JP2014063172A - 光走査装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】マルチビーム光源及びプラスチック成型の走査レンズを有し、被走査面上での光量のばらつきが少ない光走査装置を提供する。
【解決手段】 Kステーションの走査光学系は、樹脂製の走査レンズ2105aと3枚の折り返しミラー(2106a、2107a、2108a)を有している。そして、感光体ドラム2030aにおける走査開始位置に向かう光束に対する反射率比と走査終了位置に向かう光束に対する反射率の大小関係が、折り返しミラー2106aと、残りの折り返しミラーとで逆になるように設定されている。さらに、ポリゴンミラー2104Aでの偏向角と反射率比との関係における反射率比の最大値と最小値の差分に関しては、3枚の折り返しミラーのうち、折り返しミラー2106aでの差分が最も大きくなるように設定されている。
【選択図】図3
【解決手段】 Kステーションの走査光学系は、樹脂製の走査レンズ2105aと3枚の折り返しミラー(2106a、2107a、2108a)を有している。そして、感光体ドラム2030aにおける走査開始位置に向かう光束に対する反射率比と走査終了位置に向かう光束に対する反射率の大小関係が、折り返しミラー2106aと、残りの折り返しミラーとで逆になるように設定されている。さらに、ポリゴンミラー2104Aでの偏向角と反射率比との関係における反射率比の最大値と最小値の差分に関しては、3枚の折り返しミラーのうち、折り返しミラー2106aでの差分が最も大きくなるように設定されている。
【選択図】図3
Description
本発明は、光走査装置及び画像形成装置に係り、更に詳しくは、光束により被走査面を走査する光走査装置、及び該光走査装置を備える画像形成装置に関する。
光源から射出された光束を光偏向器で偏向し、該偏向された光束を走査光学系で被走査面に集光させることで被走査面上に光スポットを形成し、この光スポットで被走査面を光走査する光走査装置は、レーザプリンタ、光プロッタ、デジタル複写機、及びファクシミリ装置などの画像形成装置に用いられている。
画像形成装置における被走査面の実態をなすものは、光導電性を有する感光性の像担持体である。
例えば、タンデム方式のカラープリンタでは、円筒状の感光体からなる像担持体を、転写紙の搬送方向に平行に4個配置している。この場合には、光走査装置は、4色(通常、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した複数の光源を有し、該複数の光源から射出された光束を1つの光偏向器で偏向し、対応する走査光学系を介して、対応する像担持体を走査し、各像担持体に潜像を作る。そして、各潜像を対応する色の現像剤でそれぞれ可視化したのち、各可視像を同一の転写紙に順次重ね合わせて転写し、さらに定着することで、カラー画像を得ている。
近年、画像形成装置に対して、高速化、高画質化が求められている。高速な光走査を達成する手段の1つとして、光偏向器での偏向速度を上げる、例えばポリゴンミラーの回転速度を上げる方法が考えられる。しかしながら、この方法には、高速回転に伴う騒音や発熱等の問題があり、回転速度の高速化にも限界がある。そこで、別の方法として、1度に複数の光束を1つの像担持体に照射し、同時に複数ラインを走査させる方法が考案された。
この方法は、複数の発光部を有する、いわゆるマルチビーム光源を用いることで実現することができる。
また、高画質化に関しては、特に画像の濃度安定性が求められている。画像濃度を安定させるためには、感光体に当たる光量を均一にする必要がある。感光体上での光量を均一にするためには、各発光部からの光束の光量を均一に保つAPC(Auto Power Control)制御を行うのが一般的であるが、APCでは、走査光学系が原因で発生する光量のばらつきを補正することは困難であった。
走査光学系で生じる光量ばらつきのひとつとして、発光部間の偏光方向のばらつきが考えられる。偏光方向がばらつくと、ポリゴンミラーや折り返しミラーでの反射率、走査レンズや防塵ガラスなどでの透過率にばらつきが生じ、出力画像における濃度ムラになる。
そこで、上記濃度ムラを抑制することを目的とした光走査装置が考案された。
例えば、特許文献1には、複数の光源と、複数の光源から発せられる複数の光ビームを被走査物の表面に結像させる複数の光学素子からなる光学系と、複数の光ビームを主走査方向に偏向し被走査物の表面を走査露光する偏向素子と、偏向素子の出射側に設けられ、偏向された光ビームが透過する補正用光学素子を備えた光走査装置が開示されている。この光走査装置では、偏向素子上における任意の偏向角で、偏向素子と補正用光学素子との合成透過率がほぼ等しくなるように補正用光学素子を設置している。
また、特許文献2には、シェーディング補正機能を持つ光走査装置が開示されている。この光走査装置では、平行光束化された光束を主走査方向に長い線像として結像させるためのシリンダレンズが、光源側を平面とする平凸のシリンダレンズであり、このシリンダレンズの入射側の平レンズ面に、直線偏光を実質的な円偏光に変換するコーティングを、複屈折性を有する酸化物により施している。
ところで、一般的な走査レンズには樹脂成形品が用いられている。樹脂成形された走査レンズは、入射光に対して、入射位置に応じて異なる複屈折を生じさせる。これは、高温の樹脂が金型内で冷却されるときに生じる不均一な温度分布や不均一な応力分布による。そこで、走査レンズを通過した光束の偏光方向が該走査レンズにおける射出位置によって異なり、該走査レンズの後段にある折り返しミラーでの反射率にばらつきが発生する。
偏光方向が副走査方向に平行な光(図60参照)が走査レンズに入射し、該光に対して走査レンズが複屈折を生じさせた場合、走査レンズ通過後の光の偏光状態が図61に示されている。このように、直線偏光で入射した光は、位相差が大きくなるほど、光学軸ずれが大きくなるほど、複屈折により主走査方向に平行な偏光成分ももち、楕円偏光になってしまう。そして、折返しミラーの反射率は、P偏光とS偏光とで異なるため、像高毎に偏光が不均一になると、光利用効率の像高間偏差も大きくなってしまう。
しかしながら、特許文献1に開示されている光走査装置では、光源から射出される光束の偏光方向のばらつきのみを考慮しており、走査レンズでの複屈折については何ら考慮されていなかった。
また、特許文献2に開示されている光走査装置でも、走査レンズでの複屈折の影響については何ら考慮されていなかった。
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、マルチビーム光源及びプラスチック成型の走査レンズを有し、被走査面上での光量のばらつきが少ない光走査装置を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、画像品質を低下させることなく、低コスト化を図ることができる画像形成装置を提供することにある。
本発明は、第1の観点からすると、光束により被走査面を主走査方向に走査する光走査装置であって、複数の発光部を有する光源と;前記光源からの光束を偏向する光偏向器と;前記光偏向器で偏向された光束を集光する樹脂製の走査レンズと;前記走査レンズを介した光束の光路を前記被走査面に向かう方向に折り返すための複数の折り返しミラーと;前記複数の折り返しミラーを介した光束の光路上に配置された防塵ガラスと;を備え、前記複数の折り返しミラーについては、前記光源から射出される光束の偏光方向が副走査方向に平行なときの反射率と前記偏光方向が主走査方向に平行なときの反射率との比、前記防塵ガラスについては、前記光源から射出される光束の偏光方向が副走査方向に平行なときの透過率と前記偏光方向が主走査方向に平行なときの透過率との比を、それぞれの特性値としたとき、前記被走査面における走査開始位置に向かう光束に対する前記特性値と前記被走査面における走査終了位置に向かう光束に対する前記特性値の大小関係、及び前記特性値の最大値と最小値の差分について、前記複数の折り返しミラーと前記防塵ガラスとからなる複数の光学素子のうちのいずれかの光学素子は、前記大小関係が、残りの光学素子における大小関係と逆であり、かつ前記差分が、残りの光学素子における差分よりも大きいことを特徴とする光走査装置である。
これによれば、マルチビーム光源及びプラスチック成型の走査レンズを有しつつ、被走査面上での光量のばらつきを小さくすることができる。
本発明は、第2の観点からすると、光束により被走査面を主走査方向に走査する光走査装置であって、複数の発光部を有する光源と;前記光源からの光束を偏向する光偏向器と;前記光偏向器で偏向された光束を集光する樹脂製の走査レンズと;前記走査レンズを介した光束の光路を前記被走査面に向かう方向に折り返すための複数の折り返しミラーと;を備え、前記複数の折り返しミラーについて、前記光源から射出される光束の偏光方向が副走査方向に平行なときの反射率と前記偏光方向が主走査方向に平行なときの反射率との比を特性値としたとき、前記被走査面における走査開始位置に向かう光束に対する前記特性値と前記被走査面における走査終了位置に向かう光束に対する前記特性値の大小関係、及び前記特性値の最大値と最小値の差分について、前記複数の折り返しミラーからなる複数の光学素子のうちのいずれかの光学素子は、前記大小関係が、残りの光学素子における大小関係と逆であり、かつ前記差分が、残りの光学素子における差分よりも大きいことを特徴とする光走査装置である。
これによれば、マルチビーム光源及びプラスチック成型の走査レンズを有しつつ、被走査面上での光量のばらつきを小さくすることができる。
本発明は、第3の観点からすると、少なくとも1つの像担持体と;前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報が含まれる光を走査する少なくとも1つの本発明の光走査装置と;を備える画像形成装置である。
これによれば、本発明の光走査装置を備えているため、結果として、画像品質を低下させることなく、低コスト化を図ることができる。
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図17に基づいて説明する。図1には、第1の実施形態に係る画像形成装置としての複合機1000の概略構成が示されている。
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図17に基づいて説明する。図1には、第1の実施形態に係る画像形成装置としての複合機1000の概略構成が示されている。
この複合機1000は、複写機、プリンタ、及びファクシミリの機能を有し、本体装置1001、読取装置1002、及び自動原稿給紙装置1003などを備えている。
本体装置1001は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、2つの光走査装置(2010A、2010B)、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着ローラ2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をY軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
読取装置1002は、本体装置1001の上側(+Z側)に配置され、原稿を読み取る。すなわち、読取装置1002は、いわゆるスキャナ装置である。ここで読み取られた原稿の画像情報は、本体装置1001のプリンタ制御装置2090に送られる。
自動原稿給紙装置1003は、読取装置1002の上側(+Z側)に配置され、セットされた原稿を読取装置1002に向けて送り出す。この自動原稿給紙装置1003は、一般にADF(Auto Document Feeder)と呼ばれている。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信、及び公衆回線を介したデータ通信を制御する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転するものとする。
感光体ドラム2030aの表面近傍には、感光体ドラム2030aの回転方向に沿って、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、クリーニングユニット2031aが配置されている。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030bの表面近傍には、感光体ドラム2030bの回転方向に沿って、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、クリーニングユニット2031bが配置されている。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030cの表面近傍には、感光体ドラム2030cの回転方向に沿って、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、クリーニングユニット2031cが配置されている。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030dの表面近傍には、感光体ドラム2030dの回転方向に沿って、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、クリーニングユニット2031dが配置されている。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
プリンタ制御装置2090は、読取装置1002からの画像情報あるいは通信制御装置2080を介した画像情報を解析し、ブラック画像情報及びシアン画像情報を光走査装置2010Aに出力し、マゼンタ画像情報及びイエロー画像情報を光走査装置2010Bに出力する。
光走査装置2010Aは、プリンタ制御装置2090からのブラック画像情報に基づいて変調された光束を、帯電された感光体ドラム2030aの表面に照射し、シアン画像情報に基づいて変調された光束を、帯電された感光体ドラム2030bの表面に照射する。
光走査装置2010Bは、プリンタ制御装置2090からのマゼンタ画像情報に基づいて変調された光束を、帯電された感光体ドラム2030cの表面に照射し、イエロー画像情報に基づいて変調された光束を、帯電された感光体ドラム2030dの表面に照射する。
これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。なお、各光走査装置の構成については後述する。
トナーカートリッジ2034aにはブラックトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033aに供給される。トナーカートリッジ2034bにはシアントナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033bに供給される。トナーカートリッジ2034cにはマゼンタトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033cに供給される。トナーカートリッジ2034dにはイエロートナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033dに供給される。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚づつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着ローラ2050に送られる。
定着ローラ2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
次に、前記光走査装置2010Aの構成について説明する。
光走査装置2010Aは、一例として図2及び図3に示されるように、2つの光源(2200a、2200b)、2つのカップリングレンズ(2201a、2201b)、2つの開口板(2202a、2202b)、2つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b)、ポリゴンミラー2104A、2つの走査レンズ(2105a、2105b)、6枚の折り返しミラー(2106a、2106b、2107a、2107b、2108a、2108b)、及び不図示の走査制御装置などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング(図示省略)の所定位置に組み付けられている。
また、カップリングレンズ2201aの光軸方向を「w1方向」、カップリングレンズ2201bの光軸方向を「w2方向」とする。さらに、Z軸方向及びw1方向のいずれにも直交する方向を「m1方向」、Z軸方向及びw2方向のいずれにも直交する方向を「m2方向」とする。
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
ここでは、光源2200aにおける主走査対応方向はm1方向であり、光源2200bにおける主走査対応方向はm2方向である。そして、光源2200aにおける副走査対応方向、及び光源2200bにおける副走査対応方向は、いずれもZ軸方向と同じ方向である。
光源2200aと光源2200bは、X軸方向に関して離れた位置に配置されている。
各光源は、いずれも、一例として図4に示されるように、2つの発光部(ch1、ch2)が、中心間距離30μmで配置されたLDアレイを有している。各発光部の発振波長は、780nmである。射出される光束の発散角は、2つの発光部を水平に並べたとき、横方向が19°(半値全角)、縦方向が9°(半値全角)である。
2つの発光部は、それらの中心を結ぶ線が、主走査対応方向に関して傾斜(傾斜角θLD)傾斜するように配置されている。ここでは、θLD=76.15°としている。これにより、感光体ドラム上での副走査方向に関するビーム間隔が21.1μmになり、1200dpiの書込密度に対応可能である。
カップリングレンズ2201aは、光源2200aから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
カップリングレンズ2201bは、光源2200bから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
各カップリングレンズは、屈折率が1.6935のガラス製で、焦点距離が27mmである。
開口板2202aは、開口部を有し、カップリングレンズ2201aを介した光束を整形する。
開口板2202bは、開口部を有し、カップリングレンズ2201bを介した光束を整形する。
各開口板の開口部は、主走査対応方向の幅が3.0mm、副走査対応方向の幅が2.34mmの矩形状又は楕円形状である。そして、各開口板は、その開口部の中心が対応するカップリングレンズの焦点位置近傍に位置するように配置されている。
シリンドリカルレンズ2204aは、開口板2202aの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104Aの偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ2204bは、開口板2202bの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104Aの偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
各シリンドリカルレンズは、屈折率が1.5168のガラス製で、焦点距離が93.3mmである。
光源とポリゴンミラー2104Aとの間の光路上に配置される光学系は、偏向器前光学系とも呼ばれている。ここでは、カップリングレンズ2201aと開口板2202aとシリンドリカルレンズ2204aとによってKステーションの偏向器前光学系が構成されている。また、カップリングレンズ2201bと開口板2202bとシリンドリカルレンズ2204bとによってCステーションの偏向器前光学系が構成されている。
ポリゴンミラー2104Aは、XY断面が半径16mmの円に内接する正六角形の部材である。このポリゴンミラー2104Aの6つの側面には、それぞれ偏向反射面が形成され、不図示の回転機構により、Z軸に平行な軸回りに一定の角速度で回転するようになっている。
ここでは、シリンドリカルレンズ2204aからの光束はポリゴンミラー2104Aの−X側に偏向され、シリンドリカルレンズ2204bからの光束はポリゴンミラー2104Aの+X側に偏向される。
走査レンズ2105aは、ポリゴンミラー2104Aの−X側に配置され、走査レンズ2105bは、ポリゴンミラー2104Aの+X側に配置されている。
各走査レンズは、屈折率が1.530の樹脂成型品であり、中心(光軸上)の肉厚が21.05mmである。そして、それらの各光学面(入射側の面、射出側の面)は、次の(1)式及び次の(2)式で表現される非球面である。ここで、XはX軸方向の座標、YはY軸方向の座標を示す。また、入射側の面の中央をY=0とする。Cm0はY=0における主走査対応方向の曲率を示し、曲率半径Rmの逆数である。a00,a01,a02,・・・は主走査対応方向の非球面係数である。また、Cs(Y)はYに関する副走査対応方向の曲率、Rs0は副走査対応方向の光軸上の曲率半径、b00,b01,b02,・・・は副走査対応方向の非球面係数である。なお、光軸は、Y=0で副走査対応方向における中央の点を通る軸をいう。
各走査レンズの各面(入射側の面(第1面)、射出側の面(第2面))におけるRm、Rs0及び各非球面係数の値の一例が図5に示されている。走査レンズの入射側の面(第1面)は、副走査対応方向に関しては、レンズ高さによらず曲率一定としている。
ところで、各走査レンズは、樹脂成型品であるため、入射光に対して複屈折を生じさせる。ここでは、説明の都合上、その複屈折量は、位相ずれ0.4λ、光学軸ずれ5°であり、この量の複屈折が、光の入射位置によらずほぼ一様に生じるものとする。これにより、走査レンズに直線偏光が入射しても、走査レンズから射出される光は、楕円偏光になってしまう。なお、各走査レンズの複屈折量が一様でなくても、本実施形態の効果は変わらない。
図3に戻り、ポリゴンミラー2104Aで偏向されたシリンドリカルレンズ2204aからの光束は、走査レンズ2105a、折り返しミラー2106a、折り返しミラー2107a、及び折り返しミラー2108aを介して、感光体ドラム2030aに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104Aの回転に伴って感光体ドラム2030aの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030a上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030aでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030aの回転方向が、感光体ドラム2030aでの「副走査方向」である。
また、ポリゴンミラー2104Aで偏向されたシリンドリカルレンズ2204bからの光束は、走査レンズ2105b、折り返しミラー2106b、折り返しミラー2107b、及び折り返しミラー2108bを介して、感光体ドラム2030bに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104Aの回転に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030b上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030bでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030bの回転方向が、感光体ドラム2030bでの「副走査方向」である。
なお、各折り返しミラーは、ポリゴンミラー2104Aから各感光体ドラムに至る各光路長が互いに一致するとともに、各感光体ドラムにおける光束の入射位置及び入射角がいずれも互いに等しくなるように、それぞれ配置されている。
また、各折り返しミラーは、ポリゴンミラー2104Aから感光体ドラムに向かう光路が、Y軸方向からみたときに交差しないように配置されている。
折り返しミラー2106aには、MgF2(膜厚391nm)の単層コーティングが施されている。また、折り返しミラー2107a及び折り返しミラー2108aには、MgF2(195nm)+TiO2(195nm)+MgF2(195nm)の3層コーティングが施されている。
同様に、折り返しミラー2106bには、MgF2(膜厚391nm)の単層コーティングが施されている。また、折り返しミラー2107b及び折り返しミラー2108bには、MgF2(195nm)+TiO2(195nm)+MgF2(195nm)の3層コーティングが施されている。
誘電体多層膜によるコーティングは、コーティングの層数が多いほど、反射率が増加し、入射角による反射率の変化も小さくなる。
ポリゴンミラー2104Aと各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施形態では、走査レンズ2105aと3枚の折り返しミラー(2106a、2107a、2108a)とからKステーションの走査光学系が構成されている。また、走査レンズ2105bと3枚の折り返しミラー(2106b、2107b、2108b)とからCステーションの走査光学系が構成されている。
また、Cステーションにおける偏向器前光学系及び走査光学系の主な光学素子の位置関係が図6に示されている。そして、図6における符号d1〜d9の具体的な値(単位:mm)の一例が図7に示されている。なお、他のステーションでも同様な位置関係となっている。
また、シリンドリカルレンズ2204bからの光束の射出方向と、ポリゴンミラー2104Aの偏向反射面により感光体ドラム2030bの表面における像高0の位置(図6における符号p0の位置)へ向けて反射される光束の進行方向とのなす角(図6におけるθr)は60度である。
副走査対応方向の横倍率は、光学系全体で−6.07倍、走査光学系のみで−1.63倍である。
次に、各折り返しミラーの傾き角について説明する。
一例として図8に示されるように、ポリゴンミラー2104Aで偏向された2つの光線のうち、+Z側の光線をch1からの光線(便宜上、「光線ch1」という)とし、−Z側の光線をch2からの光線(便宜上、「光線ch2」という)とする。
そして、光線ch1が光線ch2の上側に位置するように、図8を水平に展開したものが図9に示されている。このときの、各折り返しミラーの各光線の光路に直交する方向に対する傾斜角θmが、図10に示されている。ここでは、ポリゴンミラー側に傾く場合を「+」方向、感光体ドラム側に傾く場合を「−」方向としている。
先ず、Cステーションの走査光学系の3枚の折り返しミラー(2106b、2107b、2108b)について説明する。
図11には、光源から射出される光束の偏光方向が、副走査対応方向に平行なときに、該光束のポリゴンミラーでの偏向角(°)と、ポリゴンミラーで偏向された該光束に対する3枚の折り返しミラー(2106b、2107b、2108b)の反射率との関係が示されている。なお、本明細書では、偏向された光束が感光体ドラムにおける上記像高0の位置に向かうときの、ポリゴンミラーでの偏向角を0(°)としている。
また、図12には、光源から射出される光束の偏光方向が、主走査対応方向に平行なときに、該光束のポリゴンミラーでの偏向角(°)と、ポリゴンミラーで偏向された該光束に対する3枚の折り返しミラー(2106b、2107b、2108b)の反射率との関係が示されている。
なお、以下では、便宜上、偏光方向が副走査対応方向に平行な光を「第1の偏光」ともいい、偏光方向が主走査対応方向に平行な光を「第2の偏光」ともいう。
ここで、折り返しミラーにおいて、「光源から射出される光束が第2の偏光のときの反射率」÷「光源から射出される光束が第1の偏光のときの反射率」を、「反射率比」という。
図13には、折り返しミラー2106bにおける、反射率比rとポリゴンミラーでの偏向角θp(°)との関係が示されている。
図14には、折り返しミラー2107bにおける、反射率比rとポリゴンミラーでの偏向角θp(°)との関係が示されている。
図15には、折り返しミラー2108bにおける、反射率比rとポリゴンミラーでの偏向角θp(°)との関係が示されている。
ここでは、ポリゴンミラーでの偏向角θpが−20°の光束は、感光体ドラムでの走査開始位置に向かう光束であり、該光束に対する反射率比をr(−20)と表記する。また、ポリゴンミラーでの偏向角θpが+20°の光束は、感光体ドラムでの走査終了位置に向かう光束であり、該光束に対する反射率比をr(+20)と表記する。
図13〜図15を参照すると、r(−20)とr(+20)の大小関係については、折り返しミラー2106bで、r(−20)<r(+20)、折り返しミラー2107bで、r(−20)>r(+20)、折り返しミラー2108bで、r(−20)>r(+20)である。すなわち、3枚の折り返しミラー(2106b、2107b、2108b)のうち、折り返しミラー2106bでの大小関係は、残りの折り返しミラー(2107b、2108b)での大小関係と逆である。
また、反射率比rの最大値と最小値の差分は、折り返しミラー2106bで0.057、折り返しミラー2107bで0.028、折り返しミラー2108bで0.027である。すなわち、3枚の折り返しミラー(2106b、2107b、2108b)のうち、折り返しミラー2106bでの差分が最も大きい。これは、3枚の折り返しミラー(2106b、2107b、2108b)のうち、折り返しミラー2106bのみ、コーティングが単層であるためである。
ところで、走査光学系における光利用効率は、3枚の折り返しミラーの反射率の積で表すことができる。
走査レンズが、入射光に対して入射位置に応じて異なる複屈折を生じさせる場合、仮に3枚の折り返しミラー間のコーティングを一様にすると、感光体ドラムでの入射位置(像高)によって光利用効率が異なり、すなわち、光利用効率の像高間偏差が大きくなり、出力画像に濃度ムラを生じる。しかしながら、本第1の実施形態では、折り返しミラー2106bのみに、偏光状態の違いによる光利用効率の像高間偏差があえて大きくなるような、コーティングを施しているため、走査光学系に入射する光の偏光状態にばらつきがあっても、走査光学系全体での光利用効率の像高間偏差を小さくすることが可能となる。
次に、Kステーションの走査光学系の3枚の折り返しミラー(2106a、2107a、2108a)について説明する。
r(−20)とr(+20)の大小関係については、折り返しミラー2106aで、r(−20)<r(+20)、折り返しミラー2107aで、r(−20)>r(+20)、折り返しミラー2108aで、r(−20)>r(+20)である。すなわち、3枚の折り返しミラー(2106a、2107a、2108a)のうち、折り返しミラー2106aでの大小関係は、残りの折り返しミラー(2107a、2108a)での大小関係と逆である。
また、反射率比rの最大値と最小値の差分に関しても、3枚の折り返しミラー(2106a、2107a、2108a)のうち、折り返しミラー2106aでの差分が最も大きい。これは、3枚の折り返しミラー(2106a、2107a、2108a)のうち、折り返しミラー2106aのみ、コーティングが単層であるためである。
次に、前記光走査装置2010Bの構成について説明する。
光走査装置2010Bは、一例として図16及び図17に示されるように、2つの光源(2200c、2200d)、2つのカップリングレンズ(2201c、2201d)、2つの開口板(2202c、2202c)、2つのシリンドリカルレンズ(2204c、2204d)、ポリゴンミラー2104B、2つの走査レンズ(2105c、2105d)、6枚の折り返しミラー(2106c、2106c、2107c、2107d、2108d、2108d)、及び不図示の走査制御装置などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング(図示省略)の所定位置に組み付けられている。
光源2200c及び光源2200dは、上記光走査装置2010Aの光源と同様な光源である。そして、光源2200cにおける主走査対応方向及び副走査対応方向は、光源2200aにおける主走査対応方向及び副走査対応方向とそれぞれ同じ方向である。また、光源2200dにおける主走査対応方向及び副走査対応方向は、光源2200bにおける主走査対応方向及び副走査対応方向とそれぞれ同じ方向である。
カップリングレンズ2201cは、光源2200cから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
カップリングレンズ2201dは、光源2200dから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
各カップリングレンズは、屈折率が1.6935のガラス製で、焦点距離が27mmである。
開口板2202cは、開口部を有し、カップリングレンズ2201cを介した光束を整形する。
開口板2202dは、開口部を有し、カップリングレンズ2201dを介した光束を整形する。
各開口板の開口部は、主走査対応方向の幅が3.0mm、副走査対応方向の幅が2.34mmの矩形状又は楕円形状である。そして、各開口板は、その開口部の中心が対応するカップリングレンズの焦点位置近傍に位置するように配置されている。
シリンドリカルレンズ2204cは、開口板2202cの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104Bの偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ2204dは、開口板2202dの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104Bの偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
各シリンドリカルレンズは、屈折率が1.5168のガラス製で、焦点距離が93.3mmである。
光源とポリゴンミラー2104Bとの間の光路上に配置される光学系は、偏向器前光学系とも呼ばれている。ここでは、カップリングレンズ2201cと開口板2202cとシリンドリカルレンズ2204cとによってMステーションの偏向器前光学系が構成されている。また、カップリングレンズ2201dと開口板2202dとシリンドリカルレンズ2204dとによってYステーションの偏向器前光学系が構成されている。
ポリゴンミラー2104Bは、上記光走査装置2010Aのポリゴンミラー2104Aと同様な構成を有している。
シリンドリカルレンズ2204cからの光束はポリゴンミラー2104Bの−X側に偏向され、シリンドリカルレンズ2204dからの光束はポリゴンミラー2104Bの+X側に偏向される。
走査レンズ2105cは、ポリゴンミラー2104Bの−X側に配置され、走査レンズ2105dは、ポリゴンミラー2104Bの+X側に配置されている。
各走査レンズは、上記光走査装置2010Aの走査レンズと同様な走査レンズである。
そこで、ポリゴンミラー2104Bで偏向されたシリンドリカルレンズ2204cからの光束は、走査レンズ2105c、折り返しミラー2106c、折り返しミラー2107c、及び折り返しミラー2108cを介して、感光体ドラム2030cに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104Bの回転に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030c上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030cでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030cの回転方向が、感光体ドラム2030cでの「副走査方向」である。
また、ポリゴンミラー2104Bで偏向されたシリンドリカルレンズ2204dからの光束は、走査レンズ2105d、折り返しミラー2106d、折り返しミラー2107d、及び折り返しミラー2108dを介して、感光体ドラム2030dに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104Bの回転に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030d上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030dでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030dの回転方向が、感光体ドラム2030dでの「副走査方向」である。
なお、各折り返しミラーは、ポリゴンミラー2104Bから各感光体ドラムに至る各光路長が互いに一致するとともに、各感光体ドラムにおける光束の入射位置及び入射角がいずれも互いに等しくなるように、それぞれ配置されている。
また、各折り返しミラーは、ポリゴンミラー2104Bから感光体ドラムに向かう光路が、Y軸方向からみたときに交差しないように配置されている。
折り返しミラー2106cには、MgF2(膜厚391nm)の単層コーティングが施されている。また、折り返しミラー2107c及び折り返しミラー2108cには、MgF2(195nm)+TiO2(195nm)+MgF2(195nm)の3層コーティングが施されている。
同様に、折り返しミラー2106dには、MgF2(膜厚391nm)の単層コーティングが施されている。また、折り返しミラー2107d及び折り返しミラー2108dには、MgF2(195nm)+TiO2(195nm)+MgF2(195nm)の3層コーティングが施されている。
誘電体多層膜によるコーティングは、コーティングの層数が多いほど、反射率が増加し、入射角による反射率の変化も小さくなる。
ポリゴンミラー2104Bと各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本第1の実施形態では、走査レンズ2105cと3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)とからMステーションの走査光学系が構成されている。また、走査レンズ2105dと3枚の折り返しミラー(2106d、2107d、2108d)とからYステーションの走査光学系が構成されている。
Mステーションの走査光学系に含まれる3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)は、それぞれ、上記Kステーションの走査光学系に含まれる3枚の折り返しミラー(2106a、2107a、2108a)と同様な姿勢及び位置関係で配置されている。
そこで、3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)についても、r(−20)とr(+20)の大小関係については、折り返しミラー2106cで、r(−20)<r(+20)、折り返しミラー2107cで、r(−20)>r(+20)、折り返しミラー2108cで、r(−20)>r(+20)である。すなわち、3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)のうち、折り返しミラー2106cでの大小関係は、残りの折り返しミラー(2107c、2108c)での大小関係と逆である。
また、反射率比rの最大値と最小値の差分に関しても、3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)のうち、折り返しミラー2106cでの差分が最も大きい。これは、3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)のうち、折り返しミラー2106cのみ、コーティングが単層であるためである。
また、Yステーションの走査光学系に含まれる3枚の折り返しミラー(2106d、2107d、2108d)は、それぞれ、上記Cステーションの走査光学系に含まれる3枚の折り返しミラー(2106b、2107b、2108b)と同様な姿勢及び位置関係で配置されている。
そこで、3枚の折り返しミラー(2106d、2107d、2108d)についても、r(−20)とr(+20)の大小関係については、折り返しミラー2106dで、r(−20)<r(+20)、折り返しミラー2107dで、r(−20)>r(+20)、折り返しミラー2108dで、r(−20)>r(+20)である。すなわち、3枚の折り返しミラー(2106d、2107d、2108d)のうち、折り返しミラー2106dでの大小関係は、残りの折り返しミラー(2107d、2108d)での大小関係と逆である。
また、反射率比rの最大値と最小値の差分に関しても、3枚の折り返しミラー(2106d、2107d、2108d)のうち、折り返しミラー2106dでの差分が最も大きい。これは、3枚の折り返しミラー(2106d、2107d、2108d)のうち、折り返しミラー2106dのみ、コーティングが単層であるためである。
以上説明したように、本第1の実施形態に係る光走査装置2010Aによると、2つの発光部を有するLDアレイを含む光源(2200a、2200b)と、各光源からの光束を偏向するポリゴンミラー2104Aと、ポリゴンミラー2104Aで偏向された光源2200aからの光束を感光体ドラム2030aの表面に集光するKステーションの走査光学系と、ポリゴンミラー2104Aで偏向された光源2200bからの光束を感光体ドラム2030bの表面に集光するCステーションの走査光学系とを備えている。
Kステーションの走査光学系は、樹脂製の走査レンズ2105aと3枚の折り返しミラー(2106a、2107a、2108a)を有している。そして、感光体ドラム2030aにおける走査開始位置に向かう光束に対する反射率比と走査終了位置に向かう光束に対する反射率の大小関係が、折り返しミラー2106aと、残りの折り返しミラー(2107a、2108a)とで逆になるように設定されている。
さらに、ポリゴンミラー2104Aでの偏向角と反射率比との関係における反射率比の最大値と最小値の差分に関しては、3枚の折り返しミラー(2106a、2107a、2108a)のうち、折り返しミラー2106aでの差分が最も大きくなるように設定されている。
折り返しミラー2106aには、単層コーティングが施され、折り返しミラー2107a及び折り返しミラー2108aには、3層コーティングが施されている。
また、3枚の折り返しミラー(2106a、2107a、2108a)は、Y軸方向からみたときに、ポリゴンミラー2104Aから感光体ドラム2030aに向かう光路が交差しないように配置されている。そして、折り返しミラー2106aが最もポリゴンミラー2104Aに近い位置に配置されている。
Cステーションの走査光学系は、樹脂製の走査レンズ2105bと3枚の折り返しミラー(2106b、2107b、2108b)を有している。そして、感光体ドラム2030bにおける走査開始位置に向かう光束に対する反射率比と走査終了位置に向かう光束に対する反射率の大小関係が、折り返しミラー2106bと、残りの折り返しミラー(2107b、2108b)とで逆になるように設定されている。
さらに、ポリゴンミラー2104Aでの偏向角と反射率比との関係における反射率比の最大値と最小値の差分に関しては、3枚の折り返しミラー(2106b、2107b、2108b)のうち、折り返しミラー2106bでの差分が最も大きくなるように設定されている。
折り返しミラー2106bには、単層コーティングが施され、折り返しミラー2107b及び折り返しミラー2108bには、3層コーティングが施されている。
また、3枚の折り返しミラー(2106b、2107b、2108b)は、Y軸方向からみたときに、ポリゴンミラー2104Aから感光体ドラム2030bに向かう光路が交差しないように配置されている。そして、折り返しミラー2106bが最もポリゴンミラー2104Aに近い位置に配置されている。
この場合、光走査装置2010Aは、感光体ドラム2030a及び感光体ドラム2030bでの光量のばらつきを小さくすることができる。
また、本第1の実施形態に係る光走査装置2010Bによると、2つの発光部を有するLDアレイを含む光源(2200c、2200d)と、各光源からの光束を偏向するポリゴンミラー2104Bと、ポリゴンミラー2104Bで偏向された光源2200cからの光束を感光体ドラム2030cの表面に集光するMステーションの走査光学系と、ポリゴンミラー2104Bで偏向された光源2200dからの光束を感光体ドラム2030dの表面に集光するYステーションの走査光学系とを備えている。
Mステーションの走査光学系は、樹脂製の走査レンズ2105cと3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)を有している。そして、感光体ドラム2030cにおける走査開始位置に向かう光束に対する反射率比と走査終了位置に向かう光束に対する反射率の大小関係が、折り返しミラー2106cと、残りの折り返しミラー(2107c、2108c)とで逆になるように設定されている。
さらに、ポリゴンミラー2104Bでの偏向角と反射率比との関係における反射率比の最大値と最小値の差分に関しては、3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)のうち、折り返しミラー2106cでの差分が最も大きくなるように設定されている。
折り返しミラー2106cには、単層コーティングが施され、折り返しミラー2107c及び折り返しミラー2108cには、3層コーティングが施されている。
また、3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)は、Y軸方向からみたときに、ポリゴンミラー2104Bから感光体ドラム2030cに向かう光路が交差しないように配置されている。そして、折り返しミラー2106cが最もポリゴンミラー2104Bに近い位置に配置されている。
Yステーションの走査光学系は、樹脂製の走査レンズ2105dと3枚の折り返しミラー(2106d、2107d、2108d)を有している。そして、感光体ドラム2030dにおける走査開始位置に向かう光束に対する反射率比と走査終了位置に向かう光束に対する反射率の大小関係が、折り返しミラー2106dと、残りの折り返しミラー(2107d、2108d)とで逆になるように設定されている。
さらに、ポリゴンミラー2104Bでの偏向角と反射率比との関係における反射率比の最大値と最小値の差分に関しては、3枚の折り返しミラー(2106d、2107d、2108d)のうち、折り返しミラー2106dでの差分が最も大きくなるように設定されている。
折り返しミラー2106dには、単層コーティングが施され、折り返しミラー2107d及び折り返しミラー2108dには、3層コーティングが施されている。
また、3枚の折り返しミラー(2106d、2107d、2108d)は、Y軸方向からみたときに、ポリゴンミラー2104Bから感光体ドラム2030dに向かう光路が交差しないように配置されている。そして、折り返しミラー2106dが最もポリゴンミラー2104Bに近い位置に配置されている。
この場合、光走査装置2010Bは、感光体ドラム2030c及び感光体ドラム2030dでの光量のばらつきを小さくすることができる。
本第1の実施形態に係る複合機1000によると、光走査装置2010A及び光走査装置2010Bを備えているため、画像品質を低下させることなく、低コスト化を図ることができる。
《第2の実施形態》
以下、本発明の第2の実施形態を図18〜図31に基づいて説明する。この第2の実施形態は、各光源が、前述したLDアレイの代わりに、一例として図18に示されるように、同一基板上に複数の発光部が形成されている面発光レーザアレイ100を有する点に特徴を有する。その他の構成などは、前述した第1の実施形態と同様である。従って、以下においては、第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
以下、本発明の第2の実施形態を図18〜図31に基づいて説明する。この第2の実施形態は、各光源が、前述したLDアレイの代わりに、一例として図18に示されるように、同一基板上に複数の発光部が形成されている面発光レーザアレイ100を有する点に特徴を有する。その他の構成などは、前述した第1の実施形態と同様である。従って、以下においては、第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
この面発光レーザアレイ100は、2次元的に配列された40個の発光部(ch1〜ch40)が1つの基板上に形成されている。40個の発光部は、すべての発光部を副走査対応方向に伸びる仮想線上に正射影したときに、発光部間隔が等間隔dとなるように配置されている。なお、本明細書では、「発光部間隔」とは2つの発光部の中心間距離をいう。
ここでは、d=2.5μmである。また、主走査対応方向に関する発光部間隔Dm=30μm、副走査対応方向に関する発光部間隔Dm=25μmである。そこで、主走査対応方向に関して最も離れた発光部間の距離X=Dm×9=270μm、副走査対応方向に関して最も離れた発光部間の距離=d×39=97.5μmである。
また、各発光部の発振波長は、780nm帯である。そして、各発光部から射出される光束は、いずれも直線偏光である。
ところで、面発光レーザアレイは、射出する光束の偏光方向に関して、発光部間に大きなばらつきがある。そこで、図19及び図20に示されるように、各画像ステーションにおいて、カップリングレンズと開口板との間に1/4波長板を挿入している。これにより、直線偏光を円偏光に変換し、各走査光学系に入射する光束の偏光方向のばらつきを小さくしている。
1/4波長板2203aは、カップリングレンズ2201aと開口板2202aとの間の光路上に配置され、光束に1/4波長の光学的位相差を付与する。
1/4波長板2203bは、カップリングレンズ2201bと開口板2202bとの間の光路上に配置され、光束に1/4波長の光学的位相差を付与する。
1/4波長板2203cは、カップリングレンズ2201cと開口板2202cとの間の光路上に配置され、光束に1/4波長の光学的位相差を付与する。
1/4波長板2203dは、カップリングレンズ2201dと開口板2202dとの間の光路上に配置され、光束に1/4波長の光学的位相差を付与する。
図21には、光走査装置2010Aにおける各走査光学系が示され、図22には、光走査装置2010Bにおける各走査光学系が示されている。
各折り返しミラーには、上記第1の実施形態と同様なコーティングがそれぞれ施されている。
次に、各折り返しミラーの傾き角について説明する。ここでは、光走査装置2010Aについて説明する。
一例として図23に示されるように、ポリゴンミラー2104Aで偏向された2つの光線のうち、+Z側の光線をch1からの光線(便宜上、「光線ch1」という)とし、−Z側の光線をch2からの光線(便宜上、「光線ch2」という)とする。
そして、光線ch1が光線ch2の上側に位置するように、図23を水平に展開したものが図24に示されている。このときの、各折り返しミラーの各光線の光路に直交する方向に対する傾斜角θmが、図25に示されている。
先ず、Kステーションの走査光学系の3枚の折り返しミラー(2106a、2107a、2108a)について説明する。
図26には、光源から射出される光束が前記第1の偏光のときに、該光束のポリゴンミラーでの偏向角(°)と、ポリゴンミラーで偏向された該光束に対する3枚の折り返しミラー(2106a、2107a、2108a)の反射率との関係が示されている。
また、図27には、光源から射出される光束が前記第2の偏光のときに、該光束のポリゴンミラーでの偏向角(°)と、ポリゴンミラーで偏向された該光束に対する3枚の折り返しミラー(2106a、2107a、2108a)の反射率との関係が示されている。
図28には、折り返しミラー2106aにおける、反射率比rとポリゴンミラーでの偏向角θp(°)との関係が示されている。
図29には、折り返しミラー2107aにおける、反射率比rとポリゴンミラーでの偏向角θp(°)との関係が示されている。
図30には、折り返しミラー2108aにおける、反射率比rとポリゴンミラーでの偏向角θp(°)との関係が示されている。
1/4波長板を挿入すると、走査レンズに入射する光は全て円偏光となるため、ポリゴンミラーでの偏向角が0°での反射率は、光源から射出される光束の偏光方向によって変化しない。そのため、図28〜図30におけるポリゴンミラーでの偏向角が0°のときの反射率比は、いずれも1.00になっている。
しかしながら、ポリゴンミラーでの偏向角が0°以外のときは、走査レンズを通過した光束は、走査レンズにより複屈折を生じ、楕円偏光に変化する。すなわち、ポリゴンミラーでの偏向角によって偏光状態が異なるため、1/4波長板を挿入しても、光利用効率のばらつきを低減することはできない。
図28〜図30を参照すると、r(−20)とr(+20)の大小関係については、折り返しミラー2106aで、r(−20)>r(+20)、折り返しミラー2107aで、r(−20)<r(+20)、折り返しミラー2108aで、r(−20)<r(+20)である。すなわち、3枚の折り返しミラー(2106a、2107a、2108a)のうち、折り返しミラー2106aでの大小関係は、残りの折り返しミラー(2107a、2108a)での大小関係と逆である。
また、反射率比rの最大値と最小値の差分に関しては、折り返しミラー2106aで0.114、折り返しミラー2107aで0.082、折り返しミラー2108aで0.093である。すなわち、3枚の折り返しミラー(2106a、2107a、2108a)のうち、折り返しミラー2106aでの差分が最も大きい。これは、3枚の折り返しミラー(2106a、2107a、2108a)のうち、折り返しミラー2106aのみ、コーティングが単層であるためである。
図31には、仮に、3枚の折り返しミラー(2106a、2107a、2108a)すべてに3層コーティングを施した場合(ケースAとする)と、折り返しミラー2107aと折り返しミラー2108aに3層コーティングを施し、折り返しミラー2106aに単層コーティングを施した場合(ケースBとする)について、反射率比とポリゴンミラーでの偏向角との関係が示されている。
これによると、ケースAでは、ポリゴンミラーでの偏向角が大きくなると、3枚の折り返しミラー全てで反射率比が大きくなるため、反射率比r(−20)と反射率比r(+20)との差が大きくなっている。一方、ケースBでは、反射率比r(−20)と反射率比r(+20)との差を小さくすることができる。
このように、仮に3枚の折り返しミラー間のコーティングを一様にすると、像高によって光利用効率が異なり、出力画像に濃度ムラを生じる。しかしながら、本第2の実施形態では、折り返しミラー2106aのみに、偏光状態の違いによる光利用効率の像高間偏差があえて大きくなるような、コーティングを施しているため、走査光学系に入射する光束の偏光状態にばらつきがあっても、走査光学系全体での光利用効率の像高間偏差を小さくすることが可能となる。
また、3枚の折り返しミラー(2106a、2107a、2108a)は、Y軸方向からみたときに、ポリゴンミラー2104Aから感光体ドラム2030aに向かう光路が交差しないように配置されている。そして、折り返しミラー2106aが最もポリゴンミラー2104Aに近い位置に配置されている。
Cステーションの走査光学系においても、r(−20)とr(+20)の大小関係に関して、3枚の折り返しミラー(2106b、2107b、2108b)のうち、折り返しミラー2106bでの大小関係が、残りの折り返しミラー(2107b、2108b)での大小関係と逆になるように設定されている。
また、反射率比rの最大値と最小値の差分に関しても、3枚の折り返しミラー(2106b、2107b、2108b)のうち、折り返しミラー2106bでの差分が最も大きくなるように設定されている。
また、3枚の折り返しミラー(2106b、2107b、2108b)は、Y軸方向からみたときに、ポリゴンミラー2104Aから感光体ドラム2030bに向かう光路が交差しないように配置されている。そして、折り返しミラー2106bが最もポリゴンミラー2104Aに近い位置に配置されている。
この場合、光走査装置2010Aは、複数の発光部から射出される各光束の偏光方向にばらつきがあっても、感光体ドラム2030a及び感光体ドラム2030bでの光量のばらつきを小さくすることができる。
さらに、光走査装置2010Bにおいても、Mステーションの走査光学系では、感光体ドラム2030cにおける走査開始位置に向かう光束に対する反射率比と走査終了位置に向かう光束に対する反射率の大小関係が、折り返しミラー2106cと、残りの折り返しミラー(2107c、2108c)とで逆になるように設定されている。
そして、ポリゴンミラー2104Bでの偏向角と反射率比との関係における反射率比の最大値と最小値の差分に関しては、3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)のうち、折り返しミラー2106cでの差分が最も大きくなるように設定されている。
また、3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)は、Y軸方向からみたときに、ポリゴンミラー2104Bから感光体ドラム2030cに向かう光路が交差しないように配置されている。そして、折り返しミラー2106cが最もポリゴンミラー2104Bに近い位置に配置されている。
また、Yステーションの走査光学系では、感光体ドラム2030dにおける走査開始位置に向かう光束に対する反射率比と走査終了位置に向かう光束に対する反射率の大小関係が、折り返しミラー2106dと、残りの折り返しミラー(2107d、2108d)とで逆になるように設定されている。
そして、ポリゴンミラー2104Bでの偏向角と反射率比との関係における反射率比の最大値と最小値の差分に関しては、3枚の折り返しミラー(2106d、2107d、2108d)のうち、折り返しミラー2106dでの差分が最も大きくなるように設定されている。
また、3枚の折り返しミラー(2106d、2107d、2108d)は、Y軸方向からみたときに、ポリゴンミラー2104Bから感光体ドラム2030dに向かう光路が交差しないように配置されている。そして、折り返しミラー2106dが最もポリゴンミラー2104Bに近い位置に配置されている。
この場合、光走査装置2010Bは、複数の発光部から射出される各光束の偏光方向にばらつきがあっても、感光体ドラム2030c及び感光体ドラム2030dでの光量のばらつきを小さくすることができる。
そこで、本第2の実施形態に係る複合機によると、光走査装置2010A及び光走査装置2010Bを備えているため、画像品質を低下させることなく、低コスト化を図ることができる。
なお、上記第2の実施形態では、面発光レーザアレイ100が40個の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
《第3の実施形態》
以下、本発明の第3の実施形態を図32〜図47に基づいて説明する。図32には、第3の実施形態に係る画像形成装置としての複合機2000の概略構成が示されている。この複合機2000は、上記第1の実施形態に係る複合機1000における前記2つの光走査装置(2010A、2010B)に代えて、1つの光走査装置2010を有する点に特徴を有する。その他の構成などは、前述した第1の実施形態と同様である。従って、以下においては、第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
以下、本発明の第3の実施形態を図32〜図47に基づいて説明する。図32には、第3の実施形態に係る画像形成装置としての複合機2000の概略構成が示されている。この複合機2000は、上記第1の実施形態に係る複合機1000における前記2つの光走査装置(2010A、2010B)に代えて、1つの光走査装置2010を有する点に特徴を有する。その他の構成などは、前述した第1の実施形態と同様である。従って、以下においては、第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
光走査装置2010は、一例として図33〜図36に示されるように、4つの光源(2200a、2200b、2200c、2200d)、4つのカップリングレンズ(2201a、2201b、2201c、2201d)、4つの開口板(2202a、2202b、2202c、2202d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、ポリゴンミラー2104、4つの走査レンズ(2105a、2105b、2105c、2105d)、10枚の折り返しミラー(2106a、2106b、2106c、2106d、2107a、2107b、2107c、2107d、2108b、2108c)、4枚の防塵ガラス(2109a、2109b、2109c、2109d)、及び不図示の走査制御装置などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング(図示省略)の所定位置に組み付けられている。
各光源は、上記第1の実施形態と同様なLDアレイである。
ここでは、光源2200a及び光源2200bにおける主走査対応方向はm1方向であり、光源2200c及び光源2200dにおける主走査対応方向はm2方向である。そして、光源2200a及び光源2200bにおける副走査対応方向、光源2200c及び光源2200dにおける副走査対応方向は、いずれもZ軸方向と同じ方向である。
光源2200bと光源2200cは、X軸方向に関して離れた位置に配置されている。そして、光源2200aは光源2200bの−Z側に配置されている。また、光源2200dは光源2200cの−Z側に配置されている。
カップリングレンズ2201aは、光源2200aから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
カップリングレンズ2201bは、光源2200bから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
カップリングレンズ2201cは、光源2200cから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
カップリングレンズ2201dは、光源2200dから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
開口板2202aは、開口部を有し、カップリングレンズ2201aを介した光束を整形する。
開口板2202bは、開口部を有し、カップリングレンズ2201bを介した光束を整形する。
開口板2202cは、開口部を有し、カップリングレンズ2201cを介した光束を整形する。
開口板2202dは、開口部を有し、カップリングレンズ2201dを介した光束を整形する。
シリンドリカルレンズ2204aは、開口板2202aの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ2204bは、開口板2202bの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ2204cは、開口板2202cの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ2204dは、開口板2202dの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
ポリゴンミラー2104は、2段構造の4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。そして、1段目(下段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204aからの光束及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束がそれぞれ偏向され、2段目(上段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204bからの光束及びシリンドリカルレンズ2204cからの光束がそれぞれ偏向されるように配置されている。なお、1段目の4面鏡及び2段目の4面鏡は、互いに位相が45°ずれて回転し、書き込み走査は1段目と2段目とで交互に行われる。
ここでは、シリンドリカルレンズ2204a及びシリンドリカルレンズ2204bからの光束はポリゴンミラー2104の−X側に偏向され、シリンドリカルレンズ2204c及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束はポリゴンミラー2104の+X側に偏向される。
走査レンズ2105a及び走査レンズ2105bは、ポリゴンミラー2104の−X側に配置され、走査レンズ2105c及び走査レンズ2105dは、ポリゴンミラー2104の+X側に配置されている。
そして、走査レンズ2105aと走査レンズ2105bはZ軸方向に積層され、走査レンズ2105aは1段目の4面鏡に対向し、走査レンズ2105bは2段目の4面鏡に対向している。また、走査レンズ2105cと走査レンズ2105dはZ軸方向に積層され、走査レンズ2105cは2段目の4面鏡に対向し、走査レンズ2105dは1段目の4面鏡に対向している。
光学ハウジングには、各走査光学系から対応する感光体ドラムに向かう光束が通過する4つの窓が設けられており、各窓にそれぞれ上記防塵ガラスが取り付けられている。各防塵ガラスは、肉厚1.9mmで、屈折率1.530である。
そこで、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204aからの光束は、走査レンズ2105a、2枚の折り返しミラー(2106a、2107a)、及び防塵ガラス2109aを介して、感光体ドラム2030aに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030aの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030a上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030aでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030aの回転方向が、感光体ドラム2030aでの「副走査方向」である。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204bからの光束は、走査レンズ2105b、3枚の折り返しミラー(2106b、2107b、2108b)、及び防塵ガラス2109bを介して、感光体ドラム2030bに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030b上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030bでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030bの回転方向が、感光体ドラム2030bでの「副走査方向」である。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204cからの光束は、走査レンズ2105c、3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)、及び防塵ガラス2109cを介して、感光体ドラム2030cに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030c上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030cでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030cの回転方向が、感光体ドラム2030cでの「副走査方向」である。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204dからの光束は、走査レンズ2105d、2枚の折り返しミラー(2106d、2107d)、及び防塵ガラス2109dを介して、感光体ドラム2030dに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030d上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030dでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030dの回転方向が、感光体ドラム2030dでの「副走査方向」である。
ポリゴンミラー2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本第3の実施形態では、走査レンズ2105aと2枚の折り返しミラー(2106a、2107a)と防塵ガラス2109aとからKステーションの走査光学系が構成されている。また、走査レンズ2105bと3枚の折り返しミラー(2106b、2107b、2108b)と防塵ガラス2109bとからCステーションの走査光学系が構成されている。
そして、走査レンズ2105cと3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)と防塵ガラス2109cとからMステーションの走査光学系が構成されている。また、走査レンズ2105dと2枚の折り返しミラー(2106d、2107d)と防塵ガラス2109dとからYステーションの走査光学系が構成されている。
Kステーションの走査光学系では、各折り返しミラー及び防塵ガラス2109aに、MgF2(195nm)+TiO2(195nm)+MgF2(195nm)の3層コーティングが施されている。
Cステーションの走査光学系では、折り返しミラー2106bには、MgF2(膜厚391nm)の単層コーティングが施されている。また、折り返しミラー2107b、折り返しミラー2108b及び防塵ガラス2109bには、MgF2(195nm)+TiO2(195nm)+MgF2(195nm)の3層コーティングが施されている。
Mステーションの走査光学系では、折り返しミラー2106cには、MgF2(膜厚391nm)の単層コーティングが施されている。また、折り返しミラー2107c、折り返しミラー2108c及び防塵ガラス2109cには、MgF2(195nm)+TiO2(195nm)+MgF2(195nm)の3層コーティングが施されている。
Yステーションの走査光学系では、各折り返しミラー及び防塵ガラス2109dに、MgF2(195nm)+TiO2(195nm)+MgF2(195nm)の3層コーティングが施されている。
誘電体多層膜によるコーティングは、コーティングの層数が多いほど、反射率が増加し、入射角による反射率の変化も小さくなる。なお、防塵ガラスには、折り返しミラーのコーティングとは異なる材質のコーティングが施されても良い。
次に、各折り返しミラー及び各防塵ガラスの傾き角について説明する。
一例として図37及び図38に示されるように、ポリゴンミラー2104で偏向された2つの光線のうち、+Z側の光線をch1からの光線(便宜上、「光線ch1」という)とし、−Z側の光線をch2からの光線(便宜上、「光線ch2」という)とする。
そして、光線ch1が光線ch2の上側に位置するように、図37を水平に展開したものが図39に、図38を水平に展開したものが図40に示されている。このときの、各折り返しミラー及び各防塵ガラスの各光線の光路に直交する方向に対する傾斜角θmが、図41に示されている。ここでは、ポリゴンミラー側に傾く場合を「+」方向、感光体ドラム側に傾く場合を「−」方向としている。
ここでは、Mステーションの走査光学系の3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)について説明する。
図42には、光源から射出される光束が、第1の偏光のときに、該光束のポリゴンミラーでの偏向角(°)と、ポリゴンミラーで偏向された該光束に対する3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)の反射率及び防塵ガラス2109cの透過率との関係が示されている。
また、図43には、光源から射出される光束が、第2の偏光のときに、該光束のポリゴンミラーでの偏向角(°)と、ポリゴンミラーで偏向された該光束に対する3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)の反射率及び防塵ガラス2109cの透過率との関係が示されている。
ここで、防塵ガラスにおいて、「光源から射出される光束が第2の偏光のときの透過率」÷「光源から射出される光束が第1の偏光のときの透過率」を、「透過率比」という。
図44には、折り返しミラー2106cにおける、反射率比rとポリゴンミラーでの偏向角θp(°)との関係が示されている。
図45には、折り返しミラー2107cにおける、反射率比rとポリゴンミラーでの偏向角θp(°)との関係が示されている。
図46には、折り返しミラー2108cにおける、反射率比rとポリゴンミラーでの偏向角θp(°)との関係が示されている。
図47には、防塵ガラス2109cにおける、透過率比tとポリゴンミラーでの偏向角θp(°)との関係が示されている。
ここでは、ポリゴンミラーでの偏向角θpが−20°の光束は、感光体ドラムでの走査開始位置に向かう光束であり、該光束に対する透過率比をt(−20)と表記する。また、ポリゴンミラーでの偏向角θpが+20°の光束は、感光体ドラムでの走査終了位置に向かう光束であり、該光束に対する透過率比をt(+20)と表記する。
図44〜図47を参照すると、r(−20)とr(+20)の大小関係、及びt(−20)とt(+20)の大小関係については、折り返しミラー2106cで、r(−20)<r(+20)、折り返しミラー2107cで、r(−20)>r(+20)、折り返しミラー2108cで、r(−20)>r(+20)、防塵ガラス2109cで、t(−20)>t(+20)である。すなわち、3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)と防塵ガラス2109cのうち、折り返しミラー2106cでの大小関係は、残りの折り返しミラー(2107c、2108c)及び防塵ガラス2109cでの大小関係と逆である。
また、反射率比rの最大値と最小値の差分は、折り返しミラー2106cで0.057、折り返しミラー2107cで0.028、折り返しミラー2108cで0.027である。また、防塵ガラス2109cでの透過率比tの最大値と最小値の差分は、0.003である。すなわち、3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)と防塵ガラス2109cのうち、折り返しミラー2106cでの差分が最も大きい。これは、3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)と防塵ガラス2109cのうち、折り返しミラー2106cのみ、コーティングが単層であるためである。
ところで、走査光学系における光利用効率は、各折り返しミラーの反射率及び防塵ガラスの透過率の積で表すことができる。
仮に各折り返しミラー及び防塵ガラス間のコーティングを一様にすると、像高によって光利用効率が異なり、出力画像に濃度ムラを生じる。しかしながら、本第3の実施形態では、折り返しミラー2106cのみに、偏光状態の違いによる光利用効率の像高間偏差があえて大きくなるような、コーティングを施しているため、光源から射出される光束の偏光状態にばらつきがあっても、走査光学系全体での光利用効率の像高間偏差を小さくすることが可能となる。
Mステーションの走査光学系と同様に3枚の折り返しミラー(2106b、2107b、2108b)と防塵ガラス2109bを含むCステーションの走査光学系では、防塵ガラス2109bの傾き角は、Mステーションの防塵ガラス2109cと逆になる。そのため、Cステーションの走査光学系では、折り返しミラー2106bのコーティングのみを他の折り返しミラーと異ならせなくとも、折り返しミラー2106bと防塵ガラス2109bの、光源から射出される光束の偏光状態に対する光利用効率のばらつきの影響が同じなので、光源から射出される光束の偏光状態に対する光利用効率のばらつきは、Mステーションの走査光学系よりは小さくなる。もちろん、影響がさらに少なくなるように、折り返しミラー2106bのコーティングを異ならせても良い。
また、Kステーションの走査光学系及びYステーションの走査光学系は、折り返しミラーの構成が2枚であるが、図41に示されるように、2枚の折り返しミラーの傾斜方向がいずれも同一であるため、3枚構成のときのように、2枚の折り返しミラー間にコーティングの差異をつけても、光源から射出される光束の偏光状態に対する光利用効率偏差の相殺ができない。
また、図47からわかるように、防塵ガラスだけでは光源から射出される光束の偏光状態に対する光利用効率偏差が小さく、相殺することが出来ない。また、防塵ガラスのコーティングを少なくすると、ゴースト光が発生するため、望ましくない。
そのため、Kステーションの走査光学系及びYステーションの走査光学系では、折り返しミラー及び防塵ガラスのすべてに、MgF2+TiO2+MgF2の3層コーティングを施している。この場合は、各光学素子それぞれで、光利用効率の偏差を小さくしている。
以上説明したように、本第3の実施形態に係る光走査装置2010によると、2つの発光部を有するLDアレイを含む光源(2200a、2200b、2200c、2200d)と、各光源からの光束を偏向するポリゴンミラー2104と、ポリゴンミラー2104で偏向された光源2200aからの光束を感光体ドラム2030aの表面に集光するKステーションの走査光学系と、ポリゴンミラー2104で偏向された光源2200bからの光束を感光体ドラム2030bの表面に集光するCステーションの走査光学系と、ポリゴンミラー2104で偏向された光源2200cからの光束を感光体ドラム2030cの表面に集光するMステーションの走査光学系と、ポリゴンミラー2104で偏向された光源2200dからの光束を感光体ドラム2030dの表面に集光するYステーションの走査光学系とを備えている。
Cステーションの走査光学系及びMステーションの走査光学系は、3枚の折り返しミラー及び防塵ガラスを有している。
そして、Cステーションの走査光学系及びMステーションの走査光学系では、それぞれ、ポリゴンミラー2104での偏向角に対する反射率比及び透過率比の関係において、3枚の折り返しミラーと防塵ガラスのうちの1枚の折り返しミラーは、感光体ドラムにおける走査開始位置に向かう光束に対する反射率比と走査終了位置に向かう光束に対する反射率比の大小関係が、残りの折り返しミラー及び防塵ガラスにおける大小関係と逆であり、かつ、反射率比の最大値と最小値の差分が、残りの折り返しミラーにおける差分及び防塵ガラスにおける透過率比の最大値と最小値の差分よりも大きくなるように設定されている。
この場合は、感光体ドラム2030b及び感光体ドラム2030cでの光量のばらつきを小さくすることができる。
そこで、本第3の実施形態に係る複合機2000によると、光走査装置2010を備えているため、画像品質を低下させることなく、低コスト化を図ることができる。
《第4の実施形態》
以下、本発明の第4の実施形態を図48〜図59に基づいて説明する。この第4の実施形態は、上記第3の実施形態における各光源が、前述したLDアレイの代わりに、上記第2の実施形態で説明した、同一基板上に複数の発光部が形成されている面発光レーザアレイ100を有する点に特徴を有する。その他の構成などは、前述した第3の実施形態と同様である。従って、以下においては、第3の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、前述した第3の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
以下、本発明の第4の実施形態を図48〜図59に基づいて説明する。この第4の実施形態は、上記第3の実施形態における各光源が、前述したLDアレイの代わりに、上記第2の実施形態で説明した、同一基板上に複数の発光部が形成されている面発光レーザアレイ100を有する点に特徴を有する。その他の構成などは、前述した第3の実施形態と同様である。従って、以下においては、第3の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、前述した第3の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
ところで、面発光レーザアレイは、射出する光束の偏光方向に関して、発光部間に大きなばらつきがある。そこで、図48〜図50に示されるように、各画像ステーションにおいて、カップリングレンズと開口板との間に1/4波長板を挿入している。これにより、直線偏光を円偏光に変換し、各走査光学系に入射する光束の偏光方向のばらつきを小さくしている。
1/4波長板2203aは、カップリングレンズ2201aと開口板2202aとの間の光路上に配置され、光束に1/4波長の光学的位相差を付与する。
1/4波長板2203bは、カップリングレンズ2201bと開口板2202bとの間の光路上に配置され、光束に1/4波長の光学的位相差を付与する。
1/4波長板2203cは、カップリングレンズ2201cと開口板2202cとの間の光路上に配置され、光束に1/4波長の光学的位相差を付与する。
1/4波長板2203dは、カップリングレンズ2201dと開口板2202dとの間の光路上に配置され、光束に1/4波長の光学的位相差を付与する。
図51には、各走査光学系が示されている。
各折り返しミラー及び各防塵ガラスには、上記第3の実施形態と同様なコーティングがそれぞれ施されている。
次に、各折り返しミラー及び各防塵ガラスの傾き角について説明する。
そして、光線ch1が光線ch2の上側に位置するように、各光線の光路を水平に展開したものが図52に示されている。このときの、Cステーション及びMステーションの各走査光学系における折り返しミラー及び防塵ガラスの各光線の光路に直交する方向に対する傾斜角θmが、図53に示されている。
次に、反射率比及び透過率比とポリゴンミラーでの偏向角との関係について説明する。
ここでは、Mステーションの走査光学系について説明する。
図54には、光源から射出される光束が、第1の偏光のときに、該光束のポリゴンミラーでの偏向角(°)と、ポリゴンミラーで偏向された該光束に対する3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)の反射率及び防塵ガラス2109cの透過率との関係が示されている。
また、図55には、光源から射出される光束が、第2の偏光のときに、該光束のポリゴンミラーでの偏向角(°)と、ポリゴンミラーで偏向された該光束に対する3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)の反射率及び防塵ガラス2109cの透過率との関係が示されている。
図56には、折り返しミラー2106cにおける、反射率比rとポリゴンミラーでの偏向角θp(°)との関係が示されている。
図57には、折り返しミラー2107cにおける、反射率比rとポリゴンミラーでの偏向角θp(°)との関係が示されている。
図58には、折り返しミラー2108cにおける、反射率比rとポリゴンミラーでの偏向角θp(°)との関係が示されている。
図59には、防塵ガラス2109cにおける、透過率比tとポリゴンミラーでの偏向角θp(°)との関係が示されている。
1/4波長板を挿入すると、走査レンズに入射する光は全て円偏光となるため、ポリゴンミラーでの偏向角が0°での反射率は、光源から射出される光束の偏光方向によって変化しない。そのため、図56〜図58におけるポリゴンミラーでの偏向角が0°のときの反射率比は、いずれも1.00になっている。また、図59におけるポリゴンミラーでの偏向角が0°のときの透過率比も、1.00になっている。
しかしながら、ポリゴンミラーでの偏向角が0°以外のときは、走査レンズを通過した光束は、走査レンズにより複屈折を生じ、楕円偏光に変化する。すなわち、ポリゴンミラーでの偏向角によって偏光状態が異なるため、1/4波長板を挿入しても、光利用効率のばらつきを低減することはできない。
図56〜図59を参照すると、r(−20)とr(+20)の大小関係、及びt(−20)とt(+20)の大小関係については、折り返しミラー2106cで、r(−20)>r(+20)、折り返しミラー2107cで、r(−20)<r(+20)、折り返しミラー2108cで、r(−20)<r(+20)、防塵ガラス2109cで、t(−20)<t(+20)である。すなわち、3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)と防塵ガラス2109cのうち、折り返しミラー2106cでの大小関係は、残りの折り返しミラー(2107c、2108c)及び防塵ガラス2109cでの大小関係と逆である。
また、反射率比rの最大値と最小値の差分は、折り返しミラー2106cで0.114、折り返しミラー2107cで0.082、折り返しミラー2108cで0.093である。また、防塵ガラス2109cでの透過率比tの最大値と最小値の差分は、0.008である。すなわち、3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)と防塵ガラス2109cのうち、折り返しミラー2106cでの差分が最も大きい。これは、3枚の折り返しミラー(2106c、2107c、2108c)と防塵ガラス2109cのうち、折り返しミラー2106cのみ、コーティングが単層であるためである。
以上説明したように、本第4の実施形態に係る光走査装置2010によると、複数の発光部から射出される各光束の偏光方向にばらつきがあっても、各感光体ドラムでの光量のばらつきを小さくすることができる。
そこで、本第4の実施形態に係る複合機2000によると、光走査装置2010を備えているため、画像品質を低下させることなく、低コスト化を図ることができる。
なお、上記第4の実施形態では、面発光レーザアレイ100が40個の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記各実施形態では、画像形成装置として複合機の場合について説明したが、これに限定されるものではない。画像形成装置が、単独の複写機、プリンタ、及びファクシミリ装置であっても良い。
例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であっても良い。
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
以上説明したように、本発明の光走査装置によれば、マルチビーム光源及びプラスチック成型の走査レンズを有し、被走査面上での光量のばらつきを少なくするのに適している。また、本発明の画像形成装置によれば、画像品質を低下させることなく、低コスト化を図るのに適している。
1000…複合機(画像形成装置)、2000…複合機(画像形成装置)、2010…光走査装置、2010A…光走査装置、2010B…光走査装置、2030a,2030b,2030c,2030d…感光体ドラム(像担持体)、2104…ポリゴンミラー(光偏向器)、2104A…ポリゴンミラー(光偏向器)、2104B…ポリゴンミラー(光偏向器)、2105a,2105b,2105c,2105d…走査レンズ、2106a,2106b,2106c,2106d…折り返しミラー、2107a,2107b,2107c,2107d…折り返しミラー、2108a,2108b,2108c,2108d…折り返しミラー、2109a,2109b,2109c,2109d…防塵ガラス、2200a,2200b,2200c,2200d…光源。
本発明は、第1の観点からすると、光束により被走査面を主走査方向に走査する光走査装置であって、複数の発光部を有する光源と;前記光源からの光束を偏向する光偏向器と;前記光偏向器で偏向された光束を集光する樹脂製の走査レンズと;前記走査レンズを介した光束の光路を前記被走査面に向かう方向に折り返すための複数の折り返しミラーと;を備え、前記複数の折り返しミラーは、前記光偏向器と前記被走査面との間で光路が交差しないように配置され、前記複数の折り返しミラーのうち、前記光偏向器に最も近い位置に配置された折り返しミラーは、それ以外の折り返しミラーとは異なるコーティングが施されている光走査装置である。
本発明は、第2の観点からすると、少なくとも1つの像担持体と;前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報が含まれる光を走査する少なくとも1つの本発明の光走査装置と;を備える画像形成装置である。
Claims (9)
- 光束により被走査面を主走査方向に走査する光走査装置であって、
複数の発光部を有する光源と;
前記光源からの光束を偏向する光偏向器と;
前記光偏向器で偏向された光束を集光する樹脂製の走査レンズと;
前記走査レンズを介した光束の光路を前記被走査面に向かう方向に折り返すための複数の折り返しミラーと;
前記複数の折り返しミラーを介した光束の光路上に配置された防塵ガラスと;を備え、
前記複数の折り返しミラーについては、前記光源から射出される光束の偏光方向が副走査方向に平行なときの反射率と前記偏光方向が主走査方向に平行なときの反射率との比、前記防塵ガラスについては、前記光源から射出される光束の偏光方向が副走査方向に平行なときの透過率と前記偏光方向が主走査方向に平行なときの透過率との比を、それぞれの特性値としたとき、
前記被走査面における走査開始位置に向かう光束に対する前記特性値と前記被走査面における走査終了位置に向かう光束に対する前記特性値の大小関係、及び前記特性値の最大値と最小値の差分について、
前記複数の折り返しミラーと前記防塵ガラスとからなる複数の光学素子のうちのいずれかの光学素子は、前記大小関係が、残りの光学素子における大小関係と逆であり、かつ前記差分が、残りの光学素子における差分よりも大きいことを特徴とする光走査装置。 - 光束により被走査面を主走査方向に走査する光走査装置であって、
複数の発光部を有する光源と;
前記光源からの光束を偏向する光偏向器と;
前記光偏向器で偏向された光束を集光する樹脂製の走査レンズと;
前記走査レンズを介した光束の光路を前記被走査面に向かう方向に折り返すための複数の折り返しミラーと;を備え、
前記複数の折り返しミラーについて、前記光源から射出される光束の偏光方向が副走査方向に平行なときの反射率と前記偏光方向が主走査方向に平行なときの反射率との比を特性値としたとき、
前記被走査面における走査開始位置に向かう光束に対する前記特性値と前記被走査面における走査終了位置に向かう光束に対する前記特性値の大小関係、及び前記特性値の最大値と最小値の差分について、
前記複数の折り返しミラーからなる複数の光学素子のうちのいずれかの光学素子は、前記大小関係が、残りの光学素子における大小関係と逆であり、かつ前記差分が、残りの光学素子における差分よりも大きいことを特徴とする光走査装置。 - 前記複数の光学素子は、いずれもその表面がコーティングされており、
前記いずれかの光学素子のコーティングは、残りの光学素子のコーティングと異なっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光走査装置。 - 前記いずれかの光学素子におけるコーティング層の数は、残りの光学素子におけるコーティング層の数よりも少ないことを特徴とする請求項3に記載の光走査装置。
- 前記複数の折り返しミラーは、前記光偏向器と前記被走査面との間で光路が交差しないように配置され、
前記いずれかの光学素子は、前記複数の光学素子のうち、最も前記光偏向器に近い位置に配置された折り返しミラーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光走査装置。 - 前記光源と前記光偏向器の間に、1/4波長板を更に備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光走査装置。
- 前記光源は、面発光レーザアレイであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光走査装置。
- 少なくとも1つの像担持体と;
前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報が含まれる光を走査する少なくとも1つの請求項1〜7のいずれか一項に記載の光走査装置と;を備える画像形成装置。 - 前記画像情報は、多色のカラー画像情報であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
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JP2000155282A (ja) * | 1998-11-19 | 2000-06-06 | Ricoh Co Ltd | 光走査装置及びこれを有する画像形成装置 |
JP2002131671A (ja) * | 2000-10-20 | 2002-05-09 | Ricoh Co Ltd | 光走査装置およびこれを用いた画像形成装置 |
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