JP4857510B2 - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録ヘッドのインクノズル内からインクを吸引することにより吐出状態の回復を行うインクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタにおいては、インクを記録シートに吐出するインクノズルが、記録ヘッドの一面(ノズル面)に備えられている。この記録ヘッドには、インクの粘度の増大、インクの固着によるインクノズルの目詰まり、あるいはインクノズルに通じる液路内に発生した気泡やごみ等による目詰まりを回復するために、記録ヘッドのノズル面をキャップ部材で密閉するように覆い、該キャップ部材を介して吸引ポンプで吸引することにより、インクノズル内に残留している気泡をインクとともに吸引除去したり、ノズル面に付着したごみ等を除去したりするメンテナンスが行われている。
【0003】
通常、キャップ部材を記録ヘッドから取り外した際には、ノズル面にインク滴が多数残留してしまう。このインク滴がノズル面に残ったままであると、明瞭な印刷が行えない。このため、キャップ部材離脱後においては、弾性を有するブレードをノズル面に当接させることで、ノズル面を拭き取り清掃している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ノズル面をブレードで拭き取り清掃する以前に、インクノズル付近にインク滴が残留していると、このインク滴が毛細管現象によりノズル内に吸い込まれる際に、空気を含んで吸い込まれてしまうことがあり、その後の印刷において、欠ノズルが発生したり、吐出曲がりなどの吐出不良が発生したりして、印刷画像が不明瞭になってしまう虞がある。
【0005】
また、ノズル面に残留するインク滴の拭き取り後に、ブレードをそのままにしておくと、ブレードは劣化してしまうために、拭き取り後にはその都度、清掃が必要であるが、ノズル面にインク滴が多量に残っていると、例えば、吸収体などでブレードを清掃する場合、この吸収体の寿命を短くしてしまうこととなる。
【0006】
このため、例えば、ノズル面がキャップ部材により覆われた状態で、キャップ部材の離間動作が一端から離間を開始し徐々に他端まで離間する構成や、ノズル面が斜め下方を向くように記録ヘッドを配置し、このノズル面を下方からキャップ部材が覆う構成にし、キャップ部材の離脱に関する全動作(キャップ部材がノズル面からの離間動作を開始し待機位置まで戻るまでの動作)を低速とすれば、ノズル面に残留するインク滴は、インクの凝集力や、インクとノズル面、キャップ部材との撥水現象により、ノズル面やキャップ部材に沿って集まる。そして、インク滴の多くはノズル面の後ら離間する端部や、キャップ部材に集まるので、インクノズル近傍にインク滴が残ることを防止できるが、キャップ部材の離間に関する動作が低速となるため、記録ヘッドのメンテナンスにかかる時間が増加してしまう。
【0007】
本発明の課題は、キャップ離脱におけるノズル面のインク残留量を抑えるとともに、最適な速度でキャップ離脱を行うことで、効率的に記録ヘッドのメンテナンスを行えるインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、
インクの吐出口と、前記吐出口に連通するインクの流路とを有するヘッドと、インクを前記吐出口から吸引する際に、前記吐出口を覆うキャップ部材と、
前記吐出口からインクを吸引する吸引手段と、
前記吐出口を覆う位置と該位置から離間された待機位置との間で、前記キャップ部材を移動させる移動手段と、
前記移動手段による前記キャップ部材の前記吐出口を覆う位置から前記待機位置への離間移動速度を、前記キャップ部材が前記吐出口を覆う位置から前記キャップ部材の一端側が前記吐出口から離れる位置か、若しくは前記吐出口から離れる直前の位置へ移動する初期移動段階の移動速度を、前記初期移動段階の後に前記キャップ部材の他端側が前記吐出口を覆う位置から完全に離間する位置か、若しくは前記吐出口を覆う位置から完全に離間した直後の位置へ移動する離間移動段階の移動速度よりも速くする離間移動速度制御手段とを有することを特徴としている。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、離間速度制御手段が、吐出口を覆う位置から、ヘッドから離間した待機位置まで、移動手段によって、キャップ部材が移動させられる際の離間移動速度を可変可能としているので、前記移動時の離間移動速度を可変とすることができる。したがって、メンテナンス後のキャップ部材の全離間動作をインクの凝集力(液体がまとまろうとする力)が維持される速度(インクが凝集することが可能な速度)で動作させなくても、インクの残留量を抑えることができ、かつ、効率的にキャップ部材の離脱を行うことができる。
【0010】
ここで、上述の「離間した所定の位置」とは、ヘッドの移動の邪魔にならない距離以上に離した位置であり、例えば、キャップ部材を使用しない状態での待機位置である。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記移動手段による前記キャップ部材の前記吐出口を覆う位置から前記待機位置への離間の際、
前記離間速度制御手段は、前記吐出口からの前記キャップ部材の離間移動を、前記初期移動段階と、前記離間移動段階と、該離間移動段階の後に、前記キャップ部材が前記待機位置まで移動する最終移動段階とに分けて離間移動速度を制御するとともに、
前記離間移動段階よりも、前記初期移動段階および前記最終移動段階のほうが、速い離間移動速度となるように制御することを特徴としている。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、離間速度制御手段が、キャップ部材の離間移動を初期移動段階と離間移動段階と最終移動段階とに分けて、離間移動速度を制御しているので、離間移動段階の移動速度をインクの凝集力が維持される速度に設定し、該速度でキャップ部材と吐出口とを離間することができる。つまり、インクの凝集力が維持される速度であれば、吸引後にキャップ部材と吐出口との間に残るインクは、吐出口を有したヘッドの一面(ノズル面)とキャップ部材とに沿って集まり、この両者が完全に離間すると、前記インクは、最後に離間する部分でまとまることとなる。すなわち、最終的にインクが残らない位置にだけ、インクノズルを設けておけば、吸引後に吐出口に、余計なインクや気泡が吸い込まれることは、防止でき、明瞭な印刷を行うことができる。
なおかつ、離間速度制御手段が、前記離間移動段階よりも、初期移動段階および最終移動段階のほうが、速い離間移動速度となるように制御しているので、キャップ部材の全離間動作が、インクの凝集力を維持する速度、つまり低速になることはなく、メンテナンスにかかる時間を極力抑えることができる。
【0015】
なお、キャップ部材の一端側が吐出口から離れる位置とは、吐出口を覆った状態が解除され、キャップ部材と吐出口の両者間に大気が連通される位置のことをいう。つまり、大気が連通しているために吸引が不可能となる位置のことである。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のインクジェットプリンタにおいて、
インク温度を測定するか、もしくは測定された温度から前記インク温度を推定可能な温度測定手段を備え、
前記離間速度制御手段は、前記温度測定手段に測定もしくは推定される温度に基づいて、前記離間移動段階における前記離間移動速度を決めることを特徴としている。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、離間速度制御手段が、温度測定手段により測定もしくは推定される温度に基づいて、離間移動段階における離間移動速度を決めているので、その温度時のインクの粘度に適した離間移動速度に変更することができる。このため、温度変化によるインクの粘度変化に対応して離間移動速度を変更することができる。一般に、インクは、温度が低温となると粘度が増加する傾向にあり、粘度が増加するとその凝集力は低下し、集まる速度が遅くなってしまう。インクの温度は、起動時に低く、動作するにしたがって、プリンタ動作による発熱などの影響で、ある範囲内で徐々に高温となる。つまり、このような構成であれば、インクジェットプリンタの動作中においても、温度変化に対応した最適な離間移動速度で記録ヘッドのメンテナンスを行うことができる。
【0018】
温度測定手段は、吐出口から吐出されるインクの温度が測定もしくは推定できるのであれば如何なる測定法でもよい。例えば、流路内部に温度センサーを設け、インク温度を直接測定する方法でもよいし、吐出口近傍の外気を測定し、その外気温を基にインクの温度を推定する方法でもよい。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項2記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記離間速度制御手段は、インクの物性に基づいて、前記離間移動段階における前記離間移動速度を決めることを特徴としている。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、離間速度制御手段が、インクの物性に基づいて、離間移動段階における離間移動速度を決めているので、インクの物性(粘度や表面張力など)に応じて、そのインクに適した離間移動速度に変更することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、図1〜図9の図面を参照しながら説明する。
【0022】
本実施の形態で例示されるインクジェットプリンタ1は、記録紙にインクを吐出し印刷を行うものであり、その印刷を行う部分の主要構成は、図1に示すように、記録紙2を印刷時に前方へ搬送させる搬送手段(図示省略)と、前記記録紙2にインクを吐出する記録ヘッド(ヘッド)3と、複数色毎の記録ヘッド3を収納するキャリッジ4と、前記記録ヘッド3のメンテナンスを行うメンテナンスユニット5と、印刷時あるいはメンテナンス時などにキャリッジ4を水平方向(矢印A)に沿って案内するガイドレール6と、前記キャリッジ4の待機所となるホームポジション7と、これら各部の制御を行う制御部(離間速度制御手段)30(図2)とを備えている。
【0023】
搬送手段は、印刷時において、キャリッジ4の動作にタイミングを合わせて、記録紙2を印刷領域9上で搬送し、印刷の終了に応じて、記録紙2は、印刷領域9から下方(矢印B)に向かって搬送される。
【0024】
記録ヘッド3は、図3に示すように、ヘッド基板10に、インクを吐出するインク吐出本体部11と、該インク吐出本体部11近傍で温度を測る温度センサー(温度測定手段)12と、フレキシブルケーブルが接続され、これらインク吐出本体部11と温度センサー12に信号の入出力を行うフレキケーブル接続部13などを設置した構成となっている。そして、インク吐出本体部11には、インクを吐出する吐出口14が、記録紙2に対向する面(ノズル面15)のセンターラインに沿って複数設けられており、この吐出口14は、インクノズル(流路)に連通している。また、記録ヘッド3は、ノズル面15の一端が他端よりも下となるように傾いた状態でキャリッジ4に設置されている。(図4)
【0025】
温度センサー12は、インク吐出本体部11近傍の気温あるいは、ヘッド基板10の温度を測定するものであり、制御部30のインターフェイス31と電気的に接続している。(図2)
なお、ここでは、吐出口14から吐出されるインクの温度を推定するために、温度センサー12を吐出口14の近傍となる位置、つまりヘッド基板10のインク吐出本体部11近傍に設置しているが、吐出口14から吐出されるインクの温度を推定できるのであれば、如何なる場所に設置してもよい。例えば、インクノズル内部やインク吐出本体部11内部に温度センサーを設ける構成とすれば、より正確にインクの温度を測定することができる。
【0026】
キャリッジ4には、図1に示すように、記録ヘッド3が、各色(イエロー、ライトイエロー、マゼンダ、ライトマゼンダ、シアン、ライトシアン、ブラック、ライトブラック)に応じて複数設けられている。
【0027】
メンテナンスユニット5は、吐出口14を覆って、該吐出口14からインクを吸引する吸引キャップ(キャップ部材)16と、該吸引キャップ16によるインクの吸引が行われた後に、ノズル面15に残るインクを拭き取るブレード部17と、該ブレード部の清掃を行うブレードクリーナー部37(図7)とを備えている。
【0028】
吸引キャップ16は、図4〜図6に示すように、複数(本実施の形態では2個)並んで設けられており、メンテナンス時において、一度に複数個の記録ヘッド3のインク吸引を行うことを可能としている。この吸引キャップ16には、記録ヘッド3のノズル面15の周囲を覆うとともに、密閉性を保つために弾性を有するリップ部19が備えられている。さらに、この吸引キャップ16の背面には、吸引キャップ16とノズル面15により形成された空間内部を吸引する吸引ポンプ(吸引手段)20、大気連通弁21が連結されており、この吸引ポンプ20が、吸引キャップ16により覆われ密閉された状態のノズル面15を、吸引キャップ16を介して吸引する。そして、吸引ポンプ20によって吐出口14から吸引されたインクは、廃インクタンク22に排出される。
また、この吸引キャップ16は、吸引後にノズル面15から離間する際において、一方の端部側から先に離間させて徐々に他方の端部まで離間させる構成となっている。そして、この吸引キャップ16は、側面視略L字状の支持片18により支持され、記録ヘッド3のノズル面15とほぼ対向された状態に配置されている。
なお、本実施の形態では、吸引手段として吸引ポンプ20を例示しているが、吐出口14からインクを吸引するものであれば、如何なるものでもよく、例えば、ピストンやシリンダなどが挙げられる。
【0029】
支持片18は、吸引キャップ16を支持する本体部23と、該本体部23の下端から直角に延出する延出部24とから構成されており、本体部23と延出部24の接合部分25で回動可能に軸支されている。そして、延出部24には、略楕円形状のカム(移動手段)26が接触している。カム26は、回動することで、支持片18を回動させ、それに伴って、吸引キャップ16を記録ヘッド3のノズル面15に着脱させる。
【0030】
このカム26のカム駆動軸27は、図2に示すように、モータなどのカム駆動部28に接続されており、このカム駆動部28の回転に伴って駆動する。そして、このカム駆動部28は、制御部30と電気的に接続されており、該制御部30の制御に基づいて、その回転速度が変更可能とされている。つまり、カム26の回動する速度は、制御部30の制御に基づいて設定されている。また、このカム駆動部28によって、吸引キャップ16を、記録ヘッド3と離間した所定の位置(待機位置)と、ノズル面15を覆って密閉した位置との間で移動させている。
【0031】
また、カム26には、カム26の回動角度を検知するカムセンサー29が設けられており、制御部30のインターフェイス31と電気的に接続されている。このカムセンサー29の回動角度の検知によって、吸引キャップ16の移動位置を検知している。
このカムセンサー29としては、カム26の回動角度を検知するのであれば如何なるものでもよく、例えば、カム26の回動角度を直接検知するものや、カム駆動部28の回転数もしくはカムの駆動軸の回動角度を検知し、その検知した値を基にカム26の回動角度を導出するもの(エンコーダ等)などが挙げられる。
また、カム26の回動角度を検知しなくとも、直接吸引キャップ16の移動位置を検知するセンサーを吸引キャップ16や支持片18、あるいはこれらの周囲に設ける構成でもよい。
【0032】
ブレード部17は、図7に示すように、弾性体で形成され、吸引キャップ16によるインク吸引の終了後に、ノズル面15に残留するインクを拭き取るブレード本体35と、該ブレード本体35を支持し、上下動(矢印E)させるブレード可動部36とを備えている。
【0033】
ブレードクリーナー部37は、メンテナンスユニット5の内部に設置されており、ブレード本体35のインクを吸収し拭き取るインク吸収体38と、該インク吸収体38を保持する吸収体保持部39とを備えている。
【0034】
ホームポジション7には、図1に示すように、ノズル面15を保湿する保湿キャップ8が、記録ヘッド3と同数設けられており、キャリッジ4の待機中においては、記録ヘッド3のノズル面15を覆って密閉している。
【0035】
制御部30は、図2に示すように、インターフェイス31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33、CPU(Central Processing Unit)34等から構成され、ROM32中に書き込まれている制御プログラムや制御データに従いインターフェイス31に接続された各種機器を制御するようになっている。
【0036】
インターフェイス31には、カム26などを駆動させるカム駆動部28、ガイドレール6に沿ってキャリッジ4を案内するキャリッジ駆動部40、キャリッジ4の位置を検出するキャリッジセンサー41、ブレード部17のブレード本体35の位置を検出するブレードセンサー42、温度センサー12、カムセンサー29、吸引ポンプ20、大気連通弁21が電気的に接続されている。
【0037】
ROM32には、インクジェットプリンタの各部の動作に関する各種制御プログラムや制御データ、メンテナンス時におけるカム駆動部28の回転速度データなどが書き込まれている。
【0038】
このROM32に格納される回転速度データについて説明すると、この回転速度データには、インクの凝集力に対応した離間移動速度データと、該離間移動速度データよりも高速に設定された移動速度データとの二種類が用意されている。
【0039】
離間速度データは、温度によって変化するインクの粘度を基準として決定されている。
図8は、インクの種類毎(Y:イエロー、LY:ライトイエロー、M:マゼンダ、LM:ライトマゼンダ、C:シアン、LC:ライトシアン、K:ブラック、LK:ライトブラック)の温度による粘度変化を表す温度−粘度線図である。このように、インクは、温度上昇に伴って粘度が減少するという特性を備えている。一般的に、粘度が高いとインクの凝集力は弱く、粘度が低いとインクの凝集力は強まっている。凝集力が強ければ、メンテナンス時における、吸引キャップ16とノズル面15との離間移動速度が速くとも、インクは凝集し、また、反対に凝集力が弱ければ、吸引キャップ16とノズル面15との離間移動速度を遅くすることで、インクの凝集は可能となる。つまり、インクの温度に基づいた粘度から、インクが凝集できる離間移動速度を決定し、これを基に離間速度データを設定している。
【0040】
移動速度データは、離間速度データよりも速い値が設定されている。特に、離間速度データの最も速い速度値よりも高速にしておけば、メンテナンス時にかかる時間をより短縮することができる。
【0041】
そして、本実施の形態の場合では、吸引キャップ16の離間動作を、吸引キャップ16が吐出口14を覆う位置(第一の位置)から吸引キャップ16の一端側が吐出口14から離れ、両者間に大気が連通する位置(第二の位置)まで移動する初期移動段階と、該初期移動段階の後に吸引キャップ16の他端側が、吐出口14を覆う位置から完全に離間する位置(第三の位置)まで移動する離間移動段階と、該離間移動段階の後に、吸引キャップ16が待機位置まで移動する最終移動段階とに分けて、段階毎に回転速度データを変更している。具体的には、初期移動段階と最終移動段階の離間移動速度は、インクが凝集することに直接関係しない動作であるので、移動速度データに基づいて設定されており、離間移動段階の離間移動速度は、インクの凝集に直接関係する動作であるので、離間移動速度データに基づいて設定されている。
ここで、第二の位置は、吸引キャップ16の一端側が吐出口14から離れ、両者間に大気が連通する位置としているが、吸引キャップ16の一端側と吐出口14とが離れる直前の位置であってもよい。ここで直前の位置とは、第一の位置から所定の距離だけ吸引キャップ16が移動した位置のことをいう。また、第三の位置は、吸引キャップ16の他端側が、吐出口14を覆う位置から完全に離間する位置位置としているが、吸引キャップ16の他端側が吐出口14を覆う位置から完全に離間した直後の位置であってもよい。
このように、前記離間移動段階よりも、初期移動段階および最終移動段階のほうが、速い離間移動速度となるように制御されているので、キャップ部材の全離間動作が、インクの凝集力を維持する速度、つまり低速になることはなく、メンテナンスにかかる時間を極力抑えることができる。
【0042】
なお、本実施の形態において、実際の密閉の解除は、大気連通弁21で行われているが、ここでの密閉の解除とは、仮に大気連通弁21がないものとした場合に、吸引キャップ16の離間動作に応じて、吸引キャップ16とノズル面15との間に大気が連通し、密閉が解除されることを示している。つまり、上記第二の位置は、吸引キャップ16が密閉を解除する位置のことを示している。
【0043】
RAM33は、電力が供給されている間だけ入力されたデータを複数記憶可能であり、各種データの記憶領域とCPU34による作業領域などが備えられている。また、このRAM33には、CPU34によって、温度センサー12により測定された温度に応じて、ROM32から回転速度データが読み込まれて格納される。
【0044】
CPU34は、ROM32に格納されている各種プログラムの中から指定されたプログラムを、RAM33内の作業領域に展開し、各センサーからの入力信号に応じて、プログラムに従った各種処理を実行する。
【0045】
この制御部30は、インクジェットプリンタ1の動作全体を制御するものであるが、ここでは、記録ヘッド3のメンテナンスに際して行われる制御手順について、図9を参照にして説明する。
【0046】
先ず、メンテナンスが開始されると、記録ヘッド3が吸引キャップ16まで移動する際の、キャリッジ4の移動速度と移動方向をセットする。(ステップS1)
このセットされた移動速度と移動方向に基づいて、キャリッジ駆動部40を駆動させ、キャリッジ4を移動(ステップS2)させる。そして、キャリッジセンサー41によりキャリッジ4が吸引位置まで移動したことを検知するまで、キャリッジ4を移動させ(ステップS3)、検知すると、キャリッジ駆動部40を停止し、キャリッジ4を停止させる。(ステップS4)
【0047】
キャリッジ4が吸引位置で停止すると、吸引キャップ16が記録ヘッド3のノズル面15まで移動する際の移動速度と移動方向をセットする。この際、吸引キャップ16の移動速度は、移動速度データ(高速)に基づいて設定される。(ステップS5)
このセットされた移動速度と移動方向に基づいて、カム駆動部28を駆動させ、吸引キャップ16を移動させる。(ステップS6)そして、カムセンサー29により吸引キャップ16が吸引位置まで移動したことを検知するまで、カム駆動軸27を駆動させ(ステップS7)、検知すると、カム駆動軸27を停止し、吸引キャップ16の移動を停止させる。このとき、吸引キャップ16は、記録ヘッド3のノズル面15を密閉し、吐出口14を覆った状態となっている。(ステップS8)
【0048】
この状態で、吸引ポンプ20の作動は開始され、吐出口14からインクの吸引を行う。(ステップS9)この吸引は、所定時間経過するまで行われて(ステップS10)、さらに所定回数繰り返される。(ステップS11)
このように、所定時間の吸引が所定回数行われると、吸引ポンプ20は停止される。(ステップS12)
【0049】
吸引ポンプ20が停止すると、温度センサー12から温度データを入力し(ステップS13)、その温度に基づいた離間速度データを選択し、離間移動段階の吸引キャップ16の離間移動速度を設定する。(ステップS14)
【0050】
その後、大気連通弁21は開かれて、吸引キャップ16とノズル面15とを離間しやすい状態にする。(ステップS15)
【0051】
そして、上記第一の位置から上記第二の位置までの吸引キャップ16の離間移動速度を、移動速度データ(高速)に基づいて設定し(ステップS16)、この設定された速度に基づく回転速度でカム駆動部28を駆動させ、吸引キャップ16を移動させる。
【0052】
そして、カムセンサー29が、カム26の回動角度を検知し、吸引キャップ16が第二の位置まで移動したことを検知する(ステップS17)と、この位置から上記第三の位置まで吸引キャップ16を移動させる速度をステップS14にて設定された離間移動速度(低速)にセットし(ステップS18)、このセットされた速度に基づく回転速度でカム駆動部28を駆動させ、吸引キャップ16を移動させる。
【0053】
さらに、カムセンサー29が、カム26の回動角度を検知し、吸引キャップ16が第三の位置まで移動したことを検知する(ステップS19)と、この位置から待機位置まで吸引キャップ16を移動させる速度を、移動速度データ(高速)に基づいて設定し(ステップS20)、この設定された速度に基づく回転速度でカム駆動部28を駆動させ、吸引キャップ16を移動させる。
【0054】
その後、カムセンサー29が、カム26の回動角度を検知し、吸引キャップ16が待機位置まで移動したことを検知する(ステップS21)と、カム駆動部28を停止させ、吸引キャップの移動を停止させる。(ステップS22)
【0055】
吸引キャップ16を停止させると、大気連通弁21を閉め(ステップS23)、ノズル面15の拭き取り清掃(ワイプ)を行うブレード部17まで移動する際の、キャリッジ4の移動速度と移動方向をセットする。(ステップS24)
このセットされた移動速度と移動方向に基づいて、キャリッジ駆動部40を駆動させて、キャリッジ4を移動させる。(ステップS25)
キャリッジセンサー41によりキャリッジ4がワイプ位置まで移動したことを検知するまでキャリッジ4を移動させ(ステップS26)、検知すると、キャリッジ駆動部40を停止し、キャリッジ4を停止させる。(ステップS27)
【0056】
キャリッジ4がワイプ位置で停止すると、ブレード部17の移動を開始する。(ステップS28)
ブレードセンサー42によりブレード部17がワイプ位置まで移動したことを検知するまでブレード部17を移動させ(ステップS29)、検知すると、ブレード部17を停止させ、ワイプを開始する。(ステップS30)
そして、ワイプの終了とともに、ブレードクリーナー部37によってブレード部17を清掃する。(ステップS31)
【0057】
ブレード部17の清掃が終わると、ホームポジション7まで移動する際の、キャリッジ4の移動速度と移動方向をセットする。(ステップS32)
このセットされた移動速度と移動方向に基づいて、カム駆動部28を駆動させ、吸引キャップ16を移動させる。(ステップS33)そして、キャリッジセンサー41によりキャリッジ4が、待機位置まで移動したことを検知するまで、キャリッジ駆動部40を駆動させ(ステップS34)、検知すると、キャリッジ駆動部40を停止し、キャリッジ4の移動を停止する。(ステップS35)
そして、記録ヘッド3のメンテナンスを終了する。
【0058】
このように、制御部30は、離間速度データおよび移動速度データを基にカム駆動部28の回転速度を制御することで、吸引キャップ16が、ノズル面15を密閉し、吐出口14を覆った位置から、該位置から離間した待機位置まで、移動する際の離間移動速度を制御している。つまり、制御部30は、離間速度制御手段の機能を備えていることとなる。
【0059】
なお、本実施の形態では、離間速度データは、温度によって変化するインク粘度を基準として決定されているが、インクの物性(粘度や表面張力など)に基づいて決定されていてもよい。
表1は、インクの色毎(Y:イエロー、LY:ライトイエロー、M:マゼンダ、LM:ライトマゼンダ、C:シアン、LC:ライトシアン、K:ブラック、LK:ライトブラック)の粘度および表面張力を表している。
【0060】
【表1】
【0061】
先に述べたように、インクは、粘度が高いと凝集力を弱め、粘度が低いと凝集力を強める。つまり、インクの種類毎の粘度から、インクが凝集できる離間移動速度を決定し、これを基に離間速度データを設定してもよい。
【0062】
なお、離間速度データをインクの粘度に基づいて設定しなくとも、インクの表面張力に基づいて設定することも可能である。インクは、表面張力が高いと凝集力を強め、表面張力が低いと凝集力を弱める。このことから、インクの表面張力によってインクが凝集できる離間移動速度を決定し、これを基に離間速度データを設定してもよい。さらに、表面張力と粘度の両者を考慮して離間速度データを設定してもよい。
【0063】
また、離間速度データの選択時において、離間速度データにインクの種類が考慮されている場合であれば、一度に吸引除去される複数の記録ヘッド3のインクの中から、最も離間移動速度が遅く設定されるインクに基づいて離間速度データを選択すればよい。こうしておけば、複数の吸引キャップ16は、インクの凝集力を保ったまま、同速度で離間し、制御工程を簡略化することができる。
【0064】
以下に、記録ヘッド3のメンテナンスに際して行われる各部の動作を、図4〜図7を参照にして説明する。
【0065】
先ず、ここでは、吐出口14からインクを吸引した後に、ノズル面15から吸引キャップ16が離間する動作を例示して説明する。
吸引後の記録ヘッド3のノズル面15をと吸引キャップ16とが密閉され、吐出口14が覆われているときには、カム26は、図4(a)、図5(a)に示すように、カム26の短軸と延出部24の面方向とがほぼ垂直となる状態で、支持片18の延出部24と接触している。このとき、ノズル面15には、吸引しきれなかったインクが、多少残留しており、図5(b)に示すように、ノズル面15に沿って徐々に下方(矢印c)に向かって移動している。
【0066】
そして、このカム26が、移動速度データに基づいて、半時計回りに回動し始めると、支持片18は徐々に接合部分25を中心として、時計回りに回動する。この回動に伴い、吸引キャップ16は、下方に向かって移動し、図5(c)に示すように、ノズル面15の下端部は吸引キャップ16と接触した状態を維持したまま、ノズル面15の上端部とノズル面15との間から大気が連通する。このように、吸引キャップ16とノズル面15との両者の密閉状態が解除されると、ノズル面15に残留するインクは、図6(a)に示すように、吸引キャップ16の内面とノズル面15とに沿って下方(矢印D)に向かって、一体的に垂れ流れる。
【0067】
さらに、カム26が、離間速度データに基づいて回動すると、吸引キャップ16とノズル面15とは、下端部を接触させたままの状態で、徐々に上部付近から離れていき、図5(c)に示すように、両者の接触部分は徐々に少なくなる。このとき、カム26は、離間速度データに基づいて回動しているので、ノズル面15に残留するインクは、凝集力が保たれた状態となり、図6(b)に示すように、一体的に、先ほどよりも下方に移動している。
【0068】
そして、さらにカム26が回動すると、吸引キャップ16とノズル面15とは、図4(b)、図5(d)に示すように、完全に離間する。この離間する際に、ノズル面15に残留するインクは、図6(c)に示すように、吸引キャップ16とノズル面15間の下端部に留まっており、両者の離間によって、ノズル面15に残留するインクと、吸引キャップ16に残留するインクとに分離する。このとき、吸引キャップ16の方が、ノズル面15よりも下方にあるので、吸引キャップ16の方が、多くのインクが残留する。また、ノズル面15のぬれ性を、吸引キャップ16のぬれ性よりも悪くしておけば、よりノズル面15にインクが残留しにくくなる。
また、吐出口14は、ノズル面15のセンターライン付近に沿って設けられているので、ノズル面15の下端部付近にたまる残留インクが、吐出口14に吸い込まれることを防止できる。
【0069】
最終的に、カム26の長軸と延出部24の面方向とがほぼ垂直となる状態にまで、カム26が、移動速度データに基づいて回動すると、支持片18の本体部23および吸引キャップ16は、図4(c)、図5(e)に示すように、最もノズル面15と離れた状態となり、この状態が吸引キャップ16の待機位置となる。
【0070】
次に、ノズル面15の拭き取り清掃(ワイプ)時の各部の動作について説明する。
ブレード部17は、メンテナンスを行わないときには、図7(a)に示すように、ブレードクリーナー部37のインク吸収体38よりも下方で待機している。そして、ノズル面15にワイプが必要になると、ブレード可動部36は、上方に向かって移動することで、ブレード本体35を上方に移動させる。この移動の際に、ブレード本体の上面と、インク吸収体38とが接触する。つまり、ブレード本体35に残っていたインクは、この動作によりインク吸収体38に吸収される。このような構成であるので、ブレード本体35は、メンテナンスが行われる毎に清掃され、残留インクにより、ブレード本体35が劣化するということを防止することができる。
【0071】
さらに、ブレード可動部36が上昇し、ブレード本体35の上端部がノズル面通過位置Fにまで達すると、キャリッジ4が作動し、このブレード本体35の上面と、記録ヘッド3のノズル面とが接触し、ノズル面15に残るインクは、ブレード本体35によって拭き取られる。
本実施の形態では、ブレード本体35の上面と、ノズル面15とが接触することで、ノズル面15上に残留するインクを拭き取る構成であるので、ブレード本体35の清掃を行う際には、ブレード本体35の上面側を拭き取ればよい。
【0072】
以上のように、本実施の形態のインクジェットプリンタによれば、制御部(離間速度制御手段)30が、吐出口14を覆った位置から待機位置まで、カム駆動部28によって吸引キャップ16が移動させられる際の離間移動速度が制御されるので、前記移動時の離間移動速度を可変とすることができる。したがって、メンテナンス後の吸引キャップ16の離脱動作を一定速度で行わなくとも、インクの残留量を抑えることができ、かつ、効率的にキャップ部材の離脱を行うことができる。
【0073】
また、制御部30は、吸引キャップ16が吐出口14を覆った位置から待機位置に移動する際の離間移動速度を、吸引キャップ16の移動時の位置に基づいて段階的に変更しているので、吸引キャップ16の動作段階に応じて離間移動速度を設定することができ、効率的にキャップ部材の離脱を行うことができる。
【0074】
さらに、制御部30は、吸引キャップ16の離間移動を初期移動段階と離間移動段階と最終移動段階とに分けて、離間移動速度を制御しているので、離間移動段階の移動速度をインクの凝集力が維持される速度に設定し、該速度で吸引キャップ16とノズル面15とを離間することができる。つまり、インクの凝集力が維持される速度であれば、吸引後に吸引キャップ16とノズル面15との間に残るインクは、吸引キャップ16とノズル面15とに沿って集まり、この両者が完全に離間すると、ノズル面15に残るインクは、最後に離間する部分でまとまることとなる。すなわち、最終的にインクが残らないノズル面15の位置にだけ、インクノズルを設けておけば、吸引後にインクノズルにインクや気泡が吸い込まれることは、防止でき、明瞭な印刷を行うことができる。
【0075】
そして、吸引キャップ16は、密閉時において、ノズル面よりも下方に位置しているので、吸引キャップ16とノズル面15とが完全に離間する際には、まとまったインクは分離し、その多くは、吸引キャップ16の方に移動することとなる。このため、ノズル面15に残るインクは、ごく少量となり、ブレード部17のブレード本体35で拭き取る量を減少させることができる。したがって、ブレード本体35を清掃するインク吸収体38の寿命を長くすることができ、効率よく記録ヘッド3のメンテナンスを行うことができる。
【0076】
また、制御部30が、温度センサー12により推定されたインク温度を基に、その温度時のインクの粘度に適した離間移動速度に変更するので、温度変化によるインクの粘度の変化に対応して離間移動速度を変更することができる。したがって温度変化に対応した最適な離間移動速度で記録ヘッドのメンテナンスを行うことができる。
【0077】
なお、本実施の形態では、インク吐出本体部11近傍に、温度センサー12を設けているが、吐出口14から離れた位置に設けられている温度センサーによって、測定された気温を基に、ノズルから吐出されるインクの温度を推定する構成でもよい。通常、記録ヘッドの温度は、記録ヘッドを駆動し吐出を行うことで、外気や周囲の温度よりも上昇し、結果的に、インクノズルから吐出されるインクの温度も上昇する。このため、インクジェットプリンタの駆動中には、インクの温度が前記測定温度以下にはならない。つまり、インクの粘度は、起動時に最も低い値となっているので、起動時の測定気温を基準として回転速度データを作成しておけば、少なくとも駆動中の温度変化によるインクの粘度変化には応じることができる。そして、この回転速度データを基に制御部が離間移動速度を変更する構成にすればよい。
また、このような構成であれば、インクの温度測定以外の用途として設けられている温度センサーを用いて、ノズルから吐出されるインクの温度を推定することができる。
【0078】
また、本実施の形態では、温度センサー12により吐出口14から吐出されるインク温度を推定し、その温度を基に、離間移動速度を変更する構成としているが、インクの凝集力が最も低下した場合を仮定し、この最も低下した凝集力に対応するように離間移動速度を予め設定しておけば、吸引キャップとノズル面との離間にかかる時間は、多少かかってしまうものの、吸引キャップとノズル面とが離間する際に、インクの凝集力は確保され、ノズル面にインク滴が複数残留することを確実に防止することができる。このような構成であれば、温度センサー等を設けなくとも、インクの凝集力が如何様であってもそれに対応でき、メンテナンスの安定性を確保することができる。
【0079】
なお、今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0080】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、離間動作時の離間移動速度を可変とすることができる。したがって、メンテナンス後のキャップ部材の離脱動作を一定速度で行わなくとも、インクの残留量を抑えることができ、かつ、効率的にキャップ部材の離脱を行うことができる。
【0081】
請求項2記載の発明によれば、離間移動段階の移動速度をインクの凝集力が維持される速度に設定し、該速度でキャップ部材と吐出口とを離間することができる。つまり、インクの凝集力が維持される速度であれば、吸引後にキャップ部材と吐出口との間に残るインクは、吐出口を有したヘッドの一面(ノズル面)とキャップ部材とに沿って集まり、この両者が完全に離間すると、前記インクは、最後に離間する部分でまとまることとなる。すなわち、最終的にインクが残らない位置にだけ、インクノズルを設けておけば、吸引後に吐出口から余計なインクや気泡が吸い込まれることは、防止でき、明瞭な印刷を行うことができる。
なおかつ、離間速度制御手段が、前記離間移動段階よりも、初期移動段階および最終移動段階のほうが、速い離間移動速度となるように制御しているので、キャップ部材の全離間動作が、インクの凝集力を維持する速度、つまり低速になることはなく、メンテナンスにかかる時間を極力抑えることができる。
【0082】
請求項3記載の発明によれば、温度毎のインクの粘度に適した離間移動速度に変更することができる。このため、温度変化によるインクの粘度変化に対応して離間移動速度を変更することができる。一般に、インクは、温度が低温となると粘度が増加する傾向にあり、粘度が増加するとその凝集力は低下し、集まる速度が遅くなってしまう。インクの温度は、起動時に低く、動作するにしたがって、プリンタ動作による発熱などの影響で、ある範囲で徐々に高温となる。つまり、このような構成であれば、インクジェットプリンタの動作中においても、温度変化に対応した最適な離間移動速度で記録ヘッドのメンテナンスを行うことができる。
インクの物性(粘度や表面張力など)に応じて、そのインクに適した離間移動速度に変更することができる。
請求項4記載の発明によれば、インクの物性(粘度や表面張力など)に応じて、そのインクに適した離間移動速度に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した実施の形態のインクジェットプリンタの主要部を表す斜視図である。
【図2】図1のインクジェットプリンタに備わる制御部の主要制御ブロック図である。
【図3】図1のインクジェットプリンタに備わる記録ヘッドを表す斜視図である。
【図4】図1のインクジェットプリンタに備わるメンテナンスユニットのキャップ部材の動作手順を表す図である。
【図5】図4の動作手順をより詳細に表した説明図である。
【図6】図5の動作手順に際してインクの状態変化を表す説明図である。
【図7】図1のインクジェットプリンタに備わるメンテナンスユニットのブレードの動作手順を表す説明図である。
【図8】図1のインクジェットプリンタに使用されるインクの温度−粘度線図である。
【図9】図3の記録ヘッドのメンテナンス手順を表す、フローチャートである。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ
3 記録ヘッド(ヘッド)
12 温度センサー(温度測定手段)
14 吐出口
16 吸引キャップ(キャップ部材)
20 吸引ポンプ(吸引手段)
28 カム駆動部(移動手段)
30 制御部(離間速度制御手段)
Claims (4)
- インクの吐出口と、前記吐出口に連通するインクの流路とを有するヘッドと、
インクを前記吐出口から吸引する際に、前記吐出口を覆うキャップ部材と、
前記吐出口からインクを吸引する吸引手段と、
前記吐出口を覆う位置と該位置から離間された待機位置との間で、前記キャップ部材を移動させる移動手段と、
前記移動手段による前記キャップ部材の前記吐出口を覆う位置から前記待機位置への離間移動速度を、前記キャップ部材が前記吐出口を覆う位置から前記キャップ部材の一端側が前記吐出口から離れる位置か、若しくは前記吐出口から離れる直前の位置へ移動する初期移動段階の移動速度を、前記初期移動段階の後に前記キャップ部材の他端側が前記吐出口を覆う位置から完全に離間する位置か、若しくは前記吐出口を覆う位置から完全に離間した直後の位置へ移動する離間移動段階の移動速度よりも速くする離間移動速度制御手段とを有することを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記移動手段による前記キャップ部材の前記吐出口を覆う位置から前記待機位置への離間の際、
前記離間速度制御手段は、前記吐出口からの前記キャップ部材の離間移動を、前記初期移動段階と、前記離間移動段階と、該離間移動段階の後に、前記キャップ部材が前記待機位置まで移動する最終移動段階とに分けて離間移動速度を制御するとともに、
前記離間移動段階よりも、前記初期移動段階および前記最終移動段階のほうが、速い離間移動速度となるように制御することを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項2記載のインクジェットプリンタにおいて、
インク温度を測定するか、もしくは測定された温度から前記インク温度を推定可能な温度測定手段を備え、
前記離間速度制御手段は、前記温度測定手段に測定もしくは推定される温度に基づいて、前記離間移動段階における前記離間移動速度を決めることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項2記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記離間速度制御手段は、インクの物性に基づいて、前記離間移動段階における前記離間移動速度を決めることを特徴とするインクジェットプリンタ。
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