、少なくとも一対以上の電極が電解槽内に浸漬配置された構成を有し、塩化物イオン存在下で電解することにより次亜塩素酸を生成する装置である。図7に電解反応の原理を示す。同図に示されるように電解装置50は、塩化物イオンを含む処理対象水が投入される電解処理槽51と、該電解処理槽51の処理水内に対向して浸漬配置された陽極52と陰極53からなる電極と、該電極に接続される電源装置54とを主要構成とする。
(陽極) 2Cl− → Cl2+2e
Cl2+H2O → HClO+HCl
(陰極) NO3 −H2O+2e− → NO2 −+2OH−
NO2 −+5H2O+6e− → NH3+7OH−
2H2O+2e → 2OH−+H2↑
陽極52では塩素が発生し、さらにその塩素が水と反応し、強力な酸化力を有する次亜塩素酸(HClO)が生成される。一方、陰極では溶液中に硝酸イオンが含まれる場合は、アンモニアへ還元される。また、硝酸イオンが含まれない場合は、水の電解により水素が発生する。アンモニアは下記反応式により無害な窒素ガスとして除去される。
2NH3+3HClO → N2↑+3HCl+3H2O
陰イオン交換樹脂は、一定時間経過後に吸着能が低下したら再生処理を行う。再生剤としては、NaCl等が用いられる。再生処理で得られる再生排水25は、イオン交換により吸着した除去対象物を高濃度で含む。
NO3 −+H2O+2e− → NO2−2OH−
NO2 −+5H2O+6e− → NH3+7OH−
しかし、電解装置1にて除去しきれないNO3 −は電解処理液22に残存して排出される。これは、高濃度のNO3 −は電解処理によりアンモニアを経て脱窒されるが、低濃度のNO3 −は電解によっても除去されないため電解処理液22中に残存するためである。
R−Cl+NaNO3 → R−NO3+NaCl
ここで、Rはイオン交換樹脂の母体を現す。
このようにして、陰イオン交換装置2を透過した処理水24からは硝酸性窒素が除去される。
再生排水25はNO3 −を高濃度で含んでおり、該再生排水25を電解装置1若しくは該電解装置1より上流側に返送することが好ましい。
再生排水25に含まれるNO3 −は、電解装置1にて電解処理により還元され、最終的に窒素ガスとすることができる。電解装置1では、高濃度の硝酸性窒素を電解処理することになるため、電解効率を高く維持でき窒素除去効率が向上する。また、再生排水25には塩化物イオンが豊富に含まれるため、電解装置1での電解電圧を低下させることができる。
また本実施例は、硝酸性窒素の除去に好適に適用でき、硝酸性窒素をイオン交換にて濃縮して回収し、該濃縮した硝酸性窒素を電解処理することにより最終的に窒素ガスまで分解することができる。
このように、本実施例の水処理システムは、処理水が純水若しくは純水に近い水質となり、上水、洗浄用水、冷却水等として再利用に適した処理水が得られるため、例えば、硝酸性窒素等のイオン性物質の除去を目的とした上水処理、化学工場、食品工場における冷却水等への利用もしくは再利用を目的とした用水処理、半導体工場におけるウエハー洗浄水等の純水精製を目的とした用水処理に好適に用いられる。
図2に示されるように本実施例2に係る水処理システムは、陰イオン交換装置2と、電解装置1とを順に直列に配設した構成となっている。
本実施例2では、廃水20を陰イオン交換装置2に供給して陰イオン交換樹脂によりイオン交換した後に、該陰イオン交換装置2にて得られた透過液26を電解装置1に供給して電解処理するようにしている。本実施例にて処理対象とされる廃水20は、陰イオン性の除去対象物を含む工場廃水であり、さらに酸化性の除去対象物を含んでいてもよい。勿論、陰イオン性且つ酸化性の除去対象物を含む。好適には低濃度の陰イオン性の除去対象物を含む廃水20とする。
電解装置1にて生成された次亜塩素酸を含む処理水27は、各種機器の洗浄用水、消毒用水、冷却水等の再利用水として用いられる他、取水口に供給して藻や生物の付着を防止したり、スライムの除去などに再利用できる。
また、陰イオン交換樹脂の再生工程において回収された高濃度の除去対象物を含む再生排水25は、電解処理で生成した次亜塩素酸で酸化分解することができ、効率的な処理が可能となる。
また、上記した実施例1及び実施例2を組み合わせたシステム構成とすることもできる。即ち、電解装置1と、該電解装置1の上流側に一又は複数の陰イオン交換装置2を配置し、該電解装置1の下流側に一又は複数の陰イオン交換装置2を配置する構成とする。
図3に示されるように本実施例3に係る水処理システムは、陽イオン交換装置3と、電解装置1とを順に直列に配設した構成となっている。
陽イオン交換装置3は、陽イオン交換樹脂が充填され、廃水中に含まれるミネラル成分を吸着し、分離する装置である。陽イオン交換装置3では、図6(B)に示されるように、陽イオン性の除去対象物であるCa、Mg等のミネラル成分が陽イオン交換樹脂に吸着され、以下の反応によりナトリウムイオンが放出される。
2R−Na+CaCl2 → R−Ca3+2NaCl
ここで、Rはイオン交換樹脂の母体を現す。
陽イオン交換樹脂は、一定時間経過後に吸着能が低下したら再生処理を行う。再生剤としては、NaCl等が用いられる。
電解装置1では、透過液18中に酸化性の除去対象物を含む場合には該除去対象物が酸化分解される。
また、電解促進剤28としてNaClを用い、同様に電解処理液19の少なくとも一部を陽イオン交換装置3に流入させるとよい。これにより、NaClが再生剤の機能も担うこととなり、再生剤兼電解促進剤28として作用する。
尚、再生工程で得られる再生排水(処理水29)は、イオン交換により吸着した分離したミネラル成分を高濃度で含む硬水となる。
本実施例4は、上記した実施例3を応用したものであり、複数の陽イオン交換装置3が並列に配置された構成を有する。以下、一例として2台の陽イオン交換装置3A、3Bを設けた構成につき説明する。廃水20の経路は、陽イオン交換装置3Aを経て電解装置に流入する経路と、陽イオン交換装置3Bを経て電解装置に流入する経路とが存在する。夫々の経路には、バルブ30、32及びバルブ31、33が設けられている。
また、電解装置1から排出される電解処理液19の経路は、陽イオン交換装置3Aを経て処理水29として排出される経路と、陽イオン交換装置3Bを経て処理水29として排出される経路とが存在する。夫々の経路には、バルブ35、37及びバルブ34、36が設けられている。
即ち、廃水20が陽イオン交換装置3Aを経て電解装置1に流入する経路上のバルブ30、32を開とし、陽イオン交換装置3Bを経て電解装置1に流入する経路上のバルブ31、33を閉とすることにより、陽イオン交換装置3Aには廃水20が流入してミネラル除去が行われる。
そして、一定時間経過後に陽イオン交換装置3Aの吸着能が低下したら、夫々の工程を切り替えるように各バルブを操作する。
本実施例のごとく、陽イオン交換装置3A、3Bを複数並列に配置し、交互にイオン交換工程(ミネラル除去工程)と再生工程を行うように切り替えることにより、電解装置1を連続的に稼動することが可能となる。
尚、本実施例4では陽イオン交換装置3A、3Bにつき記載したが、陰イオン交換装置においても同様の構成とすることが可能である。
本実施例5は、上記した実施例4を応用したものであり、複数の陽イオン交換装置が並列に配置されるとともに、複数の陰イオン交換装置が並列に配置した構成を有する。
以下、一例として2台の陽イオン交換装置3A、3Bと、2台の陰イオン交換装置2A、2Bを設けた構成につき説明する。
また、電解装置1から排出される電解処理液19の経路は、陰イオン交換装置2Aを経て陽イオン交換側へ送給される経路と、陰イオン交換装置2Bを経て陽イオン交換側へ送給される経路とが存在し、夫々の経路には、バルブ40、42及びバルブ41、43が設けられている。
また、陰イオン交換装置2A、2Bを透過した透過液26は、陽イオン交換装置3Aを経て処理水29として排出される経路と、陽イオン交換装置3Bを経て処理水として排出される経路とが存在し、夫々の経路には、バルブ35、37及びバルブ34、36が設けられている。
このとき、前記処理水29の少なくとも一部を返送した返送処理水29’を、再生剤兼電解処理剤28とともに陰イオン交換装置2A、2Bに供給するようにしてもよい。
2、2A、2B 陰イオン交換装置
3、3A、3B 陽イオン交換装置
18、26 透過液
19、22 電解処理液
20 廃水
21 アルカリ剤
23 再生剤
25 再生排水
28 再生剤兼電解促進剤
30〜37 バルブ
40〜47 バルブ
Claims (4)
- アルコール類、フェノール類、炭化水素類、アルデヒド類、ケトン類、脂肪酸類、エステル類、アミン類、窒素酸化物、アンモニア、色度成分及び臭気成分の何れかの酸化性の除去対象物を含有する工場廃水を電解処理して前記除去対象物を酸化分解した後に、該電解処理により生じた電解処理液に含まれる除去対象物を陰イオン交換樹脂によりイオン交換して分離するとともに、該陰イオン交換樹脂を一定期間使用した後、陰イオン交換樹脂の吸着能が低下したらイオン交換樹脂の再生工程を行い、
前記陰イオン交換樹脂の再生にNaClからなる塩素系再生剤を用いて再生処理を行い、前記イオン交換にて、前記再生処理で脱離した塩化物イオンを含む透過液を前記電解装置の上流側に返送して前記電解処理して次亜塩素酸を含む再利用処理水を生成することを特徴とする水処理方法。 - 前記電解処理にNaOHを供給してpH調整を行うようにし、該電解処理により生じた電解処理液を前記イオン交換に流入させることを特徴とする請求項1記載の水処理方法。
- アルコール類、フェノール類、炭化水素類、アルデヒド類、ケトン類、脂肪酸類、エステル類、アミン類、窒素酸化物、アンモニア、色度成分及び臭気成分の何れかの酸化性の除去対象物を含有する工場廃水に含まれる除去対象物を電解処理により酸化分解する電解装置と、陰イオン交換樹脂が充填され、前記電解装置から流入する電解処理液をイオン交換して除去対象物を分離するイオン交換装置と、を備えるとともに、
前記陰イオン交換樹脂の再生にNaClからなる塩素系再生剤が用いられ、前記イオン交換装置ではイオン交換により塩化物イオンを含む透過液を得るようにし、該陰イオン交換樹脂の塩化物イオンを含む透過液を前記電解装置の上流側に返送する返送ラインを備え、前記電解装置では前記透過液を電解処理して次亜塩素酸を含む再利用処理水を生成することを特徴とする水処理システム。 - 前記イオン交換装置が複数並列に配置され、該イオン交換装置のうち第1のイオン交換装置と第2のイオン交換とが交互にイオン交換と再生処理を行うように切り替え手段を設けたことを特徴とする請求項3記載の水処理システム。
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