JP2007063470A - 金属化合物、金属化合物を含むビニル系モノマー重合用触媒組成物およびそのビニル系モノマーの重合への使用 - Google Patents
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Abstract
【課題】 温和な条件下で簡便かつ生産性高くビニル系モノマーを重合するための触媒組成物を提供する。
【解決手段】 本発明の重合用触媒組成物に含まれる金属化合物は、下記式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)または(VIII):
【化1】
(式(I)〜(VIII)中、M1およびM2はそれぞれ周期律表第3族から11族から選ばれた元素を表し、X1〜X4はそれぞれ水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、またはハロゲン原子を表し、X1〜X4の数を示すa、b、cおよびdはそれぞれ1〜6を表し、R1〜R7はそれぞれ水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリロキシ基を表す。)で表される化合物からなる。
【解決手段】 本発明の重合用触媒組成物に含まれる金属化合物は、下記式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)または(VIII):
【化1】
(式(I)〜(VIII)中、M1およびM2はそれぞれ周期律表第3族から11族から選ばれた元素を表し、X1〜X4はそれぞれ水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、またはハロゲン原子を表し、X1〜X4の数を示すa、b、cおよびdはそれぞれ1〜6を表し、R1〜R7はそれぞれ水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリロキシ基を表す。)で表される化合物からなる。
Description
本発明は、周期律表第3族から11族から選ばれた元素と窒素を含有する金属化合物、該金属化合物を含むビニル系モノマー重合用触媒組成物、およびそれを用いたビニル系モノマーの重合方法に関する。
ポリマーの高機能化の手段として、種々の官能基を重合体中に導入する方法がある。例えば、側鎖に官能基を有するビニル系モノマーの付加重合法により、様々な性能を有するポリマーが得られる。ビニル系モノマーの種類は豊富であることからも、この方法は簡便かつ有用な手段といえる。
ビニル系モノマーの付加重合法としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合等が知られている。ラジカル重合法は重合可能なモノマーの適用範囲が広く、α−オレフィン、スチレン誘導体等の炭化水素系モノマーのみならず、エステル基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の官能基を有するモノマーでも重合可能である。その反面、ラジカル重合法は重合を開始させるためには高温に加熱することを必要とする。また、低温下でも重合開始能のある開始剤を用いた場合には生産性に乏しく、生産性を確保するために乳化剤を用いた乳化重合法を行う場合には操作が煩雑となる、といった問題がある。
一方、カチオン重合法およびアニオン重合法は、重合可能なモノマーの適用範囲が狭いという欠点がある。チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒等を用いた重合に代表される配位重合では、近年、官能基を有するモノマーを重合可能とする後周期金属錯体を用いた重合法も開発され、アクリル酸エステル、ノルボルネオールといった水酸基含有オレフィン等の官能基含有モノマーとエチレンとの共重合法も開発されている(特許文献1〜8)。
しかしながら、このような重合方法でも官能基含有モノマーを主成分とする重合は困難であり、官能基を有さないα−オレフィン等のモノマーに少量の官能基含有モノマーを導入した共重合体を製造できるにすぎない。
したがって本発明の課題は、ビニル系モノマー、特に官能基を含有するビニル系モノマーを比較的温和な条件下で生産性高く重合するための触媒組成物およびそれを用いた重合方法を提供することにある。
上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明者等は、周期律表第3族から11族から選ばれた元素および窒素を含有する化合物を触媒組成物として用いることにより、ビニル系モノマー、特に官能基を含有するビニル系モノマーを比較的温和な条件下で生産性高く重合できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)または(VIII):
(式(I)〜(VIII)中、M1およびM2はそれぞれ周期律表第3族から11族から選ばれた元素を表し、X1〜X4はそれぞれ水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、またはハロゲン原子を表し、X1〜X4の数を示すa、b、cおよびdはそれぞれ1〜6を表し、R1〜R7はそれぞれ水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリロキシ基を表す。)で表される金属化合物に関する。
また本発明は、ビニル系モノマー重合用触媒組成物であって、下記式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)および(VIII):
(式(I)〜(VIII)中、M1およびM2はそれぞれ周期律表第3族から11族から選ばれた元素を表し、X1〜X4はそれぞれ水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、またはハロゲン原子を表し、X1〜X4の数を示すa、b、cおよびdはそれぞれ1〜6を表し、R1〜R7はそれぞれ水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリロキシ基を表す。)で表される化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含む成分Aを含有する、前記重合用触媒組成物に関する。
さらに本発明は、M1およびM2がそれぞれ鉄、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウムまたは銅である、前記重合用触媒組成物に関する。
また本発明は、(a)原子番号が3以上で、かつ周期律表第1、2、11、12および13族の元素から選ばれた少なくとも1種の元素、(b)置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基および/または置換基を有してもよい炭素数6〜40の芳香族炭化水素基ならびに(c)過塩素酸基、からなる3つの群のうちの少なくとも2つの群からそれぞれ1種以上選ばれた、元素および/または基を有する化合物を含む成分Bをさらに含有する、前記重合用触媒組成物に関する。
さらに本発明は、成分Bが有機リチウム化合物、有機マグネシウム化合物、トリフルオロメタンスルホン酸塩、過塩素酸塩、有機亜鉛化合物、有機ホウ素化合物、ホウ酸塩、または有機アルミニウム化合物である、前記重合用触媒組成物に関する。
また本発明は、前記重合用触媒組成物の、ビニル系モノマーの重合への使用に関する。
さらに本発明は、ビニル系モノマーが、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルエーテル、ビニルエステル、エチレン、α−オレフィン、スチレン誘導体およびジエン誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種である、前記のビニル系モノマーの重合への使用に関する。
また本発明は、前記重合用触媒組成物の存在下、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルエーテル、ビニルエステル、エチレン、α−オレフィン、スチレン誘導体およびジエン誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種のモノマーを重合する、ビニル系重合体の製造方法に関する。
以上のとおり、本発明の金属化合物を含有するビニル系モノマー重合用触媒組成物は、官能基を含有するモノマーを含む重合体を、比較的温和な条件下で生産性高く製造することが可能である。
本発明の金属化合物は、下記式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)または(VIII)で表される。
上記M1およびM2は、それぞれ周期律表第3族から11族から選ばれた元素を表し、M1およびM2は同一であっても異なっていてもよい。M1およびM2としては、例えばSc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au等が挙げられ、好ましくは、Fe、Ru、Co、Rh、Pd、Cu等が挙げられる。
上記R1〜R7の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロペンタジエニル基等の直鎖、分枝鎖または環状の脂肪族炭化水素基が挙げられ、上記R1〜R7の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基等が挙げられる。また、これらの基の置換基としては、上記の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、上記の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリロキシ基、ハロゲン(F、Cl、Br、I)原子、アセトキシ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基等の官能基等が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有していてもよい。また、上記R1〜R7の炭素数1〜20のアルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられ、上記R1〜R7の炭素数6〜20のアリロキシ基としてはフェノキシ基、ナフトキシ等が挙げられる。
式(I)〜(VIII)で示される実線は、それぞれ共有結合、イオン結合および配位結合のいずれかを表す。また、式(I)〜(VIII)で示される化合物は陽イオン性または陰イオン性の化合物であってもよい。
上記X1〜X4は、それぞれ水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基またはハロゲン原子を表す。置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基および置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基の具体例は、上記R1〜R7におけるこれらの基の具体例と同様であり、これらの基の置換基もR1〜R7における基の置換基と同様である。X1〜X4は特にハロゲン原子またはメチル基が好ましい。またa、b、cおよびdはX1〜X4の数を示し、具体的には1〜6である。各X1〜X4の数が2以上の場合、各X1〜X4は互いに同一でも異なっていてもよい。
本発明のビニル系モノマーの重合用触媒組成物に含まれる成分Aは、上記の式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)および(VIII)で表される化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含有する。
本発明の重合用触媒組成物の利用形態は、単独で用いる方法および無機または有機担体に担持して用いる方法がある。無機担体としては、無機物、金属の酸化物やハロゲン化物等が挙げられる。例えば、活性炭、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、ゼオライト、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化銅等が例示される。さらに、反応によって無機担体となりうるものも使用できる。例えば、金属マグネシウムとアルコールとの反応物等が挙げられる。
また、有機担体としては、有機溶媒に不溶な高分子化合物、イオン交換樹脂等が挙げられる。例えば、ポリスチレンビーズ、シクロデキストリン、Amberlyst、Nafion、Dowex、Sephadex、シリカゲル等が挙げられる。
上記重合用触媒組成物を無機または有機担体に担持する方法は、触媒製造技術分野で通常用いる方法を利用することができる。例えば、上記重合用触媒組成物と無機担体とを不活性ガス雰囲気下、ボールミルや振動ミル中で共粉砕する方法や、上記重合用触媒組成物の溶液に無機または有機担体を浸漬した後乾燥担持させる方法、上記重合用触媒組成物が有する配位子を有機担体と化学的に結合させる方法等が挙げられる。無機または有機担体への上記重合用触媒組成物の担持量は、特に限定されないが0.001〜30wt%程度が好ましい。
成分Bは、(a)原子番号が3以上で、かつ周期律表第1、2、11、12および13族の元素から選ばれた少なくとも1種の元素、(b)置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基および/または置換基を有してもよい炭素数6〜40の芳香族炭化水素基ならびに(c)過塩素酸基、からなる3つの群のうち少なくとも2つの群から1種以上選ばれた、元素および/または基を有する化合物を含む。置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンタジエニル基等の直鎖、分岐鎖または環状の脂肪族炭化水素基が挙げられ、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基等が挙げられる。また、これらの基の置換基としては、上記の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリロキシ基、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、アセトキシ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボニル基、アミノ基等の官能基等が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有していてもよい。
成分Bに含まれる化合物としては、アルキルリチウム、アルキルナトリウム、アルキルマグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸塩、過塩素酸塩、アルキル亜鉛、アルキルホウ素、ホウ酸塩、アルキルアルミニウム等が挙げられる。具体例としては、メチルリチウム、ブチルリチウム、フェニルリチウム、ブチルナトリウム、ブチルエチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム、臭化ブチルマグネシウム、臭化フェニルマグネシウム、塩化メチルマグネシウム、塩化エチルマグネシウム、塩化ブチルマグネシウム、塩化フェニルマグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸銀、過塩素酸銀、過塩素酸トリフェニルメチル、ジエチル亜鉛、ホウフッ化銀、トリスペンタフルオロフェニルホウ素、トリス(トリフルオロメチル)ホウ素、テトラキスペンタフルオロフェニルホウ酸トリフェニルメチル、テトラキス[3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸トリフェニルメチル、テトラキス[3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジイソブチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムイソプロポキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド、エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド、水素化ジイソプロピルアルミニウム、メチルアルミニウムビス(2,6−ジtert−ブチルフェノキシド)、メチルアルミニウムビス(2,6−ジtert−ブチル−4−メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジtert−ブチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジtert−ブチル−4−メチルフェノキシド)、メチルアルミニウムビス{2−(N−フェニルイミノ)フェノキシド}、イソブチルアルミニウムビス{2−(N−フェニルイミノ)フェノキシド}、ジエチルアルミニウム{2−(N−フェニルイミノ)フェノキシド}、ジメチルアルミニウム(N,N′−ジイソプロピルアセトアミジナート)、ジメチルアルミニウム(N,N′−ジシクロヘキシルアセトアミジナート)、ジメチルガリウム(N,N′−ジイソプロピルアセトアミジナート)、ジメチルガリウム(N,N′−ジシクロヘキシルアセトアミジナート)、酸素原子や窒素原子を介して2個以上のアルミニウムが結合したアルミノキサン化合物等が挙げられる。中でもトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライドアルミノキサン化合物等が好ましい。成分Bは、これらの化合物を1種又は2種以上混合して用いることができる。
本発明で用いるビニル系モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸フェニル等のメタクリル酸エステル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、n−プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、2−エチルへキサン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸イソプロペニル等のビニルエステル、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、ノルボルネン、ノルボルナジエン等のα−オレフィン、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のスチレン誘導体、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、ネオプレン等のジエン誘導体が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合条件は特に限定されないが、ビニル系モノマーと不活性溶媒との混合溶液を用いることが好ましい。この不活性溶媒は、重合を阻害しないものであればいかなる溶媒でも使用することができるが、特に炭素数4〜20の脂肪族炭化水素、例えばイソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等、芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン等、炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素、例えばクロロホルム、塩化メチレン、四塩化水素、ジブロモエタン、テトラクロロエタン等、ハロゲン化芳香族炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等、炭素数3〜20の脂肪族エステル、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸2−エチルへキシル、酢酸フェニル、ヘキサン酸エチル等、または芳香族エステル、例えば安息香酸メチル、安息香酸エチル等が適当である。
本発明の実施にあたり、成分Aはビニル系モノマーと不活性溶媒を含有する混合溶液1Lあたり周期律表第3族から11族の金属原子0.001〜2.5モルに相当する量で使用するのが好ましく、条件によりさらに高い濃度で使用することもできる。
成分Bは、成分Aの種類等により適宜濃度を変更し得るが、ビニル系モノマーと不活性溶媒を含有する混合溶液1Lあたり、通常0.001〜50モルまたは周期表第1、2、11、12または13族の金属原子0.001〜50モルの濃度で使用する。触媒組成物の成分B/成分Aのモル比は特に限定されないが、通常0〜10000であり、好ましくは0〜5000であり、より好ましくは0.1〜1000である。
本重合における重合操作は、通常の単一の重合条件で行う一段重合のみならず、複数の重合条件下で行う多段重合においても行うことができる。
本発明における重合条件は特に限定されないが、通常−100℃〜200℃であり、好ましくは−20℃〜100℃である。
本発明の重合により得られたビニルエステル系重合体を鹸化することでポリビニルアルコールを製造できるが、鹸化方法やその条件には特に制限はなく、ビニルエステル系重合体のアルコール溶液を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを触媒として公知の方法で鹸化することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例に用いた測定方法は次の通りである。
(成分Aの同定)
核磁気共鳴装置(JEOL社製、JNM−LAMBDA−300)を用い、1H− NMRを測定した。
核磁気共鳴装置(JEOL社製、JNM−LAMBDA−300)を用い、1H− NMRを測定した。
(重合体の分子量)
カラム(東ソー(株)製、TSKgelGMHHR−MおよびTSKgelG2000HHR)および示差屈折率計(東ソー(株)製、RI−8020)を備えたゲル浸透クロマトグラフ(東ソー(株)製)により、40℃、テトラヒドロフラン溶媒中で、ビニルエステル系重合体の重量平均分子量(Mw)および分散度〔重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)〕をポリスチレン換算で求めた。
カラム(東ソー(株)製、TSKgelGMHHR−MおよびTSKgelG2000HHR)および示差屈折率計(東ソー(株)製、RI−8020)を備えたゲル浸透クロマトグラフ(東ソー(株)製)により、40℃、テトラヒドロフラン溶媒中で、ビニルエステル系重合体の重量平均分子量(Mw)および分散度〔重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)〕をポリスチレン換算で求めた。
合成例1
[成分Aの調製]
化合物(XIV)の合成
アルゴン置換したシュレンクフラスコに2−ヒドロキシ−5−メチル−1,3−ベンゼンジカルボキシアルデヒド(1.01g,6.70mmol)、2,6−ジイソプロピルアニリン(3.57g,20.12mmol)、エタノール(15ml)および数滴の氷酢酸を加えて、30分間加熱還流した。反応溶液を濃縮し、−20℃で再結晶して標記の化合物を得た(収量:2.31g,収率:71.4%)。
1H−NMR(CD3Cl,300MHz)13.43(s,1H)、8.17−8.59(br,2H)、7.23(s,8H)、3.03−3.12(m,4H),2.48(s,3H)、1.27(s,24H)
[成分Aの調製]
化合物(XIV)の合成
1H−NMR(CD3Cl,300MHz)13.43(s,1H)、8.17−8.59(br,2H)、7.23(s,8H)、3.03−3.12(m,4H),2.48(s,3H)、1.27(s,24H)
合成例2
[成分Aの調製]
化合物(IX)の合成
シュレンクフラスコに化合物(XIV)(483mg,1.00mmol)、THF(5mL)を加えて、さらに水素化ナトリウム(28.8mg、1.20mmol)室温で1時間撹拌した。反応溶液を留去後、トルエン(10mL)を加え、そこへジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(767mg、2.00mmol)を加え、室温で12時間撹拌した。反応液をろ過後、トルエンを留去して標記の化合物を得た(収量:646mg,収率:80%)。
1H−NMR(CDCl3)7.49−7.13(m、10H),3.53(m、4H)、2.32(s、3H),1.48(d、12H)、1.15(d、12H)
[成分Aの調製]
化合物(IX)の合成
1H−NMR(CDCl3)7.49−7.13(m、10H),3.53(m、4H)、2.32(s、3H),1.48(d、12H)、1.15(d、12H)
合成例3
[成分Aの調製]
化合物(XV)の合成
シュレンクフラスコに化合物2,6−ジホルミルピリダジン(136mg,1.00mmol)、2,6−ジイソプロピルアニリン(425mg,2.4mmol)、エタノール(10ml)および数滴の氷酢酸を加えて、30分間加熱還流した。反応溶液を濃縮し、−20℃で再結晶して標記の化合物を得た。(収量:418mg、収率92%)。
1H−NMR(CD3Cl):δ8.66(s、2H)、8.54(s、2H)、7.23−7.14(m、6H)、2.97(sept、4H)、1.19(d、24H)
[成分Aの調製]
化合物(XV)の合成
1H−NMR(CD3Cl):δ8.66(s、2H)、8.54(s、2H)、7.23−7.14(m、6H)、2.97(sept、4H)、1.19(d、24H)
合成例4
[成分Aの調製]
化合物(XI)の合成
アルゴン置換したシュレンクフラスコに化合物(XV)(455mg、1.00mmol)、アセトニトリル(10mL)を加え、そこへジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(384mg、1.00mmol)を加え、室温で12時間撹拌した。ついでAgBF4(195mg、1.00mmol)を加えてさらに室温で12時間撹拌した。ここへジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(384mg、1.00mmol)を加え、室温で12時間撹拌した。反応溶液をろ過後、溶媒を留去し、塩化メチレンから再結晶して標記の化合物を得た(収量:615mg,収率:71.4%)。
1H−NMR(CD2Cl2)9.30(s,2H)、8.68(s、2H)、7.22−7.24(m,6H)、3.18(dq,4H),1.38(d,12H)、1.26(d,12H)
[成分Aの調製]
化合物(XI)の合成
1H−NMR(CD2Cl2)9.30(s,2H)、8.68(s、2H)、7.22−7.24(m,6H)、3.18(dq,4H),1.38(d,12H)、1.26(d,12H)
合成例5
[成分Aの調製]
化合物(XII)の合成
アルゴン置換したシュレンクフラスコに化合物(XV)(455mg、1.00mmol)、塩化メチレン(10mL)を加え、そこへAgBF4(195mg、1.00mmol)、クロロメチル(シクロオクタジン)パラジウム(530mg、2.00mmol)を加え、室温で12時間撹拌した。反応溶液をろ過後、−78℃で再結晶して標記の化合物を得た(収量:482mg,収率:58.8%)。
1H−NMR(CD2Cl2)9.07(s,2H)、8.98(s、2H)、7.20−7.40(m,6H)、3.13(dq,4H),1.31(d,12H)、1.18(d,12H)、0.77(s、6H)
[成分Aの調製]
化合物(XII)の合成
1H−NMR(CD2Cl2)9.07(s,2H)、8.98(s、2H)、7.20−7.40(m,6H)、3.13(dq,4H),1.31(d,12H)、1.18(d,12H)、0.77(s、6H)
実施例1
化合物(IX)を用いたアクリル酸メチルの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、化合物(IX)(40.0mg,0.05mmol)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で15.0mmol)を加え、さらに室温でアクリル酸メチル(8.61g,100mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリアクリル酸メチルを得た(収量:7.41g,収率:86.1%)。Mn=21,600;Mw/Mn=2.27
化合物(IX)を用いたアクリル酸メチルの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、化合物(IX)(40.0mg,0.05mmol)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で15.0mmol)を加え、さらに室温でアクリル酸メチル(8.61g,100mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリアクリル酸メチルを得た(収量:7.41g,収率:86.1%)。Mn=21,600;Mw/Mn=2.27
実施例2
化合物(IX)を用いたメタクリル酸メチルの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、化合物(IX)(40.0mg,0.05mmol)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で15.0mmol)を加え、さらに室温でメタクリル酸メチル(10.0g,100mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリメタクリル酸メチルを得た(収量:6.66g,収率:66.6%)。Mn=12,100;Mw/Mn=2.67
化合物(IX)を用いたメタクリル酸メチルの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、化合物(IX)(40.0mg,0.05mmol)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で15.0mmol)を加え、さらに室温でメタクリル酸メチル(10.0g,100mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリメタクリル酸メチルを得た(収量:6.66g,収率:66.6%)。Mn=12,100;Mw/Mn=2.67
実施例3
化合物(IX)を用いたイソブチルビニルエーテルの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、化合物(IX)(40.0mg,0.05mmol)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で15.0mmol)を加え、さらにイソブチルビニルエーテル(10.0g,100mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリイソブチルビニルエーテルを得た(収量:8.95g,収率:89.5%)。Mn=53,700;Mw/Mn=3.14
化合物(IX)を用いたイソブチルビニルエーテルの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、化合物(IX)(40.0mg,0.05mmol)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で15.0mmol)を加え、さらにイソブチルビニルエーテル(10.0g,100mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリイソブチルビニルエーテルを得た(収量:8.95g,収率:89.5%)。Mn=53,700;Mw/Mn=3.14
実施例4
化合物(IX)を用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、化合物(IX)(40.0mg,0.05mmol)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で15.0mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(8.61g,100mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た(収量:7.22g,収率:83.8%)。Mn=2,900;Mw/Mn=2.11
化合物(IX)を用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、化合物(IX)(40.0mg,0.05mmol)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で15.0mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(8.61g,100mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た(収量:7.22g,収率:83.8%)。Mn=2,900;Mw/Mn=2.11
実施例5
化合物(XI)を用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、化合物(XI)(43.0mg,0.05mmol)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で15.0mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(8.61g,100mmol)を加えて0℃で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た(収量:6.32g,収率:73.4%)。Mn=3,700;Mw/Mn=2.00
化合物(XI)を用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、化合物(XI)(43.0mg,0.05mmol)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で15.0mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(8.61g,100mmol)を加えて0℃で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た(収量:6.32g,収率:73.4%)。Mn=3,700;Mw/Mn=2.00
実施例6
化合物(XII)を用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、化合物(XII)(41.0mg,0.05mmol)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で15.0mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(8.61g,100mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た(収量:3.82g,収率:44.4%)。Mn=5,400;Mw/Mn=2.12
化合物(XII)を用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、化合物(XII)(41.0mg,0.05mmol)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で15.0mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(8.61g,100mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た(収量:3.82g,収率:44.4%)。Mn=5,400;Mw/Mn=2.12
実施例7
化合物(IX)を用いたエチレンの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、化合物(IX)(40.0mg,0.05mmol)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で15.00mmol)を加え、そこにエチレンガス(1atm)を吹き込みながら室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を1M塩酸メタノール溶液100ml中に投入し、ポリエチレンを得た(収量:1.47g)。Mn=29,300;Mw/Mn=1.85
化合物(IX)を用いたエチレンの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、化合物(IX)(40.0mg,0.05mmol)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で15.00mmol)を加え、そこにエチレンガス(1atm)を吹き込みながら室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を1M塩酸メタノール溶液100ml中に投入し、ポリエチレンを得た(収量:1.47g)。Mn=29,300;Mw/Mn=1.85
実施例8
化合物(IX)を用いた1−ヘキセンの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、化合物(IX)(40.0mg,0.05mmol)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で15.00mmol)を加え、さらに1−ヘキセン(8.42g,100mmol)を加えて、室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ(1−ヘキセン)を得た(収量:253mg、収率:3.0%)。Mn=880;Mw/Mn=1.15
化合物(IX)を用いた1−ヘキセンの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、化合物(IX)(40.0mg,0.05mmol)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で15.00mmol)を加え、さらに1−ヘキセン(8.42g,100mmol)を加えて、室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ(1−ヘキセン)を得た(収量:253mg、収率:3.0%)。Mn=880;Mw/Mn=1.15
実施例9
化合物(IX)を用いたスチレンの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、化合物(IX)(40.0mg,0.05mmol)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で15.00mmol)を加え、さらにスチレン(10.4g,100mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリスチレンを得た(収量:7.59g,収率:73.0%)。Mn=3,900;Mw/Mn=2.51
化合物(IX)を用いたスチレンの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、化合物(IX)(40.0mg,0.05mmol)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で15.00mmol)を加え、さらにスチレン(10.4g,100mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリスチレンを得た(収量:7.59g,収率:73.0%)。Mn=3,900;Mw/Mn=2.51
実施例10
化合物(IX)を用いたイソプレンの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、化合物(IX)(40.0mg,0.05mmol)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で15.00mmol)を加え、さらにイソプレン(6.81g,100mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリイソプレンを得た(収量:429mg,収率:6.3%)。Mn=2,500;Mw/Mn=1.77
化合物(IX)を用いたイソプレンの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、化合物(IX)(40.0mg,0.05mmol)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で15.00mmol)を加え、さらにイソプレン(6.81g,100mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリイソプレンを得た(収量:429mg,収率:6.3%)。Mn=2,500;Mw/Mn=1.77
比較例1
ラジカル重合開始剤を用いたアクリル酸メチルの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)[和光純薬工業(株)製V−70](15.4mg,0.05mmol)を加え、さらに室温でアクリル酸メチル(8.61g,100mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮し、ポリアクリル酸メチルを得た(収量:1.13g,収率:13.2%)。Mn=47,000;Mw/Mn=2.15
ラジカル重合開始剤を用いたアクリル酸メチルの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)[和光純薬工業(株)製V−70](15.4mg,0.05mmol)を加え、さらに室温でアクリル酸メチル(8.61g,100mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮し、ポリアクリル酸メチルを得た(収量:1.13g,収率:13.2%)。Mn=47,000;Mw/Mn=2.15
比較例2
ラジカル重合開始剤を用いたメタクリル酸メチルの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、和光純薬工業(株)製V−70(15.4mg,0.05mmol)を加え、さらに室温でメタクリル酸メチル(10.0g,100mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮し、ポリメタクリル酸メチルを得た(収量:1.08g,収率:10.8%)。Mn=31,700;Mw/Mn=2.01
ラジカル重合開始剤を用いたメタクリル酸メチルの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、和光純薬工業(株)製V−70(15.4mg,0.05mmol)を加え、さらに室温でメタクリル酸メチル(10.0g,100mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮し、ポリメタクリル酸メチルを得た(収量:1.08g,収率:10.8%)。Mn=31,700;Mw/Mn=2.01
比較例3
ラジカル重合開始剤を用いたイソブチルビニルエーテルの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、和光純薬工業(株)製V−70(15.4mg,0.05mmol)を加え、さらに室温でイソブチルビニルエーテル(10.0g,100mmol)を加えて24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮したがポリマーは得られなかった。
ラジカル重合開始剤を用いたイソブチルビニルエーテルの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、和光純薬工業(株)製V−70(15.4mg,0.05mmol)を加え、さらに室温でイソブチルビニルエーテル(10.0g,100mmol)を加えて24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮したがポリマーは得られなかった。
比較例4
ラジカル重合開始剤を用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、和光純薬工業(株)製V−70(15.4mg,0.05mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(8.61g,100mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮し、ポリ酢酸ビニルを得た(収量:577mg,収率:6.7%)。Mn=22,400;Mw/Mn=1.92
ラジカル重合開始剤を用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、和光純薬工業(株)製V−70(15.4mg,0.05mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(8.61g,100mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮し、ポリ酢酸ビニルを得た(収量:577mg,収率:6.7%)。Mn=22,400;Mw/Mn=1.92
比較例5
ラジカル重合開始剤を用いたエチレンの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、和光純薬工業(株)製V−70(15.4mg,0.05mmol)を加え、そこにエチレンガス(1atm)を吹き込みながら室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮したがポリマーは得られなかった。
ラジカル重合開始剤を用いたエチレンの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、和光純薬工業(株)製V−70(15.4mg,0.05mmol)を加え、そこにエチレンガス(1atm)を吹き込みながら室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮したがポリマーは得られなかった。
比較例6
ラジカル重合開始剤を用いた1−ヘキセンの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、和光純薬工業(株)製V−70(15.4mg,0.05mmol)を加え、さらに1−ヘキセン(8.42g,100mmol)を加えて、室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮したが、ポリマーは得られなかった。
ラジカル重合開始剤を用いた1−ヘキセンの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、和光純薬工業(株)製V−70(15.4mg,0.05mmol)を加え、さらに1−ヘキセン(8.42g,100mmol)を加えて、室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮したが、ポリマーは得られなかった。
比較例7
ラジカル重合開始剤を用いたスチレンの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、和光純薬製V−70(15.4mg,0.05mmol)を加え、さらにスチレン(10.4g,100 mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮しポリスチレンを得た(収量:1.30g,収率:12.5%)。Mn=12,300;Mw/Mn=2.01
ラジカル重合開始剤を用いたスチレンの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、和光純薬製V−70(15.4mg,0.05mmol)を加え、さらにスチレン(10.4g,100 mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮しポリスチレンを得た(収量:1.30g,収率:12.5%)。Mn=12,300;Mw/Mn=2.01
比較例8
ラジカル重合開始剤を用いたイソプレンの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにクロロホルム(1ml)を装入し、和光純薬工業(株)製V−70(15.4mg,0.05mmol)を加え、さらにイソプレン(6.81g,100mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮し、ポリイソプレンを得た(収量:197mg,収率:2.9%)。Mn=1,000;Mw/Mn=1.60
ラジカル重合開始剤を用いたイソプレンの重合
アルゴン置換した100mLシュレンクフラスコにクロロホルム(1ml)を装入し、和光純薬工業(株)製V−70(15.4mg,0.05mmol)を加え、さらにイソプレン(6.81g,100mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮し、ポリイソプレンを得た(収量:197mg,収率:2.9%)。Mn=1,000;Mw/Mn=1.60
実施例1と比較例1、実施例2と比較例2、実施例3と比較例3、実施例4〜6と比較例4、実施例7と比較例5、実施例8と比較例6、実施例9と比較例7、実施例10と比較例8との比較から明らかなように、本発明の重合用触媒組成物を用いた方が得られるポリマーの収率が高く、生産性に優れていることがわかる。
Claims (8)
- 下記式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)または(VIII):
- ビニル系モノマーの重合用触媒組成物であって、下記式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)および(VIII):
- M1およびM2がそれぞれ鉄、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウムまたは銅である、請求項2に記載の重合用触媒組成物。
- (a)原子番号が3以上で、かつ周期律表第1、2、11、12および13族の元素から選ばれた少なくとも1種の元素、(b)置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基および/または置換基を有してもよい炭素数6〜40の芳香族炭化水素基ならびに(c)過塩素酸基、からなる3つの群のうちの少なくとも2つの群からそれぞれ1種以上選ばれた、元素および/または基を有する化合物を含む成分Bをさらに含有する、請求項2または3に記載の重合用触媒組成物。
- 成分Bが有機リチウム化合物、有機マグネシウム化合物、トリフルオロメタンスルホン酸塩、過塩素酸塩、有機亜鉛化合物、有機ホウ素化合物、ホウ酸塩、または有機アルミニウム化合物である、請求項4に記載の重合用触媒組成物。
- 請求項2〜5のいずれかに記載の重合用触媒組成物の、ビニル系モノマーの重合への使用。
- ビニル系モノマーが、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルエーテル、ビニルエステル、エチレン、α−オレフィン、スチレン誘導体およびジエン誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項6に記載のビニル系モノマーの重合への使用。
- 請求項2〜5のいずれかに記載の重合用触媒組成物の存在下、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルエーテル、ビニルエステル、エチレン、α−オレフィン、スチレン誘導体およびジエン誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種のモノマーを重合する、ビニル系重合体の製造方法。
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JP2005253510A JP2007063470A (ja) | 2005-09-01 | 2005-09-01 | 金属化合物、金属化合物を含むビニル系モノマー重合用触媒組成物およびそのビニル系モノマーの重合への使用 |
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JP2007063469A (ja) * | 2005-09-01 | 2007-03-15 | Kuraray Co Ltd | 金属化合物、金属化合物を含むビニルエステル系モノマー重合用触媒組成物およびそのビニルエステル系モノマーの重合への使用 |
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2005
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