JP4858698B2 - プラスチックボトル - Google Patents

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本発明は、ペットボトル等のプラスチックボトルに係り、詳しくは、底部に形成された可動部の押出し及び押入れによる高さ方向の伸縮によって内容積を変化させることのできるプラスチックボトルに関する。
従来、底部に形成された可動部の押出し及び押入れによる高さ方向の伸縮によって内容積を変化させることのできるプラスチックボトル(例えば、ペットボトル)が知られている(例えば、特許文献1参照)。このプラスチックボトルは、底部の可動部を押出した状態で茶飲料等の高温の液体飲料を充填(高温充填)してキャップを巻き締めた後にその液体飲料が冷める過程でその体積が減少することに伴って内圧が低減することを、前記可動部を押入れて内容積を減少させることによって吸収(防止)するものである。
特開2006−501109号公報
ところで、このようなプラスチックボトルは、内溶液を充填する際等の個々的な搬送を考慮すると、可動部が押出された状態で安定的に自立可能であることが好ましい。このように底部の可動部が押出された状態でプラスチックボトルの自立性を良好にするには、押出された状態の可動部の接地すべき部分の外縁の径をできるだけ大きくする必要がある。しかし、可動部の接地すべき部分の外縁の径を大きくすると、プラスチックボトルの底部に対する可動部の傾斜がきつくなって可動部の押出し及び押入れがし難くなってしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、可動部が押出された状態で自立性を良好に維持しつつ当該可動部の押出し及び押入れがし難くなることを極力防止することのできるプラスチックボトルを提供するものである。
本発明に係るプラスチックボトルは、胴部に続いて形成される底部に押出し及び押入れ可能となる可動部の形成されたプラスチックボトルであって、前記可動部は、前記底部の外縁部から傾斜して延びる環状の傾斜部と、該傾斜部に囲まれる定常部とを有し、前記底部の前記外縁部との境界となる前記傾斜部の外縁線部が、正多角形の各頂点を結んだ線状となって、前記押出し及び押入れの各方向に屈曲可能となり、前記定常部との境界となる前記傾斜部の内縁線部が、前記外縁線部と実質的に平行となって、前記押出し及び押入れの各方向に屈曲可能となり、前記傾斜部には、前記外縁線部の各頂点と前記内縁線部の対応する頂点とを結ぶV字状溝が形成されている構成となる。
このような構成により、底部に形成された可動部の傾斜部の外縁線部と内縁線部とがそれぞれ互いに相似である正多角形の各頂点を結ぶ線状となって、押出し押入れの各方向に屈曲可能となり、前記外縁線部の各頂点と前記内縁線部の対応する頂点との間にV字状溝が形成されているので、傾斜部の外縁線部及び内縁線部の各頂点及びV字状溝によって当該傾斜部の面内で変形する箇所が明確になり、前記傾斜部の外縁線部及び内縁線部にて屈曲して可動部が押出し及び押入れられる際に、該傾斜部が容易に反転動作できるようになる。
また、正多角形の各頂点部に応力が集まり易くなり、折り曲げのきっかけとなって該傾斜部が容易に反転動作できるようになる。
また、本発明に係るプラスチックボトルにおいて、前記胴部から前記底部の外縁部にかけて前記傾斜部の前記外縁線部の各頂点間の辺に向けたカット面が形成された構成とすることができる。
このような構成により、カット面により底部における外縁部の張出しが減るので、前記底部の外縁部との境界となる傾斜部の外縁線部での屈曲をし易くさせることができる。
また、本発明に係るプラスチックボトルにおいて、前記定常部は、前記傾斜部の内縁線部から延びる平坦部と、該平坦部から続く凹部とを有する構成とすることができる。
このような構成により、底部の可動部が押出された状態で、傾斜部の内縁線部から延びる平坦部によって当該プラスチックボトルの自立性を確実に維持することができる。また、その平坦部から続く凹部に棒状の器具を刺して押すことにより傾斜部を反転させて可動部を押入れることができる。
更に、本発明に係るプラスチックボトルにおいて、前記平坦部と前記凹部との境界線部は、前記傾斜部の前記内縁線部と実質的に平行となる構成とすることができる。
このような構成により、傾斜部の外縁線部及び内縁線部に加えて更に平坦部とそれに続く凹部との境界線部が正多角形の各頂点を結んだ線状となるので、当該プラスチックボトルの底部を統一的な形状にて一体的に形成することができる。
本発明に係るプラスチックボトルによれば、傾斜部の外縁線部及び内縁線部の各頂点及びV字状溝によって当該傾斜部の面内で変形する箇所が明確になって、前記傾斜部の外縁線部及び内縁線部にて屈曲して可動部が押出し及び押入れされる際に、該傾斜部が容易に反転動作できるようになるので、傾斜部の外縁線部とともにその内縁線部の径を大きくして可動部が押出された状態での自立性を良好に維持するようにしても、可動部の押出し及び押入れがし難くなることを極力防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
本発明の実施の一形態に係るプラスチックボトルは、図1乃至図4に示すように構成される。なお、図1は、底部に形成された可動部が押出された状態となるプラスチックボトルの一部切欠側面図であり、図2は、底部の可動部が押入られた状態となるプラスチックボトルの一部切欠側面図であり、図3はプラスチックボトルの底面側から見た平面図であり、図4は、プラスチックボトルの底面側から見た斜視図である。
図1乃至図4において、このプラスチックボトル10は、例えば、PETの2軸延伸ブロー成形によって形成され、口部11から順次径が拡がって肩部12、胴部13を経て底部15につながる構造となっている(図1、図2参照)。底部15にはプラスチックボトル10の縦軸方向(図1及び図2における上下方向)において押出し及び押入れ可能となる可動部20が形成されている。可動部20は、底部15の外縁部15aから傾斜して延びる環状の傾斜部21と傾斜部21に囲まれる定常部22とを有している。底部15の外縁部15aとの境界となる傾斜部21の外縁線部211は、プラスチックボトル10の縦軸方向に屈曲可能となっており、定常部22との境界となる傾斜部21の内縁線部212もまたプラスチックボトル10の縦軸方向に屈曲可能となっている。このように傾斜部21の外縁線部211及び内縁線部212のそれぞれが屈曲可能となることにより、傾斜部21がプラスチックボトル10の縦軸方向において反転動作(図1に示す状態と図2に示す状態との間での反転)可能となり、この傾斜部21の反転動作により可動部20が縦軸方向において押出し及び押し入れられるようになる。
定常部22は、傾斜部21の内縁線部212から延び、プラスチックボトル10の縦軸に実質的に直行する面をとなる平坦部22(1)と平坦部22(1)から続く凹部22(2)とを有している。この定常部22は、傾斜部21の前述した反転動作に際してその形状を変えることなく維持するようになっている。
特に図3及び図4を参照するに、傾斜部21の外縁線部211は、正八角形の各頂点25a、25b、25c、25d、25e、25f、25g、25hを結んだ線状となる。各頂点を結ぶ線は、僅かに径方向外方に膨らんだ形状となっている。なお、外縁線部211の形状を決める各頂点25a〜25hを結ぶ線は、直線であっても湾曲した線であっても、その頂点が明確に表れるものであればどちらでもよい。傾斜部21の内縁線部212は、外縁線部211と実施的に平行となる。即ち、内縁線部212もまた正八角形の各頂点26a、26b、26c、26d、26e、26f、26g、26hを結んだ線状となっている。また、傾斜部21には、外縁線部211の各頂点25a〜25h(正八角形の各頂点)と内縁線部212の対応する頂点26a〜26h(正八角形の各頂点)とを結ぶV字状溝27a、27b、27c、27d、27e、27f、27g、27hが形成されている。各V字状溝27a〜27hのV字角度が変化することによって傾斜部21がその面内において変形することができるようになっている。
更に、定常部22において、平坦部22(1)と凹部22(2)との境界線部221は、傾斜部21の内縁線部212と実施的に平行となり、正八角形の各頂点を結ぶ線状となっている。そして、凹部22(2)内には、その正八角形の各頂点から当該凹部22(2)の底に向けて延びるようにV字状溝が形成されている。このV字状溝によって凹部22(2)が補強されている。
更に、プラスチックボトル10の胴部13から底部15の外縁部15aにかけて傾斜部21の外縁線部211の各頂点25a〜25h間の辺に向けてカット面16a、16b、16c、16d、16e、16f、16g、16hが形成されている。各カット面16a〜16hは、胴部13の下方部から底部15の外縁部15aを経て傾斜部21の外縁線部211に至る平面となっている。
前述したようなプラスチックボトル10は、初期状態において、図1及び図4に示すように、傾斜部21が底部15の外縁部15aより突出して可動部20が押出された状態となっている。この状態で、プラスチックボトル10は、定常部22の平坦部22(1)が接地して自立する。この自立したプラスチックボトル20に対して、例えば、高温の茶飲料等の内溶液が充填される。そして、プラスチックボトル20の口部11に蓋を巻締めた後に、内溶液の冷却に伴う減容を補償するために、例えば、凹部22(2)に挿入したロッド棒を押し込むことにより、傾斜部21が図2に示すように反転して、可動部20が押入られた状態となる。これにより、プラスチックボトル10は、減容されてその形状を維持するとともに、底部15の外縁部15aが接地して自立した状態が維持される。
傾斜部21の反転動作においては、傾斜した傾斜部21がその外縁線部211及び内縁線部212が屈曲しつつプラスチックボトル10の内方に押し込まれる際に、傾斜部21の大きさが底部15の外縁部15aによって拘束されることから、各V字状溝27a〜27hが折り畳まれるように変形して傾斜部21がその面内で縮むように変形する。そして、傾斜部21は、その外縁線部211及び内縁線部212が屈曲しつつ底部15の外縁部15aから更に内方に押し込まれると、底部15の外縁部15aによる拘束から開放され、折り畳まれていた各V字状溝27a〜27bが一気に元の状態に拡がって、プラスチックボトル10の内方に反転する。これにより、可動部20が押し入れられた状態となる。
傾斜部21の内縁線部212をプラスチックボトル10の径方向のより外方に位置するようにすることにより、平坦部22(1)の接地径が大きくなって自立性がより良好となる。しかし、傾斜部21の内縁線部212を径方向のより外方に位置するようにすると、内縁線部221の径方向位置と外縁線部211の径方向位置とが近づくことから、傾斜部21の傾斜角度が大きくなる。このように傾斜部21の傾斜角度が大きくなると、傾斜部21を反転させるための角度(図2の実線及び破線で示す可動部20参照)が大きくなってその反転動作がし難くなる。即ち、可動部20の押出し及び押入れがし難くなる。
前述したプラスチックボトル10では、可動部20の傾斜部21の外縁線部211と内縁線部212とがそれぞれ正八角形の各頂点25a〜25h、26a〜26hを結ぶ線状となって、押出し押入れの各方向に屈曲可能となり、外縁線部211の各頂点25a〜25hと内縁線部212の対応する頂点26a〜26hとの間にV字状溝27a〜27hが形成されているので、傾斜部21の外縁線部211及び内縁線部212の各頂点25a〜25h、26a〜26h及びV字状溝27a〜27hによって傾斜部21の面内で変形する箇所が明確になり、傾斜部21の外縁線部211及び内縁線部212にて屈曲して可動部20が押出され及び押し入れられる際に、傾斜部21が容易に反転動作できるようになる。従って、傾斜部21の内縁部212をプラスチックボトル10の径方向のより外方に位置させて自立性をより良好にした場合であっても、可動部20の押出し及び押入れがし難くなることを防止することができる。
また、プラスチックボトル10の胴部13から底部15の外縁部15aにかけて傾斜部21の外縁線部211の各頂点25a〜25h間の辺に向けてカット面16a、16b、16c、16d、16e、16f、16g、16hが形成されている。これら各カット面16a〜16hにより底部15における外縁部15aの張出しが減るので、前記底部15の外縁部15aとの境界となる傾斜部21の外縁線部211での屈曲をし易くさせることができる。
なお、前述した例では、傾斜部21の外縁線部211及び内縁線部212は、正八角形の各頂点25a〜25h、26a〜26hを結んだ線状となっているが、他の正多角形の各頂点を結んだ線状とすることも可能である。また、定常部22における平坦部22(1)と凹部22(2)との間の境界線部221は、正八角形の各頂点を結んだ線状となっているが、定常部22自体は、可動部20の押出し押入れに際して変形しないので、この境界線部221の形状は任意の形状とすることができる。
また、なお、プラスチックボトル10は、可動部20が押出された形態(図1参照)のものを初めからブロー成形によって形成して使い始めてもよいし、可動部20が押戻された形態(図2参照)のものをブロー成形によって予め形成しておき、プラスチックボトル10内方への流体による加圧、または、ブラスチックボトル10内方からロッド棒で可動部20を押出した状態にして使い始めてもよい。
以上、説明したように、本発明に係るプラスチックボトルは、可動部が押出された状態で自立性を良好に維持しつつ当該可動部の押出し及び押出しがし難くなることを極力防止することができるという効果を有し、底部に形成された可動部の押出し及び押戻しによる高さ方向の伸縮によって内容積を変化させることのできるプラスチックボトルとして有用である。
本発明の実施の一形態に係り、底部の可動部が押出された状態のプラスチックボトルを示す一部切り欠き側面図である。 本発明の実施の一形態に係り、底部の可動部が押戻された状態のプラスチックボトルを示す一部切り欠き側面図である。 図1に示すプラスチックボトルの底部を示す平面図である。 図1に示すプラスチックボトルの底部から見た斜視図である。
符号の説明
10 プラスチックボトル
11 口部
12 肩部
13 胴部
15 底部
15a 外縁部
16a〜16h カット面
20 可動部
21 傾斜部
211 外縁線部
212 内縁線部
22 定常部
22(1) 平坦部
22(2) 凹部
221 境界線部
25a〜25h 頂点
26a〜26h 頂点
27a〜27h V字状溝

Claims (4)

  1. 胴部に続いて形成される底部に押出し及び押入れ可能となる可動部の形成されたプラスチックボトルであって、
    前記可動部は、
    前記底部の外縁部から傾斜して延びる環状の傾斜部と、
    該傾斜部に囲まれる定常部とを有し、
    前記底部の前記外縁部との境界となる前記傾斜部の外縁線部が、正多角形の各頂点を結んだ線状となって、前記押出し及び押入れの各方向に屈曲可能となり、
    前記定常部との境界となる前記傾斜部の内縁線部が、前記外縁線部と実質的に平行となって、前記押出し及び押入れの各方向に屈曲可能となり、
    前記傾斜部には、前記外縁線部の各頂点と前記内縁線部の対応する頂点とを結ぶV字状溝が形成されていることを特徴とするプラスチックボトル。
  2. 前記胴部から前記底部の外縁部にかけて前記傾斜部の前記外縁線部の各頂点間の辺に向けたカット面が形成されたことを特徴とする請求項1記載のプラスチックボトル。
  3. 前記定常部は、前記傾斜部の内縁線部から延びる平坦部と、
    該平坦部から続く凹部とを有することを特徴とする請求項1または2記載のプラスチックボトル。
  4. 前記平坦部と前記凹部との境界線部は、前記傾斜部の前記内縁線部と実質的に平行となることを特徴とする請求項3記載のプラスチックボトル。
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