JP4853015B2 - 光走査装置及びこれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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しかしながら、面発光レーザの複数ビームの偏光方向を揃える効果は、面発光レーザの構造や製造方法によって異なり、全ての面発光レーザに対して効果があるわけではない。そのため、面発光レーザは端面発光レーザほどの偏光比を確保することは困難であり、更に、その比が注入電流(駆動電流)によって変化することもある。
面発光レーザは、端面発光レーザよりも共振器長が短いため、端面発光レーザより出力が小さい。更に、上述したように、所望の偏光方向以外のビームを除去するようにすれば、実効パワーは益々小さくなる。そのため、光量検出用(モニタ光検出用)の受光素子の感度よりも各ビームのパワーが小さくなりすぎて受光素子での光量検出ができなかったり、検出精度が低下するようにもなる。
また、通常、面発光レーザを使用すると、偏光方向のp成分(反射面に平行な成分)とs成分(反射面に垂直な成分)との比率p/(p+s)が異なると共に、駆動電流による偏光方向成分の比率が変動する。そのため、この安定化が要請されるようになる。
そして、本発明での光束集光手段2は、光源1から出射された光束を集光して光束偏光手段3に照射できればよく、光源1側に配置され且つ光源1から出射された光束を略平行な光束にする平行光束変換部材2aと、光束偏向手段3側に配置され且つ平行光束を等価光束及び反射光束に分岐すると共にその反射面が光束偏向手段3の反射面と平行又は直交するように設定された光束分岐部材2dと、両者の間に設けられた1/4波長板2cを含むものである。
ここで、平行光束変換部材2aとしては、光源1からの光束を平行光束に変換するものであり、代表的態様としてはコリメータレンズが挙げられる。また、光束分岐部材2dとしては、光束を透過光束と反射光束に分岐するものであり、ハーフミラーを用いた態様やビームスプリッタを用いた態様が挙げられる。尚、本件でいう「反射面」とは、ある境界面に対し、入射光と出射光(反射光)とがなす平面を意味する。
更に、この反射鏡は、反射される光束の偏光方向のp成分とs成分との差が共に互いの2%以下になるように当該反射鏡表面に反射防止層を備えていることが好ましく、これによれば、反射される光束のp成分とs成分との差が2%以下と小さいため、反射鏡での反射による偏光の影響を無視できるようになる。また、反射防止層を備えることで、反射鏡表面での不要な反射を防ぎ、反射境界面での反射を確実に行うことができるようになる。
そして、反射防止層としては、互いに屈折率の異なる複数の薄膜層を積層した積層膜とすることが好ましく、更には、4層以上の薄膜層からなる積層膜であることが好ましい。これによれば、反射される光束のp成分とs成分との差を2%以下にすることも比較的容易になされるようになる。
更に、本発明は光走査装置に限らず、画像形成装置をも対象とするものであり、この場合、静電潜像が担持される像担持体と、この像担持体上に結像可能な光走査装置として、上述の光走査装置を備えるようにすればよい。
また、このような光走査装置を用いることで、高画質、特にハーフトーン画像をも高画質化可能な画像形成装置を提供することができる。
図2は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態を示す。
同図において、本実施の形態の画像形成装置は、装置本体50内に、感光体ドラム20と、この感光体ドラム20からトナー像を転写させるために感光体ドラム20に対向配置される中間転写ベルト30とを備え、4色のカラー画像を得るために中間転写ベルト30上に4回の多重転写を行う所謂4サイクル方式の中間転写型カラー画像形成装置である。
本実施の形態において、感光体ドラム20は光の照射によって抵抗値が低下する感光層を備えたものであり、この感光体ドラム20の周囲には、感光体ドラム20を帯電する帯電装置21と、帯電された感光体ドラム20上に各色成分(本例ではブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C))の静電潜像を書込む光走査装置(露光装置)60と、感光体ドラム20上に形成された各色成分潜像を各色成分トナーにて可視像化するロータリ型現像装置23と、中間転写ベルト30と、感光体ドラム20上の残留トナーを清掃するクリーニング装置27とが配設されている。
ここで、中間転写ベルト30は、ポリイミド樹脂等の樹脂材を適宜選定して差し支えないが、ホロキャラクター等の画質欠陥を有効に抑えるには、感光体ドラム20との接触面圧を下げることが必要であり、また、ウォークレス及びテンショナーレスという観点を考慮すれば、弾性ゴムを基体(弾性層)としたウレタンゴム等のゴム製ベルト材を使用することが好ましい。
更にまた、中間転写ベルト30の張架ロール32に対向した部位には、二次転写部材としての二次転写ロール35が張架ロール32をバックアップロールとして対向配置されており、例えば二次転写ロール35に所定の二次転写バイアスが印加され、バックアップロールを兼用する張架ロール32が接地されている。
尚、中間転写ベルト30の張架ロール31に対向した部位にはベルトクリーニング装置36が配設され、中間転写ベルト30上の残留トナーを清掃するようになっている。
また、用紙などの記録材40は、図示外の供給トレイ内に収容されており、フィードロール41にて供給された後、レジストロール42を経て二次転写部位に導かれ、二次転写ロール35によって中間転写ベルト30上に多重転写されたトナー像が記録材上に一括転写される。トナー像が一括転写された記録材は搬送ベルト43を介して定着装置45へと搬送され、しかる後、搬送ロール46、排出ロール47を経て装置本体50上部に形成された排出トレイ48へ収容されるようになっている。
更に、絞り72は、コリメータレンズ71の像側焦点位置に配置されており、VCSEL61から出射された複数の発光ビームが絞り72に設けられた開口部(アパーチャ)72aの位置で交差するようになる。そのため、複数の発光ビームを1つのアパーチャ72aで等価的に整形することができるようになる。尚、アパーチャ72aの開口幅は光学系の横倍率と感光体ドラム20のスポットサイズに依存することから、所望の光学系横倍率とスポットサイズが選択されるように、アパーチャ72a形状が決められている。
更にまた、1/4波長板73は、アパーチャ72aで整形された光束が透過する際、偏光方向のp成分とs成分との間に位相差が生じる複屈折素子であり、位相差が90度になるものとなっている。
1/4波長板(λ/4板)73は、その軸がハーフミラー74の反射面(ハーフミラー74への入射光と反射光とがなす面)に対して、+45度あるいは−45度傾斜されて設けられている。また、ハーフミラー74の反射面は、ポリゴンミラー80の反射面と平行になるように配置されている。尚、本実施の形態では、ハーフミラー74の反射面とポリゴンミラー80の反射面とが平行になるように配置されているが、垂直になるように配置される構成であっても差し支えない。
尚、アパーチャ72aの位置で交差した複数の光束は、その後徐々に離れていくため、ハーフミラー74によって反射されて受光素子62に入射される光束は拡がる傾向になり、受光素子62の受光面は入射される光束より広い方が好ましい。また、ハーフミラー74と受光素子62との間に別途集光レンズを設けるようにすれば、受光面の面積を小さくすることも可能になる。
また、本実施の形態における結像光学装置90では、結像レンズ系を透過した光束が2つの反射鏡、すなわち、放物面を備えたシリンドリカルミラー94と、平面鏡の折り返しミラー95を経由して、感光体ドラム20表面にスポット像として結像され、画像情報に応じた静電潜像が感光体ドラム20上に形成されるようになっている。
更に、結像光学装置90には、結像レンズ系を透過した光束の一部(ポリゴンミラー80の各反射境界面によって走査開始位置に相当する光束)を反射するミラー96と、このミラー96からの反射光を検知するフォトディテクタ等からなるSOS(Start of Scan)受光部97が設けられている。そのため、このSOS受光部97によって感光体ドラム20へのライン毎(主走査方向)の走査開始タイミングが検知されるようになっている。尚、SOS受光部97はポリゴンミラー80によって偏向走査される光束の領域外に設けられていることは云うまでもない。
尚、シリンドリカルミラー94や折り返しミラー95の反射面を上述した面と直交するように配置しても差し支えない。
このとき、各層の厚みは、λ/4相当で、基板側から順に、低屈折率層、高屈折率層、空気層となるように必要な層を積層する。ただし、基板が誘電体ではなく、金属鏡のように金属面(例えばAl等)に接する最下層の厚みは、λ/4に対して10%程度薄くする必要がある。
整形された光束はλ/4板73を透過する。このとき、VCSEL61から出射された複数の発光ビームの偏光方向(p成分とs成分の比率)は駆動電流や発光ビーム間のばらつきによって変化するが、λ/4板73は、その遅相軸が後続のハーフミラー74の反射面に対し+45度あるいは−45度傾けて設けられていることから、λ/4板73への入射光がいずれの状態であっても、λ/4板73を透過した光束は次の3種に絞り込むことができる。
すなわち、円偏光、ハーフミラー74の反射面に対し+45度又は−45度傾いた楕円偏光、ハーフミラー74の反射面に対し+45度又は−45度傾いた直線偏光となる。
そのため、ハーフミラー74での反射率(ハーフミラー74を透過する透過率も等しくなる)が等しくなり、VCSEL61の駆動電流による変化(すなわち、偏光方向依存性)や発光ビーム間でのばらつきをなくすことができるようになる。
同図において、λ/4板は、その遅相軸が45度傾斜するように設置されているため、入射光線として45度傾いた直線偏光(図に示す)がλ/4板を透過すると、そのまま45度傾いた直線偏光となる。また、λ/4板の入射光線として、垂直偏光(y軸方向)であれば、透過光は円偏光になる。更に、入射光線がこれらと異なる角度の直線偏光であれば、透過光は楕円偏光になる。
今、x軸からΩ傾いた偏波面を持った直線偏光
Ex = A cosΩ cos 2πνt、 Ey = A sinΩ cos 2πνt (1)
の座標軸を、位相板の遅相軸がx軸となす角ωだけ回転すると、新しい軸について、
Ex’=Ex cosω+Ey sinω
=A cos 2πνt ( cosΩ cosω+sinΩ sinω)=A cos2πνt cos(Ω−ω)
Ey’=−Ex sinω+Ey cosω
=A cos 2πνt (−cosΩ sinω+sinΩ cosω)=A cos2πνt sin(Ω−ω) (2)
と書くことができる。
(2)が位相板を通過すると、位相板による位相の差(δ)のために、次のように変化する。
Ex’=A cos 2πνt cos(Ω−ω)
Ey’=A cos(2πνt+δ) sin(Ω−ω) (3)
(3)を元の軸について書き直すために−ω回転すると、
Ex = Ex’ cosω−Ey’ sinω
= A { cos 2πνt cos(Ω−ω) cosω−cos (2πνt+δ) sin(Ω−ω) sinω}
= A { cos 2πνt cos(Ω−ω) cosω−cos 2πνt cosδsin(Ω−ω) sinω
+ sin 2πνt sinδsin(Ω−ω) sinω}
= A [ cos 2πνt { cos(Ω−ω) cosω−cosδsin(Ω−ω) sinω}
+ sin 2πνt sinδsin(Ω−ω) sinω]
Ey = Ex’ sinω+Ey’ cosω
= A { cos 2πνt cos(Ω−ω) sinω+cos(2πνt+δ) sin(Ω−ω) cosω}
= A { cos 2πνt cos(Ω−ω) sinω+cos 2πνt cosδsin(Ω−ω) cosω
−sin 2πνt sinδsin(Ω−ω) cosω}
= A [ cos 2πνt { cos(Ω−ω) sinω+ cosδsin(Ω−ω) cosω}
−sin 2πνt sinδsin(Ω−ω) cosω] (4)
となる。
(4)は楕円偏光であるから、
Ex = Ap cos(2πνt+δp) = Ap (cos2πνt cosδp−sin2πνt sinδp)
Ey = As cos(2πνt+δs) = As (cos2πνt cosδs−sin2πνt sinδs) (5)
と書くことができるが、
Ex = P cos 2πνt + Q sin 2πνt
Ey = S cos 2πνt + T sin 2πνt (6)
とおき (5) と比較すると、
P = Ap cosδp、Q = −Ap sinδp、S = As cosδs、T = −As sinδs (7)
(4) と比較すると、
P = A{ cos(Ω−ω) cosω−cosδsin(Ω−ω) sinω}
Q = A sinδsin(Ω−ω) sinω
S = A { cos(Ω−ω) sinω+cosδsin(Ω−ω) cosω}
T = −A sinδsin(Ω−ω) cosω (8)
(7) より、
Ap2= P2 + Q2、As2 = S2 + T2、tanδp = − Q / P、tanδs = − T / S (9)
であるが、(8)を代入すると、
Ap2 = A2[{cos (Ω−ω) cosω−cosδsin(Ω−ω) sinω}2
+sin2δsin2(Ω−ω) sin2ω]
= A2{cos2 (Ω−ω) cos2ω−2cosδsin(Ω−ω) cos(Ω−ω) sinω cosω
+cos2δsin2(Ω−ω) sin2ω+sin2δsin2(Ω−ω) sin2ω}
= A2{cos2 (Ω−ω) cos2ω+sin2(Ω−ω) sin2ω
−2cosδsin(Ω−ω) cos(Ω−ω) sinω cosω}
As2 = A2[{cos (Ω−ω) sinω+cosδsin(Ω−ω) cosω}2
+sin2δsin2(Ω−ω) cos2ω]
= A2[{cos2 (Ω−ω) sin2ω+2cosδsin(Ω−ω) cos(Ω−ω) sinω cosω
+cos2δsin2(Ω−ω) cos2ω+sin2δsin2(Ω−ω) cos2ω]
= A2[{ cos2 (Ω−ω) sin2ω+sin2(Ω−ω) cos2ω
+2cosδsin(Ω−ω) cos(Ω−ω) sinω cosω] (10)
となる。この和(光の強度)は、
Ap2 + As2 = A2 (11)
となり、Ωとωによって偏光度が変わるが、エネルギーの損失はないので、光の強度(Ap2 + As2 )は一定である。
Ap2 = A2{ cos2(Ω−π/4) cos2π/4+sin2(Ω−π/4) sin2π/4
−2cosπ/2sin(Ω−π/4) cos(Ω−π/4) sinπ/4 cosπ/4}
= A2/√2
また、同様に、
As2 = A2/√2
となる。
よって、入射光の偏光方向Ωによらず、
Ap2 = As2
が成り立つようになる。
仮に、λ/4板73を45度以外で配置するようにすると、VCSEL61によって出射された発光ビームの偏光方向のずれによって、ハーフミラー74での反射率と透過率が変動し、特に、ハーフトーン画像での露光量に変動を来すようにもなり、画質の劣化が発生するようになる。
また、本実施の形態の画像形成装置は、4サイクル方式の画像形成装置を示したが、例えば感光体ドラム20を並列に4個備えた所謂タンデム方式の画像形成装置にも適用できることは云うまでもない。
Claims (9)
- 夫々の偏光方向成分の比率p/(p+s)が異なり且つ駆動電流による偏光方向成分の比率が変動する複数の光束を出射する光源と、
光源から出射された複数の光束を集光する光束集光手段と、
集光された光束を偏向走査する光束偏向手段と、
偏向走査された光束を結像面に結像させる結像光学手段とを備え、
光束集光手段は、光源から出射された光束を略平行な光束にする平行光束変換部材と、
平行光束変換部材からの平行光束を透過光束及び反射光束に分岐すると共にその反射面が前記光束偏向手段の反射面と略平行又は略直交するように配設された光束分岐部材と、
平行光束変換部材と光束分岐部材との間に設けられ且つ光束分岐部材での反射率が光束の偏光方向成分の比率が変動しても一定となるように光学軸が光束分岐部材の反射面に対し+45度又は−45度傾けて配設される1/4波長板とを具備することを特徴とする光走査装置。 - 請求項1記載の光走査装置において、
更に、光束分岐部材による透過光束又は反射光束のいずれかの光束の強度に基づいて光源の出射強度を補正する光強度補正手段を備えることを特徴とする光走査装置。 - 請求項1記載の光走査装置において、
光束集光手段は、平行光束変換部材と光束偏向手段との間に平行光束を形状規制する光束規制部材を備えることを特徴とする光走査装置。 - 請求項1記載の光走査装置において、
結像光学手段は、反射鏡を有し、この反射鏡の光束偏向手段による主走査方向中央部にて反射される光束の当該反射鏡における反射面が光束分岐部材の反射面と略直交又は略平行するように配置されていることを特徴とする光走査装置。 - 請求項4記載の光走査装置において、
前記反射鏡は、反射される光束の偏光方向のp成分とs成分との差が共に互いの2%以下になるように当該反射鏡表面に反射防止層を備えていることを特徴とする光走査装置。 - 請求項5記載の光走査装置において、
前記反射防止層は、互いに屈折率の異なる複数の薄膜層を積層した積層膜であることを特徴とする光走査装置。 - 請求項6記載の光走査装置において、
前記積層膜は、4層以上の薄膜層にて構成されていることを特徴とする光走査装置。 - 請求項1記載の光走査装置において、
複数の光束を出射する光源は、1つの面発光レーザであることを特徴とする光走査装置。 - 静電潜像が担持される像担持体と、
この像担持体上に結像可能な請求項1乃至8のいずれかに記載の光走査装置とを備えることを特徴とする画像形成装置。
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