図2は、本発明に係るケーブル用コネクタの第1実施例の外観を示す。
図2において、ケーブル用コネクタは、例えば、電子機器内に装備される電装品と所定のプリント配線基板とをケーブルを介して電気的に接続するものとされる。
ケーブル用コネクタは、ケーブルとしてのフレキシブル配線基板(FPC)18の他端に接続されている。各信号群を双方向に伝送するフレキシブル配線基板(FPC)18の一端は、電装品の接続端子部(不図示)に接続されている。
ケーブル用コネクタは、フレキシブル配線基板18の他端に接続され、フレキシブル配線基板18の他端が着脱可能に接続されるケーブル収容部14Aを有するコネクタ本体部14と、フレキシブル配線基板18の他端を信号入出力部としてのプリント配線基板PB(図6参照)に電気的に接続する複数のコンタクト端子16ai(i=1〜n,nは正の整数)と、固定端子付アクチュエータ部材10と、を含んで構成されている。
上述のフレキシブル配線基板18は、例えば、YFLEX(登録商標)とされ、図4に示されるように、保護層に覆われた複数の導電層が絶縁性基材上の一方の表層部に形成される構成とされる。絶縁性基材は、例えば、厚さ50μm程度の液晶ポリマー、ガラスエポキシ樹脂、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、あるいは、ポリエーテルイミド(PEI)で成形されている。保護層は、例えば、熱硬化型のレジスト層、あるいは、ポリイミドフィルムにより形成されている。なお、フレキシブル配線基板18の両端部の構造は、それぞれ、互いに同一の構造を有するので一方の端部についてのみ説明し、他方の端部についての説明を省略する。
複数の導電層は、例えば、銅合金の層で絶縁性基材の一方の表層部18SAに形成され、複数の信号ライン群をフレキシブル配線基板18の幅方向に沿って所定の間隔で互いに平行に有している。複数の導電層の一方の端部には、図4に拡大されて示されるように、各導電層に対応してコンタクトパッド群18ai(i=1〜n,nは正の整数)が形成されている。コンタクトパッド群18aiを構成する各コンタクトパッドは、後述するコンタクト端子16aiの配列に対応して二列で形成されている。各列のコンタクトパッドは、フレキシブル配線基板18の幅方向に沿って所定の間隔で互いに平行に形成されている。また、隣接する各列におけるコンタクトパッドは、互いに向き合っている。
なお、コンタクトパッド群18aiを構成する各コンタクトパッドの配列は、斯かる例に限られることなく、例えば、千鳥掛け状に配列されるコンタクト端子の配列に対応して千鳥掛け状に形成されてもよい。
絶縁性基材の他方の表層部18SBにおけるコンタクトパッド群18aiに対向する部分には、所定の大きさの裏板18Bが接合されている。裏板18Bにおいてコンタクトパッド群18aiにおける一方のコンタクトパッド列の両端近傍には、それぞれ、後述するケーブル収容部14A内の切欠部14Cの周縁に係止される被係止部18bが一体に一対向かい合って形成されている。各被係止部18bは、外方に向けて突出している。
さらに、裏板18Bの表面には、上述の複数の導電層のうちの接地ラインにバンプを介して接続されるグランド層18Gが上述のコンタクトパッド列に向き合って形成されている。
コネクタ本体部14は、厚さ約1.2mm程度に、樹脂材料で成形され、その略中央部にケーブル収容部14Aと、ケーブル収容部14Aの両脇に形成され固定端子付アクチュエータ部材10の各脚部をそれぞれ内側に収容し支持する一対のアクチュエータ支持部14SAと、ロック/アンロック部材12Rおよび12Lをそれぞれ内側に収容し固定するスリット部14SDと、を備えている。
スリット部14SDは、一対のアクチュエータ支持部14SAと各側壁の外周部との間の部分にそれぞれ形成されている。スリット部14SDの開口端近傍は、図15に拡大されて示されるように、ケーブル収容部14Aから離隔する方向に所定の勾配で傾斜するように形成されている。これにより、傾斜面14rがスリット部14SDの開口端近傍の一部に形成されている。
後述する固定端子付アクチュエータ部材10の押圧部を選択的にロック状態とするロック/アンロック部材12Rおよび12Lは、図7に拡大されて示されるように、それぞれ、互いに点対称となるような形状に形成されている。
ロック/アンロック部材12Rおよび12Lは、それぞれ、例えば、薄鋼板で作られ、板厚さ方向に屈曲した係止部12Rs、12Lsを一端部に有している。係止部12Rs、および、12Lsは、それぞれ、互いに向き合った位置でお互いに対して所定長さ突出し形成されている。ロック/アンロック部材12Rおよび12Lの他端部12fは、それぞれ、図7において斜線部分がスリット部14SD内に嵌合される。これにより、ロック/アンロック部材12Rおよび12Lがスリット部14SD内に固定される。
また、ロック/アンロック部材12Rおよび12Lにおけるスリット部14SDの開口端から突出した部分は、図13および図15に示される矢印の示す方向に押圧されることにより、弾性変位可能とされ、一方、その押圧力が解放されるとき、その復元力により、その突出した部分が初期位置に戻される。
コネクタ本体部14のケーブル収容部14Aは、図7に拡大されて示されるように、フレキシブル配線基板18の接続端が着脱可能となるように、前方および上方が開口している。ケーブル収容部14Aの底部を形成する底壁部には、図6に拡大されて示されるように、コンタクト端子16aiが圧入される溝14sai(i=1〜n,nは正の整数)がフレキシブル配線基板18の接続端の着脱方向に対し略直交する方向に所定の間隔で形成されている。各溝14saiは、背面部に向かって延在しケーブル収容部14Aを貫通している。隣接する溝14saiの相互間は、隔壁14wi(i=1〜n,nは正の整数)により仕切られている。各溝14saiには、向かい合って2本のコンタクト端子16aiの可動端子部および固定端子部が圧入されている。
薄板金属材料で作られるコンタクト端子16aiは、二股状に分岐して形成される可動端子部および固定端子部と、可動端子部および固定端子部を連結する固定部とからなる。
弾性変位可能な可動端子部は、フレキシブル配線基板18の接続端に形成されるコンタクトパッド18aiに当接する接点部16Cを先端に有している。その固定部は、プリント配線基板PBの導体に半田付け固定されている。
コンタクト端子16aiの配列の両端にそれぞれ隣接した位置には、挿入されるフレキシブル配線基板18の接続端をコンタクト端子16aiの接点部16Cに対し案内し位置決めする案内壁14LWおよび14LP、14RWおよび14RPが形成されている。案内壁14LWおよび14LP相互間には、フレキシブル配線基板18の一方の被係止部18bが挿入される切欠部14Cが形成されている。また、案内壁14RWおよび14RP相互間にも、フレキシブル配線基板18の他方の被係止部18bが挿入される切欠部14Cが形成されている。さらに、案内壁14LWおよび案内壁14RWと両端に位置する溝14saiとの間には、挿入されるフレキシブル配線基板18の接続端の端面が当接される位置決め壁14Eが形成されている。
これにより、図10に部分的に拡大されて示されるように、挿入されるフレキシブル配線基板18およびその被係止部18bが案内壁14LWおよび14LP、14RWおよび14RP、位置決め壁14Eによって、その着脱方向に沿って位置規制されることとなる。
固定端子付アクチュエータ部材10は、図1に拡大されて示されるように、導電性材料、例えば、薄板金属材料でプレス加工により一体に成形され、押圧操作される押圧部10Pと、押圧部10Pの両脇に連なり押圧部10Pを弾性変位可能に支持する一対の脚部とから構成されている。
押圧部10Pは、図2および図3に拡大されて示されるように、フレキシブル配線基板18の接続端の幅よりも大なる幅を有している。押圧部10Pの内面における略中央部には、略長方形の押圧面部10Dが隆起して形成されている。押圧面部10Dよりも前端側部分には、押圧面部10Dの長辺の寸法よりも大なる寸法で離隔した一対の孔10bが形成されている。固定端子付アクチュエータ部材10がロック状態の場合、各孔10bには、図2に拡大されて示されるように、それぞれ、上述の案内壁14RPおよび14LPが挿入される。また、各孔10bに隣接した押圧部10Pの両側面部には、それぞれ、図13に部分的に拡大されて示されるように、固定端子付アクチュエータ部材10がロック状態に移行する場合、上述のロック/アンロック部材12Rおよび12Lの係止部12Rs,12Lsに係合される所定の案内面10Eが形成されている。固定端子付アクチュエータ部材10がコネクタ本体部14に装着される場合、押圧部10Pの後端近傍の一部は、図6、図11(A),(B)に拡大されて示されるように、コネクタ本体部14の上壁14TWの端部における内側の窪み内に挿入されている。これにより、押圧部10Pの後端近傍の外面は、その窪みの周縁14tpに当接している。その際、周縁14tpは、押圧部10Pが押圧操作される場合、押圧部10Pにおける支点となる。
一対の脚部の一端は、それぞれ、押圧部10Pの押圧面部10Dの両脇に形成されている。各脚部の一端と押圧面部10Dの短辺側の端との間には、所定の長さの切欠部10Kが形成されている。押圧部10Pが押圧操作され、所定の位置まで押し下げられる場合、切欠部10Kには、上述の案内壁14RW,14LWの端部が挿入される。
一対の脚部は、互いに同一の構造を有するので図1における右側の脚部について説明し、左側の脚部についての説明を省略する。右側の脚部は、他端に形成されコネクタ本体部14のアクチュエータ支持部14SAに圧入される固定部10Rfと、押圧部10Pの押圧面部10Dの両脇に形成される可動片部10Rsと、固定部10Rfと可動片部10Rsとを連結する湾曲部10Rbとから構成される。
固定部10Rfは、その端部にプリント配線基板PBの導体に固定される半田付け固定端子部を有している。可動片部10Rsと湾曲部10Rbとの間の部分10F(図1において斜線が施される部分)は、アクチュエータ支持部14SAの上壁の内面に当接している。可動片部10Rsは、図8に拡大されて示されるように、部分10Fに対して所定の角度をなして形成されている。その所定の角度は、図8において、例えば、部分10Fと可動片部10Rsとの境界部分の位置P1に接する所定の曲率半径を有する円Rbと、位置P1から所定距離、離隔した位置P3に接し、円Rbよりも大なる曲率半径を有する円Raとの共通接線により設定されている。
このように切欠部10Kおよび可動片部10Rsが所定長さに設定される効果により、押圧部10Pが押圧操作される場合、位置P1よりも上述の位置P3により近い押圧部10Pの回転支点の位置P2が動かないように抑制される。即ち、押圧部10Pの先端部がその下方のコンタクト端子16aiが配列される面に対し略垂直となるように下降せしめられるので押圧時、湾曲部10Rbがアクチュエータ支持部14SAの底部に対し浮き上がることによって、押圧部10Pが前方方向へ移動する量が最小限に抑えられる。従って、押圧部10Pの後端が、周縁14tpから離脱する虞がない。
また、所定の長さの切欠部10Kが設けられているので押圧部10Pが押圧操作された後、押圧操作が解放されるとき、切欠部10Kが設けられていない場合に比して可動片部10Rsが塑性変形し難い、その結果、押圧部10Pが可動片部10Rsの復元力により確実に初期の状態に戻されることとなる。しかも、固定端子付アクチュエータ部材10をより小型化できるのでケーブル用コネクタの低背化にも繋がることとなる。その際、可動片部10Rsは、部分10Fに対して所定の円弧を介して角度をなして形成されているので押圧部10Pの後端がフレキシブル配線基板18の接続端に対し突き出る事態が回避され、従って、押圧部10Pの押圧面部10がコンタクト端子16aiが配列される面に対し略平行となるようにフレキシブル配線基板18の接続端が押圧されることとなる。
さらに、押圧面部10Dが、従来のアクチュエータのように作業者の指等がその下方にあるコンタクト端子の接点部に接触可能となるまで回動しないので例えば、固定端子付アクチュエータ部材10の脚部の湾曲部10Rbをアクチュエータ支持部14SA内に挿入する場合、あるいは、押圧部10Pが操作される場合であっても、押圧面部10Dが常にコンタクト端子16aiの接点部16Cに対し対向し、誤って、作業者の指等がコンタクト端子16aiの接点部、または、押圧面部10Dに触れることがなく、その結果、押圧面部10Dまたは接点部が汚損され、あるいは、それらの接点部が短絡する虞もない。
斯かる構成において、フレキシブル配線基板18の接続端をコネクタ本体部14のケーブル収容部14A内に接続する場合、図11(A)に示されるように、固定端子付アクチュエータ部材10がアンロック状態とされるもとで、フレキシブル配線基板18の表層部18SBにおけるコンタクトパッド群18aiをコンタクト端子16ai向けて矢印の示す方向に沿って接続端がケーブル収容部14A内に図11(B)に示されるように、挿入される。
次に、図3、図9、および図10に示されるように、フレキシブル配線基板18の被係止部18bが切欠部14Cに挿入され案内壁14RPおよび14LPに係止された後、図12および図13に示されるように、固定端子付アクチュエータ部材10の押圧部10Pが下方に向けて押圧される。これにより、その案内面10Eによって、図13における矢印の示す方向に、即ち、ロック/アンロック部材12Rおよび12Lの係止部12Rsおよび12Lsが互いに離隔する方向に押圧される。従って、ロック/アンロック部材12Rおよび12Lは、一旦、アンロック状態となる。
そして、さらに押圧部10Pが下方に向けて押圧されることにより、ロック/アンロック部材12Rおよび12Lは、その復元力により矢印の示す方向とは反対方向に向けて戻され、図2および図5に示されるように、ロック状態となる。その際、押圧部10Pの押圧面部10Dがフレキシブル配線基板18におけるグランド層18Gに当接するのでグランド層18Gが確実に半田付け固定端子部を通じて接地され、その結果、ノイズ等が固定部10Rfにおけるプリント配線基板PBの導体に固定される半田付け固定端子部を通じて除去されることとなる。
一方、フレキシブル配線基板18の接続端をコネクタ本体部14のケーブル収容部14A内から取り外す場合、図14および図15に示されるように、ロック/アンロック部材12Rおよび12Lの係止部12Rsおよび12Lsが互いに離隔する方向に、弾性力に抗して押圧操作され、アンロック状態とされる。これにより、固定端子付アクチュエータ部材10の押圧部10Pが、可動片部10Rs,10Lsの弾性力により、図3に示されるように、自動的に容易に復帰し、フレキシブル配線基板18の接続端が取り出し可能とされる。
従って、固定端子付アクチュエータ部材10がロック状態およびアンロック状態であっても、固定端子付アクチュエータ部材10に帯電した静電気等は、固定部10Rfにおけるプリント配線基板PBの導体に固定される半田付け固定端子部を通じて除去されることとなる。
図16は、本発明に係るケーブル用コネクタの第2実施例の外観を示す。
図2に示される第1実施例におけるフレキシブル配線基板18は、二層構造において、一方の表層部にグランド層18Gを有するものとされるが、一方、図16に示されるフレキシブル配線基板18’は、二層構造において、一方の表層部に、信号ラインおよび接地ラインを形成する複数の導電層を有するものとされる。
その複数の導電層は、例えば、銅合金の層で絶縁性基材の一方の表層部に形成され、複数の信号ライン群をフレキシブル配線基板18’の幅方向に沿って所定の間隔で互いに平行に有している。フレキシブル配線基板18’の幅方向に沿った双方の最端部にそれぞれ、接地ラインが形成され、また、それ以外の部分においては、2本の接地ラインが、例えば、2本の信号ラインに隣接して、その2本の信号ラインをまとめて挟むように略平行に形成されている。従って、所定数の各接地ラインが、2本の信号ラインを隔てて形成されることとなる。
複数の導電層の一方の端部には、各導電層に対応して複数のコンタクトパッド群が形成されている。そのコンタクトパッド群を構成する各コンタクトパッドは、後述するコンタクト端子26ai、28aiの配列に対応して二列で形成されている。各列のコンタクトパッドは、フレキシブル配線基板18’の幅方向に沿って所定の間隔で互いに平行に形成されている。また、隣接する各列におけるコンタクトパッドは、互いに向き合っている。
フレキシブル配線基板18’を構成する絶縁性基材の他方の表層部におけるコンタクトパッド群に対向する部分には、所定の大きさの裏板が接合されている。その裏板においてコンタクトパッド群における一方のコンタクトパッド列の両端近傍には、それぞれ、上述のフレキシブル配線基板18の被係止部18bと同様な被係止部が一体に一対向かい合って形成されている。その各被係止部は、外方に向けて突出している。
なお、図16乃至図21においては、図2に示される例において同一とされる構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
ケーブル用コネクタは、フレキシブル配線基板18’の他端に接続され、フレキシブル配線基板18’の他端が着脱可能に接続されるケーブル収容部24Aを有するコネクタ本体部24と、フレキシブル配線基板18’の他端を信号入出力部としてのプリント配線基板PB(図19参照)に電気的に接続する複数のコンタクト端子26ai、28ai(i=1〜n,nは正の整数)と、固定端子付アクチュエータ部材10と、を含んで構成されている。
コネクタ本体部24は、樹脂材料で成形され、その略中央部にケーブル収容部24A(図19参照)と、ケーブル収容部24Aの両脇に形成され固定端子付アクチュエータ部材10の各脚部をそれぞれ内側に収容し支持する一対のアクチュエータ支持部と、ロック/アンロック部材12Rおよび12Lをそれぞれ内側に収容し固定するスリット部24SDと、を備えている。
スリット部24SDは、上述の一対のアクチュエータ支持部と各側壁の外周部との間の部分にそれぞれ形成されている。スリット部24SDの開口端近傍は、図17に拡大されて示されるように、ケーブル収容部24Aから離隔する方向に所定の勾配で傾斜するように形成されている。これにより、傾斜面24rがスリット部24SDの開口端近傍の一部に形成されている。
コネクタ本体部24のケーブル収容部24Aは、図18に拡大されて示されるように、フレキシブル配線基板18’の接続端が着脱可能となるように、前方および上方が開口している。ケーブル収容部24Aの底部を形成する底壁部には、図19に拡大されて示されるように、コンタクト端子26aiおよび28aiが圧入される溝24sai(i=1〜n,nは正の整数)がフレキシブル配線基板18’の接続端の着脱方向に対し略直交する方向に所定の間隔で形成されている。各溝24saiは、背面部に向かって延在しケーブル収容部24Aを貫通している。これにより、各溝24saiは、図16に拡大されて示されるように、背面部に形成される大小の各スリットに連通する。
隣接する溝24saiの相互間は、隔壁24wi(i=1〜n,nは正の整数)により仕切られている。各溝24saiには、向かい合って2本のコンタクト端子26ai、または、コンタクト端子26aiおよびコンタクト端子28aiの可動端子部および固定端子部が圧入されている。
コンタクト端子28aiは、図16に拡大されて示されるように、2本のコンタクト端子26aiをまとめて挟むように所定の間隔で配されている。即ち、コンタクト端子28aiは、複数のコンタクト端子26aiの配列を2本のコンタクト端子26aiごとに仕切るように配置されている。
薄板金属材料で作られるコンタクト端子26aiは、二股状に分岐して形成される可動端子部および固定端子部26Fと、可動端子部および固定端子部26Fを連結する固定部とからなる。
弾性変位可能な可動端子部は、フレキシブル配線基板18’の接続端に形成されるコンタクトパッド(不図示)に当接する接点部26Cを先端に有している。その固定部は、プリント配線基板PBの導体に半田付け固定されている。
薄板金属材料で作られるコンタクト端子28aiは、三又状に分岐して形成される可動端子部28K、接地用端子28Eおよび固定端子部28Fと、可動端子部28K、接地用端子28Eおよび固定端子部28Fを連結する固定部とからなる。
弾性変位可能な可動端子部28Kは、フレキシブル配線基板18’の接続端に形成されるコンタクトパッド(不図示)に当接する接点部28Cを先端に有している。可動端子部28Kに対し略平行となるようにその上方に形成される接地用端子28Eの先端部は、常に、固定端子付アクチュエータ部材10の押圧部10Pにおける基端部に当接している。接地用端子28Eにおける基端からその先端部までの長さは、可動端子部28Kにおける対応する長さに比して小に設定されている。
コンタクト端子28aiの固定部は、プリント配線基板PBの導体に半田付け固定されている。
両端に位置するコンタクト端子28aiにそれぞれ隣接した位置には、挿入されるフレキシブル配線基板18’の接続端をコンタクト端子26aiの接点部26Cおよびコンタクト端子28aiの接点部28Cに対し案内し位置決めする案内壁が、上述のコネクタ本体部14(図7参照)と同様に形成されている。
また、その案内壁と両端に位置する溝24saiとの間には、図21に拡大されて示されるように、挿入されるフレキシブル配線基板18’の接続端の端面が当接される位置決め壁24Eが形成されている。これにより、挿入されるフレキシブル配線基板18’およびその被係止部が案内壁、位置決め壁24Eによって、その着脱方向に沿って位置規制されることとなる。
斯かる構成において、フレキシブル配線基板18’の接続端をコネクタ本体部24のケーブル収容部24A内に接続する場合、図18および図19に示されるように、固定端子付アクチュエータ部材10がアンロック状態とされるもとで、フレキシブル配線基板18’の表層部におけるコンタクトパッド群をコンタクト端子26aiおよび、28aiに向けて接続端がケーブル収容部24A内に挿入される。
次に、フレキシブル配線基板18’の被係止部がケーブル収容部24A内の切欠部に挿入され上述の案内壁に係止された後、固定端子付アクチュエータ部材10の押圧部10Pが下方に向けて押圧される。これにより、その案内面10Eによって、ロック/アンロック部材12Rおよび12Lの係止部12Rsおよび12Lsが互いに離隔する方向に押圧される。従って、ロック/アンロック部材12Rおよび12Lは、一旦、アンロック状態となる。
そして、さらに押圧部10Pが下方に向けて押圧されることにより、ロック/アンロック部材12Rおよび12Lは、その復元力により矢印の示す方向とは反対方向に向けて戻され、図16、図20および図21に拡大されて示されるように、ロック状態となる。その際、押圧部10Pの基端部がコンタクト端子28aiの接地用端子28Eに当接し、かつ、可動端子28Kが接地ラインに当接しているので接地ラインおよび押圧部10Pが確実に半田付け固定端子部を通じて接地され、その結果、ノイズ等が固定部10Rfにおけるプリント配線基板PBの導体に固定される半田付け固定端子部を通じて除去されることとなる。
一方、フレキシブル配線基板18’の接続端をコネクタ本体部24のケーブル収容部24A内から取り外す場合、ロック/アンロック部材12Rおよび12Lの係止部12Rsおよび12Lsが互いに離隔する方向に、弾性力に抗して押圧操作され、アンロック状態とされる。これにより、固定端子付アクチュエータ部材10の押圧部10Pが、可動片部10Rs,10Lsの弾性力により、自動的に容易に復帰し、フレキシブル配線基板18’の接続端が取り出し可能とされる。
従って、固定端子付アクチュエータ部材10がロック状態およびアンロック状態であっても、固定端子付アクチュエータ部材10に帯電した静電気等は、接地用端子28Eおよび、固定部10Rfにおけるプリント配線基板PBの導体に固定される半田付け固定端子部を通じて除去されることとなる。
図22乃至図24は、それぞれ、上述の本発明に係るケーブル用コネクタの第1実施例および第2実施例に用いられる固定端子付アクチュエータ部材の他の一例を示す。
図1に示される例においては、可動片部10Rsは、部分10Fに対して所定の角度をなして形成されており、その所定の角度は、例えば、部分10Fと可動片部10Rsとの境界部分の位置P1に接する所定の曲率半径を有する円Rbと、位置P1から所定距離、離隔した位置P3に接し、円Rbよりも大なる曲率半径を有する円Raとの共通接線により設定されている。
しかしながら、コネクタ本体部の厚さが、約1.2mmを超えた厚さの場合、その所定の傾斜角度が必ずしもこのように二つの円における共通接線により設定される必要はなく、例えば、図22乃至図24に拡大されて示されるように、所定の傾斜角度が、部分30Fと可動片部30Rsとの境界部分の位置P1に接する所定の曲率半径を有する一つの円Rdの円弧に接するように設定されてもよい。
図22および図23において、固定端子付アクチュエータ部材30は、導電性材料、例えば、薄板金属材料でプレス加工により一体に成形され、押圧操作される押圧部30Pと、押圧部30Pの両脇に連なり押圧部30Pを弾性変位可能に支持する一対の脚部とから構成されている。
押圧部30Pは、フレキシブル配線基板18の接続端の幅よりも大なる幅を有している。押圧部30Pの内面における略中央部には、互いに長さの異なる略長方形の押圧面部30DAおよび30DBが互いに略平行に隆起して形成されている。押圧面部30DAの両端部分近傍には、押圧面部10DAの長辺の寸法よりも大なる寸法で離隔した一対の孔30bが形成されている。固定端子付アクチュエータ部材30がロック状態の場合、各孔30bには、それぞれ、上述の案内壁14RPおよび14LPが挿入される。また、各孔30bに隣接した押圧部30Pの両側面部には、それぞれ、固定端子付アクチュエータ部材30がロック状態に移行する場合、上述のロック/アンロック部材12Rおよび12Lの係止部12Rs,12Lsに係合される所定の案内面30Eが形成されている。固定端子付アクチュエータ部材30がコネクタ本体部14に装着される場合、押圧部30Pの後端近傍の一部は、コネクタ本体部14の上壁14TWの端部における内側の窪み内に挿入されている。これにより、押圧部30Pの後端近傍の外面は、その窪みの周縁14tpに当接している。その際、周縁14tpは、押圧部30Pが押圧操作される場合、押圧部30Pにおける支点(位置P2:図24参照)となる。
一対の脚部の一端は、それぞれ、押圧部30Pの押圧面部30DAの両脇に形成されている。各脚部の一端と押圧面部10DAの短辺側の端との間には、所定の長さの切欠部30Kが形成されている。各切欠部30Kの周縁には、比較的浅い窪み30Kaが形成されている。
押圧部30Pが押圧操作され、所定の位置まで押し下げられる場合、切欠部30Kには、上述の案内壁14RW,14LWの端部が挿入される。
一対の脚部は、互いに同一の構造を有するので図22および図23における右側の脚部について説明し、左側の脚部についての説明を省略する。右側の脚部は、他端に形成されコネクタ本体部14のアクチュエータ支持部14SAに圧入される固定部30Rfと、押圧部30Pの押圧面部30DAの両脇に形成される可動片部30Rsと、固定部30Rfと可動片部30Rsとを連結する湾曲部30Rbとから構成される。
固定部30Rfは、その端部にプリント配線基板PBの導体に固定される半田付け固定端子部を有している。可動片部30Rsと湾曲部30Rbとの間の部分30F(図22において斜線が施される部分)は、アクチュエータ支持部14SAの上壁の内面に当接している。可動片部30Rsは、図24に拡大されて示されるように、部分30Fに対して所定の角度をなして形成されている。その際、上述したように、所定の傾斜角度が、部分30Fと可動片部30Rsとの境界部分の位置P1に接する所定の曲率半径を有する一つの円Rdの円弧に接するように設定されている。
そして、このような固定端子付アクチュエータ部材30においても、上述した固定端子付アクチュエータ部材10と同様な作用効果を奏することとなる。