JP4846140B2 - 圧力センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体の圧力を検出する圧力センサに係り、特に、半導体のウェット処理に用いられる腐食性溶液、有機溶剤、純水や他の液体、気体の圧力を検出する場合に好適に用いられる圧力センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、超LSI等の半導体製造プロセスにおいては、ウェハの表面洗浄やエッチング処理等において多数のウェット処理が行われる。これら処理では、通常の半導体用グレードより高純度、高清浄度の腐食性溶液、及び純水やIPA等の液体が用いられている。また、気体が用いられる場合もある。
【0003】
これら溶液の圧力を検出するために、図3に示すように、圧力センサ20が、継ぎ手21を介して、溶液が流れるチューブ22に接続される。この圧力センサ20は、図4に示すように、チューブ22から溶液が導入される流路23と、この流路23の端部に配置されるセンサ素子24と、このセンサ素子24を保持するハウジング25とから構成されている。センサ素子24の流路23と対向する前面側には、溶液の圧力を受ける感圧部26が設けられている。センサ素子24は、外側にキャップ28が取り付けられ、このキャップ28により、感圧部26に接触した状態でハウジング25内に保持されている。
ここで、溶液が腐食性溶液の場合には、ハウジング25と、感圧部26とは、耐薬性に優れたフッ素樹脂を主成分とする素材から構成され、溶液が純水、IPA等の場合は、ハウジング25は、金属から構成される。
【0004】
センサ素子24の内部には、感圧部26に掛かる応力を電気信号に変換する回路が組み込まれている。この回路には、図5に示すように、抵抗R1〜R4によるホイートストンブリッジ回路が組まれており、抵抗R1〜R4の抵抗値が変化すると、出力電圧Voutが変化する。センサ素子24に圧力が掛かっていない場合、この出力電圧Voutの値はゼロである。しかし、センサ素子24に圧力が掛かり、抵抗R1〜R4の抵抗値が変化すると、それに応じて出力電圧Voutの値も変化する。そして、この出力電圧Voutの値が流体の圧力に変換される。
抵抗R1〜R4は、図6に示すように、R2とR4とがセンサ素子24の中央に、R1とR3とがセンサ素子24の端にそれぞれ配置される。そして、このセンサ素子24に感圧部26を介して溶液からの圧力が加えられると、センサ素子24の中央にあるR2とR4は、引っ張られてその抵抗値が増加し、一方、センサ素子24の端にあるR1とR3は、両側から押されてその抵抗値が減少する。その結果、センサ素子24に加えられた圧力に応じて出力電圧Voutの値も変化し、この出力電圧Voutの値によってチューブ22内を流れる溶液の圧力を得ることができる。
【0005】
ところで、ハウジング25が耐薬品性のある樹脂から構成された場合、樹脂は帯電しやすい特徴があるため、チューブ22内に溶液が流れ込むと、チューブ22の内周面と溶液との間に摩擦が生じ、継ぎ手21を通じてハウジング25の流路23近傍や、感圧部26に静電気が蓄積される。そして、圧力センサ20の使用が進むと、感圧部26に蓄積された静電気がセンサ素子24に向かって放電して、センサ素子24内の回路にノイズが生じたり、回路自体が破壊されてしまい、測定不良や測定不能が生じる恐れがあった。一方、ハウジング25が金属から構成された場合においては、静電気はハウジング25には蓄積されないが、感圧部26には蓄積されるため、依然として放電を起こしていた。
【0006】
そこで、キャップ28に接地されたリード線29を取り付け、このリード線29を介して感圧部26から静電気を逃がす構造が考案された。このリード線29により、チューブ22内を高純度腐食性溶液や純水などの溶液または気体が流れる場合において、感圧部26から静電気を逃がすことができようになり、静電気がセンサ素子24に向かって放電を起こすのを防ぐことができるようになった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ハウジング25が帯電しやすい樹脂から構成され、チューブ22内に静電気を発生しやすいIPAやアルコールの溶液または気体が流される場合では、ハウジング25と感圧部26とに通常よりも多くの静電気が発生するため、感圧部26に直接接続されていないリード線29では静電気を逃がしきれなくなり、静電気による放電が起こる危険性があった。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、耐薬品性に優れ、静電気にも強い圧力センサを提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の圧力センサは、流体が導かれる流路を有するハウジング内に、前記流路に導かれる流体に接する樹脂からなる感圧部と、該感圧部に掛かる応力を検出するセンサ素子とを有する圧力センサにおいて、前記センサ素子の後面に、前記センサ素子を保持する穴を有する導電性物質からなるキャップが取り付けられており、前記感圧部と前記センサ素子との間には、導電性を有する箔膜からなる導電層が設けられ、前記センサ素子に貼られ、前記センサ素子の周面に折り返された前記導電層は、前記穴の内周面に接しており、前記穴には、前記キャップの後面へと貫通する貫通穴が設けられ、該貫通穴から前記センサ素子のリード線が前記キャップの後面に引き出され、前記キャップの後面には、前記キャップを接地するためのシールド線が接続されており、該シールド線は、前記リード線と共に、前記ハウジングの孔から外部に引き出され、接地されていることを特徴としている。
したがって、感圧部に蓄積された静電気を、感圧部から導電層を介して逃がすことができ、感圧部に蓄積された静電気がセンサ素子に向かって放電して、センサ素子へ悪影響を及ぼすのを防止することができる。
【0010】
請求項2記載の圧力センサは、流体が導かれる流路を有するハウジング内に、前記流路に導かれる流体に接する樹脂からなる感圧部と、該感圧部に掛かる応力を検出するセンサ素子とを有する圧力センサにおいて、前記センサ素子の後面に、前記センサ素子を保持する穴を有する導電性物質からなるキャップが取り付けられており、前記感圧部と前記センサ素子との間には、導電性を有するメッシュからなる導電層が設けられ、前記センサ素子に貼られ、前記センサ素子の周面に折り返された前記導電層は、前記穴の内周面に接しており、前記穴には、前記キャップの後面へと貫通する貫通穴が設けられ、該貫通穴から前記センサ素子のリード線が前記キャップの後面に引き出され、前記キャップの後面には、前記キャップを接地するためのシールド線が接続されており、該シールド線は、前記リード線と共に、前記ハウジングの孔から外部に引き出され、接地されていることを特徴としている。
したがって、感圧部に蓄積された静電気を、感圧部から導電層を介して逃がすことができ、感圧部に蓄積された静電気がセンサ素子に向かって放電して、センサ素子へ悪影響を及ぼすのを防止することができる。
【0011】
請求項3記載の圧力センサは、センサ素子が、接地された導電性物質のキャップによりハウジング内に保持され、導電層がこのキャップに接触されていることを特徴としている。
したがって、キャップによりセンサ素子を確実にハウジング内に保持させることができると同時に、導電層をキャップに接触させ、このキャップを接地することで、感圧部とセンサ素子とに挟まれた導電層を簡単に接地することができ、圧力センサの製造及び組み立ての簡単化を図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る圧力センサを、図1及び図2を参照して、説明する。
図1は、本発明の圧力センサ1の縦断面図である。この図1に示すように、本発明の圧力センサ1は、略円筒状のフッ素樹脂製のハウジング2に、溶液が流れる流路3が形成され、この流路3の先端部壁面中央には、センサ素子4が設置されている。また、センサ素子4の流路3と対向する前面側には、流路3に導かれた溶液と接する感圧部5が設けられている。
なお、ハウジング2は、流路3の両端部にチューブ22が接続され、感圧部5が流路3の外周壁面上に設けられたインライン型であっても良い。
【0013】
感圧部5は、硝酸(HNO3)、塩酸(HCl)、硫酸(H2SO4)、フッ化水素(HF)等を含む腐食性溶液に腐食されに難く、耐薬品性に優れている、例えば、フッ素樹脂シートからなり、センサ素子4は、例えばセラミック素材からなる。
【0014】
センサ素子4には、感圧部5と接する面及びその周面の一部に、導電性を有する箔膜であるアルミ箔(導電層)9が貼られ、内部に感圧部5に掛かる応力を電気信号に変換する回路が組み込まれている。また、センサ素子4の後面には、内部の回路で得られた電気信号を外部に出力するためのリード線6が接続されている。なお、センサ素子4の回路については、従来の圧力センサと同様の構成とされているため、説明を省略する。
なお、センサ素子4には、内部に組み込まれたホイーストンブリッジにより感圧部5に掛かる圧力を検出するストレンゲージ式センサ素子の他、圧電式、容量式等のセンサ素子を使用しても良い。
【0015】
上記感圧部5の表面外周側には、Oリング10が取り付けられてシールされている。センサ素子4の後面には、センサ素子4を保持する穴11を有した導電性物質からなるキャップ12が取り付けられている。このキャップ12は、ハウジング2にねじ込まれており、穴11に取り付けられたセンサ素子4をハウジング2内に保持している。
ここで、センサ素子4に貼られて周面に折り返されたアルミ箔9は、図2に示すように、キャップ12の穴11の内周面に接している。
【0016】
また、キャップ12の穴11には、キャップ12の後面へと貫通する貫通穴12aが設けられ、この貫通穴12aからセンサ素子4のリード線6がキャップ12の後面に引き出されている。さらに、キャップ12の後面には、キャップ12を接地するためのシールド線13が接続されている。このシールド線13は、リード線6と共に、ハウジング2の孔14から圧力センサ1の外部に引き出され、接地される。
【0017】
そして、上記圧力センサ1の流路3に溶液が流れ込み、感圧部5に応力が掛かると、センサ素子4が感圧部5に掛かる応力を電気信号へと変換する。この電気信号は、リード線6を伝って外部に引き出され、溶液の圧力値に変換される。
このとき、チューブ22の内周面と溶液との摩擦により生じて感圧部5に蓄積した静電気は、センサ素子4に達することなく、感圧部5からアルミ箔9へと放電し、さらに、アルミ箔9からキャップ12へと逃がされる。そして、キャップ12に逃がされた静電気は、キャップ12の後面に接続されたシールド線13を介して逃がされる。
【0018】
このように、上記構造の圧力センサ1によれば、チューブ22の内周面と溶液との摩擦により生じて感圧部5に蓄積した静電気は、感圧部5からアルミ箔9へ放電してシールド線13を介して逃がされるため、静電気がセンサ素子4へ放電されるのを防ぐことができる。これにより、感圧部5に蓄積された静電気がセンサ素子4に向かって放電して、センサ素子4へ悪影響を及ぼすのを防止することができる。
【0019】
また、アルミ箔9は、センサ素子4の周面に折り返されてキャップ12に接しているため、感圧部5とセンサ素子4に挟まれたアルミ箔9に直接シールド13を設ける必要がなく、キャップ12によりセンサ素子4を確実にハウジング2内に保持させることができると同時に、感圧部5とセンサ素子4とに挟まれたアルミ箔9を簡単に接地することができ、圧力センサの製造及び組み立ての簡単化を図ることができる。
【0020】
なお、上記ハウジング2を、帯電しにくいステンレス等の金属から構成すると、静電気の蓄積を抑えて、静電気がセンサ素子4へ悪影響を及ぼすのをさらに防止することができる。
金属から構成されたハウジング2を、半導体製造のプロセスにおいて使用する際は、チューブ22を流れる溶液中にハウジング2のメタル分が流出するのを防止するため、ハウジング2に電界研磨処理を施す。この処理により、高純度腐食性溶液またはその気体が使用された場合でも、溶液中にハウジング2のメタル分が流出するのを抑えることができる。
【0021】
上記圧力センサ1では、導電層をアルミ箔9により構成したが、アルミに限らず、導電性を有する他の金属においても同様の効果が得られることは言うまでもない。さらに、導電層としては、導電性を有する金属のメッシュ等から構成しても良い。
また、上記圧力センサ1では、感圧部5がセンサ素子4の前面に設けられているが、感圧部5がハウジング2と一体化されたダイヤフラム部から構成された場合においても、同様の効果が得られる。
【0022】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の圧力センサによれば、下記の効果を得ることができる。
請求項1または請求項2記載の圧力センサによれば、流路に導かれた流体に接する樹脂からなる感圧部と、感圧部に掛かる圧力を検出するセンサ素子との間に、導電層が設けられ、この導電層は接地されているので、感圧部に生じた静電気を、感圧部から導電層を介して逃がすことができ、感圧部に蓄積された静電気がセンサ素子に向かって放電して、センサ素子へ悪影響を及ぼすのを防止することができる。
【0023】
請求項3記載の圧力センサによれば、センサ素子が、接地された導電性物質のキャップによりハウジング内に保持され、導電層がこのキャップに接触されているので、キャップによりセンサ素子を確実にハウジング内に保持させることができると同時に、導電層をキャップに接触させ、このキャップを接地することで、感圧部とセンサ素子とに挟まれた導電層を簡単に接地することができ、圧力センサの製造及び組み立ての簡単化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る圧力センサの縦断面図である。
【図2】 本発明の実施形態に係る圧力センサの概略断面図である。
【図3】 チューブに取り付けられた圧力センサの概略断面図である。
【図4】 従来の圧力センサの概略断面図である。
【図5】 センサ素子に組み込まれた回路図である。
【図6】 センサ素子の構成を説明する概略構成図である。
【符号の説明】
1 圧力センサ
2 ハウジング
3 流路
4 センサ素子
5 感圧部
9 アルミ箔(導電層)
12 キャップ
Claims (3)
- 流体が導かれる流路を有するハウジング内に、前記流路に導かれる流体に接する樹脂からなる感圧部と、該感圧部に掛かる応力を検出するセンサ素子とを有する圧力センサにおいて、
前記センサ素子の後面に、前記センサ素子を保持する穴を有する導電性物質からなるキャップが取り付けられており、
前記感圧部と前記センサ素子との間には、導電性を有する箔膜からなる導電層が設けられ、前記センサ素子に貼られ、前記センサ素子の周面に折り返された前記導電層は、前記穴の内周面に接しており、
前記穴には、前記キャップの後面へと貫通する貫通穴が設けられ、該貫通穴から前記センサ素子のリード線が前記キャップの後面に引き出され、前記キャップの後面には、前記キャップを接地するためのシールド線が接続されており、該シールド線は、前記リード線と共に、前記ハウジングの孔から外部に引き出され、接地されていることを特徴とする圧力センサ。 - 流体が導かれる流路を有するハウジング内に、前記流路に導かれる流体に接する樹脂からなる感圧部と、該感圧部に掛かる応力を検出するセンサ素子とを有する圧力センサにおいて、
前記センサ素子の後面に、前記センサ素子を保持する穴を有する導電性物質からなるキャップが取り付けられており、
前記感圧部と前記センサ素子との間には、導電性を有するメッシュからなる導電層が設けられ、前記センサ素子に貼られ、前記センサ素子の周面に折り返された前記導電層は、前記穴の内周面に接しており、
前記穴には、前記キャップの後面へと貫通する貫通穴が設けられ、該貫通穴から前記センサ素子のリード線が前記キャップの後面に引き出され、前記キャップの後面には、前記キャップを接地するためのシールド線が接続されており、該シールド線は、前記リード線と共に、前記ハウジングの孔から外部に引き出され、接地されていることを特徴とする圧力センサ。 - 前記センサ素子は、接地された導電性物質のキャップにより前記ハウジング内に保持され、前記導電層は前記キャップに接触されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の圧力センサ。
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