以下、添付図面を参照して、本発明にかかる光源装置および光源装置の調整方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一符号を付して示している。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1にかかる光源装置および光源装置の調整方法について説明する。図1は、本実施の形態1にかかる光源装置を用いた顕微鏡装置としての紫外線顕微鏡装置100の全体構成を示す図である。この図に示すように、紫外線顕微鏡装置100は、大別して顕微鏡本体101と、光源装置102と、制御装置103とを備える。
顕微鏡本体101は、標本1が載置されるステージ2と、標本1の上部に配置される対物レンズ3と、レボルバ4を介して対物レンズ3を保持するとともに焦準機構5を介してステージ2を支持する架台6と、架台6の上部に載置された投光管7と、鏡筒8を介して投光管7上に搭載された接眼ユニット9とを備える。また、光源装置102は、内部に光源を備え、この光源が発した光の中から複数の所定波長域の紫外光を抽出して射出する波長選択ユニット11と、波長選択ユニット11が射出する紫外光を受光して顕微鏡本体101へ導入する光ファイバ12とを備える。
対物レンズ3は、レボルバ4に対して着脱自在に取り付けられ、レボルバ4の回動動作に応じてステージ2上に配置される。ステージ2は、図示しない平面駆動機構によって対物レンズ3の光軸と直交した面内で自在に移動され、対物レンズ3に対する標本1の観察位置を変化させる。また、ステージ2は、焦準機構5によって昇降移動され、対物レンズ3に対する標本1の焦点合わせを行う。
投光管7は、図示しない照明光学系と観察光学系とを内部に備え、撮像装置としてのカメラ13を側面部に備える。投光管7は、ファイバコネクタ7aを介して光ファイバ12が取り付けられており、この光ファイバ12を介して波長選択ユニット11から導入される紫外光を、照明光学系によって対物レンズ3を介し、照明光として標本1に照射する。また、投光管7は、対物レンズ3と協働し、照明光学系によって照明された標本1の観察像を観察光学系によって結像する。カメラ13は、この観察像を撮像して観察画像を生成する。
鏡筒8は、内部に図示しない結像レンズを有しており、図示しない照明装置によって照射される可視光をもとに、対物レンズ3と協働し、標本1の可視観察像を結像する。この可視観察像は、接眼ユニット9を介して目視観察される。
制御装置103は、例えばパーソナルコンピュータを用いて構成される。制御装置103は、ケーブル14a〜14cを介して、それぞれ顕微鏡本体101、カメラ13および波長選択ユニット11に電気的に接続されており、顕微鏡本体101および波長選択ユニット11が備える各部の処理および動作を制御する。
つづいて、波長選択ユニット11について説明する。図2は、波長選択ユニット11が内部に備える波長選択光学系104の要部構成を示す図である。この図に示すように、波長選択光学系104は、光源21と、コリメート光学系かつ集光光学系としての集光レンズ22と、抽出光学系としての選択反射光学系23と、折返光学系24A〜24Cと、全反射ミラー25と、シャッタ26A〜26Cとを備える。
光源21は、水銀ランプ、水銀キセノンアークランプ、メタルハライドランプ等、近紫外域から深紫外域の紫外光を含んだ光を発するランプが用いられる。光源21の発光部は、集光レンズ22の前側焦平面上であって集光レンズ22の光軸20から外れた位置(図2では、光軸20から上方向に外れた位置)に配置される。
集光レンズ22は、光源21が発した光を光軸20に対して傾斜した平行光41を射出する。射出された平行光41は、選択反射光学系23に入射する。なお、平行光41は、厳密に平行な光束に限定されず、略平行な光束を含むものである。これに応じて、光源21の発光部の配置位置は、厳密に集光レンズ22の前側焦平面上に限定されるものではなく、この前側焦平面の近傍であればよい。
選択反射光学系23は、光軸20上に直列に配設されたダイクロイックミラー23A〜23Cを用いて構成されている。ダイクロイックミラー23A〜23Cは、平行光41に含まれる所定波長域の紫外光を各々反射させ、この反射させる波長域以外の光を各々透過させる。例えば、ダイクロイックミラー23Aは、240〜290nmの波長域(以下、第1波長域と呼ぶ。)の紫外光を反射させ、この波長域以外の光を透過させる。同様に、ダイクロイックミラー23B,23Cは、それぞれ290〜330nmの波長域(以下、第2波長域と呼ぶ。)、330〜385nmの波長域(以下、第3波長域と呼ぶ。)の紫外光を反射させ、この反射させる波長域以外の光を透過させる。
折返光学系24A〜24Cは、それぞれダイクロイックミラー23A〜23Cの分岐光軸20A〜20C上に配置され、ダイクロイックミラー23A〜23Cが各々反射して平行光41から分岐させた第1〜第3波長域の分岐光42A〜42Cを受光するとともに、この受光した各分岐光42A〜42Cを各々分岐光軸20A〜20Cに対して対称に折り返して射出する。なお、分岐光軸20A〜20Cは、それぞれダイクロイックミラー23A〜23Cによる光軸20の反射光軸に相当する。折返光学系24A〜24Cは、それぞれ自光学系の光軸を分岐光軸20A〜20Cに合致させて設けられている。
ここで、折返光学系24Aは、結像レンズ系としての結像レンズ27Aと、反射結像系としての凹面鏡28Aとを用いて構成されている。また、凹面鏡28Aには、この凹面鏡28Aを分岐光軸20Aに対してシフト偏心自在に保持する偏心駆動機構としてのミラーホルダ30Aが設けられている。なお、シフト偏心とは、凹面鏡やレンズ等の光学素子をその光軸に対して垂直方向に移動させることを意味する。
結像レンズ27Aは、第1波長域の紫外光に対して収差補正され、所定の焦点距離を有したレンズである。この結像レンズ27Aは、自レンズの光軸を分岐光軸20Aに合致させて設けられるとともに、集光レンズ22の射出瞳EP1から分岐光軸20Aに沿って、その所定の焦点距離以上に離れた位置に配置されている。結像レンズ27Aは、分岐光42Aを集光し、後側焦平面上に光源21の第1中間像43Aを結像する。
凹面鏡28Aは、所定の曲率半径で形成された球面の反射面28Aaを有し、分岐光軸20A上で、第1中間像43Aから分岐光軸20A方向にその所定の曲率半径と等しい距離だけ離れた位置に配置されている。この配置位置は、結像レンズ27Aによる射出瞳EP1の共役位置に相当する。また、凹面鏡28Aは、初期設定として、ミラーホルダ30Aによって自結像系の光軸を分岐光軸20Aに合致させるように設けられている。凹面鏡28Aは、第1中間像43Aから発せられる光を集光するとともに、分岐光軸20Aに対して第1中間像43Aと対称な位置に光源21の第2中間像44Aを結像する。この第2中間像44Aから発せられる光は、再び結像レンズ27Aを介し、分岐光軸20Aに対して分岐光42Aと対称な平行光束である折返光45Aとして射出される。
具体的には、例えば結像レンズ27Aの焦点距離を50mmとした場合、この結像レンズ27Aは、分岐光軸20A上で射出瞳EP1から50mm以上離れた位置に配置される。その配置位置を射出瞳EP1から100mmとすると、結像レンズ27Aによる射出瞳EP1の共役位置は、結像レンズ27Aから100mmの位置となり、この位置に凹面鏡28Aが配置される。このとき、第1中間像43Aは結像レンズ27Aから50mmの位置に結像されるため、凹面鏡28Aの曲率半径は、この第1中間像43Aからの距離に等しく50(=100−50)mmとされる。この場合、第2中間像44Aは、結像レンズ27Aから50mmの位置で、かつ分岐光軸20Aに対して第1中間像43Aと対称な位置に結像される。
一方、折返光学系24B,24Cは、折返光学系24Aと同様に、それぞれ結像レンズ27B,27Cと凹面鏡28B,28Cとを用いて構成されており、凹面鏡28B,28Cには、この凹面鏡28B,28Cをそれぞれ分岐光軸20B,20Cに対してシフト偏心自在に保持する偏心駆動機構としてのミラーホルダ30B,30Cが設けられている。
結像レンズ27B,27Cは、それぞれ第2および第3波長域の紫外光に対して収差補正され、所定の焦点距離を有したレンズである。この結像レンズ27B,27Cは、それぞれ自レンズの光軸を分岐光軸20B,20Cに合致させて設けられるとともに、集光レンズ22の射出瞳EP2から光軸20および分岐光軸20B,20Cに沿って、それぞれ所定の焦点距離以上に離れた位置に配置されている。結像レンズ27B,27Cは、それぞれ分岐光42B,42Cを集光し、後側焦平面上に光源21の第1中間像43B,43Cを結像する。
凹面鏡28B,28Cは、それぞれ所定の曲率半径で形成された球面の反射面28Ba,28Caを有し、分岐光軸20B,20C上で、第1中間像43B,43Cから分岐光軸20B,20C方向に各々所定の曲率半径と等しい距離だけ離れた位置に配置されている。この配置位置は、それぞれ結像レンズ27B,27Cによる射出瞳EP2の共役位置に相当する。また、凹面鏡28B,28Cは、初期設定として、それぞれミラーホルダ30B,30Cによって自結像系の光軸を分岐光軸20B,20Cに各々合致させるように設けられている。
凹面鏡28B,28Cは、第1中間像43B,43Cから発せられる光を集光するとともに、分岐光軸20B,20Cに対して各々第1中間像43B,43Cと対称な位置に光源21の第2中間像44B,44Cを結像する。この第2中間像44B,44Cから発せられる光は、再び結像レンズ27B,27Cを介し、それぞれ分岐光軸20B,20Cに対して分岐光42B,42Cと対称な平行光束である折返光45B,45Cとして射出される。
折返光学系24A〜24Cから射出される折返光45A〜45Cは、それぞれダイクロイックミラー23A〜23Cによって再反射され、この再反射された各再反射光は、ダイクロイックミラー23Aを介して同軸に合成されて合成光46とされる。合成光46は、光軸20に対して平行光41と対称に、かつ逆向きに集光レンズ22に入射する。
集光レンズ22は、第1〜第3波長域の紫外光に対して収差補正されており、合成光46に含まれる第1〜第3波長域の各紫外光を、全反射ミラー25を介して同一位置に収束させる。これによって、第1〜第3波長域の各紫外光に対応する光源21の光源像47A〜47Cは、同一位置にテレセントリックに結像される。この光源像47A〜47Cは、それぞれ第1〜第3波長域の紫外光に対する2次光源となり、光源像47A〜47Cを統合した光源像47は、第1〜第3波長域を合成した紫外光の2次光源となる。
光ファイバ12は、入射端12aが光源像47の所定結像位置に配置されている。光ファイバ12は、光源像47から発せられる紫外光を入射端12aから受光し、投光管7に取り付けられた射出端から射出する。これによって、光源装置102は、第1〜第3波長域を合成した紫外光を照明光として投光管7に導入することができる。
シャッタ26A〜26Cは、それぞれ第1中間像43A〜43C近傍に配置されており、図示しない開閉駆動機構によって開閉されることで、結像レンズ27A〜27Cが収束する光の光路を各々選択的に遮断および開放する。各開閉駆動機構は、ケーブル14cを介して制御装置103と電気的に接続されており、制御装置103からの指示に基づいて各々シャッタ26A〜26Cを開閉させる。波長選択ユニット11では、このシャッタ26A〜26Cを適宜組み合わせて開閉させることで、第1〜第3波長域の紫外光を選択的に抽出し、光源像47から射出することができる。なお、シャッタ26A〜26Cは、結像レンズ27A〜27Cが収束する光の光路に限定されず、それぞれダイクロイックミラー23A〜23Cから折返光学系24A〜24Cを介して再びダイクロイックミラー23A〜23Cに至る光路を選択的に遮断および開放するものであればよい。
つづいて、光ファイバ12の入射端12aに対する光源像47の結像位置について説明する。図3は、光源21の発光部の一例を示す図であり、図4は、入射端12a上に結像された光源像47を示す図である。光源21に用いられる水銀ランプや水銀キセノンアークランプ等、アーク放電によって光を発するアークランプは、図3に示すように、陽極21aと陰極21bとの間で非対称な発光輝度分布21cを生じる。そのうち最も輝度が高い高輝度部21dは、陰極21bの先端部に生成される。
図3に示した発光輝度分布21cを有する光源21をもとに結像される光源像47は、高輝度部21dの共役像である高輝度部47dが入射端12a内に含まれるように、かつ、発光輝度分布21cの共役像である像輝度分布47cによって入射端12a内ができるだけ満たされるように投影される。具体的には、図4に示すように、光源像47は、陰極21bの共役像である陰極像47bの先端部が入射端12aの外周部の所定位置(図4では外周下端部)に接するように結像される。このとき、光源像47に含まれる第1〜第3波長域の光源像47A〜47Cについて同様に結像される。
これに対して、例えば図5に示すように、高輝度部47dを入射端12aの中心部に結像させた場合、像輝度分布47cによって満たされない非入射領域12bが入射端12a内に形成される。この場合、非入射領域12bには光源21が発した光が導入されないため、光源21が発する光のうち非入射領域12bに相当する光量が無駄にされる。しかしながら、波長選択光学系104では、入射端12aに対して光源像47を図4に示したように結像させているため、光源21が発した光のうち無駄にする光量を抑え、光ファイバ12内に多くの光量を効率的に導入させることができる。
このような波長選択光学系104では、入射端12aに対して光源像47を図4に示したように結像させるため、ミラーホルダ30A〜30Cによって凹面鏡28A〜28Cの配置位置が適宜補正されている。言い換えると、波長選択光学系104を構成する各部の製造誤差や組立誤差等に起因する光源像47A〜47Cの入射端12aに対する位置ずれ、特に各光源像47A〜47C間の相対的な位置ずれがミラーホルダ30A〜30Cによる凹面鏡28A〜28Cのシフト偏心によって補正されている。
つまり、波長選択光学系104の各部を上述の通り組み立てた場合、光源像47A〜47Cは、各々等しい大きさで同一位置に結像されるが、例えばダイクロイックミラー23A〜23Cがそれぞれ所望する角度よりも傾斜して配置され、折返光学系24A〜24Cの光軸(結像レンズ27A〜27Cの光軸)と分岐光軸20A〜20Cとが各々合致しない場合、各ダイクロイックミラー23A〜23Cの所定角度からの傾斜量に応じて各光源像47A〜47Cの結像位置にずれが生じる。この結像位置のずれは、ダイクロイックミラー23A〜23Cに限らず、結像レンズ27A〜27Cや集光レンズ22などの組立誤差によっても同様に発生する。波長選択光学系104では、このようにして生じる各光源像47A〜47C間の相対的な位置ずれを、ミラーホルダ30A〜30Cによって凹面鏡28A〜28Cをシフト偏心させることで補正するようにしている。
つづいて、その光源像47A〜47Cの位置ずれ補正について説明する。図6は、光源像47A〜47Cの位置ずれ補正を行う場合の光源装置102の構成を示す図である。この図に示すように、光源装置102では、光源像47A〜47Cの位置ずれ補正を行う場合、光ファイバ12に換えて光源像観察ユニット50が波長選択光学系104に接続される。
光源像観察ユニット50は、光源像47A〜47Cの所定結像位置を示す指標部材としてのターゲット板51と、光源像47A〜47Cから発せられる紫外光をターゲット板51を介して集光し、その観察像としての2次光源像を結像する結像レンズ52と、この2次光源像を撮像して2次光源観察画像を生成するカメラ53と、2次光源観察画像を表示するディスプレイ54とを用いて構成されている。
ターゲット板51は、図7に示すように、石英ガラス等を用いて形成された円盤状の透明部材であって、その表面には、ターゲット板51の中心点51cを示す十字マーク51aと、中心点51cを中心として光ファイバ12の入射端12aの大きさを示す円形マーク51bとが形成されている。ターゲット板51は、円形マーク51bが入射端12aの所定配置位置、つまり光源像47の所定結像位置に合致して設けられるように、光ファイバ12に換えて光源像47の結像面上に装脱自在に配置される。
一方、ミラーホルダ30Aは、例えば図8−1および図8−2に示すように構成されている。図8−1は側面図であり、図8−2は凹面鏡28Aの正面図である。ミラーホルダ30Aは、凹面鏡28Aの裏面部に凸設された円柱状の軸部31と、図示しない台座に固設されて軸部31の円周部を囲繞するリング状の支持部32と、支持部32の側面部に設けられた貫通孔32aに貫設されるとともに、軸部31の側面部に形成された溝部31a内に先端部が挿設されるビス33とを用いて構成されている。貫通孔32aの内壁面とビス33の側面とにはそれぞれネジが切られており、このネジによってビス33は貫通孔32a内に螺設されている。貫通孔32aおよびビス33は、それぞれ軸部31の周方向で中心角120°ごとの3箇所に設けられている。
このミラーホルダ30Aでは、支持部32に対して3つのビス33を適宜螺入または螺脱させることで、凹面鏡28Aをその光軸に対して垂直な面内で自在に移動させることができる。これによって、波長選択光学系104では、分岐光軸20A(結像レンズ27Aの光軸)に対して凹面鏡28Aを自在にシフト偏心させることができる。ミラーホルダ30B,30Cもミラーホルダ30Aと同様に構成されており、それぞれ分岐光軸20B,20Cに対して凹面鏡28B,28Cを自在にシフト偏心させることができる。なお、ミラーホルダ30A〜30Cの構成は、図8−1および図8−2に示した構成に限定されず、例えば公知のスライダなどを利用した案内機構等、各々凹面鏡28A〜28Cを自在にシフト偏心可能なものであれば任意の構成を用いることができる。
図9は、凹面鏡28Aのシフト偏心にともなう反射光の光路変化と、光源像47Aの結像位置の変化とを示す図である。この図では、波長選択光学系104のうち第1波長域に関わる光路を抜粋して示している。図9において破線で示すように、ミラーホルダ30Aによって凹面鏡28Aを図中右方向にシフト偏心させ、凹面鏡28A’へ移行させることで、凹面鏡28Aによって結像される第2中間像44Aは、第2中間像44A’へ移行される。このとき、第2中間像44Aは、凹面鏡28Aのシフト量Δに応じてシフト量2Δだけ図中右方向に移動する。
この第2中間像44Aの移動にともない、折返光45Aは折返光45A’へ移行し、合成光46のうち第1波長域の紫外光は合成光46’へ移行する。この結果、合成光46’は、光軸20に対して合成光46よりも大きな角度で集光レンズ22に入射し、光源像47Aは、光源像47A’へ移行する。この際、光源像47Aは、光源21から第1中間像43Aへの結像倍率βと、第2中間像44Aのシフト量2Δとをもとに、シフト量2Δ/βだけ図中左方向に移動する。なお、折返光45A’は、集光レンズ22の射出瞳EP1において折返光45Aと同じ領域を通過し、集光レンズ22による光源像47A’の結像においてテレセントリック性が維持される。
同様に、ミラーホルダ30Aによって凹面鏡28Aを図中左方向にシフト量Δだけシフト偏心させた場合、第2中間像44Aは、シフト量2Δだけ図中左方向に移動し、光源像47Aは、シフト量2Δ/βだけ図中右方向に移動する。また、凹面鏡28Aを図中紙面と垂直方向に奥側/手前側へシフト量Δだけシフト偏心させた場合、第2中間像44Aは、それぞれシフト量2Δだけ奥側/手前側に移動し、光源像47Aは、それぞれシフト量2Δ/βだけ手前側/奥側に移動する。なお、いずれの場合にも、シフト偏心後の折返光は、射出瞳EP1において折返光45Aと同じ領域を通過し、集光レンズ22によるシフト偏心後の光源像の結像においてテレセントリック性が維持される。
第2および第3波長域についても、それぞれミラーホルダ30B,30Cによって凹面鏡28B,28Cを凹面鏡28Aと同様にシフト偏心させることで、第2中間像44B,44Cおよび光源像47B,47Cをそれぞれ第2中間像44Aおよび光源像47Aと同様に移動させることができる。すなわち、波長選択光学系104では、ミラーホルダ30A〜30Cによって凹面鏡28A〜28Cを適宜シフト偏心させることで、各光源像47A〜47Cの結像位置を自在に移動させることができる。
光源装置102では、光源像47A〜47Cの位置ずれ補正を行う場合、まず、光ファイバ12に換えて光源像観察ユニット50を設け、ターゲット板51を集光レンズ22による光源像47の結像面上に配置させる。つづいて、ミラーホルダ30A〜30Cによって凹面鏡28A〜28Cを適宜シフト偏心させ、ターゲット板51上の十字マーク51aと円形マーク51bとによって示される光源像47の所定結像位置に各光源像47A〜47Cを位置決めする。
具体的には、図10に示すように、ターゲット板51上に投影される陰極像47bの先端部が円形マーク51bの所定端部(図10では下端部)に接するように光源像47A〜47Cを位置決めし、これによって光源像47A〜47C内の高輝度部47dを円形マーク51b内に位置決めする。その際、シャッタ26A〜26Cによって第1〜第3波長域の紫外光を適宜遮断することで、光源像47A〜47Cを容易に観察することができる。
このようにして光源像47A〜47Cを位置決めすることで、光源装置102では、各光源像47A〜47C間の相対的な位置ずれを補正し、所定結像位置上で各光源像47A〜47Cを合致させて、波長域間の芯ずれを補正することができる。このため、ターゲット板51に換えて光ファイバ12を所定結像位置に配置させた場合、この合致させた光源像47を図4に示したように入射端12aに対して適性位置に結像させることができる。これによって、光源装置102では、光源21が発する光を効率的に光ファイバ12内に導入させることができる。
また、光源装置102では、図示しない移動機構によって、折返光学系24A〜24Cをそれぞれ分岐光軸20A〜20C方向に適宜移動させることで、入射端12aに対する光源像47A〜47Cの焦点合わせを行うことができる。これによって、各光源像47A〜47Cを入射端12a上に鮮明に結像させることができ、光源21が発する光を一層効率的に光ファイバ12内に導入させることができる。ここで、折返光学系24A〜24Cの光軸方向への移動は、折返光学系24A〜24Cを各々一体に移動させてもよく、あるいは折返光学系24A〜24Cごとに結像レンズ27A〜27Cと凹面鏡28A〜28Cとの少なくとも一方を個別に移動させてもよい。
また、光源装置102では、上述のように光源像観察ユニット50を用いることで、光源装置102が射出する光の導入先装置としての顕微鏡本体101を用いることなく、光源装置102単独で各光源像47A〜47C間の相対的な位置ずれの補正を行うことができる。このため、光源装置102を顕微鏡本体101に取り付ける前に第1〜第3波長域間の芯ずれ補正を行うことができ、光源装置102を顕微鏡本体101に取り付けた後、容易かつ迅速に紫外線顕微鏡装置100全体の立ち上げを行うことができる。
なお、光源像47の所定結像位置を示すターゲット板51上のマークは、上述した十字マーク51aおよび円形マーク51bに限定されず、種々のマークが適用可能である。例えば、円形マーク51bを廃止して十字マーク51aのみ形成し、この十字マーク51aの交差点としての中心点51cによって陰極像47b先端部の所定結像位置を示すことができる。あるいは、十字マーク51aおよび円形マーク51bに替えて、光源像47の陰極像47b、像輝度分布47cおよび高輝度部47dの形状を模式的に示すマークを用いることもできる。
(変形例)
つぎに、本実施の形態1にかかる光源装置および光源装置の調整方法の変形例について説明する。図11は、本変形例にかかる光源装置102の構成を示す図である。この図に示すように、本変形例にかかる光源装置102では、光源像47A〜47Cの位置ずれ補正を行う場合、光源像観察ユニット50に替えて光源像観察ユニット60が波長選択光学系104に接続される。
光源像観察ユニット60は、光源21の所定光源位置を示す指標部材としてのターゲット板61と、所定の大きさの射出端62aを有した光ファイバ62と、第1〜第3波長域の紫外光を含む照明光を発する工具光源63と、工具光源63が発した光を集光して光ファイバ62に導入する集光レンズ64とを備えるとともに、光源像観察ユニット50と同様に、結像レンズ52、カメラ53およびディスプレイ54を備える。
ターゲット板61は、図12に示すように、石英ガラス等を用いて形成された円盤状の透明部材であって、その表面には、ターゲット板61の中心点61cを示す十字マーク61aと、光源21の陽極21a、陰極21b、発光輝度分布21cおよび高輝度部21dの形状を模式的に示す光源マーク61bとが形成されている。光源マーク61bのうち陰極21bの先端部に相当する位置は、中心点61cに合致されている。ターゲット板61は、光源マーク61bが光源21の所定光源位置に設けられるように、光源21に換えて集光レンズ22の焦平面上に装脱自在に配置される。
光ファイバ62は、仮設光源としての射出端62aが光源像47の結像面上の所定光源像位置に設けられるように、光ファイバ12に換えて装脱自在に配置される。光ファイバ62は、射出端62aが所定結像位置に設けられた場合、集光レンズ64によって導入された工具光源63からの光を射出端62aから射出し、全反射ミラー25を介して集光レンズ22に照射する。この照射された光は、波長選択光学系104を介し、集光レンズ22によって集光される。これによって、射出端62aの共役像である射出端像がターゲット板61上に結像される。第1〜第3波長域の紫外光による各射出端像は、ミラーホルダ30A〜30Cによって凹面鏡28A〜28Cを適宜シフト偏心させることで、光源像47A〜47Cと同様に、その結像位置を自在に移動される。
結像レンズ52は、ターゲット板61上に結像された各波長域の射出端像から発せられる紫外光をターゲット板61を介して集光し、その観察像としての2次射出端像を結像する。カメラ53は、この2次射出端像を撮像して2次射出端観察画像を生成し、ディスプレイ54は、この2次射出端観察画像を表示する。
本変形例にかかる光源装置102では、光源像47A〜47Cの位置ずれ補正を行う場合、まず、光ファイバ12に換えて光ファイバ62を設け、射出端62aを集光レンズ22による光源像47の結像面上の所定結像位置に配置させる。また、光源21に換えてターゲット板61を設け、ターゲット板61上の十字マーク61aおよび光源マーク61bを光源21の所定光源位置に配置させる。つづいて、ミラーホルダ30A〜30Cによって凹面鏡28A〜28Cを適宜シフト偏心させ、十字マーク61aと光源マーク61bとによって示される光源21の所定光源位置に第1〜第3波長域の紫外光による射出端像を位置決めする。
具体的には、図13に示すように、ターゲット板61上に投影される第1〜第3波長域の射出端像67の所定端部(図13では下端部)を、光源マーク61bのうち陰極21b先端部に相当する位置としての中心点61cに接するように位置決めし、これによって、光源マーク61bのうち高輝度部21dに相当する位置を射出端像67内に位置決めする。このとき、シャッタ26A〜26Cによって第1〜第3波長域の光を適宜遮断することで、波長域ごとの射出端像67を容易に観察することができる。
このようにして射出端像67を位置決めすることで、本変形例にかかる光源装置102では、各波長域の射出端像67を所定光源位置上で合致させることができる。このため、ターゲット板61に換えて光源21を所定光源位置に配置し、光ファイバ62に換えて光ファイバ12を所定結像位置に配置させた場合、各光源像47A〜47Cを合致させて波長域間の芯ずれを補正することができるとともに、この合致させた光源像47を図4に示したように入射端12aに対して適性位置に結像させることができる。これによって、本変形例にかかる光源装置102でも、光源21が発する光を効率的に光ファイバ12内に導入させることができる。
なお、本変形例にかかる光源装置102でも、折返光学系24A〜24Cをそれぞれ分岐光軸20A〜20C方向に適宜移動させることで、入射端12aに対する光源像47A〜47Cの焦点合わせを行うことができる。これによって、各光源像47A〜47Cを入射端12a上に鮮明に結像させることができ、光源21が発する光を一層効率的に光ファイバ12内に導入させることができる。
また、本変形例にかかる光源装置102では、光源像観察ユニット50を用いる場合と同様に、光源装置102が射出する光の導入先装置としての顕微鏡本体101を用いることなく、光源装置102単独で各光源像47A〜47C間の相対的な位置ずれの補正を行うことができ、光源装置102を顕微鏡本体101に取り付ける前に各波長域間の芯ずれ補正を行うことができる。
なお、光源21の所定光源位置を示すターゲット板61上のマークは、上述した十字マーク61aおよび光源マーク61bに限定されず、種々のマークが適用可能である。例えば、光源マーク61bを廃止して十字マーク61aのみ形成し、この十字マーク61aの交差点としての中心点61cによって射出端像67の所定結像位置を示すことができる。あるいは、十字マーク61aおよび光源マーク61bに替えて、射出端像67の形状を示す円形マークを用いることもできる。
ところで、本変形例にかかる光源装置102では、光源像観察ユニット60において、光ファイバ62の射出端62aを光源像47の所定結像位置に設けるとともに、光源21の所定光源位置を示すターゲット板61を集光レンズ22の焦平面上に設け、射出端62aの射出端像67を波長域ごとに所定光源位置に位置決めして合致させるものとしたが、これら射出端62aとターゲット板61との配置を入れ換えることもできる。
すなわち、射出端62aを所定光源位置に配置させるとともに、光源マーク61bが光源像47の所定結像位置に設けられるようにターゲット板61を光源像47の結像面上に配置させる。そして、ミラーホルダ30A〜30Cによって凹面鏡28A〜28Cを適宜シフト偏心させ、第1〜第3波長域ごとの射出端像67を所定光源像位置に位置決めすることで、この各波長域の射出端像67を所定結像位置上で合致させることができる。
この結果、射出端62aに換えて光源21を所定光源位置に配置し、ターゲット板61に換えて光ファイバ12を所定結像位置に配置させた場合、各光源像47A〜47Cを入射端12a上で合致させることができるとともに、この合致させた光源像47を図4に示したように入射端12aに対して適性位置に結像させることができる。これによって、上述の場合と同様に、光源21が発する光を効率的に光ファイバ12内に導入することができる。
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2にかかる光源装置および光源装置の調整方法について説明する。図14は、本実施の形態2にかかる光源装置202が備える波長選択光学系204の構成を示す図である。ここで、光源装置202は、光源装置102と交換自在に紫外線顕微鏡装置100に用いられるものであって、波長選択ユニット11の構成をもとに波長選択光学系104に替えて波長選択光学系204を備えた波長選択ユニット211と、光ファイバ12とを用いて構成されている(図1参照)。
波長選択光学系204は、波長選択光学系104の構成をもとに、集光レンズ22、折返光学系24A〜24Cおよびシャッタ26A〜26Cに替えて、集光レンズ72、平面鏡74A〜74Cおよびシャッタ76A〜76Cを備える。また、平面鏡74A〜74Cには、このそれぞれを分岐光軸20A〜20Cに対してチルト偏心自在に保持する偏心駆動機構としてのミラーホルダ80A〜80Cが設けられている。その他の構成は、実施の形態1と同じであり、同一部分には同一符号を付して示している。なお、チルト偏心とは、平面鏡やレンズ等の光学素子を光軸等の所定軸と垂直な平面に対して傾斜させること、あるいはその平面に対してあらかじめ所定角度傾斜された状態からさらに傾斜させることを意味する。
集光レンズ72は、集光レンズ22と同様に、光源21が発した光を集光し、光軸20に対して傾斜した平行光91を射出する。射出された平行光91は、選択反射光学系23に入射する。
平面鏡74A〜74Cは、それぞれ分岐光軸20A〜20C上に配置されており、初期設定として、その各反射面74Aa,74Ba,74Caは、集光レンズ72の射出瞳EPA〜EPCに各々合致され、各反射面74Aa,74Ba,74Caに垂直な中心軸は、各々分岐光軸20A〜20Cに合致されている。平面鏡74Aは、ダイクロイックミラー23Aが反射させて平行光91から分岐させた分岐光92Aを反射させ、分岐光軸20Aに対して対称に折り返す。同様に、平面鏡74B,74Cは、それぞれダイクロイックミラー23B,23Cが反射させて平行光91から分岐させた分岐光92B,92Cを反射させ、分岐光軸20B,20Cに対して各々対称に折り返す。
平面鏡74A〜74Cが各々折り返した折返光95A〜95Cは、それぞれダイクロイックミラー23A〜23Cによって再反射され、この再反射された各再反射光は、ダイクロイックミラー23Aを介して同軸に合成されて合成光96とされる。合成光96は、光軸20に対して平行光91と対称に、かつ逆向きに集光レンズ72に入射する。
集光レンズ72は、第1〜第3波長域の紫外光に対して収差補正されており、合成光96に含まれる第1〜第3波長域の各紫外光を、全反射ミラー25を介して同一位置に収束させる。これによって、第1〜第3波長域の各紫外光に対応する光源21の光源像97A〜97Cは、同一位置にテレセントリックに結像される。この光源像97A〜97Cは、それぞれ第1〜第3波長域の紫外光に対する2次光源となり、光源像97A〜97Cを統合した光源像97は、第1〜第3波長域を合成した紫外光の2次光源となる。
光ファイバ12は、入射端12aが光源像97の所定結像位置に配置されている。光ファイバ12は、光源像97から発せられる紫外光を入射端12aから受光し、投光管7に取り付けられた射出端から射出する。これによって、光源装置202は、光源装置102と同様に、第1〜第3波長域を合成した紫外光を照明光として投光管7に導入することができる。
シャッタ76A〜76Cは、それぞれ平面鏡74A〜74Cの各反射面74Aa,74Ba,74Ca近傍、つまり集光レンズ72の射出瞳EPA〜EPC近傍に配置されている。シャッタ76A〜76Cは、図示しない開閉駆動機構によって開閉されることで、ダイクロイックミラー23A〜23Cから平面鏡74A〜74Cを介して再びダイクロイックミラー23A〜23Cに至る光路を各々選択的に遮断および開放する。各開閉駆動機構は、ケーブル14cを介して制御装置103と電気的に接続されており、制御装置103からの指示に基づいて各々シャッタ76A〜76Cを開閉させる。波長選択ユニット211では、このシャッタ76A〜76Cを適宜組み合わせて開閉させることで、第1〜第3波長域の紫外光を選択的に抽出し、光源像97から射出することができる。なお、シャッタ76A〜76Cの配置は、各反射面74Aa,74Ba,74Ca近傍に限定されず、それぞれダイクロイックミラー23A〜23Cから平面鏡74A〜74Cを介して再びダイクロイックミラー23A〜23Cに至る光路を選択的に遮断および開放できる位置であれば任意でよい。
つづいて、光源装置202における光源像97A〜97Cの位置ずれ補正について説明する。図15は、光源像97A〜97Cの位置ずれ補正を行う場合の光源装置202の構成を示す図である。この図に示すように、光源装置202では、光源像97A〜97Cの位置ずれ補正を行う場合、上述した実施の形態1と同様に、光ファイバ12に換えて光源像観察ユニット50が波長選択光学系204に接続される。このとき、ターゲット板51は、円形マーク51bが入射端12aの所定配置位置、つまり光源像97の所定結像位置に合致して設けられるように、光ファイバ12に換えて光源像97の結像面上に装脱自在に配置される。
一方、ミラーホルダ80Aは、例えば図16−1および図16−2に示すように構成されている。図16−1は側面図であり、図16−2は平面鏡74Aの正面図である。ミラーホルダ80Aは、平面鏡74Aの裏面中心部に凸設された円柱状の軸部81と、図示しない台座に固設されるとともに軸部81に接続された平板状の支持部82と、支持部82に設けられた貫通孔82aに貫設されるとともに、平面鏡74Aの裏面部に形成された溝部74Ab内に先端部が挿設されるビス83と、両端部が平面鏡74Aと支持部82との各対向面に接続されたコイルバネ84とを用いて構成されている。
貫通孔82aの内壁面とビス83の側面とにはそれぞれネジが切られており、このネジによってビス83は貫通孔82aに螺設されている。貫通孔82a、ビス83およびコイルバネ84は、それぞれ軸部81の周りで中心角120°ごとの3箇所に設けられ、貫通孔82aおよびビス83と、コイルバネ84とは、軸部81の周りで中心角60°ごとに交互に配置されている。コイルバネ84は、平面鏡74Aに対して常に支持部82方向へ引きつける応力を及ぼしている。
このミラーホルダ80Aでは、支持部82の裏面から3つのビス83を適宜螺入および螺脱させることで、軸部81を中心として平面鏡74Aを自在に傾斜移動させることができる。これによって、波長選択光学系204では、分岐光軸20Aに対して平面鏡74Aを自在にチルト偏心させることができる。ミラーホルダ80B,80Cもミラーホルダ80Aと同様に構成されており、それぞれ分岐光軸20A,20Cに対して平面鏡74B,74Cを自在にチルト偏心させることができる。なお、ミラーホルダ80A〜80Cの構成は、図16−1および図16−2に示した構成に限定されず、各々平面鏡74A〜74Cを自在にチルト偏心可能なものであれば任意の構成を用いることができる。
図17は、平面鏡74Aのチルト偏心にともなう折返光95Aの光路変化と、光源像97Aの結像位置の変化とを示す図である。この図では、波長選択光学系204のうち第1波長域に関わる光路を抜粋して示している。図17において破線で示すように、ミラーホルダ80Aによって平面鏡74Aを図中時計回りにチルト偏心させ、平面鏡74A’へ移行させることで、平面鏡74Aによって反射される折返光95Aは、折返光95A’へ移行される。このとき、折返光95Aは、平面鏡74Aのチルト量δに応じて偏角量2δだけ図中時計回りに偏向する。
この折返光95Aの偏向にともない、合成光96のうち第1波長域の紫外光は合成光96’へ移行する。この結果、合成光96’は、光軸20に対して合成光96よりも大きな角度で集光レンズ72に入射し、光源像97Aは、光源像97A’へ移行する。この際、光源像97Aは、集光レンズ72の焦点距離fと、折返光95Aの偏角量2δとをもとに、シフト量2δ・fだけ図中左方向に移動する。なお、集光レンズ72による光源像97A’の結像においてテレセントリック性は維持される。
同様に、ミラーホルダ80Aによって平面鏡74Aを図中反時計回りにチルト量δだけチルト偏心させた場合、折返光95Aは、偏角量2δだけ図中反時計回りに偏向し、光源像97Aは、シフト量2δ・fだけ図中右方向に移動する。また、平面鏡74Aを図中紙面と垂直方向に上側/下側へチルト量δだけチルト偏心させた場合、折返光95Aは、それぞれ偏角量2δだけ手前側/奥側に偏向し、光源像97Aは、それぞれシフト量2δ・fだけ手前側/奥側に移動する。ここで、平面鏡74Aの上側/下側へのチルト偏心とは、平面鏡74Aにおける図中手前側の端部を上側/下側に移動させた場合の傾斜に相当する。
第2および第3波長域についても、それぞれミラーホルダ80B,80Cによって平面鏡74B,74Cを平面鏡74Aと同様にチルト偏心させることで、折返光95B,95Cおよび光源像97B,97Cをそれぞれ折返光95Aおよび光源像97Aと同様に偏向または移動させることができる。すなわち、波長選択光学系204では、ミラーホルダ80A〜80Cによって平面鏡74A〜74Cを適宜チルト偏心させることで、各光源像97A〜97Cの結像位置を自在に移動させることができる。
光源装置202では、光源像97A〜97Cの位置ずれ補正を行う場合、まず光ファイバ12に換えて光源像観察ユニット50を設け、ターゲット板51を集光レンズ72による光源像97の結像面上に配置させる。つづいて、ミラーホルダ80A〜80Cによって平面鏡74A〜74Cを適宜チルト偏心させ、ターゲット板51上の十字マーク51aと円形マーク51bとによって示される光源像97の所定結像位置に各光源像97A〜97Cを位置決めする。具体的には、実施の形態1と同様に、図10に示すように位置決めする。
これによって、光源装置202では、各光源像97A〜97C間の相対的な位置ずれを補正し、各光源像97A〜97Cを合致させて、波長域間の芯ずれを補正することができる。このため、ターゲット板51に換えて光ファイバ12を所定結像位置に配置させた場合、この合致させた光源像97を図4に示したように入射端12aに対して適性位置に結像させることができる。この結果、光源装置202では、実施の形態1と同様に、光源21が発する光を効率的に光ファイバ12内に導入させることができる。
また、光源装置202では、実施の形態1と同様に、光源像観察ユニット50を用いて光源像97A〜97Cの位置ずれ補正を行うため、光源装置102が射出する光の導入先装置としての顕微鏡本体101を用いることなく、光源装置202単独で各光源像97A〜97C間の相対的な位置ずれの補正を行うことができる。これによって、光源装置202を顕微鏡本体101に取り付ける前に第1〜第3波長域間の芯ずれ補正を行うことができ、光源装置202を顕微鏡本体101に取り付けた後、容易かつ迅速に紫外線顕微鏡装置100全体の立ち上げを行うことができる。
なお、光源装置202では、上述した実施の形態1の変形例と同様に、光源像観察ユニット60を用いて光源像97A〜97Cの位置ずれ補正を行うこともできる。その場合、光ファイバ62の射出端62aを光源像97の所定結像位置に設けるとともに、光源21の所定光源位置を示すターゲット板61を集光レンズ72の焦平面上に設け、射出端62aの射出端像67を第1〜第3波長域ごとに所定光源位置に位置決めして合致させるとよい。あるいは、射出端62aを所定光源位置に配置させるとともに、光源マーク61bが光源像97の所定結像位置に設けられるようにターゲット板61を光源像97の結像面上に配置させ、各波長域の射出端像67を所定結像位置上で合致させるとよい。
ここまで、本発明を実施する最良の形態を実施の形態1および2として説明したが、本発明は、上述した実施の形態1および2に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変形が可能である。
例えば、上述した実施の形態1では、凹面鏡28A〜28Cを各々シフト偏心させることで光源像47A〜47Cの位置ずれ補正を行い、実施の形態2では、平面鏡74A〜74Cを各々チルト偏心させることで光源像97A〜97Cの位置ずれ補正を行うものとしたが、これに限定されず、ダイクロイックミラー23A〜23Cを各々チルト偏心させることで光源像47A〜47C,97A〜97Cの位置ずれ補正を行うようにすることもできる。また、実施の形態1のように波長選択光学系104を用いる場合には、結像レンズ27A〜27Cを各々シフト偏心またはチルト偏心させることで光源像47A〜47Cの位置ずれ補正を行うようにすることもできる。ただし、ダイクロイックミラー23A〜23Cや結像レンズ27A〜27Cによって位置ずれ補正を行う場合には、光源像47A〜47C,97A〜97Cの各結像においてテレセントリック性が損なわれる恐れがあるため、上述のように凹面鏡28A〜28Cまたは平面鏡74A〜74Cによって位置ずれ補正を行うことが好ましい。
また、上述した実施の形態1および2では、光源像47A〜47C,97A〜97Cの位置ずれ補正を行うためにミラーホルダ30A〜30C,80A〜80Cを手動操作することを前提に説明をしたが、手動操作に限定されず、制御装置103からの制御をもとにミラーホルダ30A〜30C,80A〜80Cを自動操作することもできる。その場合、例えば各ミラーホルダ30A〜30C,80A〜80Cに設けられた各ビス33,83を電動マイクロメータ等によって螺入および螺脱駆動させる構成とし、この電動マイクロメータを制御装置103によって駆動制御するとよい。また、制御装置103は、カメラ53が生成した観察画像を取得し、この観察画像に対して所定の画像処理を行うことで、ターゲット板51,61に対する光源像47A〜47Cまたは97A〜97Cの位置決め確認を行うようにするとよい。
なお、光源像47A〜47C,97A〜97Cの位置ずれ補正を手動操作によって行う場合には、波長選択ユニット11,211の筐体、つまり波長選択光学系104,204を収容するカバー部材に、外部からビス33,83等を操作可能とするための開口部等を設けるとよい。
また、上述した実施の形態1および2では、波長選択光学系104,204によって、第1〜第3波長域の紫外光を抽出するものとして説明したが、抽出する波長域を3つに限定して解釈する必要はなく、2つ以下あるいは4つ以上の波長域の紫外光を抽出させるようにしてもよい。さらに、波長選択光学系104,204で抽出する波長域は、紫外域に限定されず、可視域あるいは赤外域とすることもでき、これらの波長域を混在させることもできる。これに応じて、本発明にかかる光源装置を用いる顕微鏡装置等は、紫外線顕微鏡装置に限定されず、可視域、赤外域、あるいは紫外域から赤外域までの広範な波長域等に対して適用可能な顕微鏡装置等とすることができる。
なお、第1〜第3波長域が可視域である場合には、光源像47A〜47C,97A〜97Cの位置ずれ補正において、カメラ53を介さず、ターゲット板51,61上に結像される光学像を目視観察することができる。また、第1〜第3波長域が可視域である場合には、光源21には、ハロゲンランプ等の白熱ランプを用いることができる。この場合、ハロゲンランプ等の高輝度部がフィラメントの中心部にあるため、光源像47A〜47C,97A〜97Cの各中心部をそれぞれ光ファイバ12の入射端12a中心部に合致させるように位置ずれ補正を行うとよい。
また、上述した実施の形態1および2では、波長選択光学系104,204がコリメート光学系かつ集光光学系として各々集光レンズ22,72を備えるものとしたが、コリメート光学系および集光光学系として個別のレンズ系を備えることもできる。すなわち、光源21が発した光を集光して平行光を射出するコリメートレンズ系と、合成光46,96を集光して光源像47,97を結像する集光レンズ系とを個別に備えることができる。
また、上述した実施の形態1および2では、波長選択光学系104,204が光源21を光軸20から外れた位置に備えるものとしたが、光軸20上に設けることもできる。この場合、例えば全反射ミラー25を取り除き、光源21と集光レンズ22,72との間の光路上にハーフミラーを設けるとよい。これによって、光源21が発した光と、集光レンズ22,72が収束させる光とを分離することができ、全反射ミラー25を用いた場合と同様に光源像47,97を光ファイバ12の入射端12a上に結像させることができる。
また、上述した実施の形態1および2では、顕微鏡本体101は、標本に対して上部から観察を行う正立顕微鏡であるものとして説明したが、標本の下部から観察を行う倒立顕微鏡とすることもできる。また、顕微鏡本体101は、光源装置102,202から射出される照明光を標本に対して落射照明するものとして説明したが、透過照明する構成とすることもできる。
(付記1)
光源が発する光のうち複数の所定波長域の光を射出する光源装置において、
前記光源が発した光を平行光にして射出するコリメート光学系と、
前記所定波長域ごとに設けられ、それぞれ入射する光を自光学系の所定軸に対して対称に折り返す折返光学系と、
前記コリメート光学系が射出した平行光の中から複数の前記所定波長域の光を分岐させ、この分岐させた各波長域の分岐光をそれぞれ対応する前記折返光学系に入射させるとともに、該折返光学系が前記所定波長域ごとに折り返した折返光を合成する抽出光学系と、
前記抽出光学系が合成した合成光を集光して前記光源の光源像を結像させる集光光学系と、
前記所定波長域ごとに、前記折返光学系および前記抽出光学系の少なくとも一部をシフト偏心またはチルト偏心させて前記光源像の結像位置を変化させる偏心駆動機構と、
を備えたことを特徴とする光源装置。
(付記2)
前記折返光学系は、前記分岐光を集光して前記光源の第1中間像を結像させる結像レンズ系と、前記第1中間像から発せられる光を集光し、自結像系の光軸に対して該第1中間像と対称な位置に前記光源の第2中間像を結像させる反射結像系とを有し、
前記結像レンズ系は、前記第2中間像から発せられる光を集光し、自レンズ系の光軸に対して前記分岐光と対称な前記折返光を射出し、
前記偏心駆動機構は、前記所定波長域ごとに、前記反射結像系および前記結像レンズ系の少なくとも一部をシフト偏心またはチルト偏心させて前記光源像の結像位置を変化させることを特徴とする付記1に記載の光源装置。
(付記3)
前記折返光学系は、前記分岐光を反射させる平面鏡を有し、
前記偏心駆動機構は、前記所定波長域ごとに、前記平面鏡をチルト偏心させて前記光源像の結像位置を変化させることを特徴とする付記1に記載の光源装置。
(付記4)
前記抽出光学系は、複数の前記所定波長域の光のうち1つの波長域の光を択一的に反射させ、該1つの波長域以外の光を透過させる選択反射光学素子を前記所定波長域ごとに有し、
前記偏心駆動機構は、前記所定波長域ごとに、前記選択反射光学素子をチルト偏心させて前記光源像の結像位置を変化させることを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の光源装置。
(付記5)
前記集光光学系による前記光源像の結像面上に装脱自在に設けられ、該結像面上に設けられた場合に前記光源像の所定結像位置を示す指標部材を備え、
前記光源像は、前記所定波長域ごとに、前記偏心駆動機構によって該光源像内の高輝度部が前記所定結像位置に位置決めされることを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の光源装置。
(付記6)
前記光源は、アーク放電によって光を発するアークランプであり、
前記光源像は、前記所定波長域ごとに、前記偏心駆動機構によって、前記アークランプの陰極先端部と共役な部分が前記所定結像位置に位置決めされることを特徴とする付記5に記載の光源装置。
(付記7)
所定の大きさを有し、前記光源と交換自在に該光源の所定光源位置に設けられ、該所定光源位置に設けられた場合に複数の前記所定波長域の光を含む照明光を前記コリメート光学系に対して発する仮設光源と、
前記集光光学系による前記光源像の結像面上に装脱自在に設けられ、該結像面上に設けられた場合、前記集光光学系によって結像される前記仮設光源の仮設光源像の所定結像位置を示す指標部材と、
を備え、
前記仮設光源像は、前記所定波長域ごとに、前記偏心駆動機構によって前記所定結像位置に位置決めされることを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の光源装置。
(付記8)
所定の大きさを有し、前記光源像の所定光源像位置に装脱自在に設けられ、該光源像位置に設けられた場合に複数の前記所定波長域の光を含む照明光を前記集光光学系に対して発する仮設光源と、
前記光源と交換自在に前記コリメート光学系の焦平面上に設けられ、該焦平面上に設けられた場合に前記光源の所定光源位置を示す指標部材と、
を備え、
前記コリメート光学系によって結像される前記仮設光源の仮設光源像は、前記所定波長域ごとに、前記偏心駆動機構によって前記所定光源位置に位置決めされることを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の光源装置。
(付記9)
前記仮設光源は、前記照明光が導入され光ファイバの射出端であることを特徴とする付記7または8に記載の光源装置。
(付記10)
前記指標部材上に結像される光学像を撮影して表示する観察装置を装脱自在に備えたことを特徴とする付記5〜9のいずれか一つに記載の光源装置。
(付記11)
前記コリメート光学系および前記集光光学系は、各光軸と各瞳とをそれぞれ合致させて設けられることを特徴とする付記1〜10のいずれか一つに記載の光源装置。
(付記12)
前記所定波長域ごとに、前記抽出光学系から前記折返光学系を介して再び該抽出光学系に至る光路を選択的に遮断および開放するシャッタ手段を備えたことを特徴とする付記1〜11のいずれか一つに記載の光源装置。