JP4858417B2 - 食品用静菌剤および当該静菌剤を含有する食品 - Google Patents

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Description

本発明は、食品用静菌剤および当該静菌剤を含有する食品に関し、詳しくは、食品の風味に優れ、高温で保存しても耐熱性菌による腐敗を抑制することができる食品用静菌剤および当該静菌剤含有食品に関する。
現在、密封容器に充填されて販売されている食品は、製造してから食されるまでの期間、微生物による変敗が防止できる様に、殺菌・流通されている。しかしながら、食品衛生法で指定された方法で製造流通したとしても、食品によっては混入する耐熱性芽胞菌や耐熱性カビ等によって変敗を生じることがある。また、一般的な商業的滅菌では耐熱性のある芽胞形成捍菌を完全に殺菌することはできない。このため食品中に耐熱性菌が残存した場合、高温で長時間保存しているうちに発芽、増殖して内容物を腐敗させることがある。例えば、自動販売機で保温して販売される飲料などでは、耐熱性菌によるフラットサワー様変敗が起ることが知られている。そこで、このフラットサワー様変敗を起す耐熱性菌に対してショ糖脂肪酸エステルが菌の生育阻止に効果的であることが知られている(特許文献1)。
一方、保存性向上のために添加されるショ糖脂肪酸エステルの食品用静菌性は、例えば、タンパク質、脂肪、澱粉など食品成分に影響を受けることが知られている(特許文献2及び3)。特に、澱粉は食品用静菌剤の構成脂肪酸と強固な複合体を形成する。従って、澱粉類を含有する食品、例えば汁粉飲料やコーンスープ等では十分な静菌性を発揮するには、ショ糖脂肪酸エステル等の添加量を高濃度にする必要があり、その結果、食品用静菌剤特有の苦みやエグミにより食品の風味に影響したりコスト的にも不利である。そこで、アミロペクチン含量99重量%以上の澱粉の使用により、食品用静菌剤の添加量を低減させることを目的とした汁粉飲料の保存性改良方法が提案されている(特許文献4)。しかしながら、この方法では通常の澱粉を使用できないという問題がある。また、他の解決法として、ジグリセリン脂肪酸モノエステル組成物を使用する方法も提案されている(特許文献5)。しかしながら、この場合も、澱粉含有食品には、高濃度で添加する必要があり、その結果、食品用静菌剤特有の苦みやエグミにより食品の風味に影響したりコスト的にも不利である。
特公昭57−26104号公報 特開平11−169113号公報 特開2001−275636号公報 特開平1−174363号公報 特開平8−228735号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、食品の風味に優れ、高温で保存しても耐熱性菌による腐敗を抑制することができる食品用静菌剤および当該静菌剤含有食品を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を行った結果、特定のポリグリセリン脂肪酸ジエステルを有効成分として含む食品用静菌剤を使用することにより、食品の風味を損なうことなく、耐熱性菌による腐敗を抑制できることを見出し、本発明を完成した。更に、澱粉類を含む食品においても、特定のポリグリセリン脂肪酸ジエステルを有効成分として含む食品用静菌剤を使用することにより、食品の風味を損なうことなく、耐熱性菌による腐敗を抑制できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の要旨は、重合度2〜のポリグリセリンとC6〜C12の脂肪酸のエステルとから成り、ポリグリセリン脂肪酸エステルに対するポリグリセリン脂肪酸ジエステルの含量が30重量%以上である、ポリグリセリン脂肪酸ジエステルを有効成分とする食品用静菌剤に存し、本発明の第2の要旨は、重合度6〜15のポリグリセリンとC6〜C12の脂肪酸のエステルとから成り、ポリグリセリン脂肪酸エステルに対するポリグリセリン脂肪酸ジエステルの含量が20重量%以上である、ポリグリセリン脂肪酸ジエステルを有効成分とする食品用静菌剤に存し、他の要旨は、当該静菌剤を含有することを特徴とする食品に存する。
食品用静菌剤特有の苦みやエグミを低減し、風味やコスト的にも有利な食品の提供に寄与する。更に、澱粉類を含有する食品に対しても上記と同様に寄与する。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において食品用静菌剤の有効成分は、重合度2〜15のポリグリセリンとC6〜C12の脂肪酸のエステルから成るポリグリセリン脂肪酸ジエステルである。通常、澱粉は食品用静菌剤の構成脂肪酸と強固な複合体を形成し、静菌力価が約1/10に減少するが、上記のポリグリセリン脂肪酸ジエステルは殆ど変化が無い。その理由の詳細は定かではないが、上記のポリグリセリン脂肪酸ジエステルは澱粉と複合体を形成し難いか或いは形成しないことによるものと推測される。
上記のC6〜C12の脂肪酸の具体例としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸が挙げられる。本発明で使用するポリグリセリン脂肪酸ジエステルは、これらの何れかの単一脂肪酸ジエステルであっても、混合脂肪酸ジエステルであってもよい。
本発明で使用するポリグリセリン脂肪酸エステル中に占めるジエステル含有量は、次の通りである。すなわち、重合度2〜5のポリグリセリン脂肪酸エステルの場合、通常30重量%以上、好ましくは40重量%以上、更に好ましくは50重量%以上である。30重量%未満の場合は、耐熱性芽胞菌胞子の発芽および増殖抑制効果が不十分となり好ましくない。また、重合度6〜15のポリグリセリン脂肪酸エステルの場合、通常20重量%以上、好ましくは25重量%以上、更に好ましくは30重量%以上である。20重量%未満の場合は、耐熱性芽胞菌胞子の発芽および増殖抑制効果が不十分となり好ましくない。
本発明の食品用静菌剤には、その効果を妨げない範囲において、ショ糖脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、トリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、レシチン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドを含有することができる。
更に、カルボキシベタイン型、イミダゾリニウム型、スルホベタイン型、アミノ酸系界面活性剤などの安全性の高い界面活性剤などの乳化剤;カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、グアーガム、タラガム、タマリンドガム、キトサン、マクロホモプシスガム、アラビアガム、ペクチン、ローカストビーンガム、プルラン、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、大豆タンパク質、グルテン等の天然増粘安定剤;メチルセルロース、カゼインナトリウム、ポリアクリル酸などの合成増粘安定剤;乳清タンパク質濃縮物、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の高分子化合物およびその分解物;アスパラギン、アスパラギン酸、アルギニン、アルギングルタミン酸塩、イソロイシン、グルタミン、グルタミン酸、グルタミン酸カリウム等のアミノ酸およびその塩類;リン酸、メタリン酸、ポリリン酸、ピロリン酸などのリン酸類およびその塩類;しらこたんぱく抽出物、ホオノキ抽出物、タデ抽出物、ローズマリー抽出物、クローブ抽出物などの動・植物由来の抽出物;大豆多糖類、乳糖、ミネラル類、ビタミン類、糖アルコール類、香料、着色料、甘味料、調味料、保湿剤、殺菌剤、酵素、抗炎症剤などを含有することができる。
本発明において、澱粉とは、植物の栄養貯蔵物質として、種子、根茎、塊根、球根などに含まれる、ブドウ糖が長鎖状につながったアミロースと、ブドウ糖が分岐しながら長鎖状につながったアミロペクチンから構成される炭水化物をいう。また、本発明で言う澱粉は、特に食用に使用されるものであれば、その種類に制限はなく、例えば、トウモロコシ、モチトウモロコシ、馬鈴薯、甘藷、小麦、米、餅米、タピオカ、サゴヤシ等由来の澱粉;これらに物理的または化学的処理を施した加工澱粉(酸分解澱粉、酸化澱粉、α化澱粉、グラフト化澱粉、カルボキシメチル基、ヒドロキシアルキル基などを導入したエーテル化澱粉、2カ所以上の澱粉の水酸基間に多官機能基を結合させた架橋澱粉、湿熱処理澱粉など)を挙げることができる。
本発明において、澱粉含有食品としては、特に制限されないが、原料食品中の澱粉類の含有量は通常0.01〜95重量%である。斯かる澱粉含有食品の具体例としては、うどん、そば、焼きそば等の麺類;卵サンド、ハムサンド等のサンドイッチ類;赤飯むすび、鮭おむすび、梅入りおむすび等のおむすび類;レトルト米飯、粥などの穀類;もち類;葛きり、はるさめ等の澱粉類;小豆あん、うずら豆あん、あずき餡、月餅等の餡類;豆腐、厚揚げ、いなり等の豆腐加工食品類;おでん、野菜の煮物等の煮物類;柴漬け、梅干し、たくあん、浅漬け、キムチ等の漬物類;イチゴジャム、マーマレード等のジャム類;イカ佃煮、のり佃煮等の佃煮類;みりん干し、一夜干し等の水産加工品;蒲鉾、竹輪、はんぺん等の水産練り製品;プロセスチーズ、ホイップクリーム、コーヒーホワイトナー等の乳類;ファットスプレッド、マーガリン等の油脂類;ういろう、カステラ、草もち、タルト、あんまん、せんべい、スポンジケーキ、マドレーヌ、蒸しパン、あんパン、クリームパン、ホットケーキ、ドーナツ、パイ、シュークリーム等の菓子類;アイスクリーム、プリン、ババロア、ヨーグルト、フルーツゼリー、杏仁豆腐などのデザート類;無糖コーヒー、ミルクコーヒー、カフェオレ、コーヒー牛乳などのコーヒー飲料;ミルクティー、紅茶、ストレートティー、レモンティー等の紅茶飲料;緑茶、ウーロン茶、ブレンド茶などの茶系飲料;牛乳、ミルクセーキ等の乳飲料;ココア、ホットチョコレート等のカカオ飲料;しるこ、甘酒、飴湯、しょうが湯の飲料などのpHが5以上の中性飲料;果汁飲料;炭酸飲料;酸性乳飲料などのpHが5未満の酸性飲料;コーンポタージュやポテトスープ等のスープ類;調味みそ、ごまだれ、ドレッシング、ソース、ホワイトソース、マヨネーズ、たれ等の調味料類;しゅうまい、ぎょうざ、えびフライ、コロッケ等の調理加工食品類が挙げられる。
特に、本発明の食品用静菌剤は、おむすび類、米飯・粥などの穀類、餡類、ジャム類、水産練り物、菓子類、デザート類、ココア・ホットチョコレート等のカカオ飲料、しるこ・甘酒などの中性飲料、スープ類などのデンプンを多く含有する食品に対して優れた静菌効果を奏する。
本発明の食品用静菌剤は、加工食品の保存中に増殖する耐熱性菌に対して抗菌性を発揮する。ここで、耐熱性菌とは、食品のpH低下、異臭の発生、外観、容器の形状を変化させる腐敗菌を指し、一般的な加熱処理(80℃20分)では死滅しない菌である。具体的には、ゲオバチルス属(Geobacillus stearothermophilus)、バチルス属(Bacillus coagulans等)、ムーレラ属(Moorella thermoacetica)、サーモアナエロバクター属(Thermoanaerobacter mathranii、T.thermohydrosulfricus等)、クロストリジウム属(Clostridium.sporogenes等)、アリサイクロバチルス属(Alicyclobacillusacidocaldarius等)の耐熱性有芽胞菌を言う。
なお、本発明の食品用静菌剤は、食品全量中に、通常0.0001〜1重量%、好ましくは0.003〜0.5重量%、特に好ましくは0.005〜0.3重量%の割合で配合される。配合量が0.0001重量%未満の場合は変敗を防ぐ十分な効果が得られず、1重量%を超える場合は味が悪くなる。
本発明の食品用静菌剤の食品への添加方法は、一般的に食品用静菌剤が利用されている方法であればよく、食品に食品用静菌剤を所定量配合して攪拌した後、公知の方法により、当該食品を気密容器に充填して加熱処理する。気密容器としては、一般に使用されているものであれば何でもよく、例えば、レトルトパウチ、缶などが挙げられる。また、加熱処理も通常の殺菌装置であればよい。レトルト装置の場合は、例えば、100〜140℃で10〜120分間、特に110〜130℃で20〜40分間の条件で行うのが好ましい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、重合度2〜5のポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル比率はGPC分析によって決定した。装置は、東ソー株式会社製の「HLC−8220GPC」を使用した。カラムは「TSK GEL G2500HXL」(7.8mmID×30cm)を4本繋ぎ、リファレンスには「GRCXLH」(7.8mmID×30cm)を2本繋ぎ、ガードカラムには、「TSKguardcolunm」(6.0mmID×4.0cm)を1本使用した。35℃において、溶離液のTHF0.8mL/minで展開した。RI検出を行った。
また、重合度6〜15のポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル比率は、予めピリジンと無水酢酸によりアセチル化処理をしたサンプルを使用しLC分析によって決定した。装置は、株式会社島津製作所製の「LC−10A」を使用した。カラムは「Asahi pak ODS」(6×150mm)を使用した。溶離液にはHO/(MeOH : THF=1:2)をグラージェント有りで0.7mL/minで展開した。検出器はELSD(エバポレーティブライトスパッタリングディテクタ)125℃N255mm(ゲージ)を使用した。
(1)ジグリセリンカプリル酸エステル組成物(実施例1で使用)の調製:
ジグリセリン(水酸基価1293mgKOH/g、平均重合度2.25)100重量部とカプリル酸148重量部とを、加熱ジャケット及び撹拌機を備えた反応器に仕込んだ。これに25重量%水酸化ナトリウム水溶液0.106重量部を添加した後、窒素気流下で撹拌しながら、220℃に昇温して5時間反応させた。次いで、240℃に昇温して更に3時間反応させ、ジグリセリンカプリル酸エステル組成物(酸価0.81mgKOH/g)220重量部を得た。得られたジグリセリンカプリル酸エステル組成物のエステル比率は、モノ:23%、ジ:40%、トリ:27%、その他10%であった。
(2)ジグリセリンカプリル酸ジエステル(実施例2で使用)及びジグリセリンカプリル酸トリエステル(比較例1で使用)の調製:
上記(1)で得られたジグリセリンカプリル酸エステル組成物を順相系シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、ジグリセリンカプリル酸ジエステル、ジグリセリンカプリル酸トリエステルをそれぞれ分取した。操作は以下のように行った。
(i)シリカゲル(シリカゲル60N(球状、中性)63〜210μm:関東化学)200mlをコック付クロマト管(Ф=4cm、L=50cm)に充填した後、ヘキサン:酢酸エチル(1:1)溶液、約800mlを流し、気泡を除去してシリカゲルカラム管を作成する。
(ii)カラム内部の溶媒がシリカゲル表面まできたところでコックを閉め、ジグリセリンエステル組成物4.65gをカラム管上部からカラム管の壁をつたうようにゆっくりと入れる。投入後、カラム壁は前項の溶媒にて洗い流す。コックを開け、溶媒を自然滴下させ投入した試料がシリカゲルにしみ込んだらコックを止め、ヘキサン:酢酸エチル(1:1)溶液でカラム管内を満たす。
(iii)T字管をつけたシリコンゴム栓をカラム管上部につけ、コックを開けたあと一端につけた二連球にて加圧し、100mlごとに分取する。カラム管内の溶媒が減ってきたらコックを閉め、脱圧後、混合溶液を追加し、同様の操作で分取を続ける。
(iv)分取したフラクションをシリカゲルTLCプレート(MERCK社製「Silic gel 60F254」)を使用し、ヘキサン:酢酸エチル(1:8)を展開溶媒として常法にて分析をする。
(v)各フラクションを集め、ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を留去し、ジグリセリンカプリル酸ジエステル(含量:98%)、ジグリセリンカプリル酸トリエステル(含量:70%)を得た。
(3)トリグリセリンカプリル酸エステル組成物(実施例3で使用)の調製:
トリグリセリン(水酸基価1122mgKOH/g、平均重合度3.42)125重量部とカプリル酸144重量部とを、加熱ジャケット及び撹拌機を備えた反応器に仕込んだ。これに25重量%水酸化ナトリウム水溶液0.108重量部を添加した後、窒素気流下で撹拌しながら、220℃に昇温して5時間反応させた。次いで、240℃に昇温して更に3時間反応させ、トリグリセリンカプリル酸エステル組成物(酸価0.34mgKOH/g)240重量部を得た。得られたトリグリセリンカプリル酸エステル組成物のエステル比率は、モノ:25%、ジ:33%、トリ:24%、その他18%であった。
(4)トリグリセリンカプリル酸モノエステル(比較例2で使用)、トリグリセリンカプリル酸ジエステル(実施例4で使用)及びトリグリセリンカプリル酸トリエステル(比較例3で使用)の調製:
上記(3)で得られたトリグリセリンカプリル酸エステル組成物を順相系シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、ジグリセリンカプリル酸モノエステル、ジグリセリンカプリル酸ジエステル、ジグリセリンカプリル酸トリエステルをそれぞれ分取した。操作は以下のように行った。
(i)シリカゲル(シリカゲル60N(球状、中性)63〜210μm:関東化学)200mlをコック付クロマト管(Ф=4cm、L=50cm)に充填した後、ヘキサン:酢酸エチル(1:2)溶液、約800mlを流し、気泡を除去してシリカゲルカラム管を作成する。
(ii)カラム内部の溶媒がシリカゲル表面まできたところでコックを閉め、トリグリセリンエステル組成物6.9gをカラム管上部からカラム管の壁をつたうようにゆっくりと入れる。投入後、カラム壁は前項の溶媒にて洗い流す。コックを開け、溶媒を自然滴下させ投入した試料がシリカゲルにしみ込んだらコックを止め、ヘキサン:酢酸エチル(1:2)溶液でカラム管内を満たす。
(iii)T字管をつけたシリコンゴム栓をカラム管上部につけ、コックを開けたあとT字管の一端につけた二連球にて加圧し、100mlごとに分取する。カラム管内の溶媒が減ってきたらコックを閉め、脱圧後、混合溶液を追加し、同様の操作で分取を続ける。また、追加する溶媒の混合比率を徐々に酢酸エチル側(例えばヘキサン:酢酸エチル=1:4等)に変えていくと効率の良い分取が出来る。
(iv)分取したフラクションをシリカゲルTLCプレート(MERCK社製「Silic gel 60F254」)を使用し、酢酸エチルを展開溶媒として常法にて分析をする。
(v)各フラクションを集め、ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を留去し、トリグリセリンカプリル酸モノエステル(含量:88%)、トリグリセリンカプリル酸ジエステル(含量:92%)、トリグリセリンカプリル酸トリエステル(含量:90%)を得た。
(5)デカグリセリンカプリル酸エステル組成物(実施例5で使用)の調製:
デカグリセリン(水酸基価883mgKOH/g、平均重合度10.43)1140重量部とカプリル酸420重量部とを、加熱ジャケット及び撹拌機を備えた反応器に仕込んだ。これに25重量%水酸化ナトリウム水溶液0.780重量部を添加した後、窒素気流下で撹拌しながら、220℃に昇温して5時間反応させた。次いで、240℃に昇温して更に3時間反応させ、デカグリセリンカプリル酸エステル組成物(酸価0.5mgKOH/g)1500重量部を得た。得られたデカグリセリンカプリル酸エステル組成物のエステル比率は、モノ:23%、ジ:24%、トリ:22%、その他31%であった。
(6)ジグリセリンパルミチン酸モノエステル(比較例4で使用):
ジグリセリンパルミチン酸モノエステルとしては理研ビタミン株式会社の商品「ポエムDP−95RF」を使用した。
(7)トリグリセリンパルミチン酸モノエステル(比較例5で使用):
トリグリセリンパルミチン酸モノエステルとしては理研ビタミン株式会社の商品「ポエムTRP−97RF」を使用した。
(8)ショ糖パルミチン酸エステル(比較例6で使用):
ショ糖パルミチン酸エステルとしては三菱化学フーズ株式会社の商品「リョートーシュガーエステルP−1670」を使用した。
実施例1〜5および比較例1〜3:
<培地での静菌試験>
表1および2に示す、実施例1〜5および比較例1〜3の食品用静菌剤、供試菌を使用し、嫌気性菌用培地変法TGC(日水製薬社製)に食品用静菌剤を加え、供試菌(10個/g)を表2中に記載の温度で嫌気培養し、微生物の発育を観察し、有効静菌濃度結果を表3に示した。
Figure 0004858417
Figure 0004858417
Figure 0004858417
表3より、何れの供試菌に対してもポリグリセリン脂肪酸ジエステルの静菌効果が格段に高いことが明らかである。
<コーンスターチ系での静菌試験>
表1に示す実施例1〜5及び比較例4〜6の食品用静菌剤と表2に示す供試菌1とを使用し、コーンスターチ系での静菌試験を行った。すなわち、コーンスターチ1.5%を含有する嫌気性菌用培地変法TGC(日水製薬社製)に食品用静菌剤を加え、供試菌(10個/g)を表2中に記載の温度で培養し、微生物の発育を観察し、有効静菌濃度結果を表4に示した。
Figure 0004858417
表4より、コンスターチ(澱粉)添加の系において、ポリグリセリン脂肪酸ジエステルの静菌効果が格段に高いことが明らかである。

Claims (7)

  1. 重合度2〜のポリグリセリンとC6〜C12の脂肪酸のエステルとから成り、ポリグリセリン脂肪酸エステルに対するポリグリセリン脂肪酸ジエステルの含量が30重量%以上である、ポリグリセリン脂肪酸ジエステルを有効成分とする食品用静菌剤。
  2. 重合度〜15のポリグリセリンとC6〜C12の脂肪酸のエステルとから成り、ポリグリセリン脂肪酸エステルに対するポリグリセリン脂肪酸ジエステルの含量が20重量%以上である、ポリグリセリン脂肪酸ジエステルを有効成分とする食品用静菌剤。
  3. 食品用静菌剤が澱粉含有食品用静菌剤である請求項1又は2に記載の食品用静菌剤。
  4. 澱粉を0.01〜95重量%含有する食品用である請求項に記載の食品用静菌剤。
  5. 請求項1〜の何れかに記載の食品用静菌剤を含有することを特徴とする食品。
  6. 食品用静菌剤の含有量が0.0001〜1重量%である請求項に記載の食品。
  7. 食品が澱粉含有食品である請求項5又は6に記載の食品。
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