JP4856959B2 - 燃料油組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ディーゼルエンジン用燃料などに使用される燃料油組成物に関するものであり、特に、低温流動性向上剤の添加効果に優れた低硫黄軽油組成物に関するものである。
軽油などの燃料油を冬季などの低温環境下で使用する場合、燃料油中に含有しているノルマルパラフィンに起因するワックス分が析出する場合がある。析出したワックスは、ディーゼル車の燃料ラインなどに設置されているフィルターを閉塞させるため、そのエンジンへの燃料供給を阻害し、正常な運転を妨げる可能性がある。そのため、冬季に使用される軽油などの燃料油は、灯油留分の配合や、低温流動性向上剤の添加により、日本工業規格(JIS K 2204)に定められたガイドラインに従って、低温性能の確保を行っている。
しかして、近年は、燃料噴射システムの高圧化などにより、エンジンへ供給される燃料量が従来と比較して増大しており、かつ、システムの高圧化により夾雑物へのセンシティビティが高まっていることから、燃料ラインに設置されるフィルターのメッシュサイズがこれまでのものに比べ微細化される傾向にある。そのため、軽油中のワックスが燃料ライン中のフィルターを閉塞させる可能性が高まってきている。
更に、軽油のサルファ−フリ−化により、使用する基材が深度脱硫を行った軽油、もしくは灯油に限定されるため、重質なノルマルパラフィンを希釈する効果が大きい(芳香族分を多く含む)分解軽油などを、硫黄分が多いため、添加できなくなり、軽油の低温流動性能を確保することが難しくなってきている。
このような状況下、軽油の低温性能を確保するための効果的な方法として、灯油留分の配合量を増加させることが考えられる。しかし、冬季は灯油の需要が高いため、低温性能の確保を目的に灯油留分を使用することは、灯油の需給上、好ましくない。
そのため、低温流動性向上剤を添加することにより、効果的に低温性能を改善することができるとした燃料油組成物の提案が種々されている。(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
提案された燃料油組成物の一つは、低温流動性向上剤の添加効果を引き出す対象の軽油組成物の重質なノルマルパラフィン分の含有量を規定しているものである(特許文献1参照)。しかし、この対象の軽油組成物では、元々の低温性能が優れているため、効果的に低温流動性向上剤の添加効果が引き出されているとはいえない。効果的に低温流動性向上剤の添加効果を十分に引き出し得る燃料油組成物としては、更なる検討が必要である。
また、提案された燃料油組成物の他の一つは、低温流動性向上剤の添加効果を引き出す対象の軽油組成物の調製に、脱ロウ基材などを使用している(特許文献2参照)。この対象の軽油組成物は、脱ロウ基材を使用することにより、その中のワックス量は低くなっているものであって、この対象の軽油組成物も、効果的に低温流動性向上剤の添加効果が引き出されているとはいえない。脱ロウ基材を使用しない燃料油組成物において、効果的に低温流動性向上剤の添加効果を十分に引き出すことが望まれている。
特開平11-71586号公報 特開2001-172652号公報
本発明の目的は、上記従来の状況に鑑み、効果的に低温流動性向上剤を添加した際の添加効果を十分に引き出し得る燃料油組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究し、燃料油組成物の組成を様々な角度から分析した結果、ある特定の部分の組成を適正に管理することで、効果的に低温流動性向上剤の添加効果を十分に引き出すことができることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、次の燃料油組成物を提供するものである。
1.15℃における密度が0.70〜0.86g/cm 、30℃における動粘度が1.700〜6.000mm /s、10容量%留出温度が185〜260℃、90容量%留出温度が328〜355℃、曇り点が5.0℃以下、流動点が5.0℃以下、低温ろ過器目詰まり点が5℃以下、硫黄濃度が10質量ppm以下であって
初留点から10容量%留出温度までの留分においてノルマルパラフィン含有量に対する芳香族分含有量の容量比が11.0〜30.0であり、
90容量%留出温度から終点までの留分においてノルマルパラフィン含有量に対する芳香族分含有量の容量比が9.0〜22.0であり、
かつ、下記の(1)、(2)を満足するディーゼルエンジン用燃料油組成物。
(1)示差走査熱量分析により求められる−10℃で析出するワックス析出量が、燃料油組成物全量に対し3.0質量%以下
(2)示差走査熱量分析により求められる、燃料油組成物中からのワックス析出量を温度についてプロットした分布曲線において、ワックス析出点から−20℃までの温度範囲における該分布曲線の線形回帰直線の傾きが−0.42以上
2.上記1に記載のディーゼルエンジン用燃料組成物に対して、エチレン−酢酸ビニル共重合体を50〜600質量ppm配合してなるディーゼルエンジン用燃料組成物。
本発明によれば、上記目的を達成することができて、効果的に低温流動性向上剤を添加した際の添加効果を十分に引き出し得る燃料油組成物が提供される。
本発明の燃料油組成物において、硫黄含有量は10質量ppm以下、好ましくは8質量ppm以下である。硫黄含有量が10質量ppm以下であれば、排気ガス中の硫黄酸化物の含有量が少なくなり、排気ガスを処理する触媒を被毒する場合が少ない。なお、硫黄含有量はJIS K 2541の微量電量滴定式酸化法により測定することができる。
また、本発明の燃料油組成物においては、初留点から10容量%留出温度までに留出する留分の芳香族分含有量とノルマルパラフィン含有量の容量比(IBP〜T10の芳香族分含有量/ノルマルパラフィン含有量)が11.0〜30.0、好ましくは15.0〜27.0であり、90容量%留出温度から終点までに留出する留分の芳香族分含有量とノルマルパラフィン含有量の容量比(T90〜EPの芳香族分含有量/ノルマルパラフィン含有量)が9.0〜22.0、好ましくは10.0〜21.0である。
一般に、芳香族分は、溶解力が大きく、優れた溶媒である。これは軽油などの燃料油組成物に含まれている芳香族分も同様であり、ワックスとして析出してくるノルマルパラフィンを溶解する効果に優れていることから、芳香族分を多く含む分解軽油などを軽油組成物に添加することで、低温流動性を確保する方法も知られている。
しかしながら、軽油組成物中の硫黄分含有量の規制により、脱硫しない分解軽油の配合は不可能となり、また、軽油組成物の主成分となる灯油、軽油留分についても深度脱硫を行うことにより従来に比べ芳香族分含有量が減少するなど、芳香族分による低温性能の確保は難しくなってきている。
更に、重質な芳香族分はディーゼル機関で燃焼させた場合、パティキュレートを増大させる物質であり、軽油組成物の燃焼性を維持するためには、燃料油中に過剰に存在することも好ましくない。
そこで、本発明の燃料油組成物は、芳香族分を添加してワックスを溶解する代わりとして、芳香族分含有量とノルマルパラフィン含有量を最適なバランスに保つことで、低温性能の改善が図れるとの知見に基づくものであって、芳香族分含有量とノルマルパラフィン含有量の両者を最適なバランスに保つことで、ワックスの析出速度を抑制し、低温流動性向上剤の効果を引き出せるようにしたものである。
本発明の燃料油組成物において、初留点から10容量%留出温度までに留出する留分において芳香族分含有量とノルマルパラフィン含有量の容量比、すなわちIBP〜T10留分の芳香族分含有量/ノルマルパラフィン含有量が11.0以上ならば、芳香族分が発揮するワックス希釈効果を保ちつつ、燃焼性も損なわれず、また、30以下ならば、芳香族分の影響が大きく現れる、排ガス中のパティキュレ−トの排出レベルを抑えることができる。
また、90容量%留出温度から終点までに留出する留分において芳香族分含有量とノルマルパラフィン含有量の容量比、すなわちT90〜EP留分の芳香族分含有量/ノルマルパラフィン含有量が9.0以上ならば、重質な芳香族分が少ないことにより、燃焼性を良好に保つことが可能となり、排ガス中のパティキュレ−トの排出レベルを抑えることができ、かつ、ワックス希釈効果も損なわれず、また、22.0以下ならば、析出するワックスの析出速度を抑えるのに十分な希釈効果を発揮し、かつ、燃焼性も損なわれない。
さらに、本発明における燃料油組成物では、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter:略してDSCとも示す)の分析により求められる、−10℃で析出するワックス量が、燃料油組成物全量に対し3.0質量%以下、好ましくは2.8質量%以下である。
示差走査熱量分析は、試料温度を連続的に変化させた際の試料の熱収支を分析するものであり、その動きから、燃料中に析出するワックスの析出点、及び析出量を測定することができる。
ワックス析出点に関しては、JIS K 2203にある曇り点測定によるワックス析出開始温度の測定方法もあるが、その結果と比較して、本DSCによる方法の方が高精度(繰り返し精度:0.3℃以内)に測定することが可能である。
また、ワックス析出量に関しても、フィルターろ過法を用いた析出ワックス量分析法に比べ、本DSCによる方法の方が高精度(繰り返し精度:0.2質量%以内)に分析を行うことが可能である。
上記DSCにより測定されるワックス量が−10℃で燃料油組成物全量に対し3.0質量%以下であれば、低温流動性向上剤を添加した場合、ワックスの成長を好適に抑制することが可能となる。
燃料油組成物中に3.0質量%を超えるワックスが含まれる場合、低温流動性を確保するためには、一般に低温流動性向上剤を増量することで低温性能の確保が試みられる。しかし、多量の低温流動性向上剤を添加した場合、燃料のフィルタビリティーが悪化し、エンジンに供給される適正な燃料量を維持できなくなることがあるため、低温流動性向上剤の添加量には自ずと最適な範囲が存在する。そのため、低温流動性向上剤を最適な範囲の量で添加して低温流動性を確保するためには、燃料油組成物中のワックス量を3.0質量%以下に制御しておく必要がある。
本発明の燃料油組成物ではさらに、示差走査熱量分析により求められる燃料油組成物中からのワックス析出量を温度についてプロットした分布において、分布曲線(ワックス析出速度曲線と称す)の線形回帰直線の傾き(Differential Scanning Calorimeter Slope:略してDSCSとも示す)を特定する。
上記傾き(DSCS)は、温度を横軸とし、ワックス析出量を縦軸にとり、ワックス析出量を2℃毎にプロットした際に作られる、両者の相関を示す分布曲線(ワックス析出速度曲線)の線型回帰直線の傾きから求めることができる。本願では、ワックス析出点から−20℃までの温度範囲における線型回帰直線の傾きが-0.42以上、好ましくは、-0.40以上必要である。図1に、後記本発明の実施例2及び比較例3で得られた燃料油組成物のDSCS を示す。
一般に、低温流動性向上剤は、軽油などの燃料油組成物中にワックスが急激に析出した場合、析出したワックスへの吸着が追いつかず、そのワックス成長抑制機構が十分に機能しない。そのため、低温流動性向上剤の添加効果は、ワックスがゆっくりと析出する場合にのみ十分に発現される。すなわち、ワックス析出速度曲線の線形回帰直線の傾きが大きいほど低温流動性向上剤の添加効果を十分に引き出すことが可能となる。
上記温度範囲におけるワックス析出速度曲線の線形回帰直線の傾きが-0.42未満であるものは、ワックスの析出速度が速すぎるため、低温流動性向上剤の効果が追いつかない場合がある。
本発明の燃料油組成物において、15℃における密度は0.70〜0.86g/cm、好ましくは0.75〜0.85g/cmであることが望ましい。15℃における密度が0.70〜0.86g/cmであれば、軽油の使用を前提に設計されたディーゼル車に対し、ディーゼル燃焼時の着火性を維持し、適切な燃焼状態を保つことができるため好ましい。
なお、15℃における密度はJIS K 2249の密度試験方法及び密度・質量・容量換算表により測定することができる。
本発明の燃料油組成物において、30℃における動粘度は1.700〜6.000mm/s、好ましくは2.000〜5.400mm/sであることが望ましい。30℃における動粘度が1.700〜6.000mm/sであれば、軽油の使用を前提に設計されたディーゼル車に対し、燃料供給ポンプの磨耗や、燃料自体の流動性の面で適切に使用することが可能であるため好ましい。
なお、30℃における動粘度はJIS K 2283の動粘度試験方法及び粘度指数算出方法により測定することができる。
本発明の燃料油組成物においては、10容量%留出温度が185〜260℃、好ましくは190〜250℃、90容量%留出温度が328〜355℃、好ましくは330〜350℃であることが望ましい。10容量%留出温度が185℃以上であれば軽油として適切な引火点及び動粘度を保つことができ、260℃以下であればワックス析出点が制限され、低温流動性を保つ面で好ましい。90容量%留出温度が328℃以上であれば、軽油として適切な引火点及び動粘度を保つことができ、355℃以下であれば燃料噴霧時の霧化不良に伴う燃焼室汚染、ノズルへのカーボン付着などを抑えることができるため好ましい。
なお、蒸留性状はJIS K 2254の常圧法蒸留試験により測定することができる。
本発明の燃料油組成物において、曇り点は5.0℃以下、好ましくは2.0℃以下であることが望ましい。曇り点が5℃以下であれば、JIS推奨の各種JIS規格軽油の使用最低温度における、燃料の固化や始動性不良といったディーゼル車の低温作動性に関する問題の原因となるワックス分が少なくなるため好ましい。
なお、曇り点はJIS K 2269の流動点ならびに石油製品曇り点試験方法により測定することができる。
本発明の燃料油組成物において、流動点は5.0℃以下、好ましくは‐2.5℃以下であることが望ましい。流動点が5.0℃以下であれば、JIS推奨の各種JIS規格軽油の使用最低温度における、燃料の固化によるディーゼル車の低温作動性に関する問題が起きる可能性が低くなるため好ましい。
なお、流動点はJIS K 2269の流動点ならびに石油製品曇り点試験方法により測定することができる。
本発明の燃料油組成物において、低温ろ過器目詰まり点(CFPP:Cold Filter Plugging Point)は5℃以下、好ましくは0℃以下であることが望ましい。CFPPが5℃以下であれば、JIS推奨の各種JIS規格軽油の使用最低温度における、始動性不良といったディーゼル車の低温作動性に関する問題が起きる可能性が低くなるため好ましい。
なお、CFPPはJIS K 2288の目詰まり点試験法により測定することができる。
本発明の燃料油組成物の基材としては、特に制限はないが、原油の常圧蒸留から得られる直留灯油、直留軽油、又は、流動接触分解装置(Fluid Catalyst Cracking Unit)から得られる分解軽油(ライトサイクルオイル:LCO)等を深度脱硫した深度脱硫灯油、深度脱硫軽油、深度脱硫分解軽油、脱ロウ軽油などが好適に使用される。
これらの基材を得る際、該基材を用いて得られる燃料油組成物における初留点から10容量%留出温度までに留出する留分の芳香族分含有量とノルマルパラフィン含有量の容量比(芳香族分含有量/ノルマルパラフィン含有量)が11.0〜30.0、90容量%留出温度から終点までに留出する留分の芳香族分含有量とノルマルパラフィン含有量の容量比が9.0〜22.0となるように、脱硫装置などの該基材を得るための装置の運転条件等を調整することが望ましい。また、上記のような各種基材を適宜用いて、本発明に規定する諸特性を有すると共に、JIS規格に適合するよう調製することで、本発明の燃料油組成物を得ることができる。
本発明の燃料油組成物に使用される低温流動性向上剤は、特に制限はないものの、適切なものの例としては、アルケニルコハク酸アミド、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、エチレン-アルキルアクリレート共重合体や、ポリアルキルアクリレンなどのポリマーが挙げられ、これらの中でもエチレン‐酢酸ビニル共重合体が好ましい。添加量としては、10から1000容量ppm、好ましくは、50から600容量ppmの範囲が適している。
本発明の燃料油組成物には、低温流動性向上剤以外の各種添加剤、例えば、潤滑性向上剤、セタン価向上剤、清浄剤等の各種添加剤を添加しても良い。しかし、燃料油組成物のフィルタビィリティーの観点から、燃料油組成物中に添加される各種添加剤の総量は、0.2容量%以下が好ましい。
以下に、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって制限されるものではない。
実施例1〜4、比較例1〜3
表1に示す、初留点145.0から159.0℃、終点272.5から286.0℃の沸点範囲を持つ硫黄含有量10質量ppm以下の脱硫灯油1〜5、及び初留点163.5から201.5℃、終点356.0から374.5℃の沸点範囲を持つ硫黄含有量10質量ppm以下の脱硫軽油1〜6を、表2に示す割合で混合することにより実施例1〜4、及び比較例1〜3の燃料油組成物を得た。得られた燃料油組成物の性状を表3に示す。なお、得られた燃料油組成物に添加する低温流動性向上剤(FI)として、エチレン‐酢酸ビニル共重合体を主成分とするものを使用した。実施例、比較例において、各性状はそれぞれ以下の方法により測定・評価を行った。
(a)密度(15℃):JIS K 2249 「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」により測定した。
(b)硫黄含有量:JIS K 2541 「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」により測定した。
(c)動粘度(30℃):JIS K 2283 「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」により測定した。
(d)初留点(IBP)、10容量%留出温度(T10)、50容量%留出温度(T50)、90容量%留出温度(T90)、95容量%留出温度(T95)、終点(FBP):JIS K 2254 「石油製品−蒸留試験方法」により測定した。
(e)曇り点(CP):JIS K 2269 「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験法」により測定した。
(f)流動点(PP):JIS K 2269 「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験法」により測定した。
(g)低温ろ過器目詰まり点(CFPP):JIS K 2288 「石油製品−軽油−目詰まり点試験方法」により測定した。
(h)ワックス量:ワックス量は、示差走査熱量分析装置により測定を行い、そこで得られたDSC曲線の発熱ピークの補外開始温度からワックス析出点、熱量からワックス析出量を求めた。以下に測定条件を示す。
装置:セイコー電子工業(株)製 DSC220C
試料容器:アルミニウム製、容量50μl
雰囲気:窒素 流量50ml/分
温度条件:室温から15℃まで5℃/分で冷却し、次いで、3℃/分で10℃まで冷却し、5分間保持した後、再び3℃/分で所定の温度まで冷却し、5分間保持。
(i)ノルマルパラフィン量:ノルマルパラフィン量はガスクロマトグラフィにより測定を行った。以下に測定条件を示す。
装置:6890(Agilent Technologies)
カラム:DB‐1 30m×0.25mm I.D.膜厚0.25μm
検出器:FID
オーブン温度:50℃で1分保持後、5℃/分で340℃まで昇温し、20分保持。
試料量:0.1μl(二硫化炭素で1/2に希釈)
Figure 0004856959
Figure 0004856959
Figure 0004856959
上記実施例1〜4、比較例1〜3で得られた燃料油組成物について、低温流動性向上剤添加効果を表すΔCFPP、初留点から10容量%留出温度までの留分におけるノルマルパラフィン含有量に対する芳香族分含有量の容量比(アロマ/n−パラフィン @T10)、90容量%留出温度から終点までの留分におけるノルマルパラフィン含有量に対する芳香族分含有量の容量比(アロマ/n−パラフィン @T90)、析出ワックス量(−10℃)、ワックス析出速度曲線の線形回帰直線の傾き(DSCS)、についての評価結果を表4に示す。
なお、ΔCFPPは、低温流動性向上剤無添加時のCFPPから低温流動性向上剤添加時のCFPPを引いた値の絶対値であり、次式にて求められる。
ΔCFPP=|CFPP FI=0 - CFPP FI=A|
式中:CFPP FI=0 :低温流動性向上剤無添加時のCFPP
CFPP FI=A :低温流動性向上剤添加時のCFPP。
Aは低温流動性向上剤添加量(vol ppm)を示し、A=300 又は500とする。
判断基準は、A=300時のΔCFPPが7以上、かつA=500時のΔCFPPが9以上の場合を添加効果ありと判断した。
Figure 0004856959
表4に示した結果から明らかなように、実施例1〜4については低温流動性向上剤低添加量領域からΔCFPPが大きく増大しており、これらの燃料油組成物は低温流動性向上剤添加効果を効果的に引き出せる。一方、比較例1〜3は、表4に示すように燃料油組成物の性状が本発明で規定している範囲を外れているため、低温流動性向上剤添加量を増大させても低温流動性向上剤添加効果を引き出すことができていない。
実施例2及び比較例3で得られた燃料油組成物のDSCS を示す図である。

Claims (2)

  1. 15℃における密度が0.70〜0.86g/cm 、30℃における動粘度が1.700〜6.000mm /s、10容量%留出温度が185〜260℃、90容量%留出温度が328〜355℃、曇り点が5.0℃以下、流動点が5.0℃以下、低温ろ過器目詰まり点が5℃以下、硫黄濃度が10質量ppm以下であって
    初留点から10容量%留出温度までの留分においてノルマルパラフィン含有量に対する芳香族分含有量の容量比が11.0〜30.0であり、
    90容量%留出温度から終点までの留分においてノルマルパラフィン含有量に対する芳香族分含有量の容量比が9.0〜22.0であり、
    かつ、下記の(1)、(2)を満足するディーゼルエンジン用燃料油組成物。
    (1)示差走査熱量分析により求められる−10℃で析出するワックス析出量が、燃料油組成物全量に対し3.0質量%以下
    (2)示差走査熱量分析により求められる、燃料油組成物中からのワックス析出量を温度についてプロットした分布曲線において、ワックス析出点から−20℃までの温度範囲における該分布曲線の線形回帰直線の傾きが−0.42以上
  2. 請求項1に記載のディーゼルエンジン用燃料組成物に対して、エチレン−酢酸ビニル共重合体を50〜600質量ppm配合してなるディーゼルエンジン用燃料組成物。
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