JP4855611B2 - ピアノの止音装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、押鍵に基づく打弦動作時にハンマーシャンクの移動を阻止して、ハンマーの打弦による発音を防止するピアノの止音装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、アコースティックピアノに電子音源を組み合わせて、ハンマーの打弦による通常のアコースティック演奏モードに加え、電子音源による演奏モードにも切り換え可能な複合ピアノがある。この種の複合ピアノにおいては、電子音源を使った演奏時にハンマーの打弦による発音を防止する消音演奏モードに切り替える必要があり、通常演奏モードと消音演奏モードが選択的に切り替えられるようになっている。すなわち、通常演奏モードでは押鍵に伴ってハンマーが打弦するのに対し、消音演奏モードではハンマーによる打弦を止音装置により阻止する一方、押鍵動作を検知して、これに応じた楽音を出力したり記録したりすることができる。
【0003】
このピアノの止音装置としては種々提案されているが、一般的には、打弦動作時に緩衝部材が設けられたストップレールをハンマーシャンクに当接させ、このハンマーシャンクの移動を停止させる装置が採用されている。
ところで、このようにストップレールを用いてハンマーシャンクの移動を停止させる場合、ハンマーシャンクの移動の停止によって、鍵盤のタッチ感に影響を与えることがないようにすることが望ましく、そのためには、ハンマーが弦に当接する直前まで、ハンマーシャンクを通常通りに移動させる必要がある。そして、こうした要求を満足し、その耐久性も考慮すると、ストップレールとして、ハンマーシャンクを広範囲で且つ強固に押え込むことのできる幅の広いものを使用することが望ましい。
【0004】
このような止音装置の具体的構成として、従来、ストップレールをその長手方向に沿った軸回りに回動させ、このストップレールの緩衝部材が設けられた側をハンマーシャンクの移動範囲への進退させるものが採用されていた。しかし、かかる構成ではストップレールの幅を大きくとるとその回動半径が大きくなりスペース上の問題を生じさせるため、近年では所謂クランク運動(揺動運動)によりストップレールをハンマーシャンクの移動範囲への進退させる装置が提案されている。
【0005】
例えば、特許第2901864号公報には、グランドピアノにおいてクランク運動によりストップレールを進退させる構成が開示されており、特開2000−214842号公報には、アップライトピアノにおいて同様のものが開示されている。これらの止音装置の概略構成及びその動作を図7に示す。
【0006】
すなわち、これら従来の止音装置は、緩衝部材としての発泡ウレタン111を備えたストップレール110と、ストップレール110の両端を揺動可能に支持する一対の支持機構120a,120bと、ストップレール110を一方の支持機構120b側に吸引する付勢部材としてのコイルスプリング131と、一端がストップレール110の支持機構120a側に固定され、外部操作によってストップレール110を支持機構120a側に牽引する牽引部材としてのワイヤ132とから構成されている。
【0007】
そして、図7(a)に示すように、外部操作によってワイヤ132が支持機構120a側に引っ張られることにより、ストップレール110がハンマーシャンク121の移動を阻止する停止位置に位置決めされて、ハンマーによる打弦を禁止し、図7(b)に示すように、外部操作によってワイヤ132による牽引を解除したときに、ストップレール110が停止位置より上方の退避位置に位置決めされて、ハンマーによる打弦が可能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したストップレール110の長さは、ピアノのアクション全域に対応するため約1.3m程度の長さとなる。このため、かかる構成においてストップレール110の長手方向の中央部では、ハンマーシャンク121の衝突による撓みが大きくなり、特に複数鍵の強打がなされた場合には、ハンマーによる打弦を確実に防止することができず、発音されてしまうことがあった。また、ストップレール110の自重による撓みもあるため、このストップレール110を強固な部材、構成にする必要があった。
【0009】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、長尺状のストップレールを進退させるタイプの止音装置において、消音時におけるハンマーによる打弦を確実に防止することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み、請求項1に記載のピアノの止音装置は、押鍵に基づきハンマーが打弦動作を開始してから実際に打弦を行なうまでの間の所定の停止位置でハンマーシャンクに当接し、このハンマーシャンクの移動を阻止する長尺状のレール部を備える。このレール部には、その長手方向に沿って緩衝部材が設けられており、ハンマーシャンクがレール部に当接する際の衝撃を吸収する。
【0011】
そして、ピアノ内部に固定されたベース部材に保持された支持機構が、上記レール部を、その両端部とこの両端部の間に位置する一又は複数の中間部にて夫々支持すると共に、このレール部を、ハンマーシャンクの移動を阻止する停止位置と、この停止位置から退避してハンマーによる打弦を可能にする退避位置とに変位可能に支持する。この支持機構は、打弦機構部材に固定されたベース部材によって保持されている。尚、ここでいう「打弦機構部材」とは、例えばピアノのアクション機構をその両端で支持する公知のアクションブラケットや、そのアクションブラケット間に架橋されたセンターレールの中間部に配設された支持部材等を意味する。
【0012】
そして、付勢手段により、上記支持機構により支持されたレール部をその長手方向に付勢して退避位置に移動させ、また、外部操作によって動作する牽引手段により、このレール部を付勢手段の付勢力に抗して牽引して停止位置に移動させることにより、上記レール部を停止位置又は退避位置に位置決めする。また、上記中間部に位置する支持機構を保持するベース部材の少なくとも一つは、ハンマーシャンクとは反対側に位置するピアノのフレームの一部に当接する。
【0013】
かかる構成では、支持機構が、上記レール部をその両端部のみならず中間部においても支持するため、その両端部でのみ支持する従来の構成に比べ、レール部をその全長にわたって強固に支持することができる。また、支持機構による支持位置のスパンを短くとることができる。この結果、レール部中央部での撓みを抑制することができ、このレール部の撓みに起因する打弦を効果的に防止することができる。
また、レール部は、支持機構及びベース部材を介してピアノのフレームにしっかりと支持されるため、レール部の中間部における撓みを効果的に防止することができる。
【0014】
このレール部の両端を支持する支持機構を保持するベース部材は、通常アクションを支持するアクションブラケットに夫々固定されている。このため、本願構成を実現する場合の方法としては、例えば請求項2に記載のように、ベース部材を、レール部に対応して平行に延びるレール状に形成し、このベース部材に上記中間部に位置する支持機構を保持することが考えられる。
【0015】
この場合、請求項3に記載のように、ベース部材を断面L字状に形成すると、ベース部材自体の剛性を高め、その撓みを少なくすることができるため、レール部を支持機構を介してより安定して支持することができる。
また、ピアノのフレームとレール部との間には多数の弦が存在するが、フレームには通常その補強のために各音域の境界に沿ってリブ部分が設けられ、このリブ部分は弦よりもレール部側に突出している。また、弦が交差する部分ではフレーム上に弦のない空領域がある。このため、フレームのこのような部分又は領域を利用して、ベース部材を、直接又は調整部材を介してハンマーシャンクとは反対側に位置するフレームに当接させることにより、当該ハンマーシャンクの衝突に対して支持機構を一層強固に固定することができる。
【0017】
また、請求項4に記載のように、ベース部材からフレームに向けて突出量を調整可能な調整部材を備える構成とすれば、ピアノの組立のバラツキによらず、ベース部材をフレームに当接させることができるので、ピアノによらず、強固にベース部材を支持することができる。
【0018】
また、上記支持機構の具体的構成としては、請求項5に記載のように、一端がベース部材側に設けられた回動軸に回動可能に取り付けられ、他端がレール部側に設けられた回動軸に回動可能に取り付けられたクランク部材を備え、このクランク部材を各回動軸周りに回動させることで、レール部を、上記停止位置と退避位置との間で変位させるように構成されたものが考えられる。
【0019】
この場合には、各回動軸が同一直線状に配置されるように構成するのが普通だが、ピアノ内部の弦やダンパー等の配置により、特に中間部に位置する支持機構及びベース部材の配置態様に制約がかかることがある。つまり、中間部に位置する回動軸を、両端に位置する回動軸を結ぶ線上に配置できない場合がある。その場合には、当該中間部に位置する回動軸の位置を上下又は前後方向に移動させることが必要となる。
【0020】
そこで、請求項6に記載のように、上記中間部に位置する少なくとも一つの支持機構の各回動軸が、上記両端部に位置する支持機構の対応する各回動軸を互いに結ぶ線上からずれた位置に配置されたように構成してもよい。
この場合、クランク部材の回転半径が同じで、レール部材側の回動中心と、ベース部材側の回動中心とが、各々平行移動した状態に調整すれば、その回動運動に支障が生じることはない。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
本実施例は、本発明の止音装置をアップライトピアノに適用したものであり、図1は当該止音装置の斜視図であり、図2は当該止音装置が設けられたアップライトピアノのアクション機構の概略構成図である。
【0022】
尚、本実施例のアップライトピアノは、図示しない電子音源を備え、鍵盤の操作によって電子音源から演奏音を発生できるようにされた複合ピアノであり、電子音源からの演奏音を、外部に放音することなくヘッドホンを介して聴くことができるようにされている。
【0023】
図2に示すように、本実施例にかかるアップライトピアノの打弦機構は、演奏者の操作によって揺動する鍵11と、鍵11が押されると上昇するキャプスタンスクリュー12と、ウイッペンフレンジ13を介してセンターレール14に回動可能に支持され、キャプスタンスクリュー12の上昇によって上向きに回動するウイッペン15と、ウイッペン15に回動可能に連結され、ジャックテール17aがレギュレチングボタン16に当接するまでウイッペン15と共に上昇するジャック17と、ジャック17に対して当接・離間すると共に、センターレール14に固着されたバットフレンジ18aのセンターピン18bに回動可能に支持されるバット18と、バット18に連結され、バット18がジャック17により突き上げられると反時計回りに回動するハンマーシャンク21と、ハンマーシャンク21と直交する方向へ突出するようバット18に突設されたキャッチャシャンク19と、キャッチャシャンク19の先端に装着されたキャッチャ20と、ハンマーシャンク21の先端に装着されたハンマー23と、ハンマー23によって叩かれる弦25と、打弦後に揺り戻したハンマーシャンク21の側部と当接してハンマー23の振動を緩和する緩衝部材28aを装着したハンマーレール28とを備えている。
【0024】
そして、ハンマーシャンク21の後方(図中左方)には、打弦動作時にハンマーシャンク21に当接してその移動を阻止する断面L字状のストップレール30(レール部)が配設されている。なお、ストップレール30のハンマーシャンク21への当接面には、ハンマーシャンク21当接時の衝撃を吸収する緩衝部材として、発泡ウレタン32が設けられている。
【0025】
次に、本実施例の止音装置について詳細に説明する。
図1に示すように、本実施例の止音装置は、発泡ウレタン32を備えた上述のストップレール30と、このストップレール30の両端部及びその中間部を、ハンマーシャンク21への近接及び離間方向に揺動可能に夫々支持する支持機構41,42,43と、これら支持機構41,42,43を夫々保持するベース部材51,52,53と、ストップレール30を一端の支持機構43側に吸引する付勢部材としてのコイルスプリング55と、ストップレール30の他端の支持機構41側に接続され、外部操作によってストップレール30を支持機構41側に牽引する牽引部材としてのワイヤ56とから構成されている。
【0026】
ここで、支持機構41は、図3にその分解斜視図を示すように、ストップレール30側に固定されるレール側部材61、ベース部材51側に固定されるベース側部材62、及び、これらレール側部材61とベース側部材62とを互いに接続する接続部材63から構成されている。
【0027】
レール側部材61は、L字断面を有する金属製の取付部材64と、円筒状の本体側面から平面状のフランジ部65aが延設された樹脂製のボス部材65とから構成される。ボス部材65は、そのフランジ部65aにて取付部材64に螺合固定されており、取付部材64は、その上壁に設けられたネジ孔64aに対し、ストップレール30に設けられたスリット30aを介してネジN1を螺合させることにより、ストップレール30に固定される。
【0028】
ベース側部材62は、樹脂製であり、ボス部材65とほぼ同様の形状を有し、そのフランジ部62aにてベース部材51の後壁51bに螺合固定されている。
接続部材63は、樹脂を一体成形、又は金属板に円柱状の丸棒を加締め又は溶接により結合して構成されており、長方平板状のクランク部材63aと、このクランク部材63aの長手方向の両端部の下面に夫々下方に突設されたピン状の回動軸63b,63cと、その前方の回動軸63c付近にてクランク部材63aの上面に上方に突設されたピン状の回動軸63dとから構成されている。
【0029】
そして、回動軸63bが、ベース側部材62の本体を貫通する円孔62bに上方から挿通され、回動軸63dが、ボス部材65の本体を貫通する円孔65bに下方から挿入されることにより、支持機構41が形成されると共に、ストップレール30の一端部が当該支持機構41を介してベース部材51に支持される。
【0030】
また、接続部材63の回動軸63cには、ワイヤ接続部材57が回動可能に接続される。すなわち、ワイヤ接続部材57は、L字状に形成された金属製の取付部材58に対して、上記ボス部材65と同様の形状を有するボス部材59が螺合固定されて構成される。取付部材58には係止孔58aが設けられ、ワイヤ56の先端に設けられた係止部56aを挿通して係止可能になっている。また、ボス部材59の本体を貫通する円孔59aには、接続部材63の回動軸63cが上方から挿通され、ワイヤ接続部材57が、ベース部材51と接続部材63との間に挟持される態様で回動可能に接続されているため、ワイヤ56は、この回動軸63cを中心に揺動できるようになっている。
【0031】
また、支持機構42,43は、接続部材63の回動軸63cに相当するものがない点を除いては、支持機構41とほぼ同様の構成を有する。このため、その詳細な説明については省略する。
図1に戻り、ベース部材51は、長方形状の金属板を折り曲げて形成され、上記ワイヤ接続部材57を載置するための水平面を有する座部51aと、座部51aの後端縁から直角方向上方に延設され、上記ベース側部材62を固定するための後壁51bと、座部51aの前端縁から直角方向下方に延設された前壁51cとから構成されている。この前壁51cには小円孔51dが設けられている。
【0032】
また、ベース部材52、53は、共にベース部材51とほぼ同様の構成を有するが、ベース部材53の後壁53aの上端部には係止部53bが後方に延設されている。そして、コイルスプリング55の一端がこの係止部53bに固定され、他端がストップレール30に上方に突設された係止部30bに固定されている。また、ベース部材52,53の夫々の前壁52a、53cには、夫々小円孔52b,53dが設けられている。
【0033】
そして、両端に位置するベース部材51、53は、各々の小円孔51d,53dにネジを挿通することにより、夫々アクションブラケットABに螺合固定される。また、中間に位置するベース部材52は、小円孔52bにネジN2を挿通することにより、センターレール14に設けられた支持部材14aに螺合固定される。こうして、止音装置はピアノ内に固定されることになる。
【0034】
そして、このように構成された止音装置は、図4の概念図に示すように、その中央のベース部材52の後壁52cで、ハンマーシャンク21とは反対側に位置するピアノのフレームの前方に突設されたリブ部100に当接した状態となっている。尚、図4は、本実施例の止音装置をその上方から見たものである。
【0035】
次に、本実施例の止音装置の動作について、この図4に基づいて説明する。
図4(a)に示すように、外部操作によってワイヤ56が支持機構41側に引っ張られることにより、ストップレール30がハンマーシャンク21の移動を阻止する停止位置に位置決めされて、ハンマー23による打弦を禁止する。また、図4(b)に示すように、外部操作によってワイヤ56による牽引を解除したときに、ストップレール30が停止位置より後方の退避位置に位置決めされて、ハンマー23による打弦が可能となる。
【0036】
すなわち、本実施例の止音装置においては、ストップレール30の両端部及び中間部が、支持機構41,42,43により、停止位置と退避位置との間を揺動可能に支持されており、しかも一方の支持機構43側には、ストップレール30を支持機構43側に吸引するコイルスプリング55が設けられ、他方の支持機構41側には、外部操作によって、ストップレール30を支持機構41側に牽引するワイヤ56が設けられている。このため、ワイヤ56を操作しない通常時には、図4(b)に示すように、コイルスプリング55の付勢力によってストップレール30が支持機構43側に変位して、打弦時にストップレール30がハンマーシャンク21に当接しない退避位置まで後退し、外部操作によってワイヤ56を引っ張ると、図4(a)に示すように、ストップレール30がコイルスプリング55の付勢力に抗して、ストップレール30が支持機構41側に変位して、ハンマーシャンク21の移動を阻止する停止位置まで前進するのである。
【0037】
尚、ワイヤ56は、その他端が図示しない公知の駆動機構を介してアップライトピアノの下方に設けられた消音ペダルに接続されており、演奏者によるこの消音ペダルの踏み込みにより牽引される。この公知の駆動機構としては、例えば特許第2901864号公報や特開平2000−214828号公報に示されるような駆動機構がある。
【0038】
以上に説明したように、本実施例の止音装置では、ストップレール30の両端部のみならず中間部においても支持機構42及びこれを保持するベース部材52が設けられ、さらに、このベース部材52が、アップライトピアノのフレームから前方に突設されたリブ部100に対し、ハンマーシャンク21とは反対側で当接している。
【0039】
このため、ストップレール30をその両端部でのみ支持する従来の構成に比べ、当該ストップレール30をその全長にわたって強固に支持することができ、また、支持機構による支持位置のスパンを短くとることができる。そして特に、中間部の支持機構42を支持するベース部材52が、フレームのリブ部100に対して当接することにより、フレームに支持されるため、ストップレール30がハンマーシャンク21を受け止めた際に、当該ストップレール30の中央部がピアノのフレーム側に撓むのを阻止する。この結果、ストップレール30の中央部での撓みを抑制することができ、この撓みに起因する打弦を効果的に防止することができる。
[変形例1]
本変形例は、図5(a)に示すように、上記実施例における支持機構41,42,43を、ストップレール30に対して平行に延びるレール状のベース部材250によって支持する構成を有する。すなわち、上記実施例のように各支持機構41,42,43を、ベース部材51,52,53によって夫々保持するのではなく、一体成形された長尺状のベース部材250により保持する構成を有する。
【0040】
このベース部材250は断面L字状をなし、その長尺状の一辺に各支持機構41,42,43を回動可能に保持する。そして、これと直角な長尺状の一辺の中央部において、フレームのリブ部100に向けて突出する調整部材70が設けられている。また、ベース部材250の両端部は、図示しないアクションブラケットに固定されている。
【0041】
この調整部材70は、図5(b)にその周辺拡大図を示すように、ベース部材250の中央付近の所定位置に穿設されたネジ孔250aに、バネワッシャ72を介して螺合される調整ネジ71と、調整ネジ71の先端に装着された緩衝部材73とから構成され、緩衝部材73においてリブ部100の先端面に当接する。そして、調整ネジ71の螺合深さを適宜変更することにより、リブ部100の先端面に対するストップレール30の中央位置を調整することが可能になっている。
【0042】
かかる構成では、ベース部材250を大きくし、さらにその断面をL字状にすることで、ベース部材250自体の剛性を高め、その撓みを少なくすることができる。このため、ストップレール30を各支持機構を介してより安定して支持することができる。
【0043】
また、ストップレール30、ベース部材250、及び支持機構41,42,43により、ストップレール30が揺動する際に機構上形成される幾何学的リンク形状(平行四辺形)を精度良く構成でき、ストップレール30の揺動運動が滑らかになる。
【0044】
さらに、調整部材70の調整により、ベース部材250の中央位置、ひいてはストップレール30の中央位置の位置調整をすることができるため、ピアノの組立のバラツキによらず、ベース部材250をフレームに当接させることができるので、ピアノによらず、強固にベース部材250を支持することができる。
[変形例2]
本変形例は、図6に示すように、中間部に位置する支持機構42の回動軸67,68が、両端部に位置する支持機構41,43の対応する各回動軸を互いに結ぶ線(図中一点鎖線)上からずれた位置に配置された構成を有する。
【0045】
これは、ピアノ内部の弦やダンパー等の配置により、中間部に位置する支持機構42及びベース部材52の配置態様に制約がかかる場合の構成である。つまり、中間部に位置する支持機構42の回動軸67,68を、両端部に位置する支持機構の各回動軸を結ぶ線上に配置できない場合の構成であり、本変形例では、当該中間部に位置する支持機構42の回動軸67,68の位置を後方に移動させた例が示されている。
【0046】
本変形例では、このように回動軸の位置がずれているが、各支持部材のクランク部材の回転半径が同じであり、レール部材側の回動中心と、ベース部材側の回動中心とが、各々平行移動した状態に調整されているので、その回動運動に支障が生じることはない。
【0047】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
例えば、上記実施例においては、ストップレール又は支持レールの中間部に一つの支持機構を設けた構成を示したが、このような支持機構を中間部に二つ以上設けてもよい。また、中間の支持機構は、ストップレール又は支持レールの中央に限らず、中央からずれた位置に設けてもよい。
【0048】
また、上記実施例では、支持機構を介してストップレールを揺動させることにより、ストップレールを、ハンマーシャンクの移動を阻止する停止位置と、この停止位置から退避してハンマーによる打弦を可能にする退避位置との間で変位させる構成を示したが、長尺状のストップレールを進退させるタイプの止音装置であれば、本発明の構成を有効に適用することが可能である。例えば特開平8−16155号公報に開示されるように、所定のリンク機構により長尺状のストップレールを停止位置と退避位置との間で進退させるタイプの止音装置として構成することもできる。
【0049】
また、上記においては、図5の変形例1の止音装置にて調整部材70を採用した例を示したが、図4に示した実施例又は図6の変形例2の止音装置においても、同様の調整部材を採用することができる。この場合は、中央のベース部材52に当該調整部材を設けることになる。
【0050】
尚、上記実施例においては、本発明の止音装置をアップライトピアノに適用した例を示したが、本発明の止音装置は、グランドピアノにも適用可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係る止音装置の構成を表す斜視図である。
【図2】 実施例の止音装置が取り付けられたアップライトピアノのアクション機構を表す断面図である。
【図3】 実施例の支持機構の構成を表す説明図である。
【図4】 実施例の止音装置の動作を表す説明図である。
【図5】 変形例1に係る止音装置の構成を表す説明図である。
【図6】 変形例2に係る止音装置の構成を表す説明図である。
【図7】 従来の止音装置の構成を表す説明図である。
【符号の説明】
11・・・鍵、 14・・・センターレール、 21・・・ハンマーシャンク、
23・・・ハンマー、 25・・・弦、 30・・・ストップレール、
30b・・・係止部、 32・・・発泡ウレタン、
41,42,43・・・支持機構、
51,52,53,250・・・ベース部材、 55・・・コイルスプリング、
56・・・ワイヤ、 70・・・調整部材、 100・・・リブ部、
AB・・・アクションブラケット

Claims (6)

  1. 押鍵に基づきハンマーが打弦動作を開始してから実際に打弦を行なうまでの間の所定の停止位置でハンマーシャンクに当接して、該ハンマーシャンクの移動を阻止する長尺状のレール部と、
    該レール部の長手方向に沿って設けられ、前記ハンマーシャンクが該レール部に当接する際の衝撃を吸収する緩衝部材と、
    前記レール部を、該レール部の両端部と該両端部の間に位置する一又は複数の中間部にて夫々支持すると共に、該レール部を、前記ハンマーシャンクの移動を阻止する前記停止位置と、該停止位置から退避して前記ハンマーによる打弦を可能にする退避位置とに変位可能に支持する複数の支持機構と、
    該支持機構を保持すると共に、打弦機構部材に固定されるベース部材と、
    前記支持機構により支持された前記レール部を付勢して前記退避位置に移動させる付勢手段と、
    該レール部を、外部操作により該付勢手段の付勢力に抗して牽引して前記停止位置に移動させる牽引手段と
    備え
    前記中間部に位置する支持機構を保持するベース部材の少なくとも一つが、前記ハンマーシャンクとは反対側に位置する前記ピアノのフレームの一部に当接することを特徴とするピアノの止音装置。
  2. 前記ベース部材が、前記レール部に対応して平行に延びるレール状に形成され、少なくともその両端部が前記打弦機構部材に固定され、
    該ベース部材に、前記中間部に位置する支持機構が保持されたことを特徴とする請求項1記載のピアノの止音装置。
  3. 前記ベース部材が、断面L字状に形成されたことを特徴とする請求項2記載のピアノの止音装置。
  4. 前記フレームの一部に当接するベース部材は、該フレームに向けて突出量を調整可能な調整部材を備え、
    該調整部材で前記フレームに当接することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のピアノの止音装置。
  5. 前記各支持機構は、
    一端が前記ベース部材側に設けられた回動軸に回動可能に取り付けられ、他端が前記レール部側に設けられた回動軸に回動可能取り付けられたクランク部材を備え、
    該クランク部材を前記回動軸周りに回動させることで、前記レール部を、前記停止位置と前記退避位置との間で変位させるように構成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のピアノの止音装置。
  6. 前記中間部に位置する少なくとも一つの支持機構の前記各回動軸が、前記両端部に位置する支持機構の対応する各回動軸を互いに結ぶ線上からずれた位置に配置されたことを特徴とする請求項5記載のピアノの止音装置。
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