JP4854877B2 - プッシュボタン信号受信装置およびプッシュボタン信号検出方法 - Google Patents

プッシュボタン信号受信装置およびプッシュボタン信号検出方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プッシュボタン信号を受信してダイアル番号を判定するプッシュボタン信号受信装置およびプッシュボタン信号検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アナログ電話通信においては、電話端末から接続先を指定するための選択信号として、プッシュボタン信号(以下、PB信号と略称する)が使用されている。PB信号による通信では、周波数697Hz、770Hz、852Hzおよび941Hzを有する低群の識別信号と、1209Hz、1336Hz、1477Hzおよび1633Hzを有する高群の信号が用いられ、各群の1周波の信号を組み合わせた16種類の信号によって、ダイアルされた番号が識別される。この低群および高群の各信号は一度のダイアル操作により一定時間以上継続して送出され、ダイアル間には一定時間以上の信号断の時間があって、この時間はミニマムポーズといわれる。
【0003】
また、PB信号の受信装置は、低群および高群の各1周波の信号を一定時間継続して受信することにより、有効な選択信号と判断する。さらに、信号の受信が一定時間以上断絶するとミニマムポーズと判断して、この後に同じ周波数の信号を受信しても別の選択信号と判断する。
【0004】
ここで、図6に従来の一般的なPB信号受信装置の概略構成例を示す。
図6に示すPB信号受信装置30は、入力信号からダイアルトーン信号を除去する濾波器31と、低群、高群の信号に分離するための濾波器32および33と、それぞれ低群、高群の信号のための周波数検出回路34および35と、検出された周波数よりダイアル番号を判定する信号判定回路36と、識別信号として有効な長さを判定する制御回路37と、有効な長さを有する番号データを出力する出力回路38によって構成される。
【0005】
濾波器31は、低群の信号よりもさらに低い周波数による可聴信号であり、電話端末のユーザに対して選択信号の送出を促すためのダイアルトーン信号を、入力信号から除去する。濾波器32および33は、濾波器31からの出力信号より、それぞれ低群、高群の周波数帯域の信号のみを選択的に通過させる。周波数検出回路34および35は、入力信号の周波数を検出する。信号判定回路36は、周波数検出回路34および35において低群、高群からともに有効な周波数が検出されると、各群の識別信号の検出を判定して制御回路37に検出信号を出力するとともに、各識別信号の組み合わせよりダイアル番号を判定して、この番号を示す番号データを出力回路38に出力する。制御回路37は、入力された検出信号の継続時間および断絶時間を監視して、識別信号として有効な長さの判定を行い、この長さを示す有効信号ENを出力する。出力回路38は、制御回路37による有効信号ENに基づく長さを有する番号データを、例えば4ビットのデータD31、D32、D33およびD34として出力する。
【0006】
次に、図7に、上記のPB信号受信装置30の各部における信号のタイミングチャートを示し、PB信号受信装置30の動作を説明する。
PB信号受信装置30に対する入力信号S41は、ダイアルトーン、低群信号および高群の識別信号等を含んでおり、濾波器31により、ダイアルトーンが除去された信号S42が出力され、さらに濾波器32および33により、それぞれ低群領域および高群領域の成分のみを含む信号S43およびS44が出力される。また、周波数検出回路34および35からは、低群、高群のそれぞれに割り当てられた周波数に対応する識別信号S45およびS46が出力されて、信号判定回路36に入力され、信号判定回路36からは、この識別信号S45およびS46の論理積によって得られる、PB信号に対する検出信号S47が、制御回路37に対して出力される。
【0007】
制御回路37では、検出信号S47の入力の継続時間および断絶時間が監視され、選択信号として有効な長さを示す有効信号ENが出力される。ここで、制御回路37は、例えば検出信号S47がHレベルとなるタイミングT21において継続時間のカウントを開始し、あらかじめ設定された継続判定時間Tonが経過したタイミングT22までの間、検出信号S47がHレベルのまま継続すると、検出信号S47に対して有効な選択信号と判断して、有効信号ENをHレベルにする。また、タイミングT23において検出信号S47がLレベルとなると断絶時間のカウントを開始するが、あらかじめ設定された断絶判定時間Toffが経過する前のタイミングT24において、検出信号S47が再びHレベルとなったことから、選択信号の断絶とは判断せずに、有効信号ENをHレベルのまま保持する。さらに、検出信号S47がLレベルとなるタイミングT25において再び断絶時間のカウントを開始し、Lレベルのまま断絶判定時間Toffが経過したタイミングT26において、選択信号の断絶と判断して、有効信号ENをLレベルとする。出力回路38では、有効信号ENの立ち上がりタイミングおよび立ち下がりタイミングに基づいた有効なデータ長を有する番号データD31〜D34が出力される。
【0008】
次に、図8にPB信号受信装置30における周波数検出特性を示す。
PB信号受信装置30では、図8に示すように、識別信号の公称周波数foに対し、受信が許容される周波数の上限、下限としてそれぞれ許容周波数fahおよびfalが設けられ、この許容周波数fahから許容周波数falまでの信号については確実に受信される。また、許容される周波数領域から離れて設けられる禁止周波数fph以上の信号、および禁止周波数fpl以下の信号は受信しない。許容周波数fahと禁止周波数fphとの間、および許容周波数falと禁止周波数fplの間はともに受信に対する不確定領域となる。したがって、誤動作を防ぐ観点からは、許容周波数fah〜falの範囲は狭い方が望ましく、また、禁止周波数fphおよびfplの値は、それぞれ許容周波数fahおよびfalにできるだけ近いことが望ましい。
【0009】
ここで、受信を許容する周波数偏差をda、受信を禁止する周波数偏差をdp(ただし、da<dp)とすると、これらと公称周波数fo、許容周波数fahおよびfal、禁止周波数fphおよびfplとの関係は、以下の式(1)、(2)、(3)および(4)のようになる。
【0010】
【数1】
fah=(1+da)×fo ………(1)
fal=(1−da)×fo ………(2)
fph=(1+dp)×fo ………(3)
fpl=(1−dp)×fo ………(4)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、周波数検出回路34および35における周波数の検出方法としては、濾波器を用いて特定周波数の信号を抽出する方法と、周期を測定する方法があるが、回路構成の簡易さ、すなわち経済性の面より、周期を測定する方法を用いる場合が多い。
【0012】
周期を測定するためには、例えば、入力信号のレベルがあるしきい値を通過する間隔を測定する。しかし、入力信号に濾波器32または33の通過帯域内の雑音が含まれる場合は、しきい値を通過するタイミングがジッタとして揺らぐことになる。ここで、図9は周期の測定における雑音による周期変動を説明する図である。
【0013】
図9では、周波数検出のためのしきい値を0Vとしている。またこの図において、信号S51は雑音を含まない入力信号の波形例であり、雑音が重畳された信号S52から信号S53までの範囲で、しきい値との交点のタイミングが最大±Δtだけ変動することが示されている。また、信号S51のピークレベルをS、信号S51に対する雑音のレベルをN、信号S51の周期をTとすると、
【0014】
【数2】
sin(2π×(Δt/T))=N/S ………(5)
Δt=T×sin-1(N/S)/2π ………(6)
となり、上記の式(6)のように、しきい値の通過点における変動Δtは、信号S51のピークレベルSと雑音のレベルNとの比に依存する。また、図9に示すように、検出される周期の値は雑音が含まれることによって、最小値Tmin(=T−2Δt)から最大値Tmax(=T+2Δt)までの間で変動する。また、このときのジッタJは以下に示す式(7)のようになる。
【0015】
【数3】
J=2Δt/T=sin-1(N/S)/π ………(7)
ここで、図10は式(7)に基づく、信号と雑音との振幅比N/SとジッタJとの関係を示すグラフである。また、図11は周波数検出特性に対するジッタの影響を説明するための図である。
【0016】
図10に示すように、信号と雑音との振幅比N/Sが大きくなるにつれ、ジッタJの量も大きくなる。また、図11に示すように、ジッタJを生じさせる範囲の雑音の受信を許容した場合、周波数検出における許容周波数偏差の絶対値はda+J、禁止周波数偏差の絶対値はdp−Jとする必要がある。したがって、周波数検出の際に許容する雑音の周波数範囲を広くとると、禁止周波数偏差を大きくする必要があり、周波数検出精度が下がって、入力信号の有無の判断に対する誤動作が発生しやすくなる。
【0017】
PB信号受信装置30に入力される信号には、電話端末のマイクによる周囲の騒音や、回線における洩話等による雑音が重畳されており、ある程度の雑音を許容して識別信号の検出を行うことができることが望ましい。しかし、上述したように、従来のPB信号受信装置30では、雑音の許容範囲の拡大によって、誤動作の発生率が高まってしまう。これに対し、ある程度の雑音を許容しながら、入力信号の周波数検出精度を高めるためには、周波数(周期)の検出周期を入力信号の1周期でなく、複数の周期とする方法が考えられる。例えば検出周期を入力信号のn回分とすると、周波数検出に対するジッタJによる影響は1/nに抑制される。
【0018】
しかし、入力信号の複数周期にわたって周波数検出する場合、1周期等の少数の周期による検出と比較して、検出周波数の確定までに時間を要するため、入力信号の継続や断絶の判断に対しては誤差が大きくなる。ここで、図12に入力信号の複数周期にわたる周波数の検出例を示す。図12(A)は入力信号、(B)は第1の検出例による周波数判定状態、(C)は第1の検出例による識別信号の出力状態、(D)は第2の検出例による周波数判定状態、(E)は第2の検出例による識別信号の検出状態をそれぞれ示す。
【0019】
図12では、例として697Hzの周波数を有する低群の識別信号を検出する場合の検出状態を時系列的に示し、検出周期1回分の入力信号の周期をn=20としている。したがって、検出した周波数が確定される検出周期1回分の時間は28.69msecとなる。また、入力信号の20周期分が検出されるまでの最大時間を、検出周期の110%の31.56msecとし、入力信号の20周期分の時間が31.56msec以上となった場合は、入力信号を697Hzの識別信号として無効と判断して、次の入力信号に対する周期測定を行うこととする。なお、図12(C)および(E)では、図6における周波数検出回路34による識別信号S45の抽出の有無を示している。
【0020】
図12(A)に示すように、周波数検出回路34に対する実際の入力信号は、タイミングT32からタイミングT40までの間に入力されている。図12(B)に示す第1の検出例では、入力信号が入力されたタイミングT32の直後のタイミングT33において、周期の検出が開始されて、20周期分の検出時間がカウントされる。この後、タイミングT35において、検出開始から28.69msecが経過して、697Hzの識別信号の受信が検出され、図12(C)のように識別信号が抽出される。この後、再び周期検出時間のカウントが開始されて、次の検出が行われる。
【0021】
また、第1の検出例では、タイミングT39において新たな検出を開始した直後のタイミングT40において、入力信号が断絶している。したがって、この検出周期では31.56msが経過したタイミングT42において入力が無効と判定されて、図12(C)のように識別信号の出力が中止される。
【0022】
一方、図12(D)に示す第2の検出例では、タイミングT31から新たな周期検出が開始されて、周期検出時間がカウントされるが、この直後のタイミングT32において入力信号が入力されるため、31.56msの間に20周期分の入力信号が検出されず、タイミングT34において入力信号が無効と判定されて、再び周期検出時間のカウントが開始される。この後、タイミングT36における周期検出により、図12(E)のように識別信号が再び抽出される。
【0023】
また、さらにタイミングT38において新たな検出が開始され、20周期分カウントされる直前のタイミングT40において入力信号が断絶することにより、この検出周期においては31.56msが経過したタイミングT41において入力が無効と判定されて、図12(E)のように識別信号の出力が中止される。
【0024】
以上より、第1の検出例のように、検出周期の開始タイミングが入力信号の受信開始のタイミングの直後となる場合は、第2の検出例のように、検出開始タイミングが受信開始タイミングの直前となる場合と比較して、最大で検出周期の1周期分程度すなわち28.69msec程度、識別信号の出力開始タイミングが早くなる。また、第1の検出例のように、20周期分のカウント直後に入力信号の受信が終了される場合は、第2の検出例のように、20周期分のカウント終了直前に入力信号の受信が終了される場合と比較して、最大で検出周期の1周期分程度、識別信号の出力中止タイミングが遅くなる。したがって、識別信号の出力タイミングは最大で検出周期の約2周期分の誤差が生じることになり、入力信号の複数周期にわたって周期の検出を行う場合は、検出周期が長くなるため、識別タイミングの出力時間の誤差がより大きくなってしまう。
【0025】
また、図13に、入力信号の複数周期にわたる周波数検出を行う場合の、瞬断発生時の検出例を示す。図13(A)は入力信号、(B)は第1の検出例における周波数判定状態、(C)は第1の検出例による識別信号の出力状態、(D)は第2の検出例における周波数判定状態、(E)は第2の検出例による識別信号の出力状態をそれぞれ示す。
【0026】
図13では、図12と同様に、697Hzの周波数の識別信号を検出する場合を示し、n=20として検出周期1回分の時間を28.69msecとし、20周期分として許容する検出の最大時間を検出周期の110%の31.56msecとしている。
【0027】
図13(A)に示すように、周波数検出回路34に対する実際の入力信号は、タイミングT53からタイミングT55までの間、瞬間的に断絶する。図13(B)に示す第1の検出例では、タイミングT52において新たな検出周期となって信号継続時間のカウントが開始された後、タイミングT53〜T55において入力信号が断絶する。このため、断絶時間によって入力信号の周期検出に遅れが生じるため、31.56msの間に20周期分の入力信号が検出されず、タイミングT56において入力信号が無効と判定されて、図13(C)のように識別信号の出力が中止される。この後、再び周期検出時間のカウントが開始され、タイミングT58における周波数検出により識別信号の出力が再開される。
【0028】
一方、図13(D)に示す第2の検出例では、タイミングT51から新たな周期検出が開始された後、20周期分の入力信号が受信される前に、タイミングT53において入力信号が断絶し、この断絶中のタイミングT54において周期検出の開始から31.56msが経過し、入力が無効と判定されて、図13(E)のように識別信号の出力が中止される。また、入力信号の断絶中に再び周期検出が開始されることから、次の検出周期においても31.56msの間に20周期分の入力信号が検出されず、タイミングT57において再び入力信号が無効と判定されて、識別信号は出力されない。さらに、新たな周波数検出が行われて、タイミングT59において識別信号の出力が再開される。
【0029】
以上より、第2の検出例のように、入力信号の無効判定が行われるタイミングが入力信号の瞬断中となる場合は、このようになっていない第1の検出例のような場合と比較して、最大で検出周期の1周期分程度、識別信号の出力中止時間が長くなる。したがって、検出周期が長くなるほど、識別信号の出力中止時間の誤差が大きくなる。
【0030】
この図12および図13の例のように、入力信号の周期を検出する場合、入力信号の受信開始および停止のタイミングと、周期検出の開始および終了のタイミングとの関係によって、抽出される識別信号に誤差が生じ、この誤差は検出周期が長くなるほど大きくなる。PB信号受信装置30では、制御回路37において、識別信号の抽出タイミングに基づいて、選択信号として有効な長さを判定するための信号継続時間の検出が行われることから、入力信号の多数の周期にわたって周期検出を行う方法では、識別信号の抽出タイミングの誤差が大きいために信号継続時間の検出誤差が大きくなり、番号データの出力の誤作動が発生することが問題となっていた。
【0031】
また、PB信号受信装置30に対する入力においては、上述したように、本来のPB信号以外に、電話端末のマイクからの周囲の音声や騒音あるいは回線における洩話等による雑音が含まれることが多いが、これらの雑音を識別信号と判定してはならない。しかし、入力信号の多数の周期にわたって周期検出を行う方法では、検出周期の間に大きな周波数変動があっても、入力信号の所定数の周期検出時間が規定値を満たせば識別信号と判断されるため、識別信号の誤った検出が行われやすい。
【0032】
一方、入力信号の少数の周期により周期検出を行う方法では、上述したように、周波数検出の際に許容する雑音の周波数範囲を広くとると、禁止周波数偏差を大きくする必要があり、周波数検出精度が下がって、入力信号の有無の判断に対する誤動作が発生しやすくなる。
【0033】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、周波数検出精度を高め、かつPB信号の有効長さの判定誤りを減少させた、誤動作の少ないPB信号受信装置を提供することを目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記課題を解決するために、図1に示すような、プッシュボタン信号を受信してダイアル番号を判定するプッシュボタン信号受信装置1において、受信した前記プッシュボタン信号に含まれる低群周波数および高群周波数の識別信号のそれぞれに対して設けられ、1周期または複数周期にわたって入力信号の周波数を検出して前記識別信号を抽出する第1の周波数検出手段2および第2の周波数検出手段3と、受信した前記プッシュボタン信号に含まれる前記低群周波数および前記高群周波数の前記識別信号のそれぞれに対して設けられ、前記第1の周波数検出手段2および前記第2の周波数検出手段3による各検出周期数より多い周期にわたって前記入力信号の周波数を検出して前記識別信号を抽出する第3の周波数検出手段4および第4の周波数検出手段5と、前記第1の周波数検出手段2および前記第2の周波数検出手段3によって抽出された前記識別信号の継続時間と、前記第1の周波数検出手段2および前記第3の周波数検出手段4によって検出された周波数、前記第2の周波数検出手段3および前記第4の周波数検出手段5によって検出された周波数のそれぞれに対する一致判定とに基づいて、受信した前記プッシュボタン信号が有効か否かを判定する有効信号判定手段6と、前記有効信号判定手段6によって前記プッシュボタン信号が有効と判定された場合に、検出された前記低群周波数および前記高群周波数に基づいて前記ダイアル番号を出力するダイアル番号出力手段7と、を有することを特徴とするプッシュボタン信号受信装置1が提供される。
【0035】
ここで、第1の周波数検出手段2および第2の周波数検出手段3は、受信したプッシュボタン信号に含まれる低群周波数および高群周波数の各識別信号に対して、1周期または複数周期にわたって周波数を検出して、各群周波数に対応する識別信号を抽出する。また、第3の周波数検出手段4および第4の周波数検出手段5は、低群周波数および高群周波数の各識別信号に対して、より多数の周期にわたって周波数を検出して、各群周波数に対応する識別信号を抽出する。有効信号判定手段6は、第1の周波数検出手段2および第2の周波数検出手段3によって抽出された識別信号の継続時間と、第1の周波数検出手段2および第3の周波数検出手段4によって検出された周波数、第2の周波数検出手段3および第4の周波数検出手段5によって検出された周波数のそれぞれに対する一致判定とに基づいて、受信したプッシュボタン信号が有効か否かを判定する。ダイアル番号出力手段7は、有効信号判定手段6によってプッシュボタン信号が有効と判定された場合に、検出された低群周波数および高群周波数に基づいてダイアル番号を出力する。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1に本発明のプッシュボタン信号(以下、PB信号と略称する)受信装置の原理図を示す。
【0037】
図1に示すように、本発明のPB信号受信装置1は、受信したPB信号に含まれる低群周波数および高群周波数の各識別信号に対して、1周期または複数周期にわたって周波数を検出する第1の周波数検出手段2および第2の周波数検出手段3と、これらによる検出周期数より多い周期にわたって各識別信号の周波数を検出する第3の周波数検出手段4および第4の周波数検出手段5と、受信したPB信号が有効か否かを判定する有効信号判定手段6と、有効信号判定手段6による判定に基づいて、PB信号によって指定されたダイアル番号を出力するダイアル番号出力手段7によって構成される。
【0038】
第1の周波数検出手段2および第2の周波数検出手段3は、識別信号の例えば1周期といった比較的少数の周期数にわたって周波数の検出を行い、それぞれ低群周波数および高群周波数に対応する識別信号を抽出する。また、第3の周波数検出手段4および第4の周波数検出手段5は、比較的多数の周期数にわたって周波数の検出を行い、各群周波数に対応する識別信号を抽出する。また、例えば、第1の周波数検出手段2および第2の周波数検出手段3では、第3の周波数検出手段4および第4の周波数検出手段5と比較して、入力信号に含まれる雑音の許容量を大きくしておく。
【0039】
なお、各周波数検出手段では、例えば入力信号の周期を検出することにより、周波数の検出を行う。周期の検出方法としては、例えば、入力信号の信号レベルがあるしきい値を通過した回数が所定数に達するまでの時間を計測し、この時間があらかじめ周波数ごと設定された許容時間範囲内に含まれるか否かを判定することにより、任意の周波数の識別信号を抽出する方法が考えられる。この場合、例えば、第1の周波数検出手段2および第2の周波数検出手段3における識別信号1周期あたりの許容時間範囲を、第3の周波数検出手段4および第4の周波数検出手段5と比較して広く設定することにより、入力信号に対する雑音の許容量について異なる設定を行う。
【0040】
有効信号判定手段6は、第1の周波数検出手段2および第2の周波数検出手段3によって抽出された識別信号の継続時間と、第1の周波数検出手段2および第3の周波数検出手段4によって検出された周波数、第2の周波数検出手段3および第4の周波数検出手段5によって検出された周波数のそれぞれに対する一致判定に基づいて、受信したPB信号が有効か否かを判定する。
【0041】
具体的には例えば、第1の周波数検出手段2および第2の周波数検出手段3によって抽出された識別信号の継続時間を計測する。そして、この継続時間が一定時間に達したときに、第1の周波数検出手段2および第3の周波数検出手段4によって検出された周波数が一致し、かつ第2の周波数検出手段3および第4の周波数検出手段5によって検出された周波数が一致している場合に、受信しているPB信号を有効と判定する。また、抽出された識別信号が一定時間継続せずに断絶した場合は、この識別信号を無効と判定する。さらに、有効と判定された後にこの識別信号の抽出が一定時間断絶した場合には、PB信号の有効長さが終了したと判定する。
【0042】
ダイアル番号出力手段7は、有効信号判定手段6によってPB信号が有効と判定された場合に、検出された低群、高群の各周波数に基づいて、指定されたダイアル番号を判定し、このダイアル番号を出力する。このダイアル番号は、有効信号判定手段6によって、受信しているPB信号が有効と判定されたタイミングにおいて、出力が開始される。
【0043】
ここで、第1の周波数検出手段2および第2の周波数検出手段3では、比較的少ない周期で周波数が検出されることから、識別信号の抽出開始タイミングおよび抽出終了タイミングの誤差が小さい。したがって、有効信号判定手段6により、比較的少ない周期で周波数検出を行う第1の周波数検出手段2および第2の周波数検出手段3によって抽出された識別信号を用いて、信号の継続時間、断絶時間を計測して有効か否かを判定することにより、有効と判定されるタイミングがより正確に検知される。
【0044】
また、このように比較的少ない周期で周波数検出を行う場合は周波数の検出精度が低くなることから、より多い周期にわたって周波数検出を行う第3の周波数検出手段4および第4の周波数検出手段5を用いて並行して周波数検出を行い、検出周波数が一致した場合にのみ、PB信号を有効とする判定を可能とする。これによって、ある程度の雑音が許容されながらも、識別信号に対する周波数の検出誤りおよび抽出開始時間の認識誤差の双方による誤動作が防止される。
【0045】
次に、本発明の実施の形態例について説明する。図2に、本発明のPB信号受信装置の概略構成例を示す。
図2に示すPB信号受信装置10は、入力信号からダイアルトーン信号を除去する濾波器11と、低群、高群の信号に分離するための濾波器12および13と、低群、高群の信号の各周波数を少ない周期数で検出する周波数検出回路14および15と、各周波数を多い周期数で検出する周波数検出回路16および17と、それぞれ周波数検出回路14および15、周波数検出回路16および17による検出周波数よりダイアル番号を判定する信号判定回路18および19と、各信号判定回路18および19によって判定されたダイアル番号が一致しているか否かを検出する一致検出回路20と、選択信号として有効な長さを判定する制御回路21と、有効な長さを有する番号データを出力する出力回路22によって構成される。
【0046】
濾波器11は、低群の信号よりもさらに低い周波数による可聴信号であるダイアルトーン信号を、入力信号から除去する。濾波器12および13は、濾波器11からの出力信号より、それぞれ低群、高群の周波数帯域の信号のみを選択的に通過させる。
【0047】
周波数検出回路14および15は、各濾波器12および13からの出力信号に対して、例えば1周期等の少数の周期にわたって周波数を検出し、それぞれ低群、高群周波数の識別信号を抽出する。また、これに並行して、周波数検出回路16および17は、各濾波器12および13からの出力信号に対してより多数の周期にわたって周波数を検出し、同様に低群、高群周波数の識別信号を抽出する。なお、周波数検出回路14および15では、周波数検出回路16および17と比較して、雑音に対する許容量が大きくなるように周波数検出特性が設定される。また、周波数検出回路16および17は、後述する信号判定回路18からの検出信号が入力されていない間は、周波数検出動作を行わない。
【0048】
信号判定回路18は、周波数検出回路14および15によって低群、高群として有効な周波数がともに検出されると、識別信号の検出を判定して制御回路21と周波数検出回路16および17とにそれぞれ検出信号を出力するとともに、各識別信号の組み合わせよりダイアル番号を判定して、判定結果を示す番号データを例えば4ビットのデータD11、D12、D13およびD14として一致検出回路20および出力回路22に出力する。また、信号判定回路19は、同様に周波検出回路16および17によって低群、高群として有効な周波数がともに検出されると、識別信号の検出に対する検出信号を制御回路21に出力するとともに、判定結果を示す番号データを例えば4ビットのデータD15、D16、D17およびD18として一致検出回路20に出力する。
【0049】
一致検出回路20は、信号判定回路18からの各データD11〜D14と、信号判定回路19からの各データD15〜D18とがすべて一致した場合に、検出周期の異なる周波数検出によって判定されたダイアル番号が一致したことを示す一致検出信号を制御回路21に出力する。
【0050】
制御回路21は、周波数検出に対する各検出信号および一致検出信号の入力を受け、信号判定回路18からの検出信号の継続時間および断絶時間を監視して、識別信号として有効な長さの判定を行い、この長さを示す有効信号ENを出力する。この有効信号ENは、後述するように、信号判定回路18からの検出信号の入力が一定時間継続し、かつ一致検出信号が入力されている場合に出力が開始され、検出信号の入力が一定時間断絶した場合に出力が停止される。出力回路22は、制御回路21による有効信号ENに基づく長さを有する番号データを、例えば4ビットのデータD1、D2、D3およびD4として出力する。
【0051】
以上のPB信号受信装置10では、周波数検出回路14および15において、雑音の許容量を大きくし、少ない周期で周波数検出を行うことにより、識別信号の抽出開始および中止タイミングが正確に検出される。また、周波数検出回路16および17において、雑音の許容量を小さくし、多い周期にわたって周波数検出を行うことにより、正確な周波数検出が行われる。
【0052】
ここで、図3に周波数検出回路14の回路構成例を示す。
図3に示す周波数検出回路14は、AD変換回路141aを具備するAD変換部141と、ラッチ回路142aおよびAND回路142bを具備する信号開始点検出部142と、カウンタ回路143aおよびカウント値保持回路143bを具備する信号周期計測部143と、比較回路144a、144b、144cおよび144dを具備する出力部144により構成される。
【0053】
ここで、図4に周波数検出回路14の各部における出力信号を示す。図4(A)は任意の周波数の検出時の様子、(B)は697Hzの信号の検出時の様子をそれぞれ示す。以下、まず図3および図4(A)を用いて周波数検出回路14の動作を説明する。
【0054】
AD変換回路141aは、濾波器12からの入力信号S11と、基準信号SGの入力を受け、基準信号SGに対する入力信号S11の信号レベルに応じて、図4(A)に示すように、入力信号S11を2値化した信号S12を出力する。信号開始点検出部142は、ラッチ回路142aおよびAND回路142bにより、入力された信号S12をクロック信号CLKの立ち上がりでラッチし、図4(A)に示すように、クロック信号CLK1周期分のパルス波である信号S13を出力して、入力信号S11の周期開始点を検出する。
【0055】
また、信号周期計測部143において、カウンタ回路143aは、信号S13の入力を受けるまでクロック信号CLKに応じてカウントアップを行う。したがって図4(A)に示すように、信号S13の入力後のクロック信号CLKの立ち上がりタイミングにおいて、カウント値C11がリセットされる。また、カウント値保持回路143bは、信号S13の入力を受けると、次のクロック信号CLKの立ち上がりタイミングにおいて、カウンタ回路143aによるカウント値C11を保持し、カウント値C12として出力する。以上によって、信号周期計測部143では、入力信号S11の周期開始点から次の周期開始点までの間、一定時間間隔でカウントしたカウント値C12が出力される。
【0056】
また、出力部144において、比較回路144a〜144dは低群帯域の各周波数697Hz、770Hz、852Hzおよび941Hzにそれぞれ対応して設けられており、各周波数を判定するための上限値から下限値までの間に入力されたカウント値C12が含まれるか否かを比較することにより、各周波数を判定する判定信号S14、S15、S16およびS17を、信号判定回路18に対して出力する。
【0057】
ここで、表1に低群、高群の各周波数に対する許容周波数、禁止周波数の値と、判定周波数の例を示す。
【0058】
【表1】
Figure 0004854877
【0059】
表1において、各群における周波数の公称値foに対して、許容周波数fahおよびfalは受信が許容される周波数の上限値および下限値を示し、禁止周波数fphおよびfplは、受信を禁止する範囲の下限値および上限値をそれぞれ示している。この禁止周波数fphおよびfplは公称値foの±3.5%に規定され、許容周波数fahおよびfalは通常公称値foの±1.5%に設定される。また、判定周波数fjhおよびfjlは、周波数検出回路14〜17において各周波数の信号と判定するための上限値および下限値の例を示しており、ここでは例として公称値foの±2.5%に設定している。また、判定カウント数nfjhおよびnfjlは、クロック周波数1MHzの場合の各判定周波数fjhおよびfjlに対応するカウント値の例を示している。
【0060】
以下、この表1の値を用いた場合の周波数検出回路14における動作例を具体的に説明すると、図4(B)に示すように、信号S13の出力時のカウンタ回路143aにおけるカウント値C11が「1434」となった場合、次のクロック信号CLKの立ち上がりタイミングにおいてカウント値保持回路143bよりカウント値C12として「1434」を示すデータが出力される。この値は697Hzの場合の判定カウント数nfjh〜nfjlの範囲に含まれるため、比較回路144aより信号S14が出力される。これにより、信号判定回路18は697Hz識別信号が抽出されたことを検知する。
【0061】
以上の周波数検出例では、入力信号S11の1周期で周期計測を行うことによって周波数を検出したが、複数周期にわたって周期計測を行う場合には、例えば、信号開始点検出部142と信号周期計測部143の間にさらにカウンタを設けて信号S13の出力回数をカウントし、所定のカウント数に達したときにクロック信号CLK1周期分のパルス信号を出力するように構成する。また、比較回路144a〜144dでは、計測時の周期数に応じた判定カウント数nfjhおよびnfjlが設定される。
【0062】
したがってこの場合、信号S13の出力回数の上限値は、周波数検出回路14および15と比較して、周波数検出回路16および17の方が大きく設定される。また、雑音の許容量を大きくするために、判定カウント数nfjhおよびnfjlから求められる、周波数検出回路14および15における1周期当たりの判定範囲を、周波数検出回路16および17と比較して大きく設定する。すなわち、周波数検出回路14および15では、雑音の影響によるジッタの発生量がある程度大きい場合でも、所定の周波数であると判定される。
【0063】
次に、図5にPB信号受信装置10の各部における信号を示し、図2および図5を用いてPB信号受信装置10の動作を説明する。
ダイアルトーン信号や低群、高群の両周波数帯の信号を含む入力信号S21は、濾波器11によりダイアルトーン信号が除去された信号S22に変換され、さらに濾波器12および13により、低群、高群の周波数帯のみ含む信号S23およびS24にそれぞれ変換される。
【0064】
周波数検出回路14および15は、入力された信号S23およびS24の少数の周期にわたって周期の検出を行い、それぞれ低群、高群のいずれかの周波数の信号S25およびS26を出力する。なお、例えば信号S25は、図3における比較回路144a〜144dより、信号S14〜S17のいずれかが出力されていることを示す。信号判定回路18は、周波数検出回路14および15からの信号S25およびS26の双方の入力を検知すると、検出された低群、高群の各周波数の値よりダイアル番号を判定して、判定結果を示す番号データを4ビットのデータD11、D12、D13およびD14として一致検出回路20および出力回路22に出力する。また、これとともに信号判定回路18は、入力された信号S25およびS26の論理積による信号S27を、周波数検出回路16および17と制御回路21とに出力する。
【0065】
また、周波数検出回路16および17は、信号判定回路18からの信号S27がHレベルであるときに、各濾波器12および13から入力された信号S23およびS24の多数の周期にわたる周期の検出を行い、それぞれ低群、高群のいずれかの周波数の信号S28およびS29を出力する。信号判定回路19は、周波数検出回路16および17からの信号S28およびS29の双方の入力を検知すると、検出された低群、高群の各周波数の値よりダイアル番号を判定して、判定結果を示す番号データを4ビットのデータD15、D16、D17およびD18として一致検出回路20に出力する。また、信号判定回路19は、信号S28およびS29の論理積による信号S30を制御回路21に出力する。
【0066】
一致検出回路20は、各信号判定回路18および19によって判定された番号データが一致しているか否かを検出する。このために一致検出回路20は、信号判定回路18からのデータD11〜D14のそれぞれと、信号判定回路19からのデータD15〜D18のそれぞれとの排他的論理和をとり、さらにすべての論理和の否定信号により、一致検出信号S31を制御回路21に出力する。
【0067】
制御回路21は、信号判定回路18からの信号S27を監視し、この信号S27の継続時間および断絶時間と、一致検出回路20からの一致検出信号S31とに基づいて、受信したPB信号の有効期間を示す有効信号ENを出力回路22に出力する。
【0068】
ここで、信号判定回路18からの信号S27は、少数の周期での周波数検出による識別信号の検出によって生成されたものであるため、この信号S27の立ち上がりおよび立ち下がりタイミングはPB信号の受信開始および断絶タイミングを比較的正確に示している。したがって、制御回路21では、信号S27の継続時間および断絶時間を測定することにより、PB信号の受信が有効か否かの判断、およびミニマムポーズの判断を行う。
【0069】
図5に示すように、制御回路21は、T11のタイミングにおいて信号S27の入力を受けると、この信号S27の継続時間の計測を開始する。なお、信号S31は、多数の周期にわたる周波数検出に基づく信号であるため、入力開始タイミングが信号S27より遅くなる。
【0070】
T12のタイミングにおいて、信号S27の継続時間があらかじめ設定された継続判定時間Tonに達すると、このときの一致検出信号S31を参照してHレベルの場合に、有効信号ENの出力を開始する。ここで、継続判定時間Tonに達したときに一致検出信号S31を参照することにより、周波数検出回路14および15による周波数検出に基づいて判定されたダイアル番号と、周波数検出回路16および17による周波数検出に基づいて判定されたダイアル番号が一致している場合にのみ、有効信号ENが出力される。
【0071】
上述したように、周波数検出回路14および15は少数の周期によって周波数検出を行い、雑音の許容量が大きくされていることから、周波数の検出精度が低く、ダイアル番号が誤って認識される可能性がある。これに対して、周波数検出回路16および17は、多数の周期にわたって周波数検出を行い、雑音の許容量が小さくなされているため、周波数検出精度が高い。したがって、一致検出信号S31の受信時にのみ有効信号ENを出力することによって、より正確な周波数検出が行われた場合にのみ、受信したPB信号が有効と判断されて、少数の周期での周波数検出による検出誤りに伴う誤動作の発生が防止される。
【0072】
次に、T13のタイミングにおいて信号S27の入力が断絶すると、制御回路21はこの断絶時間の計測を開始する。この後、断絶時間があらかじめ設定された断絶判定時間Toffに達する前のT14のタイミングで、信号S27が再び入力されると、制御回路21はT13からT14までに発生した信号S27の断絶はミニマムポーズでないと判断して、この間の有効信号ENの出力を保持する。
【0073】
次に、T15のタイミングにおいて信号S27の入力が再び断絶すると、制御回路21は再び断絶時間の計測を開始し、断絶判定時間Toffが経過したT16においてこの断絶をミニマムポーズであると判定して、有効信号ENの出力を中止する。
【0074】
なお、信号判定回路18からの信号S27の出力が断絶すると、周波数検出回路16および17における周波数検出が中止されることから、信号判定回路19からの信号S30も同時に出力が断絶される。
【0075】
出力回路22は、信号判定回路18からの各データD11〜D14と、制御回路21からの有効信号ENとの論理積によりデータD1〜D4を出力する。したがって、このとき検出されたダイアル番号が、有効信号ENに応じた正確なPB信号の受信開始および中止タイミングにより出力され、ダイアル番号が正しく認識される。
【0076】
以上のように、PB信号受信装置10では、少数の周期での周波数検出によって得られた信号S27を用いて、入力されたPB信号の有効判定を行うことで、PB信号の正確な受信タイミングを検出することができ、またこの際に、少数の周期での周波数検出と多数の周期にわたる周波数検出の双方による検出結果の一致判定を行うことで、周波数の検出精度が高められてダイアル番号の判定誤りが防止される。
【0077】
したがって、電話端末のマイクによって拾われた周囲の音や回線中の洩話等による雑音が重畳されて、受信した信号の波形にジッタが生じた場合でも、周波数検出に与える影響を少なくすることができ、雑音に対する受信特性が向上する。またなおかつ、禁止周波数偏差を小さくすることができるため、例えば通信中の音声や音楽等に含まれる継続的な信号を誤ってPB信号と認識する等の誤作動の発生率が抑制される。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のPB信号受信装置では、少数の周期で周波数検出を行う第1および第2の周波数検出手段によって抽出された識別信号の継続時間、および、第1および第2の周波数検出手段によって検出された周波数と、第3および第4の周波数検出手段によって多数の周期にわたって検出が行われた周波数との一致判定に基づいて、受信したPB信号の有効判定が行われるため、ある程度の雑音が許容されながらも、識別信号に対する周波数の検出誤りおよび抽出開始時間の認識誤差の双方による誤動作が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のPB信号受信装置の原理図を示す。
【図2】本発明のPB信号受信装置の概略構成例を示す図である。
【図3】周波数検出回路の回路構成例を示す図である。
【図4】周波数検出回路の各部における出力信号を示す図であり、(A)は任意の周波数の検出時の様子を示し、(B)は697Hzの信号の検出時の様子を示す。
【図5】PB信号受信装置の各部における信号を示す図である。
【図6】従来の一般的なPB信号受信装置の概略構成例を示す図である。
【図7】PB信号受信装置の各部における信号を時間経過とともに示すタイミングチャートである。
【図8】PB信号受信装置における周波数検出特性を示す図である。
【図9】周期の測定における雑音による周期変動を説明する図である。
【図10】信号と雑音との振幅比と、ジッタとの関係を示すグラフである。
【図11】周波数検出特性に対するジッタの影響を説明するための図である。
【図12】入力信号の複数周期にわたる周波数の検出例を示す図であり、(A)は入力信号を示し、(B)は第1の検出例による周波数判定状態を示し、(C)は第1の検出例による識別信号の出力状態を示し、(D)は第2の検出例による周波数判定状態を示し、(E)は第2の検出例による識別信号の検出状態を示す。
【図13】入力信号の複数周期にわたる周波数検出を行う場合の、瞬断発生時の検出例を示す図であり、(A)は入力信号を示し、(B)は第1の検出例における周波数判定状態を示し、(C)は第1の検出例による識別信号の出力状態を示し、(D)は第2の検出例における周波数判定状態を示し、(E)は第2の検出例による識別信号の出力状態を示す。
【符号の説明】
1 PB信号受信装置
2 第1の周波数検出手段
3 第2の周波数検出手段
4 第3の周波数検出手段
5 第4の周波数検出手段
6 有効信号判定手段
7 ダイアル番号出力手段

Claims (6)

  1. プッシュボタン信号を受信してダイアル番号を判定するプッシュボタン信号受信装置において、
    受信した前記プッシュボタン信号に含まれる低群周波数および高群周波数の識別信号のそれぞれに対して設けられ、1周期または複数周期にわたって入力信号の周波数を検出して前記識別信号を抽出する第1および第2の周波数検出手段と、
    受信した前記プッシュボタン信号に含まれる前記低群周波数および前記高群周波数の前記識別信号のそれぞれに対して設けられ、前記第1および第2の周波数検出手段による検出周期数より多い周期にわたって前記入力信号の周波数を検出して前記識別信号を抽出する第3および第4の周波数検出手段と、
    前記第1および第2の周波数検出手段によって抽出された前記識別信号の継続時間と、前記第1および第3の周波数検出手段によって検出された周波数、前記第2および第4の周波数検出手段によって検出された周波数のそれぞれに対する一致判定に基づいて、受信した前記プッシュボタン信号が有効か否かを判定する有効信号判定手段と、
    前記有効信号判定手段によって前記プッシュボタン信号が有効と判定された場合に、検出された前記低群周波数および前記高群周波数に基づいて前記ダイアル番号を出力するダイアル番号出力手段と、
    を有し、
    前記第1、第2、第3および第4の周波数検出手段は、入力された前記識別信号の信号レベルがしきい値を通過した回数が所定数に達するまでの時間が許容時間範囲内に含まれるか否かを判定することによって、前記識別信号の周波数を検出し、
    前記第1および第2の周波数検出手段における前記識別信号の1周期当たりの前記許容時間範囲は、前記第3および第4の周波数検出手段と比較して広く設定される、
    ことを特徴とするプッシュボタン信号受信装置。
  2. 前記有効信号判定手段は、前記第1および第2の周波数検出手段によって抽出された前記識別信号が一定時間継続し、かつ、前記第1および第3の周波数検出手段によって検出された周波数が一致し、前記第2および第4の周波数検出手段によって検出された周波数が一致している場合に、受信した前記プッシュボタン信号を有効と判定することを特徴とする請求項1記載のプッシュボタン信号受信装置。
  3. 前記有効信号判定手段は、前記第1および第2の周波数検出手段によって抽出された前記識別信号が一定時間断絶した場合に、前記プッシュボタン信号の有効長さの終了を判定することを特徴とする請求項1記載のプッシュボタン信号受信装置。
  4. 前記第1および第2の周波数検出手段によって前記識別信号が抽出された場合に、前記第3および第4の周波数検出手段における周波数検出が開始されることを特徴とする請求項1記載のプッシュボタン信号受信装置。
  5. 前記第1および第2の周波数検出手段によって抽出された前記識別信号が断絶した場合に、前記第3および第4の周波数検出手段による周波数検出が停止されることを特徴とする請求項1記載のプッシュボタン信号受信装置。
  6. プッシュボタン信号を受信してダイアル番号を判定するためのプッシュボタン信号検出方法において、
    受信した前記プッシュボタン信号に含まれる低群周波数および高群周波数の識別信号のそれぞれに対して、1周期または複数周期にわたって入力信号の周波数を検出して前記識別信号を抽出する第1の周波数検出処理を行うとともに、前記第1の周波数検出処理による検出周期数より多い周期にわたって前記入力信号の周波数を検出して前記識別信号を抽出する第2の周波数検出処理を行い、
    前記第1の周波数検出処理によって抽出された前記識別信号が一定時間継続したとき、前記第1および第2の周波数検出処理によって検出された周波数が一致している場合に、受信した前記プッシュボタン信号が有効であると判定し、
    受信した前記プッシュボタン信号が有効と判定された場合に、検出された前記低群周波数および前記高群周波数に基づいて前記ダイアル番号を出力する、
    処理を含み、
    前記第1および第2の周波数検出処理では、入力された前記識別信号の信号レベルがしきい値を通過した回数が所定数に達するまでの時間が許容時間範囲内に含まれるか否かを判定することによって、前記識別信号の周波数を検出し、
    前記第1の周波数検出処理における前記識別信号の1周期当たりの前記許容時間範囲は、前記第2の周波数検出処理と比較して広く設定される、
    ことを特徴とするプッシュボタン信号検出方法。
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