JP4850061B2 - 抗原の分析装置の製造方法及び分析装置 - Google Patents
抗原の分析装置の製造方法及び分析装置 Download PDFInfo
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Description
【0001】
本発明は、微小断面の流路を有するマイクロチップと呼ばれる分析装置及びその製造方法に関し、特に、抗原を分析するための分析装置及びその製造方法に関する。
【0002】
最も一般的に生体高分子を分析する方法は、臨床検査である。臨床検査において、通常5〜10mL の採血管に血液を収集し、血漿や血清部分に含まれる抗原、抗体などを分析する。疾病の診断は、複数の検査項目の組み合わせと臨床症状によって為されるため、医師はその疾病の可能性によって検査項目の組み合わせを考察する。このような検査において、患者からの採血後、検査室に検体が搬送され、そこに設置された大型の検査装置で、複数の異なった項目が測定される。その後、測定結果が医師に通知され、数日後に来院した患者に検査結果を基にした疾病の結果が通知される。こうした分析装置としては、検査室などに備え付けられる大型のものが一般的であり、運転の際に予めウォーミングアップが必ず必要であるため、緊急を要する検査にはあまり適していない。このような分析装置を用いる検査においては、乳幼児、高齢者にとっては、採血量が多いため、非常に負担であり、また、検査にタイムラグが生じ、適切な治療が行えないという問題もあった。
【0003】
こうした点を打開するために、種々の検査法を用いた試薬開発が行われてきている。例えば、特表平1−503174号公報(特許文献1)を用いた方法や、米国特許6,448,001(特許文献2)に示すイムノクロマトグラフ法が挙げられる。これらの技術を用いた方法では、名刺の1/2程度の大きさの試薬を室温で保存でき、ベットサイドで極めて簡便に分析対象物の有無を判定することが可能となっている。しかしながら、これらの方法は判定を目視により行うため、感度が必ずしも高くなく、また、定量を行う事はできず、1回の分析に採血量100μL程度を要することから、患者負担を軽減するに至っていない。
【0004】
こうした点を打開するために、特開昭63−273042号公報(特許文献3)に記載されているようなエバネッセント波を用いた分析装置も開発されている。この装置を用いると、定量を行う事は可能となるが、1回の分析に採血量20〜50μLを要するために、先の分析技術よりも改善されているものの、解決には至っていない。
【0005】
近年、MicroTAS(Micro Total Analysis System,マイクロ総合分析システム)といわれるマイクロ流体システム技術を用いた分析方法が考案され、生体高分子の分析、同定、精製等に用いられてきている。その背景には、ゲノム解析、プロテオミクスなどに代表されるバイオ技術分野において、極微量のサンプルから短時間で多くの情報を入手したいという要望が高まっていることがある。
【0006】
マイクロ流体システムでは、流路を小型化、マイクロ化することにより、単位体積あたりの反応表面積が増大することがわかっているので、このことから反応時間が大幅に短縮でき、単位時間あたりに入手できる情報が多くなる。さらに、その容量が微量なので流体の温度均一性を保つのが容易になり、また、試薬使用量及び廃液を大幅に削減できるなど、多くの効果が得られる。
【0007】
このように、マイクロ流体システムは、化学産業、製薬産業をはじめ、食品産業、農業技術など多くのバイオ関連産業を含む、非常に多くの産業に大きな影響を与えるものと考えられる。
【0008】
こうしたマイクロ流体システムを用いた免疫測定は、Satoらによって実証されている(Analytical Chemistry 2001, 73, 1213-1218(非特許文献1)、特開昭2001−4628号公報(特許文献4))。彼らの方法では、ガラス製のマイクロチップ中の幅200μm、深さ100μm、長さ50.4mmの流路の途中にダムのような構造を設け、このダムで堰き止められることが可能な粒径のポリスチレンビーズにマウス抗癌胎児性抗原抗体を結合させておく。流路入口から、このマウス抗癌胎児性抗原抗体結合ビーズを流し込みダム手前に該抗体結合ビーズを堰き止めることにより、抗体結合ビーズ領域を作る。ここに、種々の濃度の癌胎児性抗原を流し込み、マウス抗体結合ビーズ−抗原結合体を作る。洗浄後、ウサギ抗癌胎児性抗原抗体を反応させて、マウス抗体結合ビーズ−抗原−ウサギ抗癌胎児性抗原抗体結合体を作る。さらに洗浄後、金コロイド標識抗ウサギIgG抗体を反応させて、マウス抗癌胎児性抗原抗体結合ビーズ−抗原−ウサギ抗癌胎児性抗原抗体−金コロイド標識抗ウサギIgG抗体結合体を作る。この後、洗浄後、熱レンズ顕微鏡(Analytical Chemistry 2001, 73, 2112-2116(非特許文献2))で、結合した金コロイド量から結合した抗原である、癌胎児性抗原の濃度を定量するというものである。彼らは、従来の酵素免疫測定法(ELISA)で、45時間要していた反応をマイクロ流体システムを用いることにより30分にまで短縮することに成功しており、測定感度もELISA で1ng/mLであったのに対して、マイクロ流体システムを用いることにより、0.03ng/mLの検出感度に達している。さらに、用いるサンプル容量も5μLと微量になっている。
【0009】
しかしながら、Satoら分析に用いるマイクロチップ作製の工程が非常に複雑で、コストダウンが図れないのが最大の欠点である。例えば、該マイクロチップの作成の具体的な工程には、次のものが挙げられる。始めに、パイレックス(登録商標:コーニング社製)製などのガラスの洗浄を行う。通常、数種類の薬液を用いて洗浄を行う。乾燥後、このガラスにフォトレジストを塗布する。この後、露光装置にマスク、ガラスをセットして露光する。この後、現像液に浸して現像を行い、所定時間経過後にリンス液中で洗浄する。洗浄後、フッ化水素でエッジングを行い、この時点で流路を作製する。この後、フォトレジストを除去して、流路が彫られた側は完成となる。流体を流せるようにするには、この流路が彫られたガラスに、流路入口及び流路出口をドリルなどで穴開け加工した対となるガラスを密着させ、650℃5時間程度融着させる。こうして、流体を流すことが可能なマイクロチップが完成する。しかし、抗原などの生体高分子の結合を分析するためにはこれだけでは不十分で、抗体を結合させたポリスチレンビーズを、流路入口から流し込み、反応領域となる箇所に堰き止め、これで始めて生体高分子の分析に用いることが可能になる。以上のように、ガラスを用いたチップは工程が非常に多く、大量生産に必ずしも向いておらず、コストダウンを図ることができない。
【0010】
このように、Satoらの分析に用いるマイクロチップ作製においては、マイクロチャンネルを形成するための2枚の基板の融着に650℃程度の加熱を必要とする。このため、抗体等のタンパク質に対して加熱を避けるために、2枚の基板の融着することによりマイクロチャンネルを形成した後に、抗原抗体反応により試料中の免疫物質を捕獲させるための固相としてガラスビーズ又は高分子ビーズに結合させた抗体を、該マイクロチャンネル内に導入して、マイクロチャンネル内部に堰き止めた状態として使用しなければならない。
【0011】
素材にプラスチックを用いたマイクロチップ製造技術も報告されている(Analytical
Chemistry;69(14);2626-2630(非特許文献3))。非特許文献3に示されているマイクロチップはDNAを電気泳動で分離するための装置にすぎず、生物学的物質を特異的結合により捕獲し分析するものではない。非特許文献3に示されているマイクロチップの作製方法は、射出成型により微細流路に対応する鋳型に融解したプラスチックを流し込み、微細流路に対応する部材を成型し、これとは別に準備した部材を何らかの方法で接着することにより、微細流路を有するマイクロチップを作製するというものである。この方法は、ガラスチップなどに比べると、工程が少なく大量生産、コストの面で非常に有利である。しかしながら、この方法でSatoらの行った様な様式で生物学的物質を特異的結合により捕獲し分析するには、ダムのような形状を鋳型となる側に設けておき、上述のような方法でマイクロチップを作製し、抗体結合ビーズを導入することにより実施するしかない。そのため、マイクロチップ自体は安価にできるにもかかわらず、その後の工程のために、必ずしもコスト的にメリットがあるとは考えられない。
【0012】
WO01/034302(特許文献5)に、ミクロ流体デバイスを用いた生体材料とのハイブリダイゼーションのためのバイオチャンネルアッセイが報告されている。該文献にはマイクロチャンネル内に形成されたミクロ構造物、または充填されたビーズ上に、特異的結合対メンバー、例えば、DNA、RNA、ポリペプチド、核酸および抗体/抗原を固定した状態で、マイクロチャンネル内に試料を流して、結合対を生成し検出することが示されているが、生物学的物質が失活しないように、分析装置を製造することに関して具体的な提案はない。
【0013】
WO02/065138(特許文献6)に、生体高分子と試料との結合の検出をマイクロチップ上で行ったり、結合した化合物を回収しその同定を行うことが示されている。
【特許文献1】
特表平1−503174号公報
【特許文献2】
米国特許6,448,001
【特許文献3】
特開昭63−273042号公報
【特許文献4】
特開2001−4628号公報
【特許文献5】
WO01/034302
【特許文献6】
WO02/065138
【特許文献7】
特開平11−187900号公報
【特許文献8】
米国特許5,445,934
【特許文献9】
米国特許5,807,522
【特許文献10】
特開2000−356611号公報
【特許文献11】
特表平9−503060号公報(WO95/08774)
【非特許文献1】
Analytical Chemistry 2001, 73, 1213-1218
【非特許文献2】
Analytical Chemistry 2001, 73, 2112-2116
【非特許文献3】
Analytical Chemistry;69(14);2626-2630
【非特許文献4】
FASEB J. 2000 Jun;14(9):1041-60.
【非特許文献5】
J.Biomol Struct Dyn. 1999 Oct;17(2):175-191
【非特許文献6】
Molecular cloning second edition, Sambrook、Fritsch 、Maniatis著、ColdSpring Harbor Lavoratory Press, 1989, 9.14-9.19
【非特許文献7】
Applied Biosystems DNA Synthesizer model 391 user manual“User Bulletin No.50 ”
【0014】
抗体を、マイクロチップ内のチャンネルと呼ばれる流路内に固定化するのに、流路を形成するための2枚の部材の流路となる箇所に予め、抗体を固定化して、次いで2枚の部材を熱融着や接着剤により接合する方法が用いられる。この接合の際に必要とされる熱や、或いは接着剤の影響により、抗体の特異的結合性の失活が引き起こされるという問題があった。マイクロチップのような極めて微量な抗体を正確な量で固定化し、極めて微量な検体に含まれていると疑われる測定すべき抗原を精度よく分析するための分析装置を構築するには、接合時の熱の影響は無視できない。
【0015】
そこで、分析装置の製造過程に熱の負荷の影響が存在しても、マイクロチャンネルの流路となる部分に固定されるべき抗体の失活等の影響が無く、しかも抗体を容易に固定化可能な分析装置の出現が望まれる。
【0016】
従来のマイクロチャンネルを形成した生物学的物質の分析装置は、測定すべき特定の生物学的物質に特化したものであり、他の生物学的物質の分析に容易に転用できず、汎用性がないので、製造コストにおいて不利であった。
【0017】
本発明はこれらの課題を解決するためになされるものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の分析装置の製造方法は、以下の(1)−(4)の工程を含むことを特徴とする。
(1)幅1μm−5mm、深さ1μm−750μmの断面の溝を有するプラスチック製の第1部材と、該溝を覆うことができるプラスチック製の第2部材を用意し、
該溝は第1部材と第2部材を接合したときに流路となる部分であり、該第1部材又は第2部材の何れかに、あるいは両方に流路入口及び流路出口を有し、
(2)第1部材及び/又は第2部材における流路となることが予定されている部分であって、測定されるべき抗原を捕獲するためのゾーンとなる部分に、任意の塩基配列の複数種類の第1核酸(N1g:gは整数)を各々独立させて、タンパク質を介さずに且つ直接共有結合により固定化し、
(3)次いで、第1部材及び第2部材を融着により接合することにより流路を形成した接合体とし、
(4)該接合体の流路に、捕獲ゾーンに固定化された複数種類の第1核酸(N1g:gは整数)の種類毎に対応した少なくとも相補的塩基配列を有する複数種類の第2核酸(N2h:hは整数)と、測定されるべき1種類以上の抗原の種類毎に対応した特異的結合性を有する複数種類の第1抗体(L1i:iは整数)とからなる結合体(N2h−L1i:hとiは独立した整数)を含む試薬Aを流して、捕獲ゾーンの複数種類の第1核酸(N1g:gは整数)に該結合体(N2h−L1i:hとiは独立した整数)を特異的結合により固定化させる。
【0031】
分析装置
図1は本発明に用いられる分析装置の概略を示した平面図であり、図2はその断面図の1例である。1は分析装置であり、第1部材5と第2部材6が接合されて構成されている。第1部材5には、幅1μm−5mm、好ましくは5μm−2mm、最も好ましくは10μm−500μm、深さ1μm−750μm、好ましくは5μm−500μm、最も好ましくは10μ−100μmの断面の溝が形成されており、第2部材6と接合されたときに、流路2を形成する。流路の一方の端には流路入口3と他方の端には流路出口4が設けられている。この流路入口、流路出口の間に試薬、試料を導入するするための導入口を1個以上設けることや、目的に応じてこうした流路につながる別の流路を設けることも可能である。流路2内には抗原を捕獲し、分析するための捕獲ゾーン7が設けられている。
【0032】
図3は、流路入口が一つであり、流路の途中で複数の流路に分岐し、流路出口が複数ある場合の分析装置の態様を示す。図3の分析装置1Aでは、一つの流路2から分岐した複数の各流路内に、抗原を捕獲し、分析するための捕獲ゾーン7−1、7−2、7−3、7−4、7−5、7−6が設けられ、流路において一つの流路入口3と複数の流路出口4−1、4−2、4−3、4−4、4−5、4−6が設けられている。
【0033】
図4は、流路入口が複数であり、各流路の途中で1本の流路に収束し、流路出口が一つの場合の分析装置の態様を示す。図4の分析装置1Bでは、複数の各流路2内に、抗原を捕獲し、分析するための捕獲ゾーン7−1、7−2、7−3、7−4、7−5、7−6が設けられ、流路において複数の流路入口3−1、3−2、3−3、3−4、3−5、3−6と一つの流路出口4が設けられている。
【0034】
図5は、流路入口が一つであり、流路の途中で複数の流路に分岐し、さらに各流路の途中で1本の流路に収束し、流路出口が一つの場合の分析装置の態様を示す。図5の分析装置1Cでは、一つの流路2から分岐した複数の各流路内に、抗原を捕獲し、分析するための捕獲ゾーン7−1、7−2、7−3、7−4、7−5、7−6が設けられ、分岐する手前の流路において一つの流路入口3が設けられ、収束した後の流路において一つの流路出口4が設けられている。
【0035】
図6は、1種類以上の抗原を分析するための分析装置であり、流路入口が一つであり流路出口が一つである場合の態様を示す。試料中に含まれる抗原を捕獲するための捕獲ゾーンにおいて、該抗原を含む複合体を捕獲するための第1核酸(N1g :g は整数)が種類毎に各々独立して固定化されている。
【0036】
前記に説明した流路を複数有する図3、図4、図5のタイプの分析装置では、各流路内に捕獲ゾーンを設け、各捕獲ゾーン毎に種類の異なる抗原を含む複合体を捕獲させるための第1核酸(N1g :g は整数)を固定化してもよく、また、各捕獲ゾーンにおいて第1核酸(N1g :g は整数)を種類毎に各々独立して固定化してもよい。又、各捕獲ゾーンにおいて、複数種類の第1核酸(N1g :g )を混在させて固定化することもできる。勿論、複数の捕獲ゾーンにおいて全て同一種類の第1核酸(N1)を固定することもできる。これらの流路入口、流路出口の途中に試薬、試料を導入するための導入口をさらに1個以上設けることや、目的に応じてこうした流路につながる別の流路を設けることも可能である。
【0037】
本発明における分析装置1内に形成される流路2の断面は、正方形、長方形、多角形、半円形、円弧形、U字形、V字形の何れであってもよい。
【0038】
第1部材5及び第2部材6の材質としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS:略語、Anal.Chem.,Vol.69,pp.3451-3457,1997 )、アクリル系樹脂(Anal.Chem.,Vol.69,pp.2626,1997)、ポリメチルメタクリレート(PMMA:略語、Anal.Chem.,Vol.69,pp.4783,1997)、環状オレフィンコポリマー、あるいは、これらの部材の表面にポリ−L−リジン、カルボジイミド、アミノ基、アルデヒド基、マレイミド基、デキストランなどで表面が修飾された物質等が用いられる。
【0039】
第1部材及び第2部材は、例えば、次の方法により製造することができる。まず鋳型をシリコンウエハーのエッチングにより作成しておく。これに融解したポリマーを流し込んで構造を転写し、ポリマーを固化させる。転写により、幅1μm−5mm、好ましくは5μm−2mm、最も好ましくは10μm−500μm、深さ1μm−750μm、好ましくは5μm−500μm、最も好ましくは10μ−100μmの断面の溝の流路が形成され、分析有効長が数mm〜数10cmの分析装置の部材が形成される。PDMSを素材とすればガラスやPDMSとの自然吸着により簡単に流路のシーリングが行える。プラスチックを用いたマイクロチャンネルは量産化が容易なので、コストの点で有利である。またガラスの場合は、フッ化水素の反応時間によって深さを調整しなければならないが、プラスチック製の場合は、一度鋳型を作製してしまえば射出成型の技術により再現性高く生産することが可能となる。
【0040】
分析キット
前記した課題を解決するための本発明の分析キットには、次の一番目〜十番目の分析キットが挙げられる。
【0041】
本発明の一番目の分析キットは、試薬と分析装置が別体であり、次の試薬Aと試薬Bと分析装置を組み合わせてなる分析キットであって、試薬Aと試薬Bが同一の系に含まれていても、或いは独立して存在してもよい分析キットである。すなわち、本発明の一番目の分析キットに用いられる分析装置は、幅1μm−5mm、深さ1μm−750μmの断面の溝を有する第1部材と、該溝を覆うことができる第2部材とを接合することにより液体が通過できる流路が形成され、該流路内に設けた第1部材上及び/又は第2部材上の捕獲ゾーンにおいて、第1部材と第2部材の接合前に、任意の塩基配列の第1核酸(N1)が固定化された分析装置である。また、本発明の一番目の分析キットに用いられる試薬Aは、該分析装置の捕獲ゾーンに固定化された第1核酸(N1)の塩基配列に少なくとも相補的な配列を有する第2核酸(N2)と、測定されるべき抗原(O)に特異的結合性を有する第1抗体(L1)とからなる結合体(N2−L1)を含む試薬である。また、本発明の一番目の分析キットに用いられる試薬Bは、測定されるべき抗原(O)に特異的結合性を有する第2抗体(L2)と標識物(M)が結合されてなる結合体(L2−M)を含む試薬である。
【0042】
本明細書に記載の分析キットにおいて、「試薬Aと試薬Bが同一の系に含まれている」とは、試薬Aと試薬Bが均一に混ざり合った状態のことを意味し、「試薬Aと試薬Bが独立して存在する」とは、試薬Aと試薬Bが別体となって、分離した状態であることを意味する。
【0043】
図7は、本発明の一番目の分析キットの概念図を示し、分析装置、第1試薬、第2試薬が独立して存在する例を示す。枠で囲った意味は他とは独立して存在していること、すなわち、別体となって、分離した状態で使用可能なことを意味する。図7における11は、分析装置の流路内の捕獲ゾーンのみを示しており、固相(S)上に第1核酸(N1)が固定されている状態の図である。図7における12は、第2核酸に第1抗体(L1)が結合されてなる結合体(N1−L1)を含む試薬Aを表す図である。図7における13は、第2抗体(L2)に標識(M)が結合してなる結合体(L2−M)を含む試薬Bを表す図である。
【0044】
標識(M)と第2抗体(L2)の結合様式は、本発明の一番目の分析キットに限られず、本発明の全ての分析キットに適用される。図7では試薬A12と試薬B13は異なる枠の中に表され、即ち、互いに独立して存在することが示されているが、図7とは異なる形態として、試薬A12と試薬B13が同一の枠に存在し、均一に混合された形態、即ち、同一の系でもよい。
【0045】
本発明の二番目の分析キットは、前記第一番目の分析キットにおいて、第2抗体(L2)に標識(M)が結合してなる結合体(L2−M)を含む試薬Bに代えて、次の試薬B’と試薬Cを使用するものである。即ち、本発明の二番目の分析キットは、試薬と分析装置が別体であり、次の試薬A、試薬B’、試薬C及び分析装置を組み合わせてなる分析キットであって、試薬A,試薬B’及び試薬Cの内2種以上は同一の系に含まれていても、或いは独立して存在してもよい分析キットである。
【0046】
i) 幅1μm−5mm、深さ1μm−750μmの断面の溝を有する第1部材と、該溝を覆うことができる第2部材とを接合することにより液体が通過できる流路が形成され、該流路内に設けた第1部材上及び/又は第2部材上の捕獲ゾーンにおいて、第1部材と第2部材の接合前に、任意の塩基配列の第1核酸(N1)が固定化された分析装置;
ii) 該分析装置の捕獲ゾーンに固定化された第1核酸(N1)の塩基配列に少なくとも相補的な配列を有する第2核酸(N2)と、測定されるべき抗原(O)に特異的結合性を有する第1抗体(L1)とからなる結合体(N2−L1)を含む試薬A;
iii) 測定されるべき抗原(O)に特異的結合性を有する第2抗体(L2)を含む試薬B’;及び、 iv) 該第2抗体(L2)に特異的結合性を有する第3抗体(L3)と、標識物(M)とからなる結合体(L3−M)を含む試薬C。
【0047】
本発明の三番目の分析キットは、試薬と分析装置が別体であり、以下の分析装置と試薬Aからなり、標識物を含まないキットである。本発明の三番目の分析キットは、標識物を予め導入した抗原を分析対象物としているため、キットの構成要素として標識物を含ませる必要がない。
【0048】
i) 幅1μm−5mm、深さ1μm−750μmの断面の溝を有する第1部材と、該溝を覆うことができる第2部材とを接合することにより液体が通過できる流路が形成され、該流路内に設けた第1部材上及び/又は第2部材上の捕獲ゾーンにおいて、第1部材と第2部材の接合前に、任意の塩基配列の第1核酸(N1)が固定化された分析装置;及び、
ii) 該分析装置の捕獲ゾーンに固定化された第1核酸(N1)の塩基配列に少なくとも相補的な配列を有する第2核酸(N2)と、測定されるべき抗原(O)に特異的結合性を有する第1抗体(L1)とからなる結合体(N2−L1)を含む試薬A。
本発明の四番目の分析キットは、試薬の一部、即ち、抗原に特異的結合性を有する抗体が、分析装置内に固定化されている場合のキットである。即ち、本発明の四番目の分析キットは、試薬と分析装置が別体であり、次の試薬Bと分析装置を組み合わせてなる分析キットである。
【0049】
i) 幅1μm−5mm、深さ1μm−750μmの断面の溝を有する第1部材と、該溝を覆うことができる第2部材とを接合することにより液体が通過できる流路が形成され、該流路内に設けた第1部材上及び/又は第2部材上の捕獲ゾーンにおいて、第1部材と第2部材の接合前に、任意の塩基配列の第1核酸(N1)が固定化された分析装置であって、測定されるべき抗原(O)に対し特異的結合性を有する第1抗体(L1)と、前記固定化第1核酸(N1)に対し少なくとも相補的塩基配列を有する第2核酸(N2)とからなる結合体(N2−L1)を、第1核酸(N1)と第2核酸(N2)との特異的結合により捕獲ゾーンに形成して固定化してなる分析装置;及び、
ii) 測定されるべき抗原(O)に特異的結合性を有する第2抗体(L2)と標識物(M)が結合されてなる結合体(L2−M)を含む試薬B。
【0050】
図8は、前記本発明の四番目の分析キットの概念図である。図8において四角い枠で囲った意味は、分析装置、試薬が独立して存在していることを示す。図8における14は、分析装置の流路内の捕獲ゾーンのみを示した分析装置であり、固相(S)上に第1核酸(N1)が固定され、第2核酸と第1抗体(L1)からなる結合体(N2−L1)が相補的核酸塩基の特異的結合により該第1核酸(N1)に結合された状態を示す。図8における15は、第2抗体(L2)に標識(M)が結合してなる結合体(L2−M)を含む試薬Bを表す。
【0051】
本発明の五番目の分析キットは、前記四番目の分析キットにおいて、第2抗体(L2)に標識(M)が結合してなる結合体(L2−M)を含む試薬Bに代えて、次の試薬B’と試薬Cを使用するものである。即ち、本発明の五番目の分析キットは、試薬と分析装置が別体であり、次の試薬B’、試薬C及び分析装置を組み合わせてなる分析キットである。
【0052】
i) 幅1μm−5mm、深さ1μm−750μmの断面の溝を有する第1部材と、該溝を覆うことができる第2部材とを接合することにより液体が通過できる流路が形成され、該流路内に設けた第1部材上及び/又は第2部材上の捕獲ゾーンにおいて、第1部材と第2部材の接合前に、任意の塩基配列の第1核酸(N1)が固定化された分析装置であって、測定されるべき抗原(O)に対し特異的結合性を有する第1抗体(L1)と、前記固定化第1核酸(N1)に対し少なくとも相補的塩基配列を有する第2核酸(N2)とからなる結合体(N2−L1)を、第1核酸(N1)と第2核酸(N2)との特異的結合により捕獲ゾーンに結合体(N1−N2−L1)の形態で形成して固定化してなる分析装置;及び、
ii) 測定されるべき抗原(O)に特異的結合性を有する第2抗体(L2)を含む試薬B’;及び、
iii) 該第2抗体(L2)に特異的結合性を有する第3抗体(L3)と、標識物(M)とからなる結合体(L3−M)を含む試薬C。
【0053】
本発明の六番目の分析キットは、前記一番目の分析キットの構成を基にして、1種類以上の抗原(O)の分析ができるように改造したものである。即ち、本発明の六番目の分析キットは、試薬と分析装置が別体であり、次の試薬A、試薬B及び分析装置を組み合わせてなる分析キットであって、試薬Aと試薬Bは同一の系に含まれていても、或いは独立して存在してもよい分析キットである。
【0054】
i) 幅1μm−5mm、深さ1μm−750μmの断面の溝を有する第1部材と、該溝を覆うことができる第2部材とを接合することにより液体が通過できる流路が形成され、該流路内に設けた第1部材上及び/又は第2部材上の捕獲ゾーンにおいて、第1部材と第2部材の接合前に、任意の塩基配列の複数種類の第1核酸(N1g :g は整数)が種類毎に各々独立して固定化された分析装置;
ii) 該捕獲ゾーンに固定化された複数種類の第1核酸(N1g :g は整数)の種類毎に対応した少なくとも相補的塩基配列を有する複数種類の第2核酸(N2h :h は整数)と、測定されるべき1種類以上の抗原(Ok :k は整数)の種類毎に対応した特異的結合性を有する複数種類の第1抗体(L1i :i は整数)とからなる結合体(N2h −L1i :h とi は独立した整数)を含む試薬A;及び、
iii) 測定されるべき1種類以上の抗原(Ok :k は整数)の種類毎に対応した特異的結合性を有する1種類以上の第2抗体(L2j :j は整数)と、1種類以上の標識物(Ml :l は整数)が結合されてなる結合体(L2j −Ml :j と lは独立した整数)を含む試薬B。
【0055】
本明細書において、複数種類の第1核酸(N1g :g は整数)とは、N11 、N12 、…、N1g ( g は整数)からなる複数種類の第1核酸を意味する。同様に、複数種類の第2核酸(N2h :h は整数)もN21 、N22 、…、N2h ( h は整数)からなる複数種類の第2核酸を意味する。複数種類の第1抗体(L1i :i は整数)に付したi 、1種類以上の第2抗体(L2j :j は整数)に付したj 、1種類以上の抗原(Ok :k は整数)に付したk 、1種類以上の標識物(Ml :l は整数)も、各々の物質の種類が1、2、…等の1種類以上又は複数種類存在することを意味する。
【0056】
本発明の七番目の分析キットは、前記二番目の分析キットの構成を基にして、1種類以上の抗原の分析ができるように改造したものであり、かつ、前記六番目の分析キットにおいて、第2抗体−標識物(試薬B)に代えて、第2抗体(試薬B’)、第3抗体−標識物(試薬C)とした分析キットである。即ち、本発明の七番目の分析キットは、試薬と分析装置が別体であり、次の試薬A、試薬B’、試薬C及び分析装置を組み合わせてなる分析キットであって、試薬A,試薬B’及び試薬Cの内2種以上は同一の系に含まれていても、或いは独立して存在してもよい分析キットである。
【0057】
i) 幅1μm−5mm、深さ1μm−750μmの断面の溝を有する第1部材と、該溝を覆うことができる第2部材とを接合することにより液体が通過できる流路が形成され、該流路内に設けた第1部材上及び/又は第2部材上の捕獲ゾーンにおいて、第1部材と第2部材の接合前に、任意の塩基配列の複数種類の第1核酸(N1g :g は整数)が種類毎に各々独立して固定化された分析装置;
ii) 該捕獲ゾーンに固定化された複数種類の第1核酸(N1g :g は整数)の種類毎に対応した少なくとも相補的塩基配列を有する複数種類の第2核酸(N2h :h は整数)と、測定されるべき1種類以上の抗原(Ok :k は整数)の種類毎に対応した特異的結合性を有する複数種類の第1抗体(L1i :i は整数)とからなる結合体(N2h −L1i :h とi は独立した整数)を含む試薬A;
iii) 測定されるべき1種類以上の抗原(Ok :k は整数)の種類毎に対応した特異的結合性を有する1種類以上の第2抗体(L2j :j は整数)を含む試薬B’;及び、
iv) 該1種類以上の第2抗体(L2j :j は整数)に種類毎に特異的結合性を有する1種類以上の第3抗体(L3m :m は整数)と、1種類以上の標識物(Ml :lは整数)とからなる結合体(L3m −Ml :m とl は独立した整数)を含む試薬C。
【0058】
本発明の八番目の分析キットは、前記三番目の分析キットの構成を基にして、1種類以上の抗原の分析ができるように改造したものである。本発明の八番目の分析キットは、標識物を導入した複数種類の分析対象物のための分析キットであり、分析キット自体は、標識物を含まない。即ち、本発明の八番目の分析キットは、試薬と分析装置が別体であり、次の試薬Aと分析装置とからなる分析キットである。
【0059】
i) 幅1μm−5mm、深さ1μm−750μmの断面の溝を有する第1部材と、該溝を覆うことができる第2部材とを接合することにより液体が通過できる流路が形成され、該流路内に設けた第1部材上及び/又は第2部材上の捕獲ゾーンにおいて、第1部材と第2部材の接合前に、任意の塩基配列の複数種類の第1核酸(N1g :g は整数)が種類毎に各々独立して固定化された分析装置;
ii) 該分析装置の捕獲ゾーンに各々独立して固定化された複数種類の第1核酸(N1g :g は整数)の塩基配列に対応した少なくとも相補的塩基配列を有する複数種類の第2核酸(N2h :h は整数)と、測定されるべき1種類以上の抗原(Ok :k は整数)の種類毎に特異的結合性を有する複数種類の第1抗体(L1i :i は整数)とからなる結合体(N2h −L1i :h とi は独立した整数)を含む試薬A。
【0060】
本発明の九番目の分析キットは、前記四番目の分析キットの構成を基にして、1種類以上の抗原の分析ができるように改造したものである。本発明の九番目の分析キットは、試薬の一部としての、抗原に特異的結合性を有する抗体が分析装置内に固定化されている場合のキットであり、試薬と分析装置が別体であり、次の試薬Bと分析装置を組み合わせてなる分析キットである。
【0061】
i) 幅1μm−5mm、深さ1μm−750μmの断面の溝を有する第1部材と、該溝を覆うことができる第2部材とを接合することにより液体が通過できる流路が形成され、該流路内に設けた第1部材上及び/又は第2部材上の捕獲ゾーンにおいて、第1部材と第2部材の接合前に、任意の塩基配列の複数種類の第1核酸(N1g:gは整数)が種類毎に各々独立して固定化された分析装置であって、測定されるべき1種類以上の抗原(Ok :k は整数)の種類毎に対応した特異的結合性を有する複数種類の第1抗体(L1i :i は整数)と、前記複数種類の固定化第1核酸(N1g :g は整数)の種類毎に対応した少なくとも相補的塩基配列を有する複数種類の第2核酸(N2h :h は整数)とからなる結合体(N2h −L1i :h とi は独立した整数) を、第1核酸と第2核酸の特異的結合により捕獲ゾーンに形成して固定化してなる分析装置;及び、
ii) 測定されるべき1種類以上の抗原の種類毎に特異的結合性を有する1種類以上の第2抗体(L2j :j は整数)と1種類以上の標識物(Ml :l は整数)が結合されてなる結合体(L2j −Ml :j と lは独立した整数)を含む試薬B。
【0062】
本発明の十番目の分析キットは、前記五番目の分析キットの構成を基にして、1種類以上の抗原の分析ができるように改造したものである。本発明の十番目の分析キットは、試薬の一部としての、抗原に特異的結合性を有する抗体が分析装置内に固定化されている場合のキットであり、試薬と分析装置が別体であり、次の試薬B’と試薬Cと分析装置を組み合わせてなる分析キットである。
【0063】
i) 幅1μm−5mm、深さ1μm−750μmの断面の溝を有する第1部材と、該溝を覆うことができる第2部材とを接合することにより液体が通過できる流路が形成され、該流路内に設けた第1部材上及び/又は第2部材上の捕獲ゾーンにおいて、第1部材と第2部材の接合前に、任意の塩基配列の複数種類の第1核酸(N1g:gは整数)が種類毎に各々独立して固定化された分析装置であって、測定されるべき1種類以上の抗原(Ok :k は整数)の種類毎に対応した特異的結合性を有する複数種類の第1抗体(L1i :i は整数)と、前記複数種類の固定化第1核酸(N1g :g は整数)の種類毎に対応した少なくとも相補的塩基配列を有する複数種類の第2核酸(N2h :h は整数)とからなる結合体(N2h −L1i :h とi は独立した整数) を、第1核酸と第2核酸の特異的結合性により形成して捕獲ゾーンに結合体(N1g−N2h−L1i:g、h及びiは独立した整数)の形態で各々独立して固定化してなる分析装置;
ii) 測定されるべき1種類以上の抗原(Ok :k は整数)の種類毎に対応した特異的結合性を有する1種類以上の第2抗体(L2j :j は整数)を含む試薬B’;及び、
iii) 該1種類以上の第2抗体(L2j :j は整数)の種類毎に対応した特異的結合性を有する1種類以上の第3抗体(L3m :m は整数)と、1種類以上の標識物(Ml :l は整数)とからなる結合体(L3m −Ml :m とl は独立した整数)を含む試薬C。
【0064】
本発明の分析キットを構成するために使用することができる核酸には、5塩基以上の核酸塩基からなるDNA、RNA、PNA(FASEB J. 2000 Jun;14(9):1041-60.(非特許文献4))、あるいはLNA(Locked Nucleic Acid の略語:J Biomol Struct Dyn. 1999 Oct;17(2):175-191 (非特許文献5))が挙げられる。
【0065】
本発明の分析キットに含まれる第1抗体(L1)及び第2抗体(L2)は、反応性が同一であっても、異なっていてもよい。例えば、各々第1抗体(L1)及び第2抗体(L2)は、同一の抗原に存在する異なるエピトープに反応性を有するものであってもよいし、同一のエピトープに反応性を有するものであってもよい。
【0067】
本発明の分析キットに使用できる標識物(M)には、蛍光物質、金属コロイド、酵素、核酸、金属、糖、レクチン、ビオチン、ビオチンに結合性を有する物質(ストレプトアビジン、アビジン、ニュートリアビジン)が挙げられる。1種類以上の抗原の分析のための本発明の分析キットにおける第2抗体又は第3抗体に結合される1種類以上の標識物(Ml :l は整数)は、各々同一の物質であってもよく、異なる物質であってもよい。
【0068】
標識を導入された分析対象物としての抗原を分析する装置として、試薬が分析装置の流路内の捕獲ゾーンに固定化されている分析装置であれば、該試薬を別体として用いることなく、分析装置を構築することができる。このような抗原の分析装置は、幅1μm−5mm、深さ1μm−750μmの断面の溝を有する第1部材と、該溝を覆うことができる第2部材とを接合することにより液体が通過できる流路が形成され、該流路内に設けた第1部材上及び/又は第2部材上の捕獲ゾーンにおいて、第1部材と第2部材の接合前に、任意の塩基配列の第1核酸(N1)が固定化された分析装置であって、測定されるべき抗原(O)に対し特異的結合性を有する第1抗体(L1)と、前記固定化第1核酸(N1)に対し少なくとも相補的塩基配列を有する第2核酸(N2)とからなる結合体(N2−L1)を、第1核酸(N1)と第2核酸(N2)との特異的結合性により捕獲ゾーンに形成して固定化してなる分析装置である。該分析装置では、標識が導入された抗原を分析対象物としているので、分析するのに標識物を含む試薬を用いる必要がなく、後記に詳述する分析方法で適用できる。
【0069】
また、標識を導入された分析対象物としての1種類以上の抗原を分析する装置として、次の分析装置を構成することができる。即ち、幅1μm−5mm、深さ1μm−750μmの断面の溝を有する第1部材と、該溝を覆うことができる第2部材とを接合することにより液体が通過できる流路が形成され、該流路内に設けた第1部材上及び/又は第2部材上の捕獲ゾーンにおいて、第1部材と第2部材の接合前に、任意の塩基配列の複数種類の第1核酸(N1g :g は整数)が種類毎に各々独立して固定化された分析装置であって、測定されるべき1種類以上の抗原(Ok :k は整数)の種類毎に対応した特異的結合性を有する複数種類の第1抗体(L1i :i は整数)と、前記複数種類の固定化第1核酸(N1g :g は整数)の種類毎に対応した少なくとも相補的塩基配列を有する複数種類の第2核酸(N2h :h は整数)とからなる結合体(N2h −L1i :iとh は独立した整数)を、第1核酸(N1g :g は整数)と第2核酸(N2h :h は整数)との特異的結合性により結合して捕獲ゾーンに種類毎に独立して固定化してなる分析装置である。
【0070】
上記の本発明の各分析キットに用いられる分析装置、あるいは本発明の各分析装置において、第1部材、或いは第2部材の流路となる箇所の捕獲ゾーンとなる部位に、DNAを結合させる方法としては、サーマルインクジェットヘッドにより核酸を含む液体を液滴として、固相に付着させて、核酸を固定化する方法(特開平11−187900(特許文献7))、シリコン等の支持体にフォトリソグラフ法で複数のオリゴヌクレオチドを並べて形成するアフィメトリクス方式(米国特許5,445,934(特許文献8)等)、またはスライドガラスに多種の核酸をスポッティングによって並べて固定化するスタンフォード式(米国特許5,807,522(特許文献9))などが本発明における分析装置の製造方法に適用可能である。
【0071】
上記の本発明に用いられる各分析装置では、流路内に固定化された第1核酸(N1)に、さらに該第1核酸(N1)の塩基配列に少なくとも相補的塩基配列の第2核酸(N2)と第1抗体(L1)とからなる結合体(N2−L1)を含む溶液を流路内に送液して、結合体(N2−L1)を該第1核酸(N1)に特異的に結合させて固定化させているので、結合体(N2−L1)の固定化の作業は、第1部材と第2部材を接合した後に行うことができる。即ち、本発明では結合体(N2−L1)の固定化の作業は、第1部材と第2部材を接合の後に行われるので、第1部材と第2部材の接合時の熱や接着剤の影響が第1抗体(L1)に及ばないという利点がある。
【0072】
また、本発明に用いられる分析装置では、固定化された第1核酸(N1)と、その後に固定化を行う第2核酸(N2)と第1抗体(L1)からなる結合体(N2−L1)は、別体として作製されているので、固定化された第1核酸(N1)を有する分析装置を作製しておけば、第1抗体の種類を変えた種々の結合体(N2−L1i :i は整数)を作製し、目的とする抗原の種類に応じて、特異的に結合できる結合体(N2−L11 )、(N2−L12 )、…(N2−L1n )の内の一つを選択し、前記固定化した第1核酸(N1)に結合させて固定化できる。したがって、本発明に用いられる分析装置は、抗原の種類に特化した専用の分析装置を製造するための個々の多段の製造プロセスを行うことなく、抗原の種類に応じた、第2核酸と第1抗体からなる種々の結合体(N2−L11 )、(N2−L12 )、…(N2−L1i :i は整数)を用意しておけば、固定化された第1核酸(N1)を有する一種類の分析装置で無限の種類の抗原に対応した分析や、或いは分析装置の調製が簡単なプロセスで行える。
【0109】
分析装置の製造方法
本発明の分析装置の製造方法は、2枚の部材を融着する前に2枚の部材の流路となることが予定されている箇所に、リガンドを結合するための核酸を固定化しておくことに特徴を有する。本発明の分析装置の製造方法には、次の方法が挙げられる。
【0110】
(1)幅1μm−5mm、深さ1μm−750μmの断面の溝を有する第1部材と、該溝を覆うことができる第2部材を用意し、
該溝は第1部材と第2部材を接合したときに流路となる部分であり、該第1部材又は第2部材の何れかに、或いは両方に、流路入口及び流路出口を有し、
(2)第1部材及び/又は第2部材における流路となることが予定されている部分であって、測定されるべき抗原を捕獲するためのゾーンとなる部分に、任意の塩基配列の核酸(N1)を固定化し、
(3)次いで、第1部材及び第2部材を熱融着により接合することにより流路を形成した接合体とし、
(4)該接合体の流路に、捕獲ゾーンに固定化された第1核酸(N1)の塩基配列に少なくとも相補的塩基配列を有する第2核酸(N2)と、測定されるべき抗原に特異的結合性を有する第1抗体(L1)とからなる結合体(N2−L1)を含む試薬Aを導入し、捕獲ゾーンの第1核酸(N1)に該結合体(N2−L1)を特異的結合により結合させて固定化することにより分析装置を得る。
【0111】
測定すべき抗原が複数種類の場合には次の分析装置の製造方法が好ましい。
【0112】
(1)幅1μm−5mm、深さ1μm−750μmの断面の溝を有する第1部材と、該溝を覆うことができる第2部材を用意し、
該溝は第1部材と第2部材を接合したときに流路となる部分であり、該第1部材又は第2部材の何れかに、あるいは両方に流路入口及び流路出口を有し、
(2)第1部材及び/又は第2部材における流路となることが予定されている部分であって、測定されるべき抗原を捕獲するためのゾーンとなる部分に、任意の塩基配列の複数種類の第1核酸(N1g:gは整数)を各々独立させて固定化し、
(3)次いで、第1部材及び第2部材を融着することにより流路を形成した接合体とし、
(4)該接合体の流路に、捕獲ゾーンに固定化された複数種類の第1核酸(N1g:gは整数)の種類毎に対応した少なくとも相補的塩基配列を有する複数種類の第2核酸(N2h:hは整数)と、測定されるべき1種類以上の抗原の種類毎に対応した特異的結合性を有する複数種類の第1抗体(L1i:iは整数)とからなる結合体(N2h−L1i:hとiは独立した整数)を含む試薬Aを流して、捕獲ゾーンの複数種類の第1核酸(N1g:gは整数)に該結合体(N2h−L1i:hとiは独立した整数)を特異的結合により固定化することにより1種類以上の抗原の分析に適した分析装置を得る。
【0113】
本発明における分析装置の製造に用いる第1部材及び第2部材の材質は、ポリジメチルシロキサン、セラミックス、アクリロニトリル・ブタジエンゴム・スチレン樹脂、アクリロニトリル・エチレンプロピレンゴム・スチレン樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、メタクリルスチレン樹脂、ポリアミド・ナイロン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート・ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリスチレン樹脂、熱可塑性エラストマー樹脂、アロイ、液晶ポリマー樹脂、シクロオレフィン樹脂、熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、環状オレフィンコポリマー、及び、これらの部材表面が修飾されたものから選ばれたものが挙げられる。第1部材と第2部材は、同じ材質であっても、異なる材質であってもよい。
【0114】
本発明の分析装置の製造において、上記の各材質の第1部材及び第2部材の融着温度は、70℃−140℃であることが好ましい。70℃未満であると融着が十分ではなく、また140℃を越えると、これらの部材に直接固定される第1核酸が熱により影響を受けるからである。また、核酸はタンパク質に比べて溶剤に対して失活しないことが知られていることから(Molecular cloning second edition, Sambrook、Fritsch 、Maniatis著、ColdSpring Harbor Lavoratory Press, 1989, 9.14-9.19 (非特許文献6); Applied Biosystems DNA Synthesizer model 391 user manual "User Bulletin No.50"(非特許文献7))である。
前記に説明した、分析キット、分析装置、分析装置の製造方法において、使用される抗体は、測定されるべき抗原に対して特異的結合性を有する抗体である。
【0115】
本発明の分析装置の製造方法を用いると、抗原の分析を行うための、マイクロ流体システムによる抗原の分析装置を簡単な製造プロセスで、再現性高く製造することができるようになる。また、本発明の分析装置と試薬を組み合わせた分析キットを用いると、精度高く抗原を分析することができるようになり、臨床診断において有用である。
【0116】
本発明に使用する分析装置における第1核酸(N1)を結合した流路中に、該核酸に少なくとも相補的塩基配列を有する核酸に第1抗体(L1)を結合させることにより、直接、第1抗体(L1)を固相に結合させる場合に比べて、以下の1.〜3.の優位点が出現する。
【0117】
1.抗原を捕捉するためのリガンドとしての抗体はタンパク質であるが、タンパク質は、熱に不安定で、例えば、プラスチック素材のシーリングなどにおいて75〜112℃5分以上の条件が必要となるが(L.E. Locascio ら、J. Chromatogr. A、857(1999)275−284)、タンパク質はこうした温度ではきわめて不安定である。そのため、抗体を直接プラスチックなどに固定化を行い、シーリングを行った場合、失活してしまう可能性が極めて高い。しかしながら、オリゴヌクレオチドなどの核酸は、タンパク質に比べて熱や種々の有機溶媒に対して安定であることがわかっているため、100℃以上の温度でシーリングを行っても、相補的な核酸と結合能を保持していることが容易に予測される。実際、本明細書中、予備実験例で記載するが110℃で1時間加温してもハイブリダイゼーションの効率に影響が無いことが確認されている。そのため、本発明の様式により製造されたチップを用いると、固定化された核酸に対する相補的な核酸を抗体に結合させ、相補的核酸−抗体複合体を流路に流し、固相に結合された核酸と該相補的核酸−抗体複合体を結合させることにより、容易に抗体を結合させた微細流路を有するチップを作製することが可能となる。この一連の反応は、それぞれの試薬ごとに反応を行っても、反応の一部あるいは全てを同時に行うこともできる。例えば、Cainら(Allergy(1998)53、1213−1215)は、ダニ由来のアレルゲンの一種であるDer p1、Derf1などを熱処理してその抗原性の失活の程度を確認している。この実験成績によると、Der p1は100℃ 30分の加熱によってもとの抗原性の85%が、また、Derf1は、100℃30分の加熱によって98%の抗原性が失活することが確認されている。アレルギー検査のためにプラスチック材料上にこうした抗原を塗布し、溝を有する部材との熱融着を行う工程により抗原性が失活してしまい、正しい測定を行うことができない可能性が非常に高い。しかしながら、本発明による方法を用いるとこうした熱による抗原性の失活を回避できるため、抗原性失活のない状態で測定を行うことが可能となる。
【0120】
2.抗体を安定に微細流路中に固定できても、分析項目が変わると それに対応した抗体を固定化したチップを作製する必要があった。そのため、固定化する抗体の物性に適切な固定化条件を実験的に求め、その条件で固定化する必要があった。しかしながら、本発明の方法によると、固定化するのは核酸であり、アミノ酸配列により物性が大きく異なる抗体に比べて、配列の違いで大きく物性が異なることはなく、ほとんど同条件で結合させることができることが知られている、核酸の固定化方法をそのまま流用することが可能である。
【0121】
また、安定に固定化できる条件を見いだすことができても、測定すべき抗原の種類に応じて異なるリガンドとしての抗体を固定化したチップを調製する必要があり、製造計画を綿密に立てる必要があった。そうしなければ、不良在庫を抱え込んでしまうことになりかねなかった。しかしながら、本発明の方法によれば、測定対象物が抗原であっても、測定対象物とは全く関係がない任意の配列の核酸を固定化することで、それぞれの測定項目と用いるチップは完全に独立に考えることができるようになる。例えば、塩基配列1を結合した微細流路中に結合させたチップがあれば、塩基配列1に相補的な塩基配列1’に抗B型肝炎表面抗原抗体を結合させたものと組み合わせれば、そのチップはB型肝炎表面抗原用に用いることができるし、このチップと塩基配列1’にC型肝炎抗原を結合させたものを組み合わせれば、そのチップはC型肝炎抗体検出用に用いることができる。
【0122】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に用いられる分析装置の一例を示す概略的な平面図である。
【図2】 図1の断面図である。
【図3】 流路入口が一つであり、流路の途中で複数の流路に分岐し、流路出口が複数ある場合の分析装置の態様を示す図である。
【図4】 流路入口が複数であり、各流路の途中で1本の流路に収束し、流路出口が一つの場合の分析装置の態様を示す図である。
【図5】 流路入口が一つであり、流路の途中で複数の流路に分岐し、さらに各流路の途中で1本の流路に収束し、流路出口が一つの場合の分析装置の態様を示す図である。
【図6】 1種類以上の抗原を分析するための分析装置であり、流路入口が一つであり流路出口が一つである場合の態様を示す図である。
【図7】 本発明の一番目の分析キットの概念図を示し、分析装置、第1試薬、第2試薬が独立して存在する場合の例を示す図である。
【図8】 本発明の四番目の分析キットの概念図を示し、分析装置、試薬が独立して存在している場合の例を示す図である。
【図9】 一番目の分析キット及び二番目の分析キットを用いた適用後の捕獲ゾーンにおける状態を示す図である。
【図10】 予備実験例1の分析の結果をグラフとして示す図である。
【図11】 チップA、チップB、チップC−1、チップC−2を用いて、HBs抗原を含む、或いは含まない試料と反応させた場合に、DNAマイクロアレイスキャナー(Biodetect 645 Reader:商品名、GeneScan社製)で蛍光強度を検出した結果を表すグラフである。
【図12】 基板にオリゴヌクレオチドを塗布した後に熱融着により調製したプラスチック製チップを用いた免疫測定の結果を表すグラフである。
【符号の説明】
【0123】
1、1A、1B、1C、1D、11、14 分析装置
2 流路
3、3−1、3−2、3−3、3−4、3−5、3−6 流路入口
4、4−1、4−2、4−3、4−4、4−5、4−6 流路出口
5 第1部材
6 第2部材
7、7−1、7−2、7−3、7−4、7−5、7−6 捕獲ゾーン
12 試薬A
13,15 試薬B
【実施例1】
【0124】
[予備実験例1]
(1)DNAの固定化
5’末端にアミノ基を導入した配列番号1に示したAmino group-CGA CGG ATC CCC GGG AAT TC(配列番号1)なる配列を有するオリゴヌクレオチドAを合成し、オリゴヌクレオチドA8.45μMとなるように、EDTA 1mMを含むPBS(−)で希釈した。この溶液を、ジーンスライド(商品名、株式会社日本パーカーライジング製)上に直径1mmになるようにスポットした。この後、100℃に加温したホットプレート上で1時間加温し、オリゴヌクレオチドAを共有結合により固定化した。次いで、2×SSC/0.2% SDSで15分洗浄し、90℃の2×SSC/0.2% SDSで5分洗浄後、滅菌水で洗浄して、乾燥させて、オリゴヌクレオチドA固定化スライドガラスを調製した。
【0125】
(2)流路の作製および反応1
前記工程(1)で調製したオリゴヌクレオチドAを固定化したオリゴヌクレオチド固定化スライドガラスに、微細流路となる溝(幅:300μm、高さ、100μm)が形成されているポリジメチルシロキサン(以下、PDMSと呼ぶ)の平板を、スライドガラス上に固定化したオリゴヌクレオチドA上に流路が設置されるように圧着するように貼り合わせることにより接合して、チップを作製した。チップの内部に形成された流路(幅:300μm、高さ、100μm)に、2%BSAおよび1mM EDTAを含むPBSを15分間送液し、次いで、固定化したオリゴヌクレオチドAと相補的なオリゴヌクレオチドB結合抗HBs抗体(Oku らの方法(J Immunol Methods. 2001 Dec 1;258(1-2):73-84. )により調製)を500μg/mLの濃度になるように0.1%BSAおよび1mM EDTAを含むPBS(以下、0.1%PBS)で希釈したものを15分間送液した。次いで、0.1%PBSで5分間送液することにより洗浄し、50ng/mLになるように0.1%PBSで調製したHBs抗原を15分間送液した。この後、0.1%PBSで5分間送液して洗浄し、1μg/mL、10μg/mL、30μg/mLあるいは50μg/mLの濃度に0.1%PBSで調製したCy5標識抗HBs抗体を15分間送液した。すべての反応は、37℃、流速1μl/minで行った。
【0126】
(3)分析
スライドガラス部とPDMS部を分離し、スライドガラス部について、Biodetect 645/4チップリーダー(商品名、ジーンスキャン社製)を用いてCy5の蛍光強度を測定した。その結果を表1、図10に示した。単位はシグナル強度ユニットである。この結果より、Cy5標識抗体の濃度としては、30μg/mLが適していると考えられた。
【0127】
【表1】
【0128】
(4)抗体の直接固定化
前記工程(2)のオリゴヌクレオチドB結合抗HBs抗体に用いた同じ抗体を、1000μg/mLとなるように、PBS(−)で希釈した。この溶液を、ジーンスライド (商品名、株式会社日本パーカーライジング製)に直径1mmになるようにスポットした。この後、110℃に加温したホットプレート上の1時間加温下で、あるいは、室温で抗体を固定化した。次いで、PBS(−)で5分洗浄後、滅菌水で洗浄して、乾燥させて、抗HBs抗体固定化スライドガラスを調製した。
【0129】
(5)流路の作製および反応2
前記工程(4)で調製した抗HBs抗体固定化スライドガラスに、微細流路となる溝(幅:300μm、深さ、100μm)が形成されているポリジメチルシロキサンを、常温で圧着するようにして貼り合わせチップを作製した。内部に形成された微細流路に、2%BSAおよび1mM EDTAを含むPBSを15分間送液し、次いで、50ng/mLになるように0.1%PBSで調製したHBs抗原を15分間送液した。この後、0.1%PBSで5分間送液して洗浄し、30μg/mLの濃度に0.1%PBSで調製したCy5標識抗体を15分間送液した。すべての反応は、37℃、流速1μl/minで行った。この後、前記工程(3)と同様にチップ上の反応性をチップリーダーで確認した。この結果、室温で抗体を固定化した場合には、反応を確認することができたが、110℃で固定化した場合には、反応性を確認することができなかった。
【0130】
(予備実験例1の考察)
前記工程5と工程3の結果から、抗体を固定化する従来の方法では、射出成型によって調製した流路溝を有する部材とフィルムあるいは平板を熱融着などで接着させて、マイクロ流体チップを作製する際の熱で抗体が失活してしまう可能性が非常に高く、免疫学的な検出には用いるチップを調製することができない。しかしながら、本発明による方法を用いれば、核酸は、110℃1時間加熱しても安定に結合性を示していることから、射出成型によって調製した流路溝を有する部材と、フィルムあるいは平板を熱融着などで接着させて、マイクロ流体チップを作製し、チップ流路内に結合させたDNAと少なくとも相補的塩基配列を有するDNA’を抗体に結合させたものを反応させ、(基板−DNA)−(DNA’−抗体)なる複合体を形成させ、この後、抗原を反応させた後、Cy5標識抗体を結合させて、(基板−DNA)−(DNA’−抗体)−(抗原)−(Cy5標識抗体)が形成されることによって免疫学的な検出が可能であることがわかった。
【0131】
[予備実験例2]
3種類の材料(B型肝炎表面抗原であるHBsに対するモノクローナル抗体、マウス正常抗体、オリゴヌクレオチドA)を、材料毎に別々の各ジーンスライド(商品名、株式会社日本パーカーライジング製)上に、加熱して固定化させて(固定化処理a、固定化処理b、固定化処理c)3種類の固定化処理された固定化基板を得た。得られた3種類の固定化基板上に、微細流路となる溝を形成した平板部材を接着させて、接合体の内部に形成された微細流路内に固定化材料が固定化されている3種類の異なる接合体を得た。
【0132】
その後、オリゴヌクレオチドAが固定されている固定化基板については当該オリゴヌクレオチドAに相補的なオリゴヌクレオチドBで標識した抗HBs抗体、あるいは、相補的オリゴヌクレオチドBで標識したマウス正常抗体を、オリゴヌクレオチドの相補的結合により、固定化し、免疫反応を実施した。一方、抗体(B型肝炎表面抗原であるHBsに対するモノクローナル抗体、マウス正常抗体)を直接、基板に固定化した固定化基板においても同様に、免疫反応を行った。これらの処理の詳細及び結果を以下に具体的に記載する。
【0133】
(1)DNA又は抗体の固定化
〈固定化処理a〉
ジーンスライド(商品名、株式会社日本パーカーライジング製)上にマウスモノクローナル抗HBs抗体500μg/mLを含むPBSをマイクロピペットでスポットし、37℃で1時間インキュベーションし固相化後、MilliQ水で洗浄し、乾燥させた。この後、固定化基板を130℃で20分間加熱することによりガラス固定化基板Aを得た。
【0134】
〈固定化処理b〉
ジーンスライド(商品名、株式会社日本パーカーライジング製)上にマウス正常抗体500μg/mLを含むPBSをマイクロピペットでスポットし、37℃で1時間インキュベーションして固相化した後、MilliQ水で洗浄し、乾燥させた。この後、固定化基板を130℃で20分間加熱することによりガラス固定化基板Bを得た。
【0135】
〈固定化処理c〉
前記予備実験例1で用いたオリゴヌクレオチドと同一の5’末端にアミノ基を導入した配列番号1で示すオリゴヌクレオチドA25μMを含むPBSをジーンスライド(商品名、株式会社日本パーカーライジング製)上に塗布して、80℃で1時間インキュベーションして固相化した。95℃水浴中で5分間ブロッキングを行い、MilliQ水で洗浄し乾燥させた。その後、基板を130℃で20分間加熱することによりガラス固定化基板Cを得た。
【0136】
(2)チップの作製及びブロッキング
前記工程(1)で調製したガラス固定化基板A、ガラス固定化基板B、ガラス固定化基板Cに、微細流路となる溝(幅300mμm、深さ100μm)が形成されたポリジメチルシロキサン(PDMS)の平板(フルイドウェアテクノロジーズ社製、ストレート型)を、PDMSの粘着性を利用してそれぞれ圧着して、各ガラス固定化基板と平板の間に微細流路(流路幅300μm、流路深さ100μm)を形成したチップA、チップB、チップCを作製した(なお、A、B、Cはガラス固定化基板のA、B、Cに対応する。)。得られた各チップは、全長が75mmで、幅が25mmの直方体であり、該チップには流路の入口及び出口が末端より5mmの位置に口径1mmφで形成され、流路幅300μm、流路深さ100μmの流路が4本、各流路の間隔が7mmで平行に形成されている。次いで、各チップの内部に形成された流路に、1%BSA、1mM EDTAを含むPBSを送液することによりブロッキングを行った。
【0137】
次いで、前記工程で得られたブロッキングされたチップCの微細流路に、50μg/mL GAATTCCCGGGGATCCGTCG(配列番号2で表されるオリゴヌクレオチドB)標識抗HBs抗体、および1% BSA、1mM EDTAを含むPBSを15分間送液し、1% BSA、1mM EDTAを含むPBSを3分間送液し洗浄して、チップC−1を得た。一方、前記工程で得られた別のブロッキングされたチップCの微細流路に、50μg/mL GAATTCCCGGGGATCCGTCG(配列番号2で表されるオリゴヌクレオチドB)標識マウス正常抗体および1% BSA、1mM EDTAを含むPBSを15分間送液し、1% BSA、1mM EDTAを含むPBSを3分間送液し洗浄して、チップC−2を得た。
【0138】
(3)抗原結合量の検討
〈チップAによる 抗原結合量の確認〉
前記工程(2)で得られた、ブロッキングされたチップAの微細流路に、50ng/mL HBs抗原、1% BSA、1mM EDTAを含むPBSを15分間送液し、1% BSA、1mM EDTAを含むPBSを3分間送液し洗浄して、HBs抗原を含むPBSで処理したチップAを得た。
【0139】
一方、HBs抗原を含まず、1% BSA、1mM EDTAを含むPBSを送液した以外は、前記HBs抗原で処理したチップAを得る工程と同様にして、HBs抗原を含まないPBSで処理したチップAを得た。
【0140】
次いで、前記工程で得られた各チップAに対して、30μg/mLビオチン修飾抗HBs抗体、1% BSA、1mM EDTAを含むPBSを15分間送液し、1% BSA、1mM EDTAを含むPBSを3分間送液し洗浄した。前記工程で得られた各チップ(HBs抗原を含むPBSで処理したチップA、HBs抗原を含まないPBSで処理したチップA)に対して、最後に、10μg/mL Cy5標識ストレプトアビジン、1%BSA、1mM EDTAを含むPBSを15分間送液し、1% BSA、1mM EDTAを含むPBSを3分間送液し洗浄した。この後、PDMS部分を剥がし、基板をMilliQ水で洗浄後、チップリーダーで蛍光強度を検出して、抗原結合量を確認した。その結果を縦軸に蛍光強度を表すグラフとして図11に示す。
【0141】
〈チップBによる抗原結合量の確認〉
前記「チップAによる抗原結合量の確認」の欄に示した抗原結合量を確認する処理において、チップAの代わりにチップBを用いた以外は、同様にして抗原結合量を確認した。その結果を縦軸に蛍光強度を表すグラフとして図11に示す。
【0142】
〈チップC−1による抗原結合量の確認〉
前記「チップAによる抗原結合量の確認」の欄に示した抗原結合量を確認する処理において、チップAの代わりにチップC−1を用いた以外は、同様にして抗原結合量を確認した。その結果を縦軸に蛍光強度を表すグラフとして図11に示す。
【0143】
〈チップC−2による抗原結合量の確認〉
前記「チップAによる抗原結合量の確認」の欄に示した抗原結合量を確認する処理において、チップAの代わりにチップC−2を用いた以外は、同様にして抗原結合量を確認した。その結果を縦軸に蛍光強度を表すグラフとして図11に示す。
【0144】
(4)結果
図11のグラフによれば、HBs抗原とは反応することの無いマウス正常抗体を基板に結合させ加熱処理した場合でも、HBs抗原を流路内に送液した場合に、HBs抗原を含まない溶液を送液した場合よりも高い値が得られている。この結果から、抗HBs抗体を直接基板に結合させ、加熱処理を行った場合の反応は非特異的な結合によるものと考えられる。これは加熱処理により抗体が失活し、失活した抗体に非特異的に抗原が吸着した結果と考えられる。これに対して、オリゴヌクレオチドを介した結合の場合は、抗HBs抗体を用いた場合と、正常抗体を用いた場合で明確な差が認められることがわかる。このことは、この反応が非特異的な反応ではなく、抗原抗体反応に由来する反応であることを示唆している。
【0145】
したがって、プラスチックの熱融着工程において、基板を約130℃程度で約20分間程度加熱するような熱融着工程を含む、微細流路中に生体分子を結合させる方法として、オリゴヌクレオチドを介する方法は、マイクロ流路内に生体高分子を直接結合させるよりも優れていることが図11の結果より強く示唆される。
【0146】
本実施例3は、基板にオリゴヌクレオチドを塗布した後に熱融着により調製したプラスチック製チップを用いた免疫測定に関する。
【0147】
(1)プラスチック製チップの製造
アルデヒド活性化処理されたシクロオレフィン基板(住友ベークライト社製)を用い、外形の全長が75mmで、幅が25mmの直方体の基板とし、該基板に口径1mmφの流路入口及び流路出口を基板の末端から5mmの位置に切削加工により形成し、流路幅300μm、流路深さ100μmの流路を形成するための溝を4本、各流路が平行で間隔が7mmとなるように、切削加工により形成して流路溝基板を得た。
【0148】
これとは別に、アルデヒド活性化処理シクロオレフィン基板に25mM NH2- ATA GTG TTC TGG GTT AGC AA なる配列を有するオリゴヌクレオチド(配列番号3で表されるオリゴヌクレオチドC)を含む溶液をマイクロピペットを用いて、流路溝基板と貼り合わせた場合に流路溝上に並ぶように、直径約1mmのスポットを15カ所塗布して固相化処理を行った。このオリゴヌクレオチドCを固定化した基板と前記工程で得られた流路溝基板を110〜135℃の間で熱融着処理により接合させ、流路幅300μm、流路深さ100μmの流路を形成してなるプラスチック製チップを得た。
【0149】
(2)免疫測定
前記工程で得たプラスチック製チップの流路内に、1% BSA、1mM EDTAを含むPBS(以下、PBS−BSA)を送液することによりブロッキングを行った。前記工程(1)で固相化したオリゴヌクレオチドCと相補的な配列であるTTG CTA ACC CAG AAC ACT AT(配列番号4で表されるオリゴヌクレオチドD)を結合させた抗HBs抗体50μg/mLを含むPBS−BSAを10分間送液し、次いで、PBS−BSAのみを3分間送液することにより洗浄した。次いで、HBs100ng/mLを含むPBS−BSAを10分間送液し、次いで、PBS−BSAのみを3分間送液することにより洗浄した。この後、ビオチン標識抗HBs抗体1μg/mLを含むPBS−BSAを10分間送液し、次いで、PBS−BSAのみを3分間送液することにより洗浄した。続いて、HRP(西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ)標識ストレプトアビジン(ロシュ社製)50mU/mLを含むPBS−BSAを10分間送液し、次いで、PBS−BSAのみを3分間送液することにより洗浄した。続いてHRPの基質であるSATBlue(同仁化学研究所)を送液しながら、HRPの酵素活性により発色したSATBlueをSELFOC型熱レンズ顕微鏡GRIN Spectra(マイクロ化学技研社製)により検出した。得られた熱レンズ信号強度(Voltage )を縦軸に示したグラフとして図12に示す。
【0150】
(3)結果
図12のグラフによれば、HBsAgを反応させていないBlankに比べ、100ng/mLのHBsAgを反応させたときに高いシグナルが得られたことがわかる。このことはプラスチック製チップの作製に必要な熱融着処理によっても固定化したオリゴヌクレオチドは失活せず、オリゴヌクレオチドを固定化後に熱融着したチップを用いて生体高分子の検出が可能であることを示している。
【0151】
生体高分子等の生物学的物質の存在の確認、量の計測が、微量な試料で迅速に行えるため、試料採取における人体への苦痛が和らげ、臨床診断において有用である。本発明の生物学的物質の分析は、化学産業、製薬産業をはじめ、食品産業、農業技術など多くのバイオ関連産業において有用である。
Claims (6)
- (1)幅1μm−5mm、深さ1μm−750μmの断面の溝を有するプラスチック製の第1部材と、該溝を覆うことができるプラスチック製の第2部材を用意し、
該溝は第1部材と第2部材を接合したときに流路となる部分であり、該第1部材又は第2部材の何れかに、あるいは両方に流路入口及び流路出口を有し、
(2)第1部材及び/又は第2部材における流路となることが予定されている部分であって、測定されるべき抗原を捕獲するためのゾーンとなる部分に、任意の塩基配列の複数種類の第1核酸(N1g:gは整数)を各々独立させて、タンパク質を介さずに且つ直接共有結合により固定化し、
(3)次いで、第1部材及び第2部材を融着により接合することにより流路を形成した接合体とし、
(4)該接合体の流路に、捕獲ゾーンに固定化された複数種類の第1核酸(N1g:gは整数)の種類毎に対応した少なくとも相補的塩基配列を有する複数種類の第2核酸(N2h:hは整数)と、測定されるべき1種類以上の抗原の種類毎に対応した特異的結合性を有する複数種類の第1抗体(L1i:iは整数)とからなる結合体(N2h−L1i:hとiは独立した整数)を含む試薬Aを流して、捕獲ゾーンの複数種類の第1核酸(N1g:gは整数)に該結合体(N2h−L1i:hとiは独立した整数)を特異的結合により固定化させることを特徴とする分析装置の製造方法。 - 融着温度が70℃−140℃である請求項1記載の分析装置の製造方法。
- 前記第1部材又は第2部材が、ポリジメチルシロキサン、アクリロニトリル・ブタジエンゴム・スチレン樹脂、アクリロニトリル・エチレンプロピレンゴム・スチレン樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、メタクリルスチレン樹脂、ポリアミド・ナイロン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート・ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリスチレン樹脂、熱可塑性エラストマー樹脂、液晶ポリマー樹脂、シクロオレフィン樹脂、熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、環状オレフィンコポリマー、及び、これらの部材表面が修飾されたものから選ばれたものである請求項1記載の分析装置の製造方法。
- 前記第1部材又は第2部材の材質は同一である請求項1記載の分析装置の製造方法。
- 前記第1部材又は第2部材の材質は異なる請求項1記載の分析装置の製造方法。
- 請求項1乃至5の何れか1項に記載の分析装置の製造方法により得られた分析装置。
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