JP4848670B2 - 回転子、電動機、圧縮機、送風機、及び空気調和機 - Google Patents

回転子、電動機、圧縮機、送風機、及び空気調和機 Download PDF

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本発明は電動機、中でも表面磁石型の回転子に関する。当該電動機は圧縮機や送風機の駆動源として搭載することができる。
小型で高効率な電動機を実現するにあたっては、永久磁石を用いた永久磁石励磁電動機が最有力である。永久磁石励磁の同期系電動機の一般的な指標は、下掲の非特許文献1に紹介されている。
冷却条件が揃えられ、寸法が同一の電動機であれば、温度上昇と放熱の関係から許容損失Wcがほぼ同一と考えることができる。トルクTと許容損失Wcは式(1)の関係にあり、係数Kmはモータコンスタントと呼ばれる。
T=Wc・√Km…(1)。
よって、許容損失Wcが一定である場合には、モータコンスタントKmが大きいほどトルクTが大きくなる。よってモータコンスタントKmを、許容トルク(通常は連続定格トルク)の指標値として用いらることができる。
モータコンスタントKmは式(2)で表すことができる。ここで極対数p、巻き線最大鎖交磁束Φ、占積率fs、巻線スロットの全断面積St、巻線の固有抵抗ρ、単位コイルの平均長lを導入した。また電流波形は正弦波であり、磁束が正弦波状に交番すると仮定した。また電動機の損失は、特に電動機が小型の場合には銅損が大部分であり、鉄損を省略して考慮している。
Km=(1/2)pΦ√(fsSt/ρl)…(2)。
従って、電動機の体積当たりの電動機効率を高めるためにはモータコンスタントKmを高める必要があり、式(2)から以下の諸方針が有効である。
(i)巻き線の占積率fsを大きくする
(ii)単位コイルの平均長lを短くする
(iii)巻線の固有抵抗ρを小さくする
(iv)巻線最大鎖交磁束Φを大きくする
(v)極対数pを大きくする
(vi)巻線スロットの全断面積Stを大きくする。
方針(i)についてはスロット形状の工夫が、例えば特許文献1及び特許文献2に提案されている。方針(ii)については、分布巻きの採用から集中巻きの採用へと移行することで、実現されている。方針(iii)については、固有抵抗が銅よりも低い材料は銀しか現存せず、コスト的、工業的に望ましくない。
方針(iv)については、永久磁石に希土類磁石を採用する他、電動機の単位体積当たりでの磁極面の表面積の増大が挙げられる。しかしながら、磁極面の表面積の増大は二つの観点から望ましくない。
その一つは、固定子として巻線が巻回された電機子を採用し、回転子には永久磁石を界磁用磁石として採用することが望ましく、更に回転子は固定子に囲まれていることが望ましい点にある。電機子を回転子として採用すれば、巻き線電流の整流のための機械的整流子が必要となり、高耐久性、高信頼性、耐塵性等の観点から望ましくないため、永久磁石を界磁用磁石に用いて回転子を構成することが望ましい。更に電動機を、例えば圧縮機等の内部へと挿入する観点から、回転子を外側から囲む固定子が存在することが望ましい。してみれば、磁極面の表面積の増大は電動機の小型化を阻害する要因となり得る。
もう一つの観点は、方針(vi)とも関連する。電動機を小型化にするために回転子を囲む固定子の外径をそのままにしておきながら、磁極面の表面積を増大させると、当該固定子の内径も大きくなってしまう。これでは当該固定子のスロットが径方向に短くなってしまい、巻線スロットの全断面積Stが小さくなってしまう。これは方針(vi)で望まれる方針とは逆である。
また方針(v)に基づいて極対数pを増大させた場合にも巻線スロットの全断面積Stが小さくなってしまう。
一方、下掲の非特許文献2に紹介されるように、界磁用磁石を回転子の内部に埋め込んだ、埋込磁石型の回転子では、マグネットトルクのみならず、リラクタンストルクをも利用することができる。回転子の固定子に対する鉄部の磁気抵抗の回転角度依存性を持たせることにより、通電時の電機子電流位相を進角側にずらすことができ、磁気抵抗の突極性から生じるリラクタンストルクを利用することでトルクを増大するのである。
即ち極対数Pn、鎖交磁束Φa、d軸電流Id、q軸電流Iq、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLqを導入すると、トルクTは式(3)で表される。
T=Pn(ΦaIq+(Ld−Lq)IdIq)…(3)。
方針(iv)(v)と同様に、鎖交磁束Φa、極対数Pnを増大させることも望ましい。しかし更に、q軸インダクタンスLqを増大させることがトルクの増大に寄与する。電機子電流位相を進角側にずらすことでd軸電流Idは負となるからである。
一方、回転子に流れる磁束はその周辺近傍に多く流れるため、回転子の内側にも電機子を設ければ巻線スロットの全断面積Stを増大させることができる。回転子の内外に電機子を設ける技術は、例えば特許文献3乃至特許文献6に紹介されている。
但し特許文献3乃至特許文献5に示された構造では磁気抵抗の突極性を利用できないと考えられ、また特許文献6に示された構造では界磁用磁石を有する回転子の内側の電機子も回転子であり、界磁用磁石を有する回転子のリラクタンストルクを有効に利用することは困難であると考えられる。
なお特許文献7には弱め界磁電流を流すことなく弱め界磁を行う技術が提案されている。
特開2000−324728号公報 特開2004−187370号公報 特開2002−335658号公報 特開2002−369467号公報 特開2002−84720号公報 特開平9−56126号公報 特開平9−233887号公報 大西和夫、「永久磁石モータのトルク評価と最適構造の検討」、電気学会論文誌D産業応用部門部門誌、平成7年、第115巻、第7号、第930頁〜第935頁 特定用途指向型リラクタンストルク応用電動機の高性能化調査専門委員会、「特定用途指向型リラクタンストルク応用電動機の高性能化」、電気学会技術報告第920号、2003年3月
q軸インダクタンスLqを増大させるために、永久磁石の埋設位置を回転子の中心軸に近づけることも可能である。これにより永久磁石よりも外側に位置する回転子コアの体積が増大し、q軸インダクタンスLqが増大するのである。
しかし永久磁石の埋設位置を回転子の中心軸に近づけると、回転子の外径を一定とした場合、磁極の表面積が小さくなってしまい、方針(iv)と反してしまう。また回転子の内側にも固定子を設けることで電動機の体積当たりの効率を高める工夫も採用しにくい。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電動機の体積当たりの効率を高める技術を提供する。
この発明にかかる回転子は、いずれも環状の外周面(101a,102a,103a,104a,105a,106a)及び内周面(101b,102b,103b,104b,105b,106b)を備え、周方向において交互に、第1部分(11〜14)及び第2部分(15〜18)とに区分される。前記第1部分の各々は、前記外周面側と前記内周面側とに相互に異なる磁極面を呈する界磁用磁石(31〜34)を有し、前記第2部分の各々は軟磁性材(35〜38)を有する。
そして、前記軟磁性材と前記界磁用磁石(31〜34)とが前記周方向において接触して設けられる。
この発明にかかる回転子の第の態様(102)では、前記界磁用磁石(31〜34)は硬磁性材に着磁して得られ、前記第2部分の各々(15〜18)は、前記界磁用磁石と連続して前記軟磁性材の前記外周面(102a)側で前記周方向に延在して前記硬磁性材からなる外周側硬磁性部(45a〜48a)と、前記界磁用磁石と連続して前記軟磁性材の前記内周面(102b)側で前記周方向に延在する前記硬磁性材からなる内周側硬磁性部(45b〜48b)とを更に有する。
この発明にかかる回転子の第の態様(102)は、回転子の第の態様であって、前記軟磁性材(35)の前記界磁用磁石(31)との境界における厚さ(t352)は、他の位置における厚さ(t351)よりも薄い。
この発明にかかる回転子の第の態様(105)では、前記界磁用磁石(31〜34)は硬磁性材に着磁して得られ、前記第2部分の各々(15〜18)は、前記界磁用磁石と連続して前記軟磁性材(35〜38)の前記内周面(105b)側で前記周方向に延在して前記硬磁性材からなる内周側硬磁性部(45b〜48b)と、前記界磁用磁石と連続して前記軟磁性材の前記外周面(105a)側で前記周方向に突出して前記硬磁性材からなる外周側硬磁性突起(31a〜34a)とを更に有する。
この発明にかかる回転子の第の態様(106)では、前記界磁用磁石(31〜34)は硬磁性材に着磁して得られ、前記第2部分の各々(15〜18)は、前記界磁用磁石と連続して前記軟磁性材(35〜38)の前記外周面(106a)側で前記周方向に延在して前記硬磁性材からなる外周側硬磁性部(45a〜48a)と、前記界磁用磁石と連続して前記軟磁性材の前記内周面(106b)側で前記周方向に突出して前記硬磁性材からなる内周側硬磁性突起(31b〜34b)とを更に有する。
この発明にかかる回転子の第の態様(107)は、回転子の第1乃至第の態様のいずれかであって、前記第2部分(15〜18)の前記軟磁性材(35〜38)に穴(51〜54)を更に有する。
この発明にかかる回転子の第の態様(107)は、回転子の第の態様であって、前記穴(51〜54)は円形である。
この発明にかかる電動機の第1の態様は、回転子の第1の態様乃至第の態様のいずれか(101〜107)と、前記回転子に対して前記内周面(101b)側に設けられた内周側固定子(200)と、前記回転子に対して前記外周面(101a)側に設けられた外周側固定子(300)とを備える。
この発明にかかる電動機の第2の態様は、電動機の第1の態様であって、前記内周側固定子(200)が有する歯部(201)の前記周方向についての中心と、前記外周側固定子(300)が有する歯部(301)の前記周方向についての中心とは、前記周方向についての相対的な位置関係が可変である。
この発明にかかる圧縮機は、電動機の第1の態様又は第2の態様の電動機を搭載したことを特徴とする。
この発明にかかる送風機は、電動機の第1の態様又は第2の態様の電動機を搭載したことを特徴とする。
この発明にかかる空気調和機は、この発明にかかる圧縮機又はこの発明にかかる送風機の、少なくともいずれか一方を備える。
この発明にかかる回転子によれば、第2部分は第1部分に対して周方向に交互に設けられるので、いわゆるq軸インダクタンスを大きくすることができる。しかも内周面側及び外周面側の両方に電機子を設けることができるので、電機子巻線のスロットの総面積が増大し、体積当たりの効率が高い電動機の構成に資することができる。
そして、軟磁性材の体積を大きくし、いわゆるq軸インダクタンスを大きくすることができる。
この発明にかかる回転子の第の態様によれば、外周側硬磁性部と内周側硬磁性部との間で軟磁性材が保持される。
この発明にかかる回転子の第の態様によれば、界磁用磁石に隣接する軟磁性材を介して、当該界磁用磁石で極性が異なる磁極面の間を磁束が短絡して流れることを回避でき、電機子に与える界磁の減少を防ぐ。
この発明にかかる回転子の第の態様によれば、外周側硬磁性突起と内周側硬磁性部との間で軟磁性材が保持される。
この発明にかかる回転子の第の態様によれば、内周側硬磁性突起と外周側硬磁性部との間で軟磁性材が保持される。
この発明にかかる回転子の第の態様によれば、穴において例えばボルトやリベットなどの締結具を貫挿することにより、軸方向に軟磁性体を締結することができる。しかもq軸方向の磁束の流れを阻害することはあっても、d軸方向の磁束の流れを阻害しにくい。
この発明にかかる回転子の第の態様によれば、所望の機械強度を得るために必要な穴の寸法が小さいため、当該穴による磁束の流れの阻害が小さい。また第2部分において外周及び内周のいずれに向かっても磁性体が広がる形状が得られるので、固定子と第2部分との間でのq軸方向の磁束を流れ易くする。

この発明にかかる電動機の第1の態様によれば、q軸インダクタンスを大きく、かつ巻線スロットの全断面積を増大させることができる。
この発明にかかる電動機の第2の態様によれば、界磁用磁石から得られる磁束のうち、内周側固定子の歯部の回転子側、あるいは外周側固定子の歯部の回転子側を経由して周方向に流れる成分を増大させることができるので、固定子の電機子電流を制御することなく、弱め界磁を等価的に実現することができる。従って弱め磁束電流による銅損の上昇や、負のd軸電流による界磁用磁石の減磁も発生しない。当該相対的な位置関係の調整は巻線の巻回数の調整と比較すると微調整がし易いので、設定されるべき回転数が異なる電動機に共通して採用できる。
この発明にかかる圧縮機、送風機、空気調和機によれば、それぞれ圧縮、送風、空調の効率が高い。
第1の実施の形態.
以下では簡単のため、回転子の極対数が2であり、固定子の相数が3である場合を例にとって説明するが、その他の極対数や相数にも本発明を適用することができる。
図1は本発明の第1の実施の形態にかかる回転子101の構成を示す断面図であり、回転軸Qに垂直な断面を示している。
回転子101は外周面101a及び内周面101bを備え、これらはいずれも環状を呈する。ここでは両者は同心円を呈しているが、必ずしも真円である必要はなく、設計上の変更は適宜に可能である。また図1は回転軸Qに垂直な断面を示しているため、外周面101a及び内周面101bは面ではなく、線として示されている。
回転子101はその周方向において交互に、第1部分11〜14及び第2部分15〜18に区分される。第1部分11〜14はそれぞれ界磁用磁石31〜34を有しており、本実施の形態では第1部分11〜14は界磁用磁石31〜34自体で構成されている。界磁用磁石31〜34の各々は、外周面101a側と内周面101b側とに相互に異なる磁極面を呈する。例えば、誘起電圧の高調波低減のために、第1部分11〜14及び第2部分15〜18を偏芯、偏肉形状としてもよい。
本実施の形態及び以下の実施の形態では、界磁用磁石31,33がS極の磁極面を、界磁用磁石32,34がN極の磁極面を、それぞれ外周面101a側に向けて呈している場合を例に採って説明する。もちろん、固定子の極対数が増えても、一つの第2部分を介して隣接する一対の第1部分において、界磁用磁石が外周面側に呈する磁極面の磁極が相互に異なっていればよい。
第2部分15〜18は軟磁性材35〜38を有しており、本実施の形態では軟磁性材35〜38自体で構成されている。軟磁性材35〜38としては公知の電磁鋼板、圧粉鉄心を採用することができる。
第1部分11〜14及び第2部分15〜18は相互に接着されていてもよい。あるいは図示されない薄肉のSUS(Stainless Used Steel)管により、外周面101a側及び内周面101b側から第1部分11〜14及び第2部分15〜18を保持してもよい。当該SUS管は非磁性材であることが望ましい。
図2は回転子101を用いた電動機の構成を例示する断面図であり、簡単のため電機子巻線は省略して描画している。回転子101の内周面101b側には内周側固定子200が、外周面101a側には外周側固定子300が、それぞれ設けられた構成を有している。界磁用磁石31〜34の、第2部分15〜18との境界付近での磁化方向は、第1部分11〜14と第2部分15〜18との境界に略平行であることが望ましい。界磁用磁石31〜34から得られる界磁が第2部分15〜18へ流れることを困難にし、以て内周側固定子200と外周側固定子300へ有効に界磁を与えるためである。
このように回転子101の内外に固定子を設けることにより、巻線スロットの全断面積を増大させることができる。これは体積当たりの効率が高い電動機の構成に資することになる。
もちろん、本実施の形態において、特許文献1や特許文献2に紹介されたようなスロット形状の工夫を伴って、更に巻線スロットの全断面積を増大させてもよい。
外周側固定子300は径方向に延在する歯部301を有しており、その先端(回転子101側)は周方向に広がって幅広部302を形成している。同様に、内周側固定子200は径方向に延在する歯部201を有しており、その先端(回転子201側)は周方向に広がって幅広部202を形成している。
図2において符号を伴わない矢印は、界磁用磁石31〜34による磁束の流れを例示している。回転子101と外周側固定子300とは主としてその歯部301を介して、磁束が流入出し、回転子101と内周側固定子200とは主としてその歯部201を介して、磁束が流入出する。
第2部分15〜18は第1部分11〜14に対して、周方向において交互に設けられるので、回転子101の内側に設けられる固定子を経由して第2部分15〜18に磁束が流れ、また第2部分15〜18の周方向の角度θwを大きくすることができる。これによりq軸インダクタンスLqを大きくすることができる。
図3は回転子101にd軸磁束φaが流れる様子を概念的に示す図であり、図4は回転子101にq軸磁束φbが流れる様子を概念的に示す図であり、いずれも図1の断面図に対応している。
d軸磁束φaは界磁用磁石31,33と、界磁用磁石32,34との間を流れる。よってd軸磁束φaはほぼ第1部分11〜14のみを流れることになる。
q軸磁束φbは軟磁性材35,37と、軟磁性材36,38との間を流れる。よって第2部分15〜18はほぼ第2部分15〜18のみを流れることになる。よって第2部分15〜18が周方向に広がる角度θwを広げることが、q軸インダクタンスLqを増大させる観点から望ましい。
なお、内周側固定子200は巻線(図示省略)が巻回される電機子であるが、これを回転子としない方が望ましい。もし回転子101の内側の電機子を回転子とすると、上述のように機械的整流子が必要となる他、外側の電機子である外周側固定子300と相対的に回転することになる。この相対的な回転はいずれかの電機子の、回転子101の界磁に対する相対回転数を減少させ、電動機の効率の低下を招来してしまう。またこの相対的な回転はq軸磁束φbの経路を乱し、リラクタンストルクの変動を増大させ、その利用が困難となる。
図5は回転子101、内周側固定子200、外周側固定子300を備えた電動機の断面図であり、回転中心を含む断面を概念的に示している。回転子101は端板112を介して回転軸113に連結されており、回転軸113は軸受け114,115によって支持されている。内周側固定子200、外周側固定子300はそれぞれ支持部204,304によって支持されている。
端板112によって第1部分11〜14と第2部分15〜18とが結合されていてもよい。その観点からは端板112は非磁性材であることが望ましい。ただし、第2部分15〜18の軟磁性材が回転子101の回転軸113についての両端において連結しており、界磁用磁石31〜34が回転軸113に沿った方向において軟磁性材に挟み込まれていてもよい。かかる態様は、部品点数削減の観点から望ましい。
また内周側固定子200、外周側固定子300には、それぞれ電機子巻線203,303が巻回されている。図2は、図5中の位置II−IIにおいて、支持部204,304及び電機子巻線203,303を省略した断面図に相当する。
図6及び図7は電機子巻線203,303(図5)が接続される態様を例示する回路図である。図6及び図7に示されたコイル203U,203V,203Wは、それぞれ電機子巻線203のU相、V相、W相のコイルであり、コイル303U,303V,303Wは、それぞれ電機子巻線303のU相、V相、W相のコイルである。
図6及び図7は、スター結線を採用し、各相において電機子巻線203,303がそれぞれ直列及び並列に接続されている場合を示した。本実施の形態ではこのような直列結線及び並列結線のいずれの態様をも採用できる。もちろん、図8及び図9のように、デルタ結線を採用し、各相において電機子巻線203,303がそれぞれ直列及び並列に接続してもよい。ただし、デルタ結線を採用すると誘起電圧の不均衡による環状電流は銅損を大きくするので、スター結線を採用して電機子巻き線203,303は各相ごとに直列に接続されていることが望ましい。
第2の実施の形態.
q軸インダクタンスLqを増大させる観点同様の観点から、軟磁性材35〜38と界磁用磁石31〜34とが周方向において、非磁性材を介することなく接触して設けられることが望ましい。軟磁性材35〜38の体積を大きくし、q軸インダクタンスを大きくすることができるからである。
しかしながら、界磁用磁石31〜34に隣接する軟磁性材35〜38を介して、当該界磁用磁石で極性が異なる磁極面の間を磁束が短絡して流れる可能性がある。これは内周側電機子200、外周側電機子300(図2参照)に与える界磁の減少を招来する。
また、界磁用磁石31〜34と軟磁性材35〜38との境界において内周側電機子200、外周側電機子300に与える界磁が急峻に変化する可能性がある。これは界磁の高調波成分の増大、ひいては回転子101の滑らかな回転の阻害や、振動、騒音の増大を招来する。
本実施の形態ではこれらの問題を軽減する構造を呈示する。図10及び図11はいずれも本発明の第2の実施の形態の構成を示す断面図であり、図1の界磁用磁石31と軟磁性材35との境界近傍を拡大して示している。
図10では、軟磁性材35の界磁用磁石31との境界における厚さt352は、他の位置における厚さt351よりも薄くなっている。よって界磁用磁石31の外周面101a側の磁極面31Sとa内周面101b側の磁極面31Nとの間で軟磁性材35を介して磁束が短絡して流れることを回避できる。よって内周側電機子200、外周側電機子300に与えられる界磁の減少を防ぐ。
図11では、界磁用磁石31の軟磁性材35との境界における厚さt312は、他の位置における厚さt311よりも薄くなっている。よって界磁用磁石31から内周側電機子200、外周側電機子300に与えられる界磁が、界磁用磁石31と軟磁性材35との境界で急峻に変化することを回避できる。よって内周側電機子200、外周側電機子300に与えられる界磁の高調波成分を低減する。
第3の実施の形態.
図12は、本発明の第3の実施の形態にかかる回転子102の構成を示す断面図であり、回転軸Qに垂直な断面を示している。
回転子102は外周面102a及び内周面102bを備え、これらはいずれも環状を呈する。回転子102も回転子101と同様、その周方向において交互に、第1部分11〜14及び第2部分15〜18に区分される。第1部分11〜14はそれぞれ界磁用磁石31〜34を有しており、本実施の形態では第1部分11〜14は界磁用磁石31〜34自体で構成されている。界磁用磁石31〜34の各々は、外周面102a側と内周面102b側とに相互に異なる磁極面を呈する。第2部分も回転子101と同様に、軟磁性材35〜38を有している。
しかし、第2部分15は回転子101とは異なり、軟磁性材35の外周面102a側で周方向に延在して硬磁性材からなる外周側硬磁性部45aと、軟磁性材35の内周面102b側で周方向に延在して硬磁性材からなる内周側硬磁性部45bとを更に有している。同様にして、第2部分16〜18は軟磁性材36〜38の外周面102a側で周方向に延在して硬磁性材からなる外周側硬磁性部46a〜48aと、軟磁性材36〜38の内周面102b側で周方向に延在して硬磁性材からなる内周側硬磁性部46b〜48bとを更に有している。
外周側硬磁性部45aと内周側硬磁性部45bとは、いずれも界磁用磁石31,32と連続している。同様にして外周側硬磁性部46aと内周側硬磁性部46bとが界磁用磁石32,33と、外周側硬磁性部47aと内周側硬磁性部47bとが界磁用磁石33,34と、外周側硬磁性部48aと内周側硬磁性部48bとが界磁用磁石34,31と、それぞれ連続している。
界磁用磁石31〜34は硬磁性材に着磁して得ることができるので、外周側硬磁性部45a〜48aや内周側硬磁性部45b〜48bと同じ硬磁性材を用いて界磁用磁石31〜34を形成することができる。軟磁性材である鉄片の周りをボンド磁石で成形し、ボンド磁石に鉄片が埋め込まれた構造としてもよいし、軟磁性粉と硬磁性粉とを用いて一体成形を行ってもよい。
界磁用磁石31〜34に対応する部分のみが着磁され、外周側硬磁性部45a〜48aと、内周側硬磁性部45b〜48bとは、着磁されていないことが望ましい。ただし外周側硬磁性部45a〜48aと内周側硬磁性部45b〜48bとに対応する部分に対して着磁処理を施さないのであれば、界磁用磁石31〜34に対応する部分のみに対する着磁処理の影響を受けることで、結果的に外周側硬磁性部45a〜48aと内周側硬磁性部45b〜48bとが幾分か着磁してもよい。
本実施の形態にかかる回転子102によれば、外周側硬磁性部45a〜48aと内周側硬磁性部45b〜48bとの間で軟磁性材35〜38を保持することができる。
図13は本実施の形態の望ましい態様を示す断面図であり、図12の第1部分11と第2部分15との境界近傍を拡大して示している。
図13では、図10と同様に、軟磁性材35の界磁用磁石31との境界における厚さt352は、他の位置における厚さt351よりも薄くなっている。よって第1の実施の形態で説明したように、界磁用磁石31の軟磁性材35を介して磁束が短絡して流れることを回避でき、内周側電機子200、外周側電機子300に与えられる界磁の減少を防ぐことができる。
なお、第1部分11〜14の硬磁性材が回転子101の回転軸113についての両端において連結しており、第2部分15〜18の軟磁性材が回転軸113に沿った方向において硬磁性材に挟み込まれていてもよい。かかる態様は、部品点数削減の観点から望ましい。ただし、上記両端においては当該硬磁性材は磁束を発生させないことが望ましく、着磁されていないことがより望ましい。
第4の実施の形態.
図14は、本発明の第4の実施の形態にかかる回転子103の構成を示す断面図であり、回転軸Qに垂直な断面を示している。
回転子103は外周面103a及び内周面103bを備え、これらはいずれも環状を呈する。回転子103も回転子101と同様、その周方向において交互に、第1部分11〜14及び第2部分15〜18に区分される。第2部分15〜18は軟磁性材35〜38を有しており、本実施の形態では第2部分15〜18は軟磁性材35〜38自体で構成されている。第1部分11〜14も回転子101と同様、界磁用磁石31〜34を有しており、各々は、外周面103a側と内周面103b側とに相互に異なる磁極面を呈する。
しかし第1部分11は、回転子101とは異なり、界磁用磁石31の内周面103b側で周方向に延在し、軟磁性材からなる内周側軟磁性部41bと、界磁用磁石31の外周面103a側で軟磁性材35,38にそれぞれ連続して周方向に突出し、軟磁性材からなる外周側軟磁性突起35a,38aとを更に有している。同様にして、第1部分12〜14は、界磁用磁石32〜34の内周面103b側で周方向に延在し、軟磁性材からなる内周側軟磁性部42b〜44bと、界磁用磁石32〜34の外周面103a側で軟磁性材35〜38にそれぞれ連続して周方向に突出し、軟磁性材からなる外周側軟磁性突起35a〜38aを更に有している。
内周側軟磁性部41bは軟磁性材38,35と連続している。同様にして内周側軟磁性部42bは軟磁性材35,36と、内周側軟磁性部43bは軟磁性材36,37と、内周側軟磁性部44bは軟磁性材37,38と、それぞれ連続している。
本実施の形態にかかる回転子103によれば、外周側軟磁性突起35a〜38aと内周側軟磁性部41b〜44bとの間で界磁用磁石31〜34を保持することができる。保持する観点からは、外周側軟磁性突起35a〜38aはそれぞれ軟磁性材35〜38について一対ずつ設けられることが効果的である。
第5の実施の形態.
図15は、本発明の第5の実施の形態にかかる回転子104の構成を示す断面図であり、回転軸Qに垂直な断面を示している。
回転子104は外周面104a及び内周面104bを備え、これらはいずれも環状を呈する。
回転子104は、回転子103の第1部分11〜14において、界磁用磁石31〜34を保持するための軟磁性部と軟磁性突起とを、外周面104a側と内周面104b側とで入れ替えた構造を呈している。
即ち、第1部分11は、界磁用磁石31の外周面104a側で周方向に延在し、軟磁性材からなる外周側軟磁性部41aと、界磁用磁石31の内周面104a側で軟磁性材35、38からそれぞれ連続して周方向に突出し、軟磁性材からなる内周側軟磁性突起35b,38bとを更に有している。同様にして、第1部分12〜14は、界磁用磁石32〜34の外周面104a側で周方向に延在し、軟磁性材からなる外周側軟磁性部42a〜44aと、界磁用磁石32〜34の内周面104b側で軟磁性材35〜38にそれぞれ連続して周方向に突出し、軟磁性材からなる内周側軟磁性突起35b〜38bを更に有している。
外周側軟磁性部41aは軟磁性材38,35と連続している。同様にして外周側軟磁性部42aは軟磁性材35,36と、外周側軟磁性部43aは軟磁性材36,37と、外周側軟磁性部44aは軟磁性材37,38と、それぞれ連続している。
本実施の形態にかかる回転子104によれば、内周側軟磁性突起35b〜38bと外周側軟磁性部41a〜44aとの間で界磁用磁石31〜34を保持することができる。保持する観点からは、内周側軟磁性突起35b〜38bはそれぞれ軟磁性材35〜38について一対ずつ設けられることが効果的である。
第6の実施の形態.
図16は、本発明の第6の実施の形態にかかる回転子105の構成を示す断面図であり、回転軸Qに垂直な断面を示している。
回転子105は外周面105a及び内周面105bを備え、これらはいずれも環状を呈する。回転子105も回転子101と同様、その周方向において交互に、第1部分11〜14及び第2部分15〜18に区分される。第1部分11〜14はそれぞれ界磁用磁石31〜34を有しており、本実施の形態では第1部分11〜14は界磁用磁石31〜34自体で構成されている。界磁用磁石31〜34の各々は、外周面105a側と内周面105b側とに相互に異なる磁極面を呈する。第2部分も回転子101と同様に、軟磁性材35〜38を有している。
しかし、第2部分15は回転子101とは異なり、軟磁性材35の内周面105b側で周方向に延在し、硬磁性材からなる内周側硬磁性部45bと、軟磁性材35の外周面105a側で界磁用磁石31,32にそれぞれ連続して周方向に突出し、硬磁性材からなる外周側硬磁性突起31a,32aとを更に有している。同様にして、第2部分16〜18は、軟磁性材36〜38の内周面105b側で周方向に延在し、硬磁性材からなる内周側硬磁性部46b〜48bと、軟磁性材36〜38の外周面105a側で界磁用磁石31〜34にそれぞれ連続して周方向に突出し、硬磁性材からなる外周側硬磁性突起31a〜34aを更に有している。
内周側硬磁性部45bは界磁用磁石31,32と連続している。同様にして内周側硬磁性部46bは界磁用磁石32,33と、内周側硬磁性部47bは界磁用磁石33,34と、内周側硬磁性部48bは界磁用磁石34,31と、それぞれ連続している。
界磁用磁石31〜34は硬磁性材に着磁して得ることができるので、外周側硬磁性突起31a〜34aや内周側硬磁性部45b〜48bと同じ硬磁性材を用いて界磁用磁石31〜34を形成することができる。
本実施の形態にかかる回転子105によれば、外周側硬磁性突起31a〜34aと内周側硬磁性部45b〜48bとの間で軟磁性材35〜38を保持することができる。保持する観点からは、外周側硬磁性突起31a〜34aはそれぞれ界磁用磁石31〜34について一対ずつ設けられることが効果的である。
第7の実施の形態.
図17は、本発明の第7の実施の形態にかかる回転子106の構成を示す断面図であり、回転軸Qに垂直な断面を示している。
回転子106は外周面106a及び内周面106bを備え、これらはいずれも環状を呈する。
回転子106は、回転子105の第2部分15〜18において、軟磁性材35〜38を保持するための硬磁性部と硬磁性突起とを、外周面106a側と内周面106b側とで入れ替えた構造を呈している。
即ち、第2部分15は、軟磁性材35の外周面106a側で周方向に延在し、硬磁性材からなる外周側硬磁性部45aと、軟磁性材35の内周面105b側で界磁用磁石31,32にそれぞれ連続して周方向に突出し、硬磁性材からなる内周側硬磁性突起31b,32bとを更に有している。同様にして、第2部分16〜18は、軟磁性材36〜38の外周面106a側で周方向に延在し、硬磁性材からなる外周側硬磁性部46a〜48aと、軟磁性材36〜38の内周面106b側で界磁用磁石31〜34にそれぞれ連続して周方向に突出し、硬磁性材からなる内周側硬磁性突起31b〜34bを更に有している。
外周側硬磁性部45aは界磁用磁石31,32と連続している。同様にして外周側硬磁性部46aは界磁用磁石32,33と、外周側硬磁性部47aは界磁用磁石33,34と、外周側硬磁性部48aは界磁用磁石34,31と、それぞれ連続している。
界磁用磁石31〜34は硬磁性材に着磁して得ることができるので、内周側硬磁性突起31b〜34bや外周側硬磁性部45a〜48aと同じ硬磁性材を用いて界磁用磁石31〜34を形成することができる。
本実施の形態にかかる回転子106によれば、内周側硬磁性突起31b〜34bと外周側硬磁性部45a〜48aとの間で軟磁性材35〜38を保持することができる。保持する観点からは、内周側硬磁性突起31b〜34bはそれぞれ界磁用磁石31〜34について一対ずつ設けられることが効果的である。
第8の実施の形態.
図18は本発明の第8の実施の形態にかかる回転子101の構成を示す平面図である。図1に示された回転子101に対して、第2部分15〜18において、軟磁性材35〜38にそれぞれ穴51〜54が設けられている。
穴51〜54に例えばボルトやリベットなどの締結具を貫挿し、これらを用いて簡易かつ安価に、端板112(図5参照)を締結することができる。また第2部分15〜18が回転軸Q方向に複数の鋼板が積層されて形成される場合には、当該鋼板同士を締結することができる。
もし接着剤を用いて複数の鋼板同士を連結しようとすると、接着硬化時間を必要とし、電動機の使用環境、特に温度環境が制約される。しかし本実施の形態ではそのような問題は回避される。
もし第1部分11〜14に穴を設けてしまうと、これに貫挿する締結具に磁性体を用いたとしても、マグネットトルクに寄与するd軸磁束φa(図3)の流れを阻害する。これに対し、第2部分15〜18に穴51〜54を設けることにより、q軸磁束φb(図4)の流れを阻害することはあっても、d軸磁束φaの流れを阻害しにくい。
既述のように、第2部分15〜18は第1部分11〜14に対して、周方向において交互に設けられるので、その角度θwを増大させ易い。よって穴51〜54を設けるための面積に余裕があり、穴51〜54を大きくすることができる。また穴51〜54を設けても、q軸磁束φbの流れは阻害されるものの、ある程度は確保し易い。
望ましくは、穴51〜54は円形である。この場合、応力が集中する角がなく、また穴以外のリブとして機能する部分も太くできるので、所望の機械強度を得るために必要な穴51〜54の寸法が小さくなり、穴51〜54によるq軸磁束φbの阻害を小さくできる。
また第2部分15〜18においては、外周面101a及び内周面101bのいずれに向かっても磁性体が広がる形状が得られるので、内周側電機子200、外周側電機子300(図2参照)と第2部分15〜18との間でのq軸磁束φbを流れ易くする。
もちろん、上記磁束の阻害を低減するためには、穴51〜54に貫挿する締結具は、磁性材料を採用することが望ましい。
また、第2の実施の形態乃至第7の実施の形態に示された回転子102〜106の第2部分15〜18において、軟磁性材35〜38にそれぞれ穴51〜54を設けてもよいことはもちろんである。
第9の実施の形態.
図19は本発明の第9の実施の形態にかかる電動機の構成を例示する断面図である。図4に示された構成と比較して、内周側固定子200の歯部201の周方向の中心と、外周側固定子230の歯部301の周方向の中心とが、周方向についての相対的な位置がずれている。図14では機械角として30度ずれている場合が例示されており、電気角として60度のずれに相当する。なお、簡単のため、電機子巻線203,303は一部の歯部201.301に巻回されているもののみを描いている。
このような位置ずれは、電動機の使用前に、もしくは使用中において、機械的に行うことができる。例えば電動機の使用前にマニュアルで位置ずれを起こさせてもよいし、使用中にはサーボモータ等のアクチュエータで位置ずれを起こさせてもよい。このアクチュエータは、例えば図10に示された支持部204において設けることができる。
磁束Ψaは界磁用磁石32の外周側の磁極面(ここではN極)から発生する磁束を、磁束Ψbは磁石33の内周側の磁極面(ここではN極)から発生する磁束を、それぞれ示している。
磁束Ψaが界磁用磁石32の内周側の磁極面(ここではS極)へ向かうに際して、外周側固定子300のヨークまで歯部301を経由して電機子巻線303に鎖交する。しかし上記の位置ずれが生じているので、内周側固定子200の歯部201においては、電機子巻線203に鎖交することなく、その幅広部202を経由する経路が存在する。
同様にして、磁束Ψbが磁石33の外周側の磁極面(ここではS極)へ向かうに際して、内周側固定子200の歯部201を経由して電機子巻線203に鎖交するが、外周側固定子300の歯部301においては、電機子巻線303に鎖交することなく、その幅広部302を経由する経路が存在する。
これらの経路は実質的には界磁用磁石32,33の界磁を弱めることとなる。つまり上述の位置ずれは、実質的な弱め界磁制御である弱め磁束制御を機械的に実現している。このようにして、弱め磁束電流を流すことなく弱め磁束制御が実現でき、高出力領域での効率向上が達成できる。図19では電気角として60度に相当する位置ずれが示されており、弱め磁束を最大限利用している場合が例示されている。
この実施の形態によれば、弱め磁束電流による銅損の上昇や、負のd軸電流による界磁用磁石の減磁も発生しない。しかも相対的な位置関係の調整は巻線の巻回数の調整と比較すると微調整がし易いので、設定されるべき回転数が異なる電動機に共通して採用できる。
なお、弱め磁束制御の際には歯部の幅広部202,302の磁束密度が上昇するので、幅広部202,302での鉄損は上昇する。しかし幅広部202,302以外の歯部202,302を通過する磁束密度は減少するので、より長い磁路における鉄損を低減できることにより、電動機の総鉄損は低減する。
また弱め磁束制御を行う場合、誘起電圧の不均衡による環状電流による損失を誘発しない観点からは、図6に示されるよう直列結線の方が望ましい。
もちろん、第2の実施の形態乃至第7の実施の形態に示された回転子102〜106を本実施の形態に採用できるし、第8の実施の形態に示されたように、回転子に穴51〜54が設けられていてもよい。
このように、内外の電機子の相互の位置関係を調整することで弱め磁束制御を行うことは、特に電動機を小型化する場合に好適である。例えば特許文献7には方向性電磁鋼板の圧延方向による透磁率異方性を利用し、固定子に調整用のプラグを埋め込んでいる。しかしこれは固定子自体の磁束密度を損なってしまうため、電動機の小型化の観点からは望ましくない。
また本実施の形態にかかる電動機では、同一の電流を用いても回転数を微調整することが容易であるので、電動機が低圧で動作する使用である場合に好適である。低圧で動作する電動機では巻線の巻回数が小さくなるため、巻回数を変更して微調整を行うことは容易ではない。巻回数の変更は離散的な数値の制御であるからである。
もちろん、空気調和機の圧縮機や送風機に、本発明にかかる電動機を搭載し、圧縮や送風の効率を向上させることができる。よって当該圧縮機や送風機の少なくともいずれか一方を備えた空気調和機は、空調効率を高めることができる。
本発明の第1の実施の形態にかかる回転子の構成を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態における電動機の構成を例示する断面図である。 回転子にd軸磁束が流れる様子を概念的に示す図である。 回転子にq軸磁束が流れる様子を概念的に示す図である。 電動機の構成を示す断面図である。 電機子巻線が接続される態様を示す回路図である。 電機子巻線が接続される態様を示す回路図である。 電機子巻線が接続される態様を示す回路図である。 電機子巻線が接続される態様を示す回路図である。 本発明の第2の実施の形態にかかる回転子の構成を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態にかかる回転子の構成を示す断面図である。 本発明の第3の実施の形態にかかる回転子の構成を示す断面図である。 本発明の第3の実施の形態にかかる回転子の構成を示す断面図である。 本発明の第4の実施の形態にかかる回転子の構成を示す断面図である。 本発明の第5の実施の形態にかかる回転子の構成を示す断面図である。 本発明の第6の実施の形態にかかる回転子の構成を示す断面図である。 本発明の第7の実施の形態にかかる回転子の構成を示す断面図である。 本発明の第8の実施の形態にかかる構成を示す断面図である。 本発明の第9の実施の形態にかかる電動機の構成を示す断面図である。
符号の説明
11〜14 第1部分
15〜18 第2部分
101〜106 回転子
101a〜106a 外周面
101b〜106b 内周面
31〜34 界磁用磁石
35〜38 軟磁性材
31a〜34a 外周側硬磁性突起
31b〜34b 内周側硬磁性突起
35a〜38a 外周側軟磁性突起
35b〜38b 内周側軟磁性突起
41a〜44a 外周側軟磁性部
41b〜44b 内周側軟磁性部
45a〜48a 外周側硬磁性部
45b〜48b 内周側硬磁性部
101〜106 回転子
101a〜106a 外周面
101b〜106b 内周面
200 内周側電機子
300 外周側電機子
201,301 歯部

Claims (11)

  1. いずれも環状の外周面(101a,102a,103a,104a,105a,106a)及び内周面(101b,102b,103b,104b,105b,106b)を備え、
    周方向において交互に、第1部分(11〜14)及び第2部分(15〜18)とに区分され、
    前記第1部分の各々は、前記外周面側と前記内周面側とに相互に異なる磁極面を呈する界磁用磁石(31〜34)を有し、
    前記第2部分の各々は軟磁性材(35〜38)を有し、
    前記軟磁性材と前記界磁用磁石(31〜34)とが前記周方向において接触して設けられ、
    前記界磁用磁石(31〜34)は硬磁性材に着磁して得られ、
    前記第2部分の各々(15〜18)は、
    前記界磁用磁石と連続して前記軟磁性材の前記外周面(102a)側で前記周方向に延在して前記硬磁性材からなる外周側硬磁性部(45a〜48a)と、
    前記界磁用磁石と連続して前記軟磁性材の前記内周面(102b)側で前記周方向に延在する前記硬磁性材からなる内周側硬磁性部(45b〜48b)と
    を更に有する、回転子(102)。
  2. 前記軟磁性材(35)の前記界磁用磁石(31)との境界における厚さ(t352)は、他の位置における厚さ(t351)よりも薄い、請求項1記載の回転子(102)。
  3. いずれも環状の外周面(101a,102a,103a,104a,105a,106a)及び内周面(101b,102b,103b,104b,105b,106b)を備え、
    周方向において交互に、第1部分(11〜14)及び第2部分(15〜18)とに区分され、
    前記第1部分の各々は、前記外周面側と前記内周面側とに相互に異なる磁極面を呈する界磁用磁石(31〜34)を有し、
    前記第2部分の各々は軟磁性材(35〜38)を有し、
    前記軟磁性材と前記界磁用磁石(31〜34)とが前記周方向において接触して設けられ、
    前記界磁用磁石(31〜34)は硬磁性材に着磁して得られ、
    前記第2部分の各々(15〜18)は、
    前記界磁用磁石と連続して前記軟磁性材(35〜38)の前記内周面(105b)側で前記周方向に延在して前記硬磁性材からなる内周側硬磁性部(45b〜48b)と、
    前記界磁用磁石と連続して前記軟磁性材の前記外周面(105a)側で前記周方向に突出して前記硬磁性材からなる外周側硬磁性突起(31a〜34a)と
    を更に有する回転子(105)。
  4. いずれも環状の外周面(101a,102a,103a,104a,105a,106a)及び内周面(101b,102b,103b,104b,105b,106b)を備え、
    周方向において交互に、第1部分(11〜14)及び第2部分(15〜18)とに区分され、
    前記第1部分の各々は、前記外周面側と前記内周面側とに相互に異なる磁極面を呈する界磁用磁石(31〜34)を有し、
    前記第2部分の各々は軟磁性材(35〜38)を有し、
    前記軟磁性材と前記界磁用磁石(31〜34)とが前記周方向において接触して設けられ、
    前記界磁用磁石(31〜34)は硬磁性材に着磁して得られ、
    前記第2部分の各々(15〜18)は、
    前記界磁用磁石と連続して前記軟磁性材(35〜38)の前記外周面(106a)側で前記周方向に延在して前記硬磁性材からなる外周側硬磁性部(45a〜48a)と、
    前記界磁用磁石と連続して前記軟磁性材の前記内周面(106b)側で前記周方向に突出して前記硬磁性材からなる内周側硬磁性突起(31b〜34b)と
    を更に有する、回転子(106)。
  5. 前記第2部分(15〜18)の前記軟磁性材(35〜38)に穴(51〜54)を更に有する、請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の回転子(107)。
  6. 前記穴(51〜54)は円形である、請求項5記載の回転子(107)。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載の回転子(101〜107)と、
    前記回転子に対して前記内周面(101b)側に設けられた内周側固定子(200)と、
    前記回転子に対して前記外周面(101a)側に設けられた外周側固定子(300)と
    を備える電動機。
  8. 前記内周側固定子(200)が有する歯部(201)の前記周方向についての中心と、前記外周側固定子(300)が有する歯部(301)の前記周方向についての中心とは、前記周方向についての相対的な位置関係が可変である、請求項7記載の電動機。
  9. 請求項7又は請求項8のいずれか一つに記載の電動機を搭載したことを特徴とする圧縮機。
  10. 請求項7又は請求項8のいずれか一つに記載の電動機を搭載したことを特徴とする送風機。
  11. 請求項9記載の圧縮機又は請求項10記載の送風機の、少なくともいずれか一方を備えた空気調和機。
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