JP4857669B2 - 有機トランジスタ及びその作製方法並びに有機トランジスタシート - Google Patents

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本発明は、有機トランジスタ及びその作製方法並びに有機トランジスタシートに関し、更に詳しくは、有機半導体層を所定の部位に容易且つ正確に形成することができる有機トランジスタの作製方法と、その方法により作製された有機トランジスタ及び有機トランジスタシートに関するものである。
近年の情報端末の発展に伴い、テレビを見ることができる携帯電話や、持ち運べるディスプレイの開発が進んでいる。また、フレキシブル基板を用いた有機ELディスプレイのように、軽量化とフレキシブル化が可能となり、持ち運び可能な大型ディスプレイができつつある。また、有機ELディスプレイ以外でも、電子ペーパー等の研究も盛んに行われている。
このようなディスプレイの画像駆動素子として、薄膜TFT(トランジスタ)により構成されるアクティブ駆動素子が用いられている。薄膜TFTは、通常、アモルファスシリコン(a−Si)や多結晶シリコン(p−Si)等の半導体薄膜をガラス基板上に形成して、その他電極を蒸着等で形成して作製される。このような薄膜TFTの作製には、高温処理が必要であり、基板として樹脂フィルム等のフレキシブル基板を用いることが難しく、また、製造設備や製造コストも非常に高くなってしまうという難点があった。
近年、有機半導体材料を用いた有機TFTの研究が盛んに行われている。有機半導体層の形成自体は特に高温を必要とせず、常温で樹脂フィルム等のフレキシブル基板上に形成できるという利点がある。また、有機半導体層は、印刷や塗布等のウェットプロセスでの成膜が可能で、製造設備や製造コストの低い、フレキシブルなアクティブ駆動素子の作製が可能である。
これら有機TFTの作製において、有機半導体層のパターニングが重要な開発課題の一つとなっている。有機半導体材料のパターニングは、先行している有機ELディスプレイのパターニング技術と同じ方法、すなわち印刷法、インクジェット法、転写法等の直接的又は間接的なパターン形成方法に適用が検討されている。
例えば、特許文献1は有機EL素子の有機発光層のパターニングに関するものではあるが、凸状パターンが形成された転写体上に有機発光層を成膜し、その転写体を被転写体に圧着した後に凸部のみにレーザー照射することによって、所定パターンの有機発光層を被転写体に転写させる方法が提案されている。また、特許文献2には、光熱変換層を有機TFT内に形成し、レーザー描画した箇所に設けられた有機半導体材料を加熱溶融して有機半導体層を形成するパターニング法が提案されている。
特開2000−12216号公報 特開2004−146502号公報
ところで、有機半導体層は、電流のON/OFF比を小さくするために、有機EL素子の有機発光層等と同じように100nm程度に薄くすることが必要とされていると共に、こうした薄膜を精度よくパターニングすることが要求されている。有機発光層を薄く形成するためには、有機半導体層形成用の塗布液として、有機半導体材料が数wt%程度溶解している低粘度溶液を使用しなければならず、また、有機半導体層に不純物が含まれると電荷移動度が低下してデバイス特性が低下する等の問題を生むことから、前記低粘度溶液に増粘剤等を添加することが難しく、その結果、パターン印刷法による直接的な微細パターンの形成は難しい。
また、インクジェット法による直接的な微細パターンの形成に関しては、インクジェットヘッドから吐出する液滴の保持が難しく、有機TFTの基板上にその液滴を保持するための撥水性の隔壁を形成する必要があるという難点がある。また、インクジェットヘッドと有機半導体材料とのマッチングが必要であり、マッチングが悪い場合は、有機半導体材料の液滴が狙い通りに吐出されず、結果的に有機半導体層に欠陥個が生じるおそれがある。
また、上記特許文献1,2に記載の方法は、いずれも、パターニングの精度がステージの動作精度に依存するので、高精度で速く動く高価なステージが必要となり、設備コストがかさむという難点がある。
また、上記印刷法、インクジェット法及び転写法のいずれの方法も、正確なアライメントを行う必要がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、レーザーを用いず、更には正確なアライメントを行うことなく、有機半導体層を所定の部位に容易且つ精度よく形成することができる有機トランジスタの作製方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、そうした方法により作製された有機トランジスタ及び有機トランジスタシートを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねている過程で、有機半導体層を形成しようとする部位のゲート絶縁膜の形状を工夫し、その部位に有機半導体層を転写する方法により、レーザーを用いなくても更には正確なアライメントを行わなくても、有機半導体層を所定の部位に容易且つ精度よく形成することができることを見出し、この知見を発展させて本発明を完成させた。
すなわち、本発明の有機トランジスタの作製方法は、基板上に凸部を有する被転写体と、少なくとも有機半導体層が形成されている転写体とを密着加熱して、前記凸部上のみに前記有機半導体層を転写する工程を含み、前記凸部が、絶縁層、ゲート絶縁膜、ソース電極及びドレイン電極のいずれかにより形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、被転写体に形状精度と位置精度がよい凸部を形成し、その凸部上のみに、転写体に形成した有機半導体層を密着加熱して転写するので、従来技術のようなレーザーを使用せず更には正確なアライメントを行わなくても、有機半導体層を所定の部位に容易且つ精度よく形成することができる。なお、凸部は、ゲート絶縁膜で形成したものであってもよいし、任意の絶縁材料で形成した絶縁層、ソース電極及びドレイン電極を一部に含む絶縁層のいずれかで形成したものであってもよい。形状精度と位置精度がよい凸部は、周知のリソグラフィ技術を適用することにより容易に形成することができる。
上記本発明の有機トランジスタの作製方法の好ましい形態として、以下の4つの形態を挙げる。
本発明の第1形態に係る有機トランジスタの作製方法は、ボトムゲート・トップコンタクト構造の作製方法であり、基板上に少なくともゲート電極及びゲート絶縁膜がその順で形成されており、当該ゲート電極上のゲート絶縁膜が凸部を成している被転写体を準備する工程と、少なくとも有機半導体層が形成されている転写体を準備する工程と、前記被転写体と前記転写体とを密着加熱して前記凸部上のみに前記有機半導体層を転写する工程と、転写された前記有機半導体層上にソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、を有することを特徴とする。
本発明の第2形態に係る有機トランジスタの作製方法は、ボトムゲート・ボトムコンタクト構造の作製方法であり、基板上に少なくともゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極及びドレイン電極が形成されている被転写体であって、当該ゲート電極上のゲート絶縁膜が凸部を成しており、当該凸部に小さい2つの凹部が形成され、各凹部にソース電極とドレイン電極がそれぞれ形成されている被転写体を準備する工程と、少なくとも有機半導体層が形成されている転写体を準備する工程と、前記被転写体と前記転写体とを密着加熱して、前記ソース電極とドレイン電極が形成されている前記凸部上のみに、前記有機半導体層を転写する工程と、を有することを特徴とする。
本発明の第3形態に係る有機トランジスタの作製方法は、トップゲート・トップコンタクト構造の作製方法であり、基板上に少なくとも絶縁層が形成されており、その絶縁層が凸部を成している被転写体を準備する工程と、少なくとも有機半導体層が形成されている転写体を準備する工程と、前記被転写体と前記転写体とを密着加熱して前記凸部上のみに前記有機半導体層を転写する工程と、転写された前記有機半導体層上にソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、その上に少なくともゲート絶縁膜とゲート電極をその順で形成する工程と、を有することを特徴とする。
本発明の第4形態に係る有機トランジスタの作製方法は、トップゲート・ボトムコンタクト構造の作製方法であり、基板上に少なくともソース電極及びドレイン電極が形成されており、そのソース電極とドレイン電極との間を埋めるように絶縁層が形成されて凸部を成している被転写体を準備する工程と、少なくとも有機半導体層が形成されている転写体を準備する工程と、前記被転写体と前記転写体とを密着加熱して前記凸部上のみに前記有機半導体層を転写する工程と、その上に少なくともゲート絶縁膜及びゲート電極をその順で形成する工程と、を有することを特徴とする。
これら第1〜第4形態に係る発明によれば、被転写体に形状精度と位置精度がよい凸部を形成し、その凸部上のみに、転写体に形成した有機半導体層を密着加熱して転写するので、従来技術のようなレーザーを使用せず更には正確なアライメントを行わなくても、有機半導体層を所定の部位に容易且つ精度よく形成(転写)することができる。
上記本発明の有機トランジスタの作製方法において、前記転写体が、基板上に少なくとも保護層及び有機半導体層がその順で形成されてなるものであることを特徴とする。
従来は有機半導体を形成した後に保護層を形成していたので、保護層形成時に有機半導体層にダメージが加わって有機半導体層の特性が低下し易かったが、この発明によれば、保護層上に有機半導体層を形成し、その有機半導体層は被転写体に転写されるので、従来のようなダメージが有機半導体層に加わらないという利点がある。なお、有機半導体層以外の層を任意に選ぶことによって、上記第1〜第4形態の作製方法の転写体として利用できる。
上記本発明の第4形態の有機トランジスタの作製方法において、前記転写体が、基板上に少なくともゲート電極、ゲート絶縁膜及び有機半導体層がその順で形成されてなるものであることを特徴とする。
この発明によれば、基板上に少なくともゲート電極、ゲート絶縁膜及び有機半導体層がその順で形成されてなる転写体を構成することによって、上記第4形態における有機半導体層の転写工程と、ゲート絶縁膜及びゲート電極形成工程とをその転写工程時に同時に行うことができる。
上記本発明の有機トランジスタの作製方法において、前記凸部を成すゲート絶縁膜又は絶縁層が架橋性のレジスト材料からなり、前記ゲート絶縁膜又は絶縁層は、前記被転写体準備工程において前記ゲート電極上に当該レジスト材料を塗布した後にプレベークまで行ってプレベーク層を形成し、前記転写工程後に前記プレベーク層をポストベークして形成されることを特徴とする。
この発明によれば、凸部を成すゲート絶縁膜又は絶縁層は、転写工程時に粘着性を有するプレベーク層となっているので、そのプレベーク層に密着加熱される有機半導体層は、そのプレベーク層に容易に転写し易い。なお、本願において「プレベーク層」とは、プレベーク後でポストベーク前のレジスト膜(ゲート絶縁膜又は絶縁層のこと)を意味する。
上記本発明の有機トランジスタの作製方法で用いられる転写体としては、少なくとも基板、保護層及び有機半導体層がその順で形成されてなるシート状の転写体、又は、少なくとも基板、ゲート電極、ゲート絶縁膜及び有機半導体層がその順で形成されてなるシート状の転写体を、凸部を有する被転写体上に密着加熱した際に前記有機半導体層が凸部以外に接触しないように、前記基板の厚さが3μm以上であるものが好ましい。これにより、凸部を有する被転写体上に密着加熱した際に有機半導体層が凸部以外に接触することを防ぐことができる。
上記課題を解決するための本発明の有機トランジスタは、上述した本発明の有機トランジスタの作製方法により作製された、少なくともゲート電極、絶縁層(ゲート絶縁膜を含む)、有機半導体層、ソース電極及びドレイン電極からなる有機トランジスタであって、前記有機半導体層が、絶縁層、ゲート絶縁膜、ソース電極及びドレイン電極のいずれかからなる凸部上に形成されていることを特徴とする。
上記課題を解決するための本発明の有機トランジスタシートは、上述した本発明の有機トランジスタの作製方法により作製された有機トランジスタがシート状基板の上にマトリクス配置された有機トランジスタシートであって、当該有機トランジスタが、少なくともゲート電極、絶縁層(ゲート絶縁膜を含む)、有機半導体層、ソース電極及びドレイン電極からなり、前記有機半導体層が、絶縁層、ゲート絶縁膜、ソース電極及びドレイン電極のいずれかからなる同一高さ又は略同一高さの凸部上に形成されていることを特徴とする。
本発明の有機トランジスタの作製方法によれば、被転写体に形状精度と位置精度がよい凸部を形成し、その凸部上のみに、転写体に形成した有機半導体層を密着加熱して転写するので、従来技術のようなレーザーを使用せず更には正確なアライメントを行わなくても、有機半導体層を所定の部位に容易且つ精度よく形成することができる。凸部は、周知のリソグラフィ技術を適用することにより、高い形状精度と位置精度で容易に形成することができる。本発明の作製方法によれば、製造設備や製造コストの低い、フレキシブルなアクティブ駆動素子の作製が可能となる。その結果、液晶表示装置のアクティブ駆動素子や、有機EL素子のアクティブ駆動素子として利用することができる。
本発明の有機トランジスタ及び有機トランジスタシートによれば、有機半導体層が、絶縁層、ゲート絶縁膜、ソース電極及びドレイン電極のいずれかからなる同一高さ又は略同一高さの凸部上に上記本発明の方法により形成されているので、有機半導体層が所定の部位に容易且つ精度よく形成されたフレキシブルなアクティブ駆動素子搭載シートとなり、液晶表示装置のアクティブ駆動素子や、有機EL素子のアクティブ駆動素子として利用することができる。
以下、本発明の有機トランジスタ(以下、「有機TFT」と略記する。)及びその作製方法並びに有機TFTシートについて図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、以下の図面の内容及び実施形態のみに限定されるものではない。
(有機TFT及びその作製方法)
本発明の有機TFTの作製方法は、基板上に凸部を有する被転写体と、少なくとも有機半導体層が形成されている転写体とを密着加熱して、その凸部上のみに有機半導体層を転写する工程を含み、その凸部が、絶縁層、ゲート絶縁膜、ソース電極及びドレイン電極のいずれかにより形成されていることに特徴を有する
有機TFTの構造として、ボトムゲート・トップコンタクト構造、ボトムゲート・ボトムコンタクト構造、トップゲート・トップコンタクト構造、トップゲート・ボトムコンタクト構造の4種類が挙げられるが、本発明の有機TFTの作製方法は、以下の各実施形態に示すように、そのいずれの構造に対しても適用できる。なお、以下において、有機TFTを構成する各層の説明は主に第1実施形態において説明し、第2形態〜第4形態では相違点を中心に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る有機TFTの作製方法により得られたボトムゲート・トップコンタクト構造からなる有機TFTの一例を示す概略断面図であり、図2は、本発明の第1実施形態に係る有機TFTの作製方法の一例を示す工程図である。本発明で作製されたボトムゲート・トップコンタクト構造からなる有機TFT10は、図1に示すように、基板1と、基板上に形成されたゲート電極2と、ゲート電極2上に又はゲート電極2を覆うように形成されて少なくともゲート電極2上が凸部(符号C1で表す)を成しているゲート絶縁膜3と、その凸部C1上のみに形成された有機半導体層4と、有機半導体層4上に離間して形成されたソース電極5及びドレイン電極6を有している。なお、2種類の保護層が設けられており、その一つは有機半導体層4上に直接設けられた保護層であり、他の一つは、有機TFT全体を覆うように設けられた保護層7bである。
(基板)
基板1は、絶縁性の材料であれば広い範囲の材料から選択することができる。例えば、ガラス、シリコンウェハー又は石英等の無機基材、又は、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、若しくはシンジオタクティック・ポリスチレン等、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、フッ素樹脂、若しくはポリエーテルニトリル等、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリシクロヘキセン、若しくはポリノルボルネン系樹脂等、又は、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、若しくは熱可塑性ポリイミド等からなる有機基材、又はそれらの複合基材を挙げることができる。
特に、高分子化合物からなる基板を用いると、軽量でフレシキブルな有機TFTを作製することができるので、極めて有用である。また、透明性が要求される場合には、上記の中から透明性を有するものを選択して用いることができる。なお、本発明で適用される基板1の厚さは、要求されるフレキシビリティ(柔軟性)や透明性が考慮され、通常、25μm〜1.5mm程度の範囲内から選択される。
(ゲート電極)
ゲート電極2は、ボトムゲート・トップコンタクト構造においては基板上に形成されている。ゲート電極2としては、アルミニウム、チタン、銅等の金属若しくは無機材料からなる電極、導電性無機材料からなるナノ粒子が分散したインキを用いて形成された電極、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性有機材料からなる電極、又は導電性インキを塗布して形成した電極、を挙げることができる。こうしたゲート電極2は、単一層として形成されたものであってもよいし、前記の電極が複合的に積層されたものであってもよい。
金属若しくは無機材料としては、アルミニウム、チタン、銅、金、白金、クロム、パラジウム、インジウム、モリブデン、ニッケル等の金属、これら金属を用いた合金、ポリシリコン、アモルファスシリコン、錫酸化物、酸化インジウム、インジウム・錫酸化物(ITO)等の無機材料を挙げることができる。上記無機材料からなるゲート電極2は、蒸着やスパッタリング等の既存の薄膜パターン形成手段で形成でき、具体的には、マスク成膜法又はフォトリソグラフ法を用いて形成できる。また、導電性無機材料からなるナノ粒子が分散したインキを用いて形成された電極において、ナノ粒子としては銀ナノ粒子、金ナノ粒子等からなる導電性の無機粒子を挙げることができる。こうしたナノ粒子が分散したインキは導電性インキとなり、塗布法等の成膜手段で容易に形成できるという利点がある。また、有機材料や導電性インキからなる電極も蒸着や塗布法等の成膜手段で容易に形成できるという利点がある。更に、金属材料で形成する場合には、金属コロイド溶液を作製し、その溶液を各種の塗布法で塗布する方法によっても形成できるが、この場合の下地としては、親水性領域と疎水性領域とで形成された親疎水パターンが好ましい。なお、塗布法の具体的な手法としては、スピンコート法、キャスト法、引き上げ法、転写法、インクジェット法等が挙げられる。
ゲート電極2の厚さは、その材質の導電率にもよるが、200〜2000nm程度であることが好ましい。ゲート電極2の厚さの下限は、電極材料の導電率及び下地基板1との密着強度によって異なる。ゲート電極2の厚さの上限は、後述のゲート絶縁膜3、ソース電極5及びドレイン電極6を設けた際に、下地基板1とゲート電極2の段差部分におけるゲート絶縁膜2による絶縁被覆が十分で、且つその上に形成する電極パターンに断線を生ぜしめないことが必要である。特に、可とう性がある基板1を使用した場合には、応力のバランスを考慮する必要がある。
(ゲート絶縁膜)
ゲート絶縁膜3は、ボトムゲート・トップコンタクト構造においてはゲート電極2上に形成されており、SiO、SiN、A1等の無機材料や、ポリクロロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリビニルクロライド、ポリフッ化ビニリデン、シアノエチルプルラン、ポリメチルメタクリレート、ポリサルホン、ポリカーボネート、ポリイミド等の有機材料や、一般的に使用されているレジスト材料で形成できる。特に本発明においては、製造コストや製造容易性の観点から、一般的に使用されているレジスト材料を好ましく用いることができ、スクリーン印刷法、スピンコート法、キャスト法、引き上げ法、転写法、インクジェット法等やフォトリソグラフ法により所定のパターンに形成できる。市販のレジスト材料として、新日鉄化学製のV259PA/PH5(ネガレジスト:カルドアクリル系)、JSR社のJNPC−48GL(ネガレジスト:アクリル系の材料)、日本ゼオン社製のZOP005(熱硬化レジスト)、日本ゼオン社製のZERO4004(ポジレジスト)、ノボラック系の樹脂等が好ましく利用できる。なお、上記の無機材料からなるゲート絶縁膜3については、CVD法等の既存パターンプロセスを用いて形成できる。
ゲート絶縁膜3の厚さは薄いほど好ましいが、薄すぎるとソース・ドレイン電極5,6とゲート電極2との間での漏れ電流が大きくなり、ON/OFF比の低いデバイスになってしまうため、通常、0.2〜2.0μm程度であることが好ましい。
(有機半導体層)
有機半導体層4は、本発明のボトムゲート・トップコンタクト構造においてはゲート絶縁膜3の凸部C1に形成されている。この有機半導体層4は、有機半導体材料で構成されており、具体的には、P型有機半導体材料として知られているP3HTに代表される各種の有機半導体材料を適用できる。本発明では、後述するように、凸部C1上のみに有機半導体層4が形成されているので、その凸部C1を精度よく形成することにより、従来のようにレーザーを使用せず更には正確なアライメントを行わなくても、有機半導体層4を所定の部位に容易且つ精度よく形成することができる。有機半導体層4は、P3HT等の有機半導体材料を溶媒に溶解させ、スピンコート法、キャスト法、引き上げ法等で厚さ30〜200nm程度に形成される。
(ソース電極及びドレイン電極)
ソース電極5及びドレイン電極6は、有機半導体材料の種類に応じて選択されることが望ましく、P型有機半導体材料を用いる場合は通常は仕事関数の大きい金属で形成され、N型有機半導体材料を用いる場合は仕事関数の小さな金属で形成される。その理由としては、有機半導体層14とオーミック接触していることが必要となるからである。ここでいう仕事関数とは、固体中の電子を外部に取り出すのに必要な電位差であり、真空準位とフェルミ準位とのエネルギー差として定義される。好ましい仕事関数としては、P型有機半導体材料として知られているP3HTのHOMO(最高被占軌道)のエネルギー準位が4.7〜4.9eVであるので、それに近い4.2〜5.2eV程度であることが望ましい。そうした範囲の電極材料としては、金、白金、透明導電膜(インジウム・スズ酸化物、インジウム・亜鉛酸化物等)等が挙げられ、これらは、例えばチャネル長50μm、チャネル幅1000μmとなるように設計されたマスクを用いて、膜厚30〜100nm程度となるように、スパッタリング法や電子ビーム(EB)蒸着法で形成することができる。また、金属材料で形成する場合には、金属コロイド溶液を作製し、その溶液を各種の塗布法で塗布する方法によっても形成できるが、この場合の下地としては、親水性領域と疎水性領域とで形成された親疎水パターンが好ましい。
一方、HOMO(最高被占軌道)のエネルギー準位が3.0eV程度のP型有機半導体材料を用いる場合や、LUMO(最低被占軌道)のエネルギー準位が3.0eV程度のN型有機半導体材料を用いる場合には、それに近い3.0V程度の仕事関数を持つアルミニウムや、カルシウム又はリチウムとアルミニウムとの積層構造を同様の方法で成膜することが好ましい。
ソース電極5及びドレイン電極6を有機半導体層4上に形成する場合において、両者の密着性が弱い場合には、アンカー層を有機半導体層上に形成した後にソース電極5及びドレイン電極6を形成することが好ましい。例えば、Auをソース電極5及びドレイン電極6とした場合には、約5nmのCrをアンカー層として蒸着し、その後にAuを蒸着することで密着性を向上させることができる。
(層間絶縁層)
本発明で得られる有機TFTには、必要に応じて層間絶縁層を設けることができる。層間絶縁層は、ゲート絶縁膜3上にソース電極5及びドレイン電極6を形成する際に、ゲート電極2の表面の汚染を防ぐことを目的として好ましく形成される。したがって、層間絶縁層は、ソース電極5及びドレイン電極6を形成する前にゲート絶縁膜3の上に形成される。そして、ソース電極5及びドレイン電極6が形成された後においては、チャネル領域上方に位置する部分を完全に除去又は一部を除去するように加工される。除去される層間絶縁層領域は、ゲート電極2のサイズと同等であることが望ましい。層間絶縁層の材料としては、SiO、SiN、Al等の無機材料や、ポリクロロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリビニルクロライド、ポリフッ化ビニリデン、シアノエチルプルラン、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド等の有機材料が挙げられる。
(保護層)
本発明で得られる有機TFTには、主に有機半導体層の酸化を防止することを目的とした保護層が形成されていることが好ましい。保護層としては、図1に示すように、有機半導体層4上に直接設けられる保護層7aと、有機TFT構造全体を覆うように設けられる保護層7bの2種類がある。こうした保護層(7a,7b)は、酸素バリア性や水蒸気バリア性を有する層であり、例えばSiOやSiN等からなる厚さ20〜2000nm程度の薄膜を挙げることができる。保護層は、スパッタリング法等により成膜できる。
(有機TFTの作製方法)
第1形態に係る有機TFT10の作製方法は、図2に示すように、ボトムゲート・トップコンタクト構造の作製方法であり、基板1上に少なくともゲート電極2及びゲート絶縁膜3がその順で形成されており、ゲート電極2上のゲート絶縁膜3が凸部C1を成している被転写体11を準備する工程と、少なくとも有機半導体層4が形成されている転写体50を準備する工程と、被転写体11と転写体50とを密着加熱して凸部C1上のみに有機半導体層4を転写する工程と、転写された有機半導体層4上にソース電極5及びドレイン電極6を形成する工程と、それらを覆う保護層7を形成する工程とを有している。以下、図2のフロー図に基づいて説明する。
先ず、図2(A)に示すように、所定パターンのゲート電極2が形成された被転写体用基板1を準備する。ゲート電極2は、上記のように公知の成膜プロセスとパターニングプロセスによって形成することができる。
次に、ゲート電極2上のゲート絶縁膜3が凸部C1を成すように、ゲート絶縁膜3を形成する。ゲート絶縁膜3の形成方法としては、図2(B1)の方法と、図2(B2−1)(B2−2)の方法とを挙げることができる。図2(B1)の方法は、ゲート電極2を覆うようにゲート絶縁膜3を形成することにより、そのゲート電極2の厚さに基づいた凸部C1をゲート電極2上に形成する方法である。この方法では、ゲート電極2が厚い方が明確な凸部C1を形成できるので好ましく、好ましい厚さとしては例えば100nm以上であることが好ましい。
一方、図2(B2−1)(B2−2)の方法は、第1段階として、ゲート電極2と同じ厚さの第1ゲート絶縁膜3aを形成し、その後にゲート電極2よりもやや大きい面積からなる第2ゲート絶縁膜3bをゲート電極2上に形成して凸部C1を形成する方法である。この方法により形成される凸部C1は、ゲート絶縁膜を2段階で形成するので工程が増すという難点を除けば、ゲート電極2の厚さに依存せず設計の自由度があるという利点がある。
こうして被転写体11が準備される。被転写体11は、基板1上に少なくともゲート電極2及びゲート絶縁膜3がその順で形成されており、ゲート電極2上のゲート絶縁膜3が凸部C1を成している。
次に、図2(C)(D)(E)に示すように、準備された被転写体11と転写体50とを密着加熱して凸部C1上のみに有機半導体層4を転写する。
転写体50は、少なくとも有機半導体層4が形成されていればよいが、ここでは、図9(A)に示すように、転写体用基板51上に保護層7aと有機半導体層4とがその順で形成されたシート状の転写体50が用いられる。転写体用基板51は、上述した被転写体用の基板1と同様のものを使用できるが、凸部C1を有する被転写体11上に密着加熱した際に有機半導体層4が凸部C1以外の部位に接触しないように、その厚さが3μm以上であることが好ましい。また、転写体用基板51上には、被転写体11に保護層7aと有機半導体層4とが容易に転写できるように、離型層が形成されていることが好ましい。離型層の形成材料は特に限定されず、一般的に用いられている各種のものを利用でき、例えば厚さ0.1〜10μm程度のアクリル系の樹脂層が好ましく用いられる。
更に、そうした離型層を形成する樹脂材料が転写体用基板51上から剥離しないように、転写体用基板51と離型層との接着性を強めるためのプライマー層を厚さ10〜1000nm程度で形成した転写体用基板を用いてもよいし、転写体用基板51自体の接着性を向上させるための易接着処理を施した転写体用基板を用いてもよい。プライマー層は転写体用基板の種類や離型層の種類によって任意に選択されるが、例えば、アクリル系やウレタン系の樹脂等で形成されたものを挙げることができる。また、易接着処理された基板としては、東洋クロス株式会社製の易接着フィルムであるAD PPや、東洋紡績株式会社製のコスモシャイン A4300やA7810等を挙げることができる。
こうして準備された転写体50と被転写体11との密着加熱は、例えば加熱板を転写体50の基板51側から押し当てるプレス加熱や、加熱ロールを転写体50の基板51側から押し当てるロールプレス加熱等で行うことができる。この密着加熱によって凸部C1上のみに有機半導体層4を転写するが、こうした転写を確実に行うためには、密着加熱後に転写体50と被転写体11とを引き離す際に、有機半導体層4(保護層7aも含む)と離型層との間の密着力が最も小さくなっている必要がある。
そのための一例として、凸部C1を成すゲート絶縁膜2を架橋性のレジスト材料で形成する方法を挙げることができる。すなわち、被転写体準備工程では、ゲート電極2上に架橋性レジスト材料を塗布した後にプレベークまで行ってプレベーク層を形成する。このプレベーク層は粘着性を有するので、転写工程時において、そのプレベーク層上に転写体50を密着加熱すると、有機半導体層4(保護層7aも含む)とプレベーク層との間の密着力が、有機半導体層4と離型層との間の密着力よりも大きくなり、有機半導体層4がプレベーク層上に容易に転写される。プレベーク層は、転写工程後にポストベークされてゲート絶縁膜2となる。こうした手段により、凸部C1を成すプレベーク層(ゲート絶縁膜3)上に、有機半導体層4を転写することができる。なお、この例は一例であって、本発明全体がこの手段に限定されるものではない。
以上のようにして、図2(E)に示すように、凸部C1を成すゲート絶縁膜3上のみに有機半導体層4を形成することができる。
次に、図2(F)に示すように、転写された有機半導体層4上にソース電極5及びドレイン電極6を形成して有機TFTを構成し、その後、図2(G)に示すように、有機TFT全体を覆う保護層7bを形成して、本発明の第1実施形態に係るボトムゲート・トップコンタクト構造の有機TFTを製造する。
この作製方法は、被転写体11に形状精度と位置精度がよい凸部C1を形成し、その凸部C1上のみに、転写体50に形成した有機半導体層4を密着加熱して転写するので、従来技術のようなレーザーを使用せず更には正確なアライメントを行わなくても、有機半導体層4を所定の部位(凸部C1上のみ)に容易且つ精度よく形成することができる。なお、形状精度と位置精度がよい凸部C1は、周知のリソグラフィ技術を適用することにより容易に形成することができるので、新しい高価な製造設備は不要であるので製造コストの面でも有利である。
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態に係る有機TFTの作製方法により得られたボトムゲート・ボトムコンタクト構造からなる有機TFTの一例を示す概略断面図であり、図4は、本発明の第2実施形態に係る有機TFTの作製方法の一例を示す工程図である。本発明で作製されたボトムゲート・ボトムコンタクト構造からなる有機TFT20は、図3に示すように、基板1と、基板上に形成されたゲート電極2と、ゲート電極2上に又はゲート電極2を覆うように形成されて少なくともゲート電極2上が凸部(符号C2で表す)を成していると共にその凸部C2に小さい2つの凹部9,9が形成され、その凹部9,9にソース電極5及びドレイン電極6がそれぞれ形成されているゲート絶縁膜3と、その凸部C2上のみに形成された有機半導体層4とを有している。なお、2種類の保護層が設けられており、その一つは有機半導体層4上に直接設けられた保護層であり、他の一つは、有機TFT全体を覆うように設けられた保護層7bである。
また、第2形態に係る有機TFT20の作製方法は、図4に示すように、ボトムゲート・ボトムコンタクト構造の作製方法であり、基板1上に少なくともゲート電極2、ゲート絶縁膜3、ソース電極5及びドレイン電極6が形成されており、ゲート電極2上のゲート絶縁膜3が凸部C2を成していると共にその凸部C2に小さい2つの凹部9,9が形成され、各凹部9,9にソース電極5とドレイン電極6がそれぞれ形成されている被転写体21を準備する工程と、少なくとも有機半導体層4が形成されている転写体50を準備する工程と、被転写体21と転写体50とを密着加熱して、ソース電極5とドレイン電極6が形成されている凸部C2上のみに有機半導体層4を転写する工程と、それらを覆う保護層7を形成する工程とを有している。
この第2実施形態の作製方法で得られた図3に示す有機TFTの各構成は、上述した第1実施形態に記載のものと基本的に同じであるので、以下においては、図4に示す製造プロセスについて第1実施形態との相違点を主に説明し、重複する内容については記載を省略する。
図4(A)と図4(B)の工程は、第1実施形態と同じであるので説明を省略する。準備された被転写体21は、図4(C)に示すように、基板1上に少なくともゲート電極2及びゲート絶縁膜3がその順で形成されており、ゲート電極2上のゲート絶縁膜3が凸部C2を成している。
次に、図4(D)に示すように、凸部C2に小さい2つの凹部9,9を形成する。凹部9,9は、公知のフォトリソグラフィ等により形成できるが、その凹部内には、ソース電極5とドレイン電極6とがそれぞれ充填されるので、凹部9,9は所定の間隔で形成されていることが好ましい。
次に、図4(E)に示すように、各凹部9,9にソース電極5とドレイン電極6をそれぞれ形成する。ソース電極5とドレイン電極6は、記述した従来公知の方法で形成できる。ソース電極5とドレイン電極6とが凹部9,9に充填されて成るゲート電極2上のゲート絶縁膜3は、凸部C2を成しており、この凸部C4上に有機半導体層4が転写される。
凸部C2上への有機半導体層4の転写は、図4(F)(G)(H)に示すように、準備された被転写体21と転写体50とを密着加熱して行われる。転写体は、第1実施形態と同じ転写体50が用いられ(図9(A)を参照)、第1実施形態と同じ条件で転写されるので、ここでは説明を省略する。以上のようにして、図4(H)に示すように、凸部C2を成すゲート絶縁膜3上のみに有機半導体層4が形成された有機TFTが構成される。
次に、図4(I)に示すように、有機TFT全体を覆う保護層7bを形成して、本発明の第2実施形態に係るボトムゲート・ボトムコンタクト構造の有機TFTを製造する。
この作製方法は、被転写体21に形状精度と位置精度がよい凸部C2をソース電極5とドレイン電極6を有した態様で形成し、その凸部C2上のみに、転写体50に形成した有機半導体層4を密着加熱して転写するので、従来技術のようなレーザーを使用せず更には正確なアライメントを行わなくても、有機半導体層4を所定の部位(凸部C2上のみ)に容易且つ精度よく形成することができる。なお、形状精度と位置精度がよい凸部C2は、周知のリソグラフィ技術を適用することにより容易に形成することができるので、新しい高価な製造設備は不要であるので製造コストの面でも有利である。
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態に係る有機TFTの作製方法により得られたトップゲート・トップコンタクト構造からなる有機TFTの一例を示す概略断面図であり、図6は、本発明の第3実施形態に係る有機TFTの作製方法の一例を示す工程図である。本発明で作製されたトップゲート・トップコンタクト構造からなる有機TFT30は、図5に示すように、基板1と、基板1上に形成されて凸部(符号C3で表す)を成している絶縁層8と、その凸部C3上にのみ形成された有機半導体層4と、有機半導体層4上に形成されたソース電極5及びドレイン電極6と、ソース電極5及びドレイン電極6を覆うように形成されたゲート絶縁膜3と、ゲート絶縁膜3上に形成されたゲート電極2とを有している。なお、2種類の保護層が設けられており、その一つは有機半導体層4上に直接設けられた保護層であり、他の一つは、有機TFT全体を覆うように設けられた保護層7bである。
また、第3形態に係る有機TFT30の作製方法は、図6に示すように、トップゲート・トップコンタクト構造の作製方法であり、基板1上に少なくとも絶縁層8が形成されており、その絶縁層8が凸部C3を成している被転写体31を準備する工程と、少なくとも有機半導体層4が形成されている転写体50を準備する工程と、被転写体31と転写体50とを密着加熱して凸部C3上のみに有機半導体層4を転写する工程と、転写された有機半導体層4上にソース電極5及びドレイン電極6を形成する工程と、それらを覆うようにゲート絶縁膜3を形成する工程と、そのゲート絶縁膜3上にゲート電極2を形成する工程と、それら全体を覆う保護層7bを形成する工程とを有している。
この第3実施形態の作製方法で得られた図5に示す有機TFTの各構成は、上述した第1実施形態に記載のものと基本的に同じであるので、以下においては、図6に示す製造プロセスについて第1実施形態との相違点を主に説明し、重複する内容については記載を省略する。
先ず、図6(A)に示すように、所定パターンの絶縁層8が形成された被転写体用基板1を準備する。ここで形成する絶縁膜8は、上述したように、第1実施形態のゲート絶縁膜3と同じ架橋性レジスト材料から成るものであることが好ましい。すなわち、基板1上に架橋性レジスト材料を塗布した後にプレベークまで行ってプレベーク層を形成する。このプレベーク層は粘着性を有するので、図6(B)(C)(D)に示す転写工程時において、そのプレベーク層上に転写体50を密着加熱すると、有機半導体層4(保護層7aも含む)とプレベーク層との間の密着力が、有機半導体層4と離型層との間の密着力よりも大きくなり、有機半導体層4がプレベーク層上に容易に転写される。プレベーク層は、転写工程後にポストベークされて絶縁層8となる。こうした手段により、凸部C3を成すプレベーク層(絶縁層8)上に、有機半導体層4を転写することができる。なお、この例は一例であって、本発明全体がこの手段に限定されるものではない。また、架橋性レジスト材料は、公知の成膜プロセスとパターニングプロセスによって所定のパターンに容易に形成することができる。
次に、図6(B)(C)(D)に示すように、準備された被転写体31と転写体50とを密着加熱して凸部C3上のみに有機半導体層4を転写する。転写体は、第1実施形態と同じ転写体50が用いられ(図9(A)を参照)、第1実施形態と同じ条件で転写されるので、ここでは説明を省略する。以上のようにして、図6(D)に示すように、凸部C3を成す絶縁層8上のみに有機半導体層4が形成された有機TFTが構成される。
次に、図6(E)に示すように、有機半導体層4上にソース電極5とドレイン電極6を形成する。ソース電極5とドレイン電極6は、記述した従来公知の方法で形成できる。
次に、図6(F)に示すように、有機半導体層4、ソース電極5及びドレイン電極6を覆うようにゲート絶縁膜3を形成する。この工程でのゲート絶縁膜3は、第1及び第2実施形態で例示したような架橋性レジスト材料で形成してもよいが、上記実施形態のような粘着性を利用した転写を行う必要がないので、通常の絶縁膜(例えばSiO等)を使用してもよい。
次に、図6(G)に示すように、ゲート絶縁膜3上にゲート電極2を所定のパターンで形成する。ゲート電極2は、上記同様のフォトリソグラフィやリフトオフ法等を利用して形成でき、最後に、図6(H)に示すように、有機TFT全体を覆う保護層7bを形成して、本発明の第3実施形態に係るトップゲート・トップコンタクト構造の有機TFTを製造する。
この作製方法は、被転写体31に形状精度と位置精度がよい凸部C3をレジスト材料等の絶縁層8で形成し、その凸部C3上のみに、転写体50に形成した有機半導体層4を密着加熱して転写するので、従来技術のようなレーザーを使用せず更には正確なアライメントを行わなくても、有機半導体層4を所定の部位(凸部C3上のみ)に容易且つ精度よく形成することができる。なお、形状精度と位置精度がよい凸部C3は、周知のリソグラフィ技術を適用することにより容易に形成することができるので、新しい高価な製造設備は不要であるので製造コストの面でも有利である。
(第4実施形態)
図7は、本発明の第4実施形態に係る有機TFTの作製方法により得られたトップゲート・ボトムコンタクト構造からなる有機TFTの一例を示す概略断面図であり、図8は、本発明の第4実施形態に係る有機TFTの作製方法の一例を示す工程図である。本発明で作製されたトップゲート・ボトムコンタクト構造からなる有機TFT40は、図7に示すように、基板1と、基板1上にソース電極5及びドレイン電極6が形成されており、そのソース電極5とドレイン電極6との間を埋めるように絶縁層8が形成されて成る凸部(符号C4で表す)と、その凸部C4上のみに形成された有機半導体層4と、有機半導体層4上に形成されたゲート絶縁膜3と、ゲート絶縁膜3上に形成されたゲート電極2と、有機TFT全体を覆うように設けられた保護層7bとを有している。
また、第4形態に係る有機TFT40の作製方法は、図8に示すように、トップゲート・ボトムコンタクト構造の作製方法であり、基板1上に少なくともソース電極5及びドレイン電極6が形成されており、そのソース電極5とドレイン電極6との間を埋めるように絶縁層8が形成されて凸部C4を成している被転写体41を準備する工程と、少なくとも有機半導体層4が形成されている転写体60を準備する工程と、被転写体41と転写体60とを密着加熱して凸部C4上のみに有機半導体層4を転写する工程と、その上にゲート絶縁膜3及びゲート電極2をその順で形成する工程と、それら全体を覆う保護層7bを形成する工程とを有している。
この第4実施形態の作製方法で得られた図7に示す有機TFTの各構成は、上述した第1実施形態に記載のものと基本的に同じであるので、以下においては、図8に示す製造プロセスについて第1実施形態との相違点を主に説明し、重複する内容については記載を省略する。
この実施形態においては、被転写体41は、図8(B)に示すように、基板1上にソース電極5及びドレイン電極6が形成されていると共にその両電極5,6の間を埋めるような形態で絶縁層8が形成され、それらが一体となって凸部(符号C4で表す)を成している。
図8(A)(B)は、こうした被転写体41を形成する一例であり、例えば図8(A)に示すように、基板1上に所定パターンの絶縁層8を形成し、その絶縁層8をフォトリソグラフィ等でソース電極5及びドレイン電極6を形成しようとする部分を開口し、その後、ソース電極5及びドレイン電極6をその開口部に充填するように形成することによって得ることができる。一方、図示しないが、基板1上に所定パターンのソース電極5及びドレイン電極6を形成し、そのソース電極5及びドレイン電極6間の開口部を充填するように絶縁層8を形成することによって得ることもできる。ここで形成する絶縁膜8は、上述したように、第1実施形態のゲート絶縁膜3と同じ架橋性レジスト材料から成るものであることが好ましい。すなわち、基板1上に架橋性レジスト材料を塗布した後にプレベークまで行ってプレベーク層を形成する。このプレベーク層は粘着性を有するので、図8(C)(D)(E)に示す転写工程時において、そのプレベーク層上に転写体60を密着加熱すると、有機半導体層4とプレベーク層との間の密着力が、有機半導体層4と離型層との間の密着力よりも大きくなり、有機半導体層4がプレベーク層上に容易に転写される。プレベーク層は、転写工程後にポストベークされて絶縁層8となる。こうした手段により、凸部C4を成すプレベーク層(絶縁層8)上に、有機半導体層4を転写することができる。なお、この例は一例であって、本発明全体がこの手段に限定されるものではない。また、架橋性レジスト材料は、公知の成膜プロセスとパターニングプロセスによって所定のパターンに容易に形成することができる。
次に、図8(C)(D)(E)に示すように、準備された被転写体41と転写体60とを密着加熱して凸部C4上のみに有機半導体層4、ゲート絶縁膜3及びゲート電極2がその順で積層するように一体に転写する。
転写体60は、図9(B)に示すように、転写体用基板51上に、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3及び有機半導体層4がその順で形成されたシート状の転写体60が用いられる。転写体用基板51については、第1実施形態で説明したので省略する。この転写体60に形成されるゲート絶縁膜3は、第1及び第2実施形態で例示したような架橋性レジスト材料で形成してもよいが、上記実施形態のような粘着性を利用した転写を行う必要がないので、通常の絶縁膜(例えばSiO等)を使用してもよい。また、転写体用基板51上には、被転写体41に、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3及び有機半導体層4を一体で転写できるように、離型層が形成されていることが好ましい。離型層についても、第1実施形態で説明したので省略する。なお、離型層上に直接ゲート電極2を形成すると、転写の際にゲート電極2が離型層から離型し難い場合があるので、離型層とゲート電極2との間には、第1実施形態等で示した保護層7aと同じ層(図示しない)を形成することが好ましい。こうした層(保護層と呼ぶ)を離型層とゲート電極2との間に形成することにより、離型層と保護層との間で離型し易く、被転写体41に、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3及び有機半導体層4を一体で転写できる。また、転写も第1実施形態と同じ条件で行われるので、ここでは説明を省略する。以上のようにして、図8(E)に示すように、凸部C4上のみに有機半導体層4等が形成される。
次に、図8(F)に示すように、ゲート電極2を所定の大きさにパターニングした後、最後に、図8(G)に示すように、有機TFT全体を覆う保護層7bを形成して、本発明の第4実施形態に係るトップゲート・ボトムコンタクト構造の有機TFTを製造する。
この作製方法は、被転写体41に形状精度と位置精度がよい凸部C4を絶縁層、ソース・ドレイン電極等で形成し、その凸部C4上のみに、転写体60に形成した有機半導体層4等を密着加熱して転写するので、従来技術のようなレーザーを使用せず更には正確なアライメントを行わなくても、有機半導体層4を所定の部位(凸部C4上のみ)に容易且つ精度よく形成することができる。なお、形状精度と位置精度がよい凸部C4は、周知のリソグラフィ技術を適用することにより容易に形成することができるので、新しい高価な製造設備は不要であるので製造コストの面でも有利である。
(有機TFTシート)
次に、本発明の有機TFTの作製方法で得られる有機TFTをシート上に形成する実施形態について説明するが、以下により限定されるものではない。本発明の有機TFTシートは、上述した本発明の有機TFTの作製方法により作製された有機TFTがシート状基板の上にマトリクス配置されたものであって、有機TFTが、少なくともゲート電極、絶縁層(ゲート絶縁膜を含む)、有機半導体層、ソース電極及びドレイン電極からなり、有機半導体層が、絶縁層、ゲート絶縁膜、ソース電極及びドレイン電極のいずれかからなる同一高さ又は略同一高さの凸部上に形成されていることを特徴とする。
図10は、有機TFTシートの一例を示す概略の等価回路図である。有機TFTシート80は、マトリクス配置された多数の有機TFT81を有し、ゲート電極のゲートバスライン82とソース電極のソースバスライン83が縦横に延びている。各有機TFT81のドレイン電極には出力素子84が接続され、この出力素子84は、例えば液晶表示素子等であり、抵抗とコンデンサ85からなる等価回路で示されている。出力素子84毎の領域は、表示装置の画素を構成している。なお、符号86は水平駆動回路であり、符号87は垂直駆動回路である。
図11は、一つの画素に形成された有機TFTの電極配置と、その電極配置に対する有機半導体層の形成部位を示す平面図である。図11において、(a)はドレイン電極6に電極付加部6aを設けた態様であり、(b)はソース電極5に電極付加部5aを設けた態様であり、(c)はゲート電極2に電極付加部2aを設けた態様である。図11中のクロスハッチングは、ゲート電極2、ソース電極5及びドレイン電極6からなる電極パターンに対する有機半導体層4の形成部位であり、有機半導体層4は、ゲート電極2、ソース電極5及びドレイン電極6aの3つの電極に平面視で重なるように形成されている。有機半導体層4の形成部位は、本発明の有機TFTの作製方法において有機半導体層4が転写される凸部の形成部位に相当する。
図12は、有機TFTを有する画素がマトリクス状に配列された場合の有機半導体層の形成部位の一例を示す平面図である。この図は、図11(b)のパターン形状で形成したものである。本発明の有機TFTの作製方法においては、上述したように、被転写体に形状精度と位置精度がよい凸部を形成し、その凸部上のみに、転写体に形成した有機半導体層4を密着加熱して転写するので、従来技術のようなレーザーを使用せず更には正確なアライメントを行わなくても、有機半導体層4を所定の部位に容易且つ精度よく形成することができる。その結果、製造設備や製造コストの低い、フレキシブルなアクティブ駆動素子の作製が可能となる。その結果、液晶表示装置のアクティブ駆動素子や、有機EL素子のアクティブ駆動素子として利用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
(実施例1)
被転写体11の作製:厚さ100μmのPETフィルムからなる基板1上に、フォトリソグラフ用の感光性レジストを形成した後、Tiをスパッタリングで成膜し、その後リフトオフ法により幅50μmで厚さ500nmのTiゲート電極2を形成した。次いで、その上に、カルドアクリル系のネガレジスト材料(新日鉄化学製のV259PA/PH5)20%溶液(溶媒:PEGMIA)をスクリーン印刷により塗布し、その後、90℃・30分のプレベークと光照射及びアルカリ現像とを行ってパターニングし、ゲート絶縁膜となるプレベーク層を形成した。ゲート電極2上のプレベーク層は、ゲート電極2が形成されていない部位のプレベーク層よりも、高さ200nm突出する凸部C1を有していた。なお、スクリーン印刷は、500線で乳剤厚1.7μmのスクリーン版を使用し、スキージ圧:0.176Pa、スキージ速度:295mm/secで行った。
転写体50の作製:厚さ75μmのPETフィルムからなる基板51上に、PETA(ペンタエリスリトールトリアクリレート)20wt%とイルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ株式会社)2wt%と溶媒(MEK:MIBK=1:1)とからなる離型層形成用塗布液をダイコートで塗布した後、窒素雰囲気中でUV照射して、厚さ0.9μmの離型層を形成した。その後、離型層上に、ポリビニールアルコールからなる保護層形成用塗布液をダイコートで塗布して、厚さ200nmの保護層7aを形成した。更に、その保護層7a上に有機半導体層形成用塗布液を塗布して厚さ100nmの有機半導体層4を形成した。有機半導体層形成用塗布液は、P3HT(regioregular型ポリ−(3−ヘキシルチオフェン))をトルエンに0.7wt%溶解させたものであり、離型層上にスピンコートして有機半導体層4を成膜した。こうしてシート状の転写体50を作製した。
転写:得られた被転写体11上に、得られた転写体50を載せ、その上から圧力:3MPa/cm、温度:80℃の条件でプレス加熱することによって、被転写体11のプレベーク層の凸部C1上のみに、転写体50の有機半導体層4と保護層7aを転写した。その後、220℃・30分のポストベークを行って、上記プレベーク層をゲート絶縁膜3にした。
有機TFTの作製:ソース電極5とドレイン電極6は、チャネル長50μm、チャネル幅1000μmとなるように設計されたマスクを用いて、膜厚約250nm程度になるように金を蒸着(蒸着レートは0.4Å/s)して形成した。次いで、窒化シリコンからなる保護層7bをCVD法により全体を覆うように形成した。こうして本発明の第1形態に係るボトムゲート・トップコンタクト構造の有機TFTを作製した。
(実施例2)
被転写体21の作製:厚さ100μmのPETフィルムからなる基板1上に、フォトリソグラフ用の感光性レジストを形成した後、Tiをスパッタリングで成膜し、その後リフトオフ法により幅50μmで厚さ500nmのTiゲート電極2を形成した。次いで、その上に、カルドアクリル系のネガレジスト材料(新日鉄化学製のV259PA/PH5)20%溶液(溶媒:PEGMIA)を厚さ350μmとなるようにスピンコートし、光照射とポストベークを行って硬化させた。その後、さらに、前記と同じネガレジスト材料を厚さ350μmとなるようにスピンコートした後、90℃・30分のプレベークと光照射及びアルカリ現像とを行ってパターニングし、ゲート絶縁膜となるプレベーク層を形成した。ゲート電極2上のプレベーク層は、ゲート電極2が形成されていない部位のプレベーク層よりも高さ200nm突出する凸部C2を有すると共に、その凸部C2には、チャネル長50μm、チャネル幅1000μmとなるように形成された深さ250nm程度の凹部9,9をパターニングにより形成した(図4(D)を参照)。次いで、金蒸着(0.4Å/s)により凹部9,9に金を充填させて、ソース電極5とドレイン電極6を形成した。こうして転写体21を作製した。
転写体50の作製及び転写:転写体50は、上記実施例1と同じシート状の転写体50を用いた。上記のようにして得られた被転写体21上に、転写体50を載せ、その上から圧力:3MPa/cm、温度:80℃の条件でプレス加熱することによって、被転写体21のプレベーク層の凸部C2上のみに、転写体50の有機半導体層4と保護層7aを転写した。その後、220℃・30分のポストベークを行って、上記プレベーク層をゲート絶縁膜3にした。
有機TFTの作製:最後に、窒化シリコンからなる保護層7bをCVD法により全体を覆うように形成して、本発明の第2形態に係るボトムゲート・ボトムコンタクト構造の有機TFTを作製した。
(実施例3)
被転写体31の作製:厚さ100μmのPETフィルムからなる基板1上に、カルドアクリル系のネガレジスト材料(新日鉄化学製のV259PA/PH5)20%溶液(溶媒:PEGMIA)を厚さ1μmとなるようにスピンコートした後、90℃・30分のプレベークと光照射及びアルカリ現像とを行ってパターニングし、基板1面から高さ200nm突出する凸部C3をなすプレベーク層を形成した。
転写体50の作製及び転写:転写体50は、上記実施例1と同じシート状の転写体50を用いた。上記のようにして得られた被転写体31上に、転写体50を載せ、その上から圧力:3MPa/cm、温度:80℃の条件でプレス加熱することによって、被転写体31のプレベーク層の凸部C3上のみに、転写体50の有機半導体層4と保護層7aを転写した。その後、220℃・30分のポストベークを行って、上記プレベーク層を絶縁層8にした。
有機TFTの作製:ソース電極5とドレイン電極6は、チャネル長50μm、チャネル幅1000μmとなるように設計されたマスクを用いて、膜厚約250nm程度になるように金を蒸着(蒸着レートは0.4Å/s)して形成した。次いで、その上にアクリル系の樹脂(JNPC−48GL:JSR社製)をスピンコートで厚さ1μmとなるように形成し、窒素雰囲気中でUVを照射して硬化させた。さらにその後、マスクを使用した条件下でTiをスパッタリングで成膜し、その後リフトオフ法により幅50μmで厚さ500nmのTiゲート電極2を形成した。最後に、窒化シリコンからなる保護層7bをCVD法により全体を覆うように形成した。こうして本発明の第3形態に係るトップゲート・トップコンタクト構造の有機TFTを作製した。
(実施例4)
被転写体41の作製:厚さ100μmのPETフィルムからなる基板1上に、カルドアクリル系のネガレジスト材料(新日鉄化学製のV259PA/PH5)20%溶液(溶媒:PEGMIA)を厚さ1μmとなるようにスピンコートした後、90℃・30分のプレベークと光照射及びアルカリ現像とを行ってパターニングし、基板1面から高さ200nm突出する凸部C4をなすプレベーク層を形成した。次いで、そのプレベーク層に開口部を形成した後、金蒸着(0.4Å/s)を行って、その開口部にソース電極5とドレイン電極6を充填した。
転写体60の作製:厚さ75μmのPETフィルムからなる基板51上に、PETA(ペンタエリスリトールトリアクリレート)20wt%とイルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ株式会社)2wt%と溶媒(MEK:MIBK=1:1)とからなる離型層形成用塗布液をダイコートで塗布した後、窒素雰囲気中でUV照射して、厚さ0.9μmの離型層を形成した。離型層上に、ポリビニールアルコールからなる保護層形成用塗布液をダイコートで塗布して、厚さ200nmの保護層(図示しない)を形成し、その後厚さ500nmのTiをスパッタリングしてゲート電極2を成膜した後、カルドアクリル系のネガレジスト材料(新日鉄化学製のV259PA/PH5)20%溶液(溶媒:PEGMIA)をスピンコートにより塗布し、その後、220℃・30分のポストベークを行いゲート絶縁膜3を形成した。その後、P3HT(regioregular型ポリ−(3−ヘキシルチオフェン))をトルエンに0.7wt%溶解させた有機半導体層形成用塗布液をスピンコートして有機半導体層4を成膜した。こうしてシート状の転写体60を作製した。
転写:得られた被転写体41上に、得られた転写体60を載せ、その上から圧力:3MPa/cm、温度:80℃の条件でプレス加熱することによって、被転写体41のプレベーク層の凸部C4上のみに、転写体60の有機半導体層4とゲート絶縁膜3とゲート電極2と保護層とがその順に積層されるように転写した。
有機TFTの作製:転写後、220℃・30分のポストベークを行って、被転写体41に形成されたプレベーク層を絶縁層8にした。その後、最後に、窒化シリコンからなる保護層7bをCVD法により全体を覆うように形成した。その後、最上層のゲート電極2を幅50μmで厚さ500nmのゲート電極2とし、最後に、窒化シリコンからなる保護層7bをCVD法により全体を覆うように形成した。こうして本発明の第4形態に係るトップゲート・ボトムコンタクト構造の有機TFTを作製した。
本発明の第1実施形態に係る有機TFTの作製方法により得られたボトムゲート・トップコンタクト構造からなる有機TFTの一例を示す概略断面図である。 本発明の第1実施形態に係る有機TFTの作製方法の一例を示す工程図である。 図3は、本発明の第2実施形態に係る有機TFTの作製方法により得られたボトムゲート・ボトムコンタクト構造からなる有機TFTの一例を示す概略断面図である。 本発明の第2実施形態に係る有機TFTの作製方法の一例を示す工程図である。 本発明の第3実施形態に係る有機TFTの作製方法により得られたトップゲート・トップコンタクト構造からなる有機TFTの一例を示す概略断面図である。 本発明の第3実施形態に係る有機TFTの作製方法の一例を示す工程図である。 図7は、本発明の第4実施形態に係る有機TFTの作製方法により得られたトップゲート・ボトムコンタクト構造からなる有機TFTの一例を示す概略断面図である。 本発明の第4実施形態に係る有機TFTの作製方法の一例を示す工程図である。 本発明で使用するシート状の転写体の例を示す概略断面図である。 有機TFTシートの一例を示す概略の等価回路図である。 種々の電極配置に対する凸部形成を示す平面図である。 有機TFTを有する画素がマトリクス状に配列された場合の有機半導体層の形成部位の一例を示す平面図である。
符号の説明
1 基板
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁膜
4 有機半導体層
5 ソース電極
6 ドレイン電極
7,7a,7b 保護層
8 絶縁層
9 凹部
10,20,30,40 有機TFT
11,21,31,41 被転写体
50,60 転写体
80 有機TFTシート
81 有機TFT
82 ゲートバスライン
83 ソースバスライン
84 出力素子
85 コンデンサ
86 水平駆動回路
87 垂直駆動回路
2a ゲート電極の電極付加部
5a ソース電極の電極付加部
6a ドレイン電極の電極付加部

Claims (10)

  1. 基板上に少なくともゲート電極及びゲート絶縁膜がその順で形成されており当該ゲート電極上の当該ゲート絶縁膜が凸部を成している被転写体を準備する工程と、
    少なくとも有機半導体層が形成されている転写体を準備する工程と、
    前記被転写体と前記転写体とを密着加熱して前記凸部上のみに前記有機半導体層を転写する工程と、
    転写された前記有機半導体層上にソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、を有することを特徴とする有機トランジスタの作製方法。
  2. 基板上に少なくともゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極及びドレイン電極が形成されている被転写体であって、前記ゲート電極上の前記ゲート絶縁膜が凸部を成しており、当該凸部に小さい2つの凹部が形成され、当該各凹部に前記ソース電極と前記ドレイン電極がそれぞれ形成されている被転写体を準備する工程と、
    少なくとも有機半導体層が形成されている転写体を準備する工程と、
    前記被転写体と前記転写体とを密着加熱して、前記ソース電極と前記ドレイン電極が形成されている前記凸部上のみに、前記有機半導体層を転写する工程と、を有することを特徴とする有機トランジスタの作製方法。
  3. 基板上に少なくとも絶縁層が形成されており、当該絶縁が凸部を成している被転写体を準備する工程と、
    少なくとも有機半導体層が形成されている転写体を準備する工程と、
    前記被転写体と前記転写体とを密着加熱して前記凸部上のみに前記有機半導体層を転写する工程と、
    転写された前記有機半導体層上にソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、
    その上に少なくともゲート絶縁膜とゲート電極をその順で形成する工程と、を有することを特徴とする有機トランジスタの作製方法。
  4. 基板上に少なくともソース電極及びドレイン電極が形成されており、当該ソース電極と当該ドレイン電極との間を埋めるように絶縁層が形成されて凸部を成している被転写体を準備する工程と、
    少なくとも有機半導体層が形成されている転写体を準備する工程と、
    前記被転写体と前記転写体とを密着加熱して前記凸部上のみに前記有機半導体層を転写する工程と、
    その上に少なくともゲート絶縁膜及びゲート電極をその順で形成する工程と、を有することを特徴とする有機トランジスタの作製方法。
  5. 前記転写体が、基板上に少なくとも保護層及び前記有機半導体層がその順で形成されてなるものであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の有機トランジスタの作製方法。
  6. 前記転写体が、基板上に少なくともゲート電極、ゲート絶縁膜及び前記有機半導体層がその順で形成されてなるものであることを特徴とする請求項に記載の有機トランジスタの作製方法。
  7. 前記凸部を成す前記ゲート絶縁膜又は前記絶縁層が架橋性のレジスト材料からなり、前記ゲート絶縁膜又は前記絶縁層は、前記被転写体準備工程において前記ゲート電極上に当該レジスト材料を塗布した後にプレベークまで行ってプレベーク層を形成し、前記転写工程後に前記プレベーク層をポストベークして形成されることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の有機トランジスタの作製方法。
  8. 請求項1、2、4のいずれかに記載の有機トランジスタの作製方法により作製された、少なくともゲート電極、絶縁層(ゲート絶縁膜を含む)、有機半導体層、ソース電極及びドレイン電極からなる有機トランジスタであって、
    前記有機半導体層が、前記ゲート電極を覆うように形成されて凸部を成している前記ゲート絶縁膜、前記ゲート電極を覆うように形成されて凸部を成していると共に当該凸部に2つの凹部が形成され当該各凹部に前記ソース電極及び前記ドレイン電極がそれぞれ形成されている前記ゲート絶縁膜、及び、基板上に前記ソース電極及び前記ドレイン電極が形成されており当該ソース電極と当該ドレイン電極との間を埋めるように前記絶縁層が形成されて成る凸部、のいずれかからなる凸部上に形成されていることを特徴とする有機トランジスタ。
  9. 請求項3に記載の有機トランジスタの作製方法により作製された、基板と、当該基板上に形成されて凸部を成している絶縁層と、当該凸部上のみに形成された有機半導体層と、当該有機半導体層上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、それらを覆うように形成されたゲート絶縁膜と、当該ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、を有することを特徴とする有機トランジスタ。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の有機トランジスタの作製方法により作製された有機トランジスタがシート状基板の上にマトリクス配置された有機トランジスタシートであって、当該有機トランジスタが、少なくともゲート電極、絶縁層(ゲート絶縁膜を含む)、有機半導体層、ソース電極及びドレイン電極からなり、前記有機半導体層が、前記ゲート電極を覆うように形成されて凸部を成している前記ゲート絶縁膜、前記ゲート電極を覆うように形成されて凸部を成していると共に当該凸部に2つの凹部が形成され当該各凹部に前記ソース電極及び前記ドレイン電極がそれぞれ形成されている前記ゲート絶縁膜、基板上に前記ソース電極及び前記ドレイン電極が形成されており当該ソース電極と当該ドレイン電極との間を埋めるように前記絶縁層が形成されて成る凸部、及び、基板上に形成されて凸部を成している前記絶縁層、のいずれかからなる同一高さ又は略同一高さの凸部上に形成されていることを特徴とする有機トランジスタシート。
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