JPH07118291A - 核酸と免疫化学的活性物質との複合体、その製法およびその複合体を使用する免疫化学的測定試薬 - Google Patents

核酸と免疫化学的活性物質との複合体、その製法およびその複合体を使用する免疫化学的測定試薬

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JPH07118291A
JPH07118291A JP28570093A JP28570093A JPH07118291A JP H07118291 A JPH07118291 A JP H07118291A JP 28570093 A JP28570093 A JP 28570093A JP 28570093 A JP28570093 A JP 28570093A JP H07118291 A JPH07118291 A JP H07118291A
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Yuichi Oku
裕一 奥
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Nissui Pharmacetuical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 核酸−免疫化学的活性物質複合体の高回収率
を実現し、その複合体の活性をより高く保持することを
実現し、抗原抗体反応を利用した免疫化学的分析法に使
用できる核酸−免疫化学的活性物質複合体を提供する。 【構成】 核酸に、サクシミド基とマレイミド基を有す
る2官能試薬を反応させることにより、該核酸をサクシ
ミド基と結合させ、次いで、得られた化合物を免疫化学
的活性物質、例えば、酵素、抗体等と反応させることに
より、該免疫化学的活性物質を前記化合物のマレイミド
基に結合させて、下記の一般式で表される核酸と免疫化
学的活性物質との複合体を得る。 【化1】 〔式中、Aは免疫化学的活性物質をA−SHで表したと
きのその残基を表し、B、n1n2n3、R1およびR2
それぞれ化学結合または6員環状炭化水素残基を表
す。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗原抗体反応を利用し
た免疫化学的分析に使用することができる核酸と免疫化
学的活性物質との複合体自体、その製造方法及び核酸と
免疫化学的活性物質との複合体自体を使用する免疫化学
的測定試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】臨床検査の分野において免疫化学的検出
法は、微量の成分を定量、検出する方法として知られ、
種々の方法が開発されている。その中で抗体の標識物質
として、蛍光物質、発光性物質、酵素等の非放射性物質
を使用する免疫化学的検出法は、標識物質として放射性
物質を使用した際のように特殊な施設を必要とせず、試
薬の扱いやすさ、大量処理が可能などの点から生体成分
分析法で広く利用されている。また、標識物質として放
射性同位元素を用いるラジオイムノアッセイもその測定
レンジの広さ、免疫反応の低下が少なく、薬剤、ペプチ
ドなどの小さな分子量の物質を標識可能であることから
広く利用されている。
【0003】このような免疫化学的検出法において、標
識された抗体が直接固相に結合して非特異反応を起こ
す、いわゆる測定のバックグランウンドの上昇が近年問
題となっており、このような非特異反応を防ぐことによ
り、測定感度を上げようとする試みが、例えば、特開平
4−204379号公報によりなされている。
【0004】(1)特開平4−204379号公報に開
示の免疫化学的検出方法 図1は該公報に開示された免疫化学的検出法のプロセス
を示す図であり、この図1に基づいて、該公報に記載の
技術を次に説明する。1は固相であり、2は固相1に結
合した核酸である。一方、核酸2と相補的な塩基配列を
有する核酸3の末端には免疫化学的活性物質である抗体
4が結合されており、前記核酸2と核酸3は相補的に結
合することにより、抗体4を固相1に固定している。
【0005】この固相1に対して測定対象物である抗原
5を含む試料を接触させ(図1(a))、抗原抗体反応
により試料中に含まれている抗原5を固相1上に結合し
ている抗体4で捕捉し(図1(b))、さらに捕捉され
た抗原5に対して、標識物7で標識された抗体6を結合
させる。もしこの段階で標識物7を定量することにより
試料中の抗原5を測定する場合、標識物7で標識された
別の抗体が固相1に結合してバックグランウドを上昇さ
せるので正確な測定が困難となる。したがって、制限酵
素8を核酸部分に作用させることにより(図1
(c))、核酸を選択的に切断して(図1(d))、固
相1から分離された標識物7を含んだものを定量するこ
とにより、試料中に含まれる抗原5をバックグラウンド
の影響が無く精度よく定量することができる。
【0006】前記公報によれば、核酸3とその末端に結
合される抗体4との結合方法は、例えば、ゴッシュらの
方法(Ghosh et al: Bioconjugate Chem.,,71〜7
6頁(1990)のマレイミド−チオールカップリング
により結合したとされている。前記公報に引用された文
献のゴッシュらの方法には、次の2つの結合方法が示さ
れている。図2及び図3に基づいて、ゴッシュらの方法
を説明する。
【0007】(2)ゴッシュらの方法 i.その一つは、図2に示される方法であり、核酸の
5′末端にスルフヒドリル基を導入しておき、他方、酵
素に6−マレイミドヘキサノイックアシッドスクシイミ
ドエステルを反応させてマレイミド基を導入しておき、
次に、これらの2種の化合物を反応させて前記のスルフ
ヒドリル基とマレイミド基を結合させることにより、核
酸と酵素とを結合させる方法である。
【0008】この方法によれば、添加したアルカリ性フ
ォスファターゼの85%がオリゴヌクレオチドに結合し
たアルカリ性フォスファターゼ、即ち、核酸−酵素複合
体として回収されること、及びオリゴヌクレオチドとア
ルカリ性フォスファターゼの結合比は1対1であり、こ
の核酸−酵素複合体は何の処理も施していない酵素の8
0から85%の活性が保持されていたことが示されてい
る。また、β−ガラクトシダーゼに関しては、その核酸
−酵素複合体として回収率は65%、この核酸−酵素複
合体は何の処理も施していない酵素の75%の酵素活性
が保持されていたことが示されている。
【0009】ii.ゴッシュらのもう一つの方法は、図
3に示される方法であり、核酸の5′末端に前記の方法
と同じようにスルフヒドリル基を導入し、このスルフヒ
ドリル基にさらにホモ二官能性試薬であるN,N′−
1,2−フェニレンジマレイミドを反応させることによ
り、核酸の5′末端にマレイミド基を導入しておき、他
方、酵素にスルフヒドリル基を導入しておき、得られた
これらの2種の化合物を反応させることにより、核酸と
酵素とを結合させる方法である。この方法によれば、ペ
ルオキシダーゼに関しては、その核酸−酵素複合体とし
ての回収率は58%であり、この核酸−酵素複合体の何
の処理も施していない酵素に対する酵素活性の回収率は
70〜75%であることが示されている。
【0010】この他に、核酸を一般的なタンパク質に導
入する方法は、例えば、Nucleic Acids Research 第1
5巻5275頁(1987年)およびNucleic Acids Re
search 第16巻3671頁(1988年)に記載され
た方法が知られており、これらの技術を簡単に次に説明
する。
【0011】(3)Nucleic Acids Research 第15巻
5275頁(1987年)に記載の方法 オリゴヌクレオチドの3′末端にアミノ基を導入してお
きホモ二官能性試薬であるジチオ−ビス−プロピオニッ
クアシッド−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル
(略称:ジチオ−ビス−プロピオニル−NHS)を反応
させる。反応後、ジチオトレイトールを添加することに
よりジチオ−ビス−プロピオニル−NHS分子中のジス
ルフィド結合を還元して、オリゴヌクレオチドの3′末
端にスルフヒドリル基を導入する。
【0012】一方、一般的なタンパク質であるアルカリ
性フォスファターゼとブロモアセチックアシッド−N−
ヒドロキシスクシンイミドエステル(略称:ブロモアセ
チル−NHS)を反応させることによって、アルカリ性
フォスファターゼの遊離アミノ基にブロモアセチル基を
導入する。この後にスルフヒドリル基導入オリゴヌクレ
オチドとブロモアセチル基導入アルカリ性フォスファタ
ーゼを混合して、スルフヒドリル基とブロモアセチル基
を反応させて結合させることにより、オリゴヌクレオチ
ドとアルカリ性フォスファターゼを結合させる。この方
法では60から80%の酵素が酵素−オリゴヌクレオチ
ド複合体として回収される。
【0013】この文献には、このようにして得られた酵
素−オリゴヌクレオチド複合体は、腸管毒素原性大腸菌
に特異的な遺伝子配列をDNA−DNAハイブリダイゼ
ーションにより検出する方法に用いられることが述べら
れているだけで、免疫化学的分析法については示唆はな
い。
【0014】(4)Nucleic Acids Research 第16巻
3671頁(1988年)に記載の方法 この方法を簡単に説明する。オリゴヌクレオチドを、シ
スタミン、カルボジイミド及び1−メチルイミダゾール
と反応させることによって、オリゴヌクレオチドの5′
末端の水酸基にスルフヒドリル基を導入する。得られる
スルフヒドリル基導入オリゴヌクレオチドを精製した
後、ジチオトレイトールを用いて還元し、この後に2,
2′−ジピリジルジスルフィドを加えることによってオ
リゴヌクレオチドの5′末端にジスルフィド結合を介し
てピリジル基を導入する。
【0015】一方、一般的なタンパク質としてのブラジ
キニン、ペルオキシダーゼ、IgGに対してイミノチア
レンを反応させてスルフヒドリル基を導入しておく。こ
れらピリジルジスルフィド基導入オリゴヌクレオチドと
スルフヒドリル基導入タンパク質を混合して、ピリジル
基とスルフヒドリル基の特異的な反応により、タンパク
質とオリゴヌクレオチドを結合させる。この報告では、
IgGを用いたオリゴヌクレオチド−タンパク質複合体
の回収率が30〜50%であったことが述べられてい
る。
【0016】また、この文献においはてそのオリゴヌク
レオチド−IgG複合体のIgGに対する抗体を用いた
反応性が確かめられている。すなわち、ヤギ抗IgGを
固相上に固定しておき、オリゴヌクレオチド−IgG複
合体の核酸を32Pで標識することによって、オリゴヌク
レオチド−IgG複合体の固相への反応性が報告されて
いるだけであり、このようなオリゴヌクレオチド−Ig
G複合体の免疫化学的分析法への適用可能性については
何も記載はない。
【0017】また、特開平5−48100号公報にはタ
ンパク質と核酸の結合体とするためのタンパク質自体を
試薬としたものが知られているので、次に、この方法を
説明する。
【0018】(5)特開平5−84100号公報に記載
の方法 該公報に記載の発明は、タンパク質中の官能基(例え
ば、アミノ基)と反応しうる第1の反応性基(スクシン
イミド基)、およびスルフヒドリル基(別名、チオール
基)と反応しうる第2の反応性基(例えば、マレイミド
基等)を有するヘテロ二官能性架橋剤と、蛋白質を反応
させることにより、タンパク質に第2の反応性基を導入
して予め活性化されたタンパク試薬としており、このよ
うにして得られたタンパク試薬を、チオール化ポリヌク
レオチドのスルフヒドリル基、またはチオール含有タン
パク質のスルフヒドリル基へ共有結合させるためのキッ
トとすることが開示されている。
【0019】しかしながら、このタンパク試薬を使用し
て得られるタンパク質と核酸の結合体を免疫化学的分析
法に利用することについては何も示唆はない。
【0020】以上のように、核酸と、酵素または抗体と
を結合させる方法は種々の方法が開発されている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】ところで、例えば、前
記従来の特開平4−204379号公報に開示されてい
るような、免疫化学的検出方法において、核酸に結合さ
れた免疫化学的活性物質(核酸−免疫化学的活性物質複
合体と呼ぶ)に保持されている活性は、その測定あるい
は検出系の検出感度を決定するという重要な意義を持
つ。また同時に、その核酸−免疫化学的活性物質複合体
の調製方法において、得られる核酸−免疫化学的活性物
質複合体の回収率は、こうした複合体を用いた免疫化学
的分析試薬のコストに大きな影響を及ぼすものである。
【0022】一方、核酸と、酵素または抗体とを結合さ
せる前記の種々の従来の方法は、得られる核酸と酵素ま
たは抗体とを結合させた複合体の回収率は60〜80%
程度またはそれ以下であり、何れの方法も回収率および
その活性が低いという問題があった。
【0023】したがって、核酸と、免疫化学的活性物質
(例えば、酵素または抗体等)とを結合させて核酸−免
疫化学的活性物質複合体を提供し、この核酸−免疫化学
的活性物質複合体を用いて免疫化学的分析を行なうため
には、その複合体の回収率およびその複合体の活性を上
げる必要がある。
【0024】そこで本発明は、従来の核酸と、酵素また
は抗体等のタンパク質との結合法よりも高回収率を実現
した核酸−免疫化学的活性物質複合体とし、その核酸−
免疫化学的活性物質複合体の活性をより高く保持するこ
とを実現し、生体成分分析法、特に抗原抗体反応を利用
した免疫化学的分析法に使用できる核酸−免疫化学的活
性物質複合体自体の提供、その製造方法の提供、および
その核酸−免疫化学的活性物質複合体を使用した免疫化
学的測定試薬を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】前記した問題点を解決す
るために、本発明は、核酸に次の式(1)で表される化
合物、
【0026】
【化6】 〔式(1)中、n1n2およびn3はそれぞれ独立した0か
ら15のあいだの整数を、R1 およびR2 はそれぞれ化
学結合または6員環状炭化水素残基を表す。〕を反応さ
せることにより、次の式(2)で示される化合物、
【0027】
【化7】 〔式(2)中、Bは核酸をB−NH2 で表したときのそ
の残基を表し、n1n2およびn3はそれぞれ独立した0か
ら15のあいだの整数を、R1 およびR2 はそれぞれ化
学結合または6員環状炭化水素残基を表す。〕化合物を
得、ついでこの式(2)の化合物を免疫化学的活性物質
と反応させることにより、次の式(3)で表される化合
物、
【0028】
【化8】 〔式(3)中、Aは免疫化学的活性物質をA−SHで表
したときのその残基を表し、B、n1n2n3、R1 およ
びR2 はそれぞれ化学結合または6員環状炭化水素残基
を表す。〕を得ることを特徴とする核酸と免疫化学的活
性物質との複合体の製造方法とするものである。
【0029】また本発明は、上記の核酸と免疫化学的活
性物質との複合体の製造方法により得られ、上記式
(3)で表される免疫化学的分析法に使用される核酸と
免疫化学的活性物質との複合体とするものである。
【0030】また本発明は、このようにして得られた上
記式(3)で表される核酸と免疫化学的活性物質との複
合体を含んだ免疫化学的測定試薬とするものである。
【0031】本発明において、前記核酸に含有されるア
ミノ基(NH2 −)が、核酸の3′末端または5′末端
のもの、あるいは核酸の分子中に導入されたものであっ
てもよい。
【0032】本発明において免疫化学的活性物質とは、
免疫化学的測定法に使用されて、免疫化学的な反応を生
ずる物質であり、A−SHで表すことができ、その免疫
化学的活性物質は、分子中にスルフヒドリル基を有して
いる。そのスルフヒドリル基は、免疫化学的活性物質に
本来含まれているものでもよいし、S−アセチルメルカ
プトコハク酸無水物(以下、無水コハク酸と略記する)
などを用いて免疫化学的活性物質にスルフヒドリル基を
導入したものでもよい。また、分子中にジスルフィド基
を有する場合は2−メルカプトエチルアミンなどの還元
剤を用いてスルフヒドリル基を生成させたものでもよ
い。
【0033】本発明において使用される免疫化学的活性
物質には、抗原、ハプテン、抗体が挙げられる。具体的
には、例えば、免疫グロブリン、その酵素分解物〔例え
ば、F(ab′)2 ,Fab′,Fab等〕、アルブミ
ン、フィブリノーゲン(フィブリンおよびそれらの分解
産物)、α−フェトプロテイン、ガン胎児性抗原、C反
応性タンパク質、ミオグロブリン、肝炎ウイルス抗原、
ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ヒト胎盤性ラクトーゲン、
インスリン、HIVウイルス抗原、アレルゲン、細菌毒
素、細菌抗原、酵素、ホルモン、薬剤などが挙げられ
る。
【0034】本発明における免疫化学的活性物質とし
て、特に、Fab′は核酸との複合体、即ち、核酸−免
疫化学的活性物質複合体が高収率で得られる点、および
得られた核酸−免疫化学的活性物質複合体の活性が高い
点において好ましい。
【0035】本発明において核酸としては、リボ核酸や
デオキシリボ核酸を構成要素とする種々の組み合わせ
の、種々の長さのものを使用することができる。例え
ば、ポリリボヌクレオチド、ポリデオキシリボヌクレオ
チド、オリゴヌクレオチド、オリゴデオキシリボヌクレ
オチド、これら2種以上の複合体、あるいは互いの相補
的な配列により結合した2本鎖以上のポリヌクレオチド
あるいはオリゴヌクレオチドからなる錯体などが挙げら
れるが、10から200mer程度のオリゴヌクレオチ
ドあるいはポリヌクレオチドが望ましい。なお、これら
の核酸に放射性あるいは非放射性の標識を導入すること
もできる。
【0036】上記式(1)〜式(3)中において、R1
またはR2 で表される6員環状炭化水素残基としては、
飽和物、不飽和物のいずれでもよい。飽和6員環状炭化
水素残基には、例えば、シクロヘキシレンが挙げられ、
不飽和6員環状炭化水素残基には、例えば、フェニレン
などが挙げられる。該6員環状炭化水素残基には、例え
ば、シクロヘキシレンが好ましい。
【0037】上記式(1)で表される化合物には、例え
ば、N−(ε−マレイミドカプロイルオキシ)スクシン
イミド(別名:N−スクシンイミジル−6−マレイミド
ヘキサノエート)、N−(γ−マレイミドブチリルオキ
シ)スクシンイミド(別名:N−スクシンイミジル−4
−マレイミドブチレート)、スクシンイミジル−4−
(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボ
キシレート、スルホスクシンイミジル−4−(N−マレ
イミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレー
ト、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシ
ンイミドエステル、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒ
ドロキシスルホスクシンイミドエステル、スクシンシミ
ジル−4−(パラ−マレイミドフェニル)ブチレート、
スルホスクシンイミジル−4−(パラ−マレイミドフェ
ニル)ブチレート等が挙げられる。
【0038】本発明において、免疫化学的測定または免
疫化学的分析とは、核酸−免疫化学的活性物質複合体に
おける免疫化学的活性物質が、免疫反応によって被測定
物質と直接または間接に結合することにより、その被測
定物質の存在及び/又はその量を検出することをいう。
【0039】本発明の核酸−免疫化学的活性物質複合体
を用いて免疫学的測定を行なう際の被測定物質として
は、臨床診断に利用される物質が挙げられ、例えば体
液、尿、喀痰、糞便中などに含まれるヒトイムノグロブ
リンG、ヒトイムノグロブリンM、ヒトイムノグロブリ
ンA、ヒトイムノグロブリンE、ヒトアルブミン、ヒト
フィブリノーゲン(フィブリンおよびそれらの分解産
物)、α−フェトプロテイン、C反応性タンパク質、ミ
オグロビン、ガン胎児性抗原、肝炎ウイルス抗原、ヒト
絨毛性ゴナドトロピン、ヒト胎盤性ラクトーゲン、イン
スリン、HIVウイルス抗原、アレルゲン、細菌毒素、
細菌抗原、酵素、ホルモン、薬剤などが挙げられる。
【0040】つぎに、本発明の核酸−免疫化学的活性物
質複合体において、免疫化学的活性物質(A−SH)の
Aが抗体残基であるものを免疫化学的分析法における試
薬として使用した場合のキットの構成例、キットの使用
方法を説明する。
【0041】(I)Aが抗体残基である場合 サンドイッチ法による酵素免疫測定法(EIA)を例に
すれば、次のようなキットの構成例が示される。
【0042】抗原検出用キットの構成例 抗原検出用EIA試薬キットは、例えば、下記の試薬
〜試薬から構成される。
【0043】試薬:核酸が結合した固相(即ち、核酸
−免疫化学的活性物質複合体中の核酸に相補的な配列を
有する核酸を固相に結合させたものである。)。
【0044】試薬:核酸−免疫化学的活性物質複合体
(具体例には、核酸と抗体フラグメント、例えば、Fa
b′が核酸に結合されたものが挙げられる。)。
【0045】試薬:被測定物質の標準品(具体例に
は、前記抗体フラグメント、例えば、Fab′に免疫化
学的に結合するもの、例えば、抗原の標準品が挙げられ
る。)。
【0046】試薬:酵素で標識された抗体フラグメン
ト(具体例には、抗体フラグメント例えば、Fab′が
酵素で標識されたものが挙げられる。前記の被測定物
質に反応する抗体に、酵素を結合させたものであればい
ずれでもよく、その標識酵素の一例としては西洋ワサビ
ペルオキシダーゼ、アルカリ性フォスファターゼ、グル
コースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェ
ラーゼなどが挙げられる)。
【0047】試薬:希釈用緩衝液(上記およびの
試薬の希釈用、並びに被測定試料の希釈用に使用可能な
緩衝液である。その一例として、pH6〜9のTES緩
衝液、トリス塩酸緩衝液、リン酸緩衝液などが挙げられ
る。)。
【0048】試薬:洗浄液(インキュベーション後、
固相の洗浄に用いることの可能な緩衝液あるいは溶液で
ある。その一例として、TES緩衝液、トリス塩酸緩衝
液、リン酸緩衝液、食塩溶液などが挙げられる。)。
【0049】試薬:酵素活性測定に必要な試薬(その
一例として、試薬において標識酵素が西洋ワサビペル
オキシダーゼであり、測定法が比色法の場合、酵素活性
測定に必要な試薬には3,3′,5,5′−テトラメチ
ルベンジジンと過酸化水素が用いられる。また、測定法
が蛍光法の場合、p−ヒドロキシフェニル酢酸と過酸化
水素が用いられる。また、測定法が発光法の場合、ルミ
ノールと過酸化水素が用いられる。また、何れの測定法
の場合にも酵素基質の溶解に用いる緩衝液および酵素反
応停止液が使用される。)。
【0050】上記に例示した試薬〜試薬からなるキ
ットは、例えば、下記の方法で使用することができる。
【0051】抗原検出用キットの使用方法 試薬である被測定物質の標準品もしくは被検液の5〜
1000μlに対して、試薬を加えて希釈し、試薬
および試薬を含む溶液の5〜1000μlを加えて一
定時間約0〜60℃で反応させる。反応後、試薬を一
定量加えて、一定時間反応させる。この後、試薬によ
り固相を洗浄し、固相上に結合している酵素の活性を測
定する。この酵素の活性の測定には、この酵素の基質を
約10〜1000μl加えて、約0〜50℃で一定時間
反応させて、反応液中の吸光度、蛍光強度あるいは発光
の程度を測定することにより、酵素活性を測定する。
【0052】または上記とは別の使用方法として、あら
かじめ一定量の試薬と試薬を反応させた後、固相を
洗浄して抗体を固相に結合させておく。この固相と被測
定物質の標準品もしくは被検液の5〜1000μlに試
薬を加えて希釈したものを反応させ、反応後、固相を
洗浄し、試薬を添加して反応させる。この後、固相を
洗浄して、固相に結合した酵素量を酵素検出用試薬を
添加して酵素反応を行ない、反応液中の吸光度、蛍光強
度、発光の程度等を測定することもできる。
【0053】また、酵素の測定にあたっては、固相に結
合している試薬−試薬−試薬からなる免疫複合体
を遊離させてその酵素量を測定することもできる。
【0054】つぎに、本発明の核酸−免疫化学的活性物
質複合体において、免疫化学的活性物質(A−SH)の
Aが抗原残基であるものを免疫化学的分析法における試
薬として使用した場合のキットの構成例、キットの使用
方法を説明する。
【0055】(II)Aが抗原残基である場合 前記(I)の場合と同様に、サンドイッチ法による酵素
免疫測定法(EIA)を例にすれば、次のようなキット
の構成例が示される。
【0056】抗体検出用キットの構成例 抗体検出用EIA試薬キットは、例えば、下記の試薬
〜試薬から構成される。
【0057】試薬:核酸が結合した固相(即ち、核酸
−免疫化学的活性物質複合体中の核酸に相補的な配列を
有する核酸を固相に結合させたものである。)。
【0058】試薬:核酸−免疫化学的活性物質複合体
(具体例には、核酸と抗原を結合させたものが挙げられ
る。)。
【0059】試薬:被測定物質の標準品(具体例に
は、前記抗原と免疫化学的に結合するものの標準品が挙
げられる。)。
【0060】試薬:酵素で標識された抗体フラグメン
ト(具体例には、抗体フラグメント、例えば、Fab′
が酵素で標識されたものが挙げられる。前記の被測定
物質に反応する抗体に、酵素を結合させたものであれば
いずれでもよく、その標識酵素の一例としては西洋ワサ
ビペルオキシダーゼ、アルカリ性フォスファターゼ、グ
ルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフ
ェラーゼなどが挙げられる。)。
【0061】試薬:希釈用緩衝液(上記およびの
試薬の希釈用、並びに被測定試料の希釈用に使用可能な
緩衝液である。その一例として、pH6〜9のTES緩
衝液、トリス塩酸緩衝液、リン酸緩衝液などが挙げられ
る。)。
【0062】試薬:洗浄液(インキュベーション後、
固相の洗浄に用いることの可能な緩衝液あるいは溶液で
ある。その一例として、TES緩衝液、トリス塩酸緩衝
液、リン酸緩衝液、食塩溶液などが挙げられる。)。
【0063】試薬:酵素活性測定に必要な試薬(その
一例として、試薬において標識酵素が西洋ワサビペル
オキシダーゼであり、測定法が比色法の場合、酵素活性
測定に必要な試薬には3,3′,5,5′−テトラメチ
ルベンジジンと過酸化水素が用いられる。また、測定法
が蛍光法の場合、p−ヒドロキシフェニル酢酸と過酸化
水素が用いられる。また、測定法が発光法の場合、ルミ
ノールと過酸化水素が用いられる。また、何れの測定法
の場合にも酵素基質の溶解に用いる緩衝液および酵素反
応停止液が使用される。)。
【0064】上記に例示した試薬〜試薬からなるキ
ットは、例えば、下記の方法で使用することができる。
【0065】抗体検出用キットの使用方法 試薬である被測定物質の標準品もしくは被検液の5〜
1000μlに対して、試薬を加えて希釈し、試薬
および試薬を含む溶液の5〜1000μlを加えて一
定時間約0〜60℃で反応させる。反応後、試薬を一
定量加えて、一定時間反応させる。この後、試薬によ
り固相を洗浄し、固相上に結合している酵素の活性を測
定する。この酵素の活性の測定には、この酵素の基質を
約10〜1000μl加えて、約0〜50℃で一定時間
反応させて、反応液中の吸光度、蛍光強度あるいは発光
の程度を測定する。
【0066】または上記とは別の使用方法として、あら
かじめ一定量の試薬と試薬を反応させた後、固相を
洗浄して抗原を固相に結合させておく。この固相と被測
定物質の標準品もしくは被検液の5〜1000μlに試
薬を加えて希釈したものを反応させ、反応後、固相を
洗浄し、試薬を添加して反応させる。この後、固相を
洗浄して、固相に結合した酵素量を酵素検出用試薬を
添加して酵素反応を行ない、反応液中の吸光度、蛍光強
度、発光の程度等を測定することもできる。
【0067】また、酵素の測定にあたっては、固相に結
合した試薬−試薬−試薬からなる免疫複合体をさ
らに遊離させてその酵素量を測定することもできる。
【0068】本発明は、標識抗体に酵素標識抗体を用い
た酵素免疫化学的分析法以外にも、放射性同位元素を標
識抗体に用いたラジオイムノアッセイ、金コロイドなど
で標識した抗体を用いる免疫分析法、アクリジュウムエ
ステルなどの発光性物質で標識された抗体を用いる免疫
分析法、フルオロセインなどの蛍光物質で標識された抗
体を用いる免疫化学的分析法などに利用することができ
る。
【0069】
【実施例】本発明を実施例により具体的に説明する。
【0070】〔実施例1〕オリゴヌクレオチド−西洋ワサビペルオキシダーゼ複合
体の製造およびその複合体の回収 5′末端にアミノ基を有する次に示す塩基配列のオリゴ
ヌクレオチドをアプライド バイオシステム社製自動D
NA合成装置391Aを用いて合成した。
【0071】アミノ基−TTT TTT TTT TT
T TTT TTT TT このヌクレオチドを169.16nmol含む0.1M
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル1,2アミ
ノエタンスルフォニックアシッド)〕pH7.0、1.
0mlに対して、100μlのN,N−ジメチルホルム
アミドに溶解した前記式(1)で表され、式(1)中に
おいて、n1=0、n2=0、n3=5、R1,R2 が化学結
合である場合の結合試薬、即ち、N−(ε−マレイミド
カプロイルオキシ)スクシンイミド5.25mgを加え
て、37℃、60分間反応させることにより、マレイミ
ド基をオリゴヌクレオチドに結合させた。反応後セファ
デックスG−25によりオリゴヌクレオチドと結合試薬
を分離し、オリゴヌクレオチドを分子量2000を限界
排除とする限外濾過膜を用いて濃縮した。
【0072】一方、抗原としての西洋ワサビペルオキシ
ダーゼ375nmolを含む0.1M リン酸ナトリウ
ム緩衝液pH7.0に対して、366μlのN,N−ジ
メチルホルムアミドに溶解した6.53mmolの無水
コハク酸を加えて、30℃、30分間反応させた。反応
後0.1mlの1M トリス−塩酸緩衝液pH7.0お
よび0.1mlの1MハイドロキシルアミンpH7.0
を加えて30℃、30分間反応させ脱保護を行なった。
この後、過剰の無水コハク酸などをセファデックスG−
25カラムクロマトグラフィーにより除き、西洋ワサビ
ペルオキシダーゼに相当する画分を集めた。この集めた
画分を限界排除分子量が10000である限外濾過膜を
用いて濃縮し、4,4′−ジチオピリジンを用いてスル
フヒドリル基の定量を行なうとスルフヒドリル基:ペル
オキシダーゼ=3.98:1であることがわかった。
【0073】前記マレイミド基導入オリゴヌクレオチド
26.1nmolと前記スルフヒドリル基導入西洋ワサ
ビペルオキシダーゼ26.1nmolを混合し、37
℃、1時間反応させ、西洋ワサビペルオキシダーゼに導
入されたスルフヒドリル基とオリゴヌクレオチドに導入
されたマレイミド基を結合させることによってオリゴヌ
クレオチドと西洋ワサビペルオキシダーゼを結合させ
た。その後この混合物をウルトロゲルAcA44カラム
にかけ、5mM EDTA(エチレンジアミンテトラア
セチックアシッド)を含む0.1Mリン酸緩衝液pH
6.0により溶出させて、オリゴヌクレオチド−西洋ワ
サビペルオキシダーゼ複合体を回収した。前記カラムか
ら溶出された各フラクションに対して、260nm、2
80nm、403nmにおけるそれぞれの吸光度を測定
した。この結果を図4に示す。
【0074】図4中の白四角印□は、西洋ワサビペルオ
キシダーゼの特異的な吸収波長403nmにおける吸光
度を示す。黒三角印▲はオリゴヌクレオチドの最大吸収
波長260nmにおける吸光度を、白丸印〇はタンパク
質の最大吸収波長280nmにおける吸光度をそれぞれ
示す。図4からは、本発明の方法において、西洋ワサビ
ペルオキシダーゼとオリゴヌクレオチドが結合したもの
と、結合していないオリゴヌクレオチドが効率よく分離
されていることが分かる。
【0075】フラクション31から45を収集し、その
オリゴヌクレオチド−西洋ワサビペルオキシダーゼ複合
体の回収率はほぼ100%であった。なお、スルフヒド
リル基の導入処理をしていない西洋ワサビペルオキシダ
ーゼは、フラクション46をピークとして溶出されるこ
とが分かっている。この画分の一部と処理を施していな
い西洋ワサビペルオキシダーゼを、ドデシル硫酸ナトリ
ウムを含む10%ポリアクリルアミドゲルを用いた電気
泳動分析法で分子量を比較してみたところ、前者は後者
と同一の分子量のバンドを持たず分子量として5000
から6000程度高分子のところにメジャーなバンドが
移動していることが確認された。
【0076】〔実施例2〕オリゴヌクレオチド−抗CTFab′複合体の製造およ
びその複合体の回収 抗原としてコレラ菌が産生するコレラ毒素(略号:C
T)を家兎に免疫して、CTに対する抗血清を調製し
た。この抗血清1mに対して0.18gの硫酸ナトリウ
ムを加えて30分間攪拌して塩析を行ない、この後、遠
心分離により沈殿物を回収した。得られた沈殿物を少量
の17.5mM リン酸ナトリウム緩衝液pH6.3で
溶解した後、同緩衝液に対して透析した。透析した溶液
をDEAEセルロースカラムクロマトグラフィーにより
IgG画分を分取した。IgG画分をペプシンで処理し
た後、ウルトロゲルAcA44カラムを用いたクロマト
グラフィーを行ない、抗CTF(ab′)2 を2−メル
カプトエチルアミンで還元し、セファデックスG−25
カラムクロマトグラフィーにより抗CTFab′を調製
した。
【0077】一方、5′末端にアミノ基を有する次に示
す塩基配列のオリゴヌクレオチドをアプライドバイオシ
ステム社製自動DNA合成装置391Aを用いて合成
し、固相導入用オリゴヌクレオチドとした。
【0078】アミノ基−CG ACG GAT CCC
CGG GAA TTC このオリゴヌクレオチドと相補的な配列を有し、且つそ
のオリゴヌクレオチドの5′末端にアミノ基を導入した
オリゴヌクレオチドを上記と同様に合成し、このヌクレ
オチドを253.74nmol含む0.1M TES、
pH7.0、0.5mlに対して、50μlのN,N−
ジメチルホルムアミドに溶解した、前記式(1)で表さ
れ、その式(1)中において、n1=0、n2=0、n3
5、R1 ,R2 が化学結合である場合の結合試薬、即
ち、N−(ε−マレイミドカプロイルオキシ)スクシン
イミド7.8mgを加えて37℃、60分間反応させる
ことにより、マレイミド基をオリゴヌクレオチドに導入
した。反応後セファデックスG−25によりオリゴヌク
レオチドと結合試薬を分離し、オリゴヌクレオチドを分
子量2000を限界排除とする限外濾過膜を用いて濃縮
した。濃縮したオリゴヌクレオチドは205.6nmo
lであった。またY.Okuらの方法(Microbiol.Immu
nol., 32,807-816, 1988)にしたがってマレイミド基の
定量を行なうと、オリゴヌクレオチド:マレイミド基=
1:1.42であった。
【0079】前記抗CTFab′101nmolに対し
て前記マレイミド基導入オリゴヌクレオチド144.3
nmolを混合し、37℃、1時間反応させることによ
り、前記抗CTFab′のヒンジ部SH基とマレイミド
基導入オリゴヌクレオチドを結合させた。その後この混
合物をウルトロゲルAcA44カラムにかけ0.1Mリ
ン酸緩衝液pH6.0により溶出させた。溶出物に、オ
リゴヌクレオチドと抗CTFab′が結合しているオリ
ゴヌクレオチド−抗CTFab′複合体が存在すること
は260nmおよび280nmにおける吸光度を測定す
ることによって確認した。
【0080】図5に各フラクションに対する吸光度の測
定結果をグラフとして示した。図5中におるけ白三角印
△は260nmにおける吸光度を、白丸印○は280n
mにおける吸光度をそれぞれ示す。フラクション40前
後で溶出されてくるものがオリゴヌクレオチド−抗CT
Fab′複合体であり、フラクション55前後に溶出さ
れているのが抗CTFab′に結合しなかったオリゴヌ
クレオチドである。
【0081】図5からわかるように本実施例2の製造方
法を用いると、効率よくオリゴヌクレオチド−抗CTF
ab′複合体が得られることが分かる。フラクション3
3から45までを収集し吸光度の比からオリゴヌクレオ
チドの導入率を調べたところ、1モルの抗CTFab′
に対して1モルのオリゴヌクレオチドが導入されている
ことが分かった。また反応に使用した抗CTFab′の
ほぼ100%がオリゴヌクレオチド−抗CTFab′複
合体として回収された。
【0082】〔実施例3〕オリゴヌクレオチド導入固相とオリゴヌクレオチド−抗
CTFab′複合体によるコレラ毒素の検出 前記実施例2で製造した固相導入用オリゴヌクレオチド
を、アミノ基が導入されたポリスチレンビーズにグルタ
ルアルデヒドで共有結合させることにより、オリゴヌク
レオチド導入固相を製造した。このオリゴヌクレオチド
導入固相を0.1%アジ化ナトリウム、0.1%スキム
ミルクおよび5mM EDTAを含む10mMリン酸ナ
トリウム緩衝液、0.1M塩化ナトリウムpH7.0中
に保存した。
【0083】このオリゴヌクレオチド導入固相と、前記
実施例2で製造したオリゴヌクレオチド−抗CTFa
b′複合体を用いて、コレラ毒素がどの程度の量まで検
出できるかを調べた。すなわち、各30.5pg/m
l、122pg/ml、488pg/ml、1.95n
g/ml、7.8ng/ml、31.2ng/mlの濃
度のコレラ毒素溶液250μlに、オリゴヌクレオチド
−抗CTFab′複合体と西洋ワサビペルオキシダーゼ
標識抗CTFab′をそれぞれ20pmol/mlおよ
び800ng/ml含む緩衝液250μl中で、37
℃、1時間反応させ、前記オリゴヌクレオチド導入固相
を投入し、37℃、1時間反応させた。この後、0.3
M塩化ナトリウム溶液で洗浄した後、テトラメチルベン
ジジンを用いて酵素活性を測定し検量線を作製した。こ
のコレラ毒素濃度に対する450nmにおける吸光度の
測定結果を図6に示した。なお、図6中のプロット点は
実際のコレラ毒素濃度、すなわち上記濃度の2倍希釈濃
度を示している。その結果61pg/ml以上のコレラ
毒素の検出が可能であることがわかった。
【0084】〔実施例4〕オリゴヌクレオチド導入固相とオリゴヌクレオチド−抗
CTFab′複合体によるコレラ毒素の検出 前記実施例3に記載したオリゴヌクレオチド導入固相
と、前記実施例2に記載したオリゴヌクレオチド結合F
ab′を用いて、コレラ毒素がどの程度の量まで検出で
きるかを調べた。本実施例4においては前記実施例3と
異なり、オリゴヌクレオチド導入抗体とオリゴヌクレオ
チド導入固相をあらかじめ反応させた後洗浄し、固相に
抗体を結合させたものを使用した。
【0085】すなわち、前記実施例2に記載したオリゴ
ヌクレオチド結合Fab′と前記実施例3に記載したオ
リゴヌクレオチド導入固相とを予め核酸の相補的結合に
より結合させたものに対して、15pg/ml、61p
g/ml、244pg/ml、976pg/ml、3.
9ng/ml、15.6ng/mlの濃度のコレラ毒素
溶液500μlを37℃、1時間反応させて、固相上に
コレラ毒素を結合させた。
【0086】得られた固相を0.3M 塩化ナトリウム
溶液で洗浄した後、400ng/mlの西洋ワサビペル
オキシダーゼ標識抗コレラ毒素Fab′を37℃で1時
間反応させた。その後、固相を再度0.3M 塩化ナト
リウム溶液で洗浄した後、テトラメチルベンジジンを用
いて固相に結合した酵素量を調べ、検量線を作製した。
このコレラ毒素濃度に対する450nmにおける吸光度
の測定結果を図7に示す。コレラ毒素は15pg/ml
以上が検出可能であることがわかった。
【0087】〔実施例5〕オリゴヌクレオチド導入固相とオリゴヌクレオチド−抗
TDHFab′複合体によるTDHの検出 抗原として腸炎ビブリオの産生する耐熱性溶血清(TD
H;Thermodirect haemolysin)を家兎に免疫して抗血清
を調製し、この抗血清から前記実施例2と同様の手法に
よりFab′を調製した。
【0088】また5′末端にアミノ基を導入したアミノ
基−GCC AAG CTT GGC TGC AGG
TCに、マレイミド基を導入したマレイミド基導入オ
リゴヌクレオチドを前記実施例2と同様の方法で調製し
た。前記Fab′とこのマレイミド基導入オリゴヌクレ
オチドを反応させてオリゴヌクレオチド−抗TDHFa
b′複合体を調製した。
【0089】一方、前記オリゴヌクレオチドに相補的な
オリゴヌクレオチドを合成し前記実施例3と同様にして
固相に結合させた。こうして調製したオリゴヌクレオチ
ド導入固相とオリゴヌクレオチド−抗TDHFab′複
合体を用いて、前記実施例3と同様にTDHがどの程度
の量まで検出できるか調べた。
【0090】すなわち、30.5pg/ml、122p
g/ml、488pg/ml、1.95ng/ml、
7.8ng/ml、31.2ng/mlの濃度のコレラ
毒素溶液250μlに、オリゴヌクレオチド結合Fa
b′と西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗TDHFa
b′をそれぞれ20pmol/mlおよび800ng/
ml含む緩衝液250μlと37℃、1時間反応させ、
前記オリゴヌクレオチド固相を投入し、37℃1時間反
応させた。この後、0.3M塩化ナトリウム溶液で洗浄
した後、テトラメチルベンジジンを用いて酵素活性を測
定し検量線を作製した。この耐熱性溶血毒素濃度に対す
る450nmにおける吸光度の測定結果を図8に示す。
なお、図8中のプロット点は実際の耐熱性溶血毒濃度、
すなわち、上記濃度の2倍希釈濃度を示している。その
結果244pg/ml以上のTDHの検出が可能である
ことがわかった。
【0091】〔実施例6〕オリゴヌクレオチド導入固相とオリゴヌクレオチド−抗
TDHFab′複合体によるTDHの検出 前記実施例5に記載したオリゴヌクレオチド導入固相と
オリゴヌクレオチド結合Fab′を用いて、TDHがど
の程度の量まで検出できるかを調べた。本実施例6にお
いては、前記実施例5と異なり、ヌクレオチド導入抗体
とヌクレオチド導入固相を予め反応させた後、洗浄し、
固相に抗体を結合させたものを使用した。
【0092】すなわち、前記実施例5に記載したオリゴ
ヌクレオチド−抗TDHFab′複合体と前記実施例5
に記載したオリゴヌクレオチド導入固相とを、予め核酸
の相補的結合により結合させておいた。得られた抗TD
HFab′が結合された固相に対して、各15pg/m
l、61pg/ml、244pg/ml、976pg/
ml、3.9ng/ml、15.6ng/mlの濃度の
TDH溶液500μlを37℃、1時間反応させて固相
上にTDHを結合させた。得られた固相を0.3M 塩
化ナトリウム溶液で洗浄した後、400ng/mlの西
洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗TDHFab′を37
℃で1時間反応させた。この後、固相を再度0.3M
塩化ナトリウム溶液で洗浄した後、テトラメチルベンジ
ジンを用いて固相に結合した酵素量を調べ、検量線を作
製した。この耐熱性溶血毒濃度に対する450nmにお
ける吸光度の測定結果を図9に示す。TDHは15pg
/ml以上が検出可能であることがわかった。
【0093】〔比較例1〕ゴシュらの方法によるオリゴヌクレオチド−抗コレラ毒
素F(ab′)2 複合体の製造およびその複合体の回収 オリゴヌクレオチド−免疫化学的活性物質複合体の調製
を、Bioconjugate Chemistry,(1,71-76, 1990, S.S.Gho
sh,P.M.Kao, A.W.McCue, and H.L.Chappele)に記載され
ている方法により行なった。
【0094】フルオレセイン標識ウサギF(ab′)2
0.1mgを添加したウサギの抗コレラ毒素F(a
b′)2 4.09mgを0.1Mリン酸ナトリウム緩衝
液pH7.0に溶解した。これに50モル過剰のN−
(ε−マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド
(以下EMCSと略記する)を添加して、30℃、30
分間インキュベートした後、セファデックスG−25樹
脂を用いたゲルカラムクロマトグラフィーを行なうこと
により、マレイミド基を導入した抗コレラ毒素F(a
b′)2 と、未反応のEMCSを分離した。マレイミド
基導入抗コレラ毒素F(ab′)2 をアミコンYM−3
0限外濾過膜を用いて濃縮した。
【0095】一方、アプイライドバイオシテムス社製D
NA合成装置391Aを用いて5′末端にアミノ基を有
する次に示す塩基配列のオリゴヌクレオチドを合成し
た。
【0096】アミノ基−GAA TTC CCG GG
G ATC CGT CG このオリゴヌクレオチドに50モル過剰のN−スクシン
イミジル−S−アセチルチオエート(以下SATAと略
記する)を添加して30℃30分間インキュベートし
た。インキュベート後、それぞれ終濃度0.1Mとなる
ように1Mトリス−塩酸緩衝液pH7.0と1Mハイド
ロキシルアミンpH7.0を添加し、30℃10分間イ
ンキュベートした。この後、オリゴヌクレオチドを常法
にしたがってエタノール沈殿により分画した。
【0097】沈殿として得られたオリゴヌクレオチドを
0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液pH6.0で溶解し、
限外濾過により濃縮したマレイミド基導入抗コレラ毒素
F(ab′)2 と混合して、30℃、1時間反応させ
た。反応後、ウルトロゲルAxA34樹脂を用いたゲル
カラムクロマトグラフィーを行ない、オリゴヌクレオチ
ドが結合した抗コレラ毒素F(ab′)2 と未反応オリ
ゴヌクレオチドを分離し、オリゴヌクレオチド−抗コレ
ラ毒素F(ab′)2 複合体に相当する分画、フラクシ
ョン番号33から45までを収集した。図10に、各フ
ラクションに対する280nmにおける吸光度と蛍光強
度を測定して得たグラフを示す。図10中黒丸印●は2
80nmにおける吸光度を示し、黒三角印▲は蛍光強度
を示す。
【0098】さらに、このフラクション番号33から4
5まで収集した画分を東ソー社製G3000SW樹脂を
用いたゲルカラムクロマトグラフィーにより純度を調べ
た。図11に、そのゲルクロマトグラフィーによる流出
経過時間に対する各成分の流出量(%)のパターンを示
す。その結果、オリゴヌクレオチド−抗コレラ毒素F
(ab′)2 複合体に相当する画分は全体の280nm
における吸光度の57.6%であることがわかった。
【0099】〔実施例7〕本発明によるオリゴヌクレオチド−抗コレラ毒素F(a
b′)2 複合体の製造およびその複合体の回収 前記比較例1と対比するために、本発明のオリゴヌクレ
オチド−免疫化学的活性物質複合体の調製を次のように
行なった。
【0100】フルオレセイン標識ウサギF(ab′)2
0.1mgを添加したウサギの抗コレラ毒素F(a
b′)2 4.09mgを0.1Mリン酸ナトリウム緩衝
液pH7.0に溶解した。これに50モル過剰のSAT
Aを添加して、30℃、30分間インキュベートした
後、それぞれ終濃度0.1Mとなるように1Mトリス−
塩酸緩衝液pH7.0と1MハイドロキシルアミンpH
7.0を添加し、30℃、10分間インキュベートし
た。セファデックスG−25樹脂を用いたゲルカラムク
ロマトグラフィーを行なうことにより、スルフヒドリル
基が導入された抗コレラ毒素F(ab′)2 と未反応の
SATAを分離した。得られたスルフヒドリル基導入抗
コレラ毒素F(ab′)2 をアミコンYM−30限外濾
過膜を用いて濃縮した。
【0101】一方、アプイライドバイオシテムス社製D
NA合成装置391Aを用いて5′末端にアミノ基を有
する次に示す塩基配列のオリゴヌクレオチドを合成し
た。
【0102】アミノ基−GAA TTC CCG GG
G ATC CGT CG このオリゴヌクレオチドに50モル過剰のEMCSを添
加して30℃30分間インキュベートした。インキュベ
ート後、オリゴヌクレオチドを常法にしたがってエタノ
ール沈殿により分画した。沈殿として得られたオリゴヌ
クレオチドを0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液pH6.
0で溶解し、限外濾過により濃縮したスルフヒドリル基
導入ウサギ抗コレラ毒素F(ab′)2 と混合して、3
0℃、1時間反応させた。
【0103】反応後、ウルトロゲルAcA34樹脂を用
いたゲルカラムクロマトグラフィーを行ない、オリゴヌ
クレオチドが結合した抗コレラ毒素F(ab′)2 と未
反応オリゴヌクレオチドを分離し、オリゴヌクレオチド
−抗コレラ毒素F(ab′)2 複合体に相当する分画、
フラクション番号32から47までを収集した。図12
に各フラクションに対する、280nmにおける吸光度
と蛍光強度を測定して得たグラフを示す。図12中、黒
丸印●は280nmにおける吸光度を示し、黒三角印▲
は蛍光強度を示す。
【0104】さらに、このフラクション番号32から4
7まで収集した分画を東ソー社製G3000SW樹脂を
用いたゲルカラムクロマトグラフィーにより純度を調べ
た。図13にそのゲルクロマトグラフィーによる流出経
過時間に対する各成分の流出量(%)のパターンを示
す。その結果、オリゴヌクレオチド−抗コレラ毒素F
(ab′)2 複合体に相当する画分は全体の280nm
における吸光度の75.4%であった。
【0105】この結果を前記比較例1のゴシュらの方法
と比較すると、ゴシュらの方法により調製して得たオリ
ゴヌクレオチド−抗コレラ毒素F(ab′)2 複合体の
画分%に比較して、本実施例7の画分%は17.8%高
く、本発明による方法の方が核酸−免疫化学的活性物質
複合体の純度において優れていることがわかる。
【0106】〔比較例2〕オリゴヌクレオチド導入固相とオリゴヌクレオチド−抗
コレラ毒素F(ab′)2 複合体によるコレラ毒素の検
前記比較例1および前記実施例7において調製した、各
オリゴヌクレオチド−抗コレラ毒素F(ab′)2 複合
体を用いて、コレラ毒素に対する反応性を次の方法によ
り調べた。
【0107】すなわち、オリゴヌクレオチド−抗コレラ
毒素F(ab′)2 複合体と、該複合体中のヌクレオチ
ドと相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを結合さ
せた固相とをあらかじめそれぞれ一定濃度で一定時間反
応させ、双方のオリゴヌクレオチドの相補的な結合によ
り固相にオリゴヌクレオチド−抗コレラ毒素F(a
b′)2 を固定した。その後、0.3M塩化ナトリウム
を含む0.01Mリン酸ナトリウム緩衝液pH7.0
(以下洗浄用緩衝液と略す)で、固相結合抗コレラ毒素
F(ab′)2 を洗浄した。
【0108】一方、種々の濃度のコレラ毒素を含む溶液
を、0.002%チメロサール、0.1%牛血清アルブ
ミン、1mM EDTA、0.3M塩化ナトリウムを含
む10mMビシン−水酸化ナトリウム緩衝液pH8.3
(以下、希釈緩衝液と略す)を用いて調製した。
【0109】前記の種々のコレラ毒素を含む各溶液のそ
れぞれに、前記のオリゴヌクレオチド−抗コレラ毒素F
(ab′)2 複合体が結合した固相を投入して、37
℃、1時間反応させた。洗浄用緩衝液で固相を洗浄後、
Y.Okuらの方法(Microbiol. Immunol.,32, 807-81
6, 1988 )により調製したペルオキシダーゼ標識抗コレ
ラ毒素Fab′を400ng/mlの濃度で含む希釈緩
衝液と37℃1時間反応させた。固相を再び洗浄後、前
記Y.Okuらの方法にしたがって固相に結合したペル
オキシダーゼを調べた。
【0110】図14は種々のコレラ毒素濃度に対する4
50nmにおける吸光度の測定値をグラフにしたもので
ある。図14中、黒丸印●は、本発明の前記実施例7に
より得られたオリゴヌクレオチド−抗コレラ毒素F(a
b′)2 複合体を示し、白三角印▲はゴシュらの方法に
基づいて作製した前記比較例1のオリゴヌクレオチド−
抗コレラ毒素F(ab′)2 複合体を示す。
【0111】その結果、前記比較例1のゴシュらの方法
により調製したオリゴヌクレオチド−抗コレラ毒素F
(ab′)2 複合体よりも前記実施例7の本発明による
オリゴヌクレオチド−抗コレラ毒素F(ab′)2 複合
体を用いたほうが高い反応性を示すことが分かった。
【0112】〔比較例3〕本発明によるオリゴヌクレオチド−抗コレラ毒素Fa
b′複合体、およびゴシュらの方法によるオリゴヌクレ
オチド−抗コレラ毒素F(ab′)2 複合体の反応性の
比較 前記実施例2の本発明による方法で調製したオリゴヌク
レオチド−抗コレラ毒素Fab′複合体と、前記比較例
1のゴシュらの方法により調製したオリゴヌクレオチド
−抗コレラ毒素F(ab′)2 複合体のコレラ毒素に対
する反応性を次のようにして調べた。
【0113】すなわち、各々、一定濃度の前記実施例2
のオリゴヌクレオチド−抗コレラ毒素Fab′複合体お
よび前記比較例1のオリゴヌクレオチド−抗コレラ毒素
F(ab′)2 複合体に対して、一定濃度のペルオキシ
ダーゼ標識抗コレラ毒素Fab′〔Y.Okuらの方法
(Microbiol. Immunol.,32, 807-816, 1988 )にしたが
って調製した〕を含む希釈用緩衝液と、一定量のコレラ
毒素を含む希釈緩衝液を混合し、37℃、1時間反応さ
せた。反応後、得られた反応溶液を前記オリゴヌクレオ
チドに相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを結合
させた固相と37℃、1時間反応させた。反応後、洗浄
用緩衝液で固相を洗浄し、Y.Okuらの方法(Microb
iol. Immunol.,32, 807-816, 1988 )にしたがって固相
に結合したペルオキシダーゼを調べた。
【0114】図15は種々のコレラ毒素濃度に対する4
50nmにおける吸光度の測定値をグラフにしたもので
ある。図15中、黒丸印●は、本発明の前記実施例2に
より得られたオリゴヌクレオチド−抗コレラ毒素Fa
b′複合体を示し、白三角印▲はゴシュらの方法に基づ
いて作製した前記比較例1のオリゴヌクレオチド−抗コ
レラ毒素F(ab′)2 複合体を示す。
【0115】その結果、本発明の前記実施例2により調
製したオリゴヌクレオチド−抗コレラ毒素Fab′複合
体を用いた方が、前記比較例1のゴシュらの方法により
作製した複合体よりも反応性が高いことがわかった。な
お、ゴシュらの方法ではFab′のヒンジ部スルフヒド
リル基に特異的にオリゴヌクレオチドを導入することは
不可能である。
【0116】
【発明の効果】本発明によれば、本発明は、核酸の3′
あるいは5′末端にマレイミド基を導入しておき、免疫
化学的活性物質の側にスルフヒドリル基を導入し、この
両者を混合して反応させることによって、免疫化学的測
定法に有用な核酸−免疫化学的活性物質複合体を作製す
るので、本発明の核酸−免疫化学的活性物質複合体の回
収率は95〜100%と高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】特開平4−204379号公報に開示の免疫化
学的検出法のプロセスを示す。
【図2】ゴシュらの核酸とその末端に結合される抗体と
の結合方法のフローを示す。
【図3】ゴシュらの核酸とその末端に結合される抗体と
の結合方法の別のフローを示す。
【図4】実施例1におけるオリゴヌクレオチド−西洋ワ
サビペルオキシダーゼ複合体の各溶出フラクションの吸
光度を示す。
【図5】実施例2におけるオリゴヌクレオチド−抗CT
Fab′複合体の各溶出フラクションの吸光度を示す。
【図6】実施例3におけるオリゴヌクレオチド導入固相
とオリゴヌクレオチド−抗CTFab′複合体によるコ
レラ毒素の検出曲線を示す。
【図7】実施例4におけるオリゴヌクレオチド導入固相
とオリゴヌクレオチド−抗CTFab′複合体によるコ
レラ毒素の検出曲線を示す。
【図8】実施例5におけるオリゴヌクレオチド導入固相
とオリゴヌクレオチド−抗TDHFab′複合体による
TDH(耐熱性溶血毒素)の検出曲線を示す。
【図9】実施例6におけるオリゴヌクレオチド導入固相
とオリゴヌクレオチド−抗TDHFab′複合体による
TDH(耐熱性溶血毒素)の検出曲線を示す。
【図10】比較例1のゴシュらの方法により得られたオ
リゴヌクレオチド−抗コレラ毒素F(ab′)2 複合体
の各溶出フラクションの吸光度および蛍光強度を示す。
【図11】図10の溶出フラクション番号33から45
まで収集した画分のゲルクロマトグラフィーにおける流
出経過時間に対する各成分の流出量(%)のパターンを
示す。
【図12】実施例7におけるオリゴヌクレオチド−抗コ
レラ毒素F(ab′)2 複合体の各溶出フラクションの
吸光度および蛍光強度を示す。
【図13】図12の溶出フラクション番号32から47
まで収集した画分のゲルクロマトグラフィーによる流出
経過時間に対する各成分の流出量(%)のパターンを示
す。
【図14】比較例1および実施例7の各オリゴヌクレオ
チド−抗コレラ毒素F(ab′)2 複合体の種々のコレ
ラ毒素濃度に対する450nmにおける吸光度の測定値
を示す。
【図15】比較例1のオリゴヌクレオチド−抗コレラ毒
素F(ab′)2 複合体および実施例2のオリゴヌクレ
オチド−抗コレラ毒素Fab′複合体の、種々のコレラ
毒素濃度に対する450nmにおける吸光度の測定値を
示す。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 核酸に次の一般式で表される化合物 【化1】 〔式中、n1n2およびn3はそれぞれ独立した0から15
    のあいだの整数を、R1およびR2 はそれぞれ化学結合
    または6員環状炭化水素残基を表す。〕を反応させるこ
    とにより、次の一般式で示される化合物 【化2】 〔式中、Bは核酸をB−NH2 で表したときのその残基
    を表し、n1n2およびn3はそれぞれ独立した0から15
    のあいだの整数を、R1 およびR2 はそれぞれ化学結合
    または6員環状炭化水素残基を表す。〕を得、 次いでこの化合物を免疫化学的活性物質と反応させるこ
    とにより、次の一般式で表される化合物 【化3】 〔式中、Aは免疫化学的活性物質をA−SHで表したと
    きのその残基を表し、B、n1n2n3、R1 およびR2
    はそれぞれ化学結合または6員環状炭化水素残基を表
    す。〕を得ることを特徴とする核酸と免疫化学的活性物
    質との複合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記核酸が、ポリリボヌクレオチド、ポ
    リデオキシリボヌクレオチド、オリゴリボヌクレオチ
    ド、オリゴデオキシリボヌクレオチドあるいはこれら2
    種以上の複合体から選ばれたものである請求項1記載の
    核酸と免疫化学的活性物質との複合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記免疫化学的活性物質が抗体である請
    求項1または2記載の核酸と免疫化学的活性物質との複
    合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記免疫化学的活性物質が抗原である請
    求項1、2または3記載の核酸と免疫化学的活性物質と
    の複合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記抗体がIgGまたはその消化物であ
    る請求項4記載の核酸と免疫化学的活性物質との複合体
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記IgGの消化物がFab′である請
    求項5記載の核酸と免疫化学的活性物質との複合体の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 前記核酸に含有されるアミノ基(NH2
    −)が、核酸の3′末端または5′末端のもの、あるい
    は核酸の分子中に導入されたものである請求項1、2、
    3、4、5または6記載の核酸と免疫化学的活性物質と
    の複合体の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3、4、5、6または7
    記載の核酸と免疫化学的活性物質との複合体の製造方法
    により得られ、次の一般式で表される免疫化学的分析に
    使用されることを特徴とする核酸と免疫化学的活性物質
    との複合体。 【化4】
  9. 【請求項9】 請求項1、2、3、4、5、6または7
    記載の核酸と免疫化学的活性物質との複合体の製造方法
    により得られ、次の一般式で表される核酸と免疫化学的
    活性物質との複合体を含んだことを特徴とする免疫化学
    的測定試薬。 【化5】
JP28570093A 1993-10-21 1993-10-21 核酸と免疫化学的活性物質との複合体、その製法およびその複合体を使用する免疫化学的測定試薬 Pending JPH07118291A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005090972A1 (ja) * 2004-03-18 2005-09-29 Nissui Pharmaceutical Co., Ltd. 生物学的物質の分析キット、分析装置及び分析方法
US7045363B2 (en) 1996-05-01 2006-05-16 Fujirebio Inc. Nucleic acid-bound polypeptide method of producing nucleic acid-bound polypeptide and immunoassay using the polypeptide

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7045363B2 (en) 1996-05-01 2006-05-16 Fujirebio Inc. Nucleic acid-bound polypeptide method of producing nucleic acid-bound polypeptide and immunoassay using the polypeptide
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