以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、1は眼鏡フレームFのレンズ枠形状やその型板或いは玉型モデル等から玉型形状情報である玉型形状データ(θi,ρi)を読み取るフレーム形状測定装置(玉型形状データ測定装置)、2はフレーム形状測定装置から送信等によって入力された眼鏡フレームの玉型形状データに基づいて生地レンズ等から眼鏡レンズ(被加工レンズ)を研削加工するレンズ研削加工装置(玉摺機)である。尚、フレーム形状測定装置1には周知のものを用いることができるので、その詳細な構成やデータ測定方法等の説明は省略する。
<レンズ研削加工装置2>
レンズ研削加工装置2の上部には、図1に示したように、装置本体3の前側に傾斜する上面(傾斜面)3aが設けられていると共に、上面3aの前部側(下部側)に開口する加工室4が形成されている。この加工室4は、斜め上下にスライド操作可能に装置本体3に取り付けられたカバー5で開閉される様になっている。
また、装置本体3の上面3aには、加工室4の側方に位置させた操作パネル6と、加工室4の上部開口より後部側に位置させた操作パネル7と、操作パネル7の下部側より後方に位置し且つ操作パネル6,7による操作状態を表示させる液晶表示器8が設けられている。
更に、装置本体3内には、図2(a),図3に示すように、加工室4を有する研削加工部10が設けられている。この加工室4は、研削加工部10に固定の周壁11内に形成されている。
この周壁11は、左右の側壁11a,11b、後壁11c、前壁11d及び底壁11eを有する。しかも、側壁11a,11bには、図2(a)及び図3に示したように円弧状のガイドスリット11a1,11b1が形成されている(図2(b)参照)。カバー5は、無色透明又は有色透明(例えば、グレー等の有色透明)の一枚のガラスや樹脂製のパネルから構成され、装置本体3の前後にスライドする。
<研削加工部10>
研削加工部10は、図3のように装置本体3に固定のトレイ12と、このトレイ12上に配置されたベース13と、トレイ12に固定されたベース駆動モータ(軸方向調整手段)14と、トレイ12から立ち上げられた支持部12aに先端が回転可能に支持されたベース駆動モータ14の出力軸(図示せず)に連動するネジ軸15とを備えている。
また、研削加工部10は、図2(a),図3に示したように眼鏡レンズMLの回転駆動系16と、眼鏡レンズMLの研削系17を備えている。なお、眼鏡レンズMLのコバ厚測定系(コバ厚測定手段)18は、後述する縁部加工装置(縁部加工手段)100に設けられている。この縁部加工装置100は、周縁がレンズ形状に加工された眼鏡レンズの縁部に後述するヤゲン加工や穴加工或いは溝掘加工等を行うために設けられる。また、図(a),図3に示したように、縁部加工装置100は、加工室4を形成する周壁11の外側であって、後壁4に隣接して配設されている。
(カバー5)
カバー5は、無色透明又は有色透明(例えば、グレー等の有色透明)の一枚のガラスや樹脂製のパネルから構成され、装置本体3の前後にスライドする。
<研削加工部10>
研削加工部10は、図3のように装置本体3に固定のトレイ12と、このトレイ12上に配置されたベース13と、トレイ12に固定されたベース駆動モータ(軸方向調整手段)14と、トレイ12から立ち上げられた支持部12aに先端が回転可能に支持されたベース駆動モータ14の出力軸(図示せず)に連動するネジ軸15とを備えている。
(ベース13)
このベース13は、トレイ12の後縁部に沿って左右に延びる後側支持部13aと、後側支持部13aの左端部から前側延びる側方側支持部13bから略V字状に形成されている。この後側支持部13aの左右両端部上にはVブロック状の軸支持部13c,13dが固定され、側方側支持部13bの前端部上にはVブロック状の軸支持部13eが固定されている。
また、装置本体3内には、図3に示したように左右に延び、且つ、前後に平行に並設された一対の平行ガイドバー19,20が配設されている。この平行ガイドバー19,20の左右両端部は装置本体3内の左右の部分に取り付けられている。
しかも、この平行ガイドバー19,20には、ベース13の側方側支持部13bが軸線方向に沿って左右に進退動可能に軸支されている。また、軸支持部13c,13d上のV溝部には左右に延びるキャリッジ旋回軸21の両端部が配設されている。
(キャリッジ22)
22はキャリッジ旋回軸21に取り付けられたキャリッジである。このキャリッジ22は、左右に間隔をおいて位置且つ前後に延びる軸取付用のアーム部22a,22bと、左右に延び且つアーム部22a,22bの後端部間を連設している連設部22cと、連設部22cの左右中央部に後方に向けて突設した支持突部22dから二股形状に形成されている。尚、アーム部22a,22b及び連設部22cはコ字状になっている。このアーム部22a,22b間に加工室4を形成する周壁11が配置されている。
そして、このキャリッジ旋回軸21は、支持突部22dを貫通し且つ支持突部22dに保持されていると共に、軸支持部13c,13dに対して回動自在になっている。これにより、キャリッジ22前端部側はキャリッジ旋回軸21を中心に上下回動できるようになっている。尚、キャリッジ旋回軸21は、軸支持部13c,13dに固定して、支持突部22dをキャリッジ旋回軸21に対して回動可能且つ軸線方向に移動不能に保持させても良い。
このキャリッジ22は、左右に延び且つ眼鏡レンズ(円形の未加工眼鏡レンズ、即ち円形の被加工レンズ)MLを同軸上で挟持する一対のレンズ軸(レンズ回転軸)23,24を備えている。レンズ軸23は、左右に向けてアーム部22aの先端部を貫通すると共に、アーム部22aの先端部に軸線回りに回転自在に且つ軸線方向に移動不能に保持されている。また、レンズ軸24は、左右に向けてアーム部22bの先端部を貫通すると共に、アーム部22bの先端部に軸線回りに回転自在に且つ軸線方向に移動調整可能に保持されている。この構造には周知の構造が採用されるので、その詳細な説明は省略する。
また、ベース13にはガイド部13fが一体に形成されていて、ガイド部13fにはネジ軸(送りネジ)15が螺着されている。そして、ベース駆動モータ14を作動させて、ベース駆動モータ14でネジ軸15を回転駆動することにより、ガイド部13fがネジ軸15の軸線方向に進退動され、ベース13がガイド部13fと一体に移動する様になっている。この際、ベース13が一対の平行ガイドバー19,20に案内されて軸線方向に沿って変位する。
(レンズ軸23,24のガイド)
上述した周壁11のガイドスリット11a1,11b1は、キャリッジ旋回軸21を中心に円弧状に形成されている。そして、ガイドスリット11a1、11b1には、キャリッジ22に保持させたレンズ軸23,24の互いに対向する端部が挿通されている。これによりレンズ軸23,24の対向端部は周壁11で囲まれた加工室4内に突出している。
また、図2(a)に示したように側壁部11aの内壁面には円弧状で断面ハット状のガイド板P1が取り付けられ、側壁部11bの内壁面には円弧状で断面ハット状のガイド板P2が取り付けられている。このガイド板P1,P2にはガイドスリット11a1,11b1に対応して円弧状に延びるガイドスリット11a2′,11b2′が形成されている。
そして、側壁部11aとガイド板P1との間にはガイドスリット11a1,11a2′を閉成するカバー板11a2が前後及び上下に移動可能に配設され、側壁部11bとガイド板P2との間にはガイドスリット11b1,11b2′を閉成するカバー板11b2が前後及び上下に移動可能に配設されている。また、レンズ軸23,24はカバー板11a2,11b2をそれぞれ摺動自在に貫通している。これによりカバー板11a2,11b2はレンズ軸23,24にそれぞれ軸線方向に相対移動可能に取り付けられている。
しかも、ガイド板P1にはガイドスリット11a1,11a2′の上下に位置してガイドスリット11a1,11a2′の上下縁に沿う円弧状のガイドレールGa,Gbが設けられ、ガイド板P2にはガイドスリット11b1,11b2′の上下に位置してガイドスリット11b1,11b2′の上下縁に沿う円弧状のガイドレールGc,Gdが設けられている。
そして、カバー板11a2はガイドレールGa,Gbに上下を案内されて円弧状に上下移動できる様になっており、カバー板11b2はガイドレールGc,Gdに上下を案内されて円弧状に上下移動できる様になっている。
また、キャリッジ22のレンズ軸23が円弧状のカバー板11a2を摺動自在に貫通して、レンズ軸23、側壁部11a1,ガイド板P1及びカバー板11a2の組み付け性を良くし、キャリッジ22のレンズ軸24が円弧状のカバー板11b2を摺動自在に貫通して、レンズ軸24、側壁部11b1,ガイド板P2及びカバー板11b2の組み付け性を良くしている。
また、カバー板11a2とレンズ軸23との間はシール部材Saを介してシールされていると共に、カバー板11a2はレンズ軸23にシール部材Sa,Saを介して保持されている。更に、カバー板11b2とレンズ軸24との間はシール部材Sbを介してシールされていると共に、カバー板11b2はレンズ軸24にシール部材Sb,Sbを介して軸線方向に相対移動可能に保持されている。これにより、レンズ軸23及び24がガイドスリット11a1,11a2′及び11b1,11b2′に沿って上下に円弧状に回動すると、カバー板11a2,11b2もレンズ軸23,24と一体に上下に移動できる。尚、シール部材Saは、カバー板11a2に保持させるか、周縁部をカバー板11a2と側壁部11aとの間及びカバー板11a2とガイド板P1との間に配設するかして、レンズ軸23が軸線方向に移動したとき、レンズ軸23の軸線方向に移動しないようにしても良い。また、同様にシール部材Sbは、カバー板11b2に保持させるか、周縁部をカバー板11b2と側壁部11bとの間及びカバー板11b2とガイド板P2との間に配設するかして、レンズ軸24が軸線方向に移動したとき、レンズ軸24の軸線方向に移動しないようにしても良い。
なお、側壁部11a1とガイド板P1は円弧状のカバー板11a2と密着するように接近しており、側壁部11b1とガイド板P2は円弧状のカバー板11b2は密着するように接近している。
さらに、加工室4の内のガイド板P1,P2は、後側壁11c及び下底壁11e2の近傍まで延設して、上下端がフィーラ41の側方及び研削砥石35の上近傍あたりで切れるようにすることにより、ガイド板P1,P2の上下端を加工室4内に開放して、研削液が側壁部11a1,11b1の内面に沿って流れるようにすることにより、側壁部11a1とガイド板P1との間及び側壁部11b1とガイド板P2との間に研削液が溜まることがないようになっている。
そして、キャリッジ22がキャリッジ旋回軸21を中心に上下回動して、レンズ軸23,24がガイドスリット11a1,11b1に沿って上下動したとき、カバー板11a2,11b2もレンズ軸23,24と一体に上下動して、ガイドスリット11a1,11b1がカバー板11a2,11b2で常時閉成された状態となっていて、周壁11内の研削液等が周壁11の外側に漏れないようになっている。尚、このレンズ軸23,24の上下動に伴い、眼鏡レンズMLが研削砥石35に対して接近・離反する。
尚、眼鏡レンズMLの生地レンズ等のレンズ軸23,24への装着時並びに研削加工終了後の離脱時には、レンズ軸23,24がガイド溝11aの中間位置に位置するように、キャリッジ22が上下方向の回動中心に位置させられるようになっている。また、キャリッジ22は、コバ厚測定時及び研削加工時に眼鏡レンズMLの研削加工量に応じて上下回動制御されて傾斜させられる。
(レンズ軸23,24の回転駆動系16)
レンズ軸23,24の回転駆動系16は、キャリッジ22に図示を省略した固定手段で固定されたレンズ軸駆動用モータ25と、キャリッジ22に回転自在に保持され且つレンズ軸駆動用モータ25の出力軸に連動する動力伝達軸(駆動軸)25aと、動力伝達軸25aの先端に設けられた駆動ギヤ26と、駆動ギヤ26に噛合し且つ一方のレンズ軸23に取り付けられた従動ギヤ26aを有する。図4では、駆動ギヤ26にウオームギヤを用い、従動ギヤ26aにウオームホイールを用いている。尚、駆動ギヤ26、従動ギヤ26aにはベベルギヤ(傘歯車)を用いることができる。
更に、回転駆動系16は、一方のレンズ軸23の外端部(レンズ軸24側とは反対側の端部)に固定されたプーリ27と、キャリッジ22に設けられた動力伝達機構28と、他方のレンズ軸24の外端部(レンズ軸23側とは反対側の端部)に回転自在に保持されたプーリ29とを備えている。このプーリ29は、レンズ軸24に対して軸線方向に相対移動可能に設けられていると共に、レンズ軸24が軸線方向に移動調整されたときに、軸線方向の位置が変化しないようにキャリッジ22に設けた図示しない移動規制部材等で移動規制されるようになっている。
動力伝達機構28は、伝達プーリ28a,28bと、伝達プーリ28a,28bが両端部に固定された伝達軸(動力伝達軸)28cを有する。この伝達軸28cは、レンズ軸23,24と平行に配設されていると共に、図示しない軸受でキャリッジ22に回転自在に保持されている。また、動力伝達機構28は、プーリ27と伝達プーリ28aとの間に掛け渡された駆動側ベルト28dと、プーリ29と伝達プーリ28bとの間に掛け渡された従動側ベルト28eとを備えている。
レンズ軸駆動用モータ25を作動させて動力伝達軸25aを回転させると、動力伝達軸25aの回転が駆動ギヤ26及び従動ギヤ26aを介してレンズ軸23に伝達されて、レンズ軸23及びプーリ27が一体に回転駆動される。一方、プーリ27の回転は、駆動側ベルト28d,伝達プーリ28a,伝達軸28c,伝達プーリ28b及び従動側ベルト28eを介してプーリ29に伝達され、プーリ29及びレンズ軸24が一体に回転駆動される。この際、レンズ軸24及びレンズ軸23はと同期して一体的に回転する様になっている。
(研削系17)
研削系17は、トレイ12に固定された砥石駆動モータ30と、砥石駆動モータ30の駆動がベルト31を介して伝達される伝達軸32と、伝達軸32の回転が伝達される砥石軸部33と、砥石軸部33に固定された研削砥石35を有する。尚、この研削砥石35は、符号を省略した粗研削砥石、ヤゲン砥石、仕上砥石等を有する。この粗研削砥石、ヤゲン砥石、仕上砥石は、軸線方向に並設されている。
また、研削系17は、図7に示したように周壁11の外側面に取り付けられたモータ取付用のケース200を有する。尚、図3では、このケース200の図示を説明の便宜上省略している。更に、研削系17は、図7に示したようにケース200内で底壁201に固定された回動アーム駆動モータ36と、この出力軸に固定されたウォームギヤ36aと、周壁11に回転自在に保持された筒軸状のウオーム37と、ウオーム37に一体的に固着された中空の回動アーム38と、図2(a),図7のように回動アーム38の自由端部に一端部が回転自在に保持され且つこの自由端部から右方に向けて突出する回転軸39と、図2(a),図3,図7の様に回転軸39に固定された周縁加工砥石40とを備えている。
更に、研削系17は、図7に示したように出力軸39bが筒状のウオーム軸39a内に挿通された駆動モータ39aと、回動アーム38内に配設されて駆動モータ39aの出力軸39bの回転を回転軸39に伝達する動力伝達機構202を有する。この動力伝達機構202は、回動アーム38内において出力軸39bの端部に取り付けられたタイミングプーリ203と、回動アーム38内において回転軸39の端部に取り付けられたタイミングプーリ204と、タイミングプーリ203,204に掛け渡されたタイミングベルト205を有する。
周縁加工砥石40は、図2(a),図3に示したように眼鏡レンズMLの周縁部に面取加工を施す面取砥石40a,40bと、面取砥石40aに隣接して回転軸39に取り付けられた溝掘カッター40cを有する。また、回動アーム38には、図2(a)中、右方に延び円弧状カバー38aが取り付けられている。この円弧状カバー38aは、面取砥石40a,40b及び溝掘カッター40cの下方を覆っている。
<圧力調整機構45>
また、図5に示したようにキャリッジ22のキャリッジ旋回軸21の近傍には、眼鏡レンズMLの研削砥石35への圧接量を調整する圧力調整機構45が設けられている。
圧力調整機構45は、図6に示すように、ネジ46によってキャリッジ22に固定されるブラケット47と、ブラケット47に固定された移動子変位用モータ48と、移動子変位用モータ48の図示しない出力軸に連動するネジ軸48aと、ネジ軸48aに螺着された移動子50を有する(図5参照)。しかも、ネジ軸48aの先端部はブラケット47に回転自在に保持され、移動子50はネジ軸48aと平行なガイドレール49で軸線方向に案内される様になっている。
更に、圧力調整機構45は、ベース13に回転可能に保持された3つのプーリ51,52,53と、移動子50とスプリング54とに両端が保持された引っ張り紐55を有する。この引っ張り紐55は、スプリング54の引っ張り力によってガイドレール49と略直交する方向から移動子50を引っ張るようにプーリ51,52,53に方向転換されている。尚、スプリング54の他端はベース13に固定されている。
圧力調整機構45は、移動子50のガイドレール49上の位置によってキャリッジ旋回軸21からの距離が可変し、その位置に応じてスプリング54の引っ張り力によるキャリッジ22の先端側における付勢力、即ち、レンズ軸23,24に挟持された眼鏡レンズMLの研削砥石35への付勢圧力が変化することを利用したものである。尚、ネジ軸48aとガイドレール49とはレンズ軸23とキャリッジ旋回軸21とに略直交する。
従って、眼鏡レンズMLの研削砥石35への接触状態を、その加圧方向からのずれ、眼鏡レンズMLの形状の変化による接触面積の違い、レンズ度数よるコバ幅違い等の加工条件の変化に応じて移動子50のガイドレール49上の位置を変位させることで、スプリング54の引っ張り力が略同一であるにもかかわらず、単位面積当たりの接触力を調整することができる。
尚、上述したように、キャリッジ22が眼鏡レンズMLの研削加工量に応じて中間位置から傾斜していることから、その傾斜側に圧力調整機構45が位置することは勿論である。また、キャリッジ22が傾斜している状態にあることから、移動子50を単なる重りとし、プーリ51,52,53、スプリング54、引っ張り紐55を廃止しても、キャリッジ22の先端側での付勢力に相当する作用力を変化させることが可能であることから、移動子50のガイドレール49上の位置に応じて眼鏡レンズMLの研削砥石35への当接圧力を調整することも可能である。
<軸間距離調整手段43>
ところで、図5に示すように、レンズ軸23,24と砥石軸部33との間は、加工室4の側方に配設した軸間距離制御手段としての軸間距離調整手段(軸間距離調整機構)43によって調整される様になっている。
軸間距離調整手段43は、軸線が砥石軸部33と同一軸線上に位置する回転軸34を有する。この回転軸34は図4の支持突部13eのV溝上に回転自在に支持される。
また、軸間距離調整手段43は、回転軸34に保持させたベース盤56と、ベース盤56に取り付けられ且つ上面から斜め上方に延びる一対の平行なガイドレール57,57と、ガイドレール57と平行且つ回動可能にベース盤56に設けられたスクリュー軸(送りネジ)58と、ベース盤56の下面に設けられてスクリュー軸58を回転させるパルスモータ59と、スクリュー軸58が螺着され且つガイドレール57,57に上下動自在に保持された受台60を有する(図4では他の部分の図示の便宜上図示省略)。
更に、軸間距離調整手段43は、受台60の上方に配設され且つガイドレール57,57に上下動自在に保持されたレンズ軸ホルダー61と、ガイドレール57,57の上端を保持し且つスクリュー軸58の上端部を回転自在に保持する補強部材62を備えている。このレンズ軸ホルダー61は、キャリッジ22の自重と圧力調整機構45のスプリング54のバネ力により、常時下方に回動付勢されて受台60に押し付けられるようになっている。
また、軸間距離調整手段43は、レンズ軸ホルダ61の側部に取り付けられたフォトセンサ(仕上センサ)210と、受台60の上面取り付けられた遮光板211と、受台60の一端面に取り付けた遮光板212を有する。
遮光板211はフォトセンサ210の発光部(図示せず)から発光する光を常時遮光するようになっている。なお、レンズ回転軸23,24と回転軸34とを結ぶ直線はガイドレール57,57と平行になっている。
他方、レンズ軸ホルダー61の下降が停止した際に、受台60がレンズ軸ホルダー61に対して少し下降すると、遮光板211による遮光が解除されてフォトセンサ210の受光部(図示せず)が発光部の光を受光するようになっている。この遮蔽により被加工レンズLが仕上加工されたことを検知するものである。
また、ベース盤56の側部と補強部材62側部には支持板213が取り付けられており、この支持板213にはX方向の原点を検出するフォトセンサからなる原点センサ214が取り付けられている。被加工レンズLが所定位置(X方向の原点位置)に下降されたとき、遮光板212が原点センサ214の発光部の光を遮光するようになっており、この遮光によりレンズ回転軸23,24の原点を検知するものである。
補強部材62にはパルスモータ59用の原点センサ(フォトセンサ)215が設けられており、この原点センサ215はスクリュー軸58の上端に設けた円板216の切欠217を検出するものであり、この切欠217の検出を基準にしてパルスモータ59のパルス数をカウントするものである。この円板216がパルスモータ59により回転させられた後、一番最初に切欠217が原点センサ215の遮光を開放したとき(原点センサ215が発光部(図示せず)の光を検知したとき)、そのときをパルスモータ59のパルスの原点とし、パルス数をカウントするものである。
ところで、受台60は、回転軸34の中心(研削砥石35の回転中心)とレンズ回転軸23,24の中心とを結ぶ直線上に沿って上下動することになる。レンズ軸ホルダー61は、レンズ回転軸24の一端と回転自在に係合しており、レンズ軸ホルダー61がガイドレール57,57に沿って上下動(進退)することにより、キャリッジ22の前端部及びレンズ回転軸23,24がキャリッジ旋回軸21を中心に上下に旋回するようになっている。
<縁部加工装置100>
この縁部加工装置100は、図9,図10に示したように、トレイ12上に取り付けられたフレーム101を有する。このフレーム101は、ベース部材102と、上下に延び且つベース部材102の上面の両側部前側に下端部が固定された側板103,103と、側板103,103の上面の両側部後側に下端部が固定され且つ上端部が側板103,103の外面に固定された補強板104,104と、側板103,103の上端及び補強板104,104の上端に両端部が固定された上支持板105、及び上支持板105の一端部に設けた板状のアーム部材106を有する。
このアーム部材106は、上支持板105の一端部から前側に突出させた水平板部106aと、水平板部106aの前端から下方に向けて延びる縦板部106bからL字状に形成されている。そして、この縦板部106bに眼鏡レンズMLのコバ厚測定系(コバ厚測定手段、コバ厚測定装置)18が取り付けられている。
このコバ厚測定系18は、縦板部106bに固定された測定部18aと、この測定部18aに回転可能且つ軸線方向に移動可能に保持された測定軸18bと、測定軸18bに設けられた一対のフィーラ(測定子)18c,18dを有する。
そして、フィーラ18cを眼鏡レンズの前側屈折面に図示しないバネの付勢力で当接させ、又はフィーラ18dを眼鏡レンズの前側屈折面に図示しないバネの付勢力で当接させて、眼鏡レンズMLが保持されたレンズ軸23,24を回転させることにより、レンズ軸23,24(又は眼鏡レンズML)の回転角θiに対する測定軸18bの軸線方向への移動位置を求めて、この移動位置からフィーラ18c,18dの眼鏡レンズMLへの当接位置から眼鏡レンズMLの回転角θiに対応する厚さを測定できるようになっている。
従って、ヤゲン溝形状や玉型形状等のレンズ形状情報即ち玉型形状データ(θi,ρi)に基づいて、キャリッジ22を軸間距離調整手段43により上下動させながら、レンズ軸23,24の回転角θiによって軸線から半径方向に変化する距離(動径ρi)の位置にフィーラ18c又は18dを上述のように当接させ、回転角θiに対応する動径ρiのコバ厚を求めることができるようになっている。この構成には周知の構成を採用できるので、詳細な構成の図示は省略する。
また、縁部加工装置100は、上下に向けて延び且つ上下端部がベース部材101と上支持板105に固定されたガイド軸(ガイド部材)107と、ベース部材101上に固定されたパルスモータ等の駆動モータ108と、駆動モータ108の出力軸(図示せず)と一体の上下に延びる送りネジ109を有する。この送りネジ109は、ガイド軸107と平行に設けられ、上端部が上支持板105に回転自在に保持されている。
更に、縁部加工装置100は、ガイド軸107に上下動可能に保持され、且つ送りネジ109で昇降駆動される昇降台110と、上下に向けて延び且つ上端部が昇降台110を貫通して上方に突出する筒軸111と、筒軸111の下端部に取り付けられた工具ホルダ112と、工具ホルダ112の側面に間隔をおいて回転自在に取り付けられたヤゲン加工砥石113,穴開け或いは溝掘に用いる穴開けスピンドル(穴開けドリル、エンドミル)114を有する。
尚、駆動モータ108及び送りネジ109は、昇降台110,工具ホルダ112や、ヤゲン加工砥石113,穴開けスピンドル114等の回転加工手段の昇降のための駆動手段を構成している。
尚、筒軸111は、軸線周りに回転可能に上端部が昇降台107に保持されている。このヤゲン加工砥石113と穴開けスピンドル114は、所定間隔(例えば5cm程度)間隔を開けて取りつけられるので、加工済み眼鏡レンズMLへの穴あけ加工中に誤って小径のヤゲン砥石113が加工済み眼鏡レンズMLに接触したり、ヤゲン加工中に誤って穴あけ加工用の穴開けスピンドル114が加工済み眼鏡レンズMLに接触することはない。また、小径のヤゲン砥石と穴あけ加工ドリルの配置は上述に限定されず、水平に並置する以外に、鉛直方向に上下に並べてもよい。
また、縁部加工装置100は、筒軸111と工具ホルダ112の筒軸111の軸線周りに回転させるホルダ回動機構115と、ヤゲン加工砥石113及び穴開けスピンドル114を回転駆動する工具回転駆動機構116を有する。
ホルダ回動機構115は、筒軸111の上端部外周に設けたリングギヤ117と、昇降台110内に取り付けられたパルスモータ等の第1駆動モータ118と、第1駆動モータ118の出力軸に固定され且つリングギヤ117に噛合する駆動ギヤ119を有する。
この第1駆動モータ118により駆動ギヤ119を回転駆動させると、この駆動ギヤ119の回転により筒軸111及び工具ホルダ112が筒軸111の軸線周りに回転させられて、ヤゲン加工砥石113及び穴開けスピンドル114の向きや位置を変えることができる。この際、ヤゲン加工砥石113及び穴開けスピンドル114は、軸線が図10から明らかなようにレンズ軸23,24の軸線又はこの軸線と平行な線に対して平行な状態から垂直な状態までの間で回動するようになっている。
また、工具回転駆動機構116は、筒軸111の上端部に一体に設けられ且つ昇降台110の上面に移動可能に支持された取付板(モータ支持台)120と、取付板120上に固定された第2駆動モータ121と、駆動モータ121の出力軸121aに取り付けられた第1プーリ122と、この第1プーリ122に掛け渡されたベルト123を有する。このベルト123は、筒軸111内の空間を介して工具ホルダ112内まで配設され、工具ホルダ112内の図示しない第2プーリに掛け渡されている。しかも、この第2プーリ(図示せず)は図示を省略したギヤ等によりヤゲン加工砥石113及び穴開けスピンドル114に連動している。
そして、第2駆動モータ121により第1プーリ122を回転駆動すると、この回転がベルト123及び工具ホルダ112内の第2プーリ(図示せず)とギヤ(図示せず)を介してヤゲン加工砥石113及び穴開けスピンドル114に伝達され、ヤゲン加工砥石113及び穴開けスピンドル114が回転駆動されるようになっている。
尚、図11(a)に示したようにヤゲン加工砥石113は、軸部113aと、この軸部113aと一体の平砥石部113b、及び平砥石部113bに連設された先細り状のテーパ砥石部113cと、先端面113dの中央に突設された溝掘用のエンドミル113eを有する。
また、図11(b)に示したように穴開けスピンドル114は、軸部114aと、軸部114aの先端に連設された小径のドリル部114bを有する。
(ヤゲン加工砥石113及び穴開けスピンドル114で加工される眼鏡レンズの保持具)
また、図12〜図15は、ヤゲン加工砥石113及び穴開けスピンドル114で加工される眼鏡レンズのレンズホルダ(レンズ保持具)124を有する。
このレンズホルダ124は、長方形状のレンズ配設枠(ホルダ本体、レンズ保持枠)125と、ホルダ本体125長壁部125aに一体に設けられた角柱状の突部126と、この突部126の互いに反対側の面に一体に設けられた筒部127,128を有する。この筒部127,128は、長壁部125aに沿うように設けられ且つ長壁部125aより更に突出するような長さに形成されている。
また、長壁部125aに対向する長壁部125bには、レンズ配設枠125内の空間に開口する軸嵌合穴129が形成され、軸嵌合穴129には位置決突部130が形成されている。この位置決突部130は、レンズ吸着治具131の軸部131aに設けた位置決溝131bに係合するようになっている。このレンズ吸着治具131は、軸部131aと一体の両面テープ又はゴム製の吸着カップ等のレンズ保持部132を有する。そして、通常は、眼鏡レンズMLの前側屈折面faがレンズ保持部132に接着或いは吸着固定される。
また、突部126には軸嵌合穴129と同軸の貫通孔133が形成され、貫通孔133にはレンズ配設枠125内に突出する押圧保持軸134が配設され、押圧保持軸134の先端部には眼鏡レンズMLの後側屈折面fbに当接する弾性部材135が保持されている。
尚、押圧保持軸134は、これに設けたキー溝134aと、レンズ配設枠125側のキー136により軸線周りに回転しないようになっている。また、貫通孔133には、押圧保持軸134を軸嵌合穴129に対して進退動調整する調整ネジ137が螺着されている。
(制御回路)
上述の操作パネル6,7(即ち、操作パネル6,7の各スイッチ)は、図16に示したように、CPUを有する演算制御回路(演算制御手段)80に接続されている。また、この演算制御回路80には、記憶手段としてのROM81、記憶手段としてのデータメモリ82、RAM83が接続されていると共に、補正値メモリ84が接続されている。しかも、フォトセンサ210及び原点センサ214,215からの検出信号が演算制御回路80に入力されるようになっている。
更に、演算制御回路80には、表示用ドライバ85を介して液晶表示器8が接続されていると共に、パルスモータドライバ(パルスモータ駆動回路)86が接続されている。このパルスモータドライバ86は、演算制御回路80により作動制御されて、研削加工部10の各種駆動モータ、即ち、ベース駆動モータ14,レンズ軸駆動用モータ25,回動アーム駆動モータ36,移動子変位用モータ48及びパルスモータ59等を作動制御(駆動制御)するようになっている。尚、ベース駆動モータ14,レンズ軸駆動用モータ25,回動アーム駆動モータ36,移動子変位用モータ48等にはパルスモータが用いられる。
更に、演算制御回路80には、モータドライバ(モータ駆動回路)86aを介して砥石駆動モータ30が接続され、モータドライバ(モータ駆動回路)86bを介して砥石駆動モータ39aが接続されていると共に、第1,第2駆動モータ118,121が接続されている。
更に、演算制御回路80には、通信ポート88を介して図1のフレーム形状測定装置1が接続され、フレーム形状測定装置(玉型形状測定装置)1からのフレーム形状データ,レンズ形状データ等の玉型形状データが入力されるようになっている。
しかも、演算制御回路80には、測定部18aからの移動量検出信号が入力されるようになっている。この演算制御回路80は、ベース駆動モータ14の駆動パルスやフレーム形状測定装置1からの玉型形状データ(θi,ρi)に基づいて作動制御されるレンズ軸駆動用モータ25,パルスモータ59等の駆動パルスと、測定部18aからの移動量検出信号等から、玉型形状データ(θi,ρi)における眼鏡レンズMLの前側屈折面fa(図4中、眼鏡レンズの左側の面)の座標位置と後側屈折面fb(図4中、眼鏡レンズの右側の面)の座標位置をそれぞれ求めて、この求めた玉型形状データ(θi,ρi)における眼鏡レンズMLの前側屈折面の座標位置と後側屈折面の座標位置からコバ厚Wiを演算により求めるようになっている。
そして、演算制御回路80は、加工制御開始後に、フレーム形状測定装置1からのデータ読み込みや、データメモリ82の記憶領域m1〜m8に記憶されたデータの読み込みがある場合には、図17に示すように、時分割による加工制御とデータの読み込みやレイアウト設定の制御を行う様になっている。
即ち、時間t1,t2間の期間をT1、時間t2,t3間の期間をT2、時間t3,t4間の期間をT3、・・・、時間tn−1,tn間の期間をTnとすると、期間T1,T3…Tnの間で囲う制御が行われ、データの読み込みやレイアウト設定の制御を期間T2,T4…Tn−1の間に行う。従って、被加工レンズの研削加工中に、次の複数の玉型形状データの読み込み記憶や、データの読み出しとレイアウト設定(調整)等を行うことができ、データ処理の作業効率を格段に向上させることができるようになっている。
また、上述のROM81にはレンズ研削加工装置2の動作制御のための種々のプログラムが記憶され、データメモリ82には複数のデータ記憶領域が設けられている。また、RAM83には、現在加工中の加工データを記憶する加工データ記憶領域83a、新たなデータを記憶する新データ記憶領域83b、フレームデータや加工済みデータ等を記憶するデータ記憶領域83cが設けられている。
尚、データメモリ82には、読み書き可能なFEEPROM(フラッシュEEPROM)を用いることもできるし、メインの電源がオフされても内容が消えないようにしたバックアップ電源使用のRAMを用いることもできる。
次に、上述した演算制御回路100の機能を作用と共に説明する。
(1).レンズ形状情報(玉型形状データ)
(i).メガネレンズ形状データの要求
スタート待機状態からメイン電源がオンされると、演算制御回路80はフレーム形状測定装置(フレームリーダ)1からレンズ形状情報(玉型形状データ)の読み込み要求があるか否かを判断する。
即ち、演算制御回路80は、操作パネル6の『データ要求』スイッチ7cが押されたか否かが判断される。そして、『データ要求』スイッチ7cが押されてデータ要求があれば、フレーム形状測定装置1から玉型形状データ(θi,ρi)をRAM83のデータ読み込み領域83bに読み込む。この読み込まれたデータは、データメモリ82の記憶領域m1〜m8のいずれかに記憶(記録)されると共に、レイアウト画面が液晶表示器8に表示される。ここで、玉型形状データ(θi,ρi)の[i」は、i=0,1,2,3・・・qとなる。
(ii)レンズ形状情報に対応するコバ厚の算出
玉型形状データ(θi,ρi)に基づく位置の眼鏡レンズMLのコバ厚を求めるには、先ず測定部18のフィーラ18c,18dが前側を向くように、測定軸18bを図示しない駆動モータにより回動させておく。
しかも、演算制御回路80は、図4のベース駆動モータ14を作動制御して、キャリッジ22のレンズ軸23,24及び眼鏡レンズMLを図10Cに矢印A2で示したように一体に左右動させ、眼鏡レンズMLがフィーラ18c,18d間の中央部下方に位置するようにする。
この後、演算制御回路80は、パルスモータ59を駆動制御してキャリッジ22のアーム部22a,22bの自由端部をキャリッジ旋回軸21を中心に上方に旋回させて、レンズ軸23,24を円弧状のガイドスリット11a1,11b1に沿って上方に移動させて、眼鏡レンズMLをフィーラ18c,18d間に移動させる。
また、演算制御回路80は、レンズ形状情報(θi,ρi)に基づいて、パルスモータ59をさらに駆動制御して、レンズ軸23,24及び眼鏡レンズMLを上下に微動制御させると共に、図4のベース駆動モータ14を作動制御して、キャリッジ22のレンズ軸23,24及び眼鏡レンズMLを一体に軸線方向(左右方向)に移動させることにより、フィーラ18c又は18dの一方を眼鏡レンズMLの前側屈折面fa又は後側屈折面fbに当接させる。
次に、演算制御回路80は、フィーラ18cが眼鏡レンズ(被加工レンズ)MLの前側屈折面に当接(接触)させた状態で、玉型形状データ(θi,ρi)に基づいてレンズ軸駆動用モータ25及びパルスモータ59を作動制御することにより、フィーラ18cと眼鏡レンズMLの前側屈折面とを玉型形状データ(θi,ρi)に基づいて相対的に接触移動させる。この際、フィーラ18cは前側屈折面の湾曲に従って左右に移動させられ、この左右への移動量が測定軸42aを介して測定部18aにより測定される。この測定部18aからの測定信号は演算制御回路80に入力され、演算制御回路80は測定部18aからの測定信号に基づいて玉型形状データ(θi,ρi)における眼鏡レンズMLの前側屈折面の座標位置を求める。
同様に演算制御回路80は、フィーラ18dを眼鏡レンズ(被加工レンズ)MLの前側屈折面に当接(接触)させた状態で、玉型形状データ(θi,ρi)に基づいてレンズ軸駆動用モータ25及びパルスモータ59を作動制御することにより、フィーラ18dと眼鏡レンズMLの後側屈折面とを玉型形状データ(θi,ρi)に基づいて相対的に接触移動させる。この際、フィーラ18cは後側屈折面の湾曲に従って左右に移動させられ、この左右への移動量が測定軸42aを介して測定部18aにより測定される。この測定部18aからの測定信号は演算制御回路80に入力され、演算制御回路80は測定部18aからの測定信号に基づいて玉型形状データ(θi,ρi)における眼鏡レンズMLの後側屈折面の座標位置を求める。
この様な前側屈折面の座標位置や後側屈折面の座標位置を求めるより具体的な方法は、特願2001−30279号に開示のものが採用できるので、その詳細な説明は省略する。
そして、この求めた玉型形状データ(θi,ρi)における眼鏡レンズMLの前側屈折面の座標位置と後側屈折面の座標位置からコバ厚Wiを演算により求める。
この後、演算制御回路80は、眼鏡レンズの処方箋に基づく瞳孔間距離PDやフレーム幾何学中心間距離FPD等のデータ、上寄せ量等から、玉型形状データ(θi,ρi)に対応する眼鏡レンズMLの加工データ(θi′,ρi′)を求めて、加工データ記憶領域83aに記憶させる。
(iii)レンズ周縁研削加工
そして、演算制御回路80は、加工データ(θi′,ρi′)に基づいてパルスモータ59を正転又は逆転駆動制御して、レンズ軸23,24と砥石軸部33との軸間距離を調整して、レンズ軸23,24間に保持(挟持)された眼鏡レンズMLの周縁を研削砥石35の平砥石(符号省略)により眼鏡(メガネ)の玉型形状に研削加工する。
この後、玉型形状に研削加工された眼鏡レンズMLの周縁に研削砥石35の符号を省略したヤゲン砥石(V溝砥石)でヤゲン加工をするか、玉型形状に研削加工された眼鏡レンズMLの周縁に溝掘カッター40cで溝掘加工を施し、眼鏡レンズMLの周縁にワイヤ配設用の溝を形成する。このようなヤゲン加工や溝掘加工の方法については従来周知の方法を用いることができるので、その詳細な説明は省略する。
尚、研削砥石35の符号を省略したヤゲン砥石(V溝砥石)や、面取砥石40a,40b及び溝掘カッター40cを有する周縁加工砥石40及びその駆動系等の構成を省略しても良い。この場合には、縁部加工装置100を用いて、玉型形状に研削加工された眼鏡レンズMLの周縁にヤゲン加工や溝掘加工を施すことができる。以下、この縁部加工装置100によるヤゲン加工や溝掘加工について説明する。尚、この際、測定部18のフィーラ18c,18dが上方を向くように、測定軸18bを図示しない駆動モータにより回動させておく。
(iV)レンズホルダ124を用いた場合の縁部加工装置100による眼鏡レンズMLへの穴開け加工
図1の加工室の裏側には上述したように縁部加工装置100が設けられている。
この縁部加工装置100には、小径のヤゲン加工砥石113とリムレスフレーム用の穴あけ加工用の穴開けスピンドル114を有する。そして、ヤゲン加工砥石113と穴開けスピンドル114が設けられた工具ホルダ112は駆動モータ108により正転・逆転駆動される送りネジ109により昇降駆動されるようになっていると共に、第1駆動モータ118により水平回動させられるようになっている。
従って、縁部加工装置100により眼鏡レンズMLの縁部に穴開け加工する場合は、先ず玉型形状に研削加工された眼鏡レンズMLをレンズホルダ124に上述したように保持させ(図15参照)ると共に、レンズ軸24をレンズ軸23に対して離反させて、このレンズ軸23,24を開き、このレンズ軸23,24間にレンズホルダ124を配設して後、レンズ軸23の外周にレンズホルダ124の筒部127を嵌合させる。
この後、このレンズ軸24をレンズ軸23側に移動させて、レンズ軸23をレンズホルダ124の筒部128に嵌合させ、レンズ軸23,24でレンズホルダ124の突部126を挟持させる。
そして、演算制御回路80は、パルスモータ59を駆動制御してキャリッジ22のアーム部22a,22bの自由端部をキャリッジ旋回軸21を中心に上方に旋回させて、レンズ軸23,24を円弧状のガイドスリット11a1,11b1に沿って上方に移動させて、眼鏡レンズMLを図9のアーム部材106の下方に移動させる。しかも、演算制御回路80は、図4のベース駆動モータ14を作動制御して、キャリッジ22のレンズ軸23,24及び眼鏡レンズMLを図10Cに矢印A2で示したように一体に左右動させる。
一方、図16の演算制御回路80は、レンズ軸駆動モータ25を作動制御して、図10に矢印A4で示したようにレンズ軸23,24を軸線回りに回動させて、レンズホルダ124に保持させた眼鏡レンズMLの前側屈折面faを図10Aのように工具ホルダ112側に向けると共に、駆動モータ108を作動制御して、この駆動モータ108で正転・逆転駆動される送りネジ109により昇降台107を図10に矢印A3で示したように上下動させて、昇降台107の筒軸111の下端に取り付けられた工具ホルダ112を上下動させる。
このような制御により、工具ホルダ112とレンズホルダ124とを互いに近接して対応する位置まで移動させる。
しかも、演算制御回路80は、第1駆動モータ118を微動制御して、駆動ギヤ119を回転微動調整させ、この駆動ギヤ119の回転により筒軸111及び工具ホルダ112を筒軸111の軸線周りに矢印A5で示したように水平微回動させ、ヤゲン加工砥石113及び穴開けスピンドル114の向きを図10のようにレンズホルダ124側に向ける。
ところで、このような演算制御回路80による制御は連続して行われる。しかも、演算制御回路80は、図10A(a)のように眼鏡レンズMLの前側屈折面fbの周縁部の穴開け加工したい位置P1、又は図10A(b)のように眼鏡レンズMLの前側屈折面fbの周縁部の穴開け加工したい位置P2に垂直に穴あけを行うために、位置P1又はP2の接線に対して垂直になるように、上述した工具ホルダ112とレンズホルダ124とが近接して対応する位置において、ベース駆動モータ14,レンズ軸駆動モータ25,駆動モータ108,第1駆動モータ118等の回転量を制御する。
尚、このような制御は、予め分かっている眼鏡レンズMLの加工データ(θi′,ρi′)とレンズホルダ124寸法等とから演算制御回路80によって求められる。
この後、演算制御回路80は、第2駆動モータ121を制御して、第1プーリ122を回転駆動させ、この回転をベルト123及び工具ホルダ112内の第2プーリ(図示せず)とギヤ(図示せず)を介してヤゲン加工砥石113及び穴開けスピンドル114に伝達させ、ヤゲン加工砥石113及び穴開けスピンドル114を回転駆動させる。この場合、主には駆動モータ59の制御で加工送りをするが、この移動が円弧状の運動であるため、レンズ面の傾斜が同時に発生するが、このレンズ面傾斜をレンズ軸駆動モータ25の回転により相殺する。
これにより図10B(a)〜(c)に示したように眼鏡レンズMLの穴開け加工したい位置P1又はP2にネジ挿通孔(ネジ取付穴)140,141を開ける。
また、演算制御回路80は、上述したモータ14,59,25,108,118等を制御しながら、眼鏡レンズMLの周縁に図10Bに示したような切欠デザイン142を形成することもできる。
(V)縁部加工装置100による眼鏡レンズMLへの溝掘加工
この溝掘加工に際しては、玉型形状に周縁が加工された眼鏡レンズMLの周縁部に穴開けスピンドル114により溝掘加工を施す。この場合には、玉型形状に周縁が加工された眼鏡レンズMLを図19に示したようにレンズ軸23,24間に保持させておく。
そして、演算制御回路80は、パルスモータ59を駆動制御してキャリッジ22のアーム部22a,22bの自由端部をキャリッジ旋回軸21を中心に上方に旋回させて、レンズ軸23,24を円弧状のガイドスリット11a1,11b1に沿って上方に移動させて、眼鏡レンズMLを図9のアーム部材106の下方に移動させる。しかも、演算制御回路80は、この移動位置でパルスモータ59をさらに駆動制御して、レンズ軸23,24及び眼鏡レンズMLをさらに図19(e)の矢印A1のように上下に微動制御させると共に、図4のベース駆動モータ14を作動制御して、キャリッジ22のレンズ軸23,24及び眼鏡レンズMLを図19(e)に矢印A2で示したように一体に左右動させる。
一方、図16の演算制御回路80は、駆動モータ108を作動制御して、この駆動モータ108で正転・逆転駆動される送りネジ109により昇降台107を図10に矢印A3で示したように上下動させて、昇降台107の筒軸111の下端に取り付けられた工具ホルダ112を上下動させる。
このような制御により、工具ホルダ112と眼鏡レンズMLとを互いに近接して対応する位置まで移動させる。これに伴い、図16の演算制御回路80は、レンズ軸駆動モータ25を作動制御して、図19に矢印A4で示したようにレンズ軸23,24を軸線回りに回動させる。
ところで、このような演算制御回路80による制御は連続して行われる。しかも、演算制御回路80は、図19(a)ないし(d)のように眼鏡レンズMLの周面に開口するワイヤ溝150等の溝掘加工を行うために、上述した工具ホルダ112の穴開けスピンドル114,又はヤゲン加工砥石113の先端が眼鏡レンズMLの周面対向するよう、ベース駆動モータ14,パルスモータ59,レンズ軸駆動モータ25,第1駆動モータ118等の回転量を制御する。
尚、このような制御は、予め分かっている眼鏡レンズMLの加工データ(θi′,ρi′)と穴開けスピンドル114の位置から演算制御回路80によって求められる。
この後、演算制御回路80は、第2駆動モータ121を制御して、第1プーリ122を回転駆動させ、この回転をベルト123及び工具ホルダ112内の第2プーリ(図示せず)とギヤ(図示せず)を介してヤゲン加工砥石113及び穴開けスピンドル114に伝達させ、ヤゲン加工砥石113及び穴開けスピンドル114を回転駆動させる。レンズ軸23,24を回転させて、穴開けスピンドル114を眼鏡レンズMLの周面の溝掘加工したい位置に押し付けて、眼鏡レンズMLの周面の所定範囲に回転する穴開けスピンドル114で所定深さの溝掘加工を実行させる。常に初期位置に移動制御するのと同じ制御を各ポイントに対して順次実行することで結果的に連続した溝が形成される。
これにより図18(a)〜(d)に示したように眼鏡レンズMLの周縁部に周面に開口するワイヤ溝150が形成される。
(Vi)縁部加工装置100による眼鏡レンズMLへのヤゲン加工
このヤゲン加工に際しては、玉型形状に周縁が加工された眼鏡レンズMLの周縁部にヤゲン加工砥石113によりヤゲン加工を施す。この場合には、玉型形状に周縁が加工された眼鏡レンズMLを図20(d)に示したようにレンズ軸23,24間に保持させておく。
そして、演算制御回路80は、パルスモータ59を駆動制御してキャリッジ22のアーム部22a,22bの自由端部をキャリッジ旋回軸21を中心に上方に旋回させて、レンズ軸23,24を円弧状のガイドスリット11a1,11b1に沿って上方に移動させて、眼鏡レンズMLを図9のアーム部材106の下方に移動させる。しかも、演算制御回路80は、この移動位置でパルスモータ59をさらに駆動制御して、レンズ軸23,24及び眼鏡レンズMLをさらに図20(d)の矢印A1のように上下に微動制御させると共に、図4のベース駆動モータ14を作動制御して、キャリッジ22のレンズ軸23,24及び眼鏡レンズMLを図20(d)に矢印A2で示したように一体に左右動させる。
一方、図16の演算制御回路80は、駆動モータ108を作動制御して、この駆動モータ108で正転・逆転駆動される送りネジ109により昇降台107を図10に矢印A3で示したように上下動させて、昇降台107の筒軸111の下端に取り付けられた工具ホルダ112を上下動させる。
このような制御により、工具ホルダ112と眼鏡レンズMLとを互いに近接して対応する位置まで移動させる。これに伴い、図16の演算制御回路80は、レンズ軸駆動モータ25を作動制御して、図20(d)に矢印A4で示したようにレンズ軸23,24を軸線回りに回動させる。
ところで、このような演算制御回路80による制御は連続して行われる。しかも、演算制御回路80は、図20(a)ないし(c)のように眼鏡レンズMLの周面に開口するヤゲン加工を行うために、上述した工具ホルダ112のヤゲン砥石113のテーパ砥石部113cが眼鏡レンズMLのコバ端(周縁)の角部に対向するよう、ベース駆動モータ14,パルスモータ59,レンズ軸駆動モータ25,駆動モータ108,第1駆動モータ118等の回転量を制御する。
尚、このような制御は、予め分かっている眼鏡レンズMLの加工データ(θi′,ρi′)とヤゲン砥石113の位置から演算制御回路80によって求められる。
この後、演算制御回路80は、第2駆動モータ121を制御して、第1プーリ122を回転駆動させ、この回転をベルト123及び工具ホルダ112内の第2プーリ(図示せず)とギヤ(図示せず)を介してヤゲン加工砥石113及び穴開けスピンドル114に伝達させ、ヤゲン加工砥石113及び穴開けスピンドル114を回転駆動させる。この状態で、レンズ軸23,24を矢印A2のように左右動させてヤゲン砥石113のテーパ砥石部113cを眼鏡レンズMLのコバ端の角部に押し付けると共に、レンズ軸23,24を回転させて、眼鏡レンズMLの周縁部にヤゲン砥石113のテーパ砥石部113cでヤゲン加工を実行させる。
これにより図20(a)〜(c)に示したように眼鏡レンズMLの周縁部にヤゲン151が形成される。
(Vii)縁部加工装置100による眼鏡レンズMLの面取加工
この面取加工に際しては、(V)のようにレンズホルダ124を用いないで、玉型形状に周縁が加工された眼鏡レンズMLの周縁部のコバ端の角部にヤゲン加工砥石113により面取加工を施す。この場合には、玉型形状に周縁が加工された眼鏡レンズMLを図21(b)に示したようにレンズ軸23,24間に保持させておく。
しかも、この面取加工に際しては、(Vii)と略同様ベース駆動モータ14,パルスモータ59,レンズ軸駆動モータ25,駆動モータ108,第1駆動モータ118等の回転量を制御する。この制御は、ヤゲン砥石113の平砥石部113bが眼鏡レンズMLの周縁部のコバ端の角部に傾斜して対向するように実行させる。尚、このような制御は、予め分かっている眼鏡レンズMLの加工データ(θi′,ρi′)とヤゲン砥石113の位置から演算制御回路80によって求められる。
そして、演算制御回路80は、第2駆動モータ121を制御して、第1プーリ122を回転駆動させ、この回転をベルト123及び工具ホルダ112内の第2プーリ(図示せず)とギヤ(図示せず)を介してヤゲン加工砥石113及び穴開けスピンドル114に伝達させ、ヤゲン加工砥石113及び穴開けスピンドル114を回転駆動させる。この状態で、レンズ軸23,24を図21(b)の矢印A2のように左右動させて、ヤゲン砥石1013の平砥石部113bを眼鏡レンズMLのコバ端の角部に図21(a),(b)のように押し付けると共に、レンズ軸23,24を回転させて、眼鏡レンズMLの周縁部にヤゲン砥石113の平砥石部113bで面取加工を実行させる。この制御も、眼鏡レンズMLの加工データ(θi′,ρi′)と予め設定される面取量(コバ厚により異なる量)とから実行される。この面取量は、コバ厚が厚くなるほど多くなる。
(Viii)具体的な制御式
(i)穴開け加工
上述した縁部加工装置100による眼鏡レンズMLの穴開け加工,ヤゲン加工,周面加工,面取加工等のより具体的な制御式について説明する。
先ず、図23〜図26に示したように眼鏡レンズMLのレンズ表面(前側屈折面fa)又は裏面(後側屈折面fb)からの穴加工制御について説明する。
穴中心をフレームボクシング中心座標で(X,Y)または曲座標(R,θ)とし、
レンズ前面カーブ(屈折率1.523基準)をCとすると、
穴の高さ位置Zを頂点基準で表わすと、Z=R−((523/C)2−R2)0.5
穴のXZ平面に沿った傾斜角ξは
ξ=Asin(X・C/523)
と表わせる。
図23,図24に示したように眼鏡レンズMLのレンズ表面(前側屈折面fa)からの穴加工制御について説明する。
先ず、レンズ回転軸の回転中心を基準とする座標系を考えると、レンズを穴明けのための特別ホルダーにセットした状態でレンズ表面はレンズ固定ブロック外径(例えばφ20)位置で固定される。
また、レンズ回転軸の回転中心からレンズ頂点までの距離をMとすると、穴傾斜角(ξ)がある場合に穴傾斜角(ξ)に沿ってツール(穴開けスピンドル114)が移動する必要性がある。
このため、穴傾斜角に沿わせた場合のレンズ軸中心から穴中心までの距離(ZZ)は、
ZZ=(X+(M+Z)・tan(ξ))・cos(ξ)
ZZ=(x2+(M+Z)2)0.5・cos(Atan((M+Z)
/X)−ξ)
となる。また、レンズ軸中心からレンズ表面までの距離(XX)は
XX=ZZ・tan(Atan((M+Z)/X)−ξ)
XX=(x2+(M+Z)2)0.5・sin(Atan((M+Z)/X)−ξ)
のように表せる。
また、穴位置が異なる場合について検討する。
全く同じ関係が成立する。
ZZ=(X+(M+Z)・tan(ξ))・cos(ξ)
ZZ=(x2+(M+Z)2)0.5・cos(Atan((M+Z)/X)−ξ)
XX=ZZ・tan(Atan((M+Z)/X)−ξ)
XX=(x2+(M+Z)2)0.5・sin(Atan((M+Z)/X)−ξ)
また、図25,図26に示したようにレンズ裏面(後側屈折面fb)側からの加工を想定すると、レンズ内部での頂点からの穴位置はZで表しているため表・裏面に関わらず、同じに表現される。
これは、レンズカーブを用いて表現すればZを別にあらわすことができる。また中心厚(t)が異なる。
しかし、中心厚(t)が0となるときが、表面と考えれば全く同じ考え方が適用できる。
この場合、レンズ軸中心から穴中心までの距離(ZZ)は、
ZZ=(X+(M+Z+t)・tan(ξ))・cos(ξ)
ZZ=(x2+(M+Z+t)2)0.5・cos(Atan((M+Z+t)/X)−ξ)
XX=ZZ・(Atan((M+Z+t)/X)−ξ)
XX=(x2+(M+Z+t)2)0.5・sin(Atan((M+Z+t)/X)−ξ)
となる。
また、図27において用いられる各記号を、
「η:砥石回転軸と揺動軸で出来る水平面からの垂直ツールのZ駆動の
移動方向倒れ角(穴空け加工のレンズ軸の基準位置となるときの揺動角)
Xtool:ツール先端位置
Xpr :加工開始時のレンズ表面からの距離
Xhole:穴空け貫通距離
Ab :砥石軸中心、揺動軸中心間距離
R :揺動半径
L :X駆動制御距離(砥石軸中心、レンズ軸中心間距離)」として、孔明け(孔開け)を説明する。
即ち、図27に示すように、穴明け基準位置に対して加工スタート時のXX方向での位置ずれ量は、
XXstart=−XX+Xtool−Xpr
となる。
また、穴明け基準位置に対して穴貫通距離(Xhole)移動後のXX方向での位置ずれ量は、
XXend=−XX+Xtool+Xhole
となる。
更に、XX方向の移動量をX駆動制御量に変換するには、
XX=R・sin(θ)
θ=Asin(XX/R)
Lstart2=R2+Ab2−2・R・Ab・cos(η+θstart)
Lend2=R2+Ab2−2・R・Ab・cos(η+θend)
X=Lend−Lstart
とするようになっている。
この場合、レンズ回転軸は、揺動角θ分だけ基準が回転するので同一角度θだけ補正する必要があり、この場合揺動半径Rは、
R=θ
となる。
そして、Z制御は、穴明け基準位置にあるとき最も離れた位置となり、XX方向移動分だけ補正が必要となる。従って、加工スタートポイントでのZ制御は、穴位置から求まるZZを用いて、加工スタート時のZstart及び加工終了時のZendを
Zstart=ZZ+R・(1−cos(θstart))
Zend=ZZ+R・(1−cos(θend))
とする。
また、レンズ加工部(垂直ツール)によるヤゲン加工制御を図28,図28を用いて説明する。
ここで、図28において、
「ρPk: ρPeekヤゲン頂点位置のフレーム形状
ρSld: ρSholderヤゲン肩位置のフレーム形状
(ρPkに対してBevH分の帯巻き変換後のρ)」とする。また、図29において、
「Xtool: ツール基準位置に対する先端位置
Xbvst: レンズ軸が基準位置にあるときのツール基準位置までの
基準距離(25mm)
R: 揺動半径
Ab: 砥石軸と揺動軸との距離
X: X駆動制御量
η: レンズ軸が基準位置にあるときの揺動角」とする。
先ず、図29において、水平座標Xが基準位置(ボクシング基準)にある時の関係から余弦定理を適用して、水平座標Xは、
X2=R2+Ab2−2・R・Ab・cos(η)
となり、基準位置からのツールまでの正対距離XXは
XX=Xbvst+Xtool−L
=Xbvst+Xtool−ρ・cos(θ)
となる。
一方、その距離を移動するためのX制御は円弧運動のため
XX=R・sin(ξ)
ξ=Asin(XX/R)
となり、これらの関係から図の加工スタートポイントのX制御量は、
Xstart2=R2+Ab2−2・R・Ab・Cos(η+ξ)
Xstart=(R2+Ab2−2・R・Ab・Cos(η+ξ))0.5
となる。
また、Z方向の制御量は加工角θによるずれと揺動によるずれ補正の和となるので、Z方向加工スタートZstartは、
Zstart=ρ・Cos(θ)+R・(1‐Cos(ξ))
となる。
また、レンズ軸回転制御はレンズ軸基準位置でツールに正対する方向を基準に、この方向からのずれ量としてξとなるので、レンズ軸回転の加工スタートRstartは、
Rstart=(π/2−η)−ξ
となる。
(ii)ヤゲン加工
また、図30〜図32によりレンズ加工部(垂直ツール即ちヤゲン砥石113)によるヤゲン制御を説明する。図30において、
「BevC: ヤゲンカーブ
BevH: ヤゲン高さ
BevW: ヤゲン幅(片幅)
ToolR: 刃物半径(ヤゲン肩の部分までの半径)」とする。
この図30において、ヤケ゛ンカーフ゛によるヤケ゛ン作成ホ゜イントでの面傾斜角を求める。また、加工ポイント前後のポイントを利用してツール移動方向へのポイント間距離とツール移動方向に直交するツール面内でのポイント間距離とを求めて、そのtanとして角度を求める。即ち、Z方向の距離DstncZ及びボクシングにおけるY方向距離DstncYは、
DstncZ=ρSld(+1)・Sin(θ+Δθ)−ρSld(-1)・Sin(θ-Δθ)
DstncY=((523/BevC)2−ρSld(-1)2)0.5−((523/BevC)2−ρSld(+1)2)0.5
となる。従って、これらより求められるヤゲン砥石113の制御量τは、
τ=Atan(DstncY/DstncZ)
となる。また、この際、Z制御量への変化量は、
Zhnk=(ToolR+BevW)・Sin(τ)
となり、Y制御量への変化量は
Yhnk=(ToolR+BevW)・Cos(τ)
となる。
また、図31において、
「ρPk: ρPeek平仕上頂点位置のフレーム形状」
とすると、距離L及びZは、
L=ρPk・Cos(θ)
Z=ρPk・Sin(θ)とすなる。
また、図32において、
「Xtool: ツール基準位置に対する先端位置
Xbvst: レンズ軸が基準位置にあるときのツール基準位置までの
基準距離(25mm)
R: 揺動半径
Ab: 砥石軸と揺動軸との距離
X: X駆動制御量
η: レンズ軸が基準位置にあるときの揺動角
XX: レンズがヤゲン加工される位置までのツールとの正対距離
ξ: XX移動による揺動角度」とする。
Xが基準位置にある時の関係から余弦定理を適用して、Xは
X2=R2+Ab2−2・R・Ab・Cos(η)
として求められる。また、基準位置からのツールまでの正対距離XXは
XX=Xbvst+Xtool−L+GrvD
=Xbvst+Xtool−ρPk・Cos(θ)+GrvD
となる。一方、その距離を移動するためのX制御は円弧運動のため、XX及びξは、
XX=R・Sin(ξ)
ξ=Asin(XX/R)
となる。これらの関係から図の加工スタートポイントのX制御量は、
Xstart2=R2+Ab2−2・R・Ab・Cos(η+ξ)
Xstart=(R2+Ab2−2・R・Ab・Cos(η+ξ))0.5
となる。また、Z方向の制御量は、加工角θによるずれと揺動によるずれ補正の和となる。即ち、Z方向の制御量Zstartは、
Zstart=ρ・Cos(θ)+R・(1‐Cos(ξ))
となる。また、レンス゛軸回転制御はレンス゛軸基準位置でツールに正対する方向を基準に考えると、この方向からのずれ量はξとなるので、レンス゛軸の回転制御量Rstartは、
Rstart=(π/2−η)−ξ
となる。
(iii)溝掘加工
また、図33において、
「GrvC: 溝カーフ゛
GrvD: 溝深さ
GrvW: 溝幅
ToolR: 刃物半径」
として、周面に開口するワイヤ溝をヤゲン砥石113のエンドミル113eにより眼鏡レンズMLの周面(コバ面)加工する場合を説明する。この場合、先ず溝カーブによる溝作成ポイントでの周方向への面傾斜角を求める。
この際、加工ポイント前後のポイントを利用して、エンドミル113eが設けられたヤゲン砥石(ツール)113のツール移動方向へのポイント間距離と、ツール移動方向に直交するツール面内でのポイント間距離とを求めて、
そのtanとして角度を求める。この場合、Z方向距離DstncZおよびボクシングにおけるY方向距離DstncY、ヤゲン砥石113の制御量τは、
DstncZ=ρSld(+1)・Sin(θ+Δθ)−ρSld(-1)・Sin(θ-Δθ)
DstncY=((523/BevC)2−ρSld(-1)2)0.5−
((523/BevC)2−ρSld(+1)2)0.5
τ=Atan(DstncY/DstncZ)
となる。
また、Z制御量への変化量(溝幅がツール直径より広い時)は、
Zhnk=(GrvW/2-ToolR)・Sin(τ)
となり、Y制御量への変化量(溝幅がツール直径より広い時)は
Yhnk=(GrvW/2-ToolR)・Cos(τ)
となる。
(iV)面取加工
また、図34によりレンズ加工部(垂直ツール、即ちヤゲン砥石113)による面取り加工制御を説明する。ここで、図34において、
「ρPk: ρPeek平仕上頂点位置のフレーム形状
L=ρPk・Cos(θ)
Z=ρPk・Sin(θ)
ToolR: ツールの半径(ヤケ゛ン制御では先端半径としたが、ツール側面までの半径
とする。)
ToolCh: 面取り加工をするときのレンス゛面側の切削面高さ
(ツール先端からの高さ)
ChmfW: 面取り幅
ChmfAgFr: 面取り面の傾斜角度(前面) 鉛直からの開き角度
(SGでは47°)
ChmfAGBk: 面取り面の傾斜角度(後面) 鉛直からの開き角度
(SG:33°SGII:43°)
ChmfD: 面取り幅の半径方向への切りこみ高さ
ChmfXX: 面取り形状基準からツール先端中心までのXX方向距離
ChmfYY: 面取り形状基準からツール先端中心までのYY方向距離 」とする。
そして、図34において、ChmfXX及びChmfYYは、
ChmfYY=ToolR・Cos(ChmfAgFr)+ToolCh・Sin(ChmfAgFr)
ChmfXX=ToolR・Sin(ChmfAgFr)-TollCh・Cos(ChmfAgFr)
となる。
また、図35において、
「TlBsXX: ツールのXY平面上での回転制御中心のツール先端中心からの距離
(XX方向)
TlBsYY: ツールのXY平面上での回転制御中心のツール先端中心からの距離
(YY方向)
ChmfAgFr: 面取り面の傾斜角度(前面) 鉛直からの開き角度
(SGでは47°)
ChmfAGBk: 面取り面の傾斜角度(後面) 鉛直からの開き角度
(SG:33°SGII:43°)
ToolXX: 基準位置のツール先端中心から回転後ツール先端中心までのXX方向距離
ToolYY: 基準位置のツール先端中心から回転後ツール先端中心までのYY方向距離」
とすると、ToolXX及びToolYYは、
ToolXX=TlBsXX・(1-Cos(ChmfAgFr))-TlBsYY・Sin(ChmfAgFr)
ToolYY=TlBsXX・Sin(ChmfAgFr)-TlBsYY・(1-Cos(ChmfAgFr))
となる。
更に、図36における各記号を、
「Xtool: ツール基準位置に対する先端位置
Xbvst: レンズ軸が基準位置にあるときのツール基準位置までの基準距離(25 mm)
R: 揺動半径
Ab: 砥石軸と揺動軸との距離
X: X駆動制御量
η: レンス゛軸が基準位置にあるときの揺動角
XX: レンズがヤゲン工される位置までのツールとの正対距離
ξ: XX移動による揺動角度」として、ヤゲン加工を説明する。
図36において、Xが基準位置にある時の関係から余弦定理を適用して、Xは、
X2=R2+Ab2−2・R・Ab・Cos(η)
となる。また、基準位置からのツールまでの正対距離XXは
XX=Xbvst+Xtool−L+ChmfD+ChmfXX+ToolXX
=Xbvst+Xtool−ρPk・Cos(θ)+ChmfD+ChmfXX+ToolXX
となる。一方、その距離を移動するためのX制御は円弧運動のため、XX及びξは、
XX=R・Sin(ξ)
ξ=Asin(XX/R)
となる。これらの関係から図の加工スタートポイントのX制御量は、
Xstart2=R2+Ab2−2・R・Ab・Cos(η+ξ)
Xstart=(R2+Ab2−2・R・Ab・Cos(η+ξ))0.5
となる。また、Z方向の制御量は、加工角θによるずれと揺動によるずれ補正の和となる。この際の、Z方向の制御量は、
Zstart=ρPk・Cos(θ)+R・(1‐Cos(ξ))
となる。更に、レンズ軸回転制御はレンス゛軸基準位置でツールに正対する方向を基準に、この方向からのずれ量がξとなるので、レンズ軸の回転制御量は、
Rstart=(π/2-η)-ξ
となる。また、Y方向の制御量Yhnkは、レンズ前面または後面の計測から求められる座標に対して、ToolYY,ChmfYYを加えて補正した、
Yhnk=ToolYY+ChmfYY
となる。
<レンス゛表面又は裏面からの穴加工制御の捕捉説明>
レンズホルダ124を用いた場合の穴開け加工を説明する。
図23に示した眼鏡レンズMLをレンズ光軸にほぼ垂直な平面に投影した場合において、眼鏡レンズMLのフレーム形状の水平方向をX、鉛直方向をYとしたとき、ネジ挿通孔(ネジ取付穴)140の穴位置は座標(X,Y)で表せる。また、この座標(X,Y)は極座標(R,θ)で表すことができる。
そして、眼鏡レンズMLは、図23(b)で示される様にレンズ回転軸23(24)に対して図23(a)の鉛直方向Yが平行となるようにセットされる。しかも、眼鏡レンズMLに図23(a)のネジ挿通孔(ネジ取付穴)140を開ける図23(b)の穴開けスピンドル(穴開けドリル、エンドミル)114の傾斜角ξは、
ξ=ASIN(X・C/523)
で表すことが出来る。ここで、上式のCはレンズの前面カーブ値であり、上式の数値523は一般硝子レンズの屈折率(1.523)を基準と考える場合の曲率半径への換算値である。
また、穴開けスピンドル(加工エンドミル)114で眼鏡レンズMLのレンズ前面の穴空け位置にネジ挿通孔(ネジ取付穴)140を開けるためには、穴開けスピンドル(加工エンドミル)114の先端を眼鏡レンズMLのレンズ前面の穴空け位置で正対させる必要がある。
このためには、先ず眼鏡レンズMLの鉛直方向Yが鉛直になるように眼鏡レンズMLをレンズ回転軸23(24)と一体に回転させて、この回転位置から更に眼鏡レンズMLをレンズ回転軸23(24)と一体に傾斜角ξだけ回転させる。しかも、穴開けスピンドル(加工エンドミル)114の軸線114aがレンズ回転軸23(24)の中心(軸線)Xaから距離ZZだけ離れた位置で、穴開けスピンドル(加工エンドミル)114の先端を眼鏡レンズMLのレンズ前面の穴空け位置に臨ませる。そして、穴開けスピンドル(加工エンドミル)114をレンズ回転軸23(24)中心から距離XXだけ切りこみ方向に近づけて、穴開けスピンドル(加工エンドミル)114の先端が眼鏡レンズMLの穴開け位置に接触させる。
ここで、レンズ頂点Lbとレンズ回転軸中心からの距離をM、即ちレンズ回転軸23(24)の中心Xaから眼鏡レンズMLの光軸Oと直交し且つ前面(前側屈折面fa)に接する前面側接線(鉛直方向Yの線)Laまでの距離をMとする。また、レンズ頂点から穴空け位置までの高さをZ、即ち前面側接線Laから穴開け位置Daまでの距離をZとする。更に、レンズ回転軸23(24)の中心Xaから光軸Oと平行な方向(図23(b)では左右方向)における眼鏡レンズMLの穴開け位置Daまでの距離をXとする。
これらの距離M,X,Zを用いると距離ZZは、
ZZ={X+(M+Z)・TAN(ξ)}・COS(ξ)
となる。この距離ZZを用いると、図23(b)においてレンズ回転軸23(24)の中心Xaから光軸Oに沿う方向の穴開け位置Daまでの距離XXは、
XX=ZZ*TAN[ATAN{(M+Z)/X}-ξ]
と表せる。従って、穴開けスピンドル(加工エンドミル)114で眼鏡レンズMLのレンズ前面の穴空け位置にネジ挿通孔(ネジ取付穴)140を開けるためには、距離ZZ、XXの位置関係に穴開けスピンドル(加工エンドミル)114とレンズとを配置する。
この関係は、図24で示す通り、図23(b)の穴位置(穴開け位置Da)がレンズ回転軸23(24)に対して反対側、即ち図23(a)のネジ挿通孔(ネジ取付穴)141とは反対側のネジ挿通孔(ネジ取付穴)141を開ける場合でも同じ関係がある。
また、レンズ裏面(後側屈折面fb)からの穴開け加工となった場合には、レンズ取付基準であるレンズ表面(前側屈折面fa)に対してレンズ中心厚さtが加わることと、穴の傾斜角ξを求める時のレンズのカーブを表すCはレンズ裏面(後側屈折面fb)のカーブを用いる必要が生じるが、以下の関係が成り立つ。これを示すのが図25、26である。この場合には、距離ZZ,XXは、
ZZ={X+(M+Z+t)・Tan(ξ)}・Cos(ξ)
XX=ZZ・Tan[Atan{(M+Z+t)/X}-ξ]
となる。
また、図24のレンズホルダー124に眼鏡レンズMLが固定された状態で、眼鏡レンズMLを加工する場合に、図27で示される配置にレンズ回転軸23,24と眼鏡レンズMLとが位置された状態を基準状態とする。
この際、レンズ回転軸23,24は、図4のキャリッジ22の揺動軸(キャリッジ旋回軸21)と通常加工用砥石(図3の研削砥石35)の回転スピンドルとで作られる平面に対して傾斜角ηを持った位置にある。
また、眼鏡レンズMLの表面(前側屈折面fa)は図4のキャリッジ22の傾斜と平行に位置する状態になるようにレンズ回転軸23,24にて回転された状態とする。
このとき、図4のキャリッジ22が図27の傾斜角ηにおけるように傾斜したとき、穴開けスピンドル(穴空け加工用エンドミル)114は傾斜角ηに直交する方向に平行な位置となっている。
既に説明されている通り、穴開けスピンドル(穴空け加工用エンドミル)114は図10Dの駆動モータ108によってキャリッジ22の傾斜している方向(傾斜角η)に沿って移動制御可能に構成されている。
実際の制御では、レンズ回転軸23,24の回転制御(レンズ軸駆動モータ25の駆動制御)をし、キャリッジ22の揺動を制御するX駆動モータ(図27ではLで示される距離を制御する図3,図5のパルスモータ59)の駆動制御をすると共に、穴開けスピンドル(穴空け加工用エンドミル)114の移動を図10Dの駆動モータ108を制御することで、図27で示される平面上の制御が出来る。
また、穴開け加工の開始前には、眼鏡レンズMLのレンズ面(前側屈折面fa)への穴空け位置の法線方向において穴開けスピンドル(穴空け加工用エンドミル)114が穴開け位置に正対させる。
ここで、穴開けスピンドル(穴空け加工用エンドミル)114による穴の切込み深さをHdptとし、レンズ回転軸23,24とキャリッジ揺動軸(図4のキャリッジ旋回軸21)で出来る平面Z1から穴開けスピンドル(穴空け加工用エンドミル)114の先端までの距離をXtoolとし、レンズ回転軸23,24とキャリッジ揺動軸(図4のキャリッジ旋回軸21)を結ぶ方向(矢印Z2で示した方向)へのレンズ回転軸23,24の移動距離をZZZとし、レンズ回転軸23,24の中心を通り且つ平面Z1と直交する平面をX1とし、穴開けスピンドル(穴空け加工用エンドミル)114の軸線と平行な方向(矢印X2で示した方向)へのレンズ回転軸23,24の移動距離をXXXとし、レンズ回転軸23,24の中心からキャリッジ揺動軸(図4のキャリッジ旋回軸21)までの距離をRswgとし、レンズ回転軸23,24の回転角をRRRとするとき、レンズ回転軸23,24の状態を表す関係式、即ち移動距離XXX,ZZZ及び回転角RRRは、
XXX=-XX‐Hdpt+Xtool
ZZZ=ZZ+Rswg・[1-Cos(θ)]
YYY=Y
RRR=ξ-θ
となる。ここでθは、レンズ回転軸23,24のX2方向への移動により決まり、
TAN(θ)=XXX/Rswg
となる。
また、レンズ回転軸23,24はX2方向には直接的には駆動できないため、図27上の砥石回転中心からレンズ回転軸23,24の中心までの距離Lをハ゜ルスモータ59で可変制御する。距離Lと移動距離XXXとの関係は
L2=Rswg2+Ab2−2・Rswg・Ab・Cos[η+ATAN(XXX/Rswg)]
となる。
以上説明したように、この発明の実施の形態のレンズ研削加工装置は、眼鏡レンズMLをその光軸とほぼ近似する方向で挟持するための挟持軸(レンズ軸23,24)と、その挟持された状態で眼鏡レンズMLをその挟持軸(レンズ軸23,24)中心周りに回転制御する手段と、眼鏡レンズMLを挟持する軸(レンズ軸23,24)とは直交する軸周りに回転可能に保持された回転切削又は研削手段(ヤゲン砥石113,穴開けスピンドル114)を有する。また、レンズ研削加工装置は、眼鏡レンズMLの挟持軸(レンズ軸23,24)に沿って回転切削又は研削手段(ヤゲン砥石113,エンドミル113e,穴開けスピンドル114)との相対的位置関係を移動するための第1の位置制御手段(演算制御回路80の機能の一部)を有する。更に、レンズ研削加工装置は、回転切削又は研削手段(ヤゲン砥石113,エンドミル113e,穴開けスピンドル114)の回転軸に沿って眼鏡レンズの挟持軸(レンズ軸23,24)との相対的位置関係を移動するための第2の位置制御手段(演算制御回路80の機能の一部)を有する。また、レンズ研削加工装置は、前記2種類の位置制御手段(演算制御回路80の機能の一部)の移動ML方向によって形成される平面に対してほぼ直交する方向に眼鏡レンズの挟持軸(レンズ軸23,24)と回転切削又は研削手段(ヤゲン砥石113,エンドミル113e,穴開けスピンドル114)との相対的位置関係を移動するための第3の位置制御手段(演算制御回路80の機能の一部)を有する。
この構成によれば、玉型形状眼鏡レンズの大きさや周縁形状にかかわらず加工干渉を回避することが容易となる。
また、この発明の実施の形態のレンズ研削加工装置は、前記相対的位置移動のための位置制御手段(演算制御回路80の機能の一部)のいずれか1つ又は複数が、軸方向の直線運動とほぼ軸方向に沿う円弧運動にて構成されている。
この構成によれば、玉型形状眼鏡レンズの大きさや周縁形状にかかわらず加工干渉を回避することが容易となる。
更に、この発明の実施の形態のレンズ研削加工装置は、第3の相対的位置関係を移動するための位置制御手段(演算制御回路80の機能の一部)により移動する方向を軸中心に回転制御する手段を有する。
この構成によれば、玉型形状眼鏡レンズの大きさや周縁形状にかかわらず加工干渉を回避することが容易となる。
また、この発明の実施の形態のレンズ研削加工装置は、第3の相対的位置関係を移動するための位置制御手段(演算制御回路80の機能の一部)により移動する方向を軸中心に回転制御する手段を有する。
この構成によれば、玉型形状眼鏡レンズの大きさや周縁形状にかかわらず加工干渉を回避することが容易となる。
また、この発明の実施の形態のレンズ研削加工装置は、回転切削又は研削手段は、平行に2本配置され、1本には穴明け用の細いツール(穴開けスピンドル114)が他の1本にはヤゲン加工用の端部に傾斜面のあるエンドミル113eを構成している。
この構成によれば、玉型形状眼鏡レンズの大きさや周縁形状にかかわらず加工干渉を回避することが容易となる。
また、この発明の実施の形態のレンズ研削加工装置は、エンドミル113eの先端中央部が溝掘り加工用の太さのエンドミルと成っている。
この構成によれば、玉型形状眼鏡レンズの大きさや周縁形状にかかわらず加工干渉を回避することが容易となる。
また、この発明の実施の形態のレンズ研削加工方法では、眼鏡レンズMLをその光軸とほぼ近似する方向で挟持し、その挟持された状態で眼鏡レンズMLをその挟持軸(レンズ軸23,24)中心周りに回転制御し、眼鏡レンズMLを挟持する軸(レンズ軸23,24)とは直交する軸周りに回転可能に回転切削又は研削手段(ヤゲン砥石113,エンドミル113e,穴開けスピンドル114)を保持し、眼鏡レンズMLの挟持軸(レンズ軸23,24)に沿って回転切削又は研削手段(ヤゲン砥石113,エンドミル113e,穴開けスピンドル114)との相対的位置関係を移動させ、回転切削又は研削手段(ヤゲン砥石113,エンドミル113e,穴開けスピンドル114)の回転軸に沿って眼鏡レンズMLの挟持軸(レンズ軸23,24)との相対的位置関係を移動させ、前記2種類の相対的位置関係の移動によって形成される平面に対してほぼ直交する方向に眼鏡レンズの挟持軸(レンズ軸23,24)と回転切削又は研削手段(ヤゲン砥石113,エンドミル113e,穴開けスピンドル114)との相対的位置関係を移動制御するようになっている。
この構成によれば、玉型形状眼鏡レンズの大きさや周縁形状にかかわらず加工干渉を回避することが容易となる。
また、この発明の実施の形態のレンズ研削加工方法では、前記相対的位置移動のための位置制御手段(演算制御回路80の一部)のいずれか1つ又は複数が、軸方向の直線運動とほぼ軸方向に沿う円弧運動にて構成されている。
この構成によれば、玉型形状眼鏡レンズの大きさや周縁形状にかかわらず加工干渉を回避することが容易となる。
また、この発明の実施の形態のレンズ研削加工方法では、第3の相対的位置関係を移動するための位置制御手段(演算制御回路80の一部)により移動する方向を軸中心に回転制御する手段を有する。
この構成によれば、玉型形状眼鏡レンズの大きさや周縁形状にかかわらず加工干渉を回避することが容易となる。
また、この発明の実施の形態のレンズ研削加工方法では、第3の相対的位置関係を移動するための位置制御手段(演算制御回路80の一部)により移動する方向を軸中心に回転制御する手段を有する。
この構成によれば、玉型形状眼鏡レンズの大きさや周縁形状にかかわらず加工干渉を回避することが容易となる。
また、この発明の実施の形態のレンズ研削加工方法では、回転切削又は研削手段は、平行に2本配置され、1本には穴明け用の細いツール(穴開けスピンドル114)が他の1本にはヤゲン加工用の端部に傾斜面のあるエンドミル113eを構成している。
この構成によれば、玉型形状眼鏡レンズの大きさや周縁形状にかかわらず加工干渉を回避することが容易となる。
また、この発明の実施の形態のレンズ研削加工方法では、エンドミル113eの先端中央部が溝掘り加工用の太さのエンドミルと成っている。
この構成によれば、玉型形状眼鏡レンズの大きさや周縁形状にかかわらず加工干渉を回避することが容易となる。