JP4849120B2 - 洗濯機 - Google Patents

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Description

本発明は、洗濯機で洗う洗濯物に付着した菌の除菌を行う洗濯機に関するものである。
従来、洗濯物の除菌を行う洗濯機として、抗菌性を有する銀を利用する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
図4は、前記公報に記載された洗濯機の断面図を示すものである。図4に示すように、給水栓(図示せず)から供給された水道水は、洗濯機内部に導入され、分岐部111へ到る。分岐部111では、洗濯槽113に原水(水道水)を直接給水するための原水流路112と、銀溶出カートリッジ115を通って洗濯槽113に給水するための分岐流路114とに分岐されている。
前記分岐部111には電磁弁が組み込まれており、原水を止水するあるいは水の流路を原水流路112または分岐流路114へと自動で切り替えることができる。
次に動作について説明する。洗濯のすすぎ工程で、洗濯槽113に水道水を供給してすすぎを行った後、すすぎ水は排水され脱水を行う。このすすぎ工程は1回または複数回繰り返して行われる。このすすぎ工程の少なくとも最終工程において、分岐部111の電磁弁を切り替え、原水流路112側を閉塞して分岐流路114側を開き、水道水を分岐流路114から銀溶出カートリッジ115を通って洗濯槽113へと供給する。このとき、洗濯槽113に供給される水道水には、銀溶出カートリッジ115から銀が溶出し、銀含有水が洗濯槽113内に供給される。この最終回のすすぎ工程が完了した後、脱水が行われ洗濯が完了する。
ここで、すすぎ水中には抗菌作用の高い銀が含有されているので、この銀が付着した洗濯物には雑菌が繁殖して異臭が発生することを防ぐことができる。このように、洗濯機のすすぎ水中に銀を含有させて洗濯物に付着した菌を除去する技術がある。
また、一方で光照射により抗菌性を高めることのできる抗菌活性金属含有アクリロニトリル繊維の技術がある(例えば、特許文献2参照)。
20m・mol/Lに調整した硝酸銀水溶液1000mLを1%の硝酸水溶液でpH3に調整した溶液中にアクリロニトリル系繊維を100g投入して98℃で10分間処理を行い、水洗、乾燥した後、10m・mol/Lに調整したシュウ酸ナトリウム水溶液1000mLに投入して、98℃で10分間処理を行い、水洗、乾燥を行い、抗菌活性金属含有アクリロニトリル系繊維を作製した。
このようにして得られた抗菌活性金属含有アクリロニトリル繊維について、銀イオン含有量並びに光照射下及び暗室下で抗菌性能を評価した。銀イオン含有量42mmol/kgで暗室条件下と光照射下で残存生菌率差が1.8あり、光照射下において光触媒活性により抗菌性能が向上した。このように、抗菌性のある銀イオンを含有させたアクリロニトリル繊維に光照射することによって、光触媒活性により抗菌性能を向上する技術もある。
特開2002−113288号公報 特開2001−89968号公報
しかしながら、前記従来の洗濯機の構成では、銀イオンにより洗濯物に付着した細菌類の菌数を低下させることはできるが、高濃度の銀イオンが必要となる。また、銀イオンで細菌以外の真菌類を死滅させるのは困難であった。
また、抗菌活性金属含有アクリロニトリル繊維は、銀イオンを繊維中に含有させた繊維製品であり、光照射によって銀イオンの光触媒活性により繊維の抗菌性能を向上している。但し、ここで光照射されるのは銀イオンである為、光照射による反応は一過性のものであり、触媒として連続的に反応が進まない。したがって、銀イオンへの光照射時の光触媒活性による活性酸素種の生成量は少なく、洗濯機にこの技術を応用した場合、洗濯物に付着した真菌類を発生した活性酸素種で死滅させるのは困難であるという課題があった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、銀の光励起作用によって生成する活性酸素種を効率良く発生させ、これにより真菌を分解して死滅させることで、細菌や真菌に対して幅広い除菌効果を示し、低濃度の抗菌剤でも除菌効果を得ることができる洗濯機を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の洗濯機は、洗濯物を収容する洗濯槽と、無機系抗菌物質を溶出させて水に添加する抗菌剤発生部と、洗剤を前記洗濯槽に投入する洗剤ケースと、光照射手段とを備え、すすぎ工程において、前記無機系抗菌物質と微量の洗剤を溶出させて反応させることによって光励起作用のある無機系抗菌化合物を形成するとともに、この無機系抗菌化合物が添加された水を含有した洗濯物に前記光照射手段から光を照射するようにしたことにより、洗剤が溶けることですすぎ水は弱アルカリ性となり水酸化物イオンを生成する。
これが、無機系抗菌物質と反応して光励起作用の高い無機酸化物を生成する。この為、洗濯槽に収容された洗濯物に無機酸化物が付着し、光が照射されると励起された無機酸化物は水と反応し、光触媒作用によって酸化力の高いヒドロキシラジカル等の活性酸素種がより多く発生する。したがって、発生した活性酸素種による酸化作用によって、付着した細菌やカビを分解して洗濯物上の細菌やカビを除去することができる。
本発明の洗濯機は、銀の光励起作用によって生成する活性酸素種を効率良く発生させ、これにより真菌を分解して死滅させることで、細菌や真菌に対して幅広い除菌効果を示し、低濃度の抗菌剤でも除菌効果を得ることができる。
第1の発明は、洗濯物を収容する洗濯槽と、無機系抗菌物質を溶出させて水に添加する抗菌剤発生部と、洗剤を前記洗濯槽に投入する洗剤ケースと、光照射手段とを備え、すすぎ工程において、前記無機系抗菌物質と微量の洗剤を溶出させて反応させることによって光励起作用のある無機系抗菌化合物を形成するとともに、この無機系抗菌化合物が添加された水を含有した洗濯物に前記光照射手段から光を照射するようにしたことにより、洗剤が溶けることですすぎ水は弱アルカリ性となり水酸化物イオンを生成する。これが、無機系抗菌物質と反応して光励起作用の高い無機酸化物を生成する。この為、洗濯槽に収容された洗濯物に無機酸化物が付着し、光が照射されると励起された無機酸化物は水と反応し、光触媒作用によって酸化力の高いヒドロキシラジカル等の活性酸素種がより多く発生する。したがって、発生した活性酸素種による酸化作用によって、付着した細菌やカビを分解して洗濯物上の細菌やカビを除去することができる。
第2の発明は、特に、第1の発明の洗剤ケースにおいて、洗い工程において使用する洗剤を溜めておく第1洗剤溜め部と、すすぎ工程において洗濯槽に投入する微量の洗剤を溜めておく第2洗剤溜め部を設けることとしたことにより、洗濯機の使用者が洗濯に必要な洗剤を洗剤ケースに投入するという通常の操作の中で、光励起作用の高い無機系抗菌化合物を形成するのに必要な微量の洗剤を簡便に供給することができる。
第3の発明は、特に、第2の発明において、洗い工程時に洗濯槽に給水する第1給水経路と、すすぎ工程時に洗濯槽に給水する第2給水経路を設け、洗い工程時には第1給水経路から給水される水が第1洗剤溜め部を通過し、すすぎ工程時には第2給水経路から給水される水が第2洗剤溜め部を通過して洗濯槽に給水することとしたことにより、すすぎ工程時にだけ微量の洗剤を洗濯槽に供給することができるので、すすぎ工程で供給される無機系抗菌物質と微量の洗剤から生成する水酸化物イオンが反応して光励起作用の高い無機酸化物をすすぎ工程において発生することができる。
第4の発明は、特に、第3の発明の洗剤ケースにおいて、第1洗剤溜め部の上部に容器を設け、第2洗剤溜め部は前記容器の一部を仕切った部位であり、前記第2洗剤溜め部以外の容器底部は開口する構成にしたことにより、洗濯機の使用者が洗剤を投入する際、第1洗剤溜め部と同時に第2洗剤溜め部に洗剤を溜めることができるので、使用者が簡便に洗剤を投入することができる。
第5の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明の無機系抗菌物質は、銀イオンを生成する物質としたことにより、微量の洗剤から生成する水酸化物イオンと銀イオンが反応し、光励起作用の高い酸化銀を生成して洗濯物に付着する。酸化銀は光照射によってヒドロキシラジカル等の活性酸素種をより多く発生することができ、洗濯物上の細菌あるいは真菌をさらに除去することができる。また銀化合物は、それ自身が抗菌性を有するので活性酸素種と銀化合物の双方の作用で菌を分解することができる。
第6の発明は、特に、第1〜第5のいずれか1つの発明の光照射手段から照射される光は紫外線としたことにより、光励起作用のある無機系抗菌化合物に光照射した時、光の波長が短いことにより光エネルギーが高くなる為、無機系抗菌化合物は励起状態に成り易く、ヒドロキシラジカル等の活性酸素種をより多く発生することができる。
第7の発明は、特に、第6の発明の光照射手段の光の最大発光強度となる波長が、365nm〜400nmとしたことにより、無機系抗菌化合物を励起するに必要な光エネルギーを確保し色素を分解する程の光エネルギーにはならない為、洗濯物を色落ちして傷めずに活性酸素種を効率良く発生することができる。
第8の発明は、特に、第1〜第7のいずれか1つの発明の光照射手段は、LEDを用いることとしたことにより、小型の光源であることから、光照射手段の設置スペースを確保することができる。また、光源の長期耐久性を確保することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1に、本発明の第1の実施の形態の洗濯機の断面図を示す。
図2には、本発明の第1の実施の形態の洗剤ケースの断面図を示す。
図3には、本発明の第1の実施の形態の抗菌剤発生部の要部拡大図を示す。
図1において、洗濯機本体1は、外槽2とその外槽2内に回転自在に配され洗濯槽3を内蔵している。洗濯槽3は、モーター4によって洗濯槽3を回転できるように構成されている。
外槽2の端周縁部には光照射手段5であるLEDを配設しており、洗濯槽3内に投入された洗濯物に光が照射される方向に設置されている。LED5は、その最大発光強度となる波長が395nm、出力が7mWとなるLED素子を3個配列している。光照射手段にLEDを用いることで、洗濯機の外槽2のような狭い空間でも設置することができる。
外槽2の下部には排水路6の一端を接続し、排水路6には排水弁7を接続して外槽2内の洗濯水を排水するようにしている。
洗濯槽3は有底円筒形に形成され、その周面に外槽2内に通じる多数の通水孔が形成され、内周面の複数位置にバッフル8を設けている。洗濯槽3の回転中心に略傾斜方向に回転軸を設け、洗濯槽3の軸心方向を背面側から正面側に向けて上向きに傾斜させて配設している。この回転軸に、外槽2の背面側に取り付けたモーター4を連結し、洗濯槽3を正転および逆転方向に回転駆動するようにしている。
外槽2の正面側の上向き傾斜面に設けた開口部を蓋9により開閉自在に覆い、この蓋9を開くことにより洗濯物出入口を通して洗濯槽3内に洗濯物を出し入れすることができる。蓋9を上向き傾斜面に設けているため、洗濯物の出し入れは腰を屈めることなく行うことができ、一般には横向きにある開口部から洗濯物を出し入れする洗濯機の作業性の悪さを改善している。
洗濯槽3への給水は、洗い工程時の給水に使用する第1給水経路10と、すすぎ工程時の給水に使用する第2給水経路11が分岐して設けられている。そして、第1給水経路10の開閉は第1給水弁12、第2給水経路の開閉は第2給水弁13によって行われる。
抗菌剤発生部14は、第2給水経路11の途中に設けられている。そして、第1給水経路10と第2給水経路11の下流側末端には、洗剤15を投入する洗剤ケース16が備えられている。
図2に示すように、洗剤ケース16の中には、洗剤ケース16の底から離れた位置に容器17が設けられており、容器17において洗剤15を溜めるための部位以外の一部の場所は、水が第2給水経路11から流れてきたときに洗剤15が洗剤ケース16の底に流れるように開口している。また、容器17の底部は斜面になっており、高さ3mm程度の仕切り18が設けられている。洗剤ケース16の底部は、洗い工程に使用する洗剤15を溜めておく第1洗剤溜め部19となる。
容器17の底部において、仕切り18で区切られ第1洗剤溜め部19よりも少ない容量の洗剤15を溜めることができる開口していない部分は、すすぎ工程で使用する微量の洗剤を溜めておく第2洗剤溜め部20である。
第1給水経路10の出口は、洗剤ケース16の第1洗剤溜め部19の上部に配置している。第2給水経路11の出口は、容器17の第2洗剤溜め部20の上部に配置している。洗剤ケース16の底部は開口しており、洗濯槽3への給水路であるメイン給水経路21と通じている。
図3において、抗菌剤発生部14は、銀の電極を用いた電気分解によって抗菌剤を発生
する方式の構成を示している。電解槽22内に2枚の銀板状電極23を有し、長手方向の一方の端に水の流入口24、他方の端に水の流出口25を備える。銀板状電極23の一部には、電圧を印加するための接続端子26を設けている。そして、接続端子26には銀板状電極23に電圧を印加する為の制御手段27が接続されている。
電解槽22の中に水が存在する状態で銀板状電極23に所定の電圧を印加すると、銀板状電極23の陽極側から、無機系抗菌物質28の銀イオンが溶出する。抗菌剤発生部14では、電圧の印加の有無で銀イオン28の溶出、非溶出を選択できる。また電流や電圧印加時間を制御することにより銀イオン28の溶出量を制御できる。銀板状電極23に長時間一方向に電流を流すと、陽極側となっている電極が減耗するとともに、陰極側となっている電極には水中のカルシウムなどの不純物がスケールとして固着する。また電極の成分金属の塩化物及び硫化物が電極表面に発生する。これは抗菌剤発生部14の性能低下をきたすので、制御手段27により電極の極性を反転して運転できるように構成されている。
以上のように構成された洗濯機について、以下その動作、作用を説明する。
まず、蓋9を開いて洗濯槽3内に洗濯物を投入し、洗剤ケース16の容器17に一定量の洗剤15を投入する。このとき、洗剤15の一部は容器17の第2洗剤溜め部20に溜められる。仕切り18によって、1g以下の微量の洗剤が堰き止められ、その他の洗剤15は、容器17の底が斜面に形成されているので、洗剤ケース16の底部の第1洗剤溜め部19に保持される。
洗剤ケース16への洗剤投入を終え、洗濯機本体1の運転を開始すると洗濯の洗い工程が開始する。
まず第1給水弁12が開くと、第1給水経路10を通じて水が通水し洗剤ケース16に水が供給される。そして、洗剤ケース16の第1洗剤溜め部19に水が流れる。そして、第1洗剤溜め部19に貯留した洗剤15が押し流され、メイン給水経路21を通じて外槽2に洗剤15を含んだ水が注水される。
その後、モーター4により洗濯槽3が回転駆動されて洗い行程が開始される。
洗濯槽3の回転により、洗濯槽3内に収容された洗濯物は洗濯槽3の内周面に設けられたバッフル8によって回転方向に持ち上げられ、持ち上げられた適当な高さ位置から落下する撹拌動作が繰り返されるので、洗濯物には叩き洗いの作用が及んで汚れの洗浄がなされる。所要の洗い時間の後、排水弁7が開状態になり汚れた洗濯液が排水路6ら排出され、洗濯槽3を高速回転させる脱水動作により洗濯物に含まれた洗剤液を脱水する。
次に、すすぎ行程が開始する。第2給水弁13が開くと、第2給水経路11に水が流れ抗菌剤発生部14の流入口24から電解槽22に水が流入する。そして、制御手段27から抗菌剤発生部14の電解槽22における銀板状電極23に通電され一定の電流が流れる。これにより、銀板状電極23から無機系抗菌物質28の銀イオンが溶出する。そして、溶出した銀イオン28を含む水が流出口25から流出する。そして、抗菌剤発生部14で生成した銀イオン28は第2給水経路11を通じて洗剤ケース16へ流入する。
第2給水経路11を通じて洗剤ケース16に供給された水は容器17に供給される。そして、容器17の第2洗剤溜め部20に貯留した、第1洗剤溜め部に溜められた洗剤よりも少ない微量の洗剤15が押し流される。
ここで、洗剤15には炭酸ナトリウム等のナトリウム化合物を含むため、水に溶解する
と、その水は弱アルカリ性を示し水酸化物イオンを生成する。そして、この水酸化物イオンと抗菌剤発生部14で生成した銀イオン28は化合反応して水酸化銀を生成する。そして、生成した水酸化銀は不安定な物質である為、即座に酸化銀へと変化する。酸化銀は光励起作用の高い無機系抗菌化合物29である。そして、この酸化銀29が添加された水が外槽2へ給水される。
ここで、抗菌剤発生部14と洗剤ケース16は第2給水経路11中に直列に配置され、抗菌剤発生部14は、洗剤ケース16より上流側に設けたことにより、洗濯槽3へ酸化銀29を投入する際、抗菌剤発生部14で溶出した銀イオン28は投入タイミングに関わらず洗剤ケース16を通過するので、溶出した銀イオン28は未反応になることなく洗剤ケース16で洗剤15が溶出して発生した水酸化物イオンと反応し酸化銀29として外槽2に投入することができる。
また、第2洗剤溜め部20に溜められた洗剤15は1g以下の微量である為、洗濯後の洗濯物の洗剤残りに及ぼす影響は小さい。
酸化銀25を含んだ水が外槽2へ一定量給水された後、すすぎ工程が開始する。そして、外槽2への給水と同時に、LED5から洗濯槽3に収容された洗濯物に波長395nmの紫外線の光が照射される。
すすぎ工程においても洗濯槽3内に収容された洗濯物は洗濯槽3の回転によりバッフル8により持ち上げられて落下する撹拌動作が繰り返されて濯ぎが実施される。このため、濯ぎ水を通じて洗濯物全体に酸化銀29が付着される。
洗濯物に付着した酸化銀29に光が照射されると、酸化銀29は励起状態になり水と反応してヒドロキシラジカルやスーパーオキサイドアニオンといった活性酸素種を生成する。
そして、これらの活性酸素種の酸化分解作用と酸化銀29の抗菌作用によって洗濯物に付着した細菌や真菌類のカビを分解して洗濯物上の細菌やカビを除去することができる。
ここで、洗濯物に付着するのはイオン状態の銀ではなく、酸化物状態の酸化銀29となっている為、光照射による反応は一過性のものではなく、触媒として連続的に反応が進む。したがって、光照射した時の活性酸素種の発生量は銀イオンよりも多くなる。これにより、活性酸素種による真菌類の死滅を向上させ、低濃度の無機系抗菌物質量で洗濯物上の菌の除去を行うことができる。
また、ここではLED5は波長395nmの紫外線領域の光を用いているので、酸化銀29に光照射した時、光の波長が短いことにより光エネルギーが高くなる為酸化銀29は励起状態に成り易く、ヒドロキシラジカル等の活性酸素種をより多く発生することができる。また、近紫外線を用いているので、光により洗濯物が色落ちするほどのエネルギーは持っていないので洗濯物を傷めることはない。
なお、LED5の波長は365nm〜400nmの領域内であれば同様の効果がえられる。
こうして、LED5から光が照射された状態で、一定時間酸化銀29が添加された水で濯いだ後、濯ぎ水は排水路6から排出される。
次に、脱水工程が開始する。洗濯槽3が高速回転し洗濯物に含まれたすすぎ液が脱水さ
れる。この工程においても、LED5から洗濯物に光が照射され、付着した酸化銀29からヒドロキシラジカル等の活性酸素種が生成し、これにより脱水中の洗濯物上の細菌や真菌類を死滅することができる。
以上のように、本実施の形態においては、洗濯物を収容する洗濯槽3と、銀イオン28を溶出させて水に添加する抗菌剤発生部14と、洗剤15を洗濯槽3に投入する洗剤ケース16と、LED5とを備え、すすぎ工程において、銀イオン28と微量の洗剤15を溶出させて反応させることによって光励起作用のある無機系抗菌化合物の酸化銀29を形成するとともに、酸化銀29が添加された水を含有した洗濯物にLED5から光を照射するようにしたことにより、酸化銀29は光によって励起され易く、触媒として連続的にヒドロキシラジカル等の活性酸素種をより多く発生することができる。したがって、銀による抗菌作用と共に、発生した活性酸素種による酸化分解によって、付着した細菌やカビをさらに分解して洗濯物上の細菌やカビを除去することができる。その結果、低濃度の銀量でも洗濯物上の細菌や真菌類の除去を行うことができる。
また、本実施の形態の無機系抗菌物質28を銅イオンとして、無機系抗菌化合物29に酸化銅を生成して適用した場合でも、光励起作用によって活性酸素種を生成し細菌や真菌を分解して除去することができる。但し、この場合、無機系抗菌物質28の必要濃度は銀イオンに比べ高くなる。
本発明の洗濯機は、すすぎ工程において、前記無機系抗菌物質と微量の洗剤を溶出させて反応させることによって光励起作用のある無機系抗菌化合物を形成するとともに、この無機系抗菌化合物が添加された水を含有した洗濯物に前記光照射手段から光を照射するようにしたことにより、洗剤が溶けることですすぎ水は弱アルカリ性となり水酸化物イオンを生成する。これが、無機系抗菌物質と反応して光励起作用の高い無機酸化物を生成する。この為、洗濯槽に収容された洗濯物に無機酸化物が付着し、光が照射されると励起された無機酸化物は水と反応し、光触媒作用によって酸化力の高いヒドロキシラジカル等の活性酸素種がより多く発生する。したがって、発生した活性酸素種による酸化作用によって、付着した細菌やカビを分解して洗濯物上の細菌やカビを除去することができるので、食器洗い機等洗剤を利用して洗浄する機器にも応用できる。
本発明の実施の形態1における洗濯機の断面図 本発明の実施の形態1の洗剤ケースの断面図 本発明の実施の形態1の抗菌剤発生部の断面図 従来の洗濯機の断面図
符号の説明
3 洗濯槽
4 モーター
5 LED(光照射手段)
10 第1給水経路
11 第2給水経路
12 第1給水弁
13 第2給水弁
14 抗菌剤発生部
15 洗剤
16 洗剤ケース
17 容器
18 仕切り
19 第1洗剤溜め部
20 第2洗剤溜め部
28 無機系抗菌物質
29 無機系抗菌化合物

Claims (8)

  1. 洗濯物を収容する洗濯槽と、無機系抗菌物質を溶出させて水に添加する抗菌剤発生部と、洗剤を前記洗濯槽に投入する洗剤ケースと、光照射手段とを備え、すすぎ工程において、前記無機系抗菌物質と微量の洗剤を溶出させて反応させることによって光励起作用のある無機系抗菌化合物を形成するとともに、この無機系抗菌化合物が添加された水を含有した洗濯物に前記光照射手段から光を照射するようにした洗濯機。
  2. 洗剤ケースにおいて、洗い工程において使用する洗剤を溜めておく第1洗剤溜め部と、すすぎ工程において洗濯槽に投入する微量の洗剤を溜めておく第2洗剤溜め部を設けることとした請求項1に記載の洗濯機。
  3. 洗い工程時に洗濯槽に給水する第1給水経路と、すすぎ工程時に洗濯槽に給水する第2給水経路を設け、洗い工程時には第1給水経路から給水される水が第1洗剤溜め部を通過し、すすぎ工程時には第2給水経路から給水される水が第2洗剤溜め部を通過して洗濯槽に給水することとした請求項2に記載の洗濯機。
  4. 洗剤ケースにおいて、第1洗剤溜め部の上部に容器を設け、第2洗剤溜め部は前記容器の一部を仕切った部位であり、前記第2洗剤溜め部以外の容器底部は開口する構成とした請求項3に記載の洗濯機。
  5. 無機系抗菌物質は、銀イオンを生成する物質とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗濯機。
  6. 光照射手段から照射される光は紫外線とした請求項1〜5のいずれか1項に記載の洗濯機。
  7. 光照射手段の光の最大発光強度となる波長が、365nm〜400nmとした請求項6に記載の洗濯機。
  8. 光照射手段は、LEDを用いることとした請求項1〜7のいずれか1項に記載の洗濯機。
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