JP4854651B2 - ヘモグロビン類の測定装置及びヘモグロビン類の測定方法 - Google Patents

ヘモグロビン類の測定装置及びヘモグロビン類の測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、糖尿病の診断指標となる安定型ヘモグロビンA1cの測定を、短時間で高精度に行うことが可能なヘモグロビン類の測定装置、及び、ヘモグロビン類の測定方法に関する。
ヘモグロビン(Hb)類、特に糖化ヘモグロビン類の一種であるヘモグロビンA1c(以下、HbA1cという)は、過去1〜2カ月間の平均的な血糖値を反映しているため、糖尿病のスクリーニング検査や糖尿病患者の血糖管理状態を把握するための検査項目として広く利用されている。
従来、HbA1cの測定方法としては、HPLC法、免疫法、電気泳動法等が用いられている。このうち、臨床検査分野で多く用いられているHPLC法では、1試料当たり1〜2分での測定が可能であり、また、同時再現性試験のCV値が1.0%程度の測定精度が実現されている。糖尿病患者の血糖管理状態を把握するための測定方法としては、このレベルの性能が必要とされている
一方、電気泳動法は、装置構成が簡便なため、マイクロチップ電気泳動のような安価で小型なシステムを作製することが可能な技術であり、電気泳動法におけるHbA1cの高精度測定技術の臨床検査への適用は、コスト面において非常に有益な効果が期待できる。
しかしながら、従来から汎用されているゲル電気泳動の手法では30分以上の時間が必要であり、測定精度の点でも問題があるため、現在では糖尿病診断への応用は、ほとんど行われていない。
上記のゲル電気泳動法に対してキャピラリー電気泳動法は、一般に高分離・高精度測定が可能であるとされており、例えば、特許文献1及び特許文献2には、キャピラリー電気泳動法によってHbA1cを分離する手法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、測定時間が長いという問題点は解消されず、加えて、使用する緩衝液のpHが9〜12と高く、Hbが変性してしまう可能性があることから、この方法を臨床検査に適用することは困難であった。
また、特許文献2には、キャピラリーにカチオン性ポリマーを通液することによって、キャピラリー内面にカチオン性ポリマーを動的にコーティングし、硫酸化多糖類を含む緩衝液を用いる方法が開示されている。この方法によれば、10分間程度で測定することができ、ゲル電気泳動法と比較して短時間で測定することが可能となる。しかしながら測定毎に動的コーティングが必要であるため操作時間が延長し、また測定毎のコーティングのバラツキが測定結果に悪影響を及ぼす可能性がある。
また、糖尿病診断を行う場合は、HbA1c成分のなかでも、特に糖尿病の指標となる安定型HbA1cを、不安定型HbA1cやカルバミル化Hb等の、測定の障害となる成分(以下、これらを修飾Hb類ともいう)から分離しなければならない。しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示された方法によって得られたエレクトロフェログラムでは分離性能が不充分であり、これらの方法の技術範囲では安定型HbA1cを修飾Hb類から分離することは困難であり、従って、高精度に安定型HbA1c値を求めることはできなかった。また、上記の従来技術は、異常Hb類を分離することができなかった。
更に、特許文献1及び特許文献2に開示された方法は、大型で高価なキャピラリー電気泳動装置にのみ適用することが可能であることから、このような方法を、小型で安価なマイクロチップ電気泳動法に適用して測定を行うことは不可能であった。
特表平9−510792号公報 特開平9−105739号公報
本発明は、糖尿病の診断指標となる安定型ヘモグロビンA1cの測定を、短時間で高精度に行うことが可能なヘモグロビン類の測定装置、及び、ヘモグロビン類の測定方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、少なくとも泳動路の内面をカチオン性を有する素材により形成することによって、測定毎に泳動路の内面にカチオン性を付与するためのコーティング操作を行う必要がないため、安価で簡便にヘモグロビン類の測定を行うことができるとともに、短時間で高精度なヘモグロビン類の測定を行うことが可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、電気泳動法によりヘモグロビン類を測定するためのヘモグロビン類の測定装置であって、内表面がカチオン性を有する素材によって形成された泳動路を有するマイクロデバイスを有し、前記マイクロデバイスは、アニオン性ポリマーを含有する緩衝液類が充填された泳動路を有するヘモグロビン類の測定装置である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のヘモグロビン類の測定装置は、電気泳動法により安定型ヘモグロビンA1cを測定するヘモグロビン類の測定装置であって、マイクロデバイスを有する。
上記マイクロデバイスは、該マイクロデバイス内に電気泳動が実施できる流路が形成されていれば特に制限はなく、公知の素材、形状、大きさのものを使用することができる。
上記マイクロデバイスとしては、例えば、数cm〜数十cm角以下程度の大きさを有し、電気泳動を行うための泳動路が形成された基板からなる公知のマイクロデバイス等が挙げられ、具体的には例えば、μ−TAS、Lab−on−a−chipと呼ばれる技術に用いられる従来公知のマイクロチップ等を用いることができる。
上記マイクロデバイスを構成する素材としては特に限定されず、従来公知の素材を用いることができるが、例えば、ホウケイ酸ガラス、石英等のガラス系、フューズドシリカ、ポリジメチルシロキサン等のシリカ系、ポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、オレフィン系樹脂等の樹脂系等の素材を用いることが好ましい。なかでも、ガラス系、シリカ系、アクリル樹脂系の素材がより好ましい。
上記マイクロデバイスには、電気泳動を実施するための流路が形成されている。
上記流路は、内表面及び内空部を有し、電気泳動を実施する際には、内空部に緩衝液が満たされる。また、上記内空部に測定対象試料(以下、単に試料ともいう)が導入され、緩衝液に電圧が負荷されて同試料が移動することにより、試料の分離が行なわれる。分離された試料中の各分画は、流路部に設けられた検出部において、順次検出される。
本発明のヘモグロビン類の測定装置において、「泳動路」とは、電圧が負荷され始める時、すなわち、実質上、電気泳動が開始される時に、試料が位置する流路の部位から、各成分が移動して検出される流路の部位までの流路部分をいう。
上記流路及び泳動路の形状及び大きさとしては特に限定されず、電気泳動条件により適宜選択されればよい。また、上記流路及び泳動路は、一つのデバイス上に単数形成されてもよく、複数形成されていてもよい。
上記泳動路の長さは、好ましい下限が5mm、好ましい上限が200mmである。5mm未満であると、充分に試料が分離されないため、正確な測定をすることができないことがある。200mmを超えると、測定時間の延長や得られるエレクトロフェログラムにおいてピーク形状の変形が生じることによって、正確な測定をすることができないことがある。より好ましい下限は10mm、より好ましい上限は150mmである。
上記泳動路の幅は、好ましい下限が1μm、好ましい上限が200μmである。1μm未満であると、検出器により検出するための光路長が小さく、測定精度が低下することがある。200μmを越えると、泳動路内で試料が拡散することにより得られるエレクトロフェログラムにおいてピークがブロードになり、測定精度が低下することがある。より好ましい下限は5μm、より好ましい上限は150μmである。
上記泳動路の形状としては特に限定されず、例えば、直線状、一定の曲率を有する曲線状、又は、渦巻状等が挙げられる。なかでも直線状であることが好ましい。
上記泳動路の断面の形状としては特に限定されず、例えば、矩形、円形等が挙げられる。
また、上記泳動路は、複数の泳動路を一度に用いる構成、すなわち、キャピラリーを複数本同時に使用できるものや、1つのデバイス上に複数の泳動路を有している構成でもよい。
本発明ヘモグロビン類の測定装置では、少なくとも上記泳動路の内表面は、カチオン性素材により形成されている。
本発明のヘモグロビン類の測定装置において、「カチオン性素材により形成される」とは、従来技術により開示される各種コーティングによる泳動路内面の性質の改変によりカチオン性を付与されて得られるカチオン性泳動路は含まない。すなわち、本発明のヘモグロビン類の測定装置において、「カチオン性素材により形成された」泳動路とは、該泳動路において電気泳動が実施される際において、動的コーティング法及び静的(コーティング剤が固定化される)コーティング法のいずれの動作も行なわれることなくカチオン性を有しており、電気泳動を実施する泳動路であることを意味する。
上記カチオン性素材とは、構造内にカチオン性官能基を有している素材であって、該カチオン性官能基が、電気泳動を実施する環境下において、カチオン性を示すものである。
上記カチオン性官能基としては特にされず、例えば、1〜3級のアミノ基、4級アンモニウム基、ピリジウム基、グアジニノ基、及びこれらを含む官能基等が挙げられる。
なかでも、1〜3級アミノ基及び4級アンモニウム基が好ましい。
上記カチオン性素材としては特に限定されないが、上記カチオン性基を有する高分子材料が好ましい。
上記カチオン性基を有する高分子材料を調整する方法としては特に限定されず、例えば、上記カチオン性基を有する単量体を重合する方法、又は、基材となる高分子材料に上記カチオン性基を導入する方法等が挙げられる。なかでも、上記カチオン性基を有する単量体を重合する方法が好ましい。
また、上記カチオン性基を有する素材は親水性であることが好ましい。
上記カチオン性基を有する単量体としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリルアミド;メチル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等のアルキル(メタ)アクリルアミド類;メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル−(メタ)アクリルアミド等のアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド類;メチルアミノ(メタ)アクリレート、エチルアミノ(メタ)アクリレート等のアルキルアミノ(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物等のトリメチルアンモニウム類;アリルアミン、アリルアミンアミド、ジアリルアミン、ジメチルアリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジアリル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアルキル(メタ)アクリルアミド等のアリル化合物、エチレンイミン、トリメチレンイミン、テトラメチレンイミン等のイミン類;ビニルアミン;ビニルピロリドン;オルニチン、リジン等のアミノ酸類;及びこれらの単量体のモノハロゲン化物による4級アンモニウム塩類等が挙げられる。
上記カチオン性基を有する単量体は、単独で用いてもよく、複数種を用いてもよく、他の単量体との共重合体としてもよい。
上記泳動路の内表面が上記カチオン性素材から形成されていればよく、上記泳動路の内表面以外の泳動路部分、流路部分及びデバイス部分は、カチオン性素材から形成されていてもよいし、カチオン性素材以外の素材から形成されていてもよい。
本発明のヘモグロビン類の測定装置では、上記流路及び泳動路に緩衝液類を充填して、電気泳動を行うことによってヘモグロビン類の測定を行う。
上記緩衝液類としては特に限定されず、従来公知の緩衝液を用いることができる。
本明細書において、「緩衝液類」とは、電気泳動時、電気泳動に用いる上記流路及び泳動路の内部に満たされる緩衝液の他、電気泳動に用いる陽極槽及び陰極槽に満たされる緩衝液、流路を洗浄する緩衝液、試料を溶解希釈する溶血希釈液等を含むものとする。
上記緩衝液としては、緩衝能を有する公知の緩衝液組成物を含有する溶液を使用することができるものであれば特に限定されず、具体的には例えば、クエン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸及びその塩類;グリシン、タウリン、アルギニン等のアミノ酸類;塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、酢酸等の無機酸及びその塩類等が挙げられる。
また、上記緩衝液には、他に一般に添加される物質、例えば、界面活性剤、各種ポリマー、親水性の低分子化合物等を適宜添加してもよい。
上記緩衝液は、水溶性のアニオン性ポリマーを含有することが好ましい。すなわち、上記マイクロデバイスは、アニオン性ポリマーを含有する緩衝液類が充填された泳動路を有することが好ましい。
上記アニオン性ポリマーとしては、アニオン性官能基を有し、電気泳動の実施条件下でアニオン性であるポリマーであれば特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。
上記アニオン性官能基としては特に限定されず、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等が挙げられる。
上記アニオン性ポリマーは、上記緩衝液類の全てに含まれてもよいし、上記緩衝液類の一部にのみ含まれてもよい。
上記アニオン性ポリマーは、ポリマー構造を有する。
上記アニオン性ポリマーの重量平均分子量としては特に限定されないが、好ましい下限は500である。分子量が500未満であると、アニオン性ポリマーの添加効果が充分に発揮されないことがある。より好ましい下限は1000である。
上記アニオン性ポリマーは水溶性であることが好ましい。
上記水溶性としては、電気泳動実施時に上記アニオン性ポリマーが上記緩衝液類に溶解している程度であれば特に限定されないが、水に対する溶解度の好ましい下限は1g/Lである。1g/L未満であると、アニオン性基を有する水溶性ポリマー低濃度でしか用いることができないため効果が現れにくく、測定精度が不充分となることがある。より好ましい下限が5g/Lである。
上記アニオン性ポリマーの好ましい含有濃度としては特に限定されないが、好ましい下限が0.01重量%、好ましい上限が10重量%である。0.01重量%未満であると、アニオン性ポリマーの添加の効果が発現しにくく、分離が不充分となることがあり、10.0重量%を超えると、測定時間時間の延長や分離不良を引き起こすことがある。
上記水溶性のアニオン性ポリマーとしては特に限定されないが、具体的には例えば、上記アニオン性基を有する多糖類、及び、上記アニオン性基を有する水溶性の有機合成ポリマーが好ましい。
上記アニオン性基を有する多糖類としては特に限定されず、例えば、コンドロイチン硫酸、デキストラン硫酸、ヘパリン、ヘパラン、フコイダン等のスルホン酸基含有多糖類;アルギン酸、ペクチン酸等のカルボキシル基含有多糖類;セルロース、デキストラン、アガロース、マンナン、デンプン等の中性多糖類へのアニオン性基導入化物;及びこれらの多糖類の塩類、誘導体類等が挙げられる。
上記アニオン性基を有する有機合成ポリマーとしては特に限定されず、例えば、上記アニオン性の官能基を含有する水溶性の従来公知の有機合成ポリマーが挙げられるが、なかでも、アクリル系ポリマー、すなわち、(メタ)アクリル酸及びその誘導体類及びエステル類等を主成分とするポリマー等が好ましい。
上記アニオン性基を有する有機合成ポリマーとしては、具体的には例えば、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸等のカルボキシル基を有するモノマーを重合して得られるアクリル系ポリマー、((メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アシッドホスフェート等のリン酸基を有するモノマーを重合して得られるアクリル系ポリマー、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基を有するモノマーを重合して得られるアクリル系ポリマー等が挙げられる。
上記アクリル系ポリマーは、アニオン性基を有する(メタ)アクリルモノマーと、アニオン性基を有しない(メタ)アクリルモノマーとの共重合体であってもよい。
本発明のヘモグロビン類の測定装置を用いることによって、特に安定型ヘモグロビンA1cを他のヘモグロビン類から分離して測定することができる。
本明細書において、「安定型ヘモグロビンA1cを他のヘモグロビン類から分離して測定する」とは、安定型HbA1cを、不安定型HbA1c、カルバミル化Hb等の修飾Hb類、その他のHb類、すなわち、HbA1a、HbA1b、HbF、HbAから分離して測定することができることを意味し、更に、安定型HbA1cを他のヘモグロビン類から分離して測定することと同時に、HbS、HbC、HbA2等を分離して測定することができることを意味する。
このように電気泳動法によりヘモグロビン類を測定する方法であって、本発明のヘモグロビン類の測定装置を用いるヘモグロビン類の測定方法もまた、本発明の一つである。
更に、このような本発明のヘモグロビン類の測定方法を用いることによって、安定型ヘモグロビンA1cと、異常ヘモグロビン類とを同時に測定するする安定型ヘモグロビンA1c及び異常ヘモグロビン類の同時測定方法もまた、本発明の一つである。
なお、本明細書おいて、異常ヘモグロビン類とは、HbS、HbC等の他に、HbA2も含めたヘモグロビン類を意味する。
本発明によれば、糖尿病の診断指標となる安定型ヘモグロビンA1cの測定を、短時間で高精度に行うことが可能なヘモグロビン類の測定装置、及び、ヘモグロビン類の測定方法を提供することが可能である。すなわち、本発明のヘモグロビン類の測定装置によれば、システムの小型化・低価格化が容易なマイクロデバイスを搭載した電気泳動法に基づき、従来行なわれていた泳動路のコーティング操作を行なうことなく、短時間で高精度に安定型HbA1cの測定な可能なヘモグロビン類の測定を行うことが可能となる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(ジエチルアミノエチルメタクリレート(カチオン性官能基を有する単量体))−(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)−(メチルメタクリレート)の3元共重合体によりマイクロデバイスを作製した(50mm×80mm)。得られたマイクロデバイス内に流路(内径100μ×50mm)を作製した。
緩衝液として、2.0重量%のコンドロイチン硫酸(アニオン性ポリマー)を含むクエン酸緩衝液(pH5.0)を上述の流路に注入した。
試料として、健常人血よりフッ化ナトリウム採血した健常人全血70μLに、0.5重量%のサポニンを含むクエン酸緩衝液(pH6.0)200μLを添加して溶血希釈したもの(健常人試料)を用いた。
(健常人試料の測定)
得られた健常人試料を上述の流路内に注入し、流路の両端に800Vの電圧をかけて電気泳動を行った。流路の途中に415nmの可視光を照射し、透過した光の吸光度変化を測定したところ、図1に示すエレクトロフェログラムが得られた。図1中、ピーク1は安定型HbA1c、ピーク2はHbAを示す。
(修飾Hb分離能試験)
上述の健常人全血に、グルコースを2000mg/dLとなるよう添加して、不安定型HbA1cを多量に含む試料(L−A1c試料)、及び、上述の健常人全血に、シアン酸ナトリウムを50mg/dLとなるように添加してカルバミル化Hbを多量に含む試料(CHb試料)をそれぞれ人為的に調製した。
L−A1c試料を測定した結果、得られたエレクトロフェログラムを図2に示す。図2中、ピーク1は安定型HbA1c、ピーク2はHbA、ピーク3は不安定型HbA1cを示す。安定型HbA1cと修飾Hbである不安定型HbA1cが良好に分離された。
同様に、CHb試料を測定した結果、上述の図2と同様のエレクトロフェログラムが得られ、図2のピーク3の位置にカルバミル化Hbが確認された。
(実施例2)
カチオン性官能基を有する単量体としてアクリルアミドを用いてマイクロデバイスを作製し、緩衝液として、1.5重量%の硫酸デキストランを含むリン酸緩衝液(pH5.4)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、健常人試料、L−A1c試料、CHb試料の測定を行った。得られたエレクトロフェログラムは、図1及び図2と同様であった。
(実施例3)
(エチレンイミン(カチオン性官能基を有する単量体))−(エチレンビニルアルコール)−(メチルメタクリレート)の3元共重合体を用いてマイクロデバイスを作製し、緩衝液として、1.0重量%の(2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)−(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)共重合体を含むリンゴ酸緩衝液(pH4.9)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、健常人試料、L−A1c試料、CHb試料の測定を行った。得られたエレクトロフェログラムは、図1及び図2と同様であった。
(比較例1)
実施例1のマイクロデバイスの作製に用いた素材(単量体)のうち、カチオン性官能基を有する単量体を除いた単量体のみからなる共重合体を用いたこと、すなわち、(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)−(メチルメタクリレート)共重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、マイクロデバイスを作製し、健常人試料、L−A1c試料、CHb試料の測定を行った。
いずれの測定においても、Hbのいずれの成分のピークも検出されなかった。
(比較例2)
実施例3のマイクロデバイスの作製に用いた素材(単量体)のうち、カチオン性官能基を有する単量体を除いた単量体のみからなる共重合体を用いたこと、すなわち、(エチレンビニルアルコール)−(メチルメタクリレート)共重合体を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、マイクロデバイスを作製し、健常人試料、L−A1c試料、CHb試料の測定を行った。
いずれの測定においても、Hbのいずれの成分のピークも検出されなかった。
(比較例3)
フューズドシリカを用いて、実施例1と同様のマイクロデバイスを作製した。得られたマイクロデバイスの泳動路に、0.01%のポリブレン水溶液を20分間通液した後、空気を注入して乾燥することにより、泳動路内面にポリカチオンをコーティングした。実施例1と同様にして、健常人試料、L−A1c試料、CHb試料の測定を行った。健常人試料を測定して得られたエレクトロフェログラムは、図1と同様であったが、L−A1c試料及びCHb試料を測定して得られたエレクトロフェログラムは、図5に示すように、分離が不充分であった。図5中、ピーク1は安定型HbA1c、ピーク2はHbA、ピーク3は不安定型HbA1cを示す。
(評価)
(ΔHbA1c値)
実施例1〜3及び比較例3で得られたヘモグロビン類の測定システムを用いて、グルコースを添加する前の健常人試料と、同一人を元に調製したL−A1c試料の安定型HbA1c値の差(ΔHbA1c)を求めた。同様に、シアン酸ナトリウムを添加する前の健常人試料と、同一人を元に調製したCHb試料の安定型HbA1c値の差(ΔHbA1c)を求めた。
結果を表1に示す。
Figure 0004854651
実施例1〜3では、両者は、ほぼ同等の値を示し、不安定型HbA1cを含むL−A1c試料においても、不安定型HbA1cを含むCHb試料においても、精度よく安定型HbA1cを測定できることが確認された。一方、比較例3では、ΔHbA1cが大きく変動し、不安定型HbA1c又はカルバミル化Hbの存在する試料では、安定型HbA1cが正確に測定できないことがわかった。
(同時再現性試験)
実施例1〜3及び比較例3で得られたヘモグロビン類の測定システムを用いて、同一健常人試料を10回連続して測定した際の、安定型HbA1c値のCV値を算出した。
なお、CV値は(標準偏差/平均値)を算出することにより求めた。
結果を表2に示す。
Figure 0004854651
表2に示すように、実施例1〜3では、同時再現性試験において、バラツキ度合いを示すCV値は1.0%と良好であった。比較例3では、CV値が大きく、安定型HbA1cを高精度に測定することができないことがわかった。
(異常Hb分離試験)
実施例1について、異常Hb類として、HbS及びHbCを含む試料(AFSCヘモコントロール、ヘレナ研究所社製)を用いて、上述の健常人試料の電気泳動による測定と同様の測定をした結果、得られたエレクトロフェログラムを図3に示す。図3中、ピーク1は安定型HbA1c、ピーク2はHbA、ピーク4はHbF(胎児性Hb)、ピーク5はHbS、ピーク6はHbCを示す。図3に示すように、安定型HbA1cとともに、HbS及びHbCが良好に分離された。実施例2、3及び比較例1について得られたエレクトロフェログラムも図3と同様であった。
また、実施例1について、HbA2を含む試料(A2コントロール レベル2、バイオラッド社製)を用いて、上述の健常人試料の電気泳動による測定と同様の測定をした結果、得られたエレクトロフェログラムを図4に示す。図4中、ピーク1は安定型HbA1c、ピーク2はHbA、ピーク4はHbF(胎児性Hb)、ピーク7はHbA2を示す。図4に示すように、安定型HbA1cとともに、HbA2が良好に分離された。実施例2、3及び比較例1について得られたエレクトロフェログラムも図4と同様であった。
本発明によれば、糖尿病の診断指標となる安定型ヘモグロビンA1cの測定を、短時間で高精度に行うことが可能なヘモグロビン類の測定装置、及び、ヘモグロビン類の測定方法を提供することができる。
実施例1の測定条件により、健常人試料を測定した場合に得られたエレクトロフェログラムを示す。 実施例1の測定条件により、L−A1c試料を測定した場合に得られたエレクトロフェログラムを示す。 実施例1の測定条件により、HbS及びHbCを含む試料を測定した場合に得られたエレクトロフェログラムを示す。 実施例1の測定条件により、HbA2を含む試料を測定した場合に得られたエレクトロフェログラムを示す。 実施例3の測定条件により、L−A1c試料及びCHb試料を測定した場合に得られたエレクトロフェログラムを示す。
符号の説明
1 安定型HbA1c
2 HbA
3 修飾Hb(不安定型HbA1c)
4 HbF(胎児性Hb)
5 HbS
6 HbC
7 HbA2

Claims (3)

  1. 電気泳動法によりヘモグロビン類を測定するためのヘモグロビン類の測定装置であって、
    内表面がカチオン性を有する素材によって形成された泳動路を有するマイクロデバイスを有し、
    前記マイクロデバイスは、アニオン性ポリマーを含有する緩衝液類が充填された泳動路を有することを特徴とするヘモグロビン類の測定装置。
  2. 電気泳動法によりヘモグロビン類を測定する方法であって、
    請求項1記載のヘモグロビン類の測定装置を用いることを特徴とするヘモグロビン類の測定方法。
  3. 請求項2記載のヘモグロビン類の測定方法を用いることによって、安定型ヘモグロビンA1cと異常ヘモグロビン類とを同時に検出することを特徴とする安定型ヘモグロビンA1c及び異常ヘモグロビン類の同時測定方法。
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