JP2007198765A - 分析チップおよび分析方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】タンパク質の構造・機能の解析等に用いる従来の分析チップは、送液を停止した際に反応室内残圧によって溶液が分析チップ外部に流出するため、反応室内での測定対象成分と選択結合性物質との反応が安定せず、再現性のある分析、検出感度の高い分析を行うことが困難であった。
【解決手段】反応室の液体流入口側、液体流出口側の両流路に該流路の開閉の切り替えが可能なバルブを備えることを特徴とする分析チップを提供する。
【選択図】図1
【解決手段】反応室の液体流入口側、液体流出口側の両流路に該流路の開閉の切り替えが可能なバルブを備えることを特徴とする分析チップを提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は、主にタンパク質の構造・機能の解析又はタンパク質を使用した反応に用いる分析チップおよびその分析方法に関する。特に、抗原-抗体反応を用いたタンパク質の分析に使用する分析チップおよびその分析方法に関するものである。
免疫分析および選択結合性物質を用いる分析は、医療や生化学などの分野で重要な分析方法のひとつであることが知られている。しかし、従来の試験管、マイクロプレート、マイクロチューブ、マイクロウェル等を用いて行う酵素免疫分析方法(ELISA)などは、複数種の試薬の導入、反応、洗浄等の工程があり、操作が煩雑であるため、分析に多くの時間を要し、あるいは容器の容積が大きいため用いる試薬量が多いという欠点がある。そこで、一枚の基板上にマイクロメートルオーダーのマイクロチャネル(微細溝)を形成した分析チップを使用することにより、その特性である微小容積、大きな比表面積、短い拡散移動距離を利用して反応効率を高め、様々な化学システムを構築してきたことの実績と知見を踏まえて、そのひとつとして免疫分析法の分析チップへの適用が行われてきた。すなわち、分析チップのマイクロチャネル中において、試料溶液中の抗原または抗体と選択的に結合する抗体または抗原を固定化する固定化担体としてマイクロビーズを用い、このマイクロビーズに抗体または抗原を結合させることにより、複数種の試薬を連続的に導入、反応させ、洗浄を行うことが可能となり、効率よく抗原−抗体反応を行うことが可能となった。
分析チップを用いたタンパク質、すなわち選択結合性物質としての抗原および抗体の分析は、一般に以下のようにして行われる。
測定対象成分を捕捉するための選択結合性物質としての抗原または抗体をガラス、樹脂基板、プラスチックビーズ、プラスチック試験管または紙などの固体担体に結合させ、そしてこれらの捕捉用抗原または抗体を固定化した担体に、同定すべき抗体または抗原を含有する液体を加える。一定の反応時間後に、捕捉用抗原または抗体と測定対象成分が反応すると、それらは担体と結合した状態となる。
測定対象成分を検出する方法としては、例えば以下のような例があげられる。すなわち、測定対象成分を前もって放射性、蛍光性または酵素的に活性な標識物質で標識する工程、これらの標識された測定対象成分を担体に固定化された捕捉用抗原または抗体と反応される工程およびこれらの放射能、蛍光または酵素活性を利用して測定する工程を含む方法、或いは、測定対象成分を担体に固定化された捕捉用抗原または抗体と反応させる工程、捕捉された検出対象に対して更に放射能、蛍光または酵素活性によって標識した検出用の物質を反応させる工程およびこれらの放射能、蛍光または酵素活性を利用して測定する工程を含む方法などがある。
従来の分析チップの形態としては、分析チップ内部に反応室を有し、反応室内部に担体(固体粒子)を収納し、固体粒子を堰き止める堰部を設け、測定対象成分を担体に固定化し、固定化した測定対象成分を光分析、あるいは固定化した測定対象成分と発色試薬液を反応させ、これにより発色した発色試薬液を反応室下流の流路内で光分析するチップが知られている(例えば特許文献1参照)。
また、ガラス、シリコン基板等からなるマイクロチップ内に反応室を有し、反応室内に免疫抗原−抗体反応のための反応固相としての直径1mm以下のガラスビーズもしくはポリスチレン等の高分子固体微粒子を装入し、マイクロチャネル流入部から導入した抗原および標識抗体の反応を該固体微粒子上で行い、未反応物あるいは反応生成物を分離して光熱変換分析により分析する免疫分析チップが知られている(例えば特許文献2参照)。
しかし、上記等の従来の分析チップにおいては、反応室内に微小な担体が充填されかつ流路等が微細な構造を有するため、反応および測定時に送液ポンプ等による送液を停止しても、反応室内に送液による残圧が生じ、反応生成物等を含む溶液の流れがすぐに停止することなく、該残圧によってそのまま溶液がしばらく流れ続けることになる。その結果、液体流出口および液体流入口から該溶液が分析チップの外部に流出してしまい、反応室内での測定対象成分と選択結合性物質との反応、例えば抗原−抗体反応が安定しない、また測定感度が低下してしまうという問題があった。
特開2004−132820号公報
特開2001−4628号公報
本発明は、従来の分析チップにおける、上記のような課題を解決することを目的とする。すなわち、本発明の分析チップは、送液を停止した際に反応室内残圧によって溶液が分析チップ外部に流出することをなくし、反応室内での測定対象成分と選択結合性物質との反応を安定化し、また測定感度の低下を防ぐものである。
上記課題を解決するために、本発明は次の構成を有する。
(1)液体流入口と液体流出口を有すると共に、液体流入口から導入した試料溶液中の測定対象成分と選択的に結合する選択結合性物質が表面に固定化されている担体を収納する反応室を内部に備え、液体流入口、液体流出口、反応室が流路を通じて連結されている分析チップであって、反応室に連結する液体流入口側の流路および液体流出口側の流路に該流路の開閉の切り替えが可能なバルブを備えることを特徴とする分析チップ。
(2)前記バルブが、前記流路を開閉する部分が弾性材からなるバルブであることを特徴とする(1)に記載の分析チップ。
(3)前記バルブがピンチバルブであることを特徴とする(2)に記載の分析チップ。
(4)(1)から(3)に記載の分析チップを用いて、測定対象成分と選択的に結合する選択結合性物質が表面に固定化されている担体上で、試料溶液中の測定対象成分と選択結合性物質とを結合させ、該測定対象成分を免疫学的に測定することを特徴とする分析方法。
(1)液体流入口と液体流出口を有すると共に、液体流入口から導入した試料溶液中の測定対象成分と選択的に結合する選択結合性物質が表面に固定化されている担体を収納する反応室を内部に備え、液体流入口、液体流出口、反応室が流路を通じて連結されている分析チップであって、反応室に連結する液体流入口側の流路および液体流出口側の流路に該流路の開閉の切り替えが可能なバルブを備えることを特徴とする分析チップ。
(2)前記バルブが、前記流路を開閉する部分が弾性材からなるバルブであることを特徴とする(1)に記載の分析チップ。
(3)前記バルブがピンチバルブであることを特徴とする(2)に記載の分析チップ。
(4)(1)から(3)に記載の分析チップを用いて、測定対象成分と選択的に結合する選択結合性物質が表面に固定化されている担体上で、試料溶液中の測定対象成分と選択結合性物質とを結合させ、該測定対象成分を免疫学的に測定することを特徴とする分析方法。
本発明の分析チップにおいて、反応室に連結する液体流入口側の流路および液体流出口側の流路に該流路の開閉の切り替えが可能なバルブを備えることにより、このバルブを閉じることで反応室内の溶液の流れを停止することができるため、測定対象成分と選択結合性物質の反応を安定して行うことができ、その結果再現性のある分析、また測定感度の高い分析が可能になる。
[分析チップ]
本発明は、液体流入口と液体流出口を有すると共に、液体流入口から導入した試料の測定対象成分と選択的に結合する選択結合性物質が表面に固定化されている担体を収納する反応室を内部に備え、液体流入口、液体流出口、反応室が流路を通じて連結されている分析チップであって、反応室に連結する液体流入口側の流路および液体流出口側の流路に、該流路を開閉するバルブを有することを特徴とする分析チップである。図1〜4に本発明の一実施形態を示す。図1は分析チップの平面模式図、図2は分析チップの分解斜視図、図3、4はバルブ10または11の断面図である。
本発明は、液体流入口と液体流出口を有すると共に、液体流入口から導入した試料の測定対象成分と選択的に結合する選択結合性物質が表面に固定化されている担体を収納する反応室を内部に備え、液体流入口、液体流出口、反応室が流路を通じて連結されている分析チップであって、反応室に連結する液体流入口側の流路および液体流出口側の流路に、該流路を開閉するバルブを有することを特徴とする分析チップである。図1〜4に本発明の一実施形態を示す。図1は分析チップの平面模式図、図2は分析チップの分解斜視図、図3、4はバルブ10または11の断面図である。
図2に示すように、本実施形態の分析チップは、略平面板状の分析チップ基板1に分析チップ蓋2が積層され、これらが接合により一体化されて構成されている。分析チップ基板1には流路等が形成されている。また、液体流入口8側および液体流出口9側の流路5、6の間の部分に反応室4が形成され、測定対象成分と選択的に結合する選択結合性物質が表面に固定化されている担体7が反応室4の内部に封入されている。また、反応室4と液体流出口9側の流路5の間には、担体7の堰き止め手段3が形成されている。
図3、4に示すように、反応室の液体流入口側および液体流出口側の流路に、該流路を開閉して反応室内の液体の流れを制御することができるバルブ10、11が備えられている。
[バルブ]
本発明の分析チップは、反応室に連結する液体流入口側の流路および液体流出口側の流路に、該流路を開閉して溶液の流れを制御することができるバルブを有している。測定対象成分、選択性結合物質の反応・洗浄等を行うときには両バルブ開放し、反応室にて反応生成物の生成反応を行うときには両バルブを閉鎖する。このように本発明の分析チップを使用することにより、送液を停止した際に反応室内残圧によって溶液が分析チップ外部に流出することがなくなり、反応室内での測定対象成分と選択結合性物質との反応を安定化し、また測定感度の低下を防ぐことができる。
本発明の分析チップは、反応室に連結する液体流入口側の流路および液体流出口側の流路に、該流路を開閉して溶液の流れを制御することができるバルブを有している。測定対象成分、選択性結合物質の反応・洗浄等を行うときには両バルブ開放し、反応室にて反応生成物の生成反応を行うときには両バルブを閉鎖する。このように本発明の分析チップを使用することにより、送液を停止した際に反応室内残圧によって溶液が分析チップ外部に流出することがなくなり、反応室内での測定対象成分と選択結合性物質との反応を安定化し、また測定感度の低下を防ぐことができる。
バルブとしては、流路を開閉して溶液の流れを制御することができるものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。具体的には、ピンチバルブ、ダイヤフラムバルブ、ニードルバルブ、スプールバルブ、バタフライバルブ、スライドゲートバルブ、ボールバルブ等が挙げられる。
本発明の分析チップにおいては、流路を開閉する部分が弾性材からなっており、該弾性材を流路内部に押圧することにより流路を閉鎖し、これを戻すことで流路を開放することができるような機構をもつバルブを好ましく用いることができる。このようなバルブとしては、ピンチバルブ、ダイヤフラムバルブ等が挙げられ、中でもピンチバルブが好ましく用いられる。この場合の弾性材としては、流路を開閉できる特性を有するものであれば無機材料または合成樹脂もしくは天然樹脂などの有機材料のいずれも使用することができるが、バルブを閉鎖する際に完全に流路を閉鎖し、かつ開放する際に元の形状に戻る特性を有する弾性材が好ましい。具体的には、生ゴムなどの天然ゴム、またはイソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、フルオロシリコーンゴム、スルフィドゴム、ウレタンゴム、ホスファゼンゴムなどの合成ゴム、熱可塑性エラストマー等の弾性材が挙げられる。
本発明の分析チップで好ましく用いられるピンチバルブの一実施形態は、モータ等で制御されたシリンダ等の開閉手段でピンチバルブを流路内部に押圧することで流路を閉鎖することができるものであり、例えば、図3および図4に示すような、弾性材を有するピンチバルブを使用することができる。すなわち、バルブ開閉手段13で弾性材12を流路内部に押圧することで流路を閉鎖し、バルブ開閉手段13を持ち上げることで弾性材12が元の形状に戻って流路を開放することができる。
[分析チップの作製方法]
本発明の分析チップは凹部を形成した基材を別の基材と接合することによって作製できる。あるいは貫通したスリット形状を有する薄膜と2つ以上の基材を挟みこみ、接合することによって作製できる。凹部、あるいは貫通したスリット形状を得る方法として、射出成形、ホットエンボシング、溶剤キャスト法、切削、旋削、研削、エッチング、打ち抜き、フォトリソグラフィー、リフトオフ、蒸着およびこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。基材を接合する方法としては、単純な重ね合わせ、プラズマ処理などによる表面活性化、加熱を伴う方法、圧力を印加する方法、電場を印加する方法、接着剤を用いる方法、溶剤を用いる方法およびこれらの組み合わせなどを用いることができる。
本発明の分析チップは凹部を形成した基材を別の基材と接合することによって作製できる。あるいは貫通したスリット形状を有する薄膜と2つ以上の基材を挟みこみ、接合することによって作製できる。凹部、あるいは貫通したスリット形状を得る方法として、射出成形、ホットエンボシング、溶剤キャスト法、切削、旋削、研削、エッチング、打ち抜き、フォトリソグラフィー、リフトオフ、蒸着およびこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。基材を接合する方法としては、単純な重ね合わせ、プラズマ処理などによる表面活性化、加熱を伴う方法、圧力を印加する方法、電場を印加する方法、接着剤を用いる方法、溶剤を用いる方法およびこれらの組み合わせなどを用いることができる。
本発明の分析チップのうち、上記の流路を開閉する部分が弾性材からなるバルブの1つであるピンチバルブを有するものは、次のようにして製造することができる。例えば、図2において、分析チップ蓋2のバルブ10、11を設ける位置に穴を貫通させ、貫通させた穴と同径、同厚の円柱型の弾性材を該穴に嵌入する。該分析チップ蓋2と分析チップ基板1を接合することにより、バルブを有する分析チップを製造することができる。
[担体]
本発明の分析チップに充填される担体は、反応室の中に収納されるものであり、担体表面に選択結合性物質が固定化されるものである。
本発明の分析チップに充填される担体は、反応室の中に収納されるものであり、担体表面に選択結合性物質が固定化されるものである。
本発明の分析チップに充填される担体の大きさは特に限定はしないが、担体が反応室に封入される大きさであれば良い。担体の形状は単位容積あたりの選択結合性物質の結合する比面積を大きくする点から粒状、更には球状が好ましい。担体が球状の場合、単位容積あたりの選択結合性物質の結合する比面積を大きくする点から、また、担体が堰き止め手段で堰き止められ、さらに、液体が反応室を支障なく通過する点から、球体の直径は0.1μm以上1000μm以下であることが好ましく、更には10μm以上500μm以下であることが好ましい。
担体の形状としては粒状、フィルム状、スポンジ状、繊維状などが挙げられる。担体の材料としては、粒状の場合、ガラス、アガロース、シリカ、アクリルアミドなどが挙げられ、フィルム状の場合、PVDF、セルロースなどが挙げられ、繊維状の場合、ナイロン、シルク、アミロイド繊維などが挙げられる。
[選択結合性物質]
本発明において、選択結合性物質とは測定対象成分と特異的に結合する物質のことであり、抗体、抗体フラグメント、リガンド、抗原、ハプテン又はレセプター、あるいは金属イオンやヘパリン、ストレプトアビジン、ビオチン、ベンザミジン、グルタチオン、アルギニン、カルモジュリン、ゼラチン、リジン、マンノース、DNA、2’5’−アデノシン−2−リン酸、核酸、酵素基質、酵素阻害剤もこれに含まれる。
本発明において、選択結合性物質とは測定対象成分と特異的に結合する物質のことであり、抗体、抗体フラグメント、リガンド、抗原、ハプテン又はレセプター、あるいは金属イオンやヘパリン、ストレプトアビジン、ビオチン、ベンザミジン、グルタチオン、アルギニン、カルモジュリン、ゼラチン、リジン、マンノース、DNA、2’5’−アデノシン−2−リン酸、核酸、酵素基質、酵素阻害剤もこれに含まれる。
かかる抗体にはポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、合成抗体、組換え抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、単鎖抗体、抗体断片としてはFab断片、F(ab’)2断片などを含む。ポリクローナル抗体は、精製ポリペプチドを結合した親和性カラムに結合させることを含む、いわゆる吸収法によって、特異的抗体として調製することができる。これらの選択結合性物質は、担体に固定して測定成分を捕捉する捕捉用選択結合性物質として用いることも、また何らかの標識物質によって標識した上で測定成分と反応させて、これを検出するために用いる検出用選択結合性物質としても用いることもできる。
また、担体への選択結合性物質結合体の結合様式は特に限定しないが、担体表面または内部に選択結合性物質結合体が共有または非共有的に結合している形態であれば良い。あるいは担体の組成物として選択結合性物質結合体が混在している状態でも良い。すなわち、一般的な免疫分析法において用いられる環境下で、選択結合性物質結合体が担体から剥がれない形態をとっていれば良い。
[測定対象成分]
本発明の分析チップを用いて分析する測定対象成分は特に限定されず、測定対象成分としてはタンパク質、核酸、脂質又は低分子化合物等が挙げられるが、その中でもタンパク質が望ましい。タンパク質とは、複数のアミノ酸がペプチド結合により連結された構造を有する化合物をいい、天然由来物、合成物のいずれでもよく、また短鎖のペプチドも含まれる。構成成分としてアミノ酸以外に糖、核酸、脂質を含んでいてもよい。
本発明の分析チップを用いて分析する測定対象成分は特に限定されず、測定対象成分としてはタンパク質、核酸、脂質又は低分子化合物等が挙げられるが、その中でもタンパク質が望ましい。タンパク質とは、複数のアミノ酸がペプチド結合により連結された構造を有する化合物をいい、天然由来物、合成物のいずれでもよく、また短鎖のペプチドも含まれる。構成成分としてアミノ酸以外に糖、核酸、脂質を含んでいてもよい。
本発明の分析チップを用いて解析されうるタンパク質としては、特に限定されることなく、天然由来物または合成物およびアミノ酸以外の構成成分を含んでいるものでも良い。これらの中でも水溶性タンパク質に特に好適に使用される。
本発明の測定対象成分を含む試料としては、疾患の診断に用いる臨床検体である被験者の喀痰、唾液、尿、便、精液、血液、組織、臓器、その他の体液、またはこれらの体液の分画を被験材料として用いることができる。ここで被験者とは、哺乳動物、例えば非限定的にヒト、サル、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、マウス、ラットなどが挙げられる。
また同様に、食品、飲料水、土壌、排水、河川水、海水、環境のふき取り液、環境のふき取り綿の滲出液などを被験材料として用いることができる。また、菌体の培養液や、固形培地上に培養された菌体(コロニー)を使用することができる。
[分析方法]
本発明の分析方法は、本発明の分析チップを用いて、測定対象成分と選択的に結合する選択結合性物質が表面に固定化されている担体上で、試料溶液中の測定対象成分と選択結合性物質とを結合させ、該測定対象成分を免疫学的に測定することを特徴とするものである。
本発明の分析方法は、本発明の分析チップを用いて、測定対象成分と選択的に結合する選択結合性物質が表面に固定化されている担体上で、試料溶液中の測定対象成分と選択結合性物質とを結合させ、該測定対象成分を免疫学的に測定することを特徴とするものである。
すなわち、本発明における分析方法とは、測定対象成分と、これと選択的に反応する選択結合性物質とを結合第一の工程、該選択結合性物質に共有あるいは非共有的に結合した発色性、発光性、放射性、蛍光性または酵素的に活性な標識物質による発色量、発光量、放射量、蛍光強度、あるいは酵素活性などを測定する免疫学的測定によって測定対象成分を分析する第二の工程を含む。また、本発明の分析チップを用いた分析方法としては以下の(1)〜(5)に挙げるものを採用することができるが、これに限定されるものではない。
(1)試料溶液を反応室に導入し、試料溶液中の測定対象成分(A)を担体に結合させ、担体に結合した測定対象成分(A)を光分析する分析方法
(2)試料溶液を反応室に導入し、試料溶液中の測定対象成分(A)を担体に結合させ、測定対象成分と選択的に結合する物質(B)の溶液を導入して、担体に結合した測定対象成分(A)に該物質(B)を結合させ、成分(A)を介して担体に結合した物質(B)を光分析する分析方法
(3)試料溶液を反応室に導入し、試料溶液中の測定対象(A)を担体に結合させ、測定対象成分と反応しうる反応基質(B)の溶液を導入し、担体表面に結合した測定対象成分(A)と反応基質(B)の反応により生成した生成物(C)を光分析する分析方法
(4)試料溶液を反応室に導入し、試料溶液中の測定対象(A)を担体に結合させ、続いて測定対象成分(A)と選択的に結合する物質(B)を結合させ、続いて物質(B)に選択的に結合する物質(C)を結合させて、成分(A)および物質(B)を介して担体に結合した物質(C)を光分析する分析方法
(5)担体に結合した選択結合性物質に対して測定対象成分(A)と競争的に結合する成分(A’)と試料とを混合させ、その混合液を反応質に導入し、成分(A’)を光分析する分析方法。
(1)試料溶液を反応室に導入し、試料溶液中の測定対象成分(A)を担体に結合させ、担体に結合した測定対象成分(A)を光分析する分析方法
(2)試料溶液を反応室に導入し、試料溶液中の測定対象成分(A)を担体に結合させ、測定対象成分と選択的に結合する物質(B)の溶液を導入して、担体に結合した測定対象成分(A)に該物質(B)を結合させ、成分(A)を介して担体に結合した物質(B)を光分析する分析方法
(3)試料溶液を反応室に導入し、試料溶液中の測定対象(A)を担体に結合させ、測定対象成分と反応しうる反応基質(B)の溶液を導入し、担体表面に結合した測定対象成分(A)と反応基質(B)の反応により生成した生成物(C)を光分析する分析方法
(4)試料溶液を反応室に導入し、試料溶液中の測定対象(A)を担体に結合させ、続いて測定対象成分(A)と選択的に結合する物質(B)を結合させ、続いて物質(B)に選択的に結合する物質(C)を結合させて、成分(A)および物質(B)を介して担体に結合した物質(C)を光分析する分析方法
(5)担体に結合した選択結合性物質に対して測定対象成分(A)と競争的に結合する成分(A’)と試料とを混合させ、その混合液を反応質に導入し、成分(A’)を光分析する分析方法。
ここで成分(A’)は、成分(A)、あるいは成分(A)の一部に標識物質を結合させたものとすることができるが、これに限定されるものではない。
[流路]
本発明の分析チップにおける流路は、液体流入口、反応室、液体流出口を連結するものである。
本発明の分析チップにおける流路は、液体流入口、反応室、液体流出口を連結するものである。
本発明の分析チップにおける流路は、液体流入口、反応室、液体流出口が微細流路で連結されているものも含まれる。微細流路の幅、深さは、分析チップの大きさ、使用目的などにより適宜設定されうる。具体的には、微細流路の幅は、0.1μm以上1000μm以下が好ましく、更には10μm以上500μm以下が好ましい。また、微細流路の深さは、0.1μm以上1000μm以下が好ましく、更には10μm以上500μm以下が好ましい。
本発明における微細流路は凹部を形成した板状の基材を、別の基材と接合して作製することができる。あるいは、貫通したスリット形状の薄膜とこれを挟み込む少なくとも2つの基材を接合することによっても作製可能である。基材はシート状、板状、フィルム状、棒状、管状、塗膜状、円筒状、その他複雑な形状の成形物をとりうるが、これに限定されるものではない。加工性および取り扱いの容易さから、好ましくはシート状、板状、フィルム状である。
[反応室]
本発明の反応室は、選択結合性物質が固定化されている担体が収納され、測定対象成分を選択的に結合させて反応を行うためのものである。
反応室の大きさは担体が封入される大きさであれば良いが、具体的にはその幅は0.1μm以上10000μm以下が好ましく、更には10μm以上5000μm以下であることが好ましい。反応室の長さは、10μm以上50cm以下が好ましく、更には100μm以上10cm以下が好ましい。また、反応室の長さは、10μm以上50cm以下が好ましく、更には100μm以上10cm以下が好ましい。また、反応室の深さは分析チップの大きさ、使用目的により適宜設定される。具体的には0.1μm以上10000μm以下が好ましく、更には10μm以上5000μm以下であることが好ましい。
本発明の反応室は、選択結合性物質が固定化されている担体が収納され、測定対象成分を選択的に結合させて反応を行うためのものである。
反応室の大きさは担体が封入される大きさであれば良いが、具体的にはその幅は0.1μm以上10000μm以下が好ましく、更には10μm以上5000μm以下であることが好ましい。反応室の長さは、10μm以上50cm以下が好ましく、更には100μm以上10cm以下が好ましい。また、反応室の長さは、10μm以上50cm以下が好ましく、更には100μm以上10cm以下が好ましい。また、反応室の深さは分析チップの大きさ、使用目的により適宜設定される。具体的には0.1μm以上10000μm以下が好ましく、更には10μm以上5000μm以下であることが好ましい。
[液体流入口、液体流出口]
また、液体流入口、液体流出口の大きさは、試料の容量に応じて適宜設定することができる。例えば液体流入口、液体流出口が円柱形の場合、試料導入の操作の観点から、直径0.05mm以上、4mm以下であることが好ましい。深さも同様の観点から0.05mm以上、5mm以下であることが好ましい。
また、液体流入口、液体流出口の大きさは、試料の容量に応じて適宜設定することができる。例えば液体流入口、液体流出口が円柱形の場合、試料導入の操作の観点から、直径0.05mm以上、4mm以下であることが好ましい。深さも同様の観点から0.05mm以上、5mm以下であることが好ましい。
[分析チップの材料]
本発明の分析チップに用いる基材の材料としては無機材料、または合成樹脂もしくは天然高分子化合物などの有機材料のいずれも用いることができる。
本発明の分析チップに用いる基材の材料としては無機材料、または合成樹脂もしくは天然高分子化合物などの有機材料のいずれも用いることができる。
無機材料の場合、例えば鉄、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、シリコン、チタン、タンタル、マグネシウム、モリブデン、タングステン、ロジウム、パラジウム、銀、金、白金、ステンレス、真鍮、黄銅、青銅、燐青銅、アルミ銅合金、アルミマグネシウム合金、アルミマグネシウムシリコン合金、アルミ亜鉛マグネシウム銅合金、鉄ニッケル合金等の金属;シリカゲル、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化タンタル等の金属酸化物;SiN、TiN、TaN等の金属窒化物;SiC、WC等の金属炭化物;ダイヤモンド、グラファイト等の炭素材料;ソーダガラス、ホウ珪酸ガラス、パイレックス(登録商標)、石英ガラス等のガラスなどが挙げられる。
合成樹脂としては、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれも用いることができる。合成法としては各種方法が例示されるが、本発明で使用される合成樹脂は、これらのいずれの方法により合成されるものであってもよい。例えば、(1)付加重合体:オレフィン、オレフィン以外のビニル化合物、ビニリデン化合物およびその他の炭素−炭素二重結合を有する化合物からなる群から選ばれる単量体の単独重合体または共重合体、またはこれらの単独重合体もしくは共重合体の混合物あるいは改質物、(2)重縮合体:ポリエステル、ポリアミドなどの重合体、またはこれらの重合体の混合物あるいは改質物、(3)付加縮合体:フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂などの重合体、またはこれらの重合体の混合物あるいは改質物、(4)重付加生成物:ポリウレタン、ポリ尿素などの重合体、またはこれらの重合体の混合物あるいは改質物、(5)開環重合体:シクロプロパン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ラクトン、ラクタムなどの単独重合体または共重合体、またはこれらの単独重合体もしくは共重合体の混合物あるいは改質物、(6)環化重合体:ジビニル化合物(例えば:1,4−ペンタジエン)やジイン化合物(例えば:1,6−ヘプタジイン)などの単独重合体または共重合体、またはこれらの単独重合体もしくは共重合体の混合物あるいは改質物、(7)異性化重合体:例えばエチレンとイソブテンの交互共重合体など、(8)電解重合体:ピロール、アニリン、アセチレンなどの単独重合体または共重合体、またはこれらの単独重合体もしくは共重合体の混合物あるいは改質物、(9)アルデヒドやケトンのポリマー、(10)ポリエーテルスルホン、(11)ポリペプチド、などが挙げられる。
天然高分子化合物としては、セルロース、タンパク質、多糖類等の単独物または混合物やこれらの改質物等が挙げられる。
また本発明の分析チップで用いられる基材のガラス転移温度は特に限定しないが射出成形を行い微細流路を有するチップに加工して量産する点から80℃以上200℃以下が好ましい。
[分析チップの黒色化]
本発明の分析チップは、基材となる樹脂に黒色物質が含有またはコーティングされていても良い。ここでいう黒色とは、可視光(波長が400nmから800nm)範囲において、黒色部分の分光反射率が特定のスペクトルパターン(特定のピークなど)を持たず、一様に低い値であり、かつ、黒色部分の分光透過率も、特定のスペクトルパターンを持たず、一様に低い値であることをいう。
本発明の分析チップは、基材となる樹脂に黒色物質が含有またはコーティングされていても良い。ここでいう黒色とは、可視光(波長が400nmから800nm)範囲において、黒色部分の分光反射率が特定のスペクトルパターン(特定のピークなど)を持たず、一様に低い値であり、かつ、黒色部分の分光透過率も、特定のスペクトルパターンを持たず、一様に低い値であることをいう。
この分光反射率、分光透過率の値としては、可視光(波長が400nmから800nm)の範囲の分光反射率が7%以下であり、同波長範囲での分光透過率が2%以下であることが好ましい。なお、ここでいう分光反射率は、JIS Z 8722 条件Cに適合した、照明・受光光学系で、基材からの正反射光を取り込んだ場合の分光反射率をいう。
黒色にする手段としては、基材、絶縁材料に黒色物質を含有させることにより達成しうる。この黒色物質は、光を反射したり透過し難いものであれば特に制限はないが、好ましいものを挙げると、カーボンブラック、グラファイト、チタンブラック、アニリンブラック、またはRu、Mn、Ni、Cr、Fe、Coおよび/もしくはCuの酸化物、またはSi、Ti、Ta、Zrおよび/もしくはCrの炭化物などの黒色物質が使用できる。
これらの黒色物質は単独で含有させる他、2種類以上を混合して含有させることもできる。例えば、基材、絶縁材料がポリエチレンテレフタレート、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、シリコン樹脂などのポリマーの場合は、この中の黒色物質の中でも、カーボンブラック、グラファイト、チタンブラック、アニリンブラックを好ましく含有させることができ、特にカーボンブラックを好ましく用いることができる。ガラス、セラミックの無機材料の場合は、Ru、Mn、Ni、Cr、Fe、Coおよび/またはCuの酸化物、Si、Ti、Ta、Zrおよび/またはCrの炭化物を好ましく含有させることができる。
本発明を以下の実施例により更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
本実施例では、本発明の分析チップを作製し、測定対象成分としてヒトインターロイキン−8タンパク質(hIL−8)の測定を行った。
本実施例では、本発明の分析チップを作製し、測定対象成分としてヒトインターロイキン−8タンパク質(hIL−8)の測定を行った。
射出成形により作製した、図1に記載のパターンで凹部を形成したポリメチルメタクリレート製の分析チップ基版1と、穴を開けてシリコンゴム製の弾性材を嵌入してピンチバルブを設けたポリメチルメタクリレート製の分析チップ蓋2を同時に加熱及び加圧することにより接合し、分析チップを作製した。
上記の様に作製した分析チップを親水性高分子として分子量500,000、2,000ppmのポリエチレングリコール水溶液に浸漬した。浸漬したポリメチルメタクリレート板を密封し、2.5kGyのガンマ線を照射し、グラフト化した。
ポリスチレンからなるビーズ(PolyScience社)7.5μlをリン酸緩衝液で洗浄し、200μlの10μg/ml抗hIL−8抗体(鎌倉テクノサイエンス社)0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液を添加し4℃で一晩反応させた。浸透後、ポリスチレンビーズを0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で洗浄し、200μlのBlockAce(大日本製薬社)を添加し、1時間静置し、ブロッキングを行った。ブロッキング後のポリスチレンビーズを0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で洗浄し、上記分析チップの流路内に0.1μl(反応室長にして10mm)充填した。
液体流入口側および液体流出口側の両バルブ10、11を開にし、チップの流路内を0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で洗浄した後、0.25%ウシ血清アルブミン、0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で溶解させた500pg/mlのhIL−8(鎌倉テクノサイエンス社)20μlを4μl/分の流速でシリンジポンプを用いて流路内に注入した後、引き続いて0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液を15μl/分の流速で注入することにより、流路内を10分間洗浄した。洗浄後、0.25%BSA、0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で溶解させた8.2μg/mlのHRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)標識抗hIL−8抗体(鎌倉テクノサイエンス社)20μlを4μl/分の流速でシリンジポンプを用いて流路内に注入して先に注入したhIL―8と反応させ、さらに0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液を20μl/分の流速で流路内に注入して10分間洗浄した。洗浄後、20μM過酸化水素水、13μg/ml Amplex Red(Molecular Probes社)を含む0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)を4μl/分の流速でシリンジポンプを用いて流路内に注入後、液体流入口側および液体流出口側の両バルブ10、11を閉にし、5分間静置して反応させた。この間、分析チップから溶液が外部に流出することはなく、また反応室内の液体の流れが静止していることが確認された。静置後、反応室内で産生されたレゾルフィンの量を蛍光顕微鏡IX−71(オリンパス社)を用いて分析した。測定条件は励起波長510〜560nm、発光波長575〜650nm、露光時間は0.5秒とした。
測定の結果、反応室内で産生されたレゾルフィン量を表す蛍光強度は、2424であった。なお、本測定条件においては蛍光強度が0〜4096の範囲で測定可能であり、通常、1000〜4000が実用的な範囲である。
比較例1
本比較例では、反応室の両端にバルブを持たない分析チップを用いたヒトインターロイキン−8タンパク質(hIL−8)の測定を行った。
本比較例では、反応室の両端にバルブを持たない分析チップを用いたヒトインターロイキン−8タンパク質(hIL−8)の測定を行った。
実施例1と同様、射出成形により、図5に記載のパターンで凹部を形成したポリメタクリルメタクリレート製の分析チップ基盤に別のポリメタクリルメタクリレート製の分析チップ蓋を加熱および加圧により接合し、分析チップを作製した。
上記の様に作製した分析チップを、親水性高分子として分子量500,000、2,000ppmのポリエチレングリコール水溶液に浸漬した。浸漬したポリメチルメタクリレート板を密封し、2.5kGyのガンマ線を照射し、グラフト化した。
ポリスチレンからなるビーズ(PolyScience社)7.5μlをリン酸緩衝液で洗浄し、200μlの10μg/ml抗hIL−8抗体(鎌倉テクノサイエンス社)0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液を添加し4℃で一晩反応させた。浸透後、ポリスチレンビーズを0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で洗浄し、200μlのBlockAce(大日本製薬社)を添加し、1時間静置し、ブロッキングを行った。ブロッキング後のポリスチレンビーズを0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で洗浄し、上記分析チップの流路内に0.1μl(反応室長にして10mm)充填した。
チップの流路内を0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で洗浄した後、0.25%ウシ血清アルブミン、0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で溶解させた500pg/mlのhIL−8(鎌倉テクノサイエンス社)20μlを4μl/分の流速でシリンジポンプを用いて流路内に注入した後、引き続いて0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液を15μl/分の流速で注入することにより、流路内を10分間洗浄した。洗浄後、0.25%BSA、0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で溶解させた8.2μg/mlのHRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)標識抗hIL−8抗体(鎌倉テクノサイエンス社)20μlを4μl/分の流速でシリンジポンプを用いて流路内に注入して先に注入したhIL―8と反応させ、さらに0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液を20μl/分の流速で流路内に注入して10分間洗浄した。洗浄後、20μM過酸化水素水、13μg/ml Amplex Red(Molecular Probes社)を含む0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)を4μl/分の流速でシリンジポンプを用いて流路内に注入後、シリンジポンプを止めて送液を停止して5分間静置した。この間、ポンプを停止したにもかかわらず、反応室内の残圧のために溶液の流れが止まらず、液体流入口および液体流出口から溶液が分析チップ外部に流出していることが確認された。静置後、反応室内で産生されたレゾルフィンの量を蛍光顕微鏡IX−71(オリンパス社)を用いて測定した。
測定の結果、反応室内で産生されたレゾルフィン量を表す蛍光強度は、1152であった。この値は、本発明の分析チップを用いた実施例1での蛍光強度に比べて約半分に低下したことになる。
実施例1および比較例1の結果から、反応室の液体流出口側および液体流入口側の流路にバルブを備えた本発明の分析チップは、反応および測定時にポンプによる送液を停止した際、反応室の液体流出口側、液体流入口側の両バルブを閉じることにより、反応溶液の流れを止め、該溶液の分析チップ外部への流出を止めることができた。その結果、反応生成物(レゾルフィン)の生成を安定化し、測定感度の低下を防ぐことができることがわかった。
1 分析チップ基板
2 分析チップ蓋
3 堰き止め手段
4 反応室
5 流路(液体流出口側)
6 流路(液体流入口側)
7 担体
8 液体流入口
9 液体流出口
10 バルブ(液体流入口側)
11 バルブ(液体流出口側)
12 弾性材
13 バルブ開閉手段
2 分析チップ蓋
3 堰き止め手段
4 反応室
5 流路(液体流出口側)
6 流路(液体流入口側)
7 担体
8 液体流入口
9 液体流出口
10 バルブ(液体流入口側)
11 バルブ(液体流出口側)
12 弾性材
13 バルブ開閉手段
Claims (4)
- 液体流入口と液体流出口を有すると共に、液体流入口から導入した試料溶液中の測定対象成分と選択的に結合する選択結合性物質が表面に固定化されている担体を収納する反応室を内部に備え、液体流入口、液体流出口、反応室が流路を通じて連結されている分析チップであって、反応室に連結する液体流入口側の流路および液体流出口側の流路に該流路の開閉の切り替えが可能なバルブを備えることを特徴とする分析チップ。
- 前記バルブが、前記流路を開閉する部分が弾性材からなるバルブであることを特徴とする請求項1に記載の分析チップ。
- 前記バルブがピンチバルブであることを特徴とする請求項2に記載の分析チップ。
- 請求項1から3のいずれかに記載の分析チップを用いて、測定対象成分と選択的に結合する選択結合性物質が表面に固定化されている担体上で、試料溶液中の測定対象成分と選択結合性物質とを結合させ、該測定対象成分を免疫学的に測定することを特徴とする分析方法。
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