JP4855740B2 - 金属化合物、金属化合物を含むビニルエステル系モノマー重合用触媒組成物およびそのビニルエステル系モノマーの重合への使用 - Google Patents

金属化合物、金属化合物を含むビニルエステル系モノマー重合用触媒組成物およびそのビニルエステル系モノマーの重合への使用 Download PDF

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Description

本発明は、周期律表第3族〜11族から選ばれた元素と水酸基を有する金属化合物、該金属化合物を含有するビニルエステル系モノマー重合用触媒組成物、およびそれを用いたビニルエステル系モノマーのシンジオタクチック重合方法に関する。
一般に、酢酸ビニル等のビニルエステル系モノマーの重合体は、鹸化することによりポリビニルアルコール(PVA)へ変換され、繊維、フィルム、接着剤等の多岐に渡る分野で使用されている。PVAの物性は、ポリマーの側鎖である水酸基の立体規則性により大きく変化することが知られている。例えば、アイソタクチシチーまたはシンジオタクチシチーに富むPVAは、アタクチックポリマーに比べて強度、耐熱性等の点でより優れている。
ビニルエステル系モノマーの付加重合法としては、ラジカル重合が知られている。しかしながら、ラジカル重合法では立体規則性制御に限界があり、高度の立体規則性を得るには特殊な溶媒を用いる必要がある、極低温での重合が必須である等の制約や煩雑な操作を伴い、簡便かつ温和な条件下で立体規則性を制御することは困難である。例えば、特開平11−147913号(特許文献1)において、ビニルエステル系モノマーのラジカル重合の系にフッ素含有分岐アルコールを加えることによりシンジオタクチシチーに富むポリビニルアルコールが得られると報告されている。しかしながら、フッ素含有分岐アルコールの効果を発現させるためには、高価なフッ素含有分岐アルコールを30〜80容量部加える必要がある。ちなみに、通常工業的に用いられている酢酸ビニルのラジカル重合から得られるPVAのシンジオタクチシチーはラセモ2連子(r)で53%を示し、重合温度を変えても55%を超えない。
一方、チグラー・ナッタ触媒またはメタロセン触媒を用いる重合に代表される配位重合は、立体規則性の制御が比較的容易であることが知られている。そのため、ビニルエステル系モノマーについて遷移金属触媒を用いて立体規則性重合を行う試みが幾つかなされており、例えば、工業化学雑誌,第65巻,74頁,1962年(非特許文献1)、Z.Anorg.Allorg.Chem.,第629巻,781頁,2003年(非特許文献2)、Polym.Prepr.Jpn.,第46巻,1311頁,1997年(非特許文献3)等の報告がされている。これらの報告には、5〜10%の収率でポリマーが得られると記されているのみで、いずれも生成ポリマーの立体規則性を明らかにしていないが、これまでの均一系遷移金属触媒によるシンジオ特異性重合の発現機構から、シンジオタクチシチーの高いポリ酢酸ビニルは得られていないと推測される。
また、特開平3−296505号(特許文献2)には、ロジウム化合物を触媒に用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体の製造方法が報告されている。この方法により得られるエチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル含量は、0.001〜50%にコントロールすることが可能と記載されているが、酢酸ビニルの単独重合およびエチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル連鎖の長さおよびその立体規則性については不明である。
特開平11−147913号公報 特開平3−296505号公報 工業化学雑誌,第65巻,74頁,1962年 Z.Anorg.Allorg.Chem.,第629巻,781頁,2003年 Polym.Prepr.Jpn.,第46巻,1311頁,1997年
従って、本発明の課題は上記のような従来技術の問題点を解決し、より温和な条件下で、かつ少量のフッ素含有分岐水酸基によりビニルエステル系モノマーからシンジオタクチシチーが高く、品質、物性等が良好なPVAを製造することのできる重合用触媒組成物、およびシンジオタクチシチーの高いポリマーの製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、ビニルエステル系モノマーのシンジオタクチック重合用触媒組成物であって、下記式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)および(XI):
Figure 0004855740
[式(I)〜(XI)中、R〜Rは、それぞれ水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリロキシ基を表し、Xは周期律表第1族の元素を表し、YおよびYは、それぞれ下記式(XII)または(XIII):
Figure 0004855740
(式(XII)〜(XIII)中、Rは置換基を有してもよい炭素数0〜20の2価の脂肪族炭化水素基または置換基を有してもよい炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表し、R、R10およびR11は、それぞれ、水素、フッ素、塩素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、または置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表す。)で表される基を表す。]で示される水酸基を有するフッ素含有化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物(A1)と、
下記式(XIV):
MX (XIV)
(式(XIV)中、Mは周期律表第3族〜11族から選ばれた元素を表し、Xは水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、またはハロゲン原子を表し、Xの数を示すaは1〜6を表し、aが2〜6のときXは互いに同一でも異なっていてもよく、Lは金属に対して配位結合可能な化合物を表し、Lの数を示すbは0〜8を表す。)で示される化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物(A2)との反応により得られる金属化合物を含む成分Aを含有する、前記重合用触媒組成物に関する。
また本発明は、成分A1のYおよびYの少なくとも一方が下記式(XV):
Figure 0004855740
(式(XV)中、Rは置換基を有してもよい炭素数0〜20の2価の脂肪族炭化水素基、または置換基を有してもよい炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表す。)で表される基である、前記の重合用触媒組成物に関する。
さらに本発明は、成分Aが、下記式(XVI):
Figure 0004855740
(式(XVI)中、R〜RおよびR12〜R15はそれぞれ、水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリロキシ基を表し、Xは、水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基またはハロゲン原子を表し、Xの数を示すaは1〜6を表し、aが2〜6のときXは互いに同一でも異なっていてもよく、Mは周期律表第3族〜11族から選ばれた元素を表し、Xは酸素または水酸基を表す。)で示される金属化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の金属化合物である、前記重合用触媒組成物に関する。
また本発明は、Mが鉄、コバルト、ロジウムまたはパラジウムである、前記重合用触媒組成物に関する。
さらに本発明は、
(a)原子番号が3以上で、かつ周期律表第1、2、11、12および13族の元素から選ばれた少なくとも1種の元素、(b)置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基および/または置換基を有してもよい炭素数6〜40の芳香族炭化水素基ならびに(c)過塩素酸基、からなる3つの群のうちの少なくとも2つの群からそれぞれ1種以上選ばれた、元素および/または基を有する化合物を含む成分Bをさらに含有する、前記重合用触媒組成物に関する。
また本発明は、成分Bが有機リチウム化合物、有機マグネシウム化合物、トリフルオロメタンスルホン酸塩、過塩素酸塩、有機亜鉛化合物、有機ホウ素化合物、ホウ酸塩または有機アルミニウム化合物である、前記重合用触媒組成物に関する。
さらに本発明は、重合体のシンジオタクチシチーがラセモ2連子(r)で55%以上となる、前記重合用触媒組成物に関する。
また本発明は、下記式(XVI):
Figure 0004855740
(式(XVI)中、R〜RおよびR12〜R15はそれぞれ、水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリロキシ基を表し、Xは、水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基またはハロゲン原子を表し、Xの数を示すaは1〜6を表し、aが2〜6のときXは互いに同一でも異なっていてもよく、Mは周期律表第3族〜11族から選ばれた元素を表し、Xは酸素または水酸基を表す。)で示される金属化合物に関する。
さらに本発明は、前記重合用触媒組成物のビニルエステル系モノマーのシンジオタクチック重合への使用に関する。
また本発明は、ビニルエステル系モノマーが、酢酸ビニルである、前記ビニルエステル系モノマーのシンジオタクチック重合への使用に関する。
さらに本発明は、得られる重合体のシンジオタクチシチーがラセモ2連子(r)で55%以上となる、前記ビニルエステル系モノマーのシンジオタクチック重合への使用に関する。
また本発明は、前記重合用触媒組成物の存在下、ビニルエステル系モノマーのシンジオタクチック重合によるポリ酢酸ビニルまたは酢酸ビニルを含む共重合体の製造方法であって、重合体のシンジオタクチシチーがラセモ2連子(r)で55%以上となる、前記製造方法に関する。
以上のとおり、本発明の重合用触媒組成物によれば、より温和な条件下でビニルエステル系モノマーを重合でき、かつシンジオタクチシチーが高く、品質、物性等が良好なポリマーを製造することができる。得られるポリマーは、高強度高弾性率材料、耐熱性材料等に有用である。
本発明のビニルエステル系モノマー重合用触媒組成物に含まれる成分Aを構成する水酸基を有するフッ素含有化合物(A1)は、下記式(I)〜(XIII)から構成される化合物から選ばれた少なくとも1種を含有する。
Figure 0004855740
[式(I)〜(XI)中、R〜Rは、それぞれ水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリロキシ基を表し、Xは周期律表第1族の元素を表し、YおよびYは、それぞれ下記式(XII)または(XIII):
Figure 0004855740
(式(XII)〜(XIII)中、Rは置換基を有してもよい炭素数0〜20の2価の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基、R、R10およびR11は、それぞれ、水素、フッ素、塩素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、または置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表す。)で表される基を表す。]。
上記R〜Rの炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基等の直鎖、分枝鎖または環状の脂肪族炭化水素基が挙げられ、上記R〜Rの炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基等が挙げられる。また、これらの基の置換基としては、上記の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、上記の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基等のアリロキシ基、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、アセトキシ基、スルホン酸基、カルボキシル基、窒素含有基(イミノ基、ニトロ基、アミノ基、イミン基等)等の官能基等が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有していてもよい。また、上記R〜Rのアルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基が挙げられ、上記R〜Rのアリロキシ基としてはフェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6〜20のアリロキシ基が挙げられる。また、上記Xとしては水素、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、好ましくは、水素またはナトリウムである。
上記Rの置換基を有してもよい炭素数0〜20の2価の脂肪族炭化水素基としては、メチレン、ジフルオロメチレン、エチレン、テトラフルオロエチレン等が挙げられ、上記Rの置換基を有してもよい炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基としては、1,2−フェニレン基、1,4−フェニレン基、4−メチルー1,2−フェニレン基、4−メトキシー1,2−フェニレン基、4−t−ブチル−1,2−フェニレン基等が挙げられ、上記R、R10およびR11の置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられ、上記R、R10およびR11の置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。これらの脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基の置換基は、上記のR〜Rにおける脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基の置換基と同様である。
また、本発明のビニルエステル系モノマー重合用触媒組成物に含まれる成分Aを構成する金属化合物(A2)は、
下記式(XIV):
MX (XIV)
で表される。式中Mは、周期律表第3族〜11族から選ばれた元素を表し、例えば、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、La、Hf、Ta、W、Re、OS、Ir、Pt、Au等が挙げられ、好ましくは、Fe、Co、RhまたはPdである。また、Xは水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、またはハロゲン原子を表す。置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基および置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基の具体例は、R〜Rにおけるこれらの基の具体例と同様であり、これらの基の置換基もR〜Rにおける基の置換基と同様である。Lは金属に対して配位結合可能な化合物を示し、トリブチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のアリールホスフィン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、1,5−シクロオクタジエン、ピリジン、2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、カルボニル等が挙げられる。bはLの数を示し、具体的には0〜8である。Xは、特にハロゲン原子またはメチル基が好ましい。さらにaはXの数を示し、具体的には1〜6である。また、Xの数が2〜6のとき、各Xは互いに同一でも異なっていてもよい。したがって、式(XIV)で表される化合物は、例えばPdMeCl(PPhのように異なるXからなる化合物であってもよい。
さらに、上記フッ素含有水酸基を有する化合物と上記金属化合物の反応で得られる成分Aにおいて、水酸基を有するフッ素含有化合物(A1)と金属との結合は、特に限定されないが、少なくとも1つは共有結合、イオン結合および配位結合のいずれかを表す。
式(XV)中のRは、式(XII)または(XIII)中のRと同義であり、その具体例も同じである。同様に式(XVI)中のMおよびXは、式(XIV)中のMおよびXと同義であり、それらの具体例も同じである。(XVI)中のR〜RおよびR12〜R15は、式(I)〜(XI)中のR〜Rと同様であり、それらの具体例も同様である。また、Xは酸素または水酸基を表す。
成分Aで示される金属化合物としては、例えば下記の構造で示される化合物(XVII)、(XVIII)、(XIX)、(XX)、(XXI)、(XXII)等が挙げられる。
Figure 0004855740
本発明の重合用触媒組成物の利用形態には、単独で用いる方法および無機または有機担体に担持して用いる方法がある。無機担体としては、無機物、金属の酸化物やハロゲン化物等が挙げられ、活性炭、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、ゼオライト、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化銅等が例示される。さらに、反応によって無機担体となりうるものも使用できる。例えば、金属マグネシウムとアルコールとの反応物等が挙げられる。
また、有機担体としては、有機溶媒に不溶な高分子化合物、イオン交換樹脂等が挙げられる。例えば、ポリスチレンビーズ、シクロデキストリン、Amberlyst、Nafion、Dowex、Sephadex、シリカゲル等が挙げられる。
上記重合用触媒組成物を無機または有機担体に担持する方法は、触媒製造技術分野で通常用いる方法を利用することができる。例えば、上記重合用触媒組成物と無機担体とを不活性ガス雰囲気下、ボールミルや振動ミル中で共粉砕する方法や、上記重合用触媒組成物の溶液に無機または有機担体を浸漬した後乾燥担持する方法、上記重合用触媒組成物が有する配位子を有機担体と化学的に結合させる方法等が挙げられる。無機または有機担体への上記重合用触媒組成物の担持量は、特に限定されないが0.001〜30wt%程度が好ましい。
成分Bは、(a)原子番号が3以上で、かつ周期律表第1、2、11、12および13族の元素から選ばれた少なくとも1種の元素、(b)置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基および/または置換基を有してもよい炭素数6〜40の芳香族炭化水素基ならびに(c)過塩素酸基、からなる3つの群のうち少なくとも2つの群から1種以上選ばれた、元素および/または基を有する化合物を含む。置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基等の直鎖、分岐鎖または環状の脂肪族炭化水素基が挙げられる。置換基を有してもよい炭素数6〜40の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基等が挙げられる。また、これらの基の置換基としては、上記R〜Rの炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基等のアリロキシ基、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、アセトキシ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボニル基、アミノ基等の官能基等が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有していてもよい。
成分Bに含まれる化合物としては、アルキルリチウム、アルキルナトリウム、アルキルマグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸塩、過塩素酸塩、アルキル亜鉛、アルキルホウ素、ホウ酸塩、アルキルアルミニウム等が挙げられる。具体例としては、メチルリチウム、ブチルリチウム、フェニルリチウム、ブチルナトリウム、ブチルエチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム、臭化ブチルマグネシウム、臭化フェニルマグネシウム、塩化メチルマグネシウム、塩化エチルマグネシウム、塩化ブチルマグネシウム、塩化フェニルマグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸銀、過塩素酸銀、過塩素酸トリフェニルメチル、ジエチル亜鉛、ホウフッ化銀、トリスペンタフルオロフェニルホウ素、トリス(トリフルオロメチル)ホウ素、テトラキスペンタフルオロフェニルホウ酸トリフェニルメチル、テトラキス[3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸トリフェニルメチル、テトラキス[3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジイソブチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムイソプロポキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド、エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド、水素化ジイソプロピルアルミニウム、メチルアルミニウムビス(2,6−ジtert−ブチルフェノキシド)、メチルアルミニウムビス(2,6−ジtert−ブチル−4−メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジtert−ブチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジtert−ブチル−4−メチルフェノキシド)、メチルアルミニウムビス{2−(N−フェニルイミノ)フェノキシド}、イソブチルアルミニウムビス{2−(N−フェニルイミノ)フェノキシド}、ジエチルアルミニウム{2−(N−フェニルイミノ)フェノキシド}、ジメチルアルミニウム(N,N′−ジイソプロピルアセトアミジナート)、ジメチルアルミニウム(N,N′−ジシクロヘキシルアセトアミジナート)、ジメチルガリウム(N,N′−ジイソプロピルアセトアミジナート)、ジメチルガリウム(N,N′−ジシクロヘキシルアセトアミジナート)、酸素原子や窒素原子を介して2個以上のアルミニウムが結合したアルミノキサン化合物等が挙げられる。中でもトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライドアルミノキサン化合物等が好ましい。成分Bは、これらの化合物を1種又は2種以上混合して用いることができる。
本発明で用いるビニルエステル系モノマーとしては、代表的には酢酸ビニルが示される。ただ、この発明では、酢酸ビニル以外にも、炭素数3〜20のビニルエステル系単量体を用いることができる。例えば、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、2−エチルへキサン酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられる。また、これらは単独でも2種以上を組み合せてもよい。本発明の重合用担持型触媒組成物を用いるビニルエステル系モノマーの重合時にビニルエステル系単量体と共重合可能な単量体、例えばエチレン、プロピレン、イソブテン等のα−オレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノまたはジアルキルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド類、ビニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、1,5−ヘキサジエン、シクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ビニルスルホン酸あるいはその塩等を少量存在させることも可能である。
重合条件は特に限定されないが、ビニルエステル系単量体と不活性溶媒との混合溶液を用いるのが好ましい。この不活性溶媒は、重合を阻害しないものであればいかなる溶媒でも使用することができるが、特に炭素数4〜20の脂肪族炭化水素、例えばイソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等、芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン等、炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素、例えばクロロホルム、塩化メチレン、四塩化水素、ジブロモエタン、テトラクロロエタン等、ハロゲン化芳香族炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等、炭素数3〜20の脂肪族エステル、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸2−エチルへキシル、酢酸フェニル、ヘキサン酸エチル等、または芳香族エステル、例えば安息香酸メチル、安息香酸エチル等が適当である。
本発明の実施にあたり、成分Aはビニルエステル系モノマーと不活性溶媒を含有する混合溶液1Lあたり周期律表第3族〜11族の金属原子0.001〜2.5モルに相当する量で使用するのが好ましく、条件によりさらに高い濃度で使用することもできる。
成分Bは、成分Aの種類等により適宜濃度を変更し得るが、ビニルエステル系モノマーと不活性溶媒を含有する混合溶液1Lあたり、通常0.001〜50モルまたは周期律表第1、2、11、12または13族の金属原子0.001〜50モルの濃度で使用する。触媒組成物の成分B/成分Aのモル比は特に限定されないが、通常0〜10000であり、好ましくは0〜5000であり、より好ましくは0.1〜1000である。
本重合における重合操作は、通常の単一の重合条件で行う一段重合のみならず、複数の重合条件下で行う多段重合においても行うことができる。
本発明における重合条件は特に限定されないが、通常−100℃〜200℃であり、好ましくは−20℃〜100℃である。
本発明のPVAは、重合により得られたビニルエステル系重合体を鹸化して製造するが、鹸化方法やその条件には特に制限はなく、ビニルエステル系重合体のアルコール溶液を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを触媒として公知の方法で鹸化することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例に用いた測定方法は次の通りである。
(成分A1およびAの同定)
核磁気共鳴装置(JEOL社製、JNM−LAMBDA−300)を用い、H−NMRを測定した。
(シンジオタクチシチー(二連子))
ポリ酢酸ビニルは常法に従ってアルカリ鹸化によりPVAへ変換し、核磁気共鳴装置(JEOL社製、JNM−LAMBDA−400)を用いたH−NMR測定で三連子(mm/mr/rr)の割合(%)を求め、次式からシンジオタクチシチー(二連子)(r)(%)を算出した。
シンジオタクチシチー(二連子)(r)=rr+(mr/2)
(重合体の分子量)
カラム(東ソー(株)製、TSKgelGMHHR−MおよびTSKgelG2000HHR)および示差屈折率計(東ソー(株)製、RI−8020)を備えたゲル浸透クロマトグラフ(東ソー(株)製)により、40℃、テトラヒドロフラン溶媒中で、ビニルエステル系重合体の重量平均分子量(Mw)および分散度〔重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)〕をポリスチレン換算で求めた。
合成例1
[成分A1の調製]
2−(2−アミノー5−メチルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンー2−オールの合成
アルゴン置換したシュレンクフラスコにp−トルイジン(7.01g,65.4mmol)、p−トルエンスルホン酸(0.263g)およびヘキサフルオロアセトン(10ml,71.8mmol)を加えて、2時間加熱還流した。反応溶液を室温に戻し、生成した白色結晶を濾別、乾燥して標記の化合物を得た(収量:7.21g,収率:40%)。
H−NMR(CDCl,300MHz)7.37−6.94(m,3H),4.02(br,3H),2.35(s,3H)
合成例2
[成分A1の調製]
化合物(XXIII)の合成
Figure 0004855740
シュレンクフラスコに2−ヒドロキシ−5−メチル−1,3−ベンゼンジカルボキシアルデヒド(315mg,1.91mmol)、2−(2−アミノー5−メチルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンー2−オール(545mg,2.00mmol)、p−トルイジン(214mg、2.00mmol)およびエタノール(10ml)を加えて、室温で5時間撹拌した。反応溶液を濾別後、エーテルで洗浄、乾燥して標記の化合物を得た(収量:747mg,収率:74%)。
H−NMR(CDCl,300MHz)9.06(s、2H),8.61(s、1H)、8.60(s、1H),7.80−7.12(m、5H)、6.80(d、2H)、6.08(s、2H)、(m、9H)
合成例3
[成分Aの調製]
化合物(XVII)の合成
Figure 0004855740
シュレンクフラスコに化合物(XXIII)(254mg,0.50mmol)、トルエン(10ml)およびジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(767mg,1.0mol)を加えて、室温で12時間撹拌した。溶媒を留去後、塩化メチレンに溶解し、セライト濾過を行った。濾液から塩化メチレンを留去して標記の錯体を得た。(収量:455mg、収率66.3%)。
H−NMR(CDCl,300MHz):δ8.98(s、1H)、7.84−6.36(m、10H)、2.36(s、3H)、2.27(s、3H)、2.23(s、3H)
合成例4
[成分A1の調製]
化合物(XXIV)の合成
Figure 0004855740
アルゴン置換したシュレンクフラスコに2−ヒドロキシ−5−メチル−1,3−ベンゼンジカルボキシアルデヒド(1.01g,6.70mmol)、2,6−ジイソプロピルアニリン(3.57g,20.12mmol)、エタノール(15ml)および数滴の氷酢酸を加えて、30分間加熱還流した。反応溶液を濃縮し、−20℃で再結晶して標記の化合物を得た(収量:2.31g,収率:71.4%)。
H−NMR(CDCl,300MHz)13.43(s,1H)、8.17−8.59(br,2H)、7.23(s,8H)、3.03−3.12(m,4H),2.48(s,3H)、1.27(s,24H)
合成例5
[成分Aの調製]
化合物(XXV)の合成
Figure 0004855740
シュレンクフラスコに化合物(XXIV)(483mg,0.50mmol)、トルエン(10ml)およびジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(767mg,1.0mmol)を加えて、室温で12時間撹拌した。溶媒を留去後、塩化メチレンに溶解し、セライト濾過を行った。濾液から塩化メチレンを留去して標記の錯体を得た。(収量:463mg、70.2%)。
H−NMR(CDCl,300MHz)7.55−7.10(m、10H)、3.53−3.08(m、4H)、2.33(s、3H)、1.48(d、12H)、1.29(s、12H)
実施例1
化合物(XVII)を用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、化合物(XVII)(34.3mg,0.05mmol)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で2.00mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(10mL、108mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た(収量:0.14g,収率:1.5%)。Mw=5200;Mw/Mn=1.42.r dyad:33+50/2=58.0%
実施例2
化合物(XVII)を用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、化合物(XVII)(34.3mg,0.05mmol)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で15.0mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(10mL、108mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た(収量:4.32g,収率:46.3%)。Mw=7300;Mw/Mn=2.15.r dyad=56.4%
実施例3
化合物(XX)を用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、化合物(XXIII)(25.4mg、0.05mmol)およびFeCl(6.3mg、0.05mmol)を加えて室温で2時間攪拌した。ここにメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で2.00mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L,108mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た(収量:0.10g,収率:1.1%)。Mw=2,600;Mw/Mn=1.07.r dyad=57.0%
実施例4
化合物(XXI)を用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、化合物(XXIII)(25.4mg、0.05mmol)およびCoCl(6.5mg、0.05mmol)を加えて室温で2時間攪拌した。ここにメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で2.00mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L,108mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た(収量:0.12g,収率:1.3%)。Mw=3,600;Mw/Mn=1.25.r dyad=57.2%
実施例5
化合物(XXII)を用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、化合物(XXIII)(25.4mg、0.05mmol)およびRhCl(10.5mg、0.05mmol)を加えて室温で2時間攪拌した。ここにメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で2.00mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L,108mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た(収量:0.14g,収率:1.5%)。Mw=4,600;Mw/Mn=1.65.r dyad=57.3%
比較例1
化合物(XXV)を用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、化合物(XXV)(33.0mg,0.05mmol)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で2.00mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L,108mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た(収量:0.17g,収率:1.8%)。Mw=5,000;Mw/Mn=1.50。r dyad=53.0%
実施例1〜5と比較例1との比較から明らかなように、本発明の重合用触媒組成物を用いると、温和な条件下でシンジオタクチシチーの高いポリマーを製造できることがわかる。

Claims (14)

  1. ビニルエステル系モノマーのシンジオタクチック重合用触媒組成物であって、下記式(I):
    Figure 0004855740
    [式(I)中、R〜R は、それぞれ水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリロキシ基を表し、X水素、リチウム、ナトリウムまたはカリウムを表し、Y は、下記式(XII)または(XIII):
    Figure 0004855740
    (式(XII)〜(XIII)中、Rメチレン、ジフルオロメチレン、エチレン、テトラフルオロエチレン、1,2−フェニレン基、4−メチル−1,2−フェニレン基、4−メトキシ−1,2−フェニレン基、または4−t−ブチル−1,2−フェニレン基を表し、R、R10およびR11は、それぞれフッ素、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基を表す。)で表される基を表す。]で示される水酸基を有するフッ素含有化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物(A1)と、
    下記式(XIV):
    MX (XIV)
    (式(XIV)中、Mは鉄、コバルト、ロジウムまたはパラジウムを表し、Xは水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、またはハロゲン原子を表し、Xの数を示すaは1〜6を表し、aが2〜6のときXは互いに同一でも異なっていてもよく、Lは金属に対して配位結合可能な化合物を表し、Lの数を示すbは0〜8を表す。)で示される化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物(A2)との反応により得られる金属化合物を含む成分Aを含有する、前記重合用触媒組成物。
  2. 成分A1のY 下記式(XV):
    Figure 0004855740
    (式(XV)中、Rメチレン、ジフルオロメチレン、エチレン、テトラフルオロエチレン、1,2−フェニレン基、4−メチル−1,2−フェニレン基、4−メトキシ−1,2−フェニレン基、または4−t−ブチル−1,2−フェニレン基を表す。)で表される基である、請求項1に記載の重合用触媒組成物。
  3. 成分Aが、下記式(XVI):
    Figure 0004855740
    (式(XVI)中、R〜RおよびR12〜R15はそれぞれ、水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリロキシ基を表し、Xは、水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基またはハロゲン原子を表し、Xの数を示すaは1〜6を表し、aが2〜6のときXは互いに同一でも異なっていてもよく、Mは鉄、コバルト、ロジウムまたはパラジウムを表し、Xは酸素または水酸基を表す。)で示される金属化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の金属化合物である、請求項1または2に記載の重合用触媒組成物。
  4. ビニルエステル系モノマーのシンジオタクチック重合用触媒組成物であって、下記式(XXIII):
    Figure 0004855740
    で示される水酸基を有するフッ素含有化合物である化合物(A1)と、
    下記式(XIV):
    MX (XIV)
    (式(XIV)中、Mは鉄、コバルト、ロジウムまたはパラジウムを表し、X は水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、またはハロゲン原子を表し、X の数を示すaは1〜6を表し、aが2〜6のときX は互いに同一でも異なっていてもよく、Lは金属に対して配位結合可能な化合物を表し、Lの数を示すbは0〜8を表す。)で示される化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物(A2)との反応により得られる金属化合物を含む成分Aを含有する、前記重合用触媒組成物。
  5. ビニルエステル系モノマーのシンジオタクチック重合用触媒組成物であって、下記式(XVII)、(XVIII)、(XIX)、(XX)、(XXI)または(XXII):
    Figure 0004855740
    で示される金属化合物を含む成分Aを含有する、前記重合用触媒組成物。
  6. (a)原子番号が3以上で、かつ周期律表第1、2、11、12および13族の元素から選ばれた少なくとも1種の元素、(b)置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基および/または置換基を有してもよい炭素数6〜40の芳香族炭化水素基ならびに(c)過塩素酸基、からなる3つの群のうちの少なくとも2つの群からそれぞれ1種以上選ばれた、元素および/または基を有する化合物を含む成分Bをさらに含有する、請求項1〜のいずれかに記載の重合用触媒組成物。
  7. 成分Bが有機リチウム化合物、有機マグネシウム化合物、トリフルオロメタンスルホン酸塩、過塩素酸塩、有機亜鉛化合物、有機ホウ素化合物、ホウ酸塩または有機アルミニウム化合物である、請求項に記載の重合用触媒組成物。
  8. 得られる重合体のシンジオタクチシチーがラセモ2連子(r)で55%以上となる、請求項1〜のいずれかに記載の重合用触媒組成物。
  9. 下記式(XVI):
    Figure 0004855740
    (式(XVI)中、R〜RおよびR12〜R15はそれぞれ、水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリロキシ基を表し、Xは、水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基またはハロゲン原子を表し、Xの数を示すaは1〜6を表し、aが2〜6のときXは互いに同一でも異なっていてもよく、Mは鉄、コバルト、ロジウムまたはパラジウムを表し、Xは酸素または水酸基を表す。)で示される金属化合物。
  10. 下記式(XVII)、(XVIII)、(XIX)、(XX)、(XXI)または(XXII):
    Figure 0004855740
    で示される金属化合物。
  11. 請求項1〜のいずれかに記載の重合用触媒組成物の、ビニルエステル系モノマーのシンジオタクチック重合への使用。
  12. ビニルエステル系モノマーが、酢酸ビニルである、請求項11に記載のビニルエステル系モノマーのシンジオタクチック重合への使用。
  13. 重合体のシンジオタクチシチーがラセモ2連子(r)で55%以上となる、請求項11または12に記載のビニルエステル系モノマーのシンジオタクチック重合への使用。
  14. 請求項1〜のいずれかに記載の重合用触媒組成物の存在下、ビニルエステル系モノマーのシンジオタクチック重合によるポリ酢酸ビニルまたは酢酸ビニルを含む共重合体の製造方法であって、重合体のシンジオタクチシチーがラセモ2連子(r)で55%以上となる、前記製造方法。
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